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2010年5月31日 (月)

息子を愛した刑事(阿部寛)

うう~ん。久しぶりに短いタイトル。「新参者」も入れたいところである。

上杉刑事を演じる泉谷しげるといえば、以前にも記述したが初対面でプロフィールを確認した時、「古い資料によると青森県出身になってますが・・・」「あ、それ、嘘。イメージ戦略。都会生まれより田舎の出身の方がフォーク・シンガーっぽいだろう・・・だからだよ」というやりとりを今でも思い出す。だからキッドのデータファイルは【泉谷しげる】出身地・青森県/東京都になっている。その後「手塚治虫と赤塚不二夫」どっちが偉いというしょうもない企画で赤塚不二夫を水責めにしてもらったり、元気が出る忠臣蔵で吉良上野介を演じてもらったりしたのでどちらかといえば感謝すべきタレントである。

しかし、単なるお茶の間的感覚で言えばドラマ「ケイゾク」(1999年)で通称「痰壺」こと壺坂刑事を演じていたことを思い出す。十年以上前に定年退職する刑事を演じているのである。だから、上杉刑事・・・まだ現役なのかよっとツッコミたい気持ちはあります。

ただし、泉谷しげる(62)なので「ケイゾク」では老け役を演じていたということである。

ただし・・・出身地で平気でフィクションなので実年齢もフィクションかもしれない。

とにかく・・・低調な「新参者」の中で・・・存在感は抜群でした。

で、『新参者・第7話』(TBSテレビ100530PM9~)原作・東野圭吾、脚本・牧野圭祐(他)、演出・石井康晴を見た。浮かんでは消える容疑者たち。ついに日本橋署(架空)の加賀刑事(阿部)の疑いの眼差しは事件の捜査にあたる警視庁捜査一課のベテラン刑事・上杉に向けられる。関西弁を使うありえへん警視庁(東京都の警察です)捜査一課の上司・小嶋殺人犯主任(木村祐一)の捜査方針に逆らい、被害者遺族に執拗につきまとう上杉刑事に加賀は不審を感じるのだった。もちろん、この不審は例によって事件とは無関係である。

基本的に「複数の容疑者たちをシロにしていけば最後に残ったものがクロ」というのが加賀刑事の捜査方針である・・・もう少し効率的に・・・などとはけして指摘しないでください。

杉山が狙いをつけるのは殺された被害者・三井峯子(原田美枝子)の息子・清瀬弘毅(向井理)だった。しかし、杉山は刑事であることとは別の感情で清瀬に接していたのだ。役者になる夢のために親と軋轢が生じて家を出た弘毅に・・・亡き息子の面影を重ねる杉山だった。杉山の息子は不良少年で三年前、バイク事故で死亡していた。

現場で花を手向ける杉山。そこに「ちなみに」とつぶやきながらやってきた加賀。

加賀「今日は何の日ですか・・・」

杉山「息子の命日だよ・・・」

杉山は被害者の離婚した夫と被害者の間で金銭トラブルが持ち上がりかけていたことを被害者の元夫であり、弘毅の父親でもある清瀬直弘(三浦友和)に問い詰める。しかし、直弘はその疑いを否定するのだった。それを裏付ける証言をする税理士の岸田(笹野高史)・・・もちろん、容疑者の一人である。

岸田は直弘の秘書である宮本(マイコ)をリストラするように苦言を呈していた。

杉山は直弘と宮本が愛人関係にあると疑っている。直弘の女性関係について弘毅に尋ねる杉山。弘毅の脳裏には宮本の姿が浮かぶがそれを口にはしない。無意識に直弘をかばったのか・・・それとも別の理由があるのかは不明である。

それはそれとして劇団員として夢を追いかける弘毅の姿に・・・杉山は密かに萌えを感じるのだった。

もはや、杉山は弘毅の実の父親である直弘に軽い嫉妬を感じるほどになっていた。

それは息子が生きているのに仲良くしない父親に対して苛立ちを生じさせていく。

その異常な心理に疑問を感じる加賀だった。

そんなある日、タウン誌の仕事をやめ、ジャーナリストとして恋人の母親の死の取材を始めた亜美(黒木メイサ)は直弘が上杉を殴る現場を目撃する。

しかし、暴力をふるったのは「上杉刑事だ」という直弘の主張に対し、上杉は反論せず・・・免職されることになる。

上杉は宮本秘書に「水商売あがりの悪女」と暴言を浴びせ、直弘に殴られていたのだった。すべては弘毅と直弘の不仲が直弘と宮本秘書との色恋沙汰によるものだと妄想を膨らませた結果だった。

再び、上杉の息子・和博(早乙女太一)の事故現場で再会する上杉と加賀。

加賀「今日は何の日です」

上杉「息子の命日だよ・・・」

加賀「息子さんは二人いたのですか・・・」

上杉「今日は息子が死んだ日だ・・・この前は・・・オレが息子を殺した日だよ」

加賀「それはどういう意味ですか?」

上杉「息子が無免許運転で逮捕された時・・・オレはそれをもみ消したんだ・・・」

加賀「それは・・・刑事としてですか・・・それとも父親として・・・」

上杉「そんなのわかるかよ・・・ただ、結果として俺が息子を殺したことには変らないだろ・・・俺は刑事失格だし・・・父親も失格なのさ」

加賀「・・・ここに息子さんの中学時代の卒業文集があるんです・・・読んだことありますか・・・」

上杉「なんだ・・・それは」

父親は刑事です。

パッとしない父親だけど誰より正義を愛している。

いつか父親のような刑事になり

一緒に事件を解決したい。

それが自分の夢です。

加賀「もっと早く・・・読んでおくべきでしたね」

涙にくれる上杉を残し・・・加賀は去った。

とにかく・・・またしても事件の解決する気配はないのだった。

まさかと思うが・・・たい焼き屋「銀のあん」の看板娘・奈々(沢木ルカ)が犯人とかじゃないよな・・・。秘伝のレシピを被害者が盗もうとしてあれやこれやで・・・なわけないだろ。

犯人は・・・きっと・・・いや、やめておこう。

関連するキッドのブログ『第6話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『離婚同居』(NHK総合)『絶対零度・未解決事件特命捜査』『ジェネラル・ルージュの凱旋』(フジテレビ)

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2010年5月30日 (日)

お龍、刃物をとりてつきつけ覚悟を問えば極道も土下座して謝しぬ(坂本龍馬)

安政の大獄の犠牲者の一人、医師・楢崎将作の長女・龍は天保十二年丑年生まれである。そういう意味で年をごまかしていた可能性はある。天保三年辰年の生まれなら龍馬より三つ年上、天保十五年辰年の生まれなら九つ下である。まあ、別にお龍だからって辰年生まれとは限らないけどな。ちなみに龍馬は天保六年未年生まれである。

文久二年(1862年)に将作が病死(獄死とも言われる)すると楢崎家は一家離散状態で、当時21才のお龍、14才のお光(光枝)、10才のお君(起美)の三姉妹は全員、女郎として売られたという考え方もある。

女郎としては薹の立っていたお龍はあるいは一人売れ残ったという考え方もあるし、あるいは借金のない状態での身売りだったとも考えられる。

とにかく、安政五年(1858年)に夫が投獄されると妻の貞は生活に困り、上から順番に娘を女郎屋に売り払っていたという妄想は膨らむ。そして、お龍はもちろんそういう母を憎み、幼い妹を取り返すために刃物を持って女衒と渡り合ったわけである。

文久三年の天誅組の乱において、事が敗れるにあたり、従軍慰安婦だったお龍が途方にくれたことは充分、想像できる。もちろん、父の遺志を継いでお龍が尊皇攘夷に燃えて天誅組に参加していた・・・という考え方もあるが、それは各自の好みの問題だろう。

おそらく・・・龍馬はそういう影のある美人にめろめろになったのである。

で、『龍馬伝・第22回』(NHK総合100530PM8~)脚本・福田靖、演出・大友啓史を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は烈婦楢崎龍妖艶描き下ろしイラストに義士近藤勇精悍描き下ろしイラストの二大特典付の大サービスでございます。京都における政情変化と勝塾との微妙な関係、土佐藩における殺人犯捜索と権力闘争と人々の動向、四面楚歌の坂本龍馬の苦渋・・・。そういういつもなら曖昧に過ぎ行く部分をこれでもかとばかりに推理で埋めていく今回の大河ドラマ。まさに歴史フリークに対する踏み絵状態でございますね。正史と異端史、伝承と創作、娯楽性と歴史性、その妥協点をギリギリまで探った気配の漂う渾身の文久の終焉・・・。そして新撰組VS土佐勤皇党の最初で最後の戦い・・・実に天晴れな展開でした。やや早めの龍馬とお龍の出会いもそれなりに描かれ・・・境目の不明確な元治元年(二月十九日まで文久四年)になだれこむ勢い。なかなかに考え抜かれた北辰一刀流・坂本龍馬と天然理心流・近藤勇との幻の直接対決。できれば実況・解説してもらいたいくらいの迫真の戦いでございました。続々、登場の幕末のヒーロー・ヒロインたち・・・まさに革命前夜の輝きです。

Ryoma186306 文久三年(1863年)八月の天誅組の変から元治元年(1864年)六月の池田屋事変まで日本国内の騒乱は公武合体派と尊皇攘夷派の対決というやや変則的なものになっている。その異常さは尊皇攘夷派の頂点に立つとも崇拝の対象とも言える今上天皇が公武合体派に属するという現実に起因を求めることができる。俯瞰して眺めれば冗談のようなことだが事実である。この滑稽さが政治というものにはいつもつきまとうのである。土佐勤皇党の武市半平太がいかに大殿・山内容堂への忠節を強弁しても容堂が公武合体派である以上、そして武市半平太が尊王攘夷の旗印を掲げる以上、対立は避けられないのが必然なのだ。それでもなお、武市が筋を曲げないことを義とするか愚とするかは後世の人々の好みの問題ということになるだろう。この頃、米国は南北戦争も酣であり、日本への圧力は減じ、英国と仏国が略奪者として台頭してくる。公武合体派と尊皇攘夷派の対立がいつしか佐幕派と討幕派の対立に摩り替わっていくのは要するに仏英の代理戦争に過ぎないからである。そして明治維新とは貿易戦争における大英帝国の小さな勝利に過ぎないと考えることも可能なのである。

しかし、そういう大筋と個々の人々の人生はまた別である。時代がどう変転しようと人々は生きていかねばならないのだ。大和国の山中を逃げ惑う天誅組の敗残兵たちも必死だった。天皇の行幸(親征出陣)の先鋒として華々しく出発した勤皇の志士たちにとって事のなりゆきは予想外だった。すでに御所は公武合体派の諸藩、特に宿敵・会津藩と裏切りの薩摩藩に押さえられ、自分たちが朝敵の賊軍と成り果てたことを中山忠光将軍や吉村寅太郎参謀たちが知ったのは周辺諸藩の天誅組追討軍との遭遇戦の果てだった。

天の辻の天誅組本陣からは続々と逃亡者が出ている。医師の娘として五条での戦いの負傷者の手当てをしていた楢崎龍が戦線離脱を決意したのも・・・このままでは金にならないとふんだからである。五年前に父が投獄されてから体を売って一家を養ってきた龍は時勢の流れに敏感だった。金の切れ目が縁の切れ目なのである。

夜の闇を道なき道を京に向かっていく龍と坂本龍馬は運命に導かれて遭遇する。

「お女中・・・どちらへ参られる」

闇の中からの声に龍はびくりと身を震わせる。

「誰や・・・もののけさん・・・どすか」

「ちくと・・・ものをたずねたいだけじゃ・・・天の辻はどっちかの」

「なんや・・・迷子はんかいな・・・」

「まあ・・・大和の国は初めてじゃから」

「あちらが天の辻どす・・・」

「おお・・・よく見ればお前はえらい別嬪さんじゃの・・・」

「なんや・・・やはり・・・盗賊かいな」

お龍は懐の父の形見の手術刀に手を伸ばす。

「待て、待て早まるな・・・といって・・・なんだか・・・無性に今、わしはたぎってきちょる・・・ちくと困ったの・・・そうじゃ、これでどうかの」

お龍は驚愕した。一瞬で目の前の男が全裸になったのである。その下腹部は月光をあびててらてらと輝いている。闇の中でお龍の頬が紅潮した。

「それにな・・・わしは今、懐が温いんじゃ・・・ま、裸だから懐はないがの・・・ほれ」と龍馬は両手に十枚ほどの小判を見せた。千両箱輸送中に百両ほどちょろまかして、仲間と山分けした残りである。闇の中でお龍の目が光った。

「景気がよくておよろしいなあ・・・うちは金持ちは大好きどす」

お龍はすっと仰向けに寝ると股を開いた。

「これは話が早いの・・・」と龍馬はたちまちのしかかる。お龍があっと気がついた時にはすでに龍馬は行為におよんでいた。その熟練の動きにお龍は感心した。その耳元に龍馬がささやく・・・。

「中山の大将はご無事かの・・・」

「それを答えるのは別料金どすえ」

「ふふふ・・・がっちりしてるの・・・」

その頃、天の辻の陣屋では吉田寅太郎が高取城から戻った那須信吾を詰問していた。

「どうも情報がもれておるようじゃ・・・」

「・・・そうじゃの・・・」

吉田寅太郎は那須信吾の死人のような顔色に不審を覚えていた。

「御主・・・信吾ではないな・・・」

寅太郎は那須を変装した患者と見抜いた。居合いが一閃し、那須信吾の首が宙を舞う。どっと前のめりに倒れる体から首へと寅太郎が目を離した瞬間、首なしの体が抜刀し、那須信吾の腹を薙ぎっていた。

「・・・おまえは?」

「吉田様・・・すまんの・・・殿の命令じゃ・・・」

「蔵六の術・・・亀弥太か・・・」

消えた首から亀が頭を出すように望月亀弥太の顔が現れた。

「ふ・・・殿の影衆が動いておったか・・・ぬかった」

「今頃、龍馬が十津川郷に回って詔を伝えておるき・・・背後の逃げ場もなくなって天誅組も仕舞いじゃ・・・」

「中山様はどうなる・・・」

「望月一族が無事にお逃がし申し上げるき・・・長州ものが堺に船が用意してあるそうじゃ・・・」

「そうか・・・」寅太郎は笑おうとして顔を歪めつつ絶命した。

すでに京の都にも冬の気配が漂っていた。

野良犬となった岡田以蔵は風邪を引いていた。抜け忍のお夏は宿を手配するために隠れ家としている廃屋を出ている。殺気を感じ、以蔵は熱に犯された体をおこした。月は新月である。

「これは・・・だめかもしれんな」

以蔵は鼻水をすすりあげ、刀を取る。そして一気に表へ走り出た。そこには奇妙な装束に身を包んだ三匹の侍がいる。

「なんじゃ・・・赤穂浪士か・・・」

「ふふふ・・・人斬りこと岡田以蔵だな・・・」と先頭に立つ男が人相書きをつきつける。

「暗くてよう見えん・・・」とぼけながら以蔵は相手が並々ならぬ力量の使い手であることを悟った。先頭の男の背後にいる二人の男はゆっくりと左右に分かれていた。

(囲む気か・・・)剣術使いにとってもっとも恐ろしいのは死角からの攻撃だった。見えない剣は受けようがないからである。以蔵はそれを封じるために左に動く。

先頭にいた男はその場で抜刀した。

「新選組・・・近藤勇」

右から以蔵の背後に回ろうとしていた男も抜刀する。

「同じく・・・沖田総司」

以蔵は左へと回転しながらなんとか背後を取られないように移動する。結果として三人の男は一列に並ぶ形となる。

以蔵には左端の男が一番剣の腕が劣ると見えていた。その男も抜刀した。いつの間にか以蔵と三人の男が一列に並ぼうとしていた。

「土方歳三・・・」代わって先頭になった男が静かにつぶやく。

「わしは・・・上州浪人・・・無宿の鉄蔵じゃ・・・」

「上州なまりたあ・・・笑わせる・・・風嵐の陣くらえやーっ」

以蔵は突進する土方の突きを跳躍で交わして袈裟切りを狙った近藤の頭を踏み越える。

近藤は叫んだ。「お、おれを踏み台に・・・」

下から斬り上げる沖田と振り下ろす以蔵の剣が交錯する。以蔵の剛腕と沖田の凄腕は伯仲していた。二本の刀は同時に折れた。以蔵はそのまま、遁走に移った。

「こ、近藤さん・・・オレのオレの菊一文字が・・・」

「泣くな・・・総司・・・また買ってやる・・・」

森を抜け・・・以蔵は闇雲に走った。その前にお夏が現れた。以蔵は張っていた緊張の糸が切れた。

「まあ・・・ひどい熱・・・」以蔵はお夏に抱かれ、古びたお堂に入る。

「熱さましよ・・・飲んで」以蔵はお夏の差し出した丸薬を飲み込む。

心に安堵があふれ・・・以蔵は眠りに落ちた。お夏は立ち上がると変装を解いた。女は望月一族のくのいちお幸だった。

「以蔵・・・鼻が効かなくて残念だったねえ・・・」

次に以蔵が目を覚ましたのは土佐藩大阪屋敷の牢獄だった。

その頃、本物のお夏は以蔵の姿を求めて・・・京都郊外の野原を彷徨っている。

関連するキッドのブログ『第21話のレビュー

月曜日に見る予定のテレビ『月の恋人』(フジテレビ)

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2010年5月29日 (土)

さよなら大好きな女なんだよメガネちゃん(成宮寛貴)いいえ夕映えによくにあうあの曲ですよヤンキー君(仲里依紗)

さて・・・誰が殺したウサギさんは・・・れもん(柴田杏花)の仕業だったわけだが・・・「悲しい気持ちが分からない」発達障害児童の物語である。これがわからないといろいろな問題が生じるわけだが・・・越えられない壁はずっと越えられない場合もある。キッドは「割り算」が分からなくてかなり悩んだ期間があった。母に1年くらい教わってある日突然分った時は自分が三重苦のヘレン・ケラーになり「うおーたー」と叫びたい気持ちであった。「そっかー・・・あまるのかー」である。長い間「わりきりない」という概念が腑に落ちなかったのである。

「悲しみ」がわからないものもいれば「文字」がわからないものもいる。

そういう多くの人にとって簡単なことができないのはものすごく苦しい場合もあるし、場合によってはそういう「苦しみ」がわからない場合もある。「軍隊がなければ平和がない」ということが未だにわからない日本国民も多い。

そういうかなり先端的な問題に取り組む「ハガネの女」なのだが、脚本、演出、主演女優の演技・・・どれをとっても水準に達していない・・・そのためにものすごく批判的なレビューになりそうなので今回はパスします。

で、『ヤンキー君メガネちゃん・第6話』(TBSテレビ100528PM10~)原作・吉河美希、脚本・永田優子、演出・高成麻畝子を見た。演出家チェンジで持ち直した今回。なんていうか、青春の似合わない演出スタイルって・・・あるんだよな。まあ、前回は脚本もキャストもやや弱かったけれど。今回は・・・となりのクラス2年B組の落ちこぼれ宮城純(石橋杏奈)登場でそれだけでも十分、ドラマとして成立するのである。

大地(成宮)には高校入試で好きになった女の子がいるのだが・・・なぜか・・・その顔を覚えていない。顔も知らない女の子を好きになるというのが・・・大地の異常なところであるとも言える。その女の子は入試の時にピンクのシャーペンを貸してくれた恩人でもあるのだった。

進学校である紋白高校に入学したのは「まぐれ」と周囲に断定される大地。

自分では・・・否定したい気持ちもあるのだが・・・現実は追試街道をひた走るのである。

もちろん、学年最下位の花(仲)もぴったり後方追走なのである。

その中に宮城の姿がある。その試験の最中に大地は宮城からシャーペンを借り、その時の印象から・・・宮城こそ「シャーペンの君」だと思い込む大地。

もちろん・・・お茶の間は「その人」が花だと暗黙の了解をしているので・・・ちがうし・・・と誰もが舌打ちします。

ともかく・・・例によって「来ちゃう」気がして妄想の海に溺れあやうく千葉(小柳友)とアーッ!な関係になりかかる大地だった。

一方、赤点仲間として宮城と意気投合し、一緒に千葉にお勉強を教えてもらう再追試メイトになる二人だった。

その仲睦まじさに花の舎弟・凛風(川口春奈)は激しく嫉妬するのだった。

ところが・・・勉強会の途中で宮城は「用事があるから・・・」と下校してしまう。

一方、生徒会のもう一人の副会長・和泉(本郷奏多)は優等生なのに突然、授業中に居眠りをしたり奇行が目立つようになっていた。

そんな、ある日、宮城は校則で禁じられたアルバイトが発覚し、停学処分になってしまう。

「ピンクのシャーペンの君」への思慕で宮城につきまとう大地は宮城がクラブ活動のグラウンドを眺めながら紙飛行機を飛ばすのを見る。それは「進路相談のための三者面談の案内」だった。

理系の進学を目指すと決めた大地だったが自信がないために進路相談から逃げ腰である。そんな大地のために担任の堺(皆川猿時)は家庭訪問を決行する。

母(堀ちえみ)に殴られ、父(古田新太)に説教され、愛情を目一杯に感じる大地。

しかし、堺は気になる情報を大地にもらす・・・。和泉の家に誰もいない・・・というのだ。

気になったので和泉を尾行した大地は宿命のライバル相模(波岡一喜)と遭遇する。

相模のアルバイトするレストランで和泉もアルバイトをしていたのである。

「処罰されたらどうするんだ・・・」と説教をする大地に和泉は「生徒会副会長の辞表」を預けるのだった。

頑なな和泉の態度に何事かを察した大地は相模から情報収集をする。

すると・・・和泉の父親が入院したために和泉は苦学生になっていたことが判明する。

また・・・宮城の父親もリストラにあい宮城も苦学生になったことを聞き出す花。

花「勉強したい気持ちがあるのに・・・このままでは二人は退学になってしまいます」

大地「・・・」

花「なんとかしてください」

大地「どうしろっていうんだよ・・・」

花「そんなのわかりません」

大地「・・・うぜー」

やがて、停学中にアルバイトが発覚した宮城は自主退学を勧告されてしまう。

花「そんな・・・一生懸命な人が報われないなんて」

宮城「ルールだから仕方ないよ・・・」

花の気持ちはせつなくなってしまうのだった。そして・・・たった一人の再追試会場を飛び出してしまうのである。

花「いやだ・・・いやだ・・・数学の問題あつめてひとつずつ夢を数えたのに・・・だまりこむフレンズが悲しくて・・・試験なんかやってられません」

堺「そんなこといわれても・・・」

大地もまた思い悩み・・・藁にもすがる思いで生徒手帳の校則を読み直す。

すると・・・「校則は生徒の2/3の賛意で変更できる」という条項が・・・。

大地「会長」

花「なんですか」

大地「これは生徒会の仕事だろう」

花は大地の提案に希望を見出すのであった。

そして、署名活動が展開され校則は「事情によって校長が許可すればアルバイト可」に変ったのである。

「父親が退院するまでの条件付」でアルバイト許可の下りた和泉だった。

和泉「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・サンキュ」

大地「ええーっ」

友情の開花に戸惑う大地だった。勉強教えてもらえよ。

そして、花は宮城と仲良く再追試を受けたのだった。

しかし・・・結局は家庭の事情で退学を決意する宮城。

花「そんな・・・せっかく・・・フレンズになれたのに・・・」

宮城「しょうがないよ・・・ゲストなんだもん・・・っていうか・・・私、この学校に来てもう幸せになれたよ・・・ありがとう」

花「高校無料化なのに・・・」

宮城「学校だけが人生じゃないから・・・それにこれが格差社会というものだし」

笑顔で花の手を握る宮城だった。

学校を去って行く宮城に声をかける大地。

大地「これ・・・借りてたの・・・返すよ」

宮城「これ・・・私のじゃないよ」

大地「えーっ」

宮城「きっと・・・大事なものだから・・・大切にしてね」

時がとまる気がした大地だった。そして二度と戻れないフレンズは遠くへ去ったのである。

まあ・・・中退しようが・・・交際しようと思えばできるけどゲストだから無理なのである。

大地の短い恋は終ったのだった。

しかし、大地の背後には涙に濡れた凛風と花が佇んでいるのである。

二人が大地に恋をしていることを・・・大地はまだ知らないのだった。

まあ・・・最後まで気がつかないというのも甘酸っぱい青春としてはあると思います。

とにかく今週は・・・心にレベッカの鳴り響くいいのほほんだった。

この女流トリオで毎週作ってもらいたいくらいだ。

関連するキッドのブログ『第5話のレビュー

日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)『新参者』(TBSテレビ)『女帝薫子』(テレビ朝日)『荒川アンダー ザ ブリッジ』(テレビ東京)

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2010年5月28日 (金)

大人の女になれなくて(上野樹里)素直に寄り道中(瑛太)不潔なことを言わないで(大平うみ)

首相も大臣も小学生みたいなこの国で・・・子供が二人の主婦の精神年齢15才宣言は中学生なのでちょっと大人と言えるのかもしれない。

ああ、世界はいつも大体平和で、世界はいつもそこそこ危険に満ち溢れている。

下がり続ける物価は経済の国際化により貧困の波が押し寄せている前兆なのである。

日本は世界から大量に注文を受け、世界に大量の下請けを出す。金は流れていくが、それは多くの日本人を素通りしていくのである。

もうすぐ、貧しい日本人が世界に出稼ぎに出かける時代がくる。

しかし、それを世界が受け入れてくれるかどうかは別問題なのだ。

同窓会のマドンナの夫は嘲笑の的という存在だが・・・お茶の間の皆さん・・・明日は我が身でございますよ。

で、『同窓会~ラブ・アゲイン症候群・第6回』(テレビ朝日100527PM9~)脚本・井上由美子、演出・秋山純を見た。この期に及んでプラットニック・ラブ宣言である。抱き合っておいてそりゃないだろうである。一体、何を守ろうとしているのか。「(今日は)キスもしていないのに・・・(マドンナ談)」ということで脳内補完しておきます。二人は清い交際なのに一人狂人と化したマドンナの亭主が何もかもぶち壊していくというテイストはなんだかな~なのである。今回は「流星の絆」の静奈(戸田恵梨香)の幼少時代や、「オルトロスの犬」の渚(水川あさみ)の娘・澪でお馴染みの熊田聖亜が演じる悪女(斉藤由貴)の夫(神保悟志)の愛人(野波麻帆)の娘・真奈が全部もっていきましたけどねーっ。

マドンナ 純情よろめき路線で↘12.6%なう。

亭主 妻不倫パート通いも疑って稼ぎもなしに通せんぼとか

刑事 くちづけもなんやかんやもできもせず妻におこられ朝飯も抜き

色男 適当なところで妥協重ねればその場その場でおいしい思い

役人 歌の会かよ・・・F君とか呼びかけられて恥ずかしいよ。

キャスター ただ今、入ったニュースによりますと首相は米国にいい顔した模様です。

悪女 きゃーっ・・・夫が破産したわよ・・・まさか私と離婚するための偽装破産?

社長 いや、マジ破産です。経営破綻です。一家離散です。

みゆき ふるさとにむかう最終にのれる人はいそぎなさいと・・・

マド娘 この歌って年の瀬ムードよね・・・季節はずれよね~。

息子 君ってなつメロおタクだったんだ・・・。

マド娘 汚らわしい・・・不純な男の息子のくせに・・・。

息子 そんな・・・不倫は一人じゃできないんだぜ。

マド娘 なによそれ・・・口説いてるつもり?

息子 き、君って自意識過剰だよ・・・。

鑑識 青春ですな・・・。

由実 どうしてどうしてボクたちは出会ってしまったのだろう・・・・

キャスター ただ今、入ったニュースによりますと消費者大臣は沖縄でいい顔したそうです。

亭主 携帯を妻に内緒で解約し我泣きぬれてドレスを抱く

アイロン マドンナのご主人ダメダメだわ~。

鑑識 私でもこれほどの女々しさはありませんでしたな。

キャスター、ただ今、入ったニュースによりますと首相は消費者大臣にいじめられているとママに電話をしたそうです。

悪娘 お母さん・・・お母さんと一緒に行く・・・お母さん・・・私を連れてって・・・おかあしゃあん・・・グスングスン。

悪女 こんな私をお母さんって・・・お母さんって呼んでくれるの・・・。

色男 水商売の実母より資金潤沢な養母を選択かっ・・・末恐ろしい娘・・・。

悪女 なによ・・・文句あるの?

色男 ありません。

悪女 面倒みてくれるの?

色男 見ます見ます・・・この命ある限り・・・残り少ないですけどね。

キャスター ただ今、入ったニュースによりますと消費者大臣は首相のママを門前払いしたそうです。その時の模様をごらんください。

ママ いくらなの・・・いくら払えばウチの子の顔を立ててくれるの?

大臣 金じゃないんです・・・選挙に勝ちたいんです。改選なんです。それだけなんです。

キャスター 番組の途中ですが臨時ニュースをお知らせします。都内の路上で刑事が容疑者に刺された模様です。

刑事 張り込み中に女と逢引していて刺されるなんて・・・ふ、不覚・・・。

鑑識 これは不祥事ですな・・・。

マドンナ あ、アソコは・・・アソコは無事なの~?・・・こ、これからなのに~。それだけはイヤァァァァァァァァ!

関連するキッドのブログ『先週の木曜日のレビュー

で、『素直になれなくて・第7回』(フジテレビ100527PM10~)脚本・北川悦吏子、演出・西坂瑞城を見た。脅威の粘り腰を見せるこのドラマ。→11.6%で→キターッ!!である。まあ、とにかくこの手のドラマをまだまだ見続ける人がいる・・・ということなのだな。それにしてもこのスカスカ感はなんなのだろう。「Mother」とくらべると同じドラマとは思えない。もちろん、それでいいのである。お茶の間は多種多様の人々の集まりなのだ。誰もがキッドと同じ感性だったら不気味だからな。もう眠くなるような展開の連続。素人に毛の生えたような演技構成。当たり障りのない筋書き。こういうドラマがあってこそのバラエティーに富んだ編成といえるのだ・・・いい加減にしておけよ。相手、神様だぞ。

ハル 上は露骨な下ネタだけど・・・こちらでは禁止なう。

ナカジ そうそう・・・そうでなくてもサブ・タイトルが「いけない夜」なう。

ドクター イケルもイケナイもそれ以前です。大人の男と女になれません。

リンダ どうでもいいけどトモダチの集まりで彼女が消えてからやっちゃった宣言はないよな。

ピーち 恋愛の神様のおっしゃることだから正しいのです。

ナカジ オレはあの人ともきれないし、ハルにもちょっかい・・・そしてピーちと一夜をともにしました・・・それが、なにか。

ハル どうせ、キスもしていない宣言なう。

ピーち オホホ・・・甘いわね、ハル。何もしなければピアスははずさないの。

リンダ 何かしたなら片方だけ忘れるのって微妙だよな。

ピーち オホホ・・・作戦よ、わざと忘れてもう一回作戦よーっ。

ハル それなら、両方忘れればいいのに。

白髪鬼 もう・・・いいじゃないか・・・そういうダンドリがしたかっただけで恋愛の神様はディティールにこだわらないタイプなんだから。

姥桜 亭主元気で蟹工船。

ハル ドクターと勢いで付き合い始めたけどカニを届けるのはナカジです。

妹 カニ食べ損ねた・・・トッキョタッワー。

リンダ 結局、ドクターとハル、ナカジとリンダでオレ・・・余りか・・・。

ピーち まあ、結局、最後はハルとナカジよね~。

ナカジ オレは・・・これっきりこれっきりもうこれっきりですか~。

井川遥 これっきりこれっきりもうこれっきりなのよ~。

ナカジ じゃもう・・・ピーちでいいや。

ピーち とりあえず当て馬よね~。

妹 カニ食べたかった・・・。トッキョスカイツリー。

ドクター 結局、ふられ役ですか、殴られ損ですか。

キャスター ただ今、入ったニュースによりますと、閣内不一致で連立解消で琉球独立で中国離島占領で豪州提訴で失業率過去最大で口蹄疫牛埋葬拒否で首相は韓国外遊です。この国はどうなってしまうのでしょうか。まあ、このドラマの視聴者には関係ないですよね。

キッド 今夜は困るよなあ・・・ヤンメガに陰日向に咲くぶつけられてもなぁ。ハガネの女もあるのになあ。ト、トラブルマン一回休みかよっ。大魔神カノンとAngel Beats!もかぶるんだよなあ。あー、なんだか・・・無性にガンプラが作りたい。

ハル 私ってたとえるとしたら何?

