渡り鳥で赤ちゃんポストのお母さん(松雪泰子)
まるで予言のように「母と子の物語」が吹き荒れて真打登場という趣である。
傑作「わたしたちの教科書」の後、「猟奇的な彼女」「太陽と海の教室」と低空飛行を続けた脚本家が久しぶりに本領発揮という感じなのだな。
もちろん・・・今回も詩人が登場するのである。
「私たちの教科書」の詩人中学生トリオに続き、今回は小学生天才詩人・・・つぐみだ。
札幌に行きたい
札幌の赤ちゃんポストに行きたいのです
でもポストの写真がありません
七才でも入れますか
104cmでも入れますか
・・・捨て子の目にも涙である。
こうして詩人が登場した以上はこの作品は傑作になると考えます・・・。
水曜日のダンスは・・・。
「臨場」・・・17.9%↗18.6%
「Mother」・・・・・・11.8%
でスタート。さすがはお茶の間である。見る目のなさは抜群だな。
で、『Mother・第1回』(日本テレビ100414PM10~)脚本・坂元裕二、演出・水田伸生を見た。『八日目の蝉』の母親が衝動的で暴力的に本妻の子供を誘拐していく愚かな女であるのに対して、こちらの擬似母親は虐待された児童を理性的・計画的に誘拐していく。その落差はそのまま、女性作家と男性作家の「母に対する認識」の落差を象徴するかのようである。『Mother』の母親も衝動的である・・・と謳われているのだが・・・『八日目の蝉』の無軌道な暴走振りと比較するとかなり論理的な行動になってしまっている感じが絶妙なのである。まさにMotherの真ん中に十字架置きましたという感じなのである。しかし、それではドラマにならないので今後ものすごい苦境が用意されている気がします。
暗鬱な冬の北海道。室蘭大学の研究室が閉鎖され、渡り鳥の研究者である鈴原奈緒(松雪泰子)は居場所を失った。
奈緒が得たのは先任の教諭が急病のための小学校教師の職だった。
子供を含めて対人関係に何らかの鬱屈を抱える奈緒は黙々と教壇に立つ。
そして何かが落ちていると拾わずにはいられない天才詩人・道木怜南(芦田愛菜)と運命の出会いを果たすのである。
若く教育熱心だがどこか上滑りしている感じがする女教師・三浦(水野顕子)から与えられたホームルームの課題は「中庭で飼っていたが死んだあひるへの手紙」・・・。
科学者である奈緒にとっては不透明な情緒の世界である。
教室で児童たちは「あひるへの手紙」を書く。
中には発案者の三浦の狙い通りに涙ぐんでいる子供もいる。
しかし、怜南は白紙を前に呆然としていた。
奈緒「どうして書かないの・・・」
怜南「・・・だってあひるさんは字が読めないでしょう・・・勉強してないし」
奈緒は「クソガキ」と思ったが、次の質問で気分を変えた。
怜南「天国ってある?・・・土の中のこと・・・?」
科学者にとっては難題である。
答えに窮した奈緒。しかし、あひるの死を悼むように条件付けされた児童たちは殺気立つ。
「怜南ちゃん、ひど~い」「怜南ちゃん、残酷」「怜南ちゃん、死ねばいいのに~」
騒然となった教室で奈緒は我を取り戻す。
「静かにしなさい・・・私はうるさい子供が大嫌いです」
そして、奈緒は怜南に対処する。「書けなければ書かなくてもよろしい・・・どうせ、郵便屋さんも天国に届けるのはずっと先だろうしね」
奈緒は科学者なのでジョークは好きなのである。なぜなら、科学はジョークのようなものだからだ。原子物理学者が人類のために何を発明したか、考えるだけで自明の理だ。
しかし、怜南は奈緒に窮地を救われた気分を感じた。
玲南にとって世界は苛酷であり・・・そして苛酷さは時として人を早送りで成長させる。
玲南は小学一年生の教室にいる小学六年生のようなものなのである。
「ガキと一緒にはやってられない」のだ。その点が子供と言える。
こうして・・・奈緒と怜奈は知らず知らずのうちに絆で結ばれたのだ。
玲南は受けた恩に報いるために奈緒に毛糸の帽子を贈る。
慣れない教師の仕事のストレスで奈緒は円形脱毛症になっていた。
