怪奇趣味がおよろしいのです(大政絢)ヤマトナデシコ四変化(亀梨和也)
前回、ほとんど変化なしだったのだが、今回はゴスロリ正装、お見合い盛装、ミニ・ウェデイングドレス、大和撫子割烹着と変化サービスはバッチリである。一応、「崖の下のポニョ」対策だったのか・・・。
この物語の特異点はファッションで言えば、ゴシック・アンド・ロリータというジャンルに属するし、その背景には前衛的で懐古的という相克が存在する。
当然、ストレートにドラマ化すれば相当に先鋭的な話になるのである。
それを軽くポップに仕上げようという意図なのかアレンジを重ねたあげくに単なるださい話にしあがっていると感じるお茶の間は少ないだろうが・・・12.1%↘*9.3%↘*7.6%という結果は明らかに方向ミスを物語る。
オリジナル・キャラクターのタケル(加藤清史郎)を加えたことがものすごく変な感じになっていると考えます。
オバちゃん(高島礼子)は幻想の社交界で華やかに生きる未亡人でなくなり、単に育児放棄の有閑マダムになっているし、その子供であるタケルは主人公よりももっと哀れな存在になっているからである。
その二人が母と子の愛を語る場面なんか・・・意味不明だしね。だって離婚した貧乏な母子家庭が・・・けなげに日曜日に公園で語り合う話じゃないんだし。
で、『ヤマトナデシコ七変化・第4話』(TBSテレビ100205PM10~)原作・はやかわともこ、脚本・篠崎絵里子、演出・川嶋龍太郎を見た。スナコ(21)、大政絢(19)、原作スナコ(16~18)である。スナコは怪奇趣味で好物はチョコレートである。怪奇趣味といえば泉鏡花だが、鏡花は「手掴みで食べたものはつかんでいる部分を必ず残す」という強迫性障害者だった。いわゆるひとつの潔癖症である。スナコもまた様々な強迫観念を示す。
①美青年を見るとまぶしく感じる。
②人体模型に親しみを感じる。
③世界は悪意に満ちている。
④自分はたとえようもないほど醜い存在である。
これに対して①「まぶしくないだろう」とか②「人体模型は人体模型だ」とか③「世界には善意もある」とか④「いや、どっちかというと美少女だし」とか言ってもムダなのである。
そうしたことは全て悪意に基づく虚偽と感じられるからだ。
そういう頭のおかしな人に対する馬鹿馬鹿しさがまだまだ描きたりてないのだなぁ。
そういう意味ではオバちゃんこと中原美音(高島礼子)は亡き夫(長谷川初範)を世界で一番いい男と信じる不気味な人と解することもできる。
つまり死者を愛する女なのである。
それもまた怪奇趣味なのである。
ドラマ版で登場するタケルはその死人の息子である。もしかすると美音が家に戻ってこないのは・・・タケルを愛するあまりに死体にしてしまおうとする欲望を抑えているからかもしれない。もちろん・・・お茶の間どんびき設定だが・・・このドラマはそのくらいが面白いはずである。
タケルは愛する母親が帰ってくるとうれしいのだが・・・食事に毒が入っていたり、真夜中に蛇に首をしめられたり、タランチュラに襲われたりするのでドキドキするくらいでいいと思う。
親子で仲良く、日帰りで北極にシロクマ見物している場合ではないのである。
ドラマ版に登場する喫茶店のマスター(大杉漣)はちょっと美音に気があるそぶりを示したりするわけだが、気安く声をかけると玄関に黒猫の集団が横切りだし・・・背後にどんよりとした灰色の何かの気配を感じ始めるくらいでいいのである。・・・描写が困難だぞ。
そういうねずみ男(半分妖怪)が喜びそうな怪奇ムードが大前提なのである。・・・ま、お前はな。
その上で・・・写真写りが尋常ではない久留米(温水洋一)がスナコの見合い相手として登場すれば何の問題もないのである。
そもそもオバちゃんは社交界において姪のスナコをカードとして使いたいのである。
中原一族の美名を高めるための美貌のレデイー・スナコを求めているのだ。
・・・あくまで妄想です。
そのために利があると思えば久留米家の御曹司がたとえ「ぬっくん」で性的嗜好がサド・マゾのMの方で、虚言癖のある小心者でもなんの問題もないはずなので・・・ドラマのように「あなたみたいな人のところへは嫁がせません」などと言うはずがないのである。
スナコが凶暴化して脱走したりした場合は・・・。
「あなたもツメの甘い方・・・ご縁がなかったようですわぁ」
と冷たく見下すくらいでいいのだ。
そういうディティールが悪趣味じゃなくて凡庸なところがアイタタタ・・・なんだよなぁ。
「これからはお風呂も三日に一回入るのでお見合い(晴れがましい席)は勘弁してください」
「許しません」
・・・ということで久留米家の御曹司との見合いをすることになったスナコ。
