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2009年12月28日 (月)

坂の上の雲の下の薔薇(菅野美穂)禁欲的な人でした(マリーナ・アレクサーンドロヴァ)

さて・・・いよいよ明後日の方向へ迷走を始めたこのドラマ。

墓の下で司馬遼太郎が、野沢尚が、そして無数の軍神たち、無名の英霊たちが歯軋りしている音が地鳴りのように聞こえてくる。

まあ・・・でも・・・何も語らないことよりはましだしな。

「自分は手も握りませんでした」と広瀬武夫(藤本隆宏)が弁明しても死人に口なしなのである。

まあ、アリアズナ・ウラジーミロヴナ・コヴァレフスカヤ(マリーナ・アンドレーエヴナ・アレクサーンドロヴァ)がものすごく美人なのでよしとするしかないのである。

一方で、国王の妻・閔妃と国王の父・大院君との権力闘争に発する内部抗争にたまたま一方に肩入れしていたというだけで「閔妃暗殺事件」を日本の陰謀であったと断定するような捏造は一体、誰の入れ知恵によるものなのだろうか。吃驚仰天である。だが・・・今もなお、日本国の中に何食わぬ顔をしてそういう工作員が紛れ込み、公共放送で嘘を垂れ流しにする現実がある・・・ということは結構面白いことなのだな。

いざとなったらフィクションですから・・・ですませるしな。

で、『坂の上の雲・第5回』(NHK総合091227PM8~)原作・司馬遼太郎、脚本・野沢尚(他)、演出・一色隆司を見た。とにかく、日清戦争のようなものが瞬きする間に終わり、日清戦争後に突入したわけである。心を鬼にして銃をとり故郷を思いつつ戦火に散った先人に敬意を払う気持ちはひとかけらも感じなかったわけだが。

この調子で日露戦争もやられたらたまらんな。

どうせなら、明治28年、凱旋した秋山好古(阿部寛)は四谷信濃町に戻り玄関で生れたばかりの長女を抱いて「パパでちゅよ~」と言えばよかったと思うよ。

歴史の教科書の年表式に言えば

明治27~28年(1894~1895年) 日清戦争

明治28年(1895年) 三国干渉(この場合の三国はフランス・ドイツ・ロシアである)

つまり、死にもの狂いで戦った日本が奇跡的な勝利を治めた直後に列強諸国は外交圧力によって戦争をなかったことにしたのである。

こうして日本が勝ち取った遼東半島は清国に強制返還された。

そして・・・明治30年、ドイツは膠州湾を占領(租借)。

明治31年、ロシアは旅順・大連を占領(租借)。

明治32年、フランスは広州湾一帯を占領(租借)。

ドラマの中で伊藤博文(加藤剛)の語る「軍事力を背景としない外交」がいかに虚しいものであるかが一目瞭然である。

陸奥宗光(大杉漣)「あなたはこわいお兄さんの煙草の路上ポイ捨てを厳重注意できますか・・・くはっ」(明治30年没)

陸奥の遺志を継ぐ小村壽太郎(竹中直人)は次なる年表上の出来事の予感に怯えながら「外交を背景とする軍事力」の獲得を目指す。

明治37年~38年(1904~1905年) 日露戦争

小村「誰も好意で優しくしてはくれない。英国も国益のために日本を利用する。日本も国益のために英国を利用する。そうする他はないのだ。かって英国は米国原住民(イロコワ族)をもって米国原住民(その他の部族)を駆逐した。インディアンは嘘つかない。白人はみな嘘つき。頭の皮はいで何が悪い・・・という程度では狡猾な白人に食い物にされるだけだ。しかし、日本人はそれでも英国人の手に乗らねばならない。というか乗せてもらうのだ。さもなくばロシアに骨の髄までしゃぶられてしまうのだから」

小村はシケモクを拾いながら考えるのだった。その結果が年表に次の項目を挿入させる。

明治35年(1902年) 日英同盟

だが・・・それはまだ先の話である。

つまり・・・ロシア・フランス・ドイツによってたかって労働の報酬を奪われた日本はイギリスにすがりつくしかなかったのである。外交官たちは必死の努力で「お役に立ちますから仲間にしてください・・・一人ぼっちにしないでください・・・誰か助けてください」とアピールするわけである。

