水槽の中の魚の曲げられない距離と飼い主の不在(菅野美穂)
教育の世界には「知識」と「実技」の有効性という問題がある。
その中でもっとも問題があるのは道徳の問題であろう。
たとえば、「自分の幸せだけを追求し、他者を不幸にすることの意義」という項目はなかなかに教えがたいものである。
「勝者と敗者があることを子供に教えないために順位をつけない教育の弊害」というものも例としてはわかりやすいだろう。
それは「争わない社会」を目指すものだが、実際の競争社会を「間違った社会」と教え込まれた子供が金メダリストに対して「勝つなんてひどい」と主張するのはまだまだかなり滑稽だと思える。
この主人公は狂った教育者の母に育てられ、自分が狂っていることに気がつかない憐れな人間なのである。
もちろん、この場合の狂気は相対的なものであり、狂っているのは社会の方かもしれないのである。
先輩の金魚は言うだろう。「大人しく泳いでいれば美味しい時間がやってくる」
後輩の金魚は「うん」と素直に頷く。
金魚たちの選択肢は少ないのである。たとえ、一人暮らしの飼い主が心臓発作で倒れ冷たくなりつつあるとしても。
水曜日のダンスは・・・。
「相棒」15.7%↗17.2%↘17.1%↗17.5%↗17.8%↘15.8%↗17.2%
「検事」*9.4%↘*5.6%↗*6.0%↗*6.4%↘*6.0%↘*5.1%↗*6.7%
「曲女」15.4%↘11.0%↗13.7%↘13.3%↘13.1%↗14.5%↘13.6%
ダンスがなかったからな。
で、『曲げられない女・第7回』(日本テレビ100224PM10~)脚本・遊川和彦、演出・木内健人を見た。早紀(菅野)の担当医は女医(片岡礼子)である。妊娠を告げた後、父親の心当りを訪ねられた早紀は九年付き合った元・彼がはじめてのおとまりをしたのでなんだかんだと告白するのだが、「で、どうします」と聞くのである。
「それについてはいろいろ検討して・・・」と問題の先延ばしにかかる早紀に女医は「結局、イエスかノーか・・・なんだけどね」と淡々としているのだった。
居候の璃子(永作博美)も離婚協議中の夫の子供を妊娠していることが発覚する。
早紀に恋をしてしまったためになんとなく警察官僚を辞めた藍田(谷原章介)は複雑な気持ちになるのだった。
出産予定日と司法試験日が重なることで早紀は二者択一を迫られる。
一方、一人で生きていく困難さに早くも音をあげた璃子は妊娠を理由に長部家の飼われた主婦に返り咲く可能性を探り始める。
璃子にとって女が子供を産むことは大義名分なのである。
しかし、教育者の母と死ぬ寸前まで無能だった父親に育てられた早紀は「子供のために最善の道を選択するべき」と璃子にアドバイスしたことも忘れて、璃子の自立心のなさを責めるのであった。
一方、坂本弁護士(塚本高史)をたきつけたり、藍田をそそのかしたりして、早紀の恋愛模様を楽しんできた璃子は「父親である坂本」を無視して「人生の目的のために堕胎を決意する早紀」は絶対に認められないのだった。
子供を出産すれば無罪放免であるという自分の主義に一致しないからである。
一方、すでに坂本から横谷秘書(能世あんな)との交際宣告を下されている早紀としては「他人に迷惑をかけてはいけない」という神である母の命令に逆らえないのである。
仕方なく、早紀は「妊娠した自分のとるべき道を考察する膨大なレポート」を作成するのだった。
それを読んだ藍田はレポートのかなりの部分が胎児の父親に関することに費やされていることで暗い嫉妬に悩ませられるのだった。
そして、早紀は友達として藍田に「中絶同意書」に父親としてサインをすることを求めるのである。
生む場合の父親を空想していた藍田は堕胎する場合の父親として指名されたことを暗黒面に滑降しながら受諾する。
天使と信じた女が自分のためにわが子を殺す女になったことをもてあましたのだった。
そこへ璃子が坂本弁護士を連れて現れる。
三度、プロポーズをする坂本だったが、どうしても司法試験をあきらめられない早紀だけは受け入れることができない。
可能性を統計的に探る坂本の理知的なバランス感覚から早紀が逸脱しているからである。
そして早紀もまた全面的に自分を受け入れない坂本を拒絶するのである。
なぜなら、早紀を支配していいのは唯一、死んだ母だけだからである。
激突した四人は全員が嫌な気分になるのだった。
今回、中島(平泉成)法律事務所を訪れた相談者は社内不倫の果てに出産して父親に認知を拒否された元OL(平田裕香)である。
ついに嬰児を捨てようと思いつめた女に対し、早紀は「他人のためなら言いたいことが言える特技」を発揮するのだった。
