美しき花を賞して草木の風興を弁えず(大政絢)
コミックやドラマなどのフィクションでは富豪が登場するのは定番である。
そこには「奇なるものを求める心」が働くからだろう。
つまり、受け手の多くを占める「富豪でないもの」=「貧乏な庶民」に対して「一瞬の夢」を提供する作り手の作為が働くのである。
たとえば藤子不二雄のコミックにはちょっと裕福な家庭の師弟が必ず登場する・・・多くの場合、主人公にとってうらやましい存在として・・・そしてそこにはやっかみの気持ちが動いて多くはギャフンという目に会うのである。
しかし、世の中が安定して「豊かさ」が普及すると誰もがちょっと裕福になってくる。
そういう場合は超絶的なお金持ちが登場したりする。
まあ、「こち亀」の中川とか、「うる星」の面倒とか、「おぼっちゃまくん」とかね。
そこではちょっとした裕福さでは想像もつかないグロテスクな浪費が行われる。
ドラマ化された小説「富豪刑事/筒井康隆」はそういう作品の基本的な構図をもっている・・・つまり「金にものをいわせて犯罪捜査」なのである。
一方、少女向けのコミックでは「王子様」という別の視点がある。単なる富豪ではなくて、「お金持ちのボンボン」である。
男女雇用機会均等法以前ではそれはすなわち「玉の輿」という素直な少女の見る夢の目標だったからである。
「花より男子」では大財閥の御曹司が集合するのであるが・・・その中に紛れ込むのが茶道の家元の西門である。そこには単なる成り上りではなく、「伝統」とか「由緒」を受け継ぐ気配があり、しかも「芸術」という実力を持った「お金持ち」というプラスアルファがある。
さて、茶道といえばお稽古ごとである。お稽古事といえば華道もそうである。
「ヤマトナデシコ七変化」には華道の家元の御曹司、織田武長(内博貴)が登場する。今回は武長の実家が登場するのである。
で、『ヤマトナデシコ七変化・第6話』(TBSテレビ100219PM10~)原作・はやかわともこ、脚本・篠崎絵里子、演出・大澤祐樹を見た。もちろん、茶道と華道はライバルである。これに能や舞踊を加えてもよいが、やはり茶道と華道の犬猿の仲は特筆されるべきだろう。そもそも両者にはどちらが伝統的か・・・という確執がある。
実は華道の方が古いと華道家は言う。そもそも華道のルーツは仏教伝来以前からある墓前に花を供える慣わしにあるという。そして六世紀後半から七世紀にかけて聖徳太子が仏教を流行させ、仏前に花を献じることが雅やかなことになって以来、華道が存在すると言うのである。
聖徳太子は小野妹子に「日出処天子」と推古天皇を呼び、「日没処天子」と隋の煬帝を呼んだ国書を持たせて遣隋使とし隋の煬帝を激怒させたやんちゃな皇太子である。
その怒りを含んだ返書を渡された小野妹子は内容をとても聖徳太子に見せられないと「紛失」したことにした。そのために流刑になっている。
聖徳太子は各地に寺を建立したが、京都にある紫雲山頂法寺もその一つである。ここには聖徳太子が水浴した池があったとされ、別名池坊と呼ばれる。その住職に小野妹子の子孫が任命され・・・数代を経た。
一方、茶道が中国で確立するのは八世紀から九世紀にかけてで、日本にそれを導入したのは遣唐使である。つまり、茶道はそれ以来なのである。
室町時代に入ると足利将軍は「茶の湯」「生け花」をたしなむようになった。その中で高名を得たのが小野妹子の末裔・池坊専慶である。その四代後が戦国時代に「池坊花伝書」とも言うべき「専応口伝」を示した池坊専応なのである。およそ500年前である。
それに対し、戦国末期に登場した千利休は「茶の湯」にわびさびを持ち込んで、華道の「豪華絢爛」を否定した上で、「茶」を主、「花」を従とした茶道を打ち立てる。
ま、それ以来、茶道と華道は相容れません。ま、あくまでキッドの妄想としてはですけど。
