後で後悔して悔やむことになると言えない女(菅野美穂)
無理矢理かぶらせてくどくしてどうする。
かぶらせるって丁寧ってことだと思うから。
くどいと真心がないように聴こえるだろう。
コミュニケーションって難しいわ。
水曜日のダンスは・・・。
「相棒」15.7%↗17.2%↘17.1%
「検事」*9.4%↘*5.6%↗*6.0%
「曲女」15.4%↘11.0%↗13.7%
・・・おおっ・・・歩みよった。相棒とキイナのダンスの再来なるか。
で、『曲げられない女・第3回』(日本テレビ100127PM10~)脚本・遊川和彦、演出・吉野洋を見た。娘・荻原早紀(菅野)32才、母・光(朝加真由美)56才である。光が24才の時に早紀は生れた。父は司法試験浪人で10年目に合格するがその日に事故死。それ以前もそれ以後も教師をしていた母親に早紀は育てられた。
母は家庭よりも教壇を愛していた。実子よりも教え子を愛した。・・・早紀はそのことを恨んでもいるがそんな母親を愛していた。子供は基本的に親を受け入れるしかないし、親はそのことを当然に思うのが普通だからである。
しかも・・・母の光は自分が娘の早紀を傷つけていたとは夢にも思っていなかったのだ。
娘から「くそばばあ」と罵られるまでは。
お前に伝えたい
お前が私を必要としていた時
私がわずらわしく思っていたこと
私には大切な子供たちがいて
お前をないがしろにしたこと
それは間違いだったと
そうなのよ
私のベイビー
The Jackson 5時代のマイケルが「I Want You Back」を歌うように。しかし、残された時は短かった。ウッチーがうっうっうっちー、うっうっうっちー、うっうっうっちー、うっうっうっうっちーぶっさんマスターバンビ~アニ! と歌うほどの時間もなかったのだ・・・いや、そのくらいの時間はあったただろう。
・・・関東では「木更津キャッツアイ」再放送中です。
母危篤の知らせを受け早紀は故郷に帰る・・・第一話で婚約を解消し、第二話で失職し、第三話でただ一人の家族を喪失するためにである。
飾りとしての主婦を演じる璃子(永作博美)は自分の不幸が普遍的なものであると信じたいので同級生の早紀に早く結婚してもらいたいだけなのだが故郷で小学校の同窓会があるのを口実に早紀の後を追い、早紀の元婚約者・アニじゃなくて坂本弁護士(塚本高史)を呼寄せようとする。
たまたま犯人護送の用件があり早紀の熱狂的な追っかけである藍田警視正(谷原章介)も早紀の故郷へ向かうのだった。
ヒマなのか・・・とは問わないでください。
ほぼ赤の他人の藍田が駆けつけるのに仕事を口実に坂本はなかなかやってこない。しかも秘書の横谷(能世あんな)と食事の約束をしたりしているのである。
つまり優先度は①仕事 ②秘書との食事 ③元婚約者の母の危篤である。
まあ・・・おかしくはありません。
もはや医師から瀕死と宣告された光は「最期の教壇」に異常な執着心を燃やす。
早紀は「一分一秒でも一緒に居たいから」と母の願いを拒絶する。
・・・この期に及んでも娘と一緒に過ごすよりも教え子の方が大切なの。
目覚めかける早紀の本来の自我は叫び始める。
「今度発作が起きたら命の保証はできない」と告げる医師に母親の奴隷である早紀の超自我も同意する。
そんな娘に「生れる場所は選べないけど死に場所は自分で選ぶ」と「教え子たちの前で死にたい宣言」をする光。「私の(奴隷の)娘ならなぜそれを理解しないのか」という態度である。
・・・母親である前に教師であることに後ろめたさはないのかよ。
早紀の鬱積された情念はもはや我慢の限界に近付いていた。
しかし、我慢をし続けた早紀は押し黙るしか怒りの表現方法を知らないのである。
だが・・・最後は母の奴隷である早紀が勝利をおさめるのだった。
・・・愛する母の最期の願いを聞き届けるのが正しい娘の在り方だと内在する母が強制するからである。
この葛藤を楽しいアトラクションとして見つめる藍田と璃子だった。
ついに母の病院脱走に手を貸す三人組。
・・・家族の同意があれば普通に一時帰宅できるだろう。隔離されているわけでもないんだからな。
・・・とは指摘しないでください。あくまで脱走ごっこがしたいだけなんですから。
職場である学校は静寂に包まれている。光に洗脳された生徒たちは休日に呼び出された子羊のようだ。
他の教職員や他のクラスの生徒はいないのかとは疑問に思わないでください。予算がないのです。
教室に通じる廊下で20年以上も煩悶していた早紀はついに反抗期を迎えるのです。
「やはり・・・教室に行かせることはできない・・・私より生徒が大事というのなら・・・私にはそんな母親は必要ありません。ただのくそはばあです。・・・正確に言っておきたいのです」
生れて初めて娘に反抗された母は絶句して心臓が止りそうになった。
