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2010年3月24日 (水)

恐怖!人体実験・物忘れの激しい男を愛した女(伊藤歩)

伊藤歩もまもなく三十路である。

映画「スワロウテイル」(1996)でドラマ「リップスティック」(1999)だからそうなるのである。

時が経つのは早いのである。

記憶と記録が違うものであると考えるのは人それぞれであるだろうが、記憶を記録としたいというのは様々な人の願望だろう。

たとえば検索サイトで「天安門の虐殺」とか「チベット侵略」とかの「悪事」をなかったことにしようとする国家にとっては記憶の記録化は憧れの高度技術であろう。

記録ならば消去できるからだ。

人間の記憶を記録と考え、自分たちに都合の悪い記憶を削除し、自分たちの都合の良い記録を捏造して入力する。

独裁者たちの見る夢は限度がない。

きっと、そのための人体実験もこっそりやっているとしっかりと妄想できるのである。

その可能性を見つめるドラマを夜中にひっそりとやっているところがまた不気味なのだった。

で、『記憶の海・第一回』(TBSテレビ100322PM1140~)原作・松田奈月、脚本・大浜直樹、演出・吉田秋生を見た。四夜連続のほぼ30分のプログラムである。何故、二時間でやらないのか・・・と思う。最初から録画して見てもらう姿勢なのか・・・。本当にTBSテレビの編成は頭がおかしいよな。それにしても原作者は中国・上海のテレビ制作会社に勤務している人なのである。ある意味、謎の神奈川県生まれだ。中華街出身なのか?・・・まあ、前フリの素朴な感想と原作者の出自が偶然にも符合したのは不思議なことだ。

で、基本的にはSFである。キッドの知る限り、公式に人間の記憶を外部に抽出する技術は現在では開発されていないからだ。

脳と神経細胞の研究が進み、記憶のメカニズムが徐々に解明されているとは言え、個々の記憶をモニター化することはまだ夢物語なのである。

何故かと言えば・・・そこにたどり着くには人体実験が必要だからだ。

単純に言えば脳内には化学的な記憶装置がある。そのすべての回路の電位の変化を分析する機械的なモニターを接続する。

そこで実験体の視野にデジタル化された映像(情報A)を見せる。

その結果、生じる脳内の変化を計測することで、脳外の情報が、脳内でどのように伝達されるかを追跡するわけである。

つまり、情報Aによって起こる脳内変化を情報Bとする。

その情報Bを情報Aに変換するシステムが記憶監視装置Xである。

もっともこの場合の記憶とは瞬間記憶に過ぎない。

瞬間記憶は文字通り、一瞬で忘却する記憶である。

記憶監視装置Xは人間をカメラにしているに過ぎない。

それでもその開発は非情に困難であることが予想される。

しかし、手順でいえば人間の個体における一定の情報変換をシステム化することができれば次にそれが貯蔵された部分の扉の鍵にはなるのである。

情報Bを蓄積した情報Cを記憶抽出装置Yで情報Aに変換できれば人間の記憶を第三者が覗いたことになる。

しかし、その記憶はけして情報Aではない。

人間の記憶は正確無比とは程遠いからである。

そういう前提の元で・・・記憶の読み取りを研究する脳科学研究室教授・山内(柴俊夫)は・・・「忘れたくない記憶」を外部装置に記録し、「忘れたい記憶」を入力装置で消去すること・・・は素晴らしいことだと激情しながら断言するのだった。

新人研究員の塚本(逢沢りな)は「記憶と記録は違うものなのに・・・」と言葉を飲む。

そして研究員でもあり、実験体でもあるヒロタマナブ(筒井道隆)は研究中の事故で記憶障害者となっている。

ヒロタマナブは現在34才だが、事故が起きた3年前から、出来事を3分間しか記憶できない男になっている。そして事故から5年間の記憶を失っているのである。

山内は「だからこの研究はヒロタマナブの治療を兼ねている」と胸をはるのである。

この・・・一般常識からは「狂気」としか思えない世界で・・・研究員・小野(伊藤)は失われた愛の記憶を取り戻そうとしているのだった。

小野はヒロタマナブの恋人だった・・・そしてヒロタマナブからは小野との出会いから事故までのすべての記憶が失われているというメロドラマ展開なのである。

そして、現在のヒロタマナブは三分たつと三年プラス五年あわせて八年前以後にあった人間はすべてはじめてあった人になってしまうという設定なのである。

取り出した記憶の表現は実に難しいものである。実際にそのようなテクノロジーはないのであるから。

ここでは実験体・小野の記憶を抽出転送しヒロタマナブが脳内再生するという曖昧さで描かれる。

つまり、人間の脳には接続された人間の脳の記憶を共有できるはずだという展開なのである。・・・それはどうかな・・・。

ま・・・とりあえずとんでも科学ドラマですが・・・記憶をもてあそぶマッドサイエンティストたちの悲しい恋の物語と考えるとちょっとニヤニヤして見ることができるかもしれません。

まあ、伊藤歩と筒井道隆・・・あまりドラマでは見れない二人を見ることができるのでそれだけでも楽しみです。山内の娘・京子を演じるのは岩佐真悠子だしね。

とにかく・・・この空想科学メロドラマがどこに向かっていくのか見守りたいと考えます。

関連するキッドのブログ『MR.BRAINのレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『実録・ゲゲゲの女房』(NHK総合)『マノスパイ』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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