奈緒は怜奈の観察力に科学者の資質を感じる。
感じたからといって・・・どうと言うことはない。
奈緒は一人暮らしが性に合うと思い込んでいるから一人暮らしをしているのだった。
奈緒は三姉妹の長女である。
奈緒と違ってかなり巨乳の次女・芽衣(酒井若菜)、そこそこ巨乳の三女・果歩(倉科カナ)はそれなりに巨乳の母親・藤子(高畑淳子)は一緒にどこか別の場所で暮らしていた。
芽衣はまもなくできちゃった結婚をする予定だったが、その結婚式の招待状に奈緒が欠席を記して返送してきたことに立腹している。
母は奈緒と連絡をとろうとするが、奈緒は電話に出ない。
そこでお調子者の果歩は「春休みになったら一度訪ねてみる」と言い出す。恋人の耕平(川村陽介)と北海道旅行も悪くないと考えたのである。
奈緒の家族とは思えない湧きあい合い母娘たちだった。
奈緒の研究者仲間の藤吉(田中実)は大学への復帰について朗報をもたらす。
その相談のために大学の研究室を訪問した奈緒は藤吉の弟、駿輔(山本耕史)と出会う。
学者肌の兄とは違い、駿輔は無頼な空気を醸し出す「週刊サプライズ」の記者だった。
奈緒と駿輔の間には不穏なムードが漂うのだった。
そうした世俗的な出来事とは別に奈緒と怜南を結ぶ運命の糸は少しずつ巻かれていく。
夜の町で郵便ポストにまとわりつく怜南を奈緒は発見する。
不思議に思いながら軽い夕食のために喫茶店に一人で入った奈緒。しかし、その姿を追って怜南が入店してくる。
「私はここで食事をするの」と怜南の馴れ馴れしさを拒絶する奈緒。
しかし、怜南も「大丈夫・・・私も食べるから・・・」と大人の顔で応じる。
500円硬貨を取り出した怜南は「クリームソーダ」を注文するのだった。
「私は食べ物の中でクリームソーダが大好きなの」という怜南に・・・。
「馬鹿ね・・・クリームソーダは飲み物よ・・・」と大人気なく応じる奈緒。
しかし、玲南はとりあわず・・・「自分の好きなもの」について語りだす。
「好きなものについて考えると楽しい気分になるでしょう。そうするとハゲが治るって聞いたことがある・・・先生の好きなものは何?」
教え子に禿の心配をされた奈緒は「無口な子供が好き」と皮肉で応じるのだった。
怜南はおやおやとあきれ果てたように肩をすくめるのだった。
二人は別れた。奈緒は孤独な部屋へ。そして怜南は地獄へと。
怜南は母子家庭である。しかし、怜南の母親・仁美(尾野真千子)には愛人の真人(綾野剛)がいた。
乱雑なトラッシュ(ゴミ)にまみれた部屋で仁美を働かせ、真人はコンシューマ・ゲームに熱中している。しかし、怜南と二人きりになると別の遊びを始めるのである。真人は怜南を招き寄せ、その肌触りを楽しむのだった。そして時には怜南を分別知らずの黒いゴミ袋に詰めるのだった。
翌日、怜南は学校のトイレで寝ているところを発見される。
診断をした校医は教師の三浦に「虐待の可能性」を指摘する。
怜南は栄養失調気味で体には痣が多かった。
三浦「怜南ちゃんの家は母子家庭ですけど・・・母親が愛人を連れ込んでるみたいなんです・・・疑わしいですよ・・・一緒に家庭訪問に行きましょう」
奈緒は気乗りがしなかった。所詮は他人事なのである。しかし、最近、「虐待問題」の関係書物を読んだ三浦はノリノリなのだった。
しかし、公安警察で働いた過去を持つような暗さを漂わせる怜南は三浦の追求を軽くいなすのだった。
怜南はボールがぶつかったために眼帯をしていたのだが。
奈緒の心のどこかで静かにスイッチが入っていた。しかし、本人もそれをまだ知らない。
怜南は空腹を抱え、冷蔵庫を覗き、母親の愛人に悪戯をされ、また空腹を感じる。
母親は気分によってトラッシュを捨てる。
しかし・・・母親が選ぶのは・・・怜南の大切な絵本・・・怜南のお気に入りのぬいぐるみ・・・怜南の宝物は母親にとってはトラッシュなのである。
しかし、それを「捨てないで」と口にする勇気は怜南にはない。
