魔女が婚姻する日(榮倉奈々)まっすぐに曲がっている男(深田恭子)
さて、月曜日からなんとなく恥ずかしい感じのドラマが続いているわけだが、他人の努力とか栄光と挫折とかに酔う五輪に対抗する以上、フィクションの作り手たちもある程度、ベタッと作るわけである。
なにしろ、不人気で代表戦でせっかく海外組を召集したのにアナログテレビでは「サッカー中継」がされないご時勢なのだ。
そういう今日この頃、黙々と伸びていく東京スカイツリーなのである。
なんとなく、塔っぽくなってきました。
火曜日のドラマ対決は①「泣かないと決めた日」↗13.0% ②「まっすぐな男」↗10.5%
ほらほら、べっとりと好調でございます。
で、『泣かないと決めた日・第6話』(フジテレビ100302PM9~)脚本・渡辺千穂、演出・石川淳一を見た。悪の賢者と善の愚者の戦いは一つの決着を見る。主人公・角田美樹(榮倉奈々)は恋敵の魔女・万里香(杏)にまんまと恋人の仲原(要潤)を略奪され、巧妙にコントロールされた仲原は万里香の妊娠が誤認(実は虚偽)だと分った後も自らの選択により万里香と挙式するのだった。
その途中では帰ってきたウルトラマン(団時朗)に仮面ライダーG3が鉄拳制裁されています。
花嫁の母(筒井真理子)、花婿の母(田島令子)もいつ殺人事件が起きてもおかしくない布陣でございます。
ある程度、ドラマを見続けている人には仲原が美樹に贈ったローマの絵葉書という小道具の展開が手順通りすぎておかしかっただろう。
美樹はそれを職場の机の引き出しにしまっている。
「ローマは一日にしてならず」という仲原の言葉が、理不尽な虐めの展開される職場で脱落しそうになる美樹の心を支えていたのである。
しかし、仲原との別離によってその神通力は失われる。
失恋のショックで仕事が手につかない美樹は「それ」を眺めても心が痛むだけなのである。
やがて、「それ」は無意識のうちに机の中で裏返される。
そして・・・「妊娠していなくても万里香と結婚する」と仲原に告げられた美樹は「それ」を持ち出して屋上に上がるのである。
「それ」は仲原との決別を象徴するセレモニーとして破られ捨てられる運命にあるのだ。
どの段階で「それ」がそうなると予測できたかが、ある程度、それぞれの先見の明の度合いを示すのである。
キッドは小学生の頃の利発な男友達を思い出す。
遠足の電車でお菓子の包装紙などを開け放した車窓にかざし、彼はにこやかに言うのだ。
「僕が捨てたんじゃないよ・・・風に飛ばされたんだ」
次々に消えていくゴミに・・・仲間たちはゲラゲラ笑ったものである。
そのことをキッドは美樹が机の引き出しを開けた瞬間に思い出した。
きっと、日本のどこかで誰かが「屋上からゴミ捨てるなよ」とつぶやくと思ったからだ。
まあ・・・そういうどうでもいい個人的な追憶はさておき、美樹は新たな一歩を踏み出す。
美樹の才能を評価する統括マネージャーの桐野(藤木直人)は美樹に完熟トマトの作り方をみせるのだ。
「ほら・・・ここの土は乾いているだろう・・・これはトマトを苛酷な環境に置いてしっかりと根をはらせるためなんだ・・・そうするとトマトは栄養満点の甘いトマトになる・・・もちろん・・・中には耐えられずに枯れてしまうトマトもいるけどね」
「スパルタ方式ですね」
「そうだ・・・いじめとしごきは似て非なるものなんだよ」
「栄光に犠牲はつきものなのですね」
「その通りだ・・・優秀なものが生き残る・・・それが自然というものなのだ」
やがて・・・美樹は不自由な足の手術を終え、リハビリに励む妹・愛(川口春奈)の苦痛に歪む顔に・・・新たなる希望を見出すのだった。
美樹の心の支えは「恋人」から「職場の上司」と「健気な妹」に移ったのだった。
やがて・・・できる女として機能し始めた美樹は・・・暴力亭主との離婚届けを胸に仕事を続ける琴美(紺野まひる)の家庭の秘密を共有したり・・・書類上の不審点をチーム・リーダーの佐野(木村佳乃)に報告するまでにいたる。