久留米家の乳母(茅嶋成美)と美音の間で両家縁組は着々と進行するのだった。
恭平(亀梨)はスナコがお見合いをすれば家賃がタダになるというのでスナコを説得する。
「お見合いをするだけして断ればいいのさ」
・・・ところが・・・お見合いの席でボディーガード軍団に守られた久留米のハンカチに「猫の爪の図案」を発見したスナコはたちまち久留米に好意を感じるのである。
中世の拷問用具をさりげなくアピールする久留米に同族の匂いを嗅ぎ付けたスナコ。
根っからの怪奇趣味者である久留米とスナコはたちまち意気投合するのだった。
「拷問は緊縛と蝋燭ではどちらがお好き」「木馬責めよりも放置プレイの方が趣がありますな」「なめし革よりも荒縄ですわね」「魔女狩り尋問の指つぶし器はレプリカではないのです」「まあ素敵」「それよりも我が家にはマリーアントワネットの断頭台の本物があるんですよ」「それはなんという素晴らしさなのでしょう」「ひひひ」「ひひひ」
・・・と会話の弾む二人だった。
この成り行きになんとなく心穏やかではない恭平だった。やがてスナコはレディー修行のために覚えたフランス料理を来る日も来る日も作るようになる。
それを久留米のためと感じた恭平はますます面白くないのだった。
なんとなく胸がもやもやするのである。
それを母親代わりのオバちゃんや、父親代わりのマスターは面白く眺めるのだが、原作では絶世の美女だが、ドラマ版ではその他大勢の一人になっている乃依(神戸蘭子)は武長(内博貴)の彼女は自分、スナコの彼氏は恭平、スナコと自分は親友という図式を形成するために恭平にスナコを猛プッシュするのである。
二人で同じ落とし穴に落したりする大作戦を展開するのである。
スナコは恭平頭突きで放出するが・・・代わりに落ちてきた久留米とは落とし穴の底の居心地の良さを共有するのだった。
「外見にこだわるな」といい続ける恭平だけに「内面で結ばれている」二人には文句のつけようがないはずなのだが・・・ださい脚本なので無理矢理・・・久留米を貶める暴挙に出ます。
一人芝居でSMプレイを楽しむ久留米を発見した恭平は「変態にスナコを渡すわけにはいかない」宣言である。SMを愛好することのどこが変態なのか・・・変態です。
久留米はボディガードに命じて恭平を拉致監禁し・・・「私のところへきませんか」とコレクションでスナコを釣り承諾をとると結婚式の準備にとりかかる。
そして・・・結婚式。誓いのキスでスナコは突然拒絶する。
ドラマではあたかも「ぬっくん」のような薄ら禿げのオヤジのキスをスナコが拒んでいるようにしか見えないのがこのドラマの最大の説得力がない場面である。
それはスナコの大切な性癖をきちんと説明していないからなのだ。
⑤スナコは対人接触恐怖症なのである。
スナコはキスどころかマッサージで他人に体を触られることにも恐怖を感じるのである。恭平の愛のないキスでの描き方が中途半端なので・・・こんなことになるのだな。
そこへ監禁場所を脱出した恭平が「ブスナコ呪文」でスナコの抑圧された暴力衝動を解放する。
たちまち結婚式場は修羅場と化すのだった。
なんとなく結婚式場を脱出した二人・・・。
しかし・・・スナコの「拷問用具をみたかっただけ」という真意に気がつくと恭平は心のもやもやをもてあますのだった。
そして・・・スナコがフランス料理を作っていたのはオバちゃんの大好物だったからということが分ると和食をおねだりする恭平だった。
和食を食べて「胸のもやもや」はバターとクリームで胸焼けしたからだとオチをつけないと恭平の立場がないからである。
とにかく・・・幼少期のスナコ(佐々木りお)はタケルの両親に可愛がられていたのだった。
そうなると・・・オバちゃんは実はスナコも死体にしたいと密かに思っていることは確定的なのである。
少なくとも・・・キッドの怪奇趣味の妄想の中では・・・。
関連するキッドのブログ『第3話のレビュー』
天使テンメイ様はグラフの巻でございます。
ごっこガーデン。巨大満月と風見鶏上の怪人セット。エリ「あすなろ抱きを決めつつ、心の中は家賃のことを考えるその心の残酷放置プレーがしゅてきでス~。しかしムチやロウソクはプレーしますがギロチンは大人のプレーですね~。命が危険でしゅものネ~。人体模型のひろしくんとマネキンの茜ちゃんの出会いはなかったのでス~。どちらがSでどちらがMなのか・・・それは気分次第なのですね~。SがわかるのはMの気持ちがわかるから、MがわかるのはSの気持ちがわかるからそれがラブなのですyon!!!・・・結局和食の美味しさは世界一なのでスー」まこ「ぬっくんがもしドラキュラ伯爵だった爆笑でしゅ~。フランケンシュタインのモンスターはギリギリセーフ・・・オオカミ男だと禿解消でしゅ~。しゃて~次回はいよいよバレンタイン~・・・まこもチョコレートを大量に作って大儲けしゅるのでしゅ~ふへへ」お気楽「レディーとは何かなんて庶民には理解不能だよね。作りもあざといしね。ま、今回は衣装さんはがんばったよね」mari「いろいろとアレンジが入って努力しているのは評価しますよ~。まあ、もうこれは恋にうとい奥手の男の子を周囲がなんだかんだとたきつける話として楽しむのがいいと思いますよ~・・・じいやの趣味通りに作ったらお茶の間誰もついてきませんし~」