やさしくギュッと抱きしめてくれる母親は思い出の中。
「よしよし、いい子だね」をしてくれる母親はもういない。
一緒にお風呂に入ってくれる母親はテレビのコマーシャルの中にしかいないのだ。
深夜に近い町で奈緒は再び、ポストにまとわりつく・・・怜南を発見した。
それは大学への復帰が決まりかけた夜だった。
なぜか・・・もちろん、スイッチが入ったからだが・・・奈緒は怜南を見捨てることができずに部屋へ連れ帰る。せめて・・・三浦先生にパスをしよう・・・と奈緒は自分を説得する。
(彼女なら適当な処置をするだろう・・・あたりさわりのない範囲で)
しかし、奈緒の部屋で煎餅を発見した怜南は「空腹のハムスターのすず」のためと称して奈緒にねだるのだ。
そして・・・半分に割った煎餅を「残ったから」と言ってハムスターのように食べるのだった。
すべてを察した奈緒は仕方なく卵焼きを作る。
その卵焼きを食べた怜南は「先生は料理が上手」と誉めるのである。そして「私のお母さんも料理は上手だよ」と付け加える。
科学者として・・・あるいは孤独な女として・・・奈緒は意地悪な気持ちになった。
「お母さんは・・・何を作ってくれるの・・・」
「・・・ス、スパゲッティーとか・・・」
「どんな・・・」
「・・・あ、あさりのとか」
「他には・・・」
「ミ、ミートソースとか・・・ほ、ほうれん草のとか」
「・・・もう・・・いいわ・・・ごめんなさい・・・私・・・食事を誰かとすることに慣れてないのよ・・・何をしゃべっていいか・・・わからないし」
「好きなことをしゃべるといいわよ・・・好きなことを考えるといい気分になるから」
「好きなものなんてないの」
「渡り鳥・・・好きなんでしょう」
怜南は奈緒の書棚の書物を指して告げた。
奈緒は第二スイッチに点火した。思わず、「渡り鳥」について怜南に語り始めたのである。ついには「明日の朝、一緒に渡り鳥を見に行く」気分にまでなったのである。
そのための毛布の準備まで始めた奈緒に怜南は水を差した。
「でも・・・今回は・・・無理だわ・・・お母さんが心配すると思うから」
奈緒は立ち尽くした。
そこへ三浦教諭が到着した。三浦教諭は怜南を家に送り届ける。
それは怜南の母親にかなりの不快感を与えたのだろう。
「ハムスターのすず」が天国行きの水の入ったバケツに沈められなければならないほどの・・・。
奈緒の部屋には怜南の忘れ物が残っていた。
怜南の詩集である。
回るイス
家につづく坂道
バスルーム・ボイス
猫と目が合うこと
ひまわりの種を食べるすず
雪を踏む音
夜の空の雲
クリームソーダ
傘が開く音
おいしそうなクレヨンの白
おいしそうな白いワックス
おいしいポテトチップス
自転車の後ろの席
耳かき
爪きり
二つ結び・・・。
奈緒は怜南の言葉が痛いほど心に突き刺さるのだった。
やがて・・・春休みになった。
奈緒は小学校を退職し、大学に復職する準備に入っていた。
そして・・・怜南は母親の愛人に天使のコスチュームを着せられ娼婦の化粧でレイプ(リップスティックで唇を赤く染めるのはお茶の間向けの暗喩)されているところを母親に発見される。
怜南は母親のところへ救いを求めて逃げ出した。
しかし、そこにいるのは嫉妬に燃えた牝犬だったのである。牝犬に失礼だぞ。
「汚い、汚い、汚い」
母親は絶叫しながら買い物袋で怜南を殴打するのであった。
そして・・・母親は娘をゴミ袋につめ・・・春遠い夜の路上に放置したのだった。
それから、愛人とともにカラオケ付のラブホテルに憂さ晴らしに出かけたのだった。
愛人との関係を修復する方法について相手の肉体を貪る以外に知らないからである。
怜南の忘れ物を届けに来た奈緒は路上に這い出たゴミ袋を発見する。
そこにはどう見ても子供が入っているようだった。
直感的に袋を開けた奈緒はゴミまみれの凍えた怜南を発見した。
部屋に怜南を連れ帰った奈緒は途方に暮れた。
ベッドで目を覚ました怜南に奈緒は興奮して告げる。
「ああ・・・どうればいいの・・・あなたは何がしたいの・・・私に何ができるの」