ナカジ の・・・だめ。

土曜日に見る予定のテレビ『怪物くん』(日本テレビ)『タンブリング』(TBSテレビ)『矢田亜希子の刑事・鳴沢了』(フジテレビ)再復活か・・・しぶといな。しかも・・・刑事役か・・・。大丈夫なのか・・・いろいろと。

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皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2010年5月27日 (木)

遠くで汽笛が聴こえる観覧車と潮騒のゆりかごとMother(松雪泰子)

母性とはもちろんフィクションである。

大脳生理学が発展し、人間の意識についての情報は飛躍的に増加した。

脳内の情報の蓄積や処理・・・思考のシステムも怪しい心理学の仮説を葬り去る勢いで解明されつつある。

しかし、以前として謎は残る。

分析不可能な部分は残るのである。

大脳の機能局在は解析されたが・・・人がいつどこでどのように「思う」のかは未だ知られざる世界に属する。

科学者の中には形而上学的な「魂」の存在を予見するものまでいるのである。

それを「格差」と見るのか「個性」と見るのかは別として・・・人の脳には個々の相違があることは間違いない。

「母性」というシステムを有効活用するもの・・・しないもの・・・あるいは誤作動させるもの。

つまるところはあらゆるものは相対性の海に還元されていく。

善は悪に悪は善にたやすく姿を変える。

そうしたとらえどころのないものを「Mother」というフィクションは描いていく。

母なる存在をフィクションとして人に感じさせるために・・・。

水曜日のダンスは・・・。

「臨場」・・・17.9%↗18.6%↘16.7%↗16.9%・・・・・・↗18.6%↘17.0%↗18.6%

「Mother」・・・・・・11.8%↗12.0%↗12.8%↘10.0%↗11.9%↗13.9%↘12.4%

前田愛さすがだな。伊達に死体にならないな。

で、『Mother・第7回』(日本テレビ100526PM10~)脚本・坂元裕二、演出・長沼誠を見た。対比はフィクションの基本である。フィクションの本質の一つは「たとえ話」だからだ。前回が「藤子(高畑淳子)という義母と奈緒(松雪)という義母」の対比なら、今回は「葉菜(田中裕子)という生母と仁美(尾野真千子)という生母」の対比である。フィクションの作り手は視聴者という受け手の感情移入のシステムを利用して、対比によって揺さぶりをかける。

葉菜の行動に共感すれば仁美の行動を敵視せざるを得ないが・・・実は葉菜も子を捨てた生みの母であり、子を虐待の果てに遺棄した生みの母である仁美と多くの共通点を持つ。

母に捨てられた奈緒と母に捨てられた継美=怜南(芦田愛菜)の擬似母娘がその冷酷な現実に翻弄されていく姿はまさに劇的である。

そして・・・物語は奈緒という義母と仁美という生母の継美争奪戦へと収束していくのである。

ああ・・・実にシステマティックだなあ。規律正しい作劇のお手本である。

ハイエナのような雑誌記者・駿輔(山本耕史)は仁美の上京を知り、それを奈緒の生母で継美の守護神である葉菜に知らせる。

死病を患っている葉菜は検査入院中の病室を抜け出し、かりそめの母娘を守るために奈緒と継美が潜伏するホテルを急襲する。

葉菜「記者さんから・・・あなたたちが鈴原の家を出たことを知りました・・・そして北海道から悪魔のようなあの人が東京に出てきたことも・・・」

奈緒「え・・・継美をゴミ袋に入れて路上放置した・・・あの鬼女さんが・・・来たというのですか・・・でも・・・あなたには関係ありません」

葉菜「私はあなたに許されようとは思いません。でも一番大切なものを選んでください・・・継美ちゃんを守ること。そのためには一人より二人の方がいい。ホテルにいるよりも私の家の方がいい。あなたが働いている間、継美ちゃんの面倒を見る人間がいた方がいい。私にはそれができます。私も継美ちゃんを守りたいの」

奈緒「・・・」

葉菜「さあ・・・行きましょう」

恐ろしいママの出現に継美はパニックに襲われ戸締りをしてカーテンを引く。

その様子を見つめて・・・奈緒は複雑な思いを抱く実の母「うっかりさん」の提案に力なく従うのだった。

ハイエナは餌の確保に忙しい。興味深い取材対象である仁美をとりあえず自宅に連れ帰る。そこへ・・・電話で相談を受けた鈴原家の三女・果歩(倉科カナ)がやってくる。先週の声の小さい謎の人物はおそらく涙声で電話をかけてきた果歩だったのである。果歩はハイエナが恐喝者だったことは知らないのである。

ハイエナは情報源の遭遇にややうろたえる。しかし、所詮はハイエナなのでその成り行きを興味深くも感じるのである。

最初は仁美を駿輔の愛人と勘違いした果歩だったが、たちまちその正体に気がつく。果歩は室蘭で娘が行方不明なのに男に現を抜かす愚母としての仁美を目撃しているのである。

果歩「なぜ・・・あの人が・・・あなたが鈴原の家の電話をあの人に教えたの?」

駿輔「まさか・・・虐待の事実を知られるのが怖くて・・・学校関係に聞きまわったらしい」

仁美「怜南は今、何処にいるの?」

駿輔「怜南ちゃんの葬儀はもう済んだでしょ?」

仁美「いいえ・・・怜南はあの教師の家にいた・・・なんで・・・あの女と怜南が一緒にいるのよ」

駿輔「そうだとしたら・・・あなたは・・・どうしたいんです」

仁美「そんなの・・・決まっているでしょう・・・私のモノを取り戻すのよ」

駿輔「また虐待するためにですか?」

仁美「私は・・・何もしていない」

駿輔「ただ・・・見ていただけですか?・・・相手の男はなんて言うかな・・・警察に取り調べられたら・・・」

仁美「何も・・・知らないくせに・・・」

果歩「うそつき・・・継美ちゃんにひどいことをしたくせに・・・」

仁美「つぐみ・・・って?・・・あんた誰なの?」

果歩は失言に気がつき、沈黙する。駿輔は心の中で舌打しつつ、ほくそ笑む。事件が面白くなるのは旨みがあるからだ。

駿輔「どうです・・・この際・・・あの子はあげちゃったら・・・邪魔なものでもあったわけだし」

仁美は駿輔の提案にたじろぐ。しかし、仁美の心の暗部ではその提案を吟味し始めるのだ。仁美は計算する生き物だからである。

仁美は愚かな女であるので時々自分がわからなくなる。仁美は賢い女なので時々狂う。

私は悪いことは何もしていない

私は怜南を生んで育てた

私は怜南をしつけた

私は怜南を愛している

私が私を愛するように

私はマーくんを愛している

私が私を愛しているから

世の中は私のことを知らないだけ

私の正しさを知らないだけ

仁美は今を生きる女としてそれらしい受け答えを紡ぎだす。

仁美「そうね・・・それもありかもしれないわ」

葉菜と奈緒と継美は理髪店「スミレ」で一夜を過ごす。

奈緒は寝過ごした。奈緒は自覚していないが安堵していた。ぐっすりと眠ったのだ。

朝餉の支度の音が聞こえる。継美の姿を求め・・・奈緒は台所に向かう。

実の母とかりそめの娘の後姿が目に入る。

二人は仲むつまじい。

奈緒は歯を磨いた。

望月家には食器も一組しかない。寝具も一組しかない。

朝食の膳には不揃いの食器が並ぶ。

葉菜「ごめんなさい・・・みっともなくて・・・今日、お茶碗とか買いますから」

奈緒「よしてください・・・無駄になりますから・・・長居はしないので」

奈緒は反射的に答え、反射的に眉をひそめる。

そんな奈緒を継美はクスクスと笑う。

継美「ほらね・・・お母さんは眉と眉がくっつくの・・・クセなの」

奈緒は血のつながった母と血のつながらない娘の前で戸惑うのだった。

葉菜は奈緒に弁当を差し出した・・・奈緒はそれを恐縮しながら受け取った。

継美は学校へ奈緒は職場へと出かけると「スミレ」には患者に脱走された袖川医師(市川美和子)がやってくる。

葉菜「ああ・・・ごめんなさい・・・連絡しようと思ってたんですけど・・・うっかりして」

袖川「うーっマンボ!ってなっちゃったじゃないですか・・・どうして検査を受けないんです」

葉菜「なんとなく・・・わかるようなきがして」

袖川「それじゃ・・・なおさらでしょ・・・命の問題なんですよ・・・それ以上に大切なことがこの世にありますか・・・」

葉菜「・・・」

その頃、鈴原家では奈緒と継美のいない食卓に耕平(川村陽介)が参加していた。

藤子「果歩・・・昨日、何してたの・・・」

芽衣(酒井若菜)「奈緒姉ちゃんに逢ってたんでしょ」

果歩「どうだっていいでしょ・・・切り捨てたんだから」

芽衣「そんな言い方はないでしょ・・・お母さんは私たちのために」

果歩「お母さんを独り占めして喜んでるわけ」

芽衣「なんですって・・・」

果歩「やきもちやき・・・私・・・昔つねられたこと忘れてないんだから」

芽衣「突然反抗期かよっ」

耕平「すみません・・・すみません・・・果歩ちゃんには僕の就職活動つきあってもらってるんです」

果歩「いくわよっ」

三女と下僕が去ると藤子は零した。

藤子「本当に女ばかりだとギスギスするのよね・・・お飾りでも父親がいた方がいいと思うことがあるわ・・・」

芽衣「お母さん・・・まだ離縁届け出してないんでしょ?」

藤子は答えに屈した。嫉妬深い次女が血のつながらない姉を心配してそう言うのか・・・妬みがじりじりと這い上がっているのか判断がつきかねたからだ。藤子は思慮深い女だが・・・遠慮しすぎる長女も妬み深い次女も心底扱いにくいタイプの娘なのである。

果歩は姉の職場である清掃現場を訪問していた。

果歩「最初に言っておくけど奈緒姉ちゃんは今でも奈緒姉ちゃんだから・・・」

奈緒「果歩・・・」

果歩「あの人に・・・継美ちゃんと奈緒姉ちゃんのことバレちゃったみたい・・・でも・・・虐待のことがあるから・・・警察には通報できないみたいだよ・・・奈緒姉ちゃん、継美ちゃんと二人で暮らせるかもしれないよ」

奈緒の顔に希望の色が浮かぶ。

駿輔は仁美に探りを入れていた。

駿輔「警察・・・事情聴取に来たでしょ・・・死体があがらなかったこととか・・・死亡届けが出たことで虐待について調べ始めたりとか・・・警察は事件になれば動きますからね・・・僕はそういう事例をいくつも知っているんです・・・」

仁美は質問には答えず素知らぬ顔で話し出す。

仁美「私・・・考えたんです・・・怜南のこと・・・欲しい人がいるんなら・・・あげてもいいかなって・・・。私・・・まだ29才だし・・・一からやり直すこともできるかも・・・でも北海道はいや・・・沖縄なんかどうかしら・・・何もかも忘れさせてくれるかしら」

駿輔「忘れたいって・・・何を」

仁美「怜南が・・・かわいそうだったときのこととか・・・」

一方、葉菜はなにやら怪しげな行動をとっていた。昔、栃木の方で世話になったというカサイさんに連絡をとり・・・カサイさんに紹介された誰かに連絡をとり・・・死亡届の出ている継美について何かを相談するのだった。

当の継美は雑貨屋で手作りアクセサリーのセットを購入中である。

女たちは老いも若きも活発に行動するのだった。

仁美は駿輔から与えられたパンを貪り食っていた。

仁美「せっかくだから・・・怜南に会っていこうと思うんです」

駿輔「何故?」

仁美「だって私に会えなくて淋しがってるはずだから・・・そうそう千葉の木更津にいる勝子おばさんにも会わせたい・・・怜南が生れた頃可愛がってくれたし」

駿輔「あなたに会えなくて淋しい?・・・あの子はあなたから逃げ出したのに?」

仁美「・・・それは・・・一緒に暮らしていた彼が怖かったから」

仁美は記憶に残るあの夜を素早く追い払う。情夫の心を奪った怜南を嫉妬で打ち叩きゴミ袋に入れて路上に放置した出来事を。食事をさせずに衰弱させたことを。痣が残るほど虐待したことを・・・。

仁美「怜南は・・・私のことを大好きなんですよ・・・」

その顔は自分の信じたいことだけをすぐに信じられるものに特有の表情が浮かんでいた。

狡猾で愚鈍で空虚な狂気の光。

駿輔は怯えた。

望月家の夕餉は新しい食器がそろっていた。葉菜と継美はモモコさん直伝のしりとりを行儀悪く楽しんでいる。

め、目玉焼き

北枕

らららラッコ体操

うすのろ

ろろろロボット体操

裏街道

ううう運動会体操

パフォーマンスを交えた継美の狡さとボキャブラリーがどす黒い葉菜のしりとり勝負に思わず噴出してしまう奈緒だった。どこか不気味だが心温まる一家団欒である。

継美「うっかりさんの好きなものって何?」

葉菜「・・・観覧車・・・かしら」

その夜、継美は奈緒に提案する。

「土曜日はみんなお休みだから・・・みんなでおでかけしたい・・・お母さんとうっかりさんと三人で・・・そして観覧車に乗るの・・・うっかりさんの誕生日だから・・・うっかりさんをびっくりさせるの・・・それから誕生日のお祝いに布団をプレゼントしてあげて」

「布団?」

うっかりさんは座布団を敷いて寝ていた。

奈緒「今日は布団で継美と寝てください・・・それから土曜日はでかけます」

葉菜「大丈夫かしら・・・それじゃ、お弁当を二人分作るわね」

奈緒「お弁当は私が作ります・・・三人分」

継美の願いは叶った。娘の願いは叶えたい。それが母親の願いだから。

奈緒の葉菜への蟠りをなだめる大義名分である。

そこで携帯電話が鳴り、奈緒は呼び出される。

夜の公園に果歩と駿輔が待っていた。

果歩「あの人・・・継美ちゃんをあきらめるって・・・欲しい人がいるならあげるって」

奈緒「そんな子供をものみたいに・・・」

駿輔「嫌なことはみんな忘れて別の土地でやりなおすつもりらしい・・・でも一度だけ、継美ちゃんに会いたいと言っている」

奈緒「それは・・・」

果歩「いやかもしれないけど・・・」

駿輔「わかるよ・・・心配なのは・・・継美ちゃんに思われていないと知った時のあの女の逆上とか・・・あるいは・・・あの女が突然改心したようなことを言って・・・継美ちゃんとやりなおしたいと涙ながらに言ったときとか・・・」

果歩「そんな・・・勝手な・・・」

駿輔「でも・・・それがあの子にとって幸せな結末だといえないとは断言できないだろう・・・誰にもさ・・・」

ハイエナもまた・・・そうして殺された子供のことを忘れようとしているのだった。

そしてうっかりトリオは遊園地というファンタジー・ゾーンに迷い込む。

継美は子供らしくうっかりさんの誕生日を祝うという口実で遊園地をエンジョイするのである。メアリーポピンズで言えば子供たちが両親のためにクリスマス・プレゼントの玩具を買うという趣である。ちゃっかりさんである。

継美と奈緒は母娘でメリーゴーランドの木馬に乗る。葉菜は祖母として母として二人に手をふる。

二人はジェット・コースターにも乗り、水飛沫をあげるウォーター・スライダーには継美が一人で乗る。

奈緒「楽しそうですね」

葉菜「楽しいんですもの」

奈緒「・・・」

葉菜「そんな暗い顔をしたら・・・継美ちゃんが心配しますよ」

奈緒「ずるいわ・・・」

葉菜「はい。ずるいんです・・・ほらほら・・・継美ちゃん、来たわよ」

三人は観覧車を見上げた。

葉菜「なんだか・・・倒れてきそう・・・」

葉菜と奈緒には観覧車は特別な乗り物である。

継美は手作りのネックレスをとりだした。

継美「はい・・・お誕生日・・・おめでとう」

葉菜はついにこみあげてくるものをこらえることができず、顔を伏せた。

継美「どうしちゃったのかな・・・」

継美は不安そうに奈緒に寄り添う。葉菜は顔をあげる。

葉菜「・・・ありがとう・・・さあ、時間がもったいないから・・・今日は継美ちゃんの乗りたいものにもっともっと乗りましょう」

奈緒「・・・乗りましょう・・・三人で・・・観覧車に・・・」

三人は無邪気に空中に浮揚した。奈緒はそっと葉菜の顔を盗み見た。夢にまで見た母の顔を・・・。葉菜は微笑みを浮かべて下界の景色を見ていた。

芝生に座る葉菜と奈緒の母娘。

奈緒「さっき・・・何を考えていたの・・・?」

葉菜「長い夜だった。外には霙まじりの雨がふっていたわ。裸電球の灯が丸い影を作って天井で揺れて・・・石油ストープの臭いがしていたの。あなたを生んだ病室。どこか遠くで貨物列車が線路をきしませる音がして・・・それが段々遠ざかって・・・そしたら、窓の外で鳥が啼いたのよ・・・あれは何の鳥だったのかしら・・・ってね」

奈緒「どうして・・・そんなことを・・・」

葉菜「なんだか・・・夢のようで・・・なんだか信じられなくて・・・こんなこと・・・もう無いと思っていたから・・・」

奈緒は葉菜を見つめた。土曜日の昼下がりは穏やかに過ぎていく。

おそらく三人にとって長い間忘れていた和やかな休日だったのだろう。

葉菜は二人を先に帰し寄り道をした。そこは裏街道の裏町だった。

「漢方薬の卸し販売についてミヨシさんにお伺いに参りました」

合言葉を確認すると背の低い扉が開き、金時計の男が葉菜を招きいれた。

葉菜は裏社会の裏部屋に入っていった。

奈緒は葉菜のために布団を一組買った。

継美はぐっすりと眠っていた。

奈緒「今日からここで寝てください・・・継美をはさんで川の字で・・・」

葉菜「いいの・・・?」

奈緒「継美が喜ぶと思うから・・・」

葉菜「・・・お茶でもいれましょう・・・」

二人は茶の間で向き合った。

奈緒「継美は・・・ここに来てから本当に楽しそうです。きっと・・・あなたに愛されていると感じるからだと思います。あなたは守るのと逃げるのとは違うと言いました。守るというのは一緒にごはんを食べ・・・寝かせて・・・話をして遊んで・・・そういう子供の時を作ってあげること・・・だから・・・私も・・・人にこんな話したことないので・・・上手く言えないのですが・・・」

葉菜「お煎餅・・・食べる?」

奈緒「私もあなたと上手につきあいたいと思いました・・・もっと親しく・・・近く・・・」

葉菜「・・・」

奈緒「だからこれだけは聞きたいのです。どうして・・・私を捨てたのですか?」

葉菜「・・・」

奈緒「何も恨み言を言いたいわけじゃありません。それがどんなひどい理由でもかまわない。面倒になったからとか・・・好きな男の人ができたからとか・・・ただ・・・知りたいのです」

葉菜「はい。そうね・・・でもその前にあなたと継美ちゃんのことで一つだけ聞いてもらいたいことがあるの」

奈緒「ごまかさないでください・・・」

葉菜「継美ちゃんには戸籍が必要です」

奈緒「・・・」

葉菜「たとえ学校には行けても・・・この先の継美ちゃんのことを考えたら戸籍が必要です」

奈緒「でも・・・」

葉菜「戸籍を用意できる人を知っています」

奈緒「え・・・そんな・・・そういうことは危なくて・・・私たちが気軽に足を踏み入れるところじゃないっていうか・・・」

葉菜「私は昔、刑務所にいたことがあるの。栃木県の女子刑務所よ・・・もちろん・・・囚人としてね・・・そこで知り合った人の紹介だから・・・そう無縁でもないのよ・・・むしろ身近なの・・・」

奈緒「それって・・・私を捨てた理由と・・・関係ありなのですか」

葉菜「そうよ・・・それをして・・・逃げて逃げて逃げて・・・どうしようもなくなって・・・あなたを捨てたの・・・そしてすぐに私は逮捕されたの・・・」

奈緒「したって・・・何を・・・」

葉菜「刑期は15年だった・・・実際のおつとめは13年だったわ・・・それで察しがつくでしょ?」

誰を殺したかは隠す葉菜だった。

殺人者を目の前にして奈緒はそれ以上は問い質すことはできなかった。

自分が殺人者の娘であることに呆然としていた。しかし・・・なぜか・・・憎しみはわいてこなかった。それならば納得がいったという気分の奈緒だった。

葉菜「ごめんね・・・こんな母親で・・・できることなら・・・ずっとうっかりさんでいたかった・・・遠くからそっと見守っているだけでよかったの・・・でも・・・今日は本当にうれしくて・・・こんなことはもうないと思っていたから・・・この店で私の人生はひっそりと終ると覚悟をしていたから・・・海と山があって・・・継美ちゃんとあなたと静かに暮らせる・・・いい所よ」

葉菜は奈緒にメモを渡した。そこにはマコトという名前と住所が書いてあった。

奈緒「でも売買にはお金が・・・」

葉菜「それは大丈夫・・・」

奈緒「もし詐欺だったら・・・」

葉菜「信じるしかないの・・・ただ・・・あなたはまた犯罪を犯すことになるわ」

奈緒「・・・あなたに育てられたわけじゃないのに・・・結局、あなたと同じ道を歩いている」

葉菜「そうね・・・」

奈緒「道のない道を・・・」

奈緒が先に寝床に入ると葉菜はそっと家を抜け出した。

袖川医師を呼び出した。

葉菜「先生・・・私・・・生命保険に入りたいの・・・」

袖川「うーっマンボ!・・・それは無理ですよ」

葉菜「だから先生にお願いしたいの・・・診断書を書いてください」

袖川「それは・・・犯罪ですよ」

葉菜「先生・・・先生は生きがいって言ったでしょ・・・生命保険に入って死ぬこと・・・それが私の生きがいなんです」

袖川「うーっマンボ!」

仁美は駿介の部屋を嗅ぎまわっていた。虐待被害者の痣の写真を発見した。そして・・・怜南と鈴原教師の写真があった。二人は仲の良い本当の母娘のように見えた。怜南は幸せそうだった。仁美は逆上した。自分を残して一人で幸せになった娘が許せなかった。そして何より人のモノを勝手に盗み去った女を憎悪した。

怜南は私の所有物よ

なぜならソレは私が生んだモノだから

人のものを盗んでランドセルを背負わせ小学校に通わせるなんて

人間のすることじゃないのよ

仁美は写真を破り捨てた。

仁美を見張っていた耕平は居眠りをしていた。そして仁美は姿を消した。

それに気がついた駿輔は戦慄した。

駿介は奈緒の職場を訪ねた。

駿輔「あの人がいなくなっちゃいました・・・帰ったのか・・・それとも千葉の親戚を訪ねたのか・・・これからそっちに行ってみようと思います」

奈緒は胸騒ぎを感じた。

学校から帰った継美は葉菜のお手伝いをしていた。

葉菜「冷蔵庫にゼリーがあるわよ」

継美「やったー」

継美は二階に駆け上がった。

そこへ仁美が入店した。

葉菜「ご近所の方ですか・・・」

仁美「あの子はどこ・・・私は怜南の母親よ」

葉菜「おひきとりください・・・今、あの子の母親は留守なのです」

仁美「あの女は母親なんかじゃないわよ」

仁美は葉菜を振り払った。

仁美「怜南ーっ・・・ママよ・・・ママが迎えにきてあげたのよーっ。怜南ーっ」

継美=怜南は硬直した。

仁美は家屋への侵入を開始した。その赤い袖青い袖がとらえた。

奈緒は母親として仁美をにらみつけた。

仁美は母親として奈緒をにらみ返した。

ゼリーがプルンと揺れた。

その頃、ハイエナは千葉で生れたばかりの怜南を抱く仁美の写真を入手していた。

そこには幸せそうな母と娘が写っている。

歳月は人を変えるのである。

関連するキッドのブログ『第6話のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『森カンナの警視庁失踪人捜査課』『子役オールスターズとハガネの女』(テレビ朝日)『岩佐真悠子のトラブルマン』『里久鳴祐果の大魔神カノン』(テレビ東京)『仲里依紗のヤンキー君とメガネちゃん』(TBSテレビ)

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2010年5月26日 (水)

絶対零度のメロンパンと私そしてバナナ(上戸彩)浪費したらいけないんですーっ(加藤あい)

闇の世界に少し踏み込んだ絶対零度。

実行犯を裁いたところで・・・お涙頂戴へ・・・この姿勢が気持ち悪いのである。

それならそれでもうひとひねりだったな。

素晴らしい子役を見すぎているせいで普通の子役の演技が・・・。

いや・・・普通の子供もいるんだから・・・これでいいのだけれどね。

火曜日のドラマ対決。①「ジェネラル・ルージュ」↘14.7% ②「絶対零度」↘12.7% ③「離婚同居」↘*6.7%

で、『絶対零度~未解決事件特命捜査~・第7回』(フジテレビ100525PM9~)脚本・浜田秀哉、演出・岩田和行を見た。サブタイトルが「光と闇~IT社長殺人事件」である。このドラマが「きらきらひかる」(1998年)、「ヴォイス~命なき者の声」(2009年)の延長線上にあることは間違いないのである。「きらきらひかる」が監察医を中心とした「遺体と事件の隠された真相」を究明する物語であったのに対し、「ヴォイス」は医学生が超能力を駆使してなんとなく真相らしきものを空想するという空虚な物語に、そして本作品は新米刑事が超能力を駆使して手抜き捜査の後始末をつけるお手軽な物語になっている。一応、プロフェッショナルが捜査をする分、「絶対零度」の方が良質になっていると言えよう。だが・・・「きらきらひかる」のあの完成度には遠く及ばないのである。困ったことだ。

これは結局、オリジナルの限界と言える。

今回の「六本木IT会社社長殺人事件」の場合もいくつかの問題点がある。

第一の捜査・・・2005年、投資情報企業「FUTURE STEPS」の社長・桝山(松尾敏伸)が社長室で何者かに殺害される。犯人を特定できず迷宮入り。

加害者は桝山と顔見知りの警備員・木戸(野中隆光)だった。この犯人を容疑者リストにも載せられない当時の捜査一課って・・・一体。

第二の捜査・・・2010年、桝山の秘書・吉岡(神農幸)が木戸が桝山の私物を所持しているのを目撃、再捜査の末・・・凶器の所持により木戸が逮捕され起訴される。

第三の捜査・・・公判中に木戸は自供を翻し、凶器は友人だった桝山から贈呈されたものだったと虚偽の申告をする。特命捜査対策室は再々捜査を余儀なくされる。

なんとなくしょうもない臭を感じていただけたでしょうか。

結局、事件は木戸の犯行の裏に闇の組織(指定暴力団)の資金洗浄ルートがからみ、その関与を暴くことで一応の解決を見るのである。最初の捜査で暴かんかっ。

もちろん・・・暴けないのには理由があるわけで・・・そこに闇の組織と表の社会との癒着があり、一番面白い部分である。しかし、恐ろしいことにそこはスルーなのである。

特命捜査対策室が追いかけるのは・・・犯罪ではなく・・・桝山という人間の心の軌跡なのだから。

なんじゃそりゃーっ・・・である。であるが・・・そういうのがやりたいらしいので仕方なくお茶の間は付き合うしかない。

もちろん・・・そういうドラマがあったっていいのである。

桜木(上戸彩)は例によって桝山のあらゆる資料を読み込み・・・桝山の人格を再構築していく。

ちなみに木戸の犯罪は桝山の利用していた古物商と、木戸の勤務していた警備会社が共に闇の組織につながっていたことが解明されたことにより、高木検事(隈部洋平)が黒崎弁護士(小須田康人)に勝利することで有罪判決が下る。

桜木のたどり着いた桝山の人物像は犯罪捜査とは無関係なのだった。

このあたりが・・・本当に困った感じがします。

まあ・・・ともかく・・・桝山の人生をふりかえってみましょう。

天涯孤独の生い立ちで育った桝山はしかし、友人である真野(大橋智和)とベンチャー企業を立ち上げた頃は希望に燃えた若者だった。しかし、資金繰りに困り、闇の組織に目をつけられた頃に豹変し、金の亡者となって真野を解雇する。闇の組織のダミー企業として成功した桝山だが急性骨髄性白血病を発症。しかし、骨髄移植ドナーが現れ命拾いをする。偶然、ドナーが交通事故死していたことを知った桝山は遺児(近藤里沙)との文通を通じて正義感に目覚め、闇の組織を告発しようとして暗殺されたのだった。

・・・話が長いわ・・・。

ここで明らかなのは・・・桝山が不用意な人間だったということである。闇の組織を敵に回すのに・・・無用心すぎるのである。

次に桝山の善意の表現の仕方である。単純に言えば・・・せっかく真野というキャラを用意していたのだから・・・真野を解雇する理由を「友人を悪事にまきこまないため」ぐらいにしておけばよかったのだ。

貧乏だけれど堅実なメロンパン屋になっている真野に桜木が真相を話す。

真野「あいつ・・・なんだって殺される前にメロンパンなんて買いにきたんだろう」

桜木「おそらく・・・死を覚悟していたんだと思います。あなたを解雇したのはあなたを・・・犯罪に巻き込みたくなかったから・・・天涯孤独な桝山にとって・・・あなたはたった一人の友人だったから・・・」

真野「ま、桝山・・・」

このくらいでよかったんじゃないのか・・・と思うのですよね。

今回、桜木にバナナを与えるのは長嶋室長(北大路欣也)ではなく、倉田係長(杉本哲太)でした。まあ、桜木がバナナを食べてればそれでいいドラマと言えるでしょう。

せっかく・・・いい事件なのに詰めの部分で台無しにしているような気がするのはキッドだけではないはず・・・。

いよいよ・・・次回からは本筋とも言える杉並事件に突入するらしい。面白いといいなあ。どす黒いといいのになあ。お涙頂戴は最後の最後に持ってこれると爽快なんだけどなあ。

今週の科捜研の大森(北川弘美)・・・飼育しているイグアナの「鈴木」が食欲不振のために心配で不機嫌に。

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

で、『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋・第8回』(フジテレビ100525PM10~)原作・海堂尊、脚本・後藤法子、演出・今井和久を見た。東城医大病院の倫理委員会が会議を招集する。不在の高階院長(林隆三)は心療内科医の田口(伊藤淳史)を議長に指名した。議題は怪文書「救命救急センター速水部長(西島秀俊)の収賄について」の真偽を検証することである。

ちなみに速水医師は公務員ではないので賄賂の授受により東城医大に損害を与えたことが立証されれば背任罪になるが・・・速水医師が収賄することによって東城医大に損失が生じていない以上、メディカル・アソートが善意の寄付をしたという考え方もでき、この場合は税制上の問題である。つまり贈与税が発生し、脱税の嫌疑がかかるかどうかと言う問題なのである。

田口「お金をもらったのですか?」

速水「もらいました」

田口「・・・以上です」

・・・で何も問題ないのである。後は雑談だな。

田口「所得として申告しましたか・・・」

速水「忙しいのでしていません」

田口「どうしましょう・・・」

白鳥(仲村トオル)「もう厚労省の問題じゃないよ・・・国税庁の管轄だよ」

田口「ですよね」

三船事務長(利重剛)「だけど・・・賄賂もらって業者に便宜を図っているわけでしょう」

田口「しかし、無駄遣いしているわけじゃないし」

花房看護師長(白石美帆)「お金は全部、院内の医療費の不足分として補填しました」

田口「つまり、赤字を埋めてたわけですよね」

白鳥「そんなの監査してれば一発でわかる話じゃないですか」

田口「それを十年間も・・・」

黒崎教授(榎木孝明)「そこが問題なのだ。それだけの臨時収入があったなら・・・上納するべきだろう。せめて銀座のクラブとかで私を接待するべきではないか」

田口「・・・そういう問題なんだ」

黒崎「上下関係とか秩序とかお中元とかお歳暮とか心尽くしとか・・・凄く大事だろう」

一同(沈黙・・・)

速水「医療費を誰が負担するかという問題なのだ・・・同じ外傷だって・・・太った人と痩せた人じゃ・・・包帯の量とか・・・全然違うんだもん」

田口「もん・・・とか・・・子供ですか」

白鳥「もう・・・私はこの場にいなかったことにしてください」

田口「最初から・・・呼んでないじゃないですか・・・」

三船「もう・・・いいや・・・解散、解散」

速水「オレにもっと演説させろ~・・・患者の命を救うのが趣味で何が悪い・・・」

田口「まあ・・・程々にしてくださいね」

白鳥「人命救助に金を湯水のように使っても文句いいにくいからなぁ・・・」

三船「そんなの詭弁ですよ・・・昔から貧乏人は高い薬が買えなくて助かる命も助からないって相場がきまってるんだ」

田口「ですよねえ」

和泉(加藤あい)「あの・・・速水先生のもらったお金の封筒から一万円抜いて夜食のカップラーメン買っちゃったんですけどー」

一同「えーっ・・・」

和泉「お、おつりは戻しました」

花房(舌打)

田口「それは問題ですね」

白鳥「大問題だよっ」

木曜日に見る予定のテレビ『おみやさん』『同窓会』(テレビ朝日)『恋とオシャレと男のコ』(TBSテレビ)『プロゴルファー花』(日本テレビ)『素直になれなくて』(フジテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2010年5月25日 (火)

水月の恋人と見つめあう・・・互いに心を隠したままで(木村拓哉)

弟「捉えどころのないドラマだよね」

兄「恋人レースは見えてきたじゃない」

弟「結婚について苦笑するぐらいだから葉月と蔡でゴールとか?」

兄「そこまでは・・・誰が見ても劉秀美がリードして先行逃げ切りのレースでしょ?」

弟「うん」

兄「対抗として柚月が差すという展開が一応あって・・・」

弟「うんうん」

兄「だけど・・・大穴の二宮が怒涛の追い込みで場内騒然」

弟「ええーっ」

兄「終って見れば視聴率王と視聴率女王であっさり決着みたいな」

弟「マジですか・・・」

兄「妄想に決まってるじゃん」

で、本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「失踪人」↘11.4%(加賀美早紀しのいだな)、「ヤンメガ」↘*9.9%(ちえみ惜しいな)、「ハガネの女」12.7%(子役オールスターズとったな)、「フライトプラン」15.4%(クラリスとったな)、「トラブルマン」↘*1.5%(テレ東深夜でも危険水域)、「タンブリング」↗*7.6%(クララがとんだわ)、「怪物くん」↘12.1%(デモリーナしのぐ)、「越境捜査」12.5%(伊藤裕子とったな)、「シバトラさらば」*9.3%(大後寿々花無駄死に)、「チェイス」↗*6.5%(母親に片手を奪われた男より戦争で片手を奪われた男の方が人気があるらしい)、「龍馬伝」↘20.0%(奥貫薫死守したな)、「新参者」↗14.1%(そろそろか・・・詐欺で)、「女帝薫子」↘*8.5%(ここは我慢だべ)・・・ついでに「日本VS韓国」17.9%、「月の恋人」↘15.6%・・・以上。

で、『月の恋人~Moon Lovers~・第3回』(フジテレビ100524PM9~)原作・道尾秀介、脚本・浅野妙子、演出・平野眞を見た。水月と言えば鳩尾(腹部の急所)であるが、クラゲとも読むことができる。ここまで・・・このドラマはとらえどころのないクラゲのようなドラマだという見方もできるだろう。史上最悪のワールドカップチームとはいえ、本番直前の韓国戦が重なって木村拓哉のドラマとしては13年ぶりの15%台をたたき出した第3話。ただし、TBSテレビの前作、「MR.BRAIN」も24.8%↘22.0%↘16.3%と来て第4話で↗21.0%なのでお茶の間の乙女の皆様はそれほど心配しなくてもいいと思う。来週、18%に到達しない場合は・・・傑作に向かっていくことになるだろうが・・・今はまだヒット作で傑作の路線を進行中なのである。・・・誰に向かって話しているのさ?