そして女の嬰児の父親の会社に乗り込み、「自分の幸せだけでなく、相手の幸せを考えるのが人間として正しい」と母親譲りの説教を始め、通報されて警察に逮捕されてしまうのだった。
身元引受人の中島は「大人気ないけど・・・元気があって好きだな・・・」といつもの無責任な感想を述べるのだった。
混乱の果てに到達した早紀の二人のともだちの意見は・・・。
璃子「司法試験をあきらめて出産に専念するべき」
藍田「出産をあきらめて司法試験に専念するべき」
しかし、早紀は「司法試験も出産もあきらめない」と宣言する。
璃子「出産をなめている」
藍田「別の男の子供を生む・・・君を見ているのは辛い・・・好きだから」
と脱ともだち宣言をする。
「私の正しさを受け入れてくれない友達なんて必要ありません」
早紀は結局、ともだちより自分の信念を優先する他ないのである。
なぜなら・・・早紀を支配しているのは自分自身ではなく両親の亡霊だからだ。
どこにもいかないさ
いつだって私はお前のそばにいる
お前を見守っている
お前を癒してあげる
お前を手放すことはけしてない
お前が他の誰かを愛しても
結局、お前のためになるのは私だけ
他の誰かは最後は
お前を傷つける
私だけを信じなさい
お前のすべてをわかってやれる
お前の夢を信じてあげる
どんな時でも
どんな場所でも
私はお前とともにある
どこにもいかないよ
そして・・・
お前をけして逃がさない
愛と呪いの区別がつく人間は多くない。道が二つに分かれて、どちらにも困難が待ち受けると感じた人間が第三の道を探すとき、さらに大きな困難が待ち受けていることは言うまでもないのである。
関連するキッドのブログ『第6話のレビュー』
金曜日に見る予定のテレビ『ヤマトナデシコ七変化』(TBSテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
キッドさん、こんばんは~♪♪
野口さんと交信したい人募集って
いうから応募する気にみちみちていましたら
小中学生対象って早く言えよな。
秋刀魚をいくつか冷凍しておいたら
乱暴に冷凍庫に押し込んだせいか
血まみれになったまま凍っており
解凍するのが怖いべよぉ、あよ!
と余計なアレコレに気をとられてばかりでいたら
6話をレビューしないままもうすぐ7話の日・・・。
2話連続でレビューという反則。
ダメダメです・・・。春はなぁ・・・。
春一番に吹かれたら頭がぼぉっとして、
いろいろと手につかねぇべな、あよ!
と最近お気に入りのとある地域の方言。
早紀はだめだなあ。頑固で意固地すぎるなあ。
それじゃ仕事と恋人を手放すばかりか
せっかく作った友達まで手ば・・・
もう手放したでよ、あよ!
まあ予告を見たかぎり
速攻仲直りするのでしょうが、
もう見ているほうの心が凍りました。
正登は散々なめにあっているので仕方ないけど、
友達が去るってキツイよなあ、と。
まあ予告を見る限り
心凍らせる必要もなかったけどよぉ、あよ!
投稿: ヤマト | 2010年2月25日 (木) 19時01分
☆*⋄◊✧◇✧◊⋄*ヤマト様、いらっしゃいませ*⋄◊✧◇✧◊⋄*☆
七味唐辛子を見ると
もつの煮込みが
無性に食べたくなる
冬の終わり。
オヤジは酒ヤケした赤ら顔で
なべの後で串にもつをひたすらさしている。
脂身がもうこってりと
いかにも胃もたれしそうに
ぷるんぷるんしてます。
立ち食いで串から
もつを引き抜くと
味噌で甘くなった肉汁が
口いっぱいに広がります。
うまいよ。ねえ。うますぎるよ。
なんか、頭でっかちなドラマで
うざいよなぁ・・・
人間ってそんなに
うかうかしてないよなぁ・・・
そりゃ、十年とか
しがみつく人はいるけど
そんな人は
もっと荒むよなぁ・・・
ねえ、本当にそう思うよ・・・
だって12年間メダルがとれなくったって
そこ以外ではそれなりに
輝いてしまうのが・・・
人間だもの・・・。
正登も難儀な女に惚れたよなぁ。
赤の他人至上主義。
わが子よりも教え子なんて
子供にとってはいい迷惑だけれど
それで洗脳されたかわいそうな子を
好きになるなんて・・・
致命的じゃんっ・・・と思います。
なんだかどんどん説教っぽい内容に
なっていく・・・。
冬の終わりに
もつの煮込みが食べたいような
そして食べたら幸せ感じるみたいな
人間なんてそんなもんなのにねぇ・・・。
キッドはねえ・・・
そう思うのでございますよ。
マイケルによりかかるのも
ほどほどにしろよ・・・とも思うし。
投稿: キッド | 2010年2月25日 (木) 21時10分