「札幌に行きたいのです」
「札幌・・・いいわよ・・・札幌か」
「赤ちゃんポストに入りたいのです」
「・・・」
怜南は学校の図書室でコピーした「どうせ捨てるなら赤ちゃんポストへ」という記事を示した。
奈緒の中で何かが音もなく壊れた。
二人は朝の海岸で・・・渡り鳥を見ていた。
二人は「怜南の好きなもの」について語りあった。
やがて・・・北へ向かう渡り鳥の群れが頭上を通過した。
怜南は鳥たちを追って波打ち際まで走っていった。
「連れてって・・・私も連れてって・・・」
叫ぶ怜南の足を冷たい波が洗った。
奈緒は玲南を抱きしめた。奈緒は温もりを感じた。
「私、あなたを誘拐する」
「そんなことをしたら・・・警察につかまるよ」
「それでもする」
「牢屋に入れられて
冷たくて寒くて暗くて
ひどい目に合うよ
お風呂もないかも」
「それでも・・・私はあなたのお母さんになりたいの・・・だめかな」
「・・・」
「あなたは・・・一生バレないように・・・嘘をつき続けるの」
「・・・」
「私をお母さんって呼んでください」
「・・・お母さん・・・怜南のお母さん」
今度は怜南が奈緒を抱きしめた。怜南は温もりを感じた。
奈緒は職も捨て、家も捨てた。
怜南は家の鍵を捨て、産みの母も捨てた。
怜南の母親は狂った頭で実の娘に埋め合わせをしようと猫撫で声を出したが・・・もはやその手は通用しないのだった。
怜南は波止場で海の男たちの気を引き、そして姿を消した。
吹雪の前兆があり、波は激しくなっていた。気の良い海の男たちは消えた少女を無視できなかった。
少女の消えた海には手袋やマフラーが浮かんでいたのだった。
艀には少女の居た証拠が残され・・・大捜索活動が始まった。
やってきた母親は娘のマフラーを突きつけられた。
その頃、駅には男の子を連れた女が現れた。女は弁当を買っているときに偶然、駿輔とすれちがった。あわただしくすれちがった駿輔の携帯電話に職場から「少女の失踪の連絡」が入った。
しかし、その頃、奈緒は男の子と列車に乗り込んでいた。
夜汽車の中で男の子は女の子に戻る。
奈緒は怜南に言った。
「新しい名前が必要ね」
「名前はお母さんがつけるものでしょ」
「・・・つぐみ・・・継美・・・って言うのはどうかな」
「渡り鳥ね・・・私はつぐみ」
つぐみは和名である。英語ではトラッシュだ。綴りも発音も違うがトラッシュ(trashゴミクズ)とトラッシュ(thrushつぐみ)なのである。
和名のツグミは秋にやってきて越冬し春に北へ帰るために・・・夏にはその鳴き声が消え、口をつぐんだようになるところから来ているとも言われる。
そして、これから二人はお互いの本当の関係について口を噤むのである。
もうこのまま二人には静かに幸せになってもらいたいぐらいである。
揺れる車内のひっそりとした座席で奈緒はつぐみの髪をとかす。
「お母さんもお母さんのお母さんに髪をとかしてもらったの」
「そうよ・・・でもとかしてもらいながらいつもすまないすまないと心の中で謝っていた」
「どうして・・・」
「お母さんのお母さんは本当のお母さんじゃなかったから・・・私は捨てられて拾われた子供だったから・・・」
どこかの遠い町角。理髪店「スミレ」を経営している老女がいる。望月葉奈(田中裕子)と呼ばれるその女はあまり巨乳ではなかった。
とにかく、こうして春ドラマ二組目の血縁のない母と娘の逃避行は始まったのだ。
関連するキッドのブログ『わたしたちの教科書』
金曜日に見る予定のテレビ『警視庁失踪人捜査課』『警部補 矢部謙三』(テレビ朝日)『岩佐真悠子のトラブルマン』『里久鳴祐果の大魔神カノン』(テレビ東京)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
>こうして詩人が登場した以上はこの作品は傑作になると考えます・・・。
なるほど。
グッと来る言葉のオンパレードで、
初回のツカミはOKです!