さて・・・水月とは水に映った月である。この場合、月を見る人はより身近に月を感じることができるが、水月は月よりもさらに幻の月ということになる。古来、人々はそこに・・・また神秘を感じてきた。「月の恋人」という妖しいタイトルを論じていくと・・・どうしても水月についても語る必要があるだろう。

月の恋人って・・・一体誰のことなの?・・・はたしてこの疑問にいつか答えてくれるドラマなのかどうか・・・という問題である。Moon Loversなら月を愛する人々でお月見同好会でおさまるわけである。そうなると最後はみんなでお月見パーティーをすることになるだろう・・・本当かよっ。

水月の恋人の場合・・・そこには月と水に映った月の恋人同士という視点が生じる。

どちらも月のように輝かしい・・・自分を愛でるように相手を愛する二人・・・しかし・・・どちらかは・・・鏡の中の自分なのである。それでも二人は見つめあう。

恋とは・・・水月のようなものだと言うこともできます。

それは手にすれば淡く消えるものだから・・・。そして手放せばまた現れるものだから。

秀美シュウメイ(林志玲リン・チーリン)は上海の貧しい境遇から拾い上げてくれた日本の男・葉月蓮介(木村拓哉)に激しく恋をする。しかし、葉月の心は閉ざされ、掴みどころがない。秀美は蓮介を愛しているのか、憎んでいるのかも解からない自分に戸惑う。

何よりも蓮介は幼い頃から共産党独裁政権によって憎悪するべき対象として教育し続けられた恐ろしい鬼畜生である日本人なのである。

しかし、実際に会った蓮介は美しく・・・そして何よりも輝かしい世界に秀美を導いていく。

秀美は浅草寺の観音、上野アメ横のチョコレート、不忍池の弁天と・・・ものすごく観光コース限定の日本・・・そして東京で・・・蓮介に少しずつ接近する。

秀美の願いは・・・上海に残した母、日本にいる父、そして自分が仲良し家族に戻ること。

そして・・・蓮介の本心を掴むこと・・・であると言っていいだろう。

一方、蓮介は秀美の中に月光の輝きを見出している。その輝きに恋をしていると言っていいだろう。蓮介にとってビジネスは自己表現らしい。誰よりも目立つために事業を拡大していくというのが明らかにされた行動原理である。

そんな馬鹿なと・・・企業家でない人々は感じるかもしれないが・・・ビジネスマンなどというものはそういう単純な情熱に動かされている場合は多いのである。

今、蓮介は秀美の輝きに恋をし、その輝きで蓮介の分身である家具メーカー「レゴリス」を覆うことが成功へ至る道だと確信しているようだ。「レゴリス」を秀美のオーラで包むためには手段を選ばないのである。

ここで「レゴリス」と「天美家具」の関係を考えてみよう。それは強い円が弱い人民元を飲み込んだ古き良き図式である。人民元はすべて軍人・毛沢東であり、それを福沢諭吉や樋口一葉や野口英世が文化人として囲い込んだ形である。

しかし、世界のトレンドは変転しつつある。ワンサカ娘がイエイエした東京のアパレル企業「レナウン」は現実世界で中国の繊維会社「山東如意集団」の傘下に入ることになった。

つまり、軍事独裁の毛沢東が日本の文化人たちを飲み込んだのである。

これを脅威と感じるかどうかは・・・各人の国家観にもよるだろう。それを一時的な現象と考えるのも手だし・・・日本が大中国に飲み込まれて消える終わりの始まりと妄想を膨らますこともできる。

だから・・・このドラマが上海でのレゴリスの勝利に終ればロマンだし・・・天美家具が復活し、レゴリスが敗北すればリアルなのである。

そういう葉月蓮介の破産エンドも充分考えられるのである。しかし、レナウンの人々は中国企業の傘下に入ることで生き残りを賭けるという視点もある。中国の未知数の市場に逆流していくのも一つの手だからである。最後は蓮介と三人のうちの誰かが上海の市場に消えていく・・・というのもロマンチックと言えます。

それが誰かはまだ未知数です。キッドとしては「レンスケ-リナ(満島ひかり)」の馬券も押さえておきたいと考えます。

さて、ドラマは秀美が途中退席したにも関らず、「クレイトン・リージェンシー東京」のキーマンであるブライアンは充分にその輝きに触れ満足したらしい。

川の流れに家具を浮かべるという二宮のプレゼンテーションは好感触であり、ブライアンは「おお・・・感じる・・・感じまくる・・・いい・・・とてもいい・・・おお・・・うっ」と絶頂に達し、「レゴリス」は業界第1位の「マストポール」を粉砕したのだった。

マストポールの社長・大貫照源(長塚京三)は敗報を受け、苛立ちを感じる。

その姿に娘の柚月(北川景子)は舌打しつつ、「私は負けない」と勝負宣言をするのだった。

照源は二つの手を打つ。

一つは「レゴリス」に対する提携申し込みである。蓮介自身に直接交渉するが・・・蓮介は申し出を断る。

ここで照源は十年に渡り、蓮介にラブコールを送っていることが判明する。それに対し、蓮介は「勝つと判っている勝負には刺激がない」と照源を拒絶し続けているらしい。

「血も涙もお情けもない・・・冷たい人・・・」と照源は怨むのである。

照源はついでに親子の情も持ち出してみた。

「娘は馬鹿だが・・・君を本気で愛しているみたいだけど・・・どうなの?」

「娘さんに体は許したが・・・こちらからは指一本触れていない」

蓮介は妖しいプレイで照源の神経を逆撫でするのだった。

仕方なく照源は使い古された内部工作による切り崩しを始めるのだった。

「ださいけどな・・・」

「いいんです・・・仕方ないんです・・・ベタなんです・・・がんばれ日本代表」と裏切り者の峯岡(川平慈英)は襖の影で叫ぶのだった。

一方、秀美の月光の輝きの栄光を確信した蓮介は二宮(篠原涼子)を専属ディレクターに起用し、レゴリス秀美化プロデュースを開始する。

秀美プロジェクトの担当者だった笠原(中村ゆり)は二宮の抜擢に気色ばむ。

「ますます・・・出番が・・・」

「パッチギも二本目は・・・アレだったし・・・ソウル支店開店の時まで待機だな」と韓流をバッサリ切り捨てる蓮介だった・・・深読みにも程があるぞ。

笠原は私だって・・・かなり美人なのにと俯くのだった・・・いい加減にしておけよ。

一方、消息不明だった秀美の父親は娘の出世を嗅ぎつけて・・・突然、秀美の前に現れる。手放しで喜ぶ秀美だったが・・・蓮介と蔡(松田翔太)の顔は曇る。

ただちに調査に入る蔡機関。

父親は日本の機械工場で負傷し障害者となるが不法入国者として何の保障も得られず、偽造カード密売を行う中国マフィアの末端構成員に落ちぶれていた。ただちに蔡機関は秀美の父親を隔離し、中国に強制送還するのだった。

蓮介の強引な手法に抵抗を感じるレゴリスの社員たち。二宮も不安を感じるが、蓮介に接近されると理性は吹き飛び、どんな任務も果たさずにはいられない難儀な体質なのである。

こうして新・秀美プロジェクトはスタートし、「恋するレゴリス」を合言葉に蓮介の家具メーカーは怪しい女神崇拝集団へと変貌していくのである。

「日本を・・・五月末日に・・・秀美一色に染め上げるのだ・・・秀美と言っても薬丸夫人じゃないぞ」と熱にうなされる蓮介だった。

そんな蓮介に・・・秀美は誘いかける。

「私ともう一度キスしたければ・・・結婚しなさい」

しかし・・・蓮介は苦笑するのだった。女神とは結婚できないからである。

あるいは・・・女なんて愛さない男なのかもしれない。

突然、芸能プロダクションとなったレゴリスに柚月は殴りこみをかけるのだった。

「専属モデルと企業経営者がキスしてるなんてスキャンダルでしょ・・・私は写真に撮ったのよ」

現場では誰一人動揺しなかったが・・・二宮だけは激しく動揺するのだった。心では判っていても体が反応してしまうタイプらしい。

「公表されるのがイヤだったら・・・私とデートしなさい」

と美少女ゲームの令嬢キャラのような攻撃に出る柚月である。

二人は動物園に行きました。

「あ・・・あそこにオランウータンが・・・」

「ゴリラだろう・・・正確に言っておくと」

「パンダ憎けりゃレッサーパンダまで憎い」

柚月の秘蔵写真は「蓮介様の寝顔」だった。

「私と結婚しなさいよ・・・そうすれば・・・業界ナンバーワンの家具メーカーの社長になれるし・・・パパとケンカしても私は夫に味方するし・・・レゴリスもマストポールもすべて私のものになるのよ」

しかし、蓮介は苦笑するのであった。やはり、女なんて・・・もういいか。

仕方なく、柚月は今夜も蓮介の寝顔写真で我慢するのだ。何もないよりマシだからである。そして、蓮介ブログにコメントを残すのだ。

蔡と二宮の海辺でランチ。

蔡「社長を好きなんですか」

二宮「好きとかじゃないわよ。孤独の影とか、嫌味な性格とか気になるし・・・蓮介の今までの恋愛遍歴だって全部知ってるし・・・ただ・・・秀美はちょっと今までの玩具とは違う気がして・・・より気になる」

蔡「ずっと・・・片思いなんだ」

二宮「そんなにストレートに言われてもね」

雉畑(渡辺いっけい)と蓮介との交渉。

雉畑「昔みたいに湧き合い合いでやりましょうよ」

蓮介「摩擦から目をそらしてバランスが取れる時代じゃない・・・認知症患者に対する説明責任なんて無意味だと思いませんか?」

雉畑「しかし・・・着地点はあるはずです」

蓮介「今は皆・・・溺れているようなものなのです。無我夢中で陸地を目指すものだけが生き残る・・・いい加減に目を覚ましてください」

雉畑「・・・私に河童になれとおっしゃるのですか・・・」

蓮介「ううむ・・・それは面白いかもしれないな」

相容れぬ二人だった。

蓮介を愛する二人の対話。

秀美「レン・・・と私・・・キスしました」

二宮「う・・・」

秀美「私・・・レンの愛し方がわからない」

二宮「レン・・・スケは・・・幼い頃に両親が離婚し・・・母子家庭で育ったけれど・・・母親が恋多き女でね・・・レン・・・スケより男を選んだの・・・だから、女性不信みたいなところが・・・あると思うのよ・・・女より・・・蔡の方が安心できるみたいな・・・女としての私より・・・男みたいな私を求めてるっていうか・・・」

秀美「なるほど・・・日本名物マザ・コンですね」

二宮「そんなにストレートに言われても・・・カタコトだとソフトに聞こえるからお得よね」

秀美「なるほど・・・日本名物片言萌えですね」

二宮「中国人って・・・日本人を誤解しているかもしんない」

秀美「私・・・パパと田鶏でカエルの唐揚げ食べました・・・日本に来て嫌なこともあるけど楽しいこともあった・・・これ・・・片言で言うとしんみりします」

二宮「う・・・ぐっときた・・・カエルの唐揚げ・・・マスター(温水洋一)の十八番だし」

秀美「十八番・・・台湾の英雄、王貞治の実家の中華料理屋です」

二宮「それ・・・五十番だから」

二宮は半月を見上げる・・・いつも見上げた愛しい月。Moon Lovers宣言である。

柚月は半月を見上げる・・・絶対に手にいれたい孤高の月。Moon Lovers宣言なのである。

そして・・・裏切り者が秀美のポスターを入手した頃。秀美も自分自身を手に入れる。喜び勇みポスターを父に見せようと走る秀美。しかし・・・父はもういない。

秀美はまたもや蓮介の乾いた心に触れる。

秀美「蓮介・・・憎らしい人」

蔡「臥薪嘗胆だ・・・中国人ならできるはずだ」

秀美「薪の上でも寝ないし胆もなめたりしないけどね」

蔡「あくまで・・・たとえだから」

その頃・・・二宮と蓮介は秀美の心の言葉に触れていた。

何はなくてもジャポニカ学習帳(ショウワノート株式会社)である。

れんときすをした

れんのこころつめたい

さびしいひと

わたしがあたためる

葉月蓮介は心を隠すためにノートを顔面に拡げてみた。

今季・・・「Mother」の継美という・・・強力なライバルがいることは・・・秀美の計算外だった。

関連するキッドのブログ『第2回のレビュー

Hcinhawaii0640 ごっこガーデン。平成財閥付属動物園。お気楽本当にあった恋の話の方が盛り上がるレッサーパンダ。月の恋人はあまりにも雲の上過ぎて・・・まさか・・・アンナちゃんのダーリンが最後、月に帰っていくというオチじゃないだろうね・・・もしもそうだったら沢尻の下半身くらいインパクト強烈だけどまこ世の中は沢尻一色でしゅが、まこはまこロイド軍団でメイサ爆乳で決めてみましゅ~。これで月の恋人の乳不足解消でしゅ~。豪華なキャスティングの月恋ですが、蓮介の両親が登場したらどんだけゴージャスなのか・・・楽しみでしゅ~・・・マツケンとマドンナとかでしゅか~ちーず久しぶりに登場ですが・・・まだ第三話はあらすじ途中なので第二話リンクでよろしくカモンベ~ル・・・復習も大切ですよ~。少しずつ・・・蓮介の過去が見えてきましたね~・・・真絵美・・・何もかも知りすぎですよね~・・・蓮介おタクかっ!第3話仕上がりましたikasama4いよいよ伏線が張られてきましたね・・・案外王道路線に入ってきたようです。王様は王様らしくですな。秀美と蓮介は綿菓子を食べますが綿飴といえば割り箸と中双糖(ちゅうざらとう)です・・・つまりアメンボウ(飴ん棒)の・・・変形なのでございます

Hcinhawaii0641 ごっこガーデン。秘密のテレビセット。アンナううん・・・むにゃむにゃ・・・リピでしゅ・・・お鼻をくしゅくしゅ・・・としてくしゃみ・・・くしゅくしゅ・・・はうぅん・・・キスよりも・・・蓮介のハートは・・・クールでなくなるのでしゅか・・・むむむ・・・上海にアンナ号で・・・マッハ3で一時間で到着でしゅ・・・じいや・・・餃子はニラ多めにして・・・岩城滉一しゃんは・・・ダメなのでしゅぴょ~ん・・・アンナにはダーリンがいるにょだから・・・はむはむ・・・ぴすぴすmari「また、アンナちゃん・・・テレビをつけっぱなしで・・・会社は和やかな方がいいですよね~。ピリピリしてたら精神衛生上よくありません。仕事の能率もさがりますよ~

水曜日に見る予定のテレビ『臨場』(テレビ朝日)『ERⅩⅢ』(NHK総合)『Mother』(日本テレビ)

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2010年5月24日 (月)

そしてたい焼きは今日も新参者にとってどうでもいいものらしい(沢木ルカ)

まあ、楽しんでいるといえば楽しんでいるし、「女帝薫子」とどっちが楽しいかと言えば「女帝薫子」である。

土曜日には「チェイス」があってどんな残酷な結末が待っているかという期待度では「新参者」100倍の期待度であった。オチは復讐者が実は超母性依存者であって身代金のために実子の腕を切断する鬼母(りりィ)のために一生懸命お金を稼ぐ親孝行な男の話だったという結構素敵なオチでクールだった。

「新参者」がこの母親を越えるのは峯子(原田美枝子)が死体である以上難しいな。

第一、この峯子という女、死体のくせにやたらと鮮やかに人々の記憶に蘇りすぎである。

この時点でこの作品が嫌になる人もきっと多いな。

キッドは基本的には平気だが・・・翻訳家(45)と帰国子女(37)の出会い一年記念日のサプライズとか蕁麻疹が出そうな気もします。

まあ、元バレリーナとタニショーで絵にならなきゃ誰がやっても無理な設定だよな。まあ・・・大学時代に同棲していた彼女が二人の写真入カレンダーを提案した時に瞬時に賛成したキッドが言うのもなんだけどな。

で、『新参者・第6回』(TBSテレビ100523PM9~)原作・東野圭吾、脚本・牧野圭祐(他)、演出・韓哲を見た。昔、結構多くの在日韓国人や、在日朝鮮人が日本名で仕事をしていたかを考えると演出が韓哲というのは時代が変遷した感じはいたします。対南工作で北朝鮮の潜水艇が韓国の哨戒艦を魚雷で撃沈したと推定される今月。何故、自衛隊の艦艇ではなく、韓国海軍なのかとか、北朝鮮の魚雷などで撃沈されるとは韓国の対潜能力はどうなってんだとか・・・いや・・・沈黙の艦隊が相手だからなとか・・・死者の遺族たちには失礼かもしれない妄想がいろいろと膨らむのである。仕方ないのである口蹄疫を危惧しながら沢尻エリカの尻から目が離せないのが人間というものだからだ。そんなことを一々書く意味はあるのかと問われればそれを書くのも人間だと答える他ないのである。

とにかく峯子は死んでいて・・・生前の失言で家出するほど拗ねていた息子は母親が自分を見守っていたらしいと知るとご機嫌になり、恋人とラブラブである。

同じように峯子の親友の吉岡(草刈民代)は・・・友情より結婚を重要視したことにひどく気が咎めて婚約者(谷原章介)を殺人犯と妄想するほどだが親友が自分と婚約者のため夫婦箸を注文していたと知るとご機嫌になり、婚約者とラブラブである。

そういうタイプの人もいるが違うタイプの人もいると思う。

ところがこのドラマの登場人物は基本的に喉元過ぎれば熱さを忘れ、過ぎた過去にはこだわらない人々で作られているような気がする。

そこが気になる人にはすごく気になるだろう。

しかし、キッドは偶然そういう人ばかりが集まったっていいだろうとは思う。

だが、キッドは50年前の些細な思い出を未だに忘れず、関係者を未だに怨むタイプだし、一度復讐に成功しても機会があれば何度でも繰り返し復讐できるタイプだ。そして受けた恨みを1000倍返ししてもべつに不条理を感じないタイプ。

そういう人もきっと世の中にはいるよね・・・。

そういう人がいるから成人だったら死刑になる可能性のある少年犯罪者を憎悪する人々が受刑者を殺害するために爆弾を仕掛けずっと歯列矯正を続けていた宝生美月(大後寿々花)が死亡するという「シバトラ」の物語も成立するわけである。これで最後とか言いながら美月抜きで新作作る満々のような気がするキッドは疑り深い人間である。美月抜きの「シバトラ」なんか見ないけどねと・・・どうでもいい「新参者」の場を借りて虚しく宣言しておきたい。

関連するキッドのブログ『第5話のレビュー

シバトラの最後が気になる人は→お気楽様のシバトラ

死神の手が気にならない人は→くう様のシバトラ

火曜日に見る予定のテレビ『離婚同居』(NHK総合)『絶対零度・未解決事件特命捜査』『ジェネラル・ルージュの凱旋』(フジテレビ)

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2010年5月23日 (日)

世に先を読む人とは理を尽くし時を知る人なり小野小町しかり仁田忠常しかり(坂本龍馬)

予言者は科学的知識で大衆を欺くことが多いので自分もやってみたいがそれには用心深くならないといけない・・・と龍馬は仄めかす。

この手紙は六月二十八日の日付であるが、それが文久三年なのか、元治元年なのかは意見が分かれるところである。

龍馬が仁田忠常と新田義貞を混同しているという推察もあるが、仁田忠常が潮時を知って太刀を収めた故事が坂本家には伝来していたのかもしれない。

とにかく・・・そうなれば室町時代より鎌倉時代のが源である。

龍馬は小野小町の雨乞い歌、武人の汐凪の剣、おでき治療法、そして乳母の消息を姉・乙女に語る。

明らかに忍びの密書らしき意味不明の要素がある。

もちろん・・・今となってはこの書にかくされた真意を語ることはフィクションの域を出ないのである。

で、『龍馬伝・第21回』(NHK総合100523PM8~)脚本・福田靖、演出・渡辺一貴を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はファン待望、銭ゲバもケルベロスも泣いた武市半平太の妻・富子描き下ろしイラスト大公開です。もはや妻にして不幸にしてみたい女優ナンバーワンですな。なぜ・・・不幸にするのだ。薄倖ぐらいにしておけ・・・そういう問題なのか。容堂は武市より二才年上・・・吉田東洋は10才上の師である。武市にとって理解できなかった大攘夷(開国富国)を容堂は簡単に理解し、武市は「土佐の攘夷」を最後まで下克上とは気がつかないフリをしていたが、その本質が謀反であることを容堂は許さなかった。おそらく吉田東洋が存命であれば武市も生きて明治を迎えられたことは間違いなしなのですが・・・済んでしまったことをあれこれいっても始まらないのですな。東洋は暗殺。瑞山は切腹。容堂は二日酔いと歴史は定まっているわけですし。まあ・・・それが土佐藩の限界だったとも言えるでしょう。何しろ死国の屠鎖の絞血でございますからねえ・・・どこの豪州だよ。どんだけ吹き溜まりなんだよ。

Ryoma186305 で、文久三年はかなり長い停滞をはじめています。すでに今宵で五度目・・・やはり、ここは結構歴史の分岐点なのですな。ここまで比較的日付は曖昧にしてきましたが・・・ここで八月十八日の政変が起こる。長州による朝廷支配が挫折したという意味では毛利の変と名付けられるべきクーデター成功だが後に長州が官軍に返り咲くので八月十八日の政変という判り難い名称になっている。ほぼ同じ時期に天誅組の変が進行していて、その流れから言えば天誅の戦と考えることもできる。天誅というテロですべてを変革することができると考えた過激な公家、長州を中心にした攘夷志士たちと穏健なすべての人々との戦である。その中には孝明天皇も含まれる。

天誅軍が敗北するのは穏健派の公家と京都守護の会津藩、薩摩藩が連携し、しかも孝明天皇が穏健軍の旗頭だったからである。

天誅組がいくら「天に変って不義を誅す」と宣言しても今上天皇が「朕は天誅を望まず」と詔すれば拠り所を失ってしまうのである。

孝明天皇はすでに幕府に嫁した和宮から肉親の情報を得ており、京都守護の会津藩主を愛し、そして実力者・薩摩藩の後援を得ていたのだった。

尊王攘夷派が天皇親征を夢見ても、本人が大の戦嫌いである以上・・・実行は不可能だったのである。

三条実美は皇軍総帥を気取っていたが・・・裏では着々と天皇の忍びたちが「天皇の意に染まぬものたちの駆逐のための算段」を遂行していたのである。

少なくとも、江戸の忍びと京都の忍びは文久三年八月十八日(1863年9月30日)にほぼ一体化しており、まさしく公武合体状態だったのである。この日、天皇と将軍の両方に謀反した公家・三条実美と武家・毛利敬親は罪人となったのである。まさに頂点から一挙に奈落の底に落ちた気分だったろう。

毛利一族や三条らの公家は状況判断をして逃亡するが・・・末端の天誅過激派たちはまさに右往左往しつつ滅ぶしかなかったのである。

その賊軍征伐の影の陣頭指揮を取るのは幕府・勝海舟、朝廷・岩倉具視である。

二人は勝が文政六年、岩倉が文政八年と二才違いだが馬があっていた。

二人とも口か悪い。その上、陰謀が大好きなのである。すでに無冠の岩倉は元は正四位下左近衛中将だが、従五位下安房守の勝を海舟先生と呼んでいる。

「海舟先生・・・これで概ね終わりましたな・・・先生が越前から調達した軍資金が効きましたでおじゃる」

海舟は仕方なく・・・剃髪した貴族を法名で呼んでいる。

「友山和尚・・・後は京街道の監視をどうするかってえ問題が」

「そりゃ・・・先生に任せるでおじゃります・・・大和の代官所を襲うかもしれん中山大納言の七男・忠光は・・・皇太子(ひつぎのみこ)の母上の弟君なのでよしなに頼み参る」

「ああ・・・あれは・・・事もあろうに狭山藩に助勢を願ってるんで・・・そのうち・・・解散するしかなくなると思いますが・・・お上も心配してるんで海軍の坂本っていうのを派遣しときました」

「ああ・・・龍馬はんなぁ・・・」

「ご存知で・・・」

「なかなかにいいバクチを打つお方や・・・ふふふ・・・先生のとこに紹介したのはこの友山でおじゃるよ・・・」

その頃、中山忠光を主将とする天誅組は大和国五条の代官所を襲撃していた。槍隊を率いるのは吉村寅太郎、鉄砲隊を率いるのは池内蔵太である。一応の十人組を一番から四番まで持つ先発軍である。ここまで抵抗らしい抵抗もないまま、進軍してきて・・・「ものたりない」と中山主将が言い出したので代官所を襲撃することになった。

「しかし・・・何も相手が大人しゅうしてるのに攻撃せんでも・・・」と実は土佐藩の目付けである池内蔵太は意見した。しかし、中山忠光の世話係として長州での攘夷決行にもお供をした吉村寅太郎は「血気盛んなお方なのだ・・・やるといったら・・・もうやるのだ」と同意を示すのだった。

池鉄砲隊が威嚇射撃の後で・・・吉村槍隊が突撃すると・・・代官所の守備兵たちは抵抗もせずに退却した。逃げ遅れたというよりは事情を尋ねようと待っていた代官は鈴木源内である。

中山忠光は「首をはねよ」と命じた。仕方なく吉村は鈴木の首を刎ねた。

中山忠光は血を見て満足し・・・「今夜は前祝いじゃ・・・ここで酒など振舞う」と命ずる。

その夜、天誅組が酔いつぶれた丑三つ時。

御所には公武合体派の皇族、公家が参代し、今上天皇を尊皇攘夷派から切り離した。

御所周辺には会津・薩摩連合軍が配置され、不意を突かれた長州軍は無抵抗のまま、排除される。急を聞きつけた主力部隊が駆けつけたときには長州軍は御旗を失い、賊軍となっていた。

「こちらは京都守護である。本日をもって尊皇攘夷を唱える不逞の輩は朝敵に指定されました。ただちに解散し、恭順してください」

「ふざけんなー」

「断固反対ー」

「幕府、かえれ、攘夷、決行」

しかし、桂小五郎は薩摩軍の背後に御旗が翻るのを見るや、すでに退散していた。

その頃、天誅組は狭山藩主・北条氏燕の支配する風魔一族の監視下に置かれていた。隣国の高取藩主・植村家保は天誅組の大天狗こと吉田東洋暗殺犯・那須信吾を迎えていた。幕府海軍佐官・坂本龍馬は一人の忍びを連れて高取城を訪れた。京都での政変を伝え、幕命を伝える。

すでに那須信吾は酔いつぶれていた。

那須を酔わせたくのいちは加尾である。

加尾は実行犯である那須の捕縛を命じられていたが殺害でも平井家の家督相続を容堂に約束されていた。龍馬は一瞬で那須の首を切断する。

加尾は用意した壺にその首を詰めた。塩で封印する。

二人は無言で分かれる。龍馬にはかっての同志を殺害し、中山忠光のみを救う使命が残っていた。

その頃、天誅組には従軍慰安婦として楢崎龍が参加していたのである。

龍馬とお龍の運命の出会いが迫っていた。

天誅組50名に対し、公武合体軍は1万5000の藩兵を動員している。しかし、龍馬は穏便に天誅組を壊滅させなければならないのである。

関連するキッドのブログ『第20話のレビュー

月曜日に見る予定のテレビ『月の恋人』(フジテレビ)

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2010年5月22日 (土)

子役史上最強クラスVSハガネの女(吉瀬美智子)殺された女(加賀美早紀)ヤン(成宮寛貴)メガ(仲里依紗)

「ヤンメガ」が圧縮される勢いである。堀ちえみの「スチュワーデス物語その後」とか予告編での相模登場でも太刀打ちできない・・・恐るべきパワーを秘めた「ハガネの女」・・・。

そして、美人女優ナンバーワンといえる加賀美早紀が例によって殺され役で「失踪人」に登場なのだ。

「好き」と言えばどんな人も「相思相愛」になれるというようなガンダーラな「学園ヤンキーラブコメ」はのほほんとしている場合ではないのだな。しかし、のほほんが持ち味なのでどうしようもないかーっ。

で、『警視庁失踪人捜査課・第6回』(テレビ朝日100521PM9~)原作・堂場瞬一、脚本・演出・寒竹ゆりを見た。ケータイ小説「天使の恋」の映画版の監督・脚本を務めた人が異色の挿入スタッフである。加賀美早紀とのコンビネーションか。で・・・なんとなくケータイ小説っぽい展開なのがちょっと面白い。医師による強制中絶事件が起きたばかりでものすごくタイムリーでもある。三日くらいで作ったのかよっ。一人の無学なピアニスト・野口波瑠(加賀美早紀)が行方不明になる。捜索願いを出したのは母親の違う妹・名村凪(柊瑠美)・・・父親は高名な音楽家・名村公(団時朗)だった。波瑠は愛人(広田レオナ)、凪は正妻(中村久美)の娘だったのだ。ここまで・・・うっとりするようなキャスティングである。

公は死亡し・・・高額な遺産を姉妹は相続することになる。正妻は「愛人とその娘」を憎悪していたが・・・波瑠を凪は「姉」として慕っていたのである。

捜査陣はあまり恵まれているとは言えない波瑠の生い立ちを捜索する。

病弱で入院中の母。施設育ち。天才的な音楽の才能を持ちながらそれを生かす環境を与えられぬ不遇。そして・・・明確なファザー・コンプレックスを匂わせる恋愛遍歴。

施設のシスターは語る。「あの子はいつも父親から電話越しにレッスンを受けていた・・・」

幼馴染の波瑠に片思いの男(中村倫也)は言う。「いつも・・・無理目の男を狙って・・・そして結局捨てられてた・・・」

やがて浮かび上がる・・・波瑠の最新の交際相手。

秦医師(加藤虎ノ介)である。しかし、秦は婿養子でギャンブル狂いの破廉恥な男だった。

父親の遺産を秦に貢ぐ波瑠。彼女は秦の子供を宿していた。

それを知った秦の妻(秋本祐希)は波瑠を殴打して言う。「愛人の子なんか幸せになれないわよ」

打たれるままだった波瑠はようやく反論する。「そんなことはない・・・それは私が一番知っている」

そして波瑠は消息を絶った・・・。

いつもの二人の刑事の会話。

明神(森カンナ)「消息をたってから時間が経過しすぎています・・・彼女は死んで・・・」

高城(沢村一樹)「決め付けるな・・・産婦人科関係をあたるんだ・・・」

しかし・・・波瑠は流産のショックで死亡しており病院の奉安室で遺体となって発見される。

加賀美早紀・・・たまには幸せになってくれ・・・。

高城「解剖だ・・・ただの病死じゃない」

その結果・・・死因は無認可の堕胎薬が原因であることが判明する。

秦医師は波瑠から大金を受け取った日、波瑠には知らせず薬物を飲ませていた・・・。

刑事たちは薬の闇ルートを暴き、それを秦医師につきつける。

秦「こ、殺すつもりはなかったんだ」

高城「いや・・・お前が殺した・・・」

高城は冷たい目で罪人を視た。

明神刑事は虚空から悲しみのメロディーが聴こえてきたような気がした・・・しかし、それはきっと空耳だったのだ。

明神「彼女はそれでも・・・幸せだったのでしょうか・・・」

高城「そんなこと・・・本人にだってわからないさ・・・」

ハードボイルド・ケータイ小説風味である。結構、いい味出してます。

関連するキッドのブログ『第1話のレビュー

で、『ヤンキー君メガネちゃん・第5話』(TBSテレビ100521PM10~)原作・吉河美希、脚本・永田優子、演出・川嶋龍太郎を見た。ついに誕生した紋白高校元ヤンキー(&元引きこもり)生徒会。その目標は「学校にみんなが居場所をもてること」・・・。そんなある日、工藤(田村健太郎)のストーカー事件が勃発。しかし、工藤はサオリ(夏目鈴)が調理実習で作ってくれたご馳走のお礼がしたいだけだった・・・そんなはずはない。サオリは工藤を憎からず思っているのだが工藤が不人気男子のために世間体を気にして素直になれないのだった。そこで生徒会は総力をあげて二人の恋を応援することになるのである。・・・なんでだよっ。

その方法とは・・・豪華賞品獲得のチャンスがあるベストカップルコンテスト。

一方、キャパクラ通いの大地(成宮)の父(古田新太)を浮気認定した大地の母(堀)は家出を敢行するのだった。もちろん、家出先はヤンキーの吹き溜まり・花(仲)の家である。

かってドジでノロマな亀だった大地の母は料理が得意であるために花の家の食卓は輝く。

そして主夫となった大地の指は包丁による生傷がたえなくなってしまう。

まあ・・・「スチュワーデス物語」でそんなに押すのなら風間杜夫と片平なぎさも出してほしい。

とにかく・・・大地の説得と和泉(本郷奏多)の盗撮映像流用プロモーションビデオの応援を受け・・・工藤の「はじめての告白」は大成功となるのであった。もう・・・なんだか成立しているのかどうか怪しい話だ。

そして・・・大地の「思い出のシャープペンシルの君」が明らかに花なのに大地が気付かないというお約束あって・・・来週は相模(波岡一喜)が来る模様。待ちくたびれたぜ。

ふふふ・・・やはり・・・すごく圧縮されたな・・・だって・・・ムードしかないドラマなんだもん。

まあ・・・そこそこいいムードですけど~。くつろげるし~。のほほんだし~。

関連するキッドのブログ『第4話のレビュー

で、『ハガネの女・第1回』(テレビ朝日100521PM1115~)原作・深谷かほる、脚本・大石哲也、演出・唐木希浩を見た。結婚のために教師を退職した芳賀稲子(吉瀬美智子)はドタキャンで婚約を破棄され・・・教職に復帰する。

友人の学年主任・先崎(設楽統)がはがこ・・・略してハガネに用意したのは何人もの担任教師を葬り去った悪魔のクラス・・・4年3組であった。

やはり、芸人枠での設楽統は抜群にいいな。なにしろ・・・静かだ。他の芸人は見習ってほしいよ。

そして、副担任は塩田(要潤)である。ちなみに塩田(29)、ハガネ(35)の設定である。

塩田はどこか不気味なようでもあり・・・力強い味方のようでもある。もう、要はそういう役しかやらないつもりかっ。

さあ・・・いよいよ・・・教室へゴーである。

いや・・・その前に赴任祝いとしてハガネの机の引き出しには飼育動物のウサギの死骸が届けられている。油断のならない小学校です。

教室では常にいじめが進行中。ターゲットは母子家庭で母がショー・パブ・ダンサーのリカ(吉澤ひとみ)という海老田広(戸谷駆)である。全国のヨッスィーファンがヒロシになりたい場面があります。

男子では優介(林遼威)がいじめっ子のように見える。

しかし・・・このクラスのイジメの主体は実は・・・オールスター集合の女子児童なのであった。

まずは・・・この世代の美少女ナンバーワンである「坂の上の雲」の正岡律、「ギネ」の母を失う優美、「メイちゃんの執事」のみるく、「オー!マイ・ガール!!」の天才子役・桜井杏、「山田太郎ものがたり」の山田五子、そして綾瀬はるか、山田優、黒川智花、石原さとみの幼少時代でおなじみの吉田里琴演じるいかにも人を見下した態度の菊田真理衣。

続いて「薔薇のない花屋」の雫、「龍馬伝」の平井加尾、香里奈や、多部未華子の幼少時代でおなじみのどこか影のある八木優希演じる盗み癖がありそうな山石美奈。

「ホットマン」の七海でおなじみの日向ななみ演じるストレスがたまりやすそうな佐野せり。

「だいすき!!」のひまわりでおなじみの佐々木麻緒演じる佐野亜弥美・・・姉妹なのか?年子とか・・・。まさか正妻と愛人の子がクラスメート・・・薫子かっ。

そして母親が有名人(横山めぐみ)の中野愛梨を演じるのは「白い春」で「崖の下のポニョ」の言わずと知れた大橋のぞみである。

さらに母親が富豪(高橋ひとみ)の琴平れもんは優等生の仮面をかぶった男子児童を階段から蹴り落とす暴力少女であるが演じるのは「仁」で健気に吉原に売られたばかりの野風の幼少期を演じていた柴田杏花である。

ものすごいラインナップである。まさに子役ドリーム・チームなのである。

もう・・・あらゆる場面で目が離せません。

はたして・・・この中にウサギ殺しが潜んでいるのか・・・そうだとすると戦慄なのである。

いきなり、トイレでバケツ水のイジメ定番コースに挑んだハガネは自ら水をかぶり・・・体を張るのである。

「先生だって平気じゃない・・・冷たいもの」である。

そして・・・本当はヒロシをいじめから守っていたユースケの心をゲットしたホイッスル常備の変な小学校教師ハガネ。

しかし・・・まだまだオールスターズの攻撃は始まったばかりなのである。

これは・・・楽しみだーっ。脚本や演出はちょっと甘いけどなーっ。

ちなみにハガネの元教え子マナを演じる有村架純はこれがドラマ・デビュー作だ。早くもポスト戸田恵梨香投入かっ。

関連するキッドのブログ『怨み屋本舗REBOOT

日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)『新参者』(TBSテレビ)『女帝薫子』(テレビ朝日)『荒川アンダー ザ ブリッジ』(テレビ東京)

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2010年5月21日 (金)

俺と彼女(上野樹里)のターンなう(瑛太)いい加減大人になってほしい(大平うみ)

しょうもない人々というのは永遠に不滅である。

それは北朝鮮のしょうもなさとある意味、一緒だ。

「いくつになっても恋をしたい」というのは「不老不死を願う気持ち」と同じような寝言である。

それでもしょうもない人々はしょうもない見果てぬ夢を見るものなのだ。

だからしょうもないドラマが作られるのでございます。

それはもうしょうもないことでして・・・。

【仕様もない】ばかばかしい。くだらない。しょうもないと発音されることが多い。

例「黄海で韓国海軍哨戒艦・天安が撃沈・・・またしょうもない北朝鮮の対南工作か」

例「不倫妻の夫が自殺未遂・・・しょうもない夫婦のことなんか知らんがな」

例「片思いのハルが傷心のナカジとまったり・・・またしょうもないそれがいけないだろう」

例「北は許しがたい、日本は先頭を切って走るべきだ、米韓の後で・・・またしょうもない鳩山コメントを」

で、『同窓会~ラブ・アゲイン症候群・第5回』(テレビ朝日100520PM9~)脚本・井上由美子、演出・高橋伸之を見た。同窓会で再会した夫がリストラされすっかりぐーたらになったことに失望している中学時代のマドンナ朋美(黒木瞳)はすでに妻に肉体的魅力を感じなくなり欲望の捌け口を求める杉山刑事(高橋克典)と再会。先んじて駆け落ちした同級生カップル・福島(尾美としのり)板倉(宮地雅子)に刺激されてラブ・アゲイン(一同爆笑)になっていくのであった。毎度しょうもない誠一郎(吹越満)もお届けします。朋美の娘・彩(大平うみ)はしょうもない母親を今週もちょっぴり恥ずかしく思うのだった。

亭主 電車にひかれてぺっちゃんこになってやる~!