早紀はなんの資格もないが教師の娘として教壇に立った。
「母が病気でこられないので・・・母が言いたいことを娘の私が伝えます。親が死すともいい友がいればいいとも・・・私には友達もいない・・・母ももうすぐ死にます・・・皆さんはこの言葉の意味をよく考えてもらいたい。私の母はいい母親ではなかったけれどいい教師だったと思うので・・・」
おそらく中学生の子供たちは唖然とするしかなかったと思いますが悪夢だと思う他はないのです。この脚本家のリアリティーの不在は今に始まったことではないのですから。
再び病院に戻った一行。早紀は生れて初めて母親に逆らった罪悪感で死にそうな気分です。
まもなくいまわの際を迎える母の病室に呼び出されたのは早紀ではなくほぼ赤の他人の二人だった。
光は正座をして二人に哀願するのだった。
「保健室でいつもサポタージュしていた旧姓・蓮見璃子さんともう一人の警察官僚の方。私の育て方が間違っていたせいで娘の早紀は30才過ぎて無職で独身でろくに友達もいない不器用でわかりにくい人間に育ってしまいました。早紀は私が死んだら一人ぼっちになってしまいます。真に勝手なお願いですが・・・どうか・・・私が死んだ後・・・あの娘のことをよろしくお願いいたします」
二人は困惑を通り越して愕然とするのだった。
そして・・・光は何処かへ逝った。
葬儀になってようやく到着する坂本弁護士。参列者にそつなく応対するのだった。
そんな坂本に藍田はからむのだった。
「どうして今頃来たのだ・・・本当にこの人を大切に思うならもっと早く来れたはずだ・・・俺だって女を口説かないのに・・・葬儀の席でよりを戻そうなんて卑怯じゃないのか」
璃子は藍田にかすかな脈を見出すのだった。璃子は早紀が自分と同じように結婚して不毛な感じになれば相手は誰でもいいのである。
坂本は優柔不断な性格を指摘されるとお約束でキレるのだった。
母親の死後の後始末は生前にほぼ手配済みだった。
早紀に残されたのは・・・母親の飼い犬のノーフォークテリアと父親の司法試験合格証書。そして母親が日記のしおり代わりに使っていた九歳の早紀が撮影した両親のピンボケ写真が一葉。
母親の携帯はすでに解約されていた。
早紀が自分のケータイ電話で母に電話をかけても答えるのは電話会社の録音されたメッセージである。
早紀は登録された母の番号を削除しようとして・・・できませんでした。
ママの愛なしで生きていくのは
眠れない夜がいつまでも続くこと
もう二度とママに逢えないと思うと
すべてがむなしく思えてくる
アババ もう一度
アババ チャンスをください
もちろんそれは許されない。失うものがなくなればそれは自由なのだが早紀は自由というものとはあまりにも無縁な女だった。束縛から解放されて立ち竦むのである。
早紀をうらやましく思う藍田は義母(高林由紀子)に反抗を試みるが敵の大きいママの壁は分厚いのだった。すでに璃子の実の子供たちは大きいママに洗脳されてのっとられているのである。
早紀の母の愛に撃たれた藍田は愛人(杏さゆり)の前で不能の人となるのである。
早紀の超絶的なマイナス・オーラはゆっくりと世界を覆い始めるのだった。
君子危うきに近寄らない坂本弁護士はただならぬ気配を静観する。
この世界の窮地を救うのは・・・ひょっとすると冴えないマチベン(平泉成)なのかもしれない。なぜならマイケル・ジャクソンもすでにこの世にはいないからである。
たとえスーパー・スターであろうとも現世で死者のできることは少ないのだ。
世界中の母を亡くした子供たちに幸あれと祈る。
関連するキッドのブログ『第2話のレビュー』
金曜日に見る予定のテレビ『ヤマトナデシコ七変化』(TBSテレビ)『うっちーの松本清張ドラマスペシャル星野真里も出るよ』(フジテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
き~さ~らづっにゃんにゃんにゃん。。。
懐かしい('▽'*)。。oO
こちらでは(そちらもかも)「冬ソナ」や「チャングム」がやっててビックリ。
しかもTBS系で。
>つまり優先度は①仕事 ②秘書との食事 ③元婚約者の母の危篤である。
>まあ・・・おかしくはありません。
そうなんですよね。考えてみると、別におかしくないんです。
正登って普通の男なんですよね~。
一見おかしく見える藍田の方が情が深かったりして。
>・・・母親である前に教師であることに後ろめたさはないのかよ。
早紀よりも母親の方が、母親としておかしいですよね。
で、今頃そのことに気付くって。。。
キッドさんの記事を読んでて理解出来たかも。
私はこの母親がよく分からなくて、
娘に対してワガママと言うか、
冷たく接するような態度が読み取れませんでした。
>ただのくそはばあです。・・・正確に言っておきたいのです」
ウケる~(≧∇≦)ノ彡 バンバン!
