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2010年4月 8日 (木)

オレの弔い方とは違うなあ(内野聖陽)殺された子供の復讐ですけどなにか?(辺見えみり)

続編であるが「臨場2」ではないのである。ただ「臨場」である。

しかし、主役たちはそのままの世界で続きを演じている。

こういう場合、「帰ってきた臨場」とか「続・臨場」とかしないでただ「臨場」とされると記述する方は困る。少なくとも「臨場」第1話が二種類存在するからである。せめて「シーズン2」くらいはつけて欲しいものだな。

で、仕方なく「第2シリーズ」と呼称しておく。

第1シリーズは平均視聴率が14.5%(最終回15.3%)であり、当然の如く、獲れるコンテンツであるのだが・・・第2シリーズの初回は17.9%である。

なんだろう・・・ああ「仁」の威力か・・・。

つまり、内野龍馬に客がついている気配なのである・・・お前の妄想的にはな。

山本勘助→ゴンゾウ→倉石→坂本龍馬ときて花開いたのだな・・・男の華が。

それはさておき、続編である。しかも、「前・後編」で割ってきた。

一つの事件から別の事件が派生し、派生した事件は決着するが最初の事件は未解決。

こういう手法は珍しくないが・・・大人な感じがする。

それよりも、事件の決着の仕方が前作を見ていると見ていないとでは全く違うのである。

犯人は死者が生存していると考える狂人なのだが、探偵役の主人公はそれを正面から受け止める。

なぜなら・・・主人公もまた亡き妻が生きていると信じている狂人だからなのである。

これは第1シリーズを見ていない場合、全く説明されていない部分である。

この前提がないと終盤の対話には違和感が生じると考える。

今回の「派生した事件の決着の場面」は愛するものが不滅であると信じる狂人同士の対決なのである。

二人は狂っているのだが「狂い方が違う」と説教が展開されるのだ。

ある意味・・・凄いぞ。

で、『臨場・第二期第1回』(テレビ朝日100407PM9~)原作・横山秀夫、脚本・坂田義和、演出・橋本一を見た。サブタイトルは「封印・前編」である。ストーリー的には何が封印されているかは明示されておらず、何かが封印されていることを暗示しているのが後半へのフリになっている。「本格」ものではないので「前編」で与えられた手がかりは妄想する材料でしかなく、妄想好きにとってはそれだけで一週間が楽しめる仕掛けになっている。

倉石義男(内野聖陽)という男・・・警視庁刑事部鑑識課検視官である。通り魔事件で妻を殺害されたが、妻の死を認めないために妻の愛した家庭菜園を妻の人格で維持している。現場に持ち込む野菜は自家栽培の朝抓みである。植物に語りかける姿は他人の目から見れば常軌を逸している。「そうか、そうか・・・お前(トマト)・・・食べごろか、食べて欲しいのか・・・よし、わかった」・・・という感じ。

一人目の検視・・・制服警官・谷本(螢雪次朗)の拳銃自殺・・・谷本は倉石の先輩鑑識課員である。「根こそぎ拾う」のルーツであるらしい。倉石と同様に妻に先立たれた谷本は娘の絵梨華(金澤美穂・・・ドラマ「赤鼻のセンセイ」(2009)で須賀健太の初恋の人役)の養育を理由に所轄に配属願いを出した。絵梨華は年齢不詳だが、実年齢15才なので高校一年生か中学三年生の役どころである。言動が幼いのはそのためである。谷本と娘の間には確執があったらしく、自殺する直前、谷本が掛けてきた電話に仲間と夜遊びをしていた娘は応答しない。谷本は大腸がんで余命三ヶ月の告知を受けていたが、拳銃を盗まれる可能性がある状況での自殺、消えた警笛など・・・倉石は「生前の谷本のプロフィール」とは「違う何か」を感じている。

交番に奥寺巡査(鈴木浩介)がキャスティングされている以上・・・「封印」には彼が関っている可能性は高い。勤務表的には「休憩時間」に入っていた谷本が奥寺にかわって「若者が騒いでいる」という通報に対処したのにも理由があるはずで、そこも妄想が膨らむポイントである。襟章を引きちぎられた現場に・・・何故、谷本は出向いたのか・・・。

