浪花節だよ経営は(櫻井翔)お久しぶりね(木南晴夏)演歌カバチかっ(堀北真希)
さて・・・ついにプロデューサーの演出である。一部テレビガイドでは演出・なっき~♡になっていた。・・・アホかっ。
なんていうか・・・うろたえちゃってますな。
それでも・・・前回よりは幾分見やすくなっている。
それよりも脚本のキレが明らかに悪くなっている。
たとえば・・・どうして今回のゲスト依頼者がどうして父娘家庭なのか・・・とか、依頼者の家賃滞納の状況とか、依頼者の契約非更新の実体とかがコンパクトに説明されないので・・・ものすごくもどかしい展開である。
あげくのはてが・・・「ゴッド・タン」なみのスタンディング・オベレーション・オチって・・・日曜劇場はテレビ東京の深夜なのか。
どうして、普通にドラマを作れないの?・・・この素材は「仁」レベルの傑作になる可能性充分だと思うのに・・・。
不思議だ~。不思議すぎる~。
で、『特上哭きの竜・・・じゃなくてカバチと苦情じゃなくて・・・特上カバチ!!・第3回』(TBSテレビ100131PM9~)原作・田島隆、脚本・西荻弓絵、演出・今井夏木を見た。まあ、不況は誰のせいでもなく自然現象だと考えると誰も甘えてはいられなくなるわけだが・・・そういう認識もある程度、知的じゃないと不可だしね。
日本の背中は煤けてるわけで・・・。
そもそも・・・通りすがりの行政書士見習いが経営者に意見するとすべてが丸く収まるなら誰も苦労しないわな。
田村(櫻井)が「中国は人口多すぎるから半分にしてください!」と言うと中国人は半減するのか?
田村が「北朝鮮は核兵器開発とか即時中止してください!」と言うと金一族は万歳三唱するのか?
田村が「投資のための投資は不健全ですから額に汗しない人は自家用ジェット禁止です!」と言うと世界の人民は全員働かざるもの食うべからずの呪文を唱和するのか?
・・・たとえが意味不明になってきたぞ。
世界の背中も煤けているわけで・・・。
かって国境で守られてきた国民たちの人並みの暮らしは経済の国際化によって底なし沼になっている。
かっては対岸の火事だった「絶望的な飢餓」「地獄のような貧困」「エイズの蔓延」が世界と一体化した経済の下ではどんどん流入してくるのである。かってはどんなに貧乏でも紛争地帯の難民よりマシだった国民の生活はもはや容赦なく最底辺に向かっていくのである。
もちろん、それがイヤならばシマウマではなくライオンになるしかない。
だが、もはやライオンの背中も煤けているわけで・・・。
今時、「不法なギャンブルの借金は法律的に負債として認知されない」なんて小学生でも知っているだろう。
その代わり、ギャンブルで負けたものはこわいお兄さんに消費者金融に連れて行かれ、その場で法的に有効な借金をさせられ、負け分を回収されるという機能的なシステムがあることは中学生になれば知っているはずだ。
そういうことは義務教育で教えるのだろう・・・教えてないのか?
義務教育の背中が煤けているぜ・・・。
枯草美咲(芦田愛菜)は不幸な四歳の少女である。幼くして母に死別。父親(石黒賢)はオフィス用品の会社に雇用されているが契約社員である。しかもアパートの家賃を滞納するような低賃金なのだ。これまでは滞納しなかったのになぜ突然滞納したのか幼い美咲には知る術もないがお茶の間にも最後まで知らされない。そしてついにアパートから追い出されてしまうのである。保育園を出たら最後、冬の寒気にさらされ野宿しなければならないていたらくだ。そのために美咲は風邪を引いてしまうのだ。運が悪けりゃ肺炎になって死ぬまでだ・・・死ぬまでにもう一度・・・桃のジュースを飲みたかったな。
そこへ彗星の如く現れた田村。田村はコピー機の修理に子連れで訪れた父親を自宅に招待してくれるのだ。凄い熱なのに医者を呼んでくれないあたりがちょっとバカだがアイドルのような笑顔が素敵なので許してあげるしかないのかもしれない。
さらにどう考えても行政書士にしておくには惜しい天使のようなお姉さんの美寿々(堀北)が現れて美咲は熱にうなされながら・・・この人なら助けてくれるかもしれないと一縷の希望を持ったのであった。
田村は大きな声を張り上げて大家さんを罵るしか能がないのだが、美寿々は「大家と店子には信頼関係があり、初めてで短期間の家賃滞納ではその信頼関係が損なわれたとは言えないので法律は家賃の支払いを滞らせた店子の味方をします」と大家を恫喝するのである。やはり美寿々の方が説得力がある。美咲は将来なるとしたら行政書士見習いではなく行政書士になろうと決意するのであった。
父親の働く会社は経営が苦しいために融資を受ける銀行から黒川取締役(神保悟志)が出向していた。この黒川が経営状態改善のため、リストラを強行しているのである。「10人を殺せば90人が助かる」という大義名分である。しかし、「10人が20人になり、20人が99人になっても自分だけは助かろうとしている」とも言えるのではと美咲は思う。