マドンナ ときめかないのよね~。勝手に死ねば~って感じなう。

悪女 私はときめいてきたっていうか、ワラにもすがる気持ち。

色男 まあ、すがられても困るわけだが。

刑事 わんぱくでもいいたくましく育ってほしい。

亭主 ブランコから飛び降りて墜落死してみせる~!

鑑識 それはかなり無理がありますな。

マド娘 おばさんとおじさんが恋してドロドロとかマジ気持ち悪いんですけど~。

息子 まあ、僕たちだっていつそうなるか・・・。

アイロン 坊や、大きくならないで・・・。

役人 探さないでください・・・見つかったら死にますから・・・って誰もマジで捜してねえな・・・。ああ・・・俺って転校生の頃からキャラ何ひとつ変ってないよな・・・ある意味、奇跡だよな・・・。

キャスター(眞野裕子)ただ今、入った情報によりますと北朝鮮は韓国が哨戒艦沈没を北朝鮮の関与したものであると捏造した場合、全面戦争に突入すると警告を発しました。

マドンナ まあ大変なことになったの?

刑事 心配ないよ・・・彼らはいつも警告するだけ・・・それより俺の魚雷はどう?

マドンナ 一発撃沈クラスだわ・・・。

キャスター ただ今、入った情報によりますと韓国が北朝鮮の魚雷攻撃により哨戒艦が沈没したと断定したことに対して北朝鮮は経済制裁などが実行された場合、全面戦争に突入すると警告を発しました。

刑事 ほらね。

マドンナ 杉山くんってものしりね~。ときめくわ~。

亭主 全面戦争に突入してやる・・・俺のミサイルは不発弾じゃないぞ~。

貸本屋 子供の心配もしないで・・・恋に浮かれるなんて愛の水中花なのよ~。

関連するキッドのブログ『先週の木曜日のレビュー

で、『素直になれなくて・第6回』(フジテレビ100520PM10~)脚本・北川悦吏子、演出・光野道夫を見た。つまるところ24才で処女で男性と交際したことのない非常勤の高校教師・ハル(上野)と親子二代のカメラマンで夫のある年上の女性と不倫中のナカジのラブ・ロマンスであることを明確に打ち出した今回。さすがは恋愛の神様なのでしょうもないベタさもそれなりに仕上げるのである。今回の失敗は恋愛以外の部分がしょうもないことこの上なかったからだな。このまま、いろいろ困難を乗り越えて上野の初めての夜・・・昼間かもしれないが・・・をロマンチックに仕上げてもらいたい。

ハル もう彼氏はいるなう。

ドクター 私が彼氏です。ずっとそばにいるのです。

リンダ そうだ・・・ハルはドクターが押さえてくれ・・・ナカジは俺が・・・。

ピーち いえいえ、私が。

ナカジ オレは恋人は間に合ってる・・・トモダチが欲しいんだ。

井川遥(井川遥) ごめん、バレたから別れるなう。

ナカジ ただいまをもちまして恋人募集中が発動しました・・・。

ドクター ああ、ハル彼女いなくてかわいそうなう。

妹(木南晴夏)お兄ちゃん、急に上から目線で決めてる場合じゃないヨ。祖国が大変なコトになってるヨ。トッキョタッワー。

ハル ナカジがフリーになった以上、韓国に帰ってお国のために立派に戦って散ってくだしゃい。

リンダ そんなに簡単に戦争にはならないよ。

白髪鬼 戦争か・・・冗談じゃない・・・黄海では韓国軍兵士が犠牲になっているんだ・・・今こそ・・・オレが最後の花を咲かせるとき・・・。

姥桜 海は死にますか・・・山は死にますか・・・。

ハル でも海を越え韓国に嫁いだ日本人妻とかのドキュメンタリー見てると半島に嫁ぐのって大変そうなう。

ピーち だよねー。キムチも上手につけなくちゃいけないしー。

ドクター そこですかっ。

ナカジ ハール。

ハル なーに。

ナカジ 呼んでみただけ~。

ハル ナカジに呼ばれたらふりむきまくり~。

ナカジ 動物園行こうか。

ハル 行きまくり~。

ナカジ オレんとここないか。

ハル 寄りまくり~。

妹 お兄ちゃんをよろしく・・・無理だと思うけど・・・トッキョタッワー。

キャスター ただ今、入った情報によりますと韓国による国連安保理への北朝鮮のテロ活動に対する制裁決議案が提出された場合、北朝鮮は全面戦争に突入すると警告を発しました。

キッド 日本の工学実験探査機・科学衛星「はやぶさ」は2003年に打ち上げられてすでに7年、アポロ群の小惑星イトカワなどの画期的な探査を成功させ、長い宇宙の旅を終えて六月に地球に帰ってくる。帰還カプセル落下地点は豪州ウーメラ砂漠。その日、はやぶさは流星となる。平和の祈りをこめて無事の帰りを待つ初夏である・・・。

土曜日に見る予定のテレビ『チェイス・国税捜査官』(NHK総合)『怪物くん』(日本テレビ)『タンブリング』(TBSテレビ)『シバトラ・さらば童顔刑事スペシャル』(フジテレビ)大後寿々花(シバトラ)VS川島海荷(怪物くん)・・・か。これは白熱。

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2010年5月20日 (木)

赤いランドセルと朱肉と紅の涙のMother(松雪泰子)

今回はほぼ全編、泣いていたと思う。

1時間も涙を流していると実に草臥れるのである。

「とりかえしのつかないことをしてしまった・・・」とアムロ状態の継美(戸田愛菜)、生さぬ仲の母と生さぬ仲の娘の間で板挟みになる奈緒(松雪)、家長として断腸の思いで苦渋の決断する藤子(高畑淳子)・・・どの身になっても憐れでならない。なにしろ・・・誰一人として悪いことをしているわけではないのだ。

ここにはいない・・・継美の父親、奈緒の実の父親、そして藤子の夫・・・存在しない男たちが・・・もはやこの世にないとして・・・影のようにこの件を見つめていたとしたらどうだろう。胸が張り裂けはしないだろうか。

張り裂けないとしたら人間ではないのである。

さて、本題に入る前に「グリム童話」の「子供たちが屠殺ごっこをした話」のもう一つの話に触れておこう。・・・もうひとつの別の話については昨日の記事を参照してください。・・・「肉屋には三人の子供がいました。一人はまだ幼く、母親がお湯につけています。その間に上の兄弟たちは父親の真似をしてお肉屋さんごっこをはじめました。兄が肉屋となり弟が豚になりました。そして兄はナイフで弟の喉を切り裂きました。物音を聞きつけて母親がやってくるとすでに弟は死んでいました。母親は兄からナイフをとりあげると逆上して兄の心臓を突き刺しました。母親は自分のしたことに驚いて末の子の元に戻ります。すると末の子はお湯の中で溺れ死んでいました。仕事を終えた肉屋が最初に見たものは世をはかなんで首をつった妻の姿だったのです」・・・ある意味、ドイツ人の容赦ないブラック・ジョークの結晶である。この話で大笑いできる日本人は少ないと思う。

しかし、人は時にどうしようもなく愚かで・・・時には信じられない行いをするものである。

そういう意味でこの話は人間のすべてを物語っているとも言える。

キッドは「Mother」のそこそこの視聴率を見るとそういう思いを強くします。しかし、↗13.9%なのでやはり世の中捨てたもんじゃないとも思うのです。・・・お前って腰がすわらないよな。・・・多重人格だからな。

水曜日のダンスは

「臨場」・・・17.9%↗18.6%↘16.7%↗16.9%・・・・・・↗18.6%↘17.0%

「Mother」・・・・・・11.8%↗12.0%↗12.8%↘10.0%↗11.9%↗13.9%

ナイス・リード。

で、『Mother・第6回』(日本テレビ100519PM10~)脚本・坂元裕二、演出・水田伸生を見た。どうやって怜南(継美)の母親・仁美(尾野真千子)は鈴原家の電話番号を知ったのか。どうでもいいことだが、そういうことが気になるお茶の間のために一応の説明がある。

仁美「娘がノートに渡り鳥って書き残しているんです」

教師「渡り鳥・・・担任の鈴原先生のことかな」

仁美「学校での娘の様子をお聞きしたいのです」

教師「鈴原先生のご実家の電話番号なら・・・わかります」

そして・・・仁美は鈴原家に電話をかけた。

その電話に出たのは継美(怜南)だった。

「あなた・・・怜南なの・・・」という実の母の問いかけに思わず「・・・ママ」と零れる継美の中の怜南の言葉。

そのつぶやきを・・・偽りの母親である奈緒が聞いた。奈緒の育ての親である藤子が聞いた。藤子の実の娘たちらしい・・・芽衣(酒井若菜)と果歩(倉科カナ)が聞いた。だが果歩のヒモの耕平(川村陽介)は聞き逃した。いや・・・聞いていたが聞かないフリで撤退したのかもしれない。

とにかく・・・事情を知らない三人の女は困惑し、秘密を持った二人の女は切羽詰ったのである。

(どうしよう・・・どうしよう・・・とりかえしのつかないことをしてしまった・・・お母さん・・・ごめんなさい・・・お母さん・・・私はお母さんを・・・裏切った・・・)

継美は信じられない自分の失策に呆然とした。怜南は心を動かすママの声に陶然とした。

継美からは表情が消えた。仮面をかぶり続ける継美/怜南の心が凍結してしまったのだ。

藤子は疑問を口にした・・・「ママって誰?」

継美は脱力した。その背後に奈緒が触れる。

継美は奈緒にすがりついた。

(どうしよう・・・お母さん・・・ごめんなさい・・・お母さん・・・お母さん・・・お母さん)

奈緒は愛しい偽りのわが子を抱きしめた。

室蘭では仁美が立ちすくんでいた。

(怜南・・・怜南が生きている?)

そこへ訪問者がやってきた。

「マーくん?」と仁美が口にしたのは愛人の真人(綾野剛)の愛称だった。

しかし、やってきたのは刑事だった。

「死体がないっていうのはいろいろと困った状態でしてね・・・書類仕事がありますので・・・おおよその事情を確かめておきたいのですよ」

「・・・」

「あの日・・・お子さんは何故一人で漁港なんかに行ったんでしょう?」

「・・・わかりません」

「・・・一緒に男性とお暮しだったとか・・・お子さんとその方とは仲良くされてましたか?」

仁美は答えに窮した。疑いを晴らすために何かを言わなければならない。疑い?・・・何を疑われているのか?・・・娘が母親の愛人を誘惑したこととか・・・私が躾のために娘をゴミ袋に詰めて夜間に路上放置したこととか?・・・そういうことを疑っていると?・・・それは疑いを晴らすために言っていいことなのか。何をどこまで・・・説明するべきなの。わからない。どうしていいか・・・わからない。それにアレはまだ生きているかもしれないのだ。

そう・・・怜南は・・・アレは確かに怜南の声だったもの。

東京では怜南は継美としての意識を取り戻した。いつの間にか鈴原家の二階にいる。

(もう・・・こうなればお母さんにまかせるしかない)

「漢字の・・・書き取りをしなくちゃ・・・」

(お母さん・・・継美の失敗を・・・取り繕ってください)

「お母さん・・・すぐ戻るから・・・」

三女の果歩は気を遣って・・・その場に残った。

継美は机に向かって漢字の書き取りを始める。

果歩は当たり障りのない言葉を捜した。

「へえ・・・七歳なのにもう、こんなに難しい漢字を書けるんだ」

果歩は地雷を踏んだ。

(七歳・・・七歳か・・・継美ちゃんは・・・七歳なんだ)

あの日。室蘭に姉を尋ねた日。行方不明になった女の子は・・・七歳だったと果歩は気がついてしまった。

階下では奈緒に対する取調べが始まっていた。姉に対する疑問を口にする芽衣。口調は辛辣だがそれは口の重い姉への援護射撃なのである。

「おかしい・・・と思ってたんだ・・・奈緒姉が・・・子供を生むなんて・・・あの子・・・奈緒姉の子供じゃないでしょ」

藤子はうろたえる。

「なんで・・・自分の子供じゃない子を奈緒が連れているのよ」

「私に聞かれても困るじゃない」

奈緒は必死に答える。

「継美は私の娘です」

しかし、そこへ真相に気がついた果歩がおりてくる。

「あの子も七歳だったよね・・・」

階上では継美が耳をすましている。もはや継美には祈るしか術がない。

(お母さん・・・がんばって・・・継美の失敗をとりかえして・・・)

「何の話?」

「私が奈緒姉を訪ねた日・・・奈緒姉が担任していたクラスの児童が行方不明になったって話を聞いた・・・そして奈緒姉はその日に引越しを・・・」

「バカね・・・それじゃ、まるで奈緒姉が誘拐犯みたいじゃないの」

いつものように嘲笑しようとした芽衣は途中で凍りつく。

母と二人の娘たちは・・・長女を見つめた。

「そんな・・・まさか」

奈緒は撤退を決意した。奈緒はいつだってそれしか手段を持っていないのである。

「継美と一緒に出て行きます」

藤子はしっかりと抱きしめたはずの偽りの長女がまたしても彷徨い出したことに恐怖する。

「待って・・・何を言ってるの・・・」

「お母さんたちは何も知らなかったことにしてください」

次女の芽衣は長女のいつもの頑固さが始まったと気がついていた。思いつめて・・・我を失って・・・優秀な人間はピンチに弱いものよね。

「だめよ・・・誘拐犯なのよ。知らなかったじゃ・・・すまないよ・・・お母さんは会社の経営者なのよ。私はもうすぐ結婚するの・・・果歩は就職の内定が出てるのよ・・・娘や姉が犯罪者になって・・・ただですむと思うの?」

奈緒は追い詰められた。いつも優しいお義母さん。本当の姉妹のように可愛い義妹たち。この愛すべき人たちを私は裏切る。それしかできないのだ。私は偽りの娘。偽りの姉。そして偽りの母なんですもの。

でも母親として・・・継美だけは・・・失いたくないの。

だから・・・家族にだけは「秘密」を打ち明けよう。ごめん・・・継美・・・ごめん。

「あの子は・・・私の子供ではありません・・・私の教え子だった子です」

継美は目を閉じた。母親の掲げた白旗を継美は見た。

(しょうがないよ・・・お母さん・・・お母さんは悪くない・・・失敗したのは私・・・最初に裏切ったのは私・・・私が責任をとるよ・・・)

目を開いた継美はノートにメモを作り始める。

ペンギンの看板

「冬」と「花」という字に埋もれて、それはひっそりと立っていた。

「あなたは一体何をしたの・・・」

「あの子を誘拐したのです」

母の問いに娘は正直に答えた。

北海道の雪の降るバス停で偽りの母と偽りの娘に吹いた冷たい風は再び戦ぎはじめる。

三流ジャーナリストを装ったハイエナこと駿輔(山本耕史)はいつか書く記事のために取材を続けていた。その興味は謎の女・望月葉菜(田中裕子)に注がれている。

望月葉菜の家には変な担当医・袖川(市川実和子)が訪問していた。何かの勧誘のように袖川は葉菜に入院を勧める。しかし、袖川は事情を知っている女なのである。しかも、奈緒や藤子の知らない葉菜の寿命も知っているのだ。

「入院した方がいいと思うんですよね・・・再発したらもって三週間ですよ・・・こわくないですか」

「・・・」

「じゃあ・・・言い方変えます・・・こんなところで・・・一人で淋しくないですか。私、こんなこと言いたくないんですけど・・・お節介とか焼くのも焼かれるのも真っ平ごめんだし・・・でもね・・・あなたみたいに生きることに未練がないような態度をとられると・・・うーっマンボっ!ってなっちゃうんですよ・・・医者だからって人の死に無頓着って思わないでください・・・私、患者に死なれるのが大キライなんです。うーっマンボ!なんですよ」

「・・・私、入院しようかしら・・・」

「え・・・」

「だって・・・そうしないと先生・・・うーっマンボってなっちゃうんでしょう」

唯一の息継ぎポイントまで泣かされてたまるかっ・・・なのである。

まあ・・・涙ぬぐえや・・・。先は長いぞ・・・。

継美と奈緒は散歩に出ていた。

血縁者らしい母と姉妹は・・・事情通の果歩にレクチャーを受けていた。

「・・・ていうわけで継美ちゃんは虐待されてたってわけ」

しかし、本当は最も常識人である芽衣は反論する。

「だったら・・・警察でも児童相談所にでも通報すればすむ話じゃない」

「でも・・・結局・・・注意を受けた親許に戻された子供がさらに虐待されて・・・殺されちゃうことだってあるんだよ」

「だからって・・・子供を誘拐したらまずいだろうがっ」

「そ、そりゃそうだけど・・・」

藤子は娘たちの言葉を聞きながら奈緒の胸中を察する。

(そうなの・・・ただ・・・教え子がかわいそうだから・・・そうしたの)

藤子には自信がない。本当の親ならこういう時どうするか・・・30年問い続けて答えはないのである。もちろん、実の親にだって答えられない質問なのであるけれど。

そこへ・・・奈緒と継美が帰ってくる。

「ただいま」

「おかえり」

「おかえり」

「おかえり」

「ただいま」

一瞬の静寂・・・しかし、風が終息することはない。

「心配しないで・・・継美・・・おばあちゃんも・・・芽衣も果歩もみんなあなたを好きだから」

継美は漢字の書き取りを始める。

「大事大事・・・」と奈緒は声をかけるが継美は漢字の書き取りに熱中している装いで答えない。

妹たちはそれぞれの部屋に戻り・・・奈緒と藤子が対峙した。

「私・・・あなたは冷静な娘だと思っていた・・・そして今もそうだと信じている・・・継美ちゃんは・・・いえ・・・怜南ちゃんを・・・本当の家に返しなさい・・・今なら、まだ穏便にことを収められると思うの・・・」

「迷惑をかけてすみません」

「迷惑とか・・・そういう問題じゃないのよ・・・あなたを守りたいだけ・・・あなたは継美ちゃんに自分を見たんでしょ・・・そして同情して」

「お母さん・・・私・・・自分が正しいことをしたとは思ってません・・・間違ったことをしたと思っています・・・まして正義のためでも継美に同情しているわけでもありません。私はただ継美のお母さんになろうと決めたのです」

「それじゃ・・・あなたはただの人さらいじゃないの・・・」

「お母さん・・・私の籍を抜いてください・・・そうすればマス・メディアもうかつな中傷記事は書けないはずです。私が・・・間違っていたのです・・・最初からここに帰ってくるべきじゃなかったのに・・・」

「何を言ってるの・・・そんな・・・あなたはあの子のために・・・家族を捨てるっていうの・・・果歩がどれだけあなたを姉として慕っているか・・・わからないの・・・芽衣だって口じゃあんな風だけど誰よりあなたを心配している。私だってあなたを三十年育ててきた・・・そういう家族を捨てて・・・あなたはあの子を選ぶっていうの・・・そんなのあなた・・・ひとでなしのすることよ・・・」

「ごめんなさい・・・お母さん・・・私はあの子の母親なんです」

藤子は奈緒の中に自分の姿を見た。奈緒を自分の娘にしようと決めた自分。でも事情が違うでしょう。私は合法的に奈緒の母親になったのよ。子供を誘拐したりしないわよ。しかし、奈緒の中に藤子はいるのだ。継美を自分の娘にしようとした奈緒。本当の親ならどうする。娘のやりたいようにやらせる。それとも暴力に訴えてもやめさせる。ああ・・・本当の親なら・・・。

(馬鹿・・・奈緒・・・なんて馬鹿な娘なの・・・なんて可愛い娘なの・・・奈緒・・・私の奈緒)

藤子の心は張り裂けた。

継美はその音を聞いた。

(かわいそうなお母さん・・・かわいそうなお母さんのお母さん・・・大丈夫・・・継美は・・・自分の失敗は自分で・・・なんとかしますから・・・嘆かないで・・・傷つかないで・・・苦しまないで)

継美は「書置き」を一心不乱に書き綴っていた。

(立つ鳥後を濁さず)だからね。まあ・・・継美の知能指数は推定200・・・現在中学生相当にあたることは間違いない。普通のお子さんが真似ができなくても叱らないでください。

しかし、朝、うっかり漢字ノートを忘れたのは・・・故意なのか・・・それともうっかりさんと親しくしすぎたのかは微妙なところである。

とにかく継美は問題を解決するために置手紙を残し、奈緒の姿を心に刻むと一人で旅立ったのである。

ここから刻まれる藤子と芽衣そして芽衣の婚約者・加山(音尾琢真)の挿入曲は謎を孕んでいる。

家を出るときは三人。藤子と芽衣とお腹の胎児。帰ってきたのは何人なのか。

とにかく・・・加山は「二人の問題なんだから・・・もっと早く相談してくれたらよかったのに・・・でも結論から言えば・・・君の選択は正しかったと思う・・・そんな面倒くさい命は生まない方がいい」と告げるのである。

それを受けて中絶手術に向かう藤子と芽衣。

産婦人科の脱衣室で・・・芽衣の心は揺れ始める。

「継美ちゃんの本当の母親ってどんな女なのかしら」

「・・・」

「きっと・・・自己中心的で私に似ているような気がする・・・子供をないがしろにするところなんか」

「そんなことはない・・・あなたは・・・違う」

「じゃ・・・どうして、こんなに不安なの・・・どうしてこわいの」

「それは・・・あなたが母親だからよ・・・もうあなたは母親になってるから」

「私・・・ダメダメな女だからさ・・・子供に好きになってもらえる自信がないの・・・許してくれるかな・・・こんな母親で・・・母親として好きになってくれるかな」

藤子は愛おしい娘を抱きしめた。

果たして・・・中絶はなされたのか?・・・芽衣は天国の嬰児を愛するのか。それとも・・・不運な胎児の出産を決意したのか・・・。

なぜか・・・どちらともとれるような気がするのである。いや・・・帰ってきてもお腹まだ大きかっただろう・・・ただ太ってるのかもしれないじゃないですかっ。・・・・・・。

とにかく・・・お腹に不安をかかえる娘を抱きしめて・・・藤子は・・・決断を迫られるのである。

世の中にはできることとできないことがある。二人を守るために一人を犠牲にすることも。

経営者ならやむをえない場合があるのだから。

奈緒を切り捨てるのは・・・あの子が養子だからじゃない。

あの子がそれを望むから。

でも本当の親ならどうするのかしら。

その頃、継美の置手紙を発見した奈緒は本当の親のような恐怖を感じていた。

お母さん、継美が書いた手紙だよ。読んでね。

お母さん、栞も作ったよ。はさんでね。

お母さん、読むの好きでしょ。

お母さん、いつもご飯作ってくれたの、嬉しかったよ。

一緒に餃子作ったの、面白かったよ・・・

・・・お風呂にはいったとき、泡だらけになったの、びっくりしたね。

継美はお風呂で泡だらけになったことがなかったのだ。

仁美はどれだけ虐待してたんだよ・・・。

・・・商店街で買い物したの、楽しかったよ。

買い物できるようになったよ。

260円の買い物をする時は300円渡すよ。おつりは40円。

何買ったんだよ・・・。そこはどうでもいいだろうがっ。

一回一回財布はしまうよ。

サイフを盗られた母親への嫌味かっ。っていうか・・・奈緒は継美の涙の跡に気付いているのだろうな。と思うだけでさらに涙が・・・誰か、助けてください。

学校へ行けてうれしかった。

友達もできた。

掃除当番は

お母さんと一緒の仕事だから楽しかったよ。

夜寝るの、一人で眠れるよ。

一人で大丈夫だよ。

継美は大人になったらお母さんみたいな髪型にするよ。

お母さんみたいに優しくなるよ。

お母さんみたいに強くなるよ。

お母さん、ありがとう。

お母さんになってくれて、ありがとう。

お母さん、大好き。

お母さん、ずっと大好き。

・・・大事大事。

継美は一人で室蘭に帰るよ

どうしよう・・・どうしよう・・・継美が家出した。

どうやって・・・帰るの。

お金は・・・給食費・・・だけどあれじゃ・・・足りないはず。

そうだ・・・うっかりさん・・・うっかりさんのところに・・・行くかもしれない。

奈緒は漢字ノートを握りしめて家を出た。

葉菜の家には駿輔が訪れていた。しかし、理髪店「スミレ」は休業中だった。

駿輔は名刺を残した。そこに駆けつける奈緒。

「どうした・・・何かあったのか・・・」

「継美が・・・いなくなったの」

「落ち着けよ・・・それ・・・なんだ・・・」

「好きなものノート・・・それを書いてるときが楽しいって・・・」

「現実逃避だな・・・それをまた書いているってことは・・・あんたとの暮らしも辛かったか?」

「・・・」

「もういいじゃないか・・・あんただっていつまでもこんなこと続けられないってわかってるだろう・・・このままだと親子心中だぜ・・・まあ、他人だからただ心中か・・・あんたはよくやったよ・・・もう充分だろう」

「違うわ・・・」

「何が・・・」

「これ・・・好きなものノートじゃない」

青色の電車

波の模様のバス

手を繋いだ階段

キディ・ランド

怒っているみたいなマネキン

ペンギンの看板

52階のビル

「これ、帰り道だわ・・・私と継美が来た道だもの・・・あの子が心配していたのは・・・自分のことじゃなかった・・・私と私の家族のことだったんだわ」

「あの子が帰りたいって言うなら帰らせてやればいい」

「あの子はね・・・嘘でしか・・・本当のことが言えないの」

「なんだ・・・それ・・・嘘なのか・・・本当なのか・・・先生・・・大丈夫か」

「あなたは結局・・・理性の信者なのよ」

28番

「なんだ・・・こりゃ」

「バス停・・・私と継美が最後に降りたバス停よ」

「それじゃ・・・帰れないな」

奈緒はバス停に向かった。

28番は降車専用だった。どこかへ行くバスはいつまで待っても来ないのである。

継美はもう一度、目印のビルの階数を数えに行った。

(間違えたのかな・・・あのビルは確かに52階あったと思うけど)

継美は数えなおしてみた。やはり、ビルは52階あった。

そこへ・・・婦人警官が通りかかった。

(もう・・・つかまっても大丈夫・・・だって私は一人だから)

この辺りが小学生です。継美・・・いろいろとまずいんだよ。ランドセルとかな。

だが・・・奈緒は間一髪で継美を発見するのだった。

そこは思い出の歩道橋。葉菜と奈緒がすれ違った場所だったようだ。

奈緒「継美ーっ」

婦人警官「あら・・・お母さん?」

立ちすくむ継美。

(どうしたの・・・お母さん・・・来たらダメだよ・・・お母さんのお母さんを悲しませるよ)

婦人警官は奈緒に歩み寄る。

継美の我慢もそれまでだった。

継美「お母さん・・・おかあさあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」

いつわりの親子は抱き合った。空気を読むことに長けた婦人警官は出過ぎた真似はしないのだった。素晴らしい婦人警官である。表彰したいくらいだ。

帰るところはここだよ。

継美とお母さん。

二人のいるところが帰る場所なの。

それだけは忘れないで。

(お母さんお母さんお母さん)

そして二人は儀式の待っている鈴原家に戻った。

藤子は覚悟を決めて歯を食いしばっていた。

「ただいま、おばあちゃん」

「継美ちゃん、お帰り」

藤子の心は乱れた。実の母のあの人にも盗られなかった娘を・・・こんな小娘に奪われるとは・・・。憎い・・・この子が憎い。

藤子は養子離縁届けの書類を出した。

「それを書いたら・・・出て行って」

居合わせた果歩は驚愕した。藤子はもっと穏便にすませることもできたのだ。

しかし、藤子は心を鬼にすると同時に果歩に最後の望みを賭けていたようでもある。

「なによ・・・これ」

そうよ・・・果歩・・・もっと言ってちょうだい・・・情ですがって・・・奈緒の気持ちを変えさせて。

しかし・・・奈緒の決心も固かった。

「わかりました・・・」

「ちょっと待ってよ・・・お姉ちゃんを追い出すの」

「仕方ないの・・・私はあなたたちを守らなければならないから」

「そんなのないわ・・・守るならお姉ちゃんも守ってよ・・・三姉妹でしょ」

そこに芽衣も加わった。

ああ・・・芽衣はだめ・・・芽衣はこんなこと・・・お腹の子に障るし・・・。

「芽衣・・・あなたは寝てなさい」

「うるさくて眠れないわよ」

藤子の心は乱れた。生さぬ仲の奈緒。果歩。芽衣。芽衣のお腹の子供・・・。私の孫。そして・・・継美。ああ・・・あなたさえ・・・いなければ・・・こんなことにはならなかったのに。

そして、果歩は「養子」の文字に気がついた。

「なに・・・これ・・・養子って」

藤子はもう何がなんだかわからない気分になった。ああ・・・30年間育てた娘が。隠してきた秘密が・・・すべておじゃんになるのだわ。本当にもうあの子がいなければ・・・。

「お姉ちゃん・・・養子なの・・・芽衣や果歩が生れる前に施設からもらわれてきたの」

「嘘・・・嘘だ・・・そんなの嘘だ」

果歩・・・可愛いよ果歩である。

「果歩・・・うるさい」

芽衣・・・こわいよ芽衣である。

「ダメだよ・・・そんなの書いちゃダメ・・・家族が壊れちゃうよ」

奈緒は署名を終えた。

準備周到な藤子は判子も用意していた。

しかし、朱肉を渡すことができなかった。

奈緒・・・こんなに果歩を悲しませて・・・それでもあなたは・・・。

「お母さん・・・朱肉をください」

いや・・・やめて・・・朱肉は・・・藤子はすべての不幸の源である継美を睨んだ。

あなたさえいなければ・・・そこには涙を流す幼子の姿があった。

賢く、優しく、そして傷ついた子供。

私が母親になろうと決めた娘が母親になろうと決めた娘。

私のいつわりの孫娘。

ごめんなさい。ごめんなさい。あなたを助けてあげられなくてごめんなさい。

でも私は三姉妹の母親なの。私にしてあげられることはもうないの。

儀式は終った。

「イヤ・・・こんなのイヤ」

「果歩・・・嘘ついていて・・・本当のお姉ちゃんじゃなくて・・・でもね・・・優しくて素直な果歩のこと・・・好きよ」

「・・・」

「芽衣、ごめんね・・・」

「あやまらなくてもいいんじゃない・・・追い出すのはこっちなんだから」

芽衣はこれまでの長い間の姉との一方的な確執の無意味さに苦笑していた。

「芽衣は・・・きっといいお母さんになれるよ」

「・・・奈緒姉らしくないよ」

「まあ・・・お互い様よね」

奈緒は継美に手を差し出した。

継美はその手を握った。

藤子はもう二人を見ていることができない。

継美はそっとその後姿に声をかけた。

「ランドセル・・・もらってもいいですか」

「それは・・・もう・・・あなたのものよ」

藤子は微笑んだ。なんて可愛い子なんだろう。さすがは奈緒が選んだ娘だ。

私の最愛の娘の目に狂いはないのだわ。

「ありがとうございました」

奈緒は愛をこめていつわりの家族に別れを告げた。

なんて・・・いい人たちだったんだろう・・・見ず知らずの私のために・・・こんなによくしてくれたことを私は心から感謝しています。

奈緒はやはり・・・あれからずっと心を殺していたのだ。

いつわりの家族を失った今・・・初めてその大切さに気がついたのである。

でも・・・大丈夫、私にはもう継美がいますから・・・。

さよなら、お母さん

縁があったらまた会いましょう・・・

藤子は涙が赤く染まっている気分だった。こうして・・・二羽の渡り鳥は鈴原の家を出て住み慣れたホテルに戻っていった。

入院した葉菜の元へ、花束を抱えて老紳士(高橋昌也)がお見舞いにやってくる。

「あんたを訪ねてきてた女性を見かけたよ。

三十半ばの・・・。

なにか随分慌ててたようだ。

男性も一緒だった。あの女性、ひょっとして・・・・・」

一瞬で状況を見抜く観察眼・・・人間関係に対する洞察力。

葉菜の過去を知る男。

老紳士の正体は・・・まだ秘密らしい。

葉菜は奈緒が娘であることを老紳士に肯定してみせた。

まさか「猿の軍団」の榊教授では・・・誰が知っていると言うのだ。

その頃、奈緒・継美親子のストーカーと化したハイエナ駿輔はすべての情報を握っていた。なりすまし代理請求で本人たちの戸籍まで入手している気配である。

そんな駿輔に謎の電話がかかってくる。

流れから言えば電話の主は仁美であると思われるが・・・この辺りはなんとなく曖昧にするのが姑息なテクニックなのである。

次に葉菜が病院から名刺によって駿輔に電話をかける。

その電話を受け取った駿介は・・・おそらく働き口の店の制服を来たまま・・・それとも上京なんで最高のオシャレを決めたのか・・・片手を意味ありげにポケットに忍ばせたやさぐれ女・・・仁美の登場を葉菜に伝えたのである。

ホラー・テイストを滲ませて・・・場面は家なき母子のホテルの一室に移る。

そこにノックの音が・・・。

隠れる継美。おそるおそるドアをあける奈緒。

侵入してきたのはうっかりさんだった。

「何しにきたのです」と問いかける実の娘の視線をはねのけて・・・何か危険なクスリが注入された如く活性化したスーパーうっかりさん。

あなたたちは私が守ります

・・・宣言しつつ軽々ととランドセルをつかみあげるのだった。やはり、コールド・スリープで猿の国へ行くのか・・・だから誰も知らないって~。

関連するキッドのブログ『第5話のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『森カンナの警視庁失踪人捜査課』『子役オールスターズとハガネの女』(テレビ朝日)『岩佐真悠子のトラブルマン』『里久鳴祐果の大魔神カノン』(テレビ東京)『仲里依紗のヤンキー君とメガネちゃん』(TBSテレビ)

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2010年5月19日 (水)

絶対零度の鮮血を呼ぶ恋文と私そしてバナナ(上戸彩)男を見る目がないんですーっ(加藤あい)

