謎めいた女の不毛地帯(小雪)
さて、木曜日は年越しのドラマ「不毛地帯」を2010年冬ドラマが迎撃するわけである。
実は「とめはねっ!」(NHK総合)は普通に面白い。先週、レビューした通りである。
その裏では「853 刑事・加茂伸之介」(テレビ朝日)が始まった。ヘアスタイルやジャンバーを着替えても「相棒」の亀山(寺脇康文)に見えてしまうのだが、本人が「演じ方は同じ」と言っているので間違いない。要するに地方公務員の壁を乗り越えて京都府警に加茂と名を変えた亀山が単身赴任しているようなものである。
そしてあきれるほど陳腐な刑事ドラマが展開する。まあ・・・これはこれでいいかもしれない。
舞妓さんが出てくる回は見逃せないと思う。
その後は「エンゼルバンク」である。「ドラゴン桜」に登場した真々子先生が失業して転職代理人になるというある意味、外伝的要素のある原作。・・・なぜ、TBSテレビでやらなかったのだ。「ドラゴン桜」は学歴社会の象徴である東大入試に真っ向からチャレンジした実に清々しい作品だったわけだが・・・その形跡を止めない真々子を長谷川京子がそのまま演じるためにつんのめるような視聴感覚を味わうことができる。しかもおバカな真々子調教師はドラゴン(阿部寛)に変わり、カリスマ(生瀬勝久)である。
真々子はバカなくせに自分をバカだと思わないのが特徴なのだが、それをフッと笑って軽くいなす役割は中々に難しいのだな。まして、今回は主役なのである。真々子のバカな主張がそのまま結論になったりして・・・ものすごく頭の悪いドラマに仕上がっています。
東大受験組の生徒の一人で現在はドクターヘリに乗っているガッキーが名前を変えて高校生役で応援出演したりするのだが・・・ある意味、見所はそこだけ・・・ぐらいの勢いである。実に・・・残念でしたーっ。
ま、そういうわけで実はかなり微妙な「不毛地帯」のレビューが続くのである。「龍馬伝」「カバチ」「コドブ2」の混雑がある日月の混雑を考えると・・・(火)コドブ2、(水)直男、(木)曲女とところてん方式で押し出され・・・「不毛地帯」がいつの間にか消える可能性もあります。
「とめはねっ!」をのぞけば・・・木曜日はドラマの「不毛地帯」に・・・。
で、『不毛地帯・第11回』(フジテレビ100114PM10~)原作・山崎豊子、脚本・橋部敦子、演出・平野眞を見た。昭和45年(1970年)には3月に日本万国博覧会が開幕する。同時に赤軍派によるよど号ハイジャック事件が起き、経済的繁栄と侵食する破壊活動が渾然一体となった不思議なムードを生み出す。若者たちはの一部は革命の夢を見たが、多くの人々は安定した暮らしを求めたのである。人々は左翼の笛にも踊らず、秋に一人決起した三島由紀夫の憂国を嘲笑した。敗戦から25年・・・人々はそこはかとなく賢かったのである。
そうした世情とは無縁であるように・・・ビジネスの世界では戦前生まれの男たちがより多く稼ぐことに熱い血潮を燃やしていたのだ。
次期社長の座を狙う近畿商事・里井副社長(岸部一徳)はニューヨーク支社長の壹岐(唐沢寿明)が糸口をつけた千代田自動車とフォーク社との業務提携話を自分の手柄にするために米国入りし、交渉による穏やかな合併を目指す壹岐案に対し、両者が出資する合弁会社設立案を提示する。
出資比率で折り合いのつかなかったフォーク社は里井案に賛意を示し、壹岐は主導権を失うのだった。
あたかも・・・ついに千里(小雪)との肉体関係を持った壹岐を霊界から亡妻の佳子(和久井映見)が叱責しているのではないか・・・と思わせる展開に小心者の壹岐はこわい夢を見るのだった。
そのために「連絡する」と言いながら千里になかなか連絡できない壹岐だった。
それでも千里のことが気がかりな壹岐は部下の塙(袴田吉彦)に千里のお相手をさせたりします。どんなプレイなんだ・・・。
しかし、壹岐の亡妻に恩情を感じる塙は・・・壹岐と千里とのただならぬ関係を察知し・・・軽く釘を刺したりするのである。
塙「亡くなられた奥様は本当に素晴らしい方だったので・・・再婚の話も出ないのですが・・・どう思われますか」
千里「さあ・・・私にはわかりません」