結局、ベッドの上で土下座して頼んだのは、
「クソババァ!」で気づいたからなんですか?
育て方が間違ったことに今更ですか。。。絶句。
このシーンで泣けなかったのはそのせいだったのか。
>そして・・・光は何処かへ逝った。
一々笑える~!何処なのよ(≧∇≦)ノ彡 バンバン!
>早紀の母の愛に撃たれた藍田は愛人(杏さゆり)の前で不能の人となるのである。
ここは谷原さんのキャラで笑えましたよ。
やっぱ母親とは出来ないもん。。。(`ー´) ね?
投稿: mana | 2010年1月29日 (金) 17時12分
|||-_||シャンプーブロー~mana様、いらっしゃいませ~トリートメント|||-_||
夜は内緒だよ・・・でヨロシクメカドッグ。
木更津の再放送があると
つい見たくなり困りますな。
正登は普通の男子というか
塚本高史ならではの
軽男子ですな。
この手のキャラを演じさせたら
右に出るものなしです。
ある意味クドカンオリジナルですが
この脚本家はそういうのを
取り入れる技術は天下一品です。
ある意味、すべての登場人物が
いつかどこかで見た感じがするのが
弱点ですけど。
単純に言えば似た者親子ですむ話ですが
やはりこの母子は
母による軽い育児放棄を感じます。
夫に先立たれて
生活に追われるのと同時に
どこか実子をうとましく感じるタイプだった
気配がありますな。
しかもそれに自分自身は気がついていない感じ。
こういう場合はそれが悪いとは言えないが
確執の責任がどちらにあるかと言えば
親子なので母親にあるということになります。
母親としては人並みな愛情を持っているのに
それを子供に注がない・・・注げない人と
言うのはたまにいますね。
特に無意識でそれをしていると
敏感な子供は深く傷つくことがありますな。
それでも子供としては
親を慕うしかないわけです。
ものすごくソフトな虐待です。
しかし・・・母親は死の床で
それに気がつきあわてふためくわけです。
その結果が
あの正座に結晶したのでございましょう。
まあ・・・主人公と母親の別離を描かないなんて
ものすごいスルーですが・・・。
とにかく・・・失恋、失職、死に別れと
不幸の三連打で
そこそこの視聴率をキープしましたので
ここからどうするのか・・・
いろいろと想像できて楽しいですな。( ´Д`)y──┛~
投稿: キッド | 2010年1月29日 (金) 20時23分
レビューしていた時
ちょうど、NHKでマイケル・ジャクソンの
特集をやってたのでちょっとだけ早紀の気分になって
ノリノリで別件のイラストを描いてました ̄▽ ̄♪
相変わらずキャラとしてのノリは
楽しく、ストーリーとしても
随所に光るものがありますが
中盤でのダラダラというか
キャラを見せるためだけというか
役者さん頼みで作ったような展開に
今後の展開に不安を感じる今日この頃です(; ̄∀ ̄)
投稿: ikasama4 | 2010年1月30日 (土) 13時15分
✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥
脚本家的には
隠し味にこだわるタイプなので
マイケル・ジャクソン追悼の
意味合いが濃くなってきましたね。
この調子で名曲セレクションを
するつもりなら
レビューは比較的楽しくできそうな感じ。
リアリティーに対してのこだわりが
もう少しあると
違和感を感じずに
楽しめるのですが
もはや個性のようなものなのかもしれず
ある程度、優しい視線のフィルターを
かけて視聴しています。
まあ・・・トータルで面白ければ
すべてよしという姿勢で・・・。
とにかく、失うものは失ったので
この後は「健康」とか「精神」とか「身体」とか
行き過ぎて失うというような
傾斜ではなく、