そのために使途不明金の存在に気がついた佐野は上司の梅沢部長(段田安則)に調査を進言する。
優秀な佐野が何の疑いもなく梅沢部長に報告するあたりが・・・このドラマのローマの絵葉書ポイントなのである。もちろん、使途不明金の仕掛け人が梅沢部長本人であることは言うまでもない。
梅沢は退職した派遣社員の白石(有坂来瞳)を呼び出して・・・佐野を貶める工作に着手するのだった。
実に分りやすい展開である・・・褒めています。
一方、桐野はチームを活性化させるために企画コンペを開催すると宣言をするのだった。
もちろん、出番の少ない男性社員の西島(五十嵐隼士)の主役回を作るためなのである。
さて、魔女の使い魔となっている変態・田沢(長谷川純)にはどんなベタな展開が用意されているのか・・・楽しみです。
魔女が獲物の心がまだ美樹に残っていることを憤り、意地悪するときの生贄として悪魔に捧げられたりして・・・しないよ。
関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー』
で、『まっすぐな男・第8話』(フジテレビ100302PM10~)脚本・尾崎将也、演出・三宅喜重を見た。松嶋(佐藤隆太)は最初はまじめに仕事をしているが、途中からは恋の道に一直線である。・・・そこか・・・そこがまっすぐなのか。
誰の子供だか判らない胎児をかかえる鳴海(深田恭子)を愛はないが結婚できる男の手から強奪した松嶋は・・・ついに本音を漏らすのだった。
「お前が好きだ~」
浜辺で子供が笑うような展開である。
そして、交際中の佳乃(貫地谷しほり)には「鳴海が好きだから、君とは別れる」宣言である。
さすがに泣き出した佳乃に対する言い訳が「君はいつでも俺の生き方を認めてくれた・・・いつも励ましてくれた・・・それに対して鳴海は俺の生き方が間違いだというし、会えば喧嘩ばかりしてる・・・気がついたら鳴海を好きになっていた」なのだ。
まあ・・・どんなこと言われても納得できない展開だが・・・納得できないにも程があるだろう。
もちろん、佳乃の幸せを祈る男、熊沢(田中圭)は松嶋をぶん殴ります。
しかし・・・さすがに腹にすえかねた佳乃は毒針を発射。
「バイクを貸せば事故り、男を貸せば返さない・・・そんなあなたに松嶋さんを幸せにできるのかしら」
生まれついての不幸に染まった鳴海には「しあわせ」と言う言葉はたやすく凶器となるのだった。
松嶋とのしあわせな暮らしは鳴海にとって失うことが耐え難い恐怖の呪いなのだった。
たちまち・・・一計を案じて、世界一いい加減な男・矢部(渡部篤郎)に嘘の結婚宣言をさせる鳴海。
松嶋は自分がふられるという予想外の出来事に茫然自失となるのである。いい気味だ。
しかし・・・たちまちバレる真っ赤なウソ。
説明を求める松嶋の前から鳴海は逃げ出すのだった。
「好きだけど一緒にはいられない」という女と「そんなことはやってみなければわからない」という男の馬鹿馬鹿しくも悲しい追跡劇は赤信号で絶対止らないタクシーによって幕となるのである。車内で愛した男の自分を呼ぶ声を聞きながら涙ぐむ鳴海だった。
「くそっ・・・絶対逃がすかっ」
やさぐれ刑事のように夜空に吠える松嶋なのである。。
鳴海の心情の哀れに涙さそう展開だが・・・ちっとも心に響かないのは何故なのでしょうか。
そりゃ・・・ここまでが・・・ここまでだから・・・だろうがっ。
木曜日に見る予定のテレビ『グインサーガ』(NHK総合)『853』『エンゼルバンク』『ラストメール2』(テレビ朝日)『不毛地帯』『長澤まさみの卒うた』(フジテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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