>中には発案者の三浦の狙い通りに涙ぐんでいる子供もいる。
そうそう。この三浦先生の見せ方も上手いと思いました。
先生でなくても居ますから~、こんな人。
>そして苛酷さは時として人を早送りで成長させる。
あ~すごい説得力あるお言葉。
>そうするとハゲが治るって聞いたことがある・・・
露骨な(≧∇≦)ノ彡 バンバン!ウケる~♪
>つぐみは和名である。英語ではトラッシュだ。
>綴りも発音も違うがトラッシュ(trashゴミクズ)と
>トラッシュ(thrushつぐみ)なのである。
へ~。上手いですね~。こういうの好き。
キッドさん、そう言う所まで読めると面白いですね。さすが。
巨乳の遺伝子で母娘関係を見せてるのか…
って思わずにはいられないじゃないですか~。
そう言う所まで読めるから面白い(笑)
投稿: mana | 2010年4月15日 (木) 10時37分
作品内に詩人が登場するということは
作家が詩人である・・・必要があるわけですが
おっさんに語られても対応に困るポエムも
少年少女が語るとキラキラと輝き出す。
ここがドラマの醍醐味でございます。
特に、ポスト・・・またポストと
丁寧なフリがあって
衝撃の朗読タイム。
しかも、息もたえだえの病床から・・・。
やりやがったな・・・と舌打ちする出来映え。
一方、様々な心模様の中で
「純粋」であることと「愚鈍」は
類似したシステムであるようです。
三浦先生の「やさしい心」は
「生きていることがつらい人間」には
届かない。
実の母の仁美の「きれいな心」は
純粋に一人の男を愛するために
自分の娘が愛せなくなってしまう。
つまり「オンリー・ユー」が過ぎるのです。
まあ、「夫への愛」
「両親への愛」
「子供(たち)への愛」
「ご近所への愛」
「友人への愛」
様々な愛を使い分けることのできる人は
ある意味、「裏切り」マスターですからね。
とにかく、心模様は
性能に差があるわけです。
「幼いものを愛おしく思う心」が
なければ育児はできない。
しかし、そこに「性的虐待」の芽もあるわけです。
社会通念としてはこの手のシステム異常は
「心の病」でもあり
「自制心の欠陥」でもありますが
それを「修復可能」とするか
「廃棄処分」にするかも
意見の分かれるところ。
そうして議論が検討されるわけですが
今、ここにいる危機を感じる「彼女」は
詩を謳うしかないわけで
それが胸に迫るという仕組みでございます。
ああ、円形脱毛症に詳しい小学生、
ああ、ヤンキー・ネームのレナから
和名つぐみをいただく少女、
母親を愛人に奪われた娘、
愛人の愛人を強要されて母親に憎悪される子供。
駆け落ちですな。
二人は恋の逃避行なのでございます。
血縁はなくても貧乳同志として
固い絆の義母娘にならんことを
祈るばかりでございます。
投稿: キッド | 2010年4月15日 (木) 20時06分
これは驚きました。
これはスタジオのセットだって感じが
全くなかったです。
実際に現地で撮影したんでしょうか。
今の時代、セットを組むより
現地で撮影した方が費用が抑えられるのかは分かりませんが
まるで映画をみているような感覚でした。
映像もそうですが、この作品にただ圧倒されました。
この作品を見た後だと
今期、自分が見ていた他のドラマは
同じ「ドラマ」と呼んでいいのかとさえ思ってしまいます。
子供に嫉妬して
一時の感情に任せて子供を捨てたものの
子供の死を前にして呆然とする母親の姿とか
怜南の現状をかつての自分と重ねて
二人で生きる道を選んだ奈緒と
その奈緒の提案を受け入れた怜南と
この三人の女性の演技が秀逸でした。
奈緒と怜南の行方と共に
怜南を死んだと思った母親がどんな行動に出るのか
こちらも今後、楽しみでございます。
ちなみに三浦先生の教育熱心なようで
実は自分の用事を最優先にするという
なんとも周囲の人間と対して差がないという
演出もちとツボでした ̄∇ ̄ゞ
どうも坂元さんは以前の作品もそうでしたが
