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2010年4月14日 (水)

迷宮入りという地獄(上戸彩)

もちろん、ご都合主義の連打であるが、いざとなったら「悪事は必ず露見する」というフィクションに頼るのがこの手のドラマの常套手段なのである。

もちろん、現実には条件つきのセオリーなのである。

つまり、「犯人の運が悪ければそうなる」ということである。

そうでなければそもそも未解決の事件は存在しないのである。

銀行がオンライン化されて以後、1981年には1億三千万円の三和銀行搾取事件、2005年には10億円の東京三菱銀行横領事件が発生している。

何れも美人女子銀行員がらみの犯罪である。

もちろん、犯人は不運だったのである。

そして、捜査当局は幸運だった。

そういう運不運の問題は如何ともしがたい空気を漂わせるのだ。

火曜日のドラマ対決は①「絶対零度」18.0% ②「バチスタ2」↗14.5% ③「八蝉」↗*7.4%

久しぶりの活況・・・?

で、『絶対零度~未解決事件特命捜査~・第1回』(フジテレビ100413PM9~)脚本・酒井雅秋、演出・村上正典を見た。『東京DOGS』の脚本家と『恋して悪魔』の演出家なのであまり、多くは望めないのだが、ミステリとしてはギリギリ成立していたような気がする。現実に警視庁捜査一課に2009年から未解決事件の特別捜査チームである「特命捜査対策室」が設置されているのだ。つまり、未解決事件があまりにも多すぎるからである。ある意味、このドラマはそれに乗っかって作られたドラマだということができる。もちろん、「ケイゾク」とか「おみやさん」とか海外ドラマの「コールド・ケース」とか類似先行作品はたくさんありますけれど。まあ、いいじゃないか。

警視庁捜査一課特命捜査室の新人刑事・桜木泉(上戸彩)の初手柄を描かなければならないという制約の中、運が警察側に味方するのはある程度仕方ないのである。

2010年春・・・羊の皮をかぶった狼がいる。東都銀行の木村行信(渡辺憲吉)推定55才である。彼は凶悪な野獣と言っていい男である。もちろん、犯罪者であるが、その犯罪は未だ暴かれていない。

話は1999年に遡る。西武の松坂投手と巨人の上原投手が新人王となった年である。ノストラダムスの予言は先送りされ、地球は亡びなかったが、2000年になるとコンピューターが誤作動を起こす惧れがあるという問題で関係者は対処に追われていた。

この年、インターネットを利用して取引された拳銃押収数は〇丁だったが、翌年には16丁が押収されている。つまり、水面下ではすでに銀行員が比較的、安易に拳銃を入手することは可能だったのである。

当時、東都銀行中之橋支店の支店長だった木村は拳銃を入手すると同時に恐るべき計画を実行に移したが、その全容が発覚するのは2010年を待たねばならない。

その年の暮れに発覚したのは「美人銀行員トリオミレニアム(千年紀)三億円横領失踪事件」だった。

東都銀行の三人の美人行員(いずれも25才)が大晦日に銀行から三億円を横領して姿を消したのである。それがいかなる方法であったのかは最後まで明らかにされないのだが。

警察は三億円横領事件として捜査を開始する。

大貫清美(宮下ともみ・・・実年齢27才)は母子家庭であり、親の借金が2000万円あるために銀行が採用見送りすることは確実だったが、なぜか採用されている。当時、清美にはゲーム会社経営の恋人・田神(塚原大助)がいたが、事件当時、田神は交際はすでに終っていたと証言する。

飯島友江(松岡恵望子・・・実年令25才)は享楽的な性格で遊ぶ金欲しさに多重債務者になるという銀行員とは思えない性格である。本当は音楽家になりたかったのか。

迫田麻衣(小松彩夏・・・実年齢23才)は男に貢ぐタイプでセーラー・ヴィーナスだったとは思えないだらしない性格だった。麻衣は経営不振のレストラン経営者・宮本(徳秀樹)と交際していた。

田神と宮本は大学の先輩・後輩という間柄である。

当然、清美と麻衣、そして田宮と宮本は共犯を疑われ、相当に厳しい当局の追及があったはずである。

犯行から半年後、田宮は資産家の令嬢と結婚するのだが、大事な娘をそんな男に嫁がせるなんて信じられないな。

しかし、女たちと男たちの接点は途切れ、当局は事件を解明することができなかったのである。

女たちは消息不明となり・・・10年の歳月が流れた。

植林事業か、土地開発かは不明だが・・・第三者が山林の土中から麻衣の白骨死体を発見するまでは。

美人法医学者・大森紗英(北川弘美・・・元・初代嬢王)の鑑定により、麻衣は死後10年が経過していることが判明し、横領事件直後に射殺されたと断定される。

こうして・・・特命室長長嶋警視(北大路欣也)は倉田係長(杉本哲太)に事件の再捜査を命じるのである。

チームには「杉並事件」という何か恐ろしげな事件でミスを犯した元・プロファイラー・高峰刑事(山口紗弥加)もいた。彼女は昔、下北沢で一緒に芝居をやっていた桜木刑事を可愛がっているのである。

横領事件の容疑者の母親としてつらい十年を過ごしてきた清美の母・聡子(朝加真由美)の担当にメモ係の桜木刑事をぶつける大抜擢である。

しかし・・・桜木は母子家庭という共通点を活かし、聡子に平手打ちをくらいながらも食い下がる。

その結果、失踪前に娘が母親に謝罪していたという証言を引き出すことに成功する。

つまり・・・「娘は母を捨てようとしていた」と桜木は知るのである。そこから桜木は一直線に清美が父親のわからない子供を妊娠しており、胎児のDNA鑑定までしていた事実を突き止めるのである。10年前にその事実を突き止められなかった捜査当局はどれだけ無能だったのか。