日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)『深・ケロロ軍曹』(テレビ東京)『堀北真希の特上カバチ!! 』(TBSテレビ)『トロイ』(テレビ朝日)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
じいやさま、満月の夜は怪奇現象を楽しみますわ。
さてさて原作との違いがありすぎて
どっちへ向かうかわからないみたいで・・。
不満は不満としてもあと6~7回しか残ってないことを思ったら
今を楽しむだけですか。
今週はあすなろに卒業と大サービスでしたが
落とし穴プレイもヒットでしたわ。
お屋敷の落とし穴もよろしくね~。
胃袋大将だと思ってたら意外にも胸焼けなどという
繊細さを見せてくれた恭平。
そんなら夜は鍋にしましょうか。
じいや、しゃぶしゃぶはK-SENPAIの好物なので
じいやの鍋奉行お願いっ!
投稿: エリ | 2010年2月 8日 (月) 12時19分
✿❀✿❀✿かりん☆スー☆エリ様、いらっしゃいませ✿❀✿❀✿
ポニョは人魚姫の魔法で
月が落下する話ですが
今回の視聴率は*5.2%・・・
がんばって踏みとどまったと言えますな。
K-SEN-PAIファイト・オー!でございますよ。
じいめはもう結構普通に楽しんでます。
このスタッフがださいのは
今に始まったことではないし
前衛的なものをベタにするのは
ドラマ化における必要悪でございます。
しかし、それではもはや数字がとれない・・・
ということをスタッフはいい加減勉強して欲しいところ。
もはや、日本のお茶の間は
贅沢にも程がある領域に
突入していて
一昔前ならなんじゃこりゃアニメの
ジブリ作品が29.8%も獲得するのですから・・・。
「ルパン三世カリオストロの城」が
ひっそりと公開され、すぐに公開打ち切りに
なったころは遠い過去の話なのでございますな。
がらんとした映画館で一人心を盗まれていたあの日を
ふと思い出します。
「早めにいかないと終っちゃうよ」
という声優の友達に奨められて見たのでした。
あれからもう三十年か・・・。
(じいや的追憶)
ですからこのドラマも
30年後には幻の名作として
絶賛されているかもしれませんぞ。
絶対ケガをしない落とし穴準備できましたぞ~。
今夜のおなべは
チョコレート・チーズフォンデを
予定していましたが
お嬢様のために
海の幸の水炊きに変更しました。
何はなくともぽん酢ですな~。
投稿: キッド | 2010年2月 8日 (月) 21時01分
ぐふふ~スナコちゃんのゴスロリワンピ着れて
しゃ~わせ
この上に黒マント羽織ったら、完璧でしゅ。
こんなステキなコーデしてたら、どこかへお出掛けしたく
なっちゃいますネ~。
北極に日帰りで行けるんなら、あたしもシロクマさんに
会いに行きた~~~い
そこに行けば、本場のシロクマアイスも食べられるよね
えっ、それは鹿児島・・・じゃぁそっち!
投稿: まこ | 2010年2月10日 (水) 14時05分
●no choco●まこ☆ミキ様、いらっしゃいませ●no choco●
平成財閥ファッション部の
インディーズ・ブランド「ブラック・フランケン」
のゴス・ロリ・シリーズは
すべて手縫いの一品モノですぞ~。
ただし、縫ってるのはお針子ロイドですけれど~。
手縫いができるロボットを作る開発費が
人間の職人養成より安上がりというのは
ある意味、恐ろしい時代到来でございます。
黒マントも各種ブランドの
新作がすべて到着しましたので
ご試着ください。
黒マントはどこまでいっても
黒マントでございますがーっ。
平成衛星軌道弾道ライナーなら
地球のどこにでも日帰り可能ですぞ。
ただし、
北極、南極、赤道直下コースだと
加速度が10Gくらいかかりますが
まこ様ならへっちゃらですな~。
シロクマの氷付けをお食べになるのですか・・・。
クマのステーキの方が・・・
えっ・・・アイスキャンデーですか。
じいやはまた
シロクマ丸かじりのガリガリくんかと
思いました~。
(じいやボケ・バレンタインデーに大福レベル)
投稿: キッド | 2010年2月10日 (水) 17時53分