犯罪と異常心理は親子のようなものである。

しかし、犯罪が異常心理を生む場合もあれば異常心理が犯罪を生む場合もある。

だから、犯罪と異常心理は増殖する細胞のようなものとも言える。

連鎖を断ち切るには人類を滅亡させるしかないなどと発言すると異常心理や犯罪の温床となるので気をつけるべきである。

火曜日のドラマ対決は①「ジェネラル・ルージュ」↗16.0%、②「絶対零度」↗14.8%、③「離婚同居」*7.8%

で、『絶対零度~未解決事件特命捜査~・第6回』(フジテレビ100518PM9~)脚本・谷和俊、演出・村上正典を見た。グリム兄弟の『子供と家庭の話』・・・つまり『グリム童話』には「子供たちが屠殺ごっこをした話」という物語がある。内容がタブーに触れるためにグリムは後の判ではこの話を削除したとされる。話には二種類あって「屠殺ごっこ裁判の話」と「屠殺ごっこで屠殺者は生き残る話」というものだ。前者はこういう話である。「フラネッケルという町で子供たちが遊んでいる。肉屋の子供の提案で肉屋ごっこをしようと相談がまとまる。子供たちはそれぞれに豚を殺す役、豚を料理する役、豚の血を皿に受ける役などと役割が決まる。一人だけ役がない幼い子供が残る。仲間たちはそれではかわいそうだとその子に豚の役を与えるのである。やがて屠殺が行われ、豚は喉を切り裂かれる・・・子供たちの事件を知った大人たちは青ざめる。人を殺せば死刑が決まりだがなにしろ子供のしでかしたことなのである。そこで街の顔役のじいさんが提案する。分別があれば裁かねばならない。ここに林檎と銀貨がある。子供に選ばせて・・・林檎を選べば無罪、銀貨を選べば有罪としよう。子供を屠殺してしまった子供はめでたく林檎を選び・・・人々はホッとしましたとさ」・・・まあ、特に子供を殺した子供の親は安堵しただろうが、子供を屠殺された親は複雑な気持ちだったことだろう。もう一つの話については別の機会があれば語ることにする。

とにかく、この話には「犯罪」というもののすべてが語られているとキッドは思う。

そのすべてに対する感想が人それぞれで違うということも含めてだ。

今回のドラマのエピソードはそれに匹敵する巧さを持っていたと考える。

「食物連鎖」という言葉があり、大自然の中ではそこに善悪はない。ただ弱肉強食があるばかりである。しかし、天敵が自分だけとなった人類は複雑な社会を作り、平和共存のための法整備を行う。分業は進み、「動物を屠殺するもの」と「肉を食べるもの」は時にはお互いを知らずに生きていく。時に肉食者は実に非論理的に「屠殺するものに穢れを感じる」までになるのである。しかし、一方で「捕食しないのにただ殺すことの残虐性」が論理的に語られることもある。

最近、食の教育の中で「子供に屠殺という職業的行為を見学させる」という学習が行われることがあるそうだが、実に合理的であると感じると同時にショックで一生肉食ができなくなってしまう子供が現れればそれはそれでちょっとかわいそうだったりするのである。

「いのちに対する正しいこころ」というものの教育の難しさはなんとなく匂うわけである。

まあ・・・できれば・・・「豚さんは殺されてかわいそう・・・でも豚肉は美味し」という優しくてたくましい子供に育ってもらいたいと祈るわけだ。

一方で・・・「殺人」という犯罪があり、「人を殺したい」という異常心理がある。異常心理があれば犯罪が起るとは限らないが、異常心理によって犯罪が起る可能性はある。

この場合・・・その異常心理は反社会性人格障害、あるいは行為障害で精神疾患の範疇に組みこまれるのが一般的である。

特に「行為障害」の診断基準には「動物に対して残酷な攻撃をくわえる」が含まれる。

つまり・・・それは・・・「異常なこと」なのである。

今回、ドラマでは「無差別連続殺人事件」と「連続飼育動物殺人事件」が一人の高校生・沢井春菜(福田麻由子)によってつながれる。

担当の桜木刑事(上戸彩)はその謎を解き明かすことに成功するが・・・浮かび上がるのはただ人間の心の複雑な模様なのである。正常な人間と異常な人間の間に横たわる果てしない境界線に桜木刑事は立ちすくむのだ。

「無差別連続殺人事件」の被害者の一人、宮田ゆき(遠藤由実)の友人だった春菜は心に闇を抱えていた。その傷ついた心が発する言葉は難解で桜木は解読に苦労する。

宮田ゆきを殺したのは私だ。

そう言ったら私を逮捕にして死刑にしますか。

あの事件は未解決なのです。

やがて・・・最初の飼育動物殺傷事件の飼育係が春菜であることが判明し、事件は複雑化する。

桜木刑事は直感的に春菜を「動物殺傷事件」の容疑者リストから除外するが状況証拠は春菜が犯人である疑いを補強する。

ネット上に犯行予告を発見した科学捜査研究所の竹林技官(木村了)の指示により、現場に向かった桜木刑事と塚本刑事(宮迫博之)は春菜と遭遇・・・ナイフを所持していた春菜によって塚本は負傷してしまう。しかし・・・塚本もまた直感的に春菜を容疑者リストから外すのである。

二人の直感に手を焼いたのは直属上司の倉田係長(杉本哲太)だった。

「いいか・・・故意にしろ偶然にしろ・・・流血沙汰は事実なんだ・・・未成年者は逮捕できなくても保護できるってことを忘れるな」

特命捜査のクラリスこと高峰刑事(山口紗弥加)は・・・いつクラリスになったんだよ・・・プロファイラーとして真相に近付いていた。

「春菜の心には事件当時の春菜(大森絢音)が潜んでいる。そうした拘泥があるのはお誕生日におそろいの髪飾りをプレゼントしてくれるほど親友だった宮田ゆきの死に負い目があるからだと考えることができる。ゆきの母親・宮田夕子(石村みか)の証言からゆきは行く予定のない交流会の会場で被害にあった。春菜の母親・沢井秋絵(鳥居かほり)はその日を境に春菜が寡黙になったと言う。つまり・・・春菜とゆきは事件当日一緒にいた・・・しかし、ゆきだけが・・・交流会の会場に行った・・・そのことに春菜は責任を感じた・・・さあ、それは・・・どういう場合かしら」

高峰の問いに桜木は沈黙する。

「わかりません・・・でも・・・ゆきちゃんは春菜ちゃんのために何かしようとしたのかもしれません」

「いい線だわ・・・仲のいい女の子が・・・仲のいい女の子のためにすることなーんだ」

「・・・抱きしめて・・・キスとか・・・」

「それは同性愛者でサディストの科捜研の大森技官(北川弘美)の小学生時代限定でしょう・・・春菜はゆきをそういう感じで愛していたと思う?」

「春菜は・・・ノーマルだと思います・・・私に色目使わなかったし・・・」

「・・・まあ、それはそれとしてそうなると答えは一つでしょう?」

「男・・・ですか?」

「そう・・・春菜の小学生時代の男関係を洗いなさい・・・これは捜査のイロハよ」

「色恋沙汰ですか・・・」

「犯罪の基本の一つよ・・・それか・・・金銭関係のトラブルね」

桜木刑事は所轄時代の先輩刑事・村山(モロ師岡)が差し入れたバナナを齧りながらその言葉を思い出した。

「現場百遍だ・・・靴のすりへらしが甘いぞ・・・」

桜木が靴をすり減らすと春菜の小学生時代の初恋の相手・高野優也が浮かび上がった。春菜の隣のクラスの男の子である。そして・・・高野優也は事件の犠牲者の一人だった。

「ゆきちゃんは一人だけ教室で犠牲になった・・・教室には何があったかしら」

「交流会に参加した子供たちの荷物が・・・」

「高野家に行くのよ・・・事件から五年・・・ご両親はきっと遺品を何もかも残している」

桜木はもう一度靴をすり減らす。

遺品の中に「高野君へ」と書かれたラブレターがあった。

桜木は理解した・・・きっとそこには「高野くんラブだよ・・・春菜」とかなんとか書かれているのだ。そして宮田ゆきは恋のメッセンジャーとして任務を完了していたのである。

しかし・・・桜木は文面を読むことはできなかった。涙で何も見えなかったのだ。

「春菜ちゃんは・・・自分が恋さえしなければ・・・ゆきちゃんは死ななかった・・・ゆきちゃんを殺したのは自分だと悟ったんですね」

「そうよ・・・そしてラブレターを書いたら死刑って法律はこの国にはないの・・・」

「それじゃ・・・春菜ちゃんは処罰を受けるために動物殺しをしているのですか」

「そんな子に見えた?」

「いいえ・・・」

「春菜の母親は動物殺しがあってから彼女がまた変化したと語っている・・・夜間の外出が増えたと・・・」

「彼女は動物殺しの犯人が捕まらないことにも憤りを感じていました・・・」

「動物殺しの罪は軽いと言ってなかった・・・?」

「動物を殺しても死刑にならないとかなんとか」

「彼女は死刑になりたいくらい自分を罰したいと思っている・・・動物を殺しても死刑にはならない・・・動物殺しはやめさせたい・・・さあ・・・ナイフを持って彼女はどうすると思う・・・」

「動物殺しの犯人を殺して・・・自分は死刑になる?」

「あるいは動物殺しに殺されて・・・真犯人を死刑に追い込む」

「そんな・・・」

「あなたは・・・そんな思いつめた女の子を保護しそこねたのよ・・・所轄の制服警官が保護してくれたけどね」

「・・・」

一方、白石(中原丈雄)と深沢(丸山智己)の普通の刑事コンビは犯人の目星をつけていた。

「犯人が赤い髪飾りの女ではない・・・と仮定しよう」

「犯人は広範囲に渡って動物飼育の情報を握っている人物です」

「あいつか・・・お茶の間も一目で分っているし」

「あいつですね・・・キャスティング的にも」

竹林技官が言った。「次の犯行予告が出ちゃったんですけど・・・」

厳重に警戒態勢の網が敷かれた動物の飼育小屋に東京都学校飼育動物推奨会の職員・谷口(小浜正寛)がやってきた。

情報を獲得した春菜も現場に飛び込んだ。

刑事たちは谷口を逮捕して・・・春菜を保護した。

春菜は谷口に向かって叫んだ。「何故・・・こんなひどいことをするの・・・」

谷口は春菜に微笑んだ。「君を見たよ・・・君があの日・・・泣いているのを見た。阿久津がたくさんの弱いものを殺した記念日に・・・。俺は分ったんだ。君が大切なものを阿久津に殺されて泣いてたこと・・・。事件から何年も経っているのに君は泣いてた。阿久津の凄さを感じたよ。泣いている君はとても美しかった。俺は阿久津に嫉妬した・・・。俺も君を泣かせてみたいと思った。君の可愛がっている動物を殺せば君は泣くだろうと思った。そして君は泣いたんだ。ああ、なんて素晴らしい素晴らしい素晴らしい快感を俺が感じたことか。そして、その時、もっと動物を殺せばもっとたくさんの飼育係のかわいい女の子を泣かせることができると俺は知ったんだ。しかも動物を殺しても死刑にはならないんだぜ。つまり俺の快感はこれからも永遠に続くんだ。俺は阿久津を越えたのさ。そして俺は殺して泣かせて殺して泣かせて・・・こんな面白いことやめられますか・・・俺は世界で一番だ・・・阿久津なんかよりもっともっとかわいい女の子を・・・」

塚本は腕力で谷口を沈黙させた。刑事たちはみな見て見ぬふりをした。

誰もが谷口への殺意を感じていたが・・・残念なことに谷口を殺害するものはいなかった。

「それが・・・正常な人間だもの」と桜木は考えた。桜木はそっと春菜の肩を抱いた。

「大丈夫・・・あなたとあの男は違うから・・・あの男は人間とは呼べない何かだから・・・だけどあなたは人間だから」春菜は小さく震えた。

こうして桜木は初めて担当した事件を無事に解決したのだった。

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

で、『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋・第7回』(フジテレビ100517PM10~)原作・海堂尊、脚本・後藤法子、演出・植田尚を見た。今季は異常なほどの警察ドラマの津波発生なのだが・・・見事に、医療ドラマが穴になっていたのである。しかもこのドラマの場合、続編で、ついでにミステリ要素ありなのである。ある意味、異端の「怪物くん」と平均視聴率でシノギを削っているのも面白い。現在、「怪物くん」平均14.3%、「バチスタ2」14.2%でいい勝負なのだ。今回、「怪物くん」12.5%で「バチスタ2」16.0%なので・・・来週は逆転しているかもしれない。まあ・・・なんだかんだ加藤あいが出ているのでこのくらいは取ってもおかしくないのであるけどね~。

今回は渋いカレンダーネタと言える「食中毒」もの。まあ・・・腐ったものを食べたのではなくて・・・よくあるゴボウとチョウセンアサガオ(マンダラゲ)の取り違えである・・・よくあるのかよっ・・・間違っても金平曼陀羅華は作らないでください・・・作るかっ。

さて・・・医療費の削減に伴う社会ネタは・・・救命のためには予算のことなど気にしないジェネラル・ルージュ(西島秀俊)と病院経営もビジネスなので赤字部門を切り捨てたい三船事務長(利重剛)の間に立って守勢にまわった厚生労働省の下っ端役人・白鳥(仲村トオル)は一回休みの勢いである。

今回の主役はゲスト患者・ホストの勅使河原聖也(八神蓮)を担当するドクター和泉(加藤あい)である。そして本当のゲストは「おめえの席ねーからー」(ドラマ「ライフ」)でお馴染みの末永遥である。今回は聖也の客であり、恋人でもある理沙子を演じる。

ホストに対して・・・客と恋人の境界線で彷徨う理沙子。

それに対して和泉は「ホストと客じゃ・・・恋人関係なんて成立しないのですーっ」と断言するのであった。

聖也は理沙子の手作り料理で曼陀羅華中毒になるのだが、幻覚に襲われてつい「お客様は神様です~」と宣言してしまうのである・・・してないだろっ。

原因は聖也の母がふるさとから送った仕送りに曼陀羅華が紛れ込んでいたためであった。実母による実子殺害未遂の可能性だってあるけどな・・・。

とにかく「男を見る目がないんですーっ」という和泉に「男いない奴にいわれたくねーからー」で返す理沙子。末永遥・・・普通の美少女路線に戻る気ないのかよ。ボウケン・ピンクはまだ23才なのでございますのに。二つ年下に戸田恵梨香がいるからな・・・。ちょっとポジショニングが辛いのかもなーっ。

加藤あいもまだ27才なんだよなーっ。「シバトラ2」では桐野弥生警部補で登場である。

それもいいけど・・・「海猿」はーっ。いやそれよりも渋沢ヒカルが見たいんですけどーっ。

・・・ドラマのレビューはどうした・・・まあ・・・来週から最終章突入模様ですが・・・まだまだ本筋ではない加藤あい。

木曜日に見る予定のテレビ『おみやさん』『同窓会』(テレビ朝日)『恋とオシャレと男のコ』(TBSテレビ)『プロゴルファー花』(日本テレビ)『素直になれなくて』(フジテレビ)

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2010年5月18日 (火)

月の恋人とキスをした・・・長い長い温もりの交感(木村拓哉)

傑作の条件は何だろう。それはかってない面白さが表現されていること。

ヒット作の条件は何だろう。それは面白さが解かりやすく表現されていること。

この二つの条件は実は自由と平等のように矛盾した要素である。

見たことのない面白さというものはわかりにくいものだし、わかりやすい面白さというものはありがちなものだからである。

創作する人々はその矛盾を抱えながら喘ぐものなのである。

この矛盾した要素は猛獣のようなものだ。飼いならすのは至難のワザを要するのだ。

その猛獣をもうかなり長きに渡って飼いならしている男がいる。木村拓哉である。

もちろん、俳優として彼は一つの武器を内臓している。

彼自身がかってない面白さを持つ俳優であり、そしてその面白さは解かりやすい。

テレビドラマというジャンルにおいて彼は傑作でありヒット作である作品を継続して世に送り出している。

それはもはや神話的と言っていいだろう。

すべてのものに始まりがあり、終わりがあるとすれば・・・この神話にも終焉があるはずである。

キッドのブログはどちらかと言えば毒舌的であると言える。

あるいは対象に対して苦言を呈する場合は多い。

それは批評というものが常にそういう色彩を帯びるからでもある。

だから、木村拓哉の神話について・・・常に懐疑的に取り組んでいるのだと断言できる。

しかし・・・結局、終ってみるとレビューは絶賛になっているのである。

そして・・・今回もなんとなく傑作の香りはどんどん強くなっている。

ああ・・・どんな魔法がかけられているのか・・・疑いたくなってきます。

まあ・・・要するに作り手一同が絶対に負けられない戦いに臨むモチベーションになるという点は間違いない。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「失踪人」↗12.4%(草刈麻有とったな)、「ヤンキー君とメガネちゃん」↘11.1%(ソフトでなく二人を成層圏まで蹴り飛ばさないとな)、「矢部謙三」→10.5%(→キター!金髪とったな)、「タンブリング」↗*7.0%(女子部と男子部のバランスだと思う)、「トリック新作SP2」17.4%(高橋真唯とったな)、「チャリチョコ」13.5%(ティム・バートン二度目)、「怪物くん」↘12.5%(入山法子こらえたな)、「チェイス」↘*6.2%(江口洋介涙目)、「龍馬伝」↗20.4%(広末涼子とったな)、「新参者」↘12.9%(まひる、メイサの無駄使い)、「女帝薫子」↗*9.4%(う、もりかえした・・・ここは我慢だべか)・・・ついでに「月の恋人」↘19.2%・・・以上。

で、『月の恋人~Moon Lovers~・第2回』(フジテレビ100517PM9~)原作・道尾秀介、脚本・浅野妙子、演出・平野眞を見た。中国・上海に進出した日本の家具メーカー・レゴリス(月の砂)の社長・葉月蓮介(木村拓哉)は現地での反日的トラブルを解消するために美しい中国人工員・劉秀美(林志玲)を大抜擢し、レゴリスのイメージ・モデルとして起用する。葉月の狙い通りに秀美は現地で人気者となり、その隠された才能は葉月の欲望を刺激する。

経営とは・・・最高のスタッフに最高の仕事を用意して競争に勝利することだ・・・と語る葉月は秀美に特別な感情を抱くが・・・それは彼女に限ったことではないようである。

秀美のお披露目パーティーで壇上にあがった葉月は取材に訪れた記者から「日本の企業として中国に進出したことによるトラブルについて」質問される。

これに葉月は「雨が大地に恵をもたらすように中国に恵をもたらす雨のような企業になりたい」とさらりと答える。

その質問を誘導したのは日本生まれの中国人・蔡風見(松田翔太)だった。すべては仕組まれた問答のようにも見えたが、ステージを降りた葉月は蔡に厳しい視線を送る。蔡はその視線を受け流す。二人の間にはある種の緊張感が走る。

上司である葉月に対して蔡には何か含むところがあるようである。

蔡は葉月に好意を寄せる女たちを口説き、声をひそめて「性行為については葉月より自分の方が上手である」と嘯く。その根拠は未だ示されないが、おそらく蔡と葉月は実際に性行為を行い、蔡はなんらかの確信を得たのだと妄想することはできる。

かって、ある演出家と恋愛談義をした時に「性行為と自慰行為の差異について」を相手が熱く語ったことは何度か述べたが、蔡の理論と似ているのでもう一度示しておこう。

創作は性行為のようにするべきである。なぜなら、性行為は相手のいる行為であるから、相手の反応を確かめてお互いが気持ちが良くなるように配慮しなければならない。それに対して自慰行為は自分だけが気持ちよくなればそれでいいので創作に反映させると一人よがりのものになりがちだ。それでは作品として不完全だということだ・・・というたとえだ。

まあ、あくまでたとえだからな。

蔡はお互いの性格を比較して蔡と葉月の性行為技術の優劣を語る。

それによれば・・・葉月は自分のことしか考えない・・・それに対して蔡は相手の心中を推し量り、相手が望むものをそっと差し出すことができる。つまり感じるところを感じさせることができるのは自分だと主張するのだった。

まあ・・・性行為がそれだけで成立するものではないことは大人になれば判ります。

大人である大貫柚月(北川景子)は蔡の言葉を鼻で笑いつつ、葉月へのアプローチ方法のアドバイスとして採用する。

蔡の口説きは不発になるのだが、葉月の恋人として対等なパートナー・シップを獲得しているとは言えない柚月に対して教育的指導をしているようにも伺える。

そういう意味で蔡はなかなかに底の知れない不気味さを醸し出すのである。

葉月の恋人であることを自他ともに認められた柚月であるが・・・唯一、葉月の心だけは掴み損ねている。つまり、柚月と葉月が恋人であることを了解しているのは柚月と世間なのである。そういう二人が恋人関係にあると言えるかどうかは各自の認識の問題なのだな。

一方、葉月にとって柚月は重要な切り札であることは間違いない。

葉月はレゴリスの経営者として業界第一位の「マストポール」に競争を挑んでいる。その経営者である大貫照源(長塚京三)は柚月の実の父であり、娘を溺愛しているのである。その弱点を握っている葉月はたやすく柚月を手放すことはできないのである。

しかし、レゴリスが業界一位に立てば柚月の価値は変わってくる。もちろん、切り札としての価値は低下するが・・・その分、生身の女としての価値は高まる場合がある。カリスマモデルでもある柚月は若さゆえに稚拙だが若いから可能性がある。将来的に葉月のパートナー、場合によっては結婚というビジネスの共同経営者として契約する可能性もある。

そのために葉月がとっている戦略は結論の先延ばしである。

パーティー会場で佇んでいる柚月を見れば挨拶としてヒップをソフトに愛撫し、ケーキで餌付けし、食を分かち合うことで親しみを示すが、デートはすっぽかすのである。

柚月のモデル仲間であるエルカ(西山茉希)は親友として二人の関係に口を挟むがもちろん、葉月を狙っているのである。しかし、葉月はこっそりと試乗してみることはあってもエルカをパートナー候補に昇格させることはまずないだろう。

葉月のパートナーと言えば愛人である二宮真絵美(篠原涼子)がいる。おそらく、学生時代は恋人同志だった葉月と二宮とであるが、社会に出てからは、インテリア企業の経営者とインテリア・デザイナーとしてビジネス上での関係を深めていったと思われる。総合力では葉月が圧倒的なパワーを示すが、職人気質で細部において優秀な実力を発揮する二宮はある程度の補完関係を持ち、言わば腐れ縁を形勢している。

二宮の中には性的パートナーシップを葉月に求める気持ちがないではないが、婚姻関係を結ぶ自信はなく、葉月が正式な家庭を持った場合には話のわかる二号さんに落ち着いてもいいとなんとなく考えている気配がある・・・本当かよっ・・・あくまで妄想です。

たまには葉月に攻撃的なアドバイスをしてみることもある。

「あなた・・・人は道具ではなくて心ってのがあるんだから少しは気を使いなさいよ」

「もちろん・・・君が満足に仕事をできるように最高の環境を整える・・・俺は細心の注意を払う・・・何か問題があるか?」

「いや・・・ない」のである。

上海での事業を軌道に乗せた葉月は東京に戻り「クレイトン・リージェンシー東京」(おそらく高級ホテル)の開業に伴う巨大なコンペに参入することを決める。すでに「マスト・ポール」が太い楔を打ち込み、出来レースとも思える企画参入レースだが葉月には勝算がないわけではなかった。

葉月は二宮に零細な仕事を整理してこの巨大プロジェクトの競争に参加するように誘導する。

二宮は「仕事に大きいも小さいもない」と部下に零す。

しかし、アシスタントの前原(濱田岳)は「背に腹は替えられません、儲かる仕事をするべきです」と現実を説き、もう一人のアシスタントのリナ(満島ひかり)は「葉月社長素敵ですし、葉月社長凄いですし、なんかの拍子で私が玉の輿にのったりすると素敵で凄いのです」と夢を語るので結局、葉月の言うなりになるのだった。つまり、葉月と二宮の関係は非常に洗練された主人と奴隷の関係なのである。

そのために仕事中でもご主人様の葉月から「一週間ホテルに監禁しておいた籠の鳥が逃げたので捕まえてきてくれ」と電話一本で命じられれば、即座に対応するのである。

逃げた鳥は秀美だった。

このようにこのドラマは前提として人間に格差があることを主題としている。恋愛ドラマとしてはかなり異端と言えるだろう。このドラマでは人は誰でも恋愛ができる・・・とか、人は誰でも愛される権利があるとかはまったく主張しないだろう。愛される力のあるものが愛され、愛する力があるものが愛する。そういう実力主義が大前提なのである。

それは無能なレゴリス役員・雉畑(渡辺いっけい)によって象徴される。

そもそも上海で問題が発生したのは雉畑が無能だったからである。その証拠に有能な葉月が現地入りするとたちまち問題は処理される。しかし、葉月は持ち駒として雉畑を使い続ける。手駒は不足しているのである。また、上海は中国である以上、日本企業にとってリスクのある市場である。いざという時の盾として使えると葉月が考えても不思議はない。

葉月は単純に中国人労働者に対して競争による最適な人材雇用体制をとりたいだけなのである。雉畑は現地での摩擦を怖れてその決断を自分では下せない役立たずなのである。

しかし、誰もが欠点のない部下を持てるとは限らない。少なくとも葉月は無能者を有効に使いこなしてこそ有能な経営者であると考える美学を持っているようだ。

だから、インテリア・デザイナーの二宮も自由自在のように見えて実際は葉月に操られるマリオネットなのである。

退屈に耐えかねて街にさまよい出た秀美は・・・日本にいるはずの行方知れずの父親を当てもなく探し歩いていた。浅草雷門から浅草通りを西へ気がつけば秀美はアメ横で干物とか燻製とかを大量に購入していた。おそらく葉月は秀美にそこそこお小遣いを渡したのである。葉月は秀美の使い道を考え中なのである。なにしろ・・・使い出がありそうな予感がするのである。貴重な人材・・・それは葉月にとって宝の山のようなものなのだ。しかもこの人材はプライベートでもちょっと使用できるのである。

二宮が葉月の恋人候補と関係を構築するのはこれが初体験だろうか。

どうも・・・違う気がしてならない。二宮は上海において秀美とは知らない仲ではない。知っているのにもったいぶって知らぬフリをしていた「四つのコイン・クイズ」の正解「水馬(アメンボ)」を偶然、秀美に言い当てられた怨みがある。長い付き合いで葉月の好みも大体知っている二宮である。秀美がズバリであることも分かっているのだ。

もちろん・・・二宮自身も秀美はかなり気に入っている。美しいものを美しいと思わなければそしてそれを愛せなければデザイナーなどやっていられないからである。

とりあえず・・・逃げた鳥には餌をあげなければならない。

二宮が秀美に案内したのは貧相な店構えの中華料理屋「田鶏」だった。ちなみに田鶏(ティエンジー)は中国の食用ガエルのことである。水馬の次が田鶏である。シリーズ化されるとなるとちょっとうれしいぞ。

そこで秀美はマスターの時田(温水洋一)と常連客の丸山(竹中直人)に出会う。両人とも兄弟のように頭が薄めで、秀美はなんとなく郷愁を感じるのだった。日本人も中国人もハゲオヤジはハゲオヤジだからだ。

そして日本でも中国でも夕陽は赤いのである。

時田はたちまち秀美を気に入り、店の二階に下宿するように奨めるのだった。

もちろん、この店は二宮の支配下にあり、安全圏なのである。二宮は主人の愛鳥を保護すると同時に汚い親父を絡ませて葉月にちょっとした意地悪をしているのである。ただし、あくまで冗談で済む範囲なのである。

一方、葉月は件のコンペの件でオーナーのブライアンの接待を考える。

すでにマストポールの大貫社長はブライアン一家を東京ディズニーランドに招待して将を射んとすれば馬から射よを実践しているらしい。

相手の望むものをじっくりと考えることが大切・・・と葉月が考え始めた頃、蔡はブライアンの身辺調査を終え、ブライアンが女遊びが趣味であることを葉月に報告する。

葉月の欲しいものを蔡はじっくりと考えているのだ。

一方、蔡のアドバイスに従って葉月の欲しいものをじっくりと考えた柚月はミント味のソフトキャンディーをプレゼントすることを思いつく。

柚月、可愛いよ柚月。

例によって、葉月は贈り物を受け取るが柚月は置き去りにしてスポーツカーで走り去る。

これは柚月を拒否しているわけではない。柚月はまだ葉月にとって完熟ではないのだ。

今はただ貴重な人材である秀美の使い道を思いつき、すぐに試してみたくてたまらない葉月なのである。

ここからはちょっとしたスクリュー(ひねり)が重ねられていく。

秀美からの電話で再び田鶏に呼び出された二宮は・・・葉月の行動を大体予測している。そこで彼女は思いっきりメルヘンな「シンデレラの魔法使いのおばあさんごっこ」を始めるのである。

秀美は「しゃちょうさん(葉月)のデートのお誘い」を半信半疑で受け止めながら・・・すでに肉体関係があることからそれなりにおしゃれをして応じたいと考える。

しかし、秀美には上海から持ってきた貧相な私服しかないのである。

そこで二宮は無駄と知りつつ、ちょっとしたアレンジで秀美の服を可愛くアレンジしてみせる。

主人のお気に入りの玩具に恩を売っておくことは悪いことではないからである。

それにそういう差し出た真似を快く思わない葉月が不機嫌な顔になるのを眺めるのが二宮のちょっとした趣味なのである・・・そうなのか・・・あくまで妄想です。

やがて、迎えに来た葉月は薄ら禿の貧相なオヤジ時田に眉をひそめ、二宮の用意したちょっとかわいい秀美のお出かけ着に顔をしかめる。

二宮はしてやったりと思うのである。

「シンデレラごっこは終わり・・・今度はプリティー・ウーマンごっこの始まりね」

二宮はニヤリと笑う。プリティー・ウーマンの正体は娼婦なのである。その物語は娼婦が高級娼婦になる物語だ。

案の定、葉月が秀美に選ぶのは高級だが扇情的でお下劣な衣装なのである。

しかし・・・秀美は気付かない。

ここで心情のすれ違いは次のセリフで示される。

「なぜみんな私を見るの・・・」

「そりゃ、でかいからさ」と言う葉月の言葉は伝わらない。

そこで葉月は「君が魅力的だからさ・・・」と言い換える。

秀美は喜びに満ちるのだが・・・それは誤解なのである。

その後、葉月が秀美を食事に誘うのが、田鶏より少しマシな中華料理屋である。

そこで注文するのは「餃子定食」なのである。深読みすれば葉月が今宵、高級娼婦として秀美を使用する予定がなかったことは判る。これから夜伽をさせようとする女をニンニク臭くする女衒はいないのである。

もちろん、秀美がその気になればそれもまた葉月の選択肢に入っている。要するに葉月は高度に戦略的な色恋の場で秀美がどう振舞うのか実況見分がしたいのである。

葉月が大切な接待に秀美を同伴した場合、秀美がその重要性をどの程度理解し、どのように対応するか。そしてそれは葉月にとってどの程度有用か。

葉月にとってビジネスはプレイであり、プレイはビジネスなのである。体を張って営業可能ならそれはそれで問題ないのだな。

高級な接待用の個室で、葉月と蔡に連れられた秀美は楽しいデートが芸者ごっこに変ったことを察知する。下品な白人おやじに着飾って差し出された娼婦としての自分。秀美の自尊心は深く傷つくのだった。

その痛みが葉月をめくるめく官能に誘うのだった。

ブライアンの性的接触は露骨であり、やる気満々だった。

なんとか対応しようとする秀美。

「夢のアメンボを探すのではなくお前自身が必死のアメンボになれ」という葉月のアドバイスは判っている。しかし、愛した男の目の前で第三の男に性的に接触されるのは秀美にとって刺激が強すぎたのである。

ついに堪えきれず席を立つ秀美。

(なんだ・・・もう終わりか・・・)

秀美が意外に脆いので葉月は複雑な気持ちになるのだった。秀美の越えられない一線は葉月が死守する予定だったのである。しかし、その一線の目測を葉月ははずしたのだった。

あくまで女色をプレイとして楽しむブライアンは余裕の笑みを浮かべる。初々しい乙女の反応を楽しむのもプレイのうちなのである。

しかし、接待役として葉月も面子を保たねばならない。

「席に戻れ」

「絶対イヤ」

プレイ終了である。

秀美の魂は彷徨をはじめた。御伽噺のような幸せはここにはない。それなら慣れ親しんだふるさとで地道に働いた方が安穏ではないか・・・。

秀美は上海の親友ミン(阿部力)に電話をかけた。

「ふるさとに戻って仕事をしたい」

「こっちは成果主義になってノルマが厳しくて大変なの。優秀なあんたが帰ってきたら・・・あたし仕事がなくなるかも・・・」

秀美は葉月の甘くない世界を垣間見た。

蔡が秀美の心の感じる部分に言葉を置いていく。

「逃げ出すのかい・・・あんたはもっと・・・烈婦だと思ったのにな」

「私は一丈青扈三娘(水滸伝に登場する佳人)かっ」

蔡はニヤリと笑って退場した。

その夜、決意を秘めた秀美は葉月の男の隠れ家を急襲する。

葉月はへりくだり事を急ぎすぎたことをわびるのだった。

「ちょっと説明不足だったし・・・」

しかし、秀美は甘く見られるのを拒否した。

「中国女を甘く見ないで・・・私はあなたの玩具にはならない・・・使い捨ても許さない」

秀美は死の接吻を葉月に贈る。

秀美の殺意に葉月は欲望が燃え上がるのを感じた。

死の接吻返しである。こうして、葉月と秀美は果てることのない接吻地獄に堕ちたのである。二人はお互いをクールに見つめる・・・先に愛した方が負けのゲームが始まったらしい。

蔡の用意した特等席で柚月は二人の男女の燃え上がる交感の図を見た。

たちまち柚月の顔には嫉妬の混じった恍惚が浮かびあがるのである・・・本当かよ・・・あくまで妄想です。

柚月は奥深いところから情欲の波が押し寄せるのを感じる。

「も・・・もげっ」

これは・・・子供とか紳士淑女とか童貞とか処女とかには・・・全く理解不能のドラマになっていく可能性があります。まあ妄想(変態仕様)血統であればファミリーで見ても大丈夫・・・かな。

関連するキッドのブログ『第1話のレビュー

Hcinhawaii0637 ごっこガーデン。10時間待ちアトラクション・ダーリンタッチ。アンナドキドキしながら待っているとダーリンがタッチ、タッチお尻にタッチして・・・さっと去って行くという失神者続出のアトラクションでしゅピョ~ン。もうアンナは並ばず連続タッチなのでもう立っているのも大変なのでしゅ~。はうぅん。Motherに出てくるのはつぼみちゃんではなくてつぐみちゃんですぴょん。月9でボーッとしているので感動して泣いてるドラマの登場人物もうっかりさんで間違えるのですぴょんぴょん・・・じいや早めに教えてくれればいいのに~さあ・・・次は中華でランチして長い長い長いキスセットに移動でしゅ・・・はうぅんあんぱんちまさにおれ負げね展開。リン・チーリン(35)のお肌はまるで二十歳のピッチピチ感だわ~。魔法みたい~。餃子定食650円・・・お昼に食べるのは勇気がいるわね~。臭いがしない奴だとものたりないし~ミマムふふふ・・・行列に並んでたら遅刻したっしょーっ、とりあえず初回記事でリンクしとくっしょーっお気楽まさに常識を越えたラブ・ストーリーだよね。ちっともついていけない・・・本当にあった恋の話くらいの方が和むのね