幼児虐待とか育児放棄とかそういう問題とかに
対して色々と感じ入るところがあるのかなと
ふと思う今日この頃です。
投稿: ikasama4 | 2010年4月16日 (金) 12時44分
渡り鳥を計測する静の情景。
失踪者捜索の動の現場。
そこに抜群の存在感の女優が二人。
どこか乾いている女と。
どこか濡れている女。
実にコインの裏表のような美しい女優の共演。
実の母と嘘の母。
二人の交錯がもうたまりま千年でございましたね。
まあ、実在感という意味では
最近のドラマでも抜群でした。
まあ、それを感じる人は
それほど多くないのかもしれませんが・・・。
誰かに奨めたくなる一品ですが
相手を選ばないと失望・・・の予感です。
奈緒の視線の向こうで
「校庭で何かを拾う怜南」
ここに「餓え」を読んだりしたくなるし
「傘の広がる音」と
「ポテチの袋の破れる音」は似ているなと
妄想したくなる
詩的世界が広がっているようです。
ああ、腹を減らした子供
ああ、目の前にいる
腹を減らした子供に
糧を・・・。
人の心にそのシステムだけは
標準装備してあるといいなと思うわけです。
しかし三浦教諭のように
そのシステムはあるが
リミッターつきで
セーフティー・ゾーンを越えないように
安全設計がされているのが
ノーマル・タイプ。
可動域の限界を超える専用スーツの性能は
何かを犠牲にして成立するのですな。
それゆえに子を宿せなかった女と
育みを忘れた女・・・。
この対峙は心震えますな・・・。
そして・・・その間に置かれた
未完成の人形。
その魂はどんなシステムになっていくのか・・・。
祈りをこめて見たい作品でございます。
投稿: キッド | 2010年4月16日 (金) 21時55分
三回まわり観ました。
尾野真千子は金魚を拓本にした罪で火の魚(声・竹下景子)から「あなたは永遠に転生するのです。公安になったり室蘭に行ったりするのです。きばりやー!」と言われたのだろうか。
などとアホなことを言いたくなくなる、もう旅立ちのシーンで完結でもいいじゃないかと思えてしまう感動の第一話でした。居眠り山本も田中裕子も無しでいいじゃないか。とか。う~ん、フラクタル~。
カギ置く、ハムスターの話、カギ握る、カギ置く、羽根握る…のあたりもすばらしい。巨乳・"貧乳"の件も素晴らしい(笑)。トラッシュの話は…参りました>キッドさま
投稿: 幻灯機 | 2010年4月17日 (土) 13時14分
まあ、昔だったら映画館で
なんとなく見たら
意外と良作だった・・・という程度の作品なのですが
最近は
それが大傑作に見えるほど
ドラマが衰退しているのですな・・・きっと。
まあ、テーマがテーマだけに
反則とも居えますが
孤独な大人と
孤独な子供の出会いを
淡々と描いて
二人が絆で
結ばれるまでを
淡々と描くだけで
これほどまでに美しい物語が
出現するというのは
なんだかうれしくなることなのでしょう。
それも連続ドラマという
お楽しみつきだし。
毎週、この完成度だったら・・・
凄いですよね。
投稿: キッド | 2010年4月18日 (日) 04時31分
子供の演技がうますぎて驚いた。
あんな陰鬱な街として描かれて、室蘭の人は不快かもしれない。
それにしても、札幌に赤ちゃんポストを設置した病院なんてないよ。熊本市じゃないんだから。
投稿: hi-ko | 2010年4月18日 (日) 13時56分
そうですねえ。
小学生の役を五歳児が演じていることからして
神の如き演技と申せましょう。
発育不全という設定ですし
いたいけなさや憐れさがさらに
強調される演出でございます。
ふふふ、陰鬱な町にこそ美があるという
考え方もございますぞ。
人が誰しも明るいこと楽しいことを愉快と
感じるわけではありませんからね。
熊本市にあるのは「こうのとりのゆりかご」
赤ちゃんポストはその愛称ですが
このドラマはあくまでフィクション。
子捨ての助長という賛否両論あるシステムですが