涙ぐましいぞ。

日清戦争ではほとんど触れられなかったが・・・日本の勝利の原動力は密偵の働きによるところが大きい。特に陸軍は総力を結集して清の内情を探ったのだ。

もちろん・・・それは海軍も同様で・・・日露戦争に向けて諜報活動は活発になっていく。

真之(本木雅弘)もまた密偵の一人となる。

原作には次のような件がある。

・・・前略・・・

明治二十九年十一月、真之は「軍令部出仕」を命じられた。

「海軍軍令部諜報課課員に補す」

というのが、その辞令である。海軍で戦略・戦術の才能ある士官をえらんでこの任務につかせたのはむろんきたるべき大戦を予想してのことであった。

広瀬武夫に対しても同様である。

・・・中略・・・

ふたりの官歴を見ると

秋山真之 明治三十年六月二十六日米国留学仰せ付けらる。

広瀬武夫 明治三十年六月二十六日露国留学仰せ付けらる。

とある。おなじ日に発令されている。

・・・後略・・・

つまり、真之はアメリカに、広瀬はロシアにそれぞれが諜報員として派遣されたのだ。

真之はどちらかといえばアメリカが味方についてくれるかどうかを見極める任務であり、広瀬は仮想敵国潜入なのである。

さらに言えば真之はアメリカの海軍力を内偵しに行ったということになる。キューバをめぐる米国とスペインの戦争開始は時間の問題であると観測されていたはずであり、真之が米西戦争の観戦武官となったのはけして偶然とばかりは言えないのである。

米国が南北戦争を経て一国となったように日本も戊辰戦争を経て一国となった。

太平洋を挟んだ日米は国土の規模はまったく違うがどこか似ている側面を持っている。

それは・・・国家としての若さのようなものかもしれない。

そのために向学心が旺盛なのである。

近代的軍艦による海戦であった日清戦争は米国によって徹底的に分析されていた。

真之が観戦武官として米西戦争を研究したように、日清戦争も世界各国に観戦されていたのである。

米国は「日清戦争」の研究により、自国海軍の戦略・戦術を練り、無敵艦隊の伝統を誇る老舗のスペインを一蹴したのだった。

つまり、日清戦争をよく研究した米国がスペインを破った。

そして、今度は米西戦争をよく研究したものが勝利者となるのである。

それが日本なのか・・・ロシアなのか歴史的には明らかなのだが・・・ドラマとしてはこれからなのである。

この頃からただの秀才軍人だった真之は天才の片鱗を現していく。

一方、広瀬もまたロシアにおいて諜報活動を繰り広げるのだが、ロシア軍の情報を収集するついでにロシア海軍の将軍の娘と恋の花を咲かせたりしてジェームス・ボンド化します。

もちろん、ロシア陸軍についての諜報活動についてはこの後、好古正五位陸軍少将が明治36年に大々的に行う予定です。

ちなみに真之大尉が米国留学していた頃の好古は従五位陸軍騎兵大佐です。

ま・・・子作りをしているだけでなくこっそりと出世しています。

そうした・・・秋山兄弟の活躍を眩しげに見ながら・・・正岡子規(香川照之)の死期は刻一刻と迫っていく。

日清戦争後の物見遊山的従軍も病身には響き、帰路に吐血後、一進一退をくりかえしつつ、地下への道を辿っていくのである。

松山から根岸へ。病を養いつつ・・・子規は国文化の革命に心血を注ぐ。

言語を統合し、一つの共通文化にたどりつくこと。それもまた国家の一大事であった。

真之「戦というものに迷っている」

子規「時間があるのじゃ・・・迷うことも可なりじゃろ」

真之「・・・」

子規「この国の文化を磨き上げる・・・それも国があってこそじゃ・・・国が滅んだら文化も終いじゃろ・・・このネイティブ・アメリカンの毛布のように異国の地でぬくもりを伝えることもできようが・・・言葉の文化はそうもいかん。軍人さんには・・・それを護ってもらいたいのじゃ・・・」