「再生」とか「立ち直り」の方向で
お願いしたいですねーっ。
「演歌の女王」のリフレインをしても
誰も得しない・・・と思うのでーっ。(ノД`)
投稿: キッド | 2010年1月30日 (土) 14時38分
キッドさん、こんばんは~♪♪
「王様のブランチ」が大好きな
ディズニーランドのアトラクションの数々。
先日久しぶりに経験して来ました。
実に楽しかったのですが、
全身疲労、全身倦怠、脛や腿の筋肉痛など
様々な症状に襲われ今日は寝込みました。
ある程度歳を重ねた大人は
あまりはしゃぎすぎは禁物なようです。
もうこれ以上だと日常生活が困難です。
ものすごく美しいキッドさんのレビュー、
もう圧倒的というか、
ストーリーの隅々まで芸術的なまでに・・・。
自分のレビューが虫けら以下だと感じました。
虫以下。
母親のあやまちも指摘してなければ
愛に飢えていたヒロインの心情の描写も無し。
一番大切なところを完全にスルー。
母と娘の別れのシーンもスルー。
え、だってそれはドラマに無かったから・・・
という言い訳もダメなくらい虫レベル。
虫だ!こんな駄文虫けらだ!
例えば、実はいくつか青々と茂っていても
面白くしたくてちょと大袈裟に書く。
でもそうしたことで
読者様への罪悪感、読んでいて違和感、
「本当は・・・」という自尊心のくすぶり。
もうやめだ。レビューもこんなだしダメだ。
もう書くのをやめてしまいたくなっても
やっぱり書く。
「紙一枚」のお話しを思い出したりしながら、
やっぱり書きつづける。
報酬が無くても損得では損が多くても
続ける、続ける、続けるのだ。
次回は綺麗に丁寧なレビューを書こう。
今回の再放送の前の前の前くらいに録画した
「木更津キャッツアイ」でも観よう。
アニ、喋り方がもうキャラを決めてるっていうか。
投稿: ヤマト | 2010年1月30日 (土) 19時06分
☆*⋄◊✧◇✧◊⋄*ヤマト様、いらっしゃいませ*⋄◊✧◇✧◊⋄*☆
もう長いこと世界で一番有名なネズミと
おめもじしていませんな。
カレンダー以外では。
そうですねえ・・・30代になると
そろそろ子供を連れて行くための
テーマ・パークに変貌するのが
あの場所なのですな。
わが心の師は
「本当の娯楽とは老若男女・・・つまり
家族が楽しめるものでなければいけない」
という鉄則を示しますからね。
本人の子供は薬物中毒で逮捕されたりしますけど。
どれほどの家族に幸福を与えても
自分の家族を幸せにできないのでは
本末転倒だろう・・・と人々は思うでしょう。
しかし・・・何もかも思い通りには
ならないのが人生だという考え方もありますな。
まあ・・・ママが子供時代を
そして青春を過ごした
あの場所へ・・・
わが子を連れて行くというのは
ビジネス戦略なんですが。
いよいよ東京もそういう時期なのですな。
まあ、ヤンママ世代はすでにそうですが。
子供と行くとまた別の喜びがありますぞ。
さて・・・我が身を貶めて
相手を褒め称える
美しい賛辞をいただき
感謝の気持ちでいっぱいでございます。
まあ、ヤマト様のレビューは
キラキラした感性の賜物でございますからな。
どうかマイペースで
お続けくださいますように。
魂はやがて消え行くものですが
現在というものを感じるためにも
刻む作業は有効です。
そこには別な誰かとともに
存在している普遍的な喜びがあります。
もちろん・・・それは
温もりも現世的ご利益もない
単なる情報ですが・・・
人間は要するに
情報の産物ですからな。
愛も幸福も満足も情報にすぎない。
だからただの情報のやりとりが
うるわしくてもいいではないか・・・
とキッドは思うのでございます。
最後が最初って重いとしても。
投稿: キッド | 2010年1月30日 (土) 21時21分