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2010年4月28日 (水)

断末魔へと続く神宮外苑を散歩するメモ魔(上戸彩)悪魔のような女(檀れい)

殺人罪に時効がなくなった日の夜。ふたつのドラマは光と影のように対立する。

それは「ごめんですんだら警察いらないよ」と「罪を憎んで人を憎まず」の対決でもある。

事件を過去のものとは考えず、ひたすら犯罪者を追う刑事たち。

事件を現実のものとは考えず、ひたすら逃亡を続ける犯罪者。

罪あるものを罰することが正義である。

しかし、時に人はそれを実現することが困難であることを知る。

死者の憐れなところは復讐する手を持たないことである。

子供を奪われた母は唇をかみしめるしかない。

そして、時に人は坊主憎けりゃ袈裟まで憎いのである。

「逃げた女房への激情から長い髪の女を殺しまくる男」と「生む機械への反発から母親よりも誘拐犯に肩入れする女」はどこか似ているのである。

火曜日のドラマ対決は①「絶対零度」↗15.5% ②「バチスタ2」↘14.2% ③「八日目の蝉」↘*7.2%

そして疑わしきは罰せずを突き詰めれば人を殺すことに障害はなくなり法務大臣は死刑を執行しないのである。

人は妥協しないと生きていくことはできないのにだ。ついでに時効警察は帰る場所をなくしたのだ。まあ、すべては過去にあった話としてやることができないわけではない。

で、『絶対零度~未解決事件特命捜査~・第3回』(フジテレビ100427PM9~)脚本・浜田秀哉、演出・岩田和行を見た。創作とは取捨選択である。必要なものを集め、余分なものを切り捨てる。「嬢王Virgin」を経由した演出家は一皮剥けた手腕を獲得したようだ。つまり、ぐっと見やすいドラマを作るようになったのである。まだまだ煩雑な感じは残るが今回は脚本がさらに若手なので青臭いのは割り引くしかない。

脚本には様々な要素があるが・・・その主たる成分はストーリー構成とセリフである。前者では「辻褄」が一つの目安になる。「朝、目を覚ました主人公は一睡もしていないことに気がついた」というようなことでは困るのである。どうして眠っていないものが目覚めることができるのか。そういう困った部分がほとんどないことが辻褄のあっている状態である。

セリフにも様々な要素があるが・・・その主たる成分は臨場感である。説明しなければいけないことを説明するのはいいが、説明が下手な人間が上手に説明してはいけないのである。「大丈夫だと思いますけど臭ったら申し訳ないので・・・」は少し説明がくどいということだ。「に、臭うかもしれません」くらいでいいじゃないか。まあ、すべては流れの中の出来事で「これはひどい」というレベルではなくて「もっとできるよね」という話です。

朝の光と影

私の昨日は今日も続いている

昨日のことがまだ終らないから

誰も知らない隠された扉があって

その向こう側に何かが潜んでいる

私の背後には思いもよらない愛があるらしい

長い髪の女が殺される。犯行の特徴から深沢刑事(丸山智己)は過去の連続殺人事件を連想する。特に深沢は死体を縛ったロープの結び目に注目する。深沢が過去の事件にこだわったのはそれが刑事として最初に手がけた事件だったのである。

一方、深沢より三才年上の高峰刑事はその事件にプロファイラー(犯罪心理分析官)として関っていた。高峰は「被害者の髪を切っていないし傷痕文字もないので・・・犯人は過去の事件と同一人物ではない」と直感する。

二人の意見を吟味して、特命捜査対策室長・長嶋警視(北大路欣也)は「長い黒髪の女連続殺人事件」の再捜査を発令するのだった。

一方、捜査一課は「犯行の手口から過去の事件とは無関係という方針」で情報を封鎖し、特命に敵対する。すでに被害者のストーカーが容疑者として浮上していて逮捕に踏み切るのだった。