「捨て子台」の賛否は常にそうなのですな。
「親の責任」と「赤ちゃんの無実」の問題です。
ここではあくまで
「大人の責任放棄のシステム」に
「無力な子供が救いを求める無惨さ」が
胸を打つポイントでございますよ。
・・・念のため。
投稿: キッド | 2010年4月18日 (日) 23時09分
>ふふふ、陰鬱な町にこそ美があるという
>考え方もございますぞ。
よく言うわ。住んでもいないのに。
投稿: hi-ko | 2010年4月20日 (火) 11時16分
ふふふ、お名前をお忘れのようでしたので
IPアドレスから推定して
記入させていただきました。
そこに住んでいるとかいないとかではなく
陰鬱な町を素晴らしいと感じる人もいる
ということでございますよ。
たとえば「ないものねだり」と言うものがございます。
明朗な町に住んでいるものは
陰鬱な町に憧れたりするわけです。
幸せな人が不幸を賛美したりとかですね。
もちろん、不幸な人が幸せを願うのも
そのひとつにすぎないのでございますよ。
そんなのおかしい・・・と
hi-ko 様は感じるかもしれませんが
世の中は結構おかしいことで満ち溢れているものです。
今回は室蘭という町の話ですが
そこに住む人で
「この陰鬱な室蘭が好き・・・」という人が
いることを想像してみてくださいね。
まあ・・・それができない場合は
hi-ko様の想像力の限界ということで
よろしいかと思います。
投稿: キッド | 2010年4月20日 (火) 11時29分
何度もすみません
私は第1話の後半を見て、第2話と第3話を見て、ようやく今第1話の前半を見ました(早送りで。怖すぎて)。
キッド様のレビューを読んでから見ると、ゴミ袋から救出されたあと、ベッドに寝かされているレナの顔にべったり残っている口紅が、性的虐待を受けた血のように見えて胃が痛みそう(-"-;)です。
ところで録画されてないかもしれませんが、冒頭の捜索シーンで、レナ実母が「レナのマフラーです」と言った後に海の男達が取り乱して叫んでいるのですが、何と言っているのかおわかりになりますか。どうしても聞き取れないです。それより前で、しゃがみこむ男に別の男性が激しく何か尋ねている台詞もよく聞きとれない…何か、血の通った人間らしいf^_^;ことを言ってるのだろうとは思いますが…
もしおわかりでしたら、よろしければ教えて頂けると嬉しいです。m(_ _)m
投稿: リンゴあめ | 2010年5月 1日 (土) 05時31分
胃を痛ませて申し訳ありません。
ドラマの表現には限界があり
それを読み解くことも大切だと考えるので
時には刺激的な内容になることをお許しください。
キッドはやや耳が遠いので
ヒヤリングには自信がないのですが
流れを追いますと・・・。
最初に玲南を見失った男に上司がやってきて
「後藤(おそらく名前)・・・
お前、本当に(女の子が)海に落ちるところを見たのか・・・」
はっきりしないので答えない男。
発見されたマフラーが玲南のものと確認されたのを
受けてがっくりと座り込んだ男の背後で
関係者が散っていく。
そのうちの誰かが
「発見されたマフラーはよ、捜索してる女の子の
ものだってよ」
と叫ぶ・・・。
こんな感じだと記憶しています。
間違っていたらごめんなさい。
しかし、このレビューは
基本的にキッドの妄想が主なのでご容赦ください。
投稿: キッド | 2010年5月 1日 (土) 13時29分
ありがとうございました~
図々しくお願いしちゃってすみません。胃が痛みそうは大げさでした~すみません全然キッド様のせいじゃないです。ありがとうございました。
投稿: リンゴあめ | 2010年5月 1日 (土) 14時04分
いえいえ、どういたしまして。
知っていることを教えることは
キッドにとって喜びでございますから。
お役に立てたら幸いです。
大袈裟な表現も大歓迎ですぞ。
投稿: キッド | 2010年5月 1日 (土) 16時28分