しかし、利休が「総合芸術」としての茶道を目指したように専応も「古来から花を瓶にさすことはあるというが華道とはただそれだけのものではない」とやはり「美を越えて美を見出す何か」を追求していた気配はあるのである。
まあ、味覚と視覚で上手く棲み分けてもらいたいと思う。
もちろん、花を愛でることが視覚的なものであることは言うまでもないだろう。
さて、前回では意中の人からのチョコレートが届かない雪之丞(手越祐也)がせっかく側に意中の人のスナコ(大政絢)がいるのにそれを素直に表現しない恭平(亀梨和也)に複雑な八つ当たりを仕掛けるのだが・・・いつからスナコが恭平の意中の人になったのかさえも分りにくい展開なので雪之丞の胸の内がますます分りにくいと思う。
とにかく、そのために恭平と雪之丞が不仲になり、停めに入った武長と蘭丸(宮尾俊太郎)も混乱の中、気まずくなる。
そんな折に武長の実家で華道の家元である父・武長(榎木孝明)が倒れてしまうのである。
武長は子供管理人のタケル(加藤清史郎)を放蕩三昧の母親・美音(高島礼子)を届けるとそのまま実家に戻る。
また、蘭丸は人妻の千夏(真野裕子)と温泉旅行に出かけ、雪之丞も家出。
気がつけば中原の屋敷にはスナコと恭平が取り越されるのであった。
もう、自然なんだか不自然なんだかよくわからない。
そして・・・恭平はもてすぎちゃって困るのみたいな過去を語り、本当はこの家でみんなと楽しく過ごして幸せなんだともらし、ついでにスナコに甘えるのだった。
もう、愛なんだかどうなんだかわからない。
一方、喫茶店「迷宮入り」に避難していた雪之丞はマスターがまちこ(本仮屋ユイカ)のチョコレートを預り、雪之丞に渡し損なっていたことを知りご機嫌になるのだった。
もう、単純なんだか・・・これは単純か。
恭平と仲直りした雪之丞のところへ、武長の恋人・乃依がやってきて、武長が織田家の陰謀で靴紐が切れて帰れないことを伝えるのだった・・・ち、違うだろう。
今時、靴の感覚が変わるとか言って靴紐を替えないとか、それが切れて泣いちゃうとか面白いよね。・・・いい加減にしとけよ。
織田家に武長奪還作戦を仕掛ける下宿人たちだが、本人は「もう帰らない」と言うのだった。
しかし、その本心はいつか「別々の道を歩き始める時、別れが辛くなるから」というものすごい乙女心なのである。
そこへ、武長の父親が登場。
父「なんだそのチャラチャラした身なりは・・・ネクタイを緩めたり、スボンを腰ではいたりだらしないのにも程があるだろう」
子「いえ・・・そういう流行なんですよ」
父「そんな流行なんてくそくらえだ」
子「ち、父上・・・」
父「あ・・・いまの失言ね」
子「気をつけてください」
父「ち、うっせーな、気が散るんだよ。おかげでメダルとれなかったじゃん」
子「ここは、一応謝罪してください」
父「マスコミって尊大だよな~、何様なんだよだよな~、で、なんて言えばいいのよ」
子「心からおわびを・・・」
父「ごめんね、ごめんねーっ」
恭平「ここは・・・外見の方にもっていってもらわないと」
父「なんだ、そうなのーっ、面倒クセエな~。なんだよ、その髪型はイカシてるじゃん」
恭平は織田の父親の発言は無視して芝居を続けるのだった。
恭平「どうして、見かけで判断するんですか、長い髪が気にいらなければ切りますよ。オレには髪より友達が必要なんだ」
久留米「髪の毛の豊富な人はみんなそう言うんだよね・・・髪は長い友達なのに」
恭平はショートカットにして男の心意気を見せるのだった。
その恭平の格好良さに嫉妬した武長は心をこめて恭平を殴るのだった。
父「うむうむ・・・ケンカするほど仲がいいか・・・男にとってよき友は宝だ。花(貴族)もまた草木(庶民)の支えがあってこそ美しさが輝くというものよ」
一件落着である・・・ちょっと内容が違うんじゃないのか。・・・ま、いいか。
・・・とにかく、華道家という設定を適当にアレンジするなら・・・もう少し深みがあってもいいかなぁと思う今日この頃でございます。