しかし、容疑者は「ストーカーはしていたが愛する人を殺したりはしない」と容疑を否認するのだった。

一方で過去の捜査資料の再鑑定を行った警視庁科学捜査研究所の大森(北川弘美)たちは犯行に使われたロープから見逃されていた「砂」を発見する。

再鑑定は時間経過とともに新たな手がかりを提示するのだが、その展開が自然で無理がない。

①「砂」の発見

②過去の事件のすべてのロープから「砂」が発見される

③「砂」の特定・・・ゴルフ場などでスポーツ施設に使われる特殊な砂

④「皮革」の発見

⑤「皮革」の特定・・・ゴルフの手袋などに使われる特殊な皮革

その時間経過の間に・・・被害者遺族への再調査が行われ、特命の刑事たちは捜査資料にある情報の穴を埋めていくという展開である。

捜査の要は資料整理が主な任務の新米刑事・桜木(上戸彩)になっていくという自然な流れなのである。

桜木は再捜査の過程で「過去の未解決事件」が遺族たちに今も苦痛を与え続けていることを鮮烈に認識する。

その認識の過程で様々な「謎」が機能的に配置されていく。

なぜ、八年前に連続殺人が停止したのか。

なぜ、八年後に再び、犯行が開始されたのか。

そして「現在の事件」と「過去の事件」の手口が微妙に違うのはなぜか。

一方、容疑者を逮捕拘留中に第二の事件が発生。捜査一課の失点となる。

刑事たちにテリトリーがあるように、犯罪者にもテリトリーがある。

ひたすら資料を整理する桜木刑事はやがて・・・常備食のバナナを食べながら被害者の隠されていた共通点に気付くのであった。

桜木「被害者はみんな・・・神宮外苑を散歩していたんです」

一同「えーっ・・・」

塚本刑事(宮迫博之)「そんなアホな・・・」

高峰「確かにJR千駄ヶ谷駅、信濃町駅、東京メトロ表参道駅、外苑前駅、青山一丁目駅あたりにいる人間は天気がよくて小一時間あったら誰もが神宮外苑を散歩するわね」

塚本「そ、そうなのか」

深沢「そうだな」

桜木「そして神宮外苑にはゴルフの練習場があるのです」

長嶋「・・・うむ・・・桜木、お手柄だ・・・」

白石刑事(中原丈雄)たちはゴルフ練習場を捜索・・・従業員のロッカーから「凶器」を発見する。

そして、従業員の自宅の秘密の地下室に潜む新たな容疑者が逮捕されたのである。

倉田係長(杉本哲太)が取り調べを開始する。

「お前は自分を捨てた母親によく似た女を殺害した・・・そうなんだろう・・・」

しかし、容疑者は黙秘を続ける。

やがて、高峰のプロファイラー魂が目覚めるのである。

高峰「この容疑者は過去の事件の犯人像と一致しない・・・過去の事件の犯人はもっと年上で高圧的・・・スポーツ選手で・・・母親の夫・・・つまり彼の父親よ・・・彼の父親が妻に似た長い黒髪の女を罰したいと思っているのよ」

深沢「彼の父親は八年前に脳卒中で倒れて後遺症のために不自由な体に・・・そうか」

桜木「謎はすべて解けました・・・八年間、犯行が途絶えた理由、過去と現在の手口が異なること・・・」

塚本「なるほど・・・親子二代の連続殺人犯か・・・そして二代目は先代ほど名人ではなかったちゅーわけや」

長嶋「いや・・・俺は市川右太衛門を越えたと思うぞ」

・・・そこか・・・そこがオチなのか。

こうして第三の容疑者は逮捕されるのだ。もちろん、事件は解決である。

手柄は捜査一課が横取りします。

しかし・・・被害者遺族たちは特命チームに深く感謝するのだった。警視庁には特命チームを讃えるLOVE PSYCHEDELICOの「Shadow behind」が鳴り響くのである。