Hcinhawaii0638 ごっこガーデン。アトラクションとアトラクションを繋ぐダーリン・カー。まこはぅぅぅん、なんとなくタイガーきぐるみで決めてみました~。カエルぴょん&ちーウサ付ムーン・グッズ妄想販売中でしゅ~。うちわとかTシャツとか~。長い長い長いチューなので呼吸が続かなかったど~。なんチューか、ほんチューか・・・次はカラオケで黄砂にふかれて歌いまチュ~エリふーっ、のぼせあがったアンナちゃんをあおいでたらアチアチになったのでスー。今回はある意味、凌辱プレーでしゅね~・・・ましゃかこのまま初の本格SMラブストーリーに突入するのかしら~クスクスシャブリううん・・・なかなか・・・志村商店がまんま登場するとは・・・。通行人をフォローすれば後は意外と登場人物少なめかも~。セリフより目で演技するシーンが多くて結構意味深なのでありました~くうこれは・・・結構・・・あこぎな話を本気でやる気なのかしら・・・こ、子供たちが見ても平気なの~?」

Hcinhawaii0639 ごっこガーデン。ダーリンの隠れ家長い長い長いキスセット・オンエア中。

許してくれないか・・・

私は玩具にならないよ

ikasama4はたして・・・どこまで本気なのかわかりませんが・・・明らかに変質者側にちょっと軸がふれてますな・・・そして強ければそれでいいんだ力さえあればいいんだ・・・の逆説なしの主張・・・つまり、そうでなくては生き残れない時代がそこまで来ているという叫びが聞こえますな・・・はたしてお茶の間に届くのでしょうかねえ?」mariとにかく・・・愛も仕事も蓮介は何か死に物狂いで向かっていく・・・そういう感じがしますねえ・・・ドキドキしますよ・・・

水曜日に見る予定のテレビ『臨場』(テレビ朝日)『ERⅩⅢ』(NHK総合)『Mother』(日本テレビ)

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2010年5月17日 (月)

100の親切よりも一つの意地悪を忘れない(阿部寛)

100の失敗よりも一つの後悔をしたくない。

劇団員・清瀬弘毅(向井理)が小学生の時の初めての舞台で覚えたセリフである。

どんな・・・芝居なんだ。

普通に考えると、「失敗を怖れるな」の気取った表現ということになるだろう。

やってみて何度失敗してもやらないで後悔するよりはいい・・・というニュアンスである。

まあ、100回失敗したら100回後悔するのが人間というものだがな。

つまり宝クジを100回買って、下ヒトケタ以外、一度も当たらなかった・・・みたいなことだ。

とにかく・・・繰り返される「言葉」なのだが・・・なんだかとっても恥ずかしい感じがするのである。

で、『新参者・第5回』(TBSテレビ100516PM9~)原作・東野圭吾、脚本・牧野圭佑、演出・平野俊一を見た。思わせぶりで肩透かしの展開をずっと続けてここまで・・・。そういうのがおしゃれだと思えないと・・・うんざりしてくるドラマである。いや・・・おしゃれだと思っていてもうんざりしてくるかもしれない。たとえば・・・だれがどう考えても有罪の代議士がずっと不起訴だったり、だれがどう考えても五月決着は無理なのにまだ希望を捨てていなかったり、だれがどう考えても憲法九条を改正しない限り拉致問題は解決しないのに粘り強い交渉を求めたり・・・そういう虚しさがこみ上げてくるのである。

たとえば・・・今回・・・母親のたった一言で・・・ずっと拗ねていた息子が・・・今は亡き母親が自分のことを大切に思ってくれていたという事実を知り、自分が俳優として演じる舞台について言及するセリフが・・・。

「見せてやりたかったなぁ・・・」

というのはなんだかピンと来ない。

ここは・・・。

「見てもらいたかったなぁ・・・」じゃないのか。

だって・・・甘えてるんだろ・・・。

もちろん・・・ずっと愛されていると思っているからそうでないと思われる一言に裏切られて傷つくわけだが・・・それまでの愛の日々がゼロになってしまう人間とそうでない人間はいると思う。

たった一度の浮気で・・・嫌いになられてしまうのは困ったもんだ。

いや・・・それはあるだろう・・・あるのか・・・。

まあ、人間は100の成功の後にたった一つの失敗ですべてを失うことがあるわけです。

このドラマの場合、刑事が最終回までは犯人にたどり着かず・・・ずっと誰かの容疑を晴らしていくという趣向なのだが・・・新機軸だけれど・・・失敗作のような気がしてならないのである。まあ・・・これが初めてのミステリだと言う人には幸運なのかもしれないな。

今回、加賀は二人の女性を追っていく。その時点ですでになんとなく取り違えものだと解かる人には解かるだろう。そうでない人はいろいろと妄想できるのだろうか。

妄想とは勘違いでもあるので・・・その辺を追求してみたい。

たいやき屋「銀のあん」の娘・奈々(沢木ルカ)はいつも並ぶくせに買わない客をどう考えているだろうか。ボーイッシュなローティーンの女の子が好きな変態野郎だと思っている可能性はあると思う。

洋菓子店「クアトロ」の店員・美雪(紺野まひる)はいつもケーキを買いに来て自分に微笑みかけていた殺人事件の被害者・三井峯子をどう思っていただろうか。同性愛者とは疑わなかったのだろうか。笑われて不気味な感じを一度は感じたのだろうか。その人が犬の置物をプレゼントしてくれたと知って背筋が寒くなったのだろうか。それが安産祈願のマスコットと知って恐怖に慄きはしなかったのか。同性愛者で妊娠する女を憎悪している変質者だとか思ったりして。あるいは「私がパパになってあげる」とか宣言されたらどうしようとか。

被害者の息子・弘毅は恋人が自分が遠ざけている母親と面識があったと知り、何故、そんなに憎んだのだろうか。恋人に母親を求めていた自分のマザコンを察知されたのではないかと疑ったのか。あるいは・・・ひょっとして恋人が犯人かと疑ったのか。

弘毅の恋人・亜美(黒木メイサ)は母親を避けていた恋人の母親が被害者と知り、弘毅の犯行を疑ったのだろうか。恋人が殺人者かもしれないと疑いながら行う夜の行為が妙に燃えて自分の変態体質に愕然としたりしなかっただろうか。

加賀刑事(阿部)は後輩が被害者の恋人と知りつつ、被害者が妊婦を監視していたことに気がつき、後輩の恋人と妊婦との三角関係を疑ったのだろうか。過去世では服役中に大橋のぞみを残して死んだ恋人だった女とゲゲゲと任侠ヘルパーの三角関係を妄想してうっとりしたりはしなかったのだろうか。

結局、「曲がり角を間違えた」ので・・・被害者は息子の恋人を美雪だと信じていた・・・オチである。

息子の恋人を29才の妊婦だと思い込んだ被害者は・・・妊婦に気を遣い・・・そっと見守っていたのである。

たまたま・・・被害者と知り合いだった恋人は「そっと見守るので息子に会いに行かない」という恋人の母親に自分の正体も告げることができず、息子に母親のことを話すこともできなかった。

そして・・・息子は母親が会いに来なかったのは自分を生んだことを後悔しているからだとずっと思いこんでいた。

・・・という話である。

なんか・・・奥ゆかしいんだよな。

思いついたことをすかさず口にだし、「好きだ」と言えずに悩んだことがなく、少し口を慎めと言われ続けて人生の終盤に差し掛かっているキッドにとっては本当にむずがゆい話なのである。

これが・・・後、何回か続くかと思うと気が遠くなりそうです。

上杉刑事(泉谷しげる)は留守宅で生じた物音を聞いて思わず弘毅と亜美のナニを連想したのか。

息子と被害者宅の前で遭遇した直弘(三浦友和)は別れた妻と息子との近親相姦的なただならぬ関係を妄想して興奮し、美人秘書の祐里(マイコ)と燃える一夜を過ごしたのではないかと松宮刑事(溝端淳平)は妄想・・・しないな、きっと。

関連するキッドのブログ『第4話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『離婚同居』(NHK総合)『絶対零度・未解決事件特命捜査』『ジェネラル・ルージュの凱旋』(フジテレビ)

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2010年5月16日 (日)

誠に酷きことに嘆きはいかばかりかと気遣っているとそれとなく伝えてほしいと一筆(坂本龍馬)

姉・乙女への文久三年六月二十九日付けの長い手紙の末尾に龍馬は平井収二郎の切腹(六月八日=1863年7月23日)に触れ、自分が収二郎の妹・加尾をできるものなら慰めたいと付け加えている。

心細やかとも言えるし下心みえみえともいえ・・・ある意味可愛いのである。

ドラマにおいてはやや、平和主義者で現実主義者であることが強調されている龍馬だが、この手紙の文面からは過激派で理想主義者でひょうきん者の龍馬が浮かび上がる。

文言の怪しさとはこのことであろう。

何を現実とするかで・・・一つの言葉がリアルにもロマンにもなるのである。

長州での日本と外国との戦争が日本の惨敗に終ったことを嘆き、幕府の中に外国と癒着するものがあるのを罵る。そうでありながら自身は幕府の海軍に身を置き幕臣の門人である。そして、すでに自身は脱党した勤皇党の幹部である平井の死を悼み、その妹を慰めたいと願う。

この脈絡のなさが・・・龍馬の魅力と言えるのである。

そして・・・融通の利かない人間にとっては龍馬はいかにも憎まれそうでもあり・・・そして羨ましい存在でもあっただろうと想像する。

で、『龍馬伝・第20回』(NHK総合100516PM8~)脚本・福田靖、演出・大友啓史を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は龍馬に千両くれる男・松平春獄描き下ろしに加え、真田昌幸の忍び・壺谷又五郎 描き下ろしのダブル夏八木勲特大サービスでございます。果たして噂の富豪刑事Finalは実現するのかどうか。神戸喜久右衛門ラブ・コールでございます。木9は木村佳乃の音道貴子という噂もあるので金9か?・・・噂だけだったら・・・ガッカリです。・・・そっちかよっ。龍馬の行動と龍馬の手紙の心情の矛盾を横井小楠に語らせるという思い切った手法。まあ、とにかく北条高時の血を引く横井氏だけに平家にあらずんば人にあらず・・・という気持ちを持っていたのかもしれません。十津川郷士の忍びたちもその辺りを怪しんだか・・・。ある意味、東の十字結社対西の十字結社の対決か・・・。この辺り・・・危険なロマンに満ちておりまする。

Ryoma186304 文久三年の夏。青蓮院宮(中川宮=伏見宮の17人いる王子のうちの第四王子)は一橋派の皇族であり、公武合体派である。その青蓮院宮に令旨を賜り、土佐に勤皇派の藩政改革を行おうと画策した・・・という罪に問われたのが平井隈山、間崎哲馬、弘瀬健太の三人である。三人は土佐勤皇党に属し、当然、武市瑞山の弟子でもあった。そもそも佐幕派に近い青蓮院宮にそのような令旨を請うことが明らかに不自然である。青蓮院宮は容堂と同様に安政の大獄で隠居を余儀なくされたグループに属し、当然、容堂とは気脈を通じていたはずである。考えられるのは尊皇攘夷派としての暴走か・・・そうでなければ容堂による土佐勤皇党つぶしの策謀の香りが強い。どちろにしろ、幕府あっての土佐藩であると考える容堂にとって天皇の前の武士平等を唱える勤皇党は危険思想に映ったに違いない。その根本にあるのは下克上であり、下級武士の反乱であり、差し出た真似なのである。山内家の支配者として容堂はゆっくりと弾圧、粛清の姿勢に入ったのである。

平井隈山の切腹から武市瑞山の切腹までおよそ二年。容堂の用意周到さが伺われる。

しかし、その後、瑞山の弟子で維新政府で出世したものがあり、結局、容堂は瑞山の名誉を回復し、関係を修復することになる。その辺りは実に生臭く・・・政治の気配が漂うわけである。

けれど・・・それは後の話。文久三年の夏、土佐の大殿、山内容堂は虎視眈々と藩内の危険分子を寸断し、摘発し、粛清し始めていたのだ。

龍馬は京都を発し、越前福井へと向かった。軍資金調達のためである。海軍塾は予想外の増員となり、京阪の地の物価の上昇により、資金難に陥ったのである。勝は三百人に膨れ上がった塾生の食費にも事欠いてきた。何より、私費留学生の集団の様相を呈してきた大坂の勝塾は諸経費が大幅に赤字だった。

「とりあえず・・・現金がいる」と海舟が言い、「それなら取りに来い」と春獄が言ったのである。

龍馬は言わば現金輸送班だった。部下は高松太郎と陸奥宗光である。高松太郎は千両箱を背負った馬を曳く。陸奥宗光は先鋒として街道を進み、龍馬は後方を警戒していた。

その前に立ちはだかるものがいた。

「お主ら・・・なんだ」

叫んだのは陸奥宗光である。

「我ら・・・琵琶湖天狗党・・・黙って・・・荷を置いていけ・・・」

「なんだ・・・山賊か・・・」

攘夷実行で盛り上がった京の街だったが、長州の敗報が伝わり、諸大名が京を去ると浪人たちの懐具合が苦しくなったのである。そのため、攘夷のために脱藩した浪人たちは食い詰め、京都の四方に散り、略奪の日々を過ごしていた。

彼らはそれぞれに天狗党を名乗っている。

山賊たちは武士あり、町人あり、僧侶ありの烏合の衆であった。人数は六人である。

「うるさい、とっとと荷を置いて去れ」

頭目らしい体格のいい武士が叫ぶ。その目には狂気が宿っていた。餓えているのだ。

「よせよせ・・・怪我をするぞ・・・」と言いながら陸奥宗光はじりじりと交替する。

「なにを」と言いつつ、山賊は剣を抜いた。その時、後方から龍馬が追いついてきた。

「坂本さん・・・後詰は引き受けた」

「前にしか・・・敵はおらんじゃないか」と龍馬が答えたとき、抜刀した頭目格は問答無用で剣を振り下ろす。一瞬で陸奥の前に出た龍馬もまた抜刀して応じる。一撃で頭目格の剣は折れた。次の瞬間、頭目格の髷が落ちる。

「うわあ・・・初めて見た・・・本当にそんなことができるのじゃねー・・・滑稽本みたいじゃ・・・さすがは伯父上じゃ・・・名人じゃの」

「まあの・・・」

甥の高松太郎が歓声をあげて龍馬は照れて頭をかいた。

山賊たちは悲鳴をあげて蜘蛛の子を散らすように逃げていった。

頭上ではとんびが輪を描いている。周囲では休みなく蝉が鳴いていた。

その頃、土佐の高知城下でも蝉が鳴いている。

森下一族に囲まれて、平井兄妹が苦戦を重ねていた。

「加尾・・・引け・・・奴らの狙いはわしじゃき・・・」

「兄上・・・」

切腹を命じられた平井隈山は脱藩を試みていた。それを容堂の忍びたちが阻止にかかったのである。

すでに・・・隈山は深手を負っている。

加尾も足に負傷し、連携は乱れていた。

「お前は・・・婿をとって・・・平井家を継いでもらわにゃならん・・・」

「兄上・・・」

隈山は背後に川の流れを感じていた。

「ふふふ・・・この平井隈山の秘儀をご覧にいれる・・・」

隈山は死力を尽くして河原に置かれた巨岩の上に立つ。巨岩は去年の台風で上流から流れてきたらしい。

「平井流・・・遁甲磐隠れの術」

隈山を囲んだ忍びたちは驚愕した・・・。目の前で隈山が岩に吸い込まれていくのである。

「め・・・面妖な・・・」

「ははははは」と隈山は高笑いを残して完全に岩の中に消えた。

「退け」立ち尽くす森下の忍びたちを分けて姿を見せたのは岩崎弥太郎だった。容堂の上意を受けた討手である。

「加尾殿・・・済まぬ・・・お勤めじゃ・・・」

「弥太郎・・・」

「見るがよい・・・岩崎の名を示す・・・秘術じゃ・・・岩崎とは磐裂きよ・・・」

弥太郎は隈山が姿を消した岩に両手をかけると気合を発した。

「きえーっ」

岩は真っ二つに裂ける。その内部に両断され半身となった隈山の姿があった。鮮血と臓物が周囲に飛散する。

「・・・見よ・・・平井隈山は見事切腹して果てたぞ・・・」

弥太郎の声に森下の忍びたちは呆然と立ち尽くした。

加尾が嗚咽をもらす。

それは土佐の鬼たちの死力を尽くした戦いの始まりであった。

関連するキッドのブログ『第19話のレビュー

月曜日に見る予定のテレビ『月の恋人』(フジテレビ)

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2010年5月15日 (土)

命が危険なんだよメガネちゃん(成宮寛貴)まだわからないのヤンキー君(仲里依紗)

「月の恋人」で「ティファニーで朝食を」を想起したばかりなのに金曜日の深夜映画・・・関東地方では「ティファニーで朝食を」をオンエアである。その前に「ヤンメガ」があったわけだが・・・本当は愛に飢えたヒロインをつかずはなれずでつきまといついに愛で包む恋人・・・という流れはまさにラブ・ストーリーの王道なのである。

ティファニーは玉の輿狙いの売春婦と売れない作家で若いツバメというカップルだが、「ヤンメガ」はヤンキーの生徒会長とヤンキーの副会長という点が違うだけで・・・破天荒なヒロインを人のいいお相手が支えるという構図はまったくそのままなのでる。

こういう系譜というのは探し出せばキリがないのだが、話を点検するときにはチェックが必要だ。

逆に、「ヤンメガ」が成功しているのは・・・その主筋をはずしていないから・・・ということが判るわけである。

「ローマの休日」がほろ苦い悲恋なら「ティファニー」は紆余曲折のハッピーエンド。

結局、恋愛物語は基本的にはこの二つしかないのである。

つまり、「ロミオとジュリエット」か「シンデレラ」か・・・なのである。

そして・・・それは結局・・・この世の愛とあの世の愛の物語なのでございます。

で、『ヤンキー君メガネちゃん・第4回』(TBSテレビ100514PM10~)原作・古河美希、脚本・永田優子、演出・吉田秋生を見た。スミナガシは森林性の蝶である。雑木林の減少で絶滅が危惧される種でもある。もちろん和名は翅の模様が「墨流し」を連想させるからなのである。

足立花(仲)の生徒会長立候補に対抗する和泉岳(本郷奏多)はスミナガシ中学時代はヤンキーだったらしい。そして品川大地(成宮)とは引き分けたこともある実力者なのである。和泉が何かと大地にからむのはそのためなのだが・・・例によって大地は記憶にないのだった。

なぜなら・・・大地の記憶力は・・・。

英語Ⅱ5点 英語W7点 数B9点     数Ⅱ9点 化学8

生物7点   物理8点   現代文5点 古典6点 政経7

合計71点で学年順位は175人中174位に象徴されるからである。

しかし、この点数を「凄い」と感じる花は・・・。

英語Ⅱ2点 英語W2点 数B2点   数Ⅱ2点 化学3

生物2点   物理2点  現代文8点 古典3点 政経2

合計28点で学年順位は175人中175位(最下位)なのだった。

遠くを見つめる元引きこもりの千葉(小柳友)と尊敬の眼差しを向ける転校生・凛風(川口春奈)だった。

そんな大地は進路に悩むが・・・親友の練馬(鈴木亮平)は有無を言わさず理系進学に丸をつける。

そのために品川家では親子喧嘩が勃発するが・・・母・聖(堀ちえみ)が一言説教すると鎮まるのだった。つまり密かにヤンキーの掟が発動しているのである。

選挙運動は凛風が校内で「ヤンキーの掟」を連発し、花の悪評はどんどん広まり、和泉が美人双子姉妹(蒼あんな・蒼れいな・・・22才のなんちゃってである)を借り出すまでもなく投票前から決着が着いた状態だった。

しかし、花は「私はこれでも本番に強いですから」と根拠のない自信に満ち溢れる。

その頃、大地は町で圧倒的な実力でチンピラを叩きのめす和泉を目撃。

練馬に協力してもらい・・・ようやく和泉のことを思い出す。

そんなある日・・・和泉の後輩の香川(染谷将太)が訪ねてくるのだった。

「和泉先輩が・・・足を洗ったはずの喧嘩をはじめたのは淋しいからじゃないかと思うのです・・・しかし・・・そんなこと・・・俺の口から言えないので・・・和泉先輩と引き分けたことのある大地先輩になんとかしてもらいたいと思うのです」

そんなこと言われても困る大地だった。

しかし、お礼参りにきた不良たちが大地と和泉を間違えたことで・・・大地は和泉に借りを作らせることに成功する。

圧倒的勝利で停学となった大地を呼び出す和泉。

「余計なことしやがって・・・」

「お前さ・・・なんだかやるせないんだろ・・・」

「なんでだよ」

「俺もやるせないもん」

「一緒にするな」

ついにタイマンをはじめる二人。「うぜー」VS「つまんねー」である。

かけつけた花は「喧嘩はやめなさい」とまわし蹴り一発で二人を沈黙させるのだった。(ドラム缶の件は暗喩である・・・)

「楽しくなかったら楽しいことを一緒に見つけよう」

花の説得に圧倒的な実力差を感じた和泉はひれ伏すのだった。

ヤンキーの掟・力の強いものに従うは絶対だからである。

かくて・・・紋白高校生徒会は・・・。

会長 花(元ヤンキー) 学力2 脚力1000

副会長 大地(元ヤンキー)学力9 腕力100・・・好きなモビルスーツ・ドム

     和泉(元ヤンキー)学力100 腕力100

書記  凛風(元ヤンキー)義理100

会計  千葉(元ひきこもり)学力120

という・・・かなりこわい布陣となったのである。

そして、大地は密かに医師を目指す決意を固めたらしい。

このドラマの言いたいことは「目標を持つことは誰にでもできる」ということなのだ。

ちなみに今週、恋愛フラグの果てに何が来ちゃったかといえば大地の掃除当番なのであった。

ついでに今週のやられ役は名もなき不良(鈴之助)だった。

さ、相模・・・もう来ないのか。さ、最終回に期待したい。

関連するキッドのブログ『第3話のレビュー

日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)『新参者』(TBSテレビ)『女帝薫子』(テレビ朝日)『荒川アンダー ザ ブリッジ』(テレビ東京)

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2010年5月14日 (金)

同窓会は不倫同好会ではありません(大平うみ)素直になれなくてがいけない(上野樹里)

いつまでも恋をしていたいという人は多い。恋することが素晴らしいことも間違いない。

しかし、一生素晴らしい恋に出会わない人もいるだろうし、恋以外のことをしていたい人もいるだろう。

恋を知らない人に恋の夢を見せてあげることは素敵なことだと思うがそれは同時にとてつもなく虚しいことでもあるだろう。

その辺りのバランスをとることははある意味、スキーとかサーフィンとか・・・そういう系統のスポーツの醍醐味である。

つまり、上手くないと転びます。そして恥ずかしい。

じゃぼーん。

で、『同窓会~ラブ・アゲイン症候群・第4回』(テレビ朝日100513PM9~)脚本・井上由美子、演出・秋山純を見た。黒木瞳といえば映画『失楽園』(1997年)の不倫の快楽に溺れていく人妻・松原凛子が当たり役である。この作品はドラマ化もされ凛子(川島なお美)で最終回の視聴率は27.3%である。人々の心に眠る邪悪なものへの憧れに背筋が寒くなるわけである。このテーマをソフトにしたものが「恋を何年休んでますか」(2001年)になる。主演は小泉今日子だが黒木瞳は三番手として登場する。二番手は飯島直子である。一方で黒木瞳は「オヤジぃ。」(2000年)や「夫婦。」(2004年)で田村正和を相手に良妻賢母も演じている。ある意味・・・バランスをとっているのである。そして『失楽園』から13年、本格不倫ものに手を染めるわけである。まあ失笑する人も多いかもしれないがまだまだ感情移入する人もいるわけでこの枠の前番組「エンゼルバンク」の平均*6.1%を1~3回までの平均視聴率14.1%までに引き上げている。黒木瞳が怪物なのかお茶の間が邪悪なのかは別として。

マドンナ なんか文句あるのーっ。

悪女 別に・・・。

刑事 俺はさ・・・結局、まだ男なんだな。男でいたいのさ。

色男 脳腫瘍でハレルヤ・チャンスです。

女医A(スリット)奇跡はないのでやりたいことをやってください。

色男 そのアドバイスはある意味、デンジャラス。

女医B(かんにん袋)私には関係ありません。

色妻(みっちょん) 離婚慰謝料半返しよ・・・葬式代にして愛しのバカヤロー。

色男 ふ・・・あれから20年か・・・。石川秀美の妹分か・・・。

刑事 なんだこの記事は・・・友達の色恋沙汰を面白おかしく書いて・・・殴ってやる。

色男 俺の殴られるところが萌えるファンへのサービスだな~。

マドンナ やめて・・・暴力はよして~。

マド娘(大平) やめてよ・・・不倫なんて・・・不潔よママ。

刑事 む・・・息子から何かを奪う気なのか・・・。

マド娘 関係ないでしょ・・・。

息子(竹内寿) よ、・・・よろしくお願いします。

アイロン(須藤理彩) 母娘そろってビッチなのね。私から夫も息子も奪うのね。

刑事 よさないか・・・俺はそんなつもりは・・・ただたまには浮気くらいしてもいいかなと思っているだけなんだ。特命係長にくらべたらほんの出来心なんだよ。

マドンナ 今のは聞かなかったことにするわ。

悪女 私なんか愛人と娘のせいで離婚されそうなのよ。

鑑識 豪華マンション+三億円・・・って充分なんじゃないですか。

悪女 きーっ・・・そういう問題じゃないの・・・私はただもてたいのなう。

役人 俺たちのことはそっとしておいてくれ・・・って誰も心配してねーのかよっ。

マドンナ だってねー。

悪女 ねー。ハットリくん。

アイロン 誰がハットリくんだってっ。

テンメイ やまとなでしこ(2000年)の頃は可愛かったのに・・・。

刑事 ですよね~。・・・ていうか一般の方はご遠慮ください。

亭主 どうせ・・・俺はヒモですよ。かっこいいとこなんて・・・見せられるかっ。

色男 マドンナにハレルヤ・アタックなう。

マドンナ 見栄をはって何が悪いの絶対拒絶ブロック・・・私はマドンナなのよなう。

悪女 私はもてたいのよ~。

マドンナ ああ、私は家庭よりもときめきを求める女なう。

刑事 ああ、あの頃に戻ってもう一度やりなおしたい・・・。っていうかやりたい。

マドンナ あなたとならいい・・・。

刑事 遠くを見る目に風が映る・・・。いつかそんなことがあったね。

マドンナ 窓辺にもたれたあなたの顔・・・。私だけに見せる哀愁。

キッド このドラマの主題歌って・・・なんとなくロンリー・チャップリンを思い出す・・・。

関連するキッドのブログ『先週の木曜日のレビュー

で、『素直になれなくて・第5回』(フジテレビ100513PM10~)脚本・北川悦吏子、演出・西坂瑞城を見た。まあ・・・もう・・・すべてがグダグダですが・・・そこが逆に面白いかというとそうでもないという悲しいドラマになっています。ど、どうすんだ・・・これ・・・。

ハル 不倫は・・・よくない。

ナカジ ほっといてくれよん。

ピーち ああ・・・満を持してのトライだったのに・・・。

リンダ 北川先生・・・ボクは同性愛者なんですか・・・それともバイのEDなんですか・・・っていうか・・・男の生理っていうか・・・メカニズムわかってますか・・・渡辺えりで勃つ人は勃つし勃たない人は勃たないんです。まあ、目をつぶってえいやーという最後の手段はありますけどーっ。

ドクター 韓国には兵役義務がありますから24ヶ月は軍隊のメシを食うので全員戦闘のプロです。いざとなったら日本のチンピラなんて殺せます。

妹(木南晴夏) だったらナイフつかまないでエイヤーとやっつければいいのにトッキョタワッ。

ドクター それは北川先生の趣味ゴスミダ。ナイフ握って血がポタポタに感じるみたい。

あんぱんち シャツをクンクンも趣味かしらね~。

ハル しーっ・・・あんまり言ってはいけない・・・一般の方は遠慮してはうぅん。

白髪鬼 末期ガンでラブ・アゲイン・・・。

姥桜(風吹ジュン)・・・三ツ矢サイダー・・・。

女医B 私には関係ありません。

井川遥(井川遥) 人妻が若い男の部屋に出入りして無事にすむとも思えないし、尾行がつかないとも思えない・・・どんだけ無防備なの・・・この役。

ハル 私なんか・・・いかにも怪しげなヤクの取引現場に単身乗り込みデス。ボギャーンですよ。しかもそこで大切な仲間に助けを求めるなんて・・・人間としてダメダメデス。

くう もしもし110番ですかって・・・もう即効でなにもかも奪われちゃう充分な時間が経過してるし・・・なんじゃこれ・・・。

ナカジ 爆笑ですよね。お茶の間爆笑させて・・・どーすんだですよね。でも・・・ボクはただ仲間っていうか・・・トモダチが欲しいとか言わされてるんですよ・・・もう・・・まいったなーですよー。でも一般の方はご遠慮・・・もういいかーっ。どなただか知らないけど・・・スタッフはもう少し・・・世の中のこと・・・勉強するべきですよねー・・・ホントウに・・・。

ドクター ハル、ボクは合格ですか・・・。

ハル もうなんでんよかとねーっ。早く夏ドラマが始まってほしかーっ。

ナカジ 同意なう。

リンダ 激しく同意。

ピーち ハゲドウ。

キッド あくまで妄想なのでご注意ください。そしてすべての責任はキッドの妄想が引き受けますのでご了承ください。要するに何もかもがフィクションだということでございます。

土曜日に見る予定のテレビ『チェイス・国税捜査官』(NHK総合)『怪物くん』(日本テレビ)『タンブリング』(TBSテレビ)『トリック新作スペシャル2』(テレビ朝日)・・・これは楽しみ。

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2010年5月13日 (木)

お母さんとママとMotherの真紅のカーネーション(松雪泰子)

さりげなく挿入されたカレンダー・ネタである。

クリスマスやお正月はラブ・ストーリーやホーム・ドラマには欠かせないネタの素であるが、ベタなのでちょっと恥ずかしい。「母の日」は一話完結スタイルの連続ドラマなら手軽なネタである。

しかし、このドラマでは「母の日」をさけて通ることはできない。

それをどう料理するかもひとつの試練である。

基本的にはカーネーションで攻めたわけだが・・・オーソドックスでよかったと思う。

水曜日のダンスは・・・。

「臨場」・・・17.9%↗18.6%↘16.7%↗16.9%・・・・・・↗18.6%

「Mother」・・・・・・11.8%↗12.0%↗12.8%↘10.0%↗11.9%

ナイス・ステップ。

で、『Moher・第5回』(日本テレビ100512PM10~)脚本・坂元裕二、演出・水田伸生を見た。水色の紙飛行機が着地する。瞬間的に奈緒(松雪)はその飛行機の作り手が誰かを知ってしまう。もちろん、紙飛行機の折り方は偶然の一致に過ぎないという考え方もあるが・・・奈緒はすでに葉菜(田中裕子)の正体について疑念を抱いていたと考えていた方がいいだろう。その疑念は確信に変わった。

うっかりさんはあの人なのだ。

その衝撃は奈緒の人格を一瞬、崩壊させ・・・うろたえさせる。

激情の波が押し寄せる・・・自分が自分であることを守るのが精一杯だ。

お母さん

あのね

すごいんだよ

うっかりさんの飛行機

あっちからこっちまで

まるで鳥みたい

継美(戸田愛菜)の囀るような声も届かない。奈緒は立ちすくんでいた。

階上の教室から肯定へ葉菜と継美がやってくる。

「帰る・・・帰るわよ」

呼吸もできないような感情の起伏に耐えながら奈緒は声を振り絞る。

「これ・・・役所から届きました」

と葉菜が差し出す書類を振り払う奈緒。

継美はようやく異変に気がつく。

「うっかりさん」と「お母さん」の間に何かが起こったのだ。

うっかりさんこと葉菜は震える「娘」が紙飛行機を握りしめているのを見てすべてを悟る。

ああ・・・知られてしまった・・・この子に知られてしまった・・・私が誰かを知られてしまった。

葉菜もまた立ちすくむ。

母と娘を繋ぐ紙飛行機は奈緒によって握りつぶされ、投げ捨てられる。

継美はそれを拾った。

奈緒は一人で立ち去って行く。

「・・・うっかりさん・・・またね」

突然の非常事態に「お母さん」を追う継美。「お母さん」はなぜか・・・突然、壊れかけているのである。継美の心に恐怖が湧きあがる。

校庭には全てを失った気持ちを抱えて葉菜が一人、取り残された。

つかの間の夢を失いかけた女がもう一人。鈴原家の次女・芽衣(酒井若菜)は心臓に障害が発見された胎児の画像診断に折鶴を捧げていた。憐れなわが子に祈りをこめて座るその姿もまた聖なる母の背中を持っている。

母親であることを遠い昔に捨てた葉菜は理髪店「スミレ」にたどり着き絶望を味わう。

鈴原家の優れた母親である藤子(高畑淳子)は帰宅した奈緒とともに夕飯の仕度にとりかかっていた。

藤子の自慢の料理はスパニッシュ。パエージャ(パエリア)を炒めるフライパンはバルセロナで購入したものだ。豊かさと幸福の香りが漂う。米と野菜と赤いパプリカ・・・オリーブ・オイル・・・そして黄色いサフラン。

「この鍋を機内持ち込みにするのが一騒ぎだったのよ・・・」

「お母さん・・・私・・・あの人に会ったわ・・・私を捨てた人に」

「・・・」

「私・・・だまされちゃった・・・あの人・・・何も言わないから」

「気のせいじゃないの・・・そんな人・・・とっくに消えていなくなったんだもの・・・この世にいない人だもの」

「・・・うん・・・わかってる」

その人はひっそりと米を研いでいた。

まるで幽霊のように。

そしてどこかで鐘が鳴った。

それは生きながら死んだ子を弔う鐘の音だった。

母であることをいつの間にか放棄した女は空腹を感じた。

喪服の仁美(尾野真千子)は冷蔵庫に何もないことに絶望した。

「ねえ・・・マーくん、ラーメン食べに行こう」

仁美の愛人である真人(綾野剛)は臆病な猫のように身をすくめた。

「今日・・・葬儀だったんだぞ・・・それらしくしてろよ」

真人は遺骨の入っていない骨壷から目が離せない。

かって自分がゴミ袋につめた少女。そして性的虐待を楽しんだ娘。そのために嫉妬に狂った母親にゴミ袋につめられた娘。そのあげく海に身を投げたかもしれない娘。

怜南(継美)の亡霊が彷徨っているような気がする。

「それらしくって・・・なによ」

「娘を亡くした母親みたいな顔してろってことだよ」

「娘を亡くした母親みたいな顔って・・・どんな顔よ・・・」

真人の怯えた心を仁美は感じ取る。子供のように手がかかる男だが・・・仕方がない。仁美は本当の子供よりも愛しい男を選んだ女なのだ。

「今日ね・・・児童相談所の人に会ったわ・・・」

「な、何か言われたのか・・・」

「お互いに余計なことは言わないでおこう・・・って感じだったわよ」

「・・・そうか・・・じゃ・・・訴えられたりしないわけだな」

真人の心は半分軽くなる。社会的制裁を伴う罪の意識の分だけ・・・。真人の気まぐれな心は返却された怜南の遺品に向かう。

しかし、見覚えのある怜南のマフラーを手にした途端・・・戦慄を感じるのだ。

迷信深い心が震えるからである。

(怨むな・・・怨むなら・・・こいつを・・・俺はちょっとは心配したんだから)

仁美は震える真人を無視した。そして怜南の残した「わたしのすきなもの」ノートを手にとるのだった。

(まわるいす・・・まがっているさかみち・・・クリームソーダ・・・みかんゼリーにうかんでいるみかん・・・ほけんしつのしろいしいつ・・・・・・わたりどり?)