私はそうなる前に「一杯の桃ジュースを三人で分けることができればかけそばを越えるエピソードになるかもしれない」と思ったりするのだ。しかし、ワーク・シュアリングにも限界がある一杯のかけそばを100人で分けるとなると麺とおつゆ・・・どちらが子供に残されるのだろう。誰もが「大きい方をお食べ」と言ってくれるとは限らない。
まあ・・・お母さんの待っている夜空の星になるのもそれはそれでいいかなと美咲は思う。
父親の同僚の岡本桂(木南)もまた契約社員で正規雇用を求めるが給料半減のパートなら可と云われ困ってしまう。後先考えなければ夜のバイトで充分稼げそうなのに・・・と美咲は値踏みする。
横領まがいのことをして逮捕されるバカな父親である。それでも田村はマジ泣きし美寿々はウソ泣きしたりしてそれなりに善戦するが、顧問弁護士の検備沢(浅野ゆう子)が登場すると一刀両断にされてしまう。美咲は行政書士になるよりも弁護士になりたいと思うのだった。
もうだめだ・・・と思ったとき、田村が掟破りに近い「主役」というカードを切ってくる。
「リストラを重ねたあげく・・・業績は下がる一方、このままではジリ貧です。ここはルーズな家族的経営でお茶を濁すのが一番です。死ねばもろともって言うじゃないですか・・・ねえ・・・社長」
二代目経営者である内藤社長(大高洋夫)は番頭の武藤(渡辺哲)の顔色を伺い決断した。
「よきにはからえ」
こうして問題を先送りしたまま、美咲はとりあえず明日のごはんはなんとかなりそうだと安堵する。
このようなグタグダの内容だが主人公とヒロインがLOVEに向かって一直線であることを暗示する絵作りだけはまっき~♡は忘れなかったのです。めでたし。めでたし。
このドラマの視聴率の背中は・・・少し煤けた↘*9.1%なのでした。
金のない奴は俺んとこへ来い
俺もないけど心配するな
そのうちなんとかなるだろう・・・
と天国で誰かが陽気な感じで歌っているのが聴こえます。
ああ・・・すべては熱にうなされた美咲の幻想なのかもしれません。
美咲は今・・・夜の公園のベンチに置き去りにされ・・・そして白い雪が・・・。
関連するキッドのブログ『第2話のレビュー』
火曜日に見る予定のテレビ『泣かないと決めた日』『まっすぐな男』(フジテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
大家さんに「信頼関係が崩壊しているとは法的に言わないんですよ!」と堀北が追及するシーンなど演出がやはりうるさ過ぎます。。よほど法的感覚が無い人を想定して制作しているのか(^^;
Leading innovation >>>の東芝とかスポンサー怒らないのかなぁ・・・。
>私はそうなる前に「一杯の桃ジュースを三人で分けることができればかけそばを越えるエピソードになるかもしれない」と思ったりするのだ
本来ならそのメカニズムを研究開発し実社会にフィードバックするのが社会科学系研究職の務めなわけで・・・。時たまそういう研究職の思考を凌駕した脚本のドラマが出てくると嬉しいですし、本作もそうなり得るだけに残念です。
森永卓郎(獨協大教授)とか竹中平蔵(慶應大教授・・・閣僚経験が活きてるか疑問)とか浜矩子(関西大教授)とかが“経済評論家”クレジットで報道番組に出て投げやりなコメントをしていると、科研費返して欲しいゼ!とつい思ってしまいます。
投稿: ys_maro | 2010年2月 1日 (月) 18時25分
実は今回の演出は1~2話にくらべると
かなり細やかなタッチになっていて
キッドはマシだと思うのですが
そうなると脚本の粗というか・・・
底の浅さが気になってくる。
美咲の境遇のみすぼらしさが
ワーキング・プアの子供は
孤児のようなものという
恐ろしい側面を持っているのが
明らかなのに
そこでは責めてこないのでございます。
この脚本家・・・尽きたのかな・・・。
それとも勉強不足なのか・・・。
日本式経営、日本式共同体、日本式組織。
そういったものの質的変化を
どのように捕らえるかの哲学とかを
感じないのですな。
昔に戻れるなら誰もが戻る。
しかし戻れないのは何故なのか。
どうしたら戻れるのか。
そういう考察の成果を結実させてもらいたい。
この手のドラマにチャレンジする脚本家は
そのぐらいの志が欲しい・・・
そう願うのは無理な話なのかと
ふと思います。
セーフテイー・ネットからもっとも
はずれたところで勝負しているくせに・・・。
と思うのでございますよーっ。
投稿: キッド | 2010年2月 1日 (月) 21時02分