さて・・・「殿」武長の出番はあったので、残るは「王子」蘭丸のエピソードなのだが。
「さゆり」や「お嬢様」の登場はあるのか、ないのか・・・気がかりです。
まさか今回の千夏はさゆりのアレンジなのか・・・そりゃないよな。
ついでに結局、タケルは物語の展開上・・・邪魔になってるのだな。
二兎を追う者一兎も得ずだよな。
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ごっこガーデン。内緒で秘密の隠れ場所セット。エリ「むふふ・・・最近はお母さんごっこがマイ・ブームなのでスー。こっそり亀恭先輩にごはんを作って食べさせて甘えさせるのでスー。そして膝枕で耳そうじをしてあげるのですyon!・・・するとすっかり気を許した先輩がぎゅっと手を握ってくるのです・・・一種の飼育プレーでしゅ~」お気楽「七変化してるのはスナコじゃなくて恭平だよね。ヤマトダンジ七変化にタイトル変更すればいいのに・・・もてもてが悩みの種なんてイライラするよね・・・ブスナコなしか・・・まちこはロケ日一日だよね、ま、スケジュール的にはそうなるか」まこ「ぎゃぼ~、スパイ逃亡ごっこをして秘密の通路を抜けたら・・・こんな場所に出てきましゅた~、ここは不毛地帯でなくて萌え萌え地帯でしゅか~・・・するとどこかにお湯のかけあいお風呂場乱闘セットがあるかもでしゅ~・・・至急探索するのでしゅ~」
日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)『深・ケロロ軍曹』(テレビ東京)『堀北真希の特上カバチ!! 』(TBSテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
じいやさま、織田家に生まれなくて良かったと思うこの頃ですーっ。
何しろ靴紐が切れたらジャンプできないのですが
平成財閥ではじいやの采配のおかげで
まこちゃまなどは太平洋さえ跳び超えてしまうのですからーっ。
さてさて、茶道も華道も平成財閥流を仕込まれたゆえ
エリの中ではなんだかすっかり融合していまする。
って、茶器に花を生けてもいいですか~。
そんな中でもお母さんごっこはとってもしゅてき~。
膝枕に耳掃除って一度試してみたい^^
そうねぇやっぱ恭平は餌付けですわねぇ、ムハハハハ。
飼育プレイなんてステキな響きにすっかり脳が溶けだしそうです~っ。
じいや、今夜はK-SENPAIの大好きなてんぷらにしてね~。
投稿: エリ | 2010年2月20日 (土) 14時24分
✿❀✿❀✿かりん☆スー☆エリ様、いらっしゃいませ✿❀✿❀✿
能では世阿弥の「風姿花伝」があり
そこでは
「秘すれば花なり秘せずは花なるべからず」が
一つの奥義として語られまする。
これは「見せてはいけない返書」をもらった
小野妹子の心境に通じるものがありますな。
そこでそれを「失くした」ことにした
小野妹子の末裔がたてはな(華道)の始祖として
花開くというのが乙でございます。
まあ、時は戦国時代、
仏に飾る花の需要はバッチリなので
ウハウハだったと思われますぞ。
織田家は質実剛健がもっぱらですからな。
信長は「贅沢は敵だ」という信念の持ち主でした。
靴紐を惜しんでメダルを逃す。
恩賞を惜しんで本能寺。
血筋でございます。
お嬢様は世が世ならば姫君ですが
平成財閥のモットーは
「贅沢は素敵だ」でございますので
贅の限りを尽くしてくださりませ。
茶器に花とは素晴らしい。
さっそく国宝・唐物曜変天目茶碗を
ご用意いたします。
ご存分においけくださりませ~。
お嬢様のペット・ルームは
満員御礼のためにただいま増築中でございます。
さっそく江戸前天ぷらをご用意いたします。
平成大漁船団発進。
お嬢様のためにエビでタイをお釣り申し上げよ~!
投稿: キッド | 2010年2月20日 (土) 15時46分