仁美の心に何かが浮かぶ。仁美はふと・・・雑誌記者・駿輔(山本耕史)の残した名刺に目を止めた。仁美の心は闇に閉ざされている。しかし・・・そこにもまた秘密が隠されているのだろう。

葉菜の心の秘密と仁美の心の秘密。

それは同じものなのか・・・それとも・・・。

「あなたのお子さんは欠陥品です」

悪夢の中で医師が告げる。覚醒した芽衣は母の顔を見る。

その心配げな顔。そうだ。私は母に心配をかける悪い子だった。

目覚めにヨーグルトを食べ、フタをなめる子だ。

スプーンを差し出した母はきっと言うだろう。

「お行儀の悪い子」

ほら・・・やっぱりね。

「お母さん・・・もう一度病院に行ってこようと思うの・・・」

そう・・・そして欠陥品の欠陥を確認するのね。

拗ね続ける芽衣を残し、母親は階下に戻る。出勤の時間が迫っている。それなのに新聞は・・・古い。

「どうなってんの・・・」

藤子は三女の果歩(倉科カナ)を叱責する。

果歩は新聞係として適当に受け流す・・・。

奈緒と継美は恐慌に襲われていた。古い日付の新聞。怜南が消え、継美が現れた日の新聞。

そこへ・・・無言電話がかかる。

果歩と藤子は軽い不信感を覚え・・・奈緒と継美は引きつった顔を見合わせる。

怯えながら家を出たいつわりの母と娘は高速道路の高架の下の通学路でハイエナの待ち伏せを受ける。

この男が・・・私たちを苦しめるのか・・・継美は戦闘態勢に入る。

「また・・・そんな犯罪者を見るような顔をして・・・いやだなあ・・・私は先生を崇拝しているんですよ・・・大胆なことをする人としてね・・・でも・・・それとこれとは話が別なんです。例のこと頼みますよ・・・私だって・・・あなたのことを通報したりしたくない。誰も幸せにしないしね。でも私もちょっと金に困ってましてね・・・自分も幸せの仲間になりたいんだ・・・そうでないとついこうして・・・110番に電話して・・・時報を聞きたくなるんです・・・どうです・・・母の日のカーネーションの代金として1000万円・・・そんなに高くないでしょう」

継美はしっかりと耳にとめる。

いっせんまんえん・・・いっせんまんえんあれば・・・この男はいなくなる。

そのお金を「お母さん」は用意できるのかしら。

汚らわしいハイエナに見送られ継美は学校へ奈緒は清掃員としての職場へ行った。

継美は困ったときのうっかりさんを頼ることにした。「お母さん」と「うっかりさん」はケンカをしているようだが・・・困ったときにうっかりさんはお母さんより頼りになるのだ。学校に行けるようにしてくれたのはうっかりさんだし・・・水色の鉛筆も買ってくれた。お母さんには内緒でいっせんまんえんをくれるかもしれない。

継美は店の扉の境界線で「お母さん」と「うっかりさん」の両方を裏切らないように気を使う。

「継美ちゃん・・・うっかりさんはあなたが大好き・・・でも・・・もうここにはこない方が」

「あのね・・・お母さん・・・サイフをなくしちゃったの・・・継美がトイレに行きたいって言ったから・・・」

「・・・お金が必要なの?」

さすがはうっかりさん。話が早い。継美はすべてを打ち明けた。

その頃、あまり頼りにならないお母さんは消費者金融を訪ねていた。

派遣の清掃員が融資を受ける限度額はおそらく1000万円には遠いだろう。

奈緒はそういう点ではとてつもなく役立たずなのである。

それでも母として継美には告げずにはいられない。

「大丈夫・・・心配しないで・・・お母さん・・・何とかするから」

藤子は再び芽衣の機嫌をとっていた。

「あなた・・本当に子供をあきらめるつもり・・・」

「お母さんは私に生きるか死ぬかわからない子供を生めって言うの」

「・・・それで・・・あなたつらくないの・・・」

「辛いわよ・・・美容院行ったのに雨が降ってきちゃったぐらいの辛さ・・・ふえーん」

「・・・バカね・・・」

ついに涙ぐむ芽衣。拗ねる努力も崩壊である。母と娘は涙にくれて一つになった。

一瞬の和みの後・・・竹5つと梅1つ(果歩の恋人・耕平=川村陽介専用)のうな重を待つ清原家に無言電話が再び襲来する。

電話をかけている容疑者の一人、駿輔はヒーローのキャラクター・グッズを眺めながらハイエナには似つかわしくない追想にふけっている。

心に残る少年の言葉。

「いつか・・・変身できるかな・・・」

「できると・・・思うよ」

「本当・・・?・・・へへへ」

それは駿輔にとってウイスキーのようにほろ苦い記憶だった。その少年が駿輔を生きながら地獄に葬り去ったのである。

困り果てた奈緒の元へうっかりさんは舞い降りた。預金通帳を持って。

奈緒は逃げる。その手へ葉菜は通帳を渡す。

「なんです・・・これ・・・意味わかりません」

奈緒は通帳をつき返す。

「でも・・・いらないものだから・・・それに足りないと思うけど・・・」

「・・・継美が話したんですか」

「いいの・・・これは元々・・・」

元々なんだって言うの・・・元々・・・。

「あなたとは関係ないことです」

「そう・・・そうだけど」

「あなたは・・・他人でしょう」

言ってみなさいよ。言えるものなら言ってみなさい。

私は・・・あなたを捨てた母親だと・・・。

「そう・・・他人です」

「・・・」

「じゃ・・・これは捨てます・・・ここに捨てます・・・捨てました」

「何を・・・」

奈緒は気持ちが張り裂けた。

葉菜はゴミ箱に通帳を捨てた。

奈緒は伝えたい言葉を飲み込んだ。

何故捨てたの・・・ねえ・・・お母さん・・・私を何故捨てたの・・・。

しかし、葉菜は最後まで名乗らない。

そして去っていく。奈緒は歯をくいしばり、前へ進もうとした。

その背後でハイエナがゴミ箱を漁っていた。

ハイエナは通帳を咥えると立ち去ろうとする。

その通帳は・・・やめて・・・乱れに乱れる奈緒の心は仕方なくハイエナを追う。

ハイエナはハイエナにふさわしいラブ・ホテルに奈緒を誘い込んだ。

「あのおばさん・・・誰なの・・・?・・・あなたが母親にお金を無心できないことと関係あるの?」

「・・・」

「まあ・・・いいや・・・あんたに・・・1000万円は無理だったんだろう・・・これでいい。これで手を打つよ・・・継美ちゃんのこともあんたのことも忘れる」

「・・・本当に?」

奈緒は目先の安息に飛びついた。

しかし・・・ハイエナはまだ何かを探していた。

「ちょっと・・・見てみろよ・・・これ204万円・・・あのおばさん・・・貧乏そうなのに溜め込んでたんだな・・・一ヶ月に一万円か・・・ざっと17年間だぜ・・・」

17年前・・・奈緒は18才だった。その時・・・何かがあったのだろうか。

急に奈緒はその通帳が惜しくなった。いや・・・その通帳に潜む何か重苦しい記憶が。怨みと思慕が一体となった何かが。

「返して・・・それを返して」

通帳の奪い合いをする二人。ベッドに押し倒された奈緒は一瞬、妙な気分になる。その手に灰皿が触れる。

灰皿で奈緒は駿輔を殴る。もう・・・頭に血が登る。

「やりなよ・・・俺を殺せばいい・・・そうすれば・・・あんたと継美ちゃんは本当の親子になれる・・・だけどあんたは・・・人殺しだよ・・・お母さん・・・」

「このお金を使うくらいなら死んだ方がましよ・・・お金は私がなんとかするから・・・」

「一体・・・あのおばさん・・・あんたのなんなのさ・・・それほど恩を与えられるのがいやな相手って・・・まあ・・・いいや・・・もう・・・お金のことはいい」

「・・・」

駿輔はヒーローの人形を取り出した。

「昔さ・・・取材相手の子供に妙に懐かれてさ・・・もらったんだ・・・僕のヒーローだってね・・・父親に虐待されてる子供だった・・・でも親はシラを切るし・・・子供は絶対に親にされていることを言わない・・・俺がしつこくしたら・・・親はこう言ったよ。なんなら1000万円で売ってやるってね」

「その子・・・どうなったの」

「死んだよ・・・父親に蹴られて・・・内蔵(破裂)・・・」

ハイエナは言葉につまった。救えなかった少年の苦しみがハイエナを地獄の業火であぶっているのである。

「あんたは・・・凄いよ・・・俺に出来なかったことをやってる・・・あんたは俺のもうひとつの別の未来だ・・・あの子と俺がたどり着けなかった道を歩いている・・・その行き着く先を・・・俺は見てみたい・・・もういいよ・・・いつかあんたと継美ちゃんのことを書ける時がきたら・・・俺はそれを売って・・・金をもらう・・・そうさせてもらうよ・・・」

ハイエナはよたよたと去って行く。ホテル代は必要経費でまかなうのか。

その頃、家に戻った葉菜は袖川医師(市川実和子)の訪問を受けていた。

「どうして・・・病院に来ないんです」

「ごめんなさい」

「別にあなたの問題なのであやまる必要はありません」

「今、お茶をいれますから・・・お茶を・・・」

葉菜はついに心身ともに力尽きて倒れた。

袖川は葉菜を介抱し・・・必要なものを準備しに出て行った。

一方、継美は藤子にお小遣いをおねだりしていた。

「おばあちゃん・・・お小遣いをください・・・」

「まあ・・・お金が要るの?」

「お母さん・・・お金がいるみたいなの・・・うっかりさんがくれるって言うんだけど」

継美はうっかりさんのことを話した。うっかりさんとは違い、藤子にはすべてを話すことはできない。しかし継美にはわかっている。うっかりさんとおばあちゃんがお母さんをとりあっていることを・・・。おそらく・・・うっかりさんはお母さんの本当の・・・。きっと継美に甘い二人は「お母さん」のために何かをしてくれるはずだ・・・。

継美は奈緒より大人な部分を持っている。奈緒は母親にただ捨てられた子供だが・・・継美は母親に殺されかけた子供なのである。経験値が違うのだ。

私が「お母さん」を助けなければ危ないと継美は感じているのである。

葉菜の家に向かう奈緒は「母の日のキャンペーンにお配りしているカーネーション」を手に入れる。

本当の母親が自分のために貯めた204万円と無料のカーネーションを手に奈緒は理髪店「スミレ」に辿りつく。

乱れた店内と二階に眠る葉菜。そこで奈緒は隠してきた本心を告げる。

「どうして・・・捨てたの」

しかし・・・運命は二人の手を取り合わせない。

目覚める葉菜。心を閉じる奈緒。

「鈴原さん・・・どうしても・・・受け取ってもらえませんか」

そこで葉菜はカーネーションに目を止める。

「私が・・・一番、キライな花です。この季節になるといつも目をそむけていた花・・・何故だか・・・分るでしょう・・・私の話を聞いてたんだから・・・あの時・・・あなたは私を嘲笑っていたの?・・・目の前に本人がいるのにバカな子だって・・・」

それだけは違うと首を振る葉菜。

しかし・・・もう奈緒には何が何だか分らない。

そこへ乱入する藤子。藤子は葉菜を鉄拳制裁するのだった。

「やめてよ・・・こんなお金で・・・あなたのしたことが許されると思ってるの・・・私と奈緒の30年間を壊さないで・・・奈緒は私の子なんだから・・・」

余命いくばくもない葉菜を全力攻撃の藤子。仕方なく奈緒は止めに入るのだった。

「もうやめて・・・関係ない人だから・・・この人は知らない人だから・・・」

その一部始終を階下で女医は見ていた!

・・・嵐が去った後、葉菜に残されたのは通帳と病身と踏み潰されたカーネーションだった。

お茶の間はこれほど打ちのめされる女が何故・・・娘を捨てたのか・・・もはやそれを知るまでは席を立てないはずなのである。

生さぬ仲の母と娘は居酒屋でビールを飲み干した。

「私・・・気がついてた・・・あなたと継美があの人と会っていること・・・ううん・・・気にしないで・・・私だってあの人のこと・・・ずっと隠してた」

奈緒は藤子の秘密を知った。

「あなたを引き取ってから・・・ずっと怖かった・・・いつか・・・誰かがあなたを迎えに来るんじゃないかって・・・でも誰も来なかった。あの人が来たのは・・・あなたが高校を卒業して北海道の大学に行った頃・・・」

奈緒は17年前という歳月にふと心が揺れた。

「でも・・・私は奈緒は幸せになりました・・・私の子供として・・・近所でも美人三姉妹で有名なんだと・・・そしてあなたの笑っている写真を一枚渡して・・・親切じゃないわよ・・・奈緒は今幸せなんだ・・・私があの子の母親なんだって言いたかっただけ・・・そしてあの人を追い払ったの・・・ダメだったかな・・・?」

奈緒は首を横に振った。

「あなたは脱走癖があるってももこさんに言われたわ・・・でも私は・・・あなたを一目見たときから気に入ってしまったの・・・だからみんなが反対したけどあなたを連れて帰った・・・そうしたらあなたは・・・何度も家出した・・・憶えている?」

奈緒は忘れていた。

「あなたは東京タワーの展望台に登って・・・本当のお母さんを探していたの・・・私は覚悟を決めたわ・・・あなたの望むことをさせてあげる・・・それに付き合うって・・・だって母親なんだもの。ある日・・・あなたは見つけたと行って走り出した。私は無我夢中で追いかけた。そして転んだの。私はあなたが手を出したのでまた・・・有料双眼鏡を見るつもりだと思って100円玉を渡した・・・するとあなたは絆創膏を買ってきた・・・そして・・・一緒に家に帰るとただいま・・・って言ったの・・・はじめてただ今って・・・私はただただうれしかった」

奈緒は藤子を見つめた。

「でも・・・私はふと思うことがある・・・あなたの母親は本当に自分でよかったんだろうか・・・もっとあなたを幸せにした他の誰かがいたんじゃないかって」

奈緒は涙がこみあげた。

「お母さんだよ・・・私のお母さんは・・・世界でただ一人・・・お母さんだけだよ」

その言葉にこみ上げる涙を藤子は雑巾で拭った。奈緒は継母の愛を生れて初めて受け入れることができたのだった。

家に戻ると継美の手作りのカーネーションと「お母さん」の絵が机に置かれていた。

「お母さん」とベッドから継美が奈緒を呼ぶ。

「継美・・・心配かけてごめんね・・・でももう大丈夫だから・・・何もかも心配いらないから・・・お母さんは忘れようとしても忘れることのできないことがあったけど・・・もう忘れることができたの・・・おばあちゃんと・・・継美のおかげで・・・」

継美は哀れみを含んだ眼差しを奈緒に注ぐ。

「ごめんね・・・お母さん・・・何言ってるのか・・・分らないよね」

しかし、継美は微笑んで言う。

「ううん・・・分るよ・・・継美も忘れられる・・・お母さんのおかげで」

奈緒は継美への愛おしさがこみ上げる。継美のおかげで本当の母親に会えたし、継美のおかげで継母を母親と認めることができた。そういうなにもかもをこの子は分ってくれている。どっちが母親なのか分らない。奈緒は継美に触れた。

「大事・・・大事」

継美は奈緒に触れた。

「大事・・・大事」

いつわりの母娘はまた少し深い絆で結ばれたらしい。

継美はこの儀式がどちらのおばあちゃんから受け継いだものなのかを一瞬考えたがそれについて深く追求するのはやめにした。お母さんが大事に思ってくれるのはうれしいし自分もお母さんを大事に思っている。それですべてはいいではないか。

母の日の日曜日・・・奈緒は捨てられてから初めて穏やかな気持ちでその日を迎えていた。

奈緒は藤子から頼まれていたことがあった。

それは芽衣の心を解くことだった。姉としての責任を果たす。それもまた奈緒には初めての経験だった。

「芽衣・・・あなたはいつも男の子とばっかり遊んで・・・強がっていたけれど・・・本当はこわがりで泣き虫で・・・一人の時はお母さんごっこをしてたって・・・私は知っている」

芽衣は不器用な姉のことを姉以上に知っていた。

「昨日ね・・・お腹の子供が初めて動いたの・・・そしたらね・・・急になんだか・・・自分が母親のような気分になってきたの・・・大丈夫・・・私は大丈夫だよ」

奈緒が生まれたての小鹿のように人間関係の中で歩き始めた頃、継美はもう一人の自分に引き戻されていた。

継美「もしもし・・・もしもし」

仁美「あなた・・・誰・・・」

鈴原家にかかってきた電話の相手は何故か仁美だった。

仁美「あなた・・・怜南・・・怜南なの?」

継美/怜南「・・・ママ・・・」

その声を藤子が聞きとがめた・・・。

「ママって・・・」

継美はあわてて電話を切るが自らの失態に打ちのめされる。

(ああ・・・お母さんごめんなさい・・・ああ・・・ママ・・・どうして)

母と娘たちの複雑な歯車はまだまだ回り続けるのである。

関連するキッドのブログ『第4話のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『森カンナの警視庁失踪人捜査課』『原幹恵の警部補 矢部謙三』(テレビ朝日)『岩佐真悠子のトラブルマン』『里久鳴祐果の大魔神カノン』(テレビ東京)『仲里依紗のヤンキー君とメガネちゃん』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2010年5月12日 (水)

刑事(上戸彩)も歩けば容疑者(福田麻由子)にあたるんですーっ(加藤あい)

解決された未解決事件・・・いや、未解決事件が解決していた・・・違うな・・・解決されたと思われた事件が実は未解決だった・・・まあ・・・そういうことかな・・・それはつまり冤罪が発生していた・・・ということでもある。

で・・・殺人事件があって犯人が現行犯逮捕され・・・裁判を経て死刑が執行された後で・・・「あの事件は未解決だ」と言われても関係者一同、困惑する他はないわけである。

ある意味、刑事ドラマとしては禁じ手に近い。

しかし、未解決事件を扱うドラマとしてはヴァリエーションの一つとして当然、作りたいところである。

かなり、アイディアが必要とされるが・・・そうでない場合は事件を複雑にする必要がある。

複雑にするために話が長くなると前・後編である。

まあ・・・そういうこととは限らないけどね。しかし、今回の容疑者は福田麻由子である。見応えがあるのでまったく構わない。しかも「刺したのは私だよ・・・」展開なのである。まあ、スカシだと思うけどな。

火曜日のドラマ対決は①↗14.8%「バチスタ2」 ②↗14.7%「絶対零度」

で、『絶対零度~未解決事件特命捜査~・第5回』(フジテレビ100511PM9~)脚本・谷和俊、演出・村上正典を見た。特命捜査対策室に再捜査の依頼者がやってきた。桜木刑事(上戸)の所轄署時代の先輩刑事・村山(モロ師岡)である。そのために桜木刑事は新人時代に捜査中、犬の糞を踏んで臭かったことがあると判明してしまう。

村山の持ち込んだ事件は「学校飼育動物殺傷事件」である。

二年間に渡り、広域で学校内で飼育されている動物が何者かによって殺傷されていた。殺害方法や現場に残された足跡から同一犯の犯行が推察されるが、広域であることと、罪状が「器物破損」に過ぎないことから「事件」として重要視されず、各署の連携も不十分のため未解決となっている・・・と村山刑事は語る。

捜査に着手するかを決めかねた長嶋室長(北大路欣也)と倉田係長(杉本哲太)だったが、プロファイラーの高峰刑事(山口紗弥加)が「同一犯なら犯行がエスカレートして次の段階に進む可能性がある」と指摘する。

「学校飼育動物殺傷事件」はそもそもある事件の模倣犯ではないかという疑惑があった。

それは最初の犯行現場が別の事件現場の目と鼻の先で発生したからである。

その事件とは五年前に起きた「千山こども交流会殺傷事件」だった。地域イベントに乱入した包丁男・阿久津政司(村田充)が大人二人と児童多数を無差別で殺傷したのである。阿久津はその場に駆けつけた警察官に逮捕され、三年後に死刑が執行された。

その直後に「学校飼育動物殺害事件」が始まり、犯人の動機が「無差別殺人事件」の「模倣」ではないかと取沙汰されたのである。

しかし、捜査に伸展はなく・・・事件の真相は闇の中にある。

村山は退職前にこの事件を解決して欲しいと依頼しにきたという。

そのために担当責任者は桜木刑事が抜擢されたのだった。要するに特命対策室としてはあまり深入りしたくなかったわけである。

しかし・・・捜査のついでに当時、阿久津を逮捕した塚本刑事(宮迫博之)が桜木とともに慰霊碑に献花していると・・・謎の女子高生(福田)に遭遇する。彼女は事件の犠牲者の一人、「宮田ゆき」の名前を名乗り・・・「千山こども交流会殺傷事件」はまだ未解決だから再捜査して欲しいと言い出す。

二人の刑事はなぜか金縛りにあったように・・・怪しい言動の少女を取り逃がしてしまうのだった。事情聴取ぐらいしろよ。

やがて、刑事たちは「小学校の飼育係だったゆきちゃんが幽霊となって動物たちを殺しにくる」という都市伝説や・・・事件当時、宮田ゆきの母親が「あの日・・・娘は交流会に参加する予定はなかったのに何故現場にいたのか理由を調べてほしい」と訴えていたこと。そして「謎の女子高生」が宮田ゆきの親友だった沢井春菜だったこと。そして飼育動物殺傷の最初の事件の第一発見者が沢井春菜だったことなどを突き止める。

桜木刑事は似顔絵を持って捜索中、偶然、沢井に出会うが尾行に気付かれ、「私がゆきちゃんを殺したと言ったら逮捕して死刑にしてくれるの?」などと意味不明なことを言われると呆然として沢井を取り逃がすのだった。

その日、沢井は深夜になっても帰宅しなかった。

桜木は途方に暮れるのだった。

塚本「じゃ・・・あの娘は逃走してるってことになるじゃねえか」

桜木「でも、あの娘は犯人じゃないと思うんです・・・なんとなく・・・勘で」

絶句する塚本だった。そこへ裏サイトの情報を解析していた科学捜査研究所の竹林(木村了)が「次の犯行期日と犯行場所が特定できた」と伝える。

それは二つの数字から判明したようだが・・・説明は次回らしい。

42011816

5262558

なんのこっちゃ・・・だ。

現場に向かった塚本と桜木は・・・沢井に遭遇する。

沢井は刃物を持っており・・・塚本は不覚にも負傷してしまうのだった。

しかも・・・二人の刑事は女子高生を取り逃がすという失態を・・・つづくである。

まあ・・・あっと驚く真相が隠されているのかもしれないが・・・刑事たち・・・容疑者を取り逃がしすぎ過ぎだ。

関連するキッドのブログ『第3話のレビュー

で、『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋・第6回』(フジテレビ100406PM10~)原作・海堂尊、脚本・後藤法子、演出・今井和久を見た。さて、ある意味、放置してきたわけだが、城東デパート火災で陣頭指揮を執りジェネラル・ルージュ(血まみれ将軍)の渾名を戴いた救命救急医・速水の傲岸な態度の秘密を延々と描くドラマなのでこのぐらいでいいのである。今回は速水医師に忠誠を尽くす和泉医師(加藤あい)の秘密が開示されたのでメモしておく。和泉医師は城東デパート火災で速水に命を救われた患者だったのである。その脚部には生々しい火傷跡が残っているのだ。

同期である田口(伊藤淳史)は今までそれを拝む機会はなかったのである。

さて、デパートの大火災もかって実際に類似した出来事があったフィクションである。そういう意味では「絶対零度」の児童殺傷事件も同じようなものである。大前提としてフィクションとノンフィクションを混同されてはたまらないということがあるが、お茶の間には精神的にデリケートな方もいるのでそういう部分と「適度な刺激を好む部分」との駆け引きが番組作りの根底にある。だが、刑事ドラマや医療ドラマを見る人々は基本的に「辛いもの好き」なので激辛くらいにしていいと思う。

「いやなことを思い出したくない人」もいれば「事件が風化するのを怖れる人」もいる。

「模倣犯が出ると危惧する人」もいれば「現実を想定するのは必要と感じる人」もいる。

もちろん、キッドは「目をつぶっていれば火事が消えるのか」と疑問を呈する方なので人間のしでかす事件、しでかしそうな事件はどんどんドラマの題材にしていいと思うのである。

バカは「エロアニメ」があるからエロが生じるなどと寝言を言うがエロアニメの存在する前からエロはあるのである。そもそもエロがなければ命は生れないのだ。また・・・スパム扱いされそうな言葉の羅列を・・・。・・・知ったことかいっ。

さて、「ただ命を救うだけでは本当に患者を救ったことにならない」と主張する速水は汚職の疑いの濃い医療機器メーカーと組んで新病院の設立を目指している。

尊敬と恋愛の狭間で揺れる和泉は・・・速水が病院を去ろうとしていることに傷つき・・・ついに速水の悪事を告発する投稿を行うのである。

これが主流である。これに対して支流は「後遺症」である。

事故で半身不随になった若者・健人(桜田通)の苦悩が描かれる。

過労で倒れた母・智子(大路恵美)を思い健人は田口に心情を吐露する。

「命が助かったって・・・周囲に迷惑をかけて・・・母に苦労させて・・・ちっとも幸運じゃない」

「苦労と不幸は似ているけど・・・違うと思うよ。君のお母さんは君のせいでがんばんるんじゃない・・・・君がいるからがんばれるんだ。それは君が居るだけでお母さんは幸福だからだよ」

・・・などと若者の心を癒すのだった。

ちょうど、四川省大地震で身障者(片足)になった少女が来日して義足を調達するニュースがあったが・・・中国では「身障者を不必要な人と言う人々がいて辛かった」という少女を神戸大地震で身障者になった女性が「苦しいことがあっても笑顔になれる日はきっとくる」と励ましていた。心温まる話であるが・・・故郷に帰っていく少女を見て義足のメンテナンスは大丈夫かと思う。

一方で中国人が海外に留学し、各国で地元の学生を圧迫するという話題もある。

日本でも10億人のなかから選びぬかれたエリート中国人たちが、1億人のなかでゆとりをもってなんとなく大学に通う日本人大学生の就職口を奪っていくと言う。企業にとって必要な人材は優秀であれば国籍を問わない時代だからである。

「弱肉強食」と「平和共存」・・・その両立は常に残酷で美しいものなのである。

ドラマでのんびりするか・・・ドラマでスカッとするかは人それぞれでいいと思います。

醜い火傷の跡を隠し美しい女医となった和泉と恋敵の花房看護師長(白石美帆)の苦悩の日々は続く・・・。玉置・石原・青田のトライアングルとは似て非なるものであってほしい。

関連するキッドのブログ『第1話のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『おみやさん』『同窓会』(テレビ朝日)『恋とオシャレと男のコ』(TBSテレビ)『プロゴルファー花』(日本テレビ)『素直になれなくて』(フジテレビ)

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2010年5月11日 (火)

恐ろしい恋が始まりそうだと月の恋人は抱きしめた(木村拓哉)

一見すると絵に描いたような青年実業家の華麗なるラブ・ロマンスが始まったように見える。

いや・・・別にそれはそれで構わないのだが・・・本当にそうなのか・・・と疑念が生じるのである。

月9で木村拓哉主演の恋愛を主軸をしたドラマなんだから王道でいいじゃないか・・・と考える人もいるだろう。

しかし、原作が書き下ろし小説で・・・「向日葵の咲かない夏」の道尾秀介と聞いた時から・・・それを読んだことのある人間はちょっと違和感を感じたはずである。ミステリ作家としてはかなり不気味なホラー・テイスト使いである。おどろおどろしくちょっと気持ちが悪いくらいの作風の持ち主なのである。

そして脚本家が浅野妙子である。ある意味、非常に気持ち悪い作品と言える「八日目の蝉」・・・犯罪加害者の一方的な美化を描ききったばかりである。流れでいえば「イノセント・ラブ」さらには「ラスト・フレンズ」と非常識の極地を忍び足で進んでいる人である。

そして演出は「ガリレオ」や「任侠ヘルパー」の西谷弘である。そう言えばそれほどおかしくはないが、猟奇的な事件を科学で解明したり、ヤクザが老人介護ビジネスに参入する話の演出家である。さらに遡ると「催眠」を演出しているし、その前は「らせん」もやっている・・・もちろん「リング~最終章~」の演出家でもあるのだ。

常識的に考えて、この原作者でこの脚本家でこの演出家ではまともなラブ・ストーリーにはならないと考える方が自然なのである。

まあ・・・別にドラマは不自然に展開してもいいとも考えます。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。ゴールデン・ウイーク明けとまとめてどうぞ。「失踪人」↘*9.5%↗12.2%(↘↗がGWの威力もこみちとったな)、「ヤンメガ」↘12.8%↘12.5%(すでに固定ファン獲得か)、「矢部」↗10.8%↘10.5%(↗↘へそまがりか)、「タンブリング」↘*6.9%↘*6.8%(もう少し競技色強めで)、「怪物くん」↘12.8%↗13.1%(稲森いずみとったな)、「チェイス」↗*6.7%↗*7.8%(第二の義手の男はいあがってきた~)、「龍馬伝」↘18.4%↗19.0%(以蔵ファンがっかりか)、「新参者」↘13.3%↗14.7%(もう少し作りがしっかりしていればなぁ)、「女帝薫子」↘*8.3%↘*7.8%(風俗営業ドラマだからな・・・)・・・ついでに「月の恋人」22.4%・・・以上。

ヒット作も難しいが、傑作作りも難しい。傑作でヒット作となれば至難のハードルである。そこにチャレンジし続ける男の華麗なるチャレンジが再び始まったらしい。

で、『月の恋人~Moon Lovers~・第1回』(フジテレビ100510PM9~)原作・道尾秀介、脚本・浅野妙子、演出・西谷弘を見た。急成長を遂げるインテリア(家具)メーカー「レゴリス」の経営者は葉月蓮介(木村拓哉)である。若く美しく知的で辣腕・・・うっとりするような貴族的な趣が漂う。誰もがなりたくても簡単にはなれない夢のキャラクターだ。ある意味、人間離れしているのである。ここでそもそもレゴリスとは何なのかを知る必要があるだろう。

レゴリスとは広義では「土壌」と言った意味である。地球科学では地表の堆積物の総称がレゴリスだし、惑星科学では月などの天体における砕石された細粒物がレゴリスだ。

もっと月並みな言い方をすると・・・レゴリスとは「月の砂」なのである。月に行けば判ることだが、それはダイヤモンドのようにキラキラと輝く砂なのである。その成分にガラスが含まれているからだ。とにかく・・・レゴリスという会社が月に深く関わっていることがご理解いただけただろうか。

さて、不気味なラブ・ストーリーの傑作と言えば何と言っても映画「ティファニーで朝食を」(1961年)だが・・・その主題歌は「ムーン・リバー」である。

その歌はこう歌う。

月川さん、1000歩で渡りきれないあなた

でもいつか私はきっとあなたを堂々と乗り越える

あなたは私に夢を見せてくれたし

その夢を打ち壊したりもしてくれた

あなたは気ままに流れていくけど

私はけしてあなたを逃がさない

この歌はまだ続くが、ドラマをご覧になった方はすでにいくつもの暗示が浮かび上がったはずだ。

ちなみに主人公は月川ではなく・・・葉月・・・つまり八月さんである。ちなみに旧暦なので八月は秋の月だ。

主人公には噂の恋人がいる。相手はカリスマモデルの大貫柚月(北川景子)である。ちなみに柚子の花は夏に咲く。つまり彼女は夏の月なのである。柚月は23才であり、35才の葉月にとってはかなり年下の女なのである。葉月と柚月は一夜を共にしたことがあるが放置プレーだった。それを何もしなかったととるか、柚月が一方的にサービスさせられたととるかは各自の性向によって判断してもらいたい。

さらに柚月は単なる美貌の持ち主ではなく、資産家の娘でもある。実は「レゴリス」はインテリア・メーカーとして国内第2位のシェアを持っているが、柚月の父親の照源(長塚京三)は業界第1位の「マストポール(帆柱男根)」の社長なのである。とにかくひどい社名である。このネーミングからも判るように柚月は最悪のキャラクター設定を与えられていることを覚悟しなければならない。もげっファン絶叫の凶悪キャラが炸裂するはずである。美貌と資産に恵まれた若い娘が善良な性格であっては立場がないお茶の間の法則が発動するからである。

これはある意味、嗜虐プレーなのでもげっファンは甘んじて耐えるしかないのである。

そもそも・・・柚月は三番手女優なのである。

だから、柚月はオフを利用して、葉月を上海まで追いかけても、パンダのきぐるみを着用してもてんで相手にしてもらえない宿命なのだった。

すでに誰もが知っているように日本国内のビジネスは旨みが少なくなっている。団塊の世代によってもたらされた人口ボーナスは底を尽き、これからは長い停滞が始まるのである。そのために人々は先を争って大陸に進出する。そこには日本の十倍の人口がひしめいているからだ。

もちろん・・・中国人はただの食い物ではない。下手をすれば逆流してくる気配さえあるのだが、それはまた別の話だ。

ここでは葉月が貪欲に市場を求めて、大陸に進出し、「レゴリス」直営工場と「レゴリス」上海1号店をオープンしようとしていることが問題なのである。

葉月が上海にやってきたのは他人任せでは思うようにことが運ばないからだった。

直営工場は中国地元企業の「天美家具」を買収したのだが、雇用を失った中国人の工員たちが不穏な気配を見せていた。そのために直営工場の建設日程に狂いが生じているのである。葉月は現地責任者を解任し、強硬手段を手配する。

一方、上海1号店は一応順調な仕上がりを見せていた。内装を担当するのは葉月の大学時代からの交際相手で下請けのインテリア・デザイナー・二宮真絵美(篠原涼子)である。二宮は葉月と同じ35才だ。もちろん、そこそこの視聴率の女王である以上、単なるがてんおばさんではないのである。

直ちゃん(戸田恵梨香)の私物の秋山さん・・・ではなく、日本育ちの中国人で葉月の右腕である蔡風見(松田翔太)25才が「俺の方が社長より床上手」とアピールするほどまだまだ女盛りはこれからよ・・・なのである。。ただし、某掲示板には専用スレは立たないのである。残念ながら二番手なのである。しかし、一応、煙幕として四番手の若手・リナ(満島ひかり)をアシスタントにしている。ついでに五番手は葉月の実質的秘書である笠原(中村ゆり)である。もうひとつおまけに六番手は柚月のモデル仲間エルカ(西山茉希)である。鉄壁な布陣であるがここまでくるとネーミングもおふざけとしか思えないレベルになっている。

ともかく・・・葉月が上海に入るだけで滞っていた作業は魔法のように進展し、工場で座り込んでいた憐れな中国人貧民は瓦礫の下に阿鼻叫喚を残して葬られ、新店舗は現地の人々に配慮した仕様に手直しされるのだった。