命の残り火を燃やしながら真之を励まそうとする子規の心に真之が震えるのだった。

その兄をそっと支え涙をこらえる律(菅野美穂)だった。

律「・・・淳さん(真之)はどんどん・・・出世するのに・・・うちはなんもかわらん・・・」

(二回も出戻ったら充分ですが・・・)とは口に出せないドラマ版の真之だった。

薔薇の花マリーと呼ぶは妹なり(子規)

とにかく・・・いよいよ本番に突入していくドラマなのだが・・・この続きは一年後である。

どんな放置プレーなんだ・・・。

関連するキッドのブログ『第4話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『ライアーゲーム・シーズン2』『容疑者Xの献身』(フジテレビ)『叫』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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コメント

桜井幸子さんが芸能界を引退するという
報道にショックを受けている今日この頃

今回もかなり見応えがありました。

たしか武力の「武」というのは
戈という武器を止めるという意味があった訳で

古来より「武」は力を抑止する働きがあったようで
そういう意味で陸奥の言葉には一理ありますが

日本の成長発展のために国民に重税を課して
国家予算の48%が軍事費って

なんか今こうして振り返るとおっそろしいです(; ̄∀ ̄)ゞ

今回は日露戦争で日本が勝利する下地となった
部分を描いた訳ですが

そこでのナレーションで
その後の日本の行為を先人達の築いたものを
「食い散らかした」という表現はなんとも
面白い限りです。


勝利におごって自分自身が見えなくなる

過去を振り返ってみても
こういうのは自分自身が経験しなければ
なかなか分かりえない。

今も昔も、こういうのは変わらないもんですね ̄▽ ̄

投稿: ikasama4 | 2009年12月29日 (火) 18時29分

pencil✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥pencil

引退まで数日の桜井幸子(36)・・・。

「より一層社会的見聞を広め、社会に貢献できる個人を目指し、実り豊かな人生となるよう、目標を定め、研鑽に努めて参りたいと考えて」

まあ・・・引退しなくてもそれはできますが
こういう発信の仕方がいかにも桜井幸子な感じ。

ある意味、痛々しい・・・。
本上まなみとならんで
痛々しい感じのする女優が
とりあえず去って行くのですな。
幸せを祈りたいです。

サンミュージック出身の人々は
どことなく薄倖の人が多いだけに・・・。

まあ、あくまでイメージの話ですけど。

そういう妄想で言うと

日清戦争・三国干渉・日英同盟・日露戦争

この年表的並びも
それだけでちょっとせつない感じがいたします。

それをそう感じるように
日本は義務教育を
していないということがまた切ないのですな。

「坂の上の雲」は
それを補完する文芸ですが
できればこのドラマにも
そうあってもらいたいと思うこの頃です。

ドラマとしての限界というものを
キッドは承知しているつもりなので
あまり強くは申しませんが
かなり低空飛行になっている気はいたしますけど。

そして視聴率的崩壊。
切ないことです。

どれだけの血が流れて
今の平和があるか。
日米同盟があったおかげで
どれだけの日本人が
恩恵を蒙ったのか・・・。

そういうことを
じっくりと考えてもらいたい人が
たくさんたくさんいるような気がします。

勝利から学ぶことは少なく
敗北から人は多く学ぶといいますが
どちらかといえば
勝者は奢るという意味合いを
はきちがえているのですね。

敗者が反省とともに
相手の勝因を研究するように
どうすれば勝つことができるのか・・・
勝ったことをふりかえらんで
どうする・・・という気持ちがあります。

現在のドラマは
その後の敗戦の原因が
まるで勝利にあったような匂いが
し始めているのですが・・・
それは違うだろうと思うのですな。
かっては勝つことができたのに
なぜ負けるようになったのか。
それは別のドラマでやってもらいたい・・・
そういう気分の今日この頃でございます。


投稿: キッド | 2009年12月30日 (水) 06時33分

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