二人目の検視・・・自殺に偽装された元・競輪選手・長谷川(平山祐介)の他殺死体・・・左利きなのに右手に盗まれた谷本の拳銃を握り死んでいた長谷川。離婚した妻からの情報で「自転車で人身事故を起こした長谷川が子供との面会権を放棄することを元妻から求められていた」ことが判る。容疑者は人身事故で子供を殺された母親と父親に移っていく。

自転車にひき殺された子供の母親は戸張玲子(辺見)で事件以後、子供が他界したことを認めることができず、子供が生きていることを前提とした不審行動を繰り返している。子供の死を受容した父親の戸張慎二(松田洋治)とは折り合いがつかず、事件後に離婚している。加害者の長谷川とは民事訴訟で損害賠償請求をしている関係である。

事故によって選手生命を絶たれた長谷川は加害者としての礼節を欠き慎二が暴行に至る喧嘩沙汰を起していた。

事件のあった日に「夜釣りに出かけていた」と主張した慎二だったが、現場に慎二の手編みのマフラーの毛糸が残されていたことを告げられると犯行を自供する。

一方、死んだ子供の衣装を洗濯するという奇行を続ける玲子を奇異の目で見る捜査員一同を尻目に倉石には「死んだ子供」が見えていた。

「亡き妻」が見える以上、「死んだ子供」も見えるのである。

倉石は長谷川の死体に残る擦過傷から犯人を「宝石のついた指輪をはめた女性」と断定していた。宝石のついた指輪を嵌めるのが女性とは限らないが、少なくとも慎二ではないと推測することはできる。

倉石は「父親でなければ母親」と読んだのである。

なにしろ、子供が死んだことを認められないほど狂っている女なので「殺人」を犯してもおかしくはないはずだ。もちろん、子供が死んでいない以上、殺した相手も存在しないはずだと考えるのは理性的すぎるのである。頭がおかしくなっている人間に理屈は通用しないのである。

第二の事件の夜は死んだ子供の入学式の夜だった。

使われることのない子供のランドセルからはマフラーと同じ毛糸で編んだ手袋が発見され、手袋には硝煙反応があった。

谷本の自殺後、拳銃を盗んだのは玲子だった。

玲子「私は悪いことなんてしていない・・・私は悪い男を処刑しただけよ」

倉石「自分の子供の手袋をはめて・・・人殺しをするような人間がいいわけないだろう・・・あんたは他人の気持ちがわからないダメ人間なんだよ・・・心臓に持病があるあんたを気遣う元の旦那の気持ちも判らなければ、子供との昔の約束を果たすために小学校の入学式の日に夜釣りに出かけた子供を亡くした父親の気持ちも判らない。あんたを庇って嘘の自供をしている男の気持ちも判らない・・・どんだけ心の発達障害者なんだ・・・」

玲子「私が・・・逮捕されたら・・・誰が子供の面倒を見てくれるの・・・」

倉石「心配するな・・・日本は最低限の人権が保証された法治国家なのだから」

一同(唖然)

こうして第二の事件は一応の決着を見た。狂気の母親を演じる辺見えみりはなかなかの狂いっぷりでした。

しかし・・・第一の事件はまったく決着していないのである。谷本と娘の間に存在する心の闇・・・。どことなく怪しい交番勤務の奥寺巡査。そして消えた警笛。谷本の自殺の本当の原因をめぐって・・・膨らむ妄想は後編の決着を待つのである。

余命三ヶ月の男が幼い娘を残して自殺する理由・・・残された時間をさらに短くするしかなかったとは・・・一体どんな封印がからんでいるのか・・・そこに愛があるのは絶対だとしても。

それにしても新登場の五代刑事部長(益岡徹)をはじめとして因縁の仲の立原警視(高嶋政伸)、その部下の坂東刑事(隆大介)、小坂検視補助官(松下由樹)、一之瀬検視官心得(渡辺大)らのレギュラー陣・・・見事に背景と化していたな。

ただし、行きつけのバー「かくれんぼ」のママ真里子(伊藤裕子)の存在感は倍増していた気がする。ちなみに真里子は倉石の死んだ妻・雪絵(京野ことみ)の実の妹である。念のため。

関連するキッドのブログ『臨場・第1シリーズ

金曜日に見る予定のテレビ『わが家の歴史』(フジテレビ)『警部補 矢部謙三』(テレビ朝日)『岩佐真悠子のトラブルマン』『里久鳴祐果の大魔神カノン』(テレビ東京)やはり殺意を感じる・・・。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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