その他の刑事たちは恋人だった宮本の麻衣殺しを疑うが、麻衣の死体から宮本の銀行口座の番号が発見され、疑惑は深まる。

しかし、宮本が経営危機を乗り切るために得た大金の出所は田神だった。

田神は資産家令嬢との交際の障害となった清美と別れるために田神に清美の身辺調査を依頼していたのである。

そして・・・清美には第二の男が浮かび上がる・・・それは部下の起こした事件の責任を追及され左遷された木村だった。

推理すれば必ずボケる体質の桜木だったが、なぜか、そのボケは正解を導きだす特異体質なのである。

やがて、偶然にも第二の死体としてもはや身寄りのない友江の死体が発見される。おそらく両親は事件を苦にして自殺したのだろう。

さらに、怪しいネットのサイトで「殺されかかる清美」の画像が発見される。

盗聴していた宮本の証言から清美たちが「死亡を偽装しようとしていた」ことがわかり、ただ一人消息不明の清美に「共犯者の殺害疑惑」が浮上する。

しかし、なぜかうっかり、「清美たちの少額の横領をもみ消した」ことを証言してしまう木村に桜木は食いつくのである。桜木には木村の狼の尻尾が見えたらしい。

やがて・・・画像の出所がデータを消去したつもりで下取りに出した木村のパソコンだったことが判明する。

桜木刑事(女・・・「警部補矢部」の桜木刑事とかぶってます・・・「刑事くん」ネタによりそいすぎ・・・)の目には「恋人に捨てられ、恐喝されて犯された男の子供を身ごもって、出産を決意した可愛そうな清美(犯罪者)の姿」が映るのだった。

木村は美人トリオの少額の横領を嗅ぎつけると、トリオを脅し、全員と関係を迫った上に、より巨額な横領の手駒として使うことを思いついたのである。

トリオに横領させ・・・トリオを殺害し・・・トリオを埋葬してしまえば完全犯罪が成立すると計画したらしい。

しかし・・・死体は発見され・・・口実にすぎない偽装のためのビデオ撮影をなぜかパソコンに取り込んで、それを下取りにだし、データを復元され画像は流出し・・・画像には「死ね」という自分の声まで残して・・・木村は墓穴を掘るのだった。

「悪いことはできないもんだ・・・というのとは違うよね・・・すごくついてなかったっていうか・・・」と開き直る木村。

「愚かだったのです」と一応、ヒロインとして決めてみる桜木刑事だった。

「みんな・・・私と同じ・・・25才で・・・前途ある女の子だったのに・・・」

しかし、木村は「もう10年たったから、今で言えば高橋由美子とか、戸田菜穂とか、奥山佳恵とかになっちゃうけどね」と意味不明の言葉を口走るのだった・・・口走りません。

かくて白骨となった娘と老いた母親は悲しい再会を果たすのだった。

まあ・・・とりあえず・・・すごく幸運に支えられた捜査だったけど・・・ビギナーズ・ラックということでいいよね。ただし、「ヴォイス~命なき者の声~」のプロデューサーだからこの調子で最後までグダグダかもしれないけどねーっ。

高峰「どうしたの・・・浮かない顔して・・・」

桜木「すごい凶悪な犯人なのに・・・キャストが脇役の人だから・・・しっくりこなくて」

高峰「意外な犯人狙いをするとどうしてもそうなるのよね・・・ジレンマよね~」

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ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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コメント

>ただし、「ヴォイス~命なき者の声~」のプロデューサーだからこの調子で最後までグダグダかもしれないけどねーっ。

実は、これが心配だったりします。。。(-_-;)
「東京わんこ」「鉄板少女アカネ」の脚本家にしては、
上手く行ったよな~。。。と言う、私的には1話目の
掴みはOKな感じだったのですが、私、実は「ヴォイス」も
1話目の感触は良かったんですよね~。。。
今後、背中がムズムズするほどの人情物に流れないで
済むことを祈りたいです。

とりあえず、上戸彩ちゃんは可愛いです♪

投稿: くう | 2010年4月15日 (木) 00時09分

❀❀❀☥❀❀❀~くう様、いらっしゃいませ~❀❀❀☥❀❀❀

「八日目の蝉」では堕胎後に嬰児誘拐犯。
「バチスタ2」では堕胎後に胎児の呪い。
そして「絶対零度」では妊婦を胎児の父親が射殺。
春ドラマは母と子のドラマがかぶりまくってますな。
なんだろう・・・。
「コード・ブルー2」「直男」「曲女」
・・・「ギネ」
・・・「アイシテル~海容~」・・・これかな。
これの成功が類似企画のラッシュを・・・。

あるいは母の愛を問わねばならない時代でしょうかな。

まあ・・・「Mother」が控えているだけに
ここでは軽く挿入程度。

このとってつけた感が
上戸彩の「彼女が最後に守ろうとしたもの」
というセリフを風に吹かせるわけですが・・・
まあ・・・このスタッフの場合、
よくがんばった・・・と誉めたい気分に
なりますな・・・。

本当に出来の悪い子を持った親の気分です。

後味の悪いドラマと
心に残るドラマは紙一重でございます。

苦いドラマでもいいのですが
そこに至るまでの過程が
ものすごく危うい感じですからな・・・。
無理してんじゃないよ~と叫びたくなるのです。

上戸彩もそろそろ良い目を引きたいところだし・・・。
次回が本当に正念場ですねえ。

「母子家庭」であることを利用して
証言を引き出したくらいのテイストが望ましい・・・。
新人くんには無理でも
先輩プロファイラーがそのくらいの策を弄する感じで・・・。

とにかく・・・今回はギリギリセーフだったと思いまする。

投稿: キッド | 2010年4月15日 (木) 03時56分

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