そして娘を殺された父親の八年間続いた長い夜が明けた。たとえ、翌日に待っているのが長い裁きの日々だとしても。

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

さて『八日目の蝉』もいよいよ犯人逮捕である。加害者側の独善的な愛をある意味一方的な視点で描くこのドラマ。スタジオパークに登場した原作者は毎回涙を流してこのドラマに浸っているという。原作のテーマについては「善悪では決められない生の営みがある」というのが主眼と伝えていた。もちろん、犯罪被害者家族にとっては暴言そのものでもあるが芸術家は暴言してナンボなので仕方ないのである。原作は新聞連載小説なので「逃亡者が毎日しでかすのがポイント」とエンターティメントの秘訣を語っていたので明日ある人々は参考にしてもらいたい。とにかく・・・来週は最終回、悪逆非道な主人公がどのように裁かれるのか・・・胸が高鳴る今日この頃です。

木曜日に見る予定のテレビ『おみやさん』『同窓会』(テレビ朝日)『恋とオシャレと男のコ』(TBSテレビ)『プロゴルファー花』(日本テレビ)『素直になれなくて』(フジテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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コメント

お見舞いコメありがとうございました(__)
何とか復帰できそうな感じでございます~(*^^*)

「絶対零度」「八日目の蝉」(と「三代目明智」)で
今期最高に楽しい火曜日なのですが。。。
ついに来週「蝉」が終わってしまうのですね。

犯罪者側が一方的に描かれているために、被害者側の
感情がまるで見えないドラマ。
1話目で被害者側が犯人にどんなにヒドイ事をやらかしたか
と言う事が語られているために、視聴者は犯人の心情の方に
ドップリと浸かってしまうのでした。
しかし、一番の被害者であるのは攫われた子供自身である事は
シッカリと描かれているので、次回は彼女が救われる最終回を
望むばかりです。
もちろん、夢見がちな主人公は裁かれなくてはならないと思います。

「絶対零度」は、ありえな~い。。。と言いつつも
楽しんで見られるドラマですね。
主人公が超能力者なみにインスピレーションに優れているのは
「ヴォイス」と同じなのでした^^;

投稿: くう | 2010年4月28日 (水) 16時32分

rouge❀❀❀☥❀❀❀~くう様、いらっしゃいませ~❀❀❀☥❀❀❀rouge

お加減が快方に向いよろしゅうございました。
しかし、ご無理は禁物ですぞ~。
何はなくても健康が一番ですな~。

「三代目明智」はものすごくファンキーですな。
小学生が見る悪夢を見ているような気がいたします。
もう辻褄とかセリフのセンスとか
真面目に語るものがアホに見える感じでございます。
まあ、小芝居を自宅で観劇可能だと
考えればそこそこ贅沢感がありますな。

「蝉」はある意味、不気味な面白さですな。

キワコは本当にきわどい主人公で
あの日を境に壊れたのか
人格変異したのか
それとも単に「今」を生きる人なのか。
スタッフも主人公の「罪」を
充分に意識した作りをしているのに
「風化する他人事」のこわさを
押し出す感じになっています。

ある意味、お茶の間を洗脳していくわけですからね。
「海容」の被害者家族抜きのドラマみたいな。

まあ、人間は何をしでかすかわからない・・・
そういう恐怖はひしひしと伝わってきます。

昔は機知外の一言で片付けられた問題が
今はいろいろと複雑ですし・・・。
もちろん、主人公がある意味、発達障害者であることは
明確なんですけど。

復讐のために仇の子供を攫って
実の親を憎むようにしむける・・・
という山岸涼子のコミックがありましたが
そういう趣向でもない。
単になくした子供のかわりに他人の子供を育てる
自己中心的な女の話。
ところが・・・そういう単純さでは
割り切れない「味」がある。

本当に気持ちの悪い話です。
そこが「いい」わけですけれど~。

「絶対零度」は演出家のせいもあって
今回は軽く見ることができました。
たいしたことやってないので
そつなく見せてくれればそれで
いいんだよな~という感じでございます。

まあ、ヴォイス臭さは限りなく残りますけれど~。

コールド・ケースというより霊感探偵ですよね~。

今回の話は若い頃、赤坂、青山あたりに事務所が
あったキッドにはすごく
よくわかる話でした。
何度、あのへんでさぼったことか~。

投稿: キッド | 2010年4月28日 (水) 17時16分

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