壹岐からの音信不通に耐え切れず・・・ついに自分から電話をする西海岸の千里。しかし、東海岸の壹岐は不在だった。
里井は壹岐の手腕に怯え、敵対心を燃やすあまりにノイローゼ気味になり、さらにはそのことが心臓に異常をきたすことになる。
壹岐「しかし、副社長の案ではフォークが千代田の内情を知った場合・・・手を引く恐れがあります」
里井「だからこそ、私が内部調査に対する工作しようというのだ・・・それとも君は私のプロジェクトを妨害するつもりか・・・」
壹岐「そんなつもりは毛頭ございません・・・」
里井「わかるものか・・・君はいつだって私の寝首を掻くつもりでいるのだろう。この首はそうやすやすと渡しませ・・・うっ・・・」
壹岐「副社長ーっ」
心臓発作で入院した里井は狭心症と診断され、療養を奨められるが断固拒否するのだった。里井の心は壹岐に対する疑心暗鬼が被害妄想レベルに高まっていた。
里井の病状を気遣う言葉さえ、悪意によるものと解釈する里井に壹岐は言葉を失うのだった。
強行して日本に戻った里井を大門社長(原田芳雄)は労うが、その言葉さえ里井の病んだ神経を刺激する。
大門「くれぐれも無理をしないでくれ」
里井「なんですと・・・社長まで・・・壹岐くんに騙されているのですか・・・社長、目を覚ましてください。壹岐という男は悪魔なのです。何をたくらんでいるかしれたもんじゃない。私はまったく健康です。ピンピンしているのです。壹岐くんなんかきっと尻尾が生えているんだぁぁぁぁぁぁぁ」
大門「・・・エキサイトして・・・何を言うとるんじゃ?」
その頃・・・ようやく千里に連絡する気になる壹岐。
壹岐「連絡が遅れてすみません」
千里「お忙しいでしょうから・・・」
壹岐「日本に戻ったら必ず逢いに参ります」
千里「米国を立つ前に・・・お言葉がいただきたいの・・・」
壹岐「すべてのことは・・・これからじゃないですか」
いやいや・・・愛してるって言ってくれ・・・なのである。
それにしても千里を演じる小雪もいつの間にか33才なのである。
「恋はあせらず」(1998年)で織田裕二相手の三番手ヒロインを演じていた頃は21才だったのになぁ。その後すぐの「タブロイド」では謎の情報屋。この辺りからすでに裏の世界に通じた怪しい役が十八番である。映画「ケイゾク」ではお嬢様だが殺人鬼。そして池袋ウエストゲートパークではヤクザの愛人である。もう・・・こうなるとどんな清純な役をやっても・・・きっと裏では危ない組織と通じている妖艶な美女になってしまうのだ。「僕と彼女と彼女の生きる道」ではとても清楚な役柄だったのだが、凛(美山加恋)には勝てなかったのである。
まあ、とにかく、いるだけでゴージャスな美女というものは羨望されるか、憧憬されるかの存在なのでしょうがないよね。
とにかく・・・あまり言動を示さない壹岐が心の底でどうしても欲しくて欲しくてたまらない存在を演じられる女優というのは・・・日本にはおそらく小雪しかおらず・・・それがどうしても愛人っぽくなるところが・・・不毛地帯なのである。
関連するキッドのブログ『第10話のレビュー』
土曜日に見る予定のテレビ『神戸新聞の7日間』(フジテレビ)『成海璃子の咲くやこの花』(NHK総合)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
キッドさま。
わたしも、不毛地帯を、出演者チェックのみ処置へ移行中です。
だって~ 「とめはね」+「コマ大」で忙しいんですもの~。
NHKは魔物だ~。 最近のドラマが見逃せないですよね。
投稿: シャブリ | 2010年1月18日 (月) 22時02分
▯▯black rabbit▯▯シャブリ様、いらっしゃいませ▯▯black rabbit▯▯
多部ちゃんの出番なしなんて・・・。
意地悪以外の何ものでもないですよね。
キッドも思わずレビュー中止の気分になりましたぞ~。
やめないのは・・・小雪に同情的だからです。
「とめはね」は
結局、小中学生向けに
高校生のドラマをやるのが
正解という・・・少年ドラマシリーズのうまみが
出ています。
まあ・・・視聴率はさておきですなーっ。
少子化だから~。
投稿: キッド | 2010年1月19日 (火) 01時42分