二宮も抵抗のポーズは示すが・・・葉月には逆らえないのである。

一段落した葉月はさらに中国進出の目玉商品について言及する。

コインを四つ、四角に並べて・・・なんらかのシンボルを作ろうと考えている。

それは記憶の中に埋もれた「おしゃれなアイディア」の発掘作業だった。

葉月「これ・・・なんだと思う・・・」

蔡「花・・・星ですか・・・」

葉月「いや・・・もっと心にフィットする何かなんだ・・・」

その答えを二宮は知っているが二番手女優である以上、口には出せないのである。

ちなみに・・・キッドは四葉のクローバーだと思いました。

さて・・・すべての準備は整い・・・ヒロインの登場である。

瓦礫の山と化した「天美家具跡地」で「レゴリス工場建設予定地」に女工員の劉秀美(リュウ・シュウメイ=リン・チーリン)が佇み、視察に訪れた葉月と出会うのである。

秀美は28才、工員ながら工場の工員募集のポスターのモデルに起用されるほど美貌とナイス・ボディーの持ち主だった。

「日本の観光客の貴様、そこは危ないよ」

怪しい日本語を操る秀美に葉月の心は「萌え~」になるのだった。

妖しい中国人(高橋昌也)に日本語を習った秀美は「日本に旅立った父をいつか訪ねたい」という夢を持ち病弱な母親と二人暮らしをしているのである。

葉月のプリティー・ウーマン魂に火がついたのである。

この女こそマイ・フェア・レディー・・・中国進出の「顔」に相応しい。

水溜りを指でつつく謎の仕草もまた葉月の心を激しく揺さぶるのであった。

ちなみに・・・あめんぼうは足先で餌となる小動物の振動を感じ取るために波紋をつくるとそこに寄ってくる習性があります。

かって庭にあった祖父手作りの池で一日中、あめんぼう寄せをしていた記憶があるのです。葉月がか・・・いや、キッドが。じゃかあしいわっ。

ともかく、中国人の男娼・ミン(阿部力)を抱き込んで秀美を経済的苦境に追い込んだ葉月は・・・彼女を支配下に置くことに成功するのだった。

やがて、秀美を日中双方で通用するタレントにするための特訓が始まる。

そんな、ある日・・・例のシンボルについての正解を秀美は示す。

「それは水馬(シェイミン=水黽→黽はカエルの一種、亀ではない・・・ただし水馬はカメムシの一種であるので水亀と書いてもあながち間違いではない・・・つまり水辺のカメムシの略だからである・・・ついでに言えばミズスマシとアメンボウはまったく別の種族でミズスマシは甲虫でオサムシの仲間、漢字にすると鼓豆虫である・・・ちなみに広東語では馬はマー、亀はグエイ、黽はミンと発音するため秀美は水黽と言っていることになるが文中では水馬と統一して表記する)よ」

水馬とはアメンボのことである。六足の昆虫であるが、四足歩行のために水輪は四つ生じるのである。

「シェイミンを見ると幸せになると私のお父さん言いました。だから私はいつもシェイミンさがした。シェイミンは水溜りにいる。水溜りは雨降ると出来る。雨降ると街はきれいになる。木も花も米も育つ。みんな幸せになるアルよ~」

その言葉にますます萌えを感じる葉月だった。

黙って聞いていた二宮が付け加える。

「アメンボは飛べるのよ・・・飴のような甘い臭いのする棒のような虫だから飴ん棒とも言うし、雨上がりに現れるから雨ん坊とも言うの。足の触手は油分に弱いから汚染された水だと溺れるわ・・・だから・・・水馬は水の清浄さを示す環境指標でもあるの」

「お前・・・詳しいな・・・」と言い掛けて葉月はクイズの出題者が誰であったかを思い出した。

言葉を飲み込んで葉月は言った。「知ってるか・・・正岡子規は・・・」

水馬流れんとして飛び返る

「って句を詠んだ・・・アメンボはロマンチックではなくて必死なんだよ」

・・・そんな展開はないだろう・・・ごめん・・・つい教養で筆がすべりました。

「とにかく・・・このシンボルで目玉商品をデザインしてくれ」と二宮に持ちかける葉月。

「そんな・・・今さら・・・」と反発する二宮。

「しかし・・・・発案者がまとめるべきだろう・・・」と殺し文句を決める葉月。

(ああ・・・憶えていてくれたんだ・・・あの愛の日々を・・・)と萌え~っ・・・ぐっときたとなる二宮だった。

まあ・・・葉月は今の今まで忘れていたわけですが・・・。

いよいよ・・・秀美のお披露目の日。お約束で暴露される葉月の姑息な陰謀。

裏切られた気持ちで逃亡する秀美。繰り出される大捜索隊。

ベタで降り出す雨。

もちろん・・・二人は出会いの場所へゴーである。

「もう・・・やめる・・・貴様は私を騙したひどい日本人・・・反日教育をなめないで」

「そんなら金返せ・・・」

もちろん、中国人は日本人と違って個人主義である。仲間より家族、家族より自分が大切が基本なのである。秀美もちょっと拗ねてみただけなのだ。

「夢のアメンボなんてこの街にはいないよ・・・お前が必死のアメンボになればいいんだよ」

ひるんだ秀美を抱きしめる葉月。最初から秀美の体も目当てだったりである。

「怨みたければ怨め・・・謝罪もしない・・・ただ俺はお前が欲しい。お前が欲しくてたまらないんだ。愛は貴いわーだっ」

「モモエちゃん?」

そのまま、愛の一夜を過ごす葉月と秀美だった。

内容は各自で妄想してください。

朝帰りした葉月を待ち伏せる二宮。目玉商品を仕上げるために徹夜したのである。

「水馬椅子」のデザインは完成していた。

「見つかったの・・・」

「ああ・・・朝まで一緒にいた・・・」

「何してたのよ・・・」

「水馬(アメンボ)を探していたのさ」

もうバカバカ~である。

そして・・・インテリアメーカーとはほぼ無関係に思える秀美のキャバレー風お披露目ショーは盛況のうちに幕を閉じたのである。

「あの人を信じていい・・・?」とトマホークの二宮に尋ねる秀美。二宮は二番手なので仕方なく頷くのである。

そして赤壁の戦いに敗れた柚月はもげっと叫び、玉を手に入れた葉月は思わずニヤリとするのだった。

こうしてラブ・ストーリーは始まったのである。

キッドとしてはリナにもそこそこがんばってもらいたい。

関連するキッドのブログ『MR.BRAIN

               『ブザー・ビート

                『働くゴン

                 『怨み屋本舗

Hcinhawaii0634 H☆Cごっこガーデン。誰でもダーリンと熱愛報道セット。アンナあ~ん、待ちに待って待ちに待ったのでもう何がなんだか分らないぴょ~ん。ごっこガーデンも久しぶりなので迷っちゃった・・・。えーと・・・ダーリンとはあくまで仲の良いお友達で・・・そりゃ・・・もうはうぅんでアチアチなのですぴょん・・・えーっ・・・お泊りですか・・・そんな恥ずかしくて・・・無理でしゅぴょん。張り込みとかしてもムダでしゅからぴょんぴょんぴょ~ん。葉月蓮介ブログには朝から晩まで連続投稿してますぴょん。秘密の暗号で二人だけの愛のサインを交わすのでしゅ~。えーっ・・・どんな暗号かは言えないぴょんぴょんです~・・・しゅごく緊張してドキドキぴょんぴょんなのデス~

Hcinhawaii0635 ごっこガーデン。上海もそもそっとおいでセット。まこぎゃぼーんっ。パンダ祭りデス。ばばーんとお前が欲しい攻撃でうひょひょひょひょーと悩殺御礼でごじゃります。まさにばんじゃいアタックでしゅね~。花男ペアあり、美女軍団あり、とにかくお待たせ月9スタートでしゅよ~、じいや冷やし中華食べたい~ikasama4いやいやMotherに続いて高橋昌也さん連続登場に痺れました~。エステーのCMの草刈麻有さんにも萌え~でございます。次回の竹中・温水コンビも強烈っぽいですエリとにかくアンナちゃんがバテないことを祈りまス~。一人三役やる気満々ですものね~・・・じいやエリは紹興酒を所望~お気楽なんでリン・チーリンは敬礼三連打なの?借金のカタなら母親じゃなくて娘だよね~。即日返済できそ~。まあヒロインそろえすぎてみんな出番あるのか不安にならないのかな~くうこ、これはリン・チーリンのサクセス・ストーリーなの・・・このままアンナちゃんのダーリンは紫のバラの人になっていくのかいっ。ま、やることはやっちゃうみたいだけど~。今後どうなるのか予想もつかないよ~あんぱんちなんといっても主題歌は、「LA・LA・LA LOVE SONG」の久保田利伸だから注目なのよね~。桃子にすっぴんで来ちゃったとか言われたら昇天する人もいるわよね~。まあキムタクのキムタクによるキムタクのためのドラマ・・・お手並み拝見なのよ~ミマム最近、ココログにTBとびにくいっしょ~、待ちに待った月9の始まり始まり・・・成功してほしい気持ちが高ぶって・・・おっかなびっくり見ているっしょ~

Hcinhawaii0636 ごっこガーデン。誰もが気が遠くなるセット。

お前が欲しい・・・俺はお前が欲しいんだぁぁぁぁぁ。

はぅぅぅぅぅぅぅぅぅん。

じいや「お嬢様、お気を確かにーっ」

水曜日に見る予定のテレビ『臨場』(テレビ朝日)『ERⅩⅢ』(NHK総合)『Mother』(日本テレビ)

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2010年5月10日 (月)

KEN・・・KENじゃないのか・・・ふっ(阿部寛)

KENといえば「結婚できない男」(2006年)でこつぶ(パグ)の演じるみちる(国仲涼子)の愛犬である。

阿部寛の演じる桑野とKENの愛の物語はきゅうりによって結ばれるのだが、今回の犬と新参者を結ぶのは「人形焼き」である。「犬に甘いものは毒」という俗説があるが・・・もちろん糖分の取りすぎは禁物であるが・・・「毒」とされるのは「チョコレート」である。

だから、「人形焼き」を食べさせることに特に問題はない。

まあ、犬は人間の食べるものは分かち合う。だからこそ長い付き合いになったのである。

もちろん、人間にもアレルギー反応に個人差はあり、当然、犬にも個体差はある。

人形焼きの食べすぎで死ぬ犬もあるかもしれないが・・・それは運命だと思う。

で、『新参者・第4回』(TBSテレビ100509PM9~)原作・東野圭吾、脚本・真野勝成(他)、演出・山室大輔を見た。今回は「薄皮たい焼銀のあん」の看板娘・奈々(沢木ルカ)の出番多めである。「イノセント・ラヴ」(2008年)で佳音(堀北真希)の少女時代を演じた少女である。現在12才であるが・・・一体、何才の役を演じているんだ?・・・学校はいいのかっ。戦略としてボーイッシュを強調しているのだが、普通に美少女なのであざとすぎる・・・という考え方もあります。

奈々「あんた、人生の時間を無駄にしてないか」

新参者「今日は客、少ないな」

奈々「完売だからだよ」

新参者「・・・」

もう、推理とかやめにしてこういう街の点描中心にすればいいのに・・・。

今回の容疑者リストからの削除。

寺田時計店の主人・玄一(原田芳雄)・・・「一人暮らしの女殺害事件」の被害者・峯子(原田美枝子)のブログに登場する男。公園で峯子に会ったと証言するが目撃者などの裏付けが取れないために疑惑が生じる。実は二人が会っていたのは日本橋蛎殻町の神社・水天宮だったのだが、この神社は安産・子授けの神としてご利益があるという売りなのである。玄一はチンピラ(心之介)と駆け落ち同然で家出した娘・香苗(波瑠)がいて不仲なのであるが、そのために妊娠した香苗のためにこっそりと安産祈願をしているのを知られたくなかった・・・という真相があった。

ああ・・・いい話だねえ・・・なんて到底思えない。

人が殺されているのである。そして犯人はまだ捕まっていないのだ。

そのために刑事たちは必死になって捜査をしているのである。

そんな刑事たちが無駄足を踏むと知った上で、自分の心情を大切にして嘘をつく。

そんな人間がいい人であるわけがない。

捜査妨害で逮捕してもらいたいくらいだ。

少なくとも土下座させるか・・・一時間くらいは説教だろう。

常識がないのにもほどがあるよなあ・・・。

時計屋の玄さんはゆとりじじいかっ。

ま・・・いいか。

さて・・・いよいよ捜査線上に被害者の顔見知りで、被害者の息子・弘毅(向井理)の同棲相手で、被害者と顔見知りであることを弘毅に隠している上に加賀刑事(阿部)の大学の茶道部後輩でもある亜美(黒木メイサ)が捜査線上に浮上してくるのだが・・・。

話数から考えて・・・亜美が犯人である可能性はぐっと低まるのである。

また・・・どうでもいい理由で・・・捜査を撹乱するのか・・・。

このドラマ・・・実は脱力系なんだよな。登場人物が全員、ちょっと発達障害を起こしているっていうか・・・まあ・・・現実の社会がそうなっていると言えばそれまでなんですがーっ。そんな庶民に従順に接する刑事たちの物語なのである。

松宮(溝端淳平)「時計直してくれて・・・ありがとうございました」

・・・じゃないだろう。

松宮「じじい、あんたがあんたの娘にどんなこだわりもってようと自由だけど、人が一人殺されてんだ・・・そして犯人は今もどこかで生きているんだよ・・・その犯人を一生懸命捕まえようとしている俺たちに・・・もう少し協力してくれてもバチはあたらねえんじゃねえか・・・」

玄さん「すまねえ・・・いい年して考えが及ばなかった・・・この通りだ・・・」

・・・こうじゃねえのかよ。

加賀「松宮・・・あんまり、じいさんを苛めるな・・・ボケてるんだから仕方ないんだ」

・・・ぐらいの話じゃねえのかよーっ。

まあ、波瑠と北川景子の区別がつかないじじいが言うのもなんなのですがーっ。

関連するキッドのブログ『第3話のレビュー

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2010年5月 9日 (日)

世の中の安き時はへらへらと辛き時はほいさっさと生きるものは男子にあらず(坂本龍馬)

龍馬は進むも死、引くも死の状況を度々、経験してきた。その度に時には遁走し、時には突破し、死中に活を求めていくのだが、その果ては運命の帰するところに到達する。

御身大切の原理に根ざし、人々は右往左往する。しかし、大局を見極めたものは時には生死の矛盾をとりちがえる。

龍馬は大義に殉ずることを自らの任とはしない。

しかし、大義に殉ずる愚者を保身一途の賢者よりも愛した。

それは俗人には成し遂げられぬ達人の心境である。矛盾に塗れながら神聖となる一つの心。

どうにもならぬことをなんとかしようとするもがきこそが龍馬の魅力だと考える。

で、『龍馬伝・第19回』(NHK総合100509PM8~)脚本・福田靖、演出・梶原登城を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はお待ちかね飛び出しそうな二次元、立体的な迫力の平井収二郎描き下ろしイラストに追悼版・増田長盛特別描き下ろしイラスト付でございます。名優たちの冥福を祈るばかりでございます。誠にお世話になりました。信念に基づいて罪を犯すものを確信犯と呼ぶのならば武市半平太はまさにその極地。そう考えるか、単に野望に燃え賭けに敗れたものと捉えるか・・・はたまた時代の犠牲者と考えるか・・・人それぞれの武市半平太がございますからね。この作品の武市はそういう意味ではニュートラル。もちあげるでもなく貶めるでもなくいい按配です。ところがそうなるとある人にとっては貶められたことになり、ある人にとっては美化していることになる。歴史的人物を描くというのは本当に骨の折れること。しかし、今回は見事でございます。龍馬伝である以上、割ける時間が限られている中で実に的確に土佐勤皇党の顛末を描いていると思います。そして「女帝薫子」は人影ばんじゃいでございます。えいえいえー。えいえいえおー。

Ryoma186303 文久三年五月十日(1863年6月25日)は徳川幕府が朝廷に対し攘夷決行を約束した期日とされている。しかし、すでに孝明天皇は側近からの啓蒙を受けその実行が困難なことを知らされていた。今やその実現を信じるものは実情を知らぬ下級武士たちの集団だけであった。しかし、長州においてはその過激な分子が実権を握り、実際に外国船に対する無差別攻撃を関門海峡で開始する。また薩摩では生麦事件の対英交渉がこじれ、英国海軍の独走により七月には薩英戦争に至ることになる。しかし、幕府の攘夷先送り交渉は有効で各藩は日和見を決め込むことになるのである。結果として薩摩と長州は戦後に英国と接近し、幕府の日本国統治の根拠は薄弱化することになる。その頃、土佐では公武合体派の山内容堂が藩主・豊範を担ぎ上げた土佐勤皇党の瓦解にむけてあらゆる策謀の限りを尽くしていた。容堂には長州や薩摩が焦土となることが目に見えていたのである。

容堂は京から高知へ戻る途中、大坂屋敷で土佐忍び上忍として、夜の会合を持った。

龍馬もまた二人の忍びとともに奥座敷の容堂に会う。

「決めたか」と容堂は問う。龍馬は建前としては幕府海軍へ密偵として潜入していることになっている。それが公的な立場となり、今や、陽忍というべき状況になっている。これに対して、土佐にとっての仮想敵国はもはや長州となっている。情勢を探るために密偵を送り込む手筈となっていた。その人選を龍馬はまかされていた。

「御意にござります。一人は吉田東洋様に学才を認められた池内蔵太、一人は神戸海軍塾におります望月亀弥太でございまする」

「水軍忍の池に・・・甲賀流忍びの望月か・・・心得た・・・」

二人の若き忍びは平伏した。

「池は萩に・・・望月は京の長州屋敷に忍ばせまする」

龍馬が付け加えると容堂は無言で頷いた。

土佐藩京都屋敷では京留守居役・武市半平太が夜桜を見ながらもちを食べていた。

まもなく梅雨になろうというのに狂い咲きである。

「ふふふ・・・紫陽花の季節に桜とは妙なことよ・・・」

「まことでござるな」

応じたのは平井隈山だった。

「大殿から召喚されたそうだな・・・」

「・・・」

「ちくと・・・若殿に深入りしたようだのう・・・」

「もとより覚悟の上・・・大殿様の疑り深きは忍びの心得でござる・・・」

「先に参るか・・・」

「・・・」

「回天の道は険しいの・・・」

「眼福にてござりました・・・」

平井は酒を飲み干すと席を立った。平井が去ると庭の夜桜は消えていた。すでに桜の木は青々と茂っている。

武市半平太は汗を拭う。

「今年の夏は暑くなりそうだのう・・・」

すでに幕末は次の段階に差し掛かっていた。

攘夷の狼煙をあげたのは長州藩だけであった。馬関で航行中の商戦に対して無差別攻撃を開始した長州軍は数日後、米仏連合艦隊の報復攻撃を受け、大打撃を受ける。ライバルである列強二国に後れることを怖れた英国海軍は一方の雄である薩摩に威力偵察を試みた。しかし、薩摩城下を焼き払ったものの戦術の失敗によって英国海軍も指揮官が戦死するなど大打撃を受けたのである。薩英戦争は痛み分けに終った。

しかし、異国との戦の恐ろしさはまもなく京の公家たちに伝わり、その心底を揺さぶったのである。

「なんと・・・長州はあきんどの船には強かったがいくさ船には歯がたたなかったとか」

「薩摩の田舎侍の方がなんぼかましないくさぶりだったそうな」

京における攘夷派と開国派のバランスは微妙に軌道修正され始めていた。

攘夷実行直後の五月二十日、御所門外猿が辻で姉小路右近衛少将公知が暗殺されたその余波は攘夷失敗の報が伝わるにつれ徐々に雲行きを変えていった。

振り子は反対側にむかって揺れだしたのである。姉小路公知の暗殺理由そのものが不明確なのがその振幅を示している。尊皇攘夷派であるから殺されたのか・・・尊王攘夷派から公武合体派に鞍替えしたから暗殺されたのか・・・真相が不明なのである。

しかし、京都守護職・松平会津中将容保にとって足下で公家が暗殺されたことはいずれにしろとても容認できることではなかった。面目が丸つぶれなのである。公儀隠密は容疑者の捕縛に全面的に協力することになった。

その中に土佐藩・岡田以蔵も含まれていた。

公儀隠密のくのいち・おなつは以蔵に情を移していた。

「お上の追っ手が参ります・・・」おなつはすでに正体を以蔵に告げている。

「何故じゃ・・・」

「公家様殺しの件で疑いがかかっているのです・・・」

「わしは・・・やっとらんぞ・・・」

「都に潜みし暗殺者名簿に以蔵様が乗っておりますれば・・・」

「なんじゃ・・・濡れ衣か・・・」

「どうなされます・・・」

「逃げるしかないの・・・」

「今宵は・・・月が細うございますゆえにそれがよろしいでしょう・・・」

「おなつ・・・お前はどうする・・・」

「共に参りまする・・・」

「ふ・・・抜けるか・・・すまんの」

「し・・・」

おなつは灯明を吹き消した。

粗末な長屋の屋根の上に二人の忍びが現れる。周囲は町方で囲まれている。それは二人にとって脅威ではなかった。しかし、ここで以蔵が捕縛されぬとなれば、おなつを配下とする公儀隠密が動き出すのである。

「とにかく、土佐屋敷に・・・」

「無駄でございます・・・土佐藩も幕府に味方しておりますれば・・・」

「しかし・・・武市先生が・・・」

「武市様はすでに土佐にお戻りになりました・・・藩邸にいたのは影武者です」

「なんと・・・そうか・・・わしは・・・おいてけぼりか・・・」

「壬生の田舎に・・・百姓屋を用意しております・・・ひとまず・・・そこへ」

二人の忍びは暗闇を飛んだ。それはすでに駆け落ちの道行きだった。

その行動を闇の中でいくつかの冷たい目が見つめている。

関連するキッドのブログ『第18話のレビュー

               『篤姫

火曜日に見る予定のテレビ『絶対零度・未解決事件特命捜査』『ジェネラル・ルージュの凱旋』(フジテレビ)

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2010年5月 8日 (土)

イチゴなのかいメガネちゃん(成宮寛貴)トマトですよヤンキー君(仲里依紗)

さて、「失踪人」には速水もこみちが登場し、「矢部」には奈緒子(仲間由紀恵)が登場。

キタ─wwヘ√レvv~(゚∀゚)─wwヘ√レvv~─!!の連打なのであるが、ここは諸事情で「ヤンメガ」一本に絞っていくのである。

人間、心は多重人格でも身はひとつだからだ。

で、『ヤンキー君メガネちゃん第3回』(TBSテレビ100507PM10~)原作・吉河美希、脚本・永田優子、演出・吉田秋生を見た。足立花(仲里依紗)と姫路凛風(川口春奈)の因縁と品川大地(成宮)と練馬星雲(鈴木亮平)の心の綾が語られる今回。最大の衝撃は・・・。

揚羽工業の相模(波岡一喜)コネーwwヘ√レvv~(゚∀゚)─wwヘ√レvv~─!!

・・・ということだ。しかも、花のまわし蹴りは空振りして、品川だけが抜群の目の保養をするなんてあってはならないことではないか。どんな特権階級だよっ。

代わりに登場するのが浅黄斑中学出身のキャバクラの従業員・難波(加藤歩)である。正調浪花のヤンキーだ。このドラマの学校名はチョウの仲間でネーミングされているが、アサギマダラもチョウの一種で長距離飛行が得意な種族である。日本と台湾を渡ったりする。しかし、往復することはなく、南下したアサギマダラはそこで産卵し、子孫が今度は北上して産卵。その子孫がまた南下というスタイルを取る。捕食を逃れるためにアルカロイドで毒化しており、ヤンキー蝶としても相応しい。

まあ、そんな松本零士的な話はともかく・・・教室の前扉から乱入した凛風は「あなたのことなんか知りません」と花に否定されると後扉を破壊して去っていくのだった。

「うぜー」を連発する品川だったが日頃の行いが悪いので扉の修繕を命じられてしまうのだった。

その夜、品川の家に帰宅した大地の父・宙太(古田新太)は花の祖父・辰夫(伊東四朗)とともに年をごまかしてキャバクラで働いていた凛風を連れて来る。

大地の母親・聖(堀ちえみ)はキャバ嬢を知らないらしく、宙太は「キャンデイ・バーのお嬢様の略」とごまかす。どんだけおバカの設定なんだよ。

その夜、凛風に夜這いをかけられた大地は「私にはしゅきな人がいるんです」と貞操を守るのだった。そして凛風がかって花の舎弟で「鮮血の女豹」と呼ばれたヤンキーだったことを知るのである。

翌朝、大地は据え膳に手を出さなかったことで、両親や姉の海里(大和田美帆)に「腰抜け」「根性なし」「役立たず」と責められるのだった。

その鬱憤を晴らすために花にからむ大地。

「昔のツレ(友人)にちったあ優しくしてやれよ」

「関係ありません、私はもうヤンキーじゃないですから」

「マジかよ・・・冷てーな・・・」

なんとか、二人の仲をとりもとうとする大地はキャバクラに凛風を迎えに行き、昔の喧嘩相手の難波に再会する。難波は雑魚だったので大地の記憶にはなく、難波は屈辱で復讐を決意するのだった。

千葉(小柳友)にお勉強を教えてもらう会を設定し、凛風と花を対面させる大地。しかし、二人は決裂する。

「私とあなたはもう無関係・・・お家にお帰りなさい」

「あんたなんて・・・最低だ」

花の態度の裏には「自分も祖父との暮らしで居場所を見つけたから凛風にも家族との絆を大切にしてもらいたい」という思いが潜んでいた。

しかし、祖父はキャバクラで聞き出した「凛風は両親と血縁がなくて悩んでいる」という情報を伝える。それを知った花は考えを改めるのだった。

突然、生徒会長に立候補を思い立った花はその選挙演説で自分の思いを凛風に伝えようと決意する。よくわからないが・・・こういうものものしさが・・・ヤンキー魂ということです。

昔、一世を風靡したT・C・R横浜銀蝿R・Sのドラマーの嵐が生徒会長だったようなものです・・・話が見えない。

事情を知った大地はそれまでの「うぜー」(ムスリ)から「うぜー」(ニヤリ)にトーンを変え再び凛風を迎えに行きます。

ヤンキー仲間の練馬にバイクを借りた大地ですが、直後に練馬は難波に拉致されてしまいます。

「進学高校に行ったんだから喧嘩三昧とは縁を切れ」とかねてから身を引こうと決意していた練馬は大地に「来るな」と告げますが、そんなことはヤンキーには無理なのです。

たちまち始まる大乱闘。

二人はヤンキー軍団を壊滅します。

「バイク屋の息子とか医者の息子とかエリートとか落ちこぼれとか関係ねえ・・・ダチはダチじゃないか」と練馬に告げる大地。

「ったく、しょーがねーなー」と練馬も苦笑するほかはないのである。

難波は相模の代理を立派に勤め上げるのだった。

花の演説にかけつけた凛風。

花「私は一人ぼっちだという人が居場所を見つけられる・・・そんな学園を作りたい」

凛風「私の居場所もありますか」

花「きっとあります」

拍手である。こうして凛風は花の一つ年下のお友達として復活したのだった。同時にそのことに尽力した大地はきっと自分に対して下心があるに違いないと断定し、その下心をうけいれる覚悟を決める。

しかし、大地は可愛いテントウ虫に心を奪われていた。だって可愛いもんね。

こうして・・・千葉に続き、凛風が仲間になった。

ところが、花の生徒会長当選に待ったをかけるものが現れる。

謎の男・和泉学(本郷奏多)である。和泉は「学校は安らぎの場ではなく、学業を極める場。進学校としてオンリーワンではなくナンバーワンを目指すべきだ」と目標を掲げるのだった。

こうして・・・花と学の生徒会長の座をめぐる紋白高校頂上決戦の仁義なき戦いの火蓋がきられたのである。・・・うぜーっ(クスリ)。

関連するキッドのブログ『第2回のレビュー

日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)『新参者』(TBSテレビ)『女帝薫子』(テレビ朝日)『荒川アンダー ザ ブリッジ』(テレビ東京)

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2010年5月 7日 (金)

初期化とフォーマットは違うけどしゅきです(上野樹里)恋に賞味期限なんてないの(渡辺えり)

さて・・・なんだかんだまだ回復してないな。

頭がついドラマではなく別の情報に流れていくのである。

そんなところにこれかよっ。

とにかく、更新するんだ。ドラマに帰るんだ。帰りなさい~魂のルフランーっ。・・・だからそうじゃなくて。

で、『同窓会~ラブ・アゲイン症候群・第3回』(テレビ朝日100506PM9~)脚本・井上由美子、演出・高橋伸之を見た。気分は中学生のマドンナ(黒木瞳)に可愛さを感じる人と大爆笑の人がいてそれぞれの好みが分かれるところなんだな。悪女(斉藤由貴)を井川遥と同系列と考えるか渡辺えりと同系列と考えるかでも意見が分かれるだろう。ともかく、キッドとしては宮沢彩(大平うみ)の出番が後、1分くらい欲しいな。

マドンナ 視聴率↘12.2%なう。

悪女 山中湖人気ないのかしらなう。

刑事(高橋克典)ああ情熱のサイクリング・ブギ!

色男(三上博史)ああ憧れのサイクリング・ブギ!

鑑識(六角精児)出番なかったなう。

マドンナ 妄想独走大暴走なう。

刑事 手をつないだだけで三年とか・・・誇りだらけの廃屋で・・・事後かと思ったのに。

色男 マドンナだからな。思わせぶりでガッカリさせるパターンなう。

マドンナ 亭主が追いかけてきたなう。

悪女 展覧会の絵・エマーソン、レイク&パーマーにのってなう。

鑑識 プログレの青春ですな。

マドンナ 何それ~?

刑事 ツェッペリン、ディープ・パープル・・・何もかも懐かしい・・・。

悪女 わかんな~いなう。

色男 ギャルかよっ。

悪女 夫(神保悟志)と愛人(野波麻帆)と愛人の娘(熊田聖亜)の行く遊園地。

マドンナ どす黒いゴールデン・ウイークなう。

役人(尾身としのり)同窓会で再会した私と彼女はダブル不倫で仕事も家族も捨て山中湖へ逃避行・・・私たちを心配して・・・という建前でダブルデートを楽しもうとするマドンナと悪女と刑事と色男だったが、色男の元彼女(眞野裕子)の乱入で最初から波乱含みの展開に。①マドンナ②悪女③元カノ、あなたなら誰を選ぶ?

鑑識 それは大きな声では答えられない質問なう。

役人 二手に分かれてサイクリング、タクシーでサンドイッチ、マドンナの亭主捕獲、マドンナの娘もやもやなどがあって・・・悪女の養女負傷で現地解散・・・こ、これだけなう。

色男 いや・・・俺はかなり二人に近付いたなう。

マドンナ 結局、火遊びだって・・・寸止めが大切なのよね~。

刑事 欲求不満なう。

亭主(吹越満)かけつけてスケバン刑事に逮捕され知らぬは亭主ばかりなりなう。

鑑識 トーン・ダウンですな。

関連するキッドのブログ『先週の木曜日のレビュー

で、『素直になれなくて・第4回』(フジテレビ100506PM10~)脚本・北川悦吏子、演出・西坂瑞城を見た。ツイッターで知り合った男女はなんとなく友達になり、なんとなく片思いの連鎖をして、なんとなく痴話喧嘩、なんとなくお仕事ごっこ、なんとなく親同士の腐れ縁とか、なんとなく若者たちの薬物汚染とか・・・いろいろとなんとなく展開していくのだった。

ハル(上野樹里) 視聴率↘10.3%なう。

ナカジ(瑛太) さもありなんなう。

リンダ(玉山鉄二) 本当にしょうもないドラマだもんなあ。

ピーち(関めぐみ) 『同窓会』は中身中学生だけど・・・こっちは中身がなんかおっさん、おばさんくさいよね~。

ドクター(ジェジュン)私の変な日本語話す妹(木南晴夏)をのぞいてくだしゃい。

井川遥(井川遥)在日じゃなくて来日なんだから家での姉妹は韓国語で字幕よね~。

ナカジ まあ、そんなことしたらますます視聴率さがるなう。

ハル 暴力ふるわれて突き飛ばされてしゅき~とかDV亭主にベッタリ依存の温床です。

ピーち すぐにものにあたるしね~。みんな共通の話題もないのにツイッターとか意味不明だしね~。

白髪鬼(吉川晃司)まあ、若者ならアニソン三昧聞くしな、ふつう。

鑑識 一瞬、トレンド世界一位だったとかですな。

ハル それはないなう。

ナカジ うわっ・・・聞くの忘れたなう。

リンダ あ、俺録音してるから・・・今度聞きにこない。

ピーち ナカジの名前指でなぞるとか・・・同性愛とEDで揺れてるよね~。

ナカジ 脚本家・・・実は区別がついてなかったりして。

ハル まさかと思うけどありえるわー。初期化とフォーマットの区別ついてないみたいだし。

ドクター 恋愛の神様なので世事に疎くても仕方ないゴスミダ。

リンダ でも最近はフォーマット(初期化形式)とイニシャライズ(初期化)は区別しないみたい。

ハル そうなんだー。

ナカジ だからツイッター形式(フォーマット)に初期化(イニシャライズ)されたでセリフ的には問題なし。

ハル そうなんだーなう。

マドンナ うちも恥ずかしいけど・・・そっちもかなりよね~。

ハル ですよね~。

ナカジ まあ、「こんなに好きなのに~」妄想でグラスの中身ぶっかけられてもな~。

リンダ もな~。

悪女 ①悪女 ②渡辺えり ③井川遥あなたなら誰を選ぶ?

鑑識 うわ・・・またそんな恐ろしい質問を・・・。

怪物くん(魔王)悪口を言えるのが友達。友達パワー最高!・・・カレーまだぁ?

土曜日に見る予定のテレビ『チェイス・国税捜査官』(NHK総合)『怪物くん』(日本テレビ)『タンブリング』(TBSテレビ)

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2010年5月 6日 (木)

生きながら地獄に堕ちたハイエナと水色の紙飛行機とMother(松雪泰子)

さて、ゴールデン・ウイークが終了である。

とにかく・・・野暮用で48時間で仮眠2時間の強行をしたら・・・体が動かなくなり、今、ようやく復活。昔は・・・72時間完徹しても平気だったのにな・・・。・・・いつの話だよっ。

チャージに10時間もかかるとは生体バッテリーが損耗しているのか。・・・生身だからだよっ。

ゴールデン・ウイーク最終日・・・。パートナーもお休みと言う中・・・水曜日のダンスはソロで・・・。

「臨場」・・・17.9%↗18.6%↘16.7%↗16.9%・・・・・・

「Mother」・・・・・・11.8%↗12.0%↗12.8%↘10.0%

唯一のイケメン枠が極悪だったことが判って・・・さてどうなる。

で、『Moher・第4回』(日本テレビ100505PM10~)脚本・坂元裕二、演出・長沼誠を見た。うっかりさんこと理容師・望月葉菜の勧めで継美)=怜南(芦田愛美)を連れて鈴原家に帰る決心をした奈緒(松雪泰子)。その帰宅を舌なめずりしながら待ち受けるハイエナのような雑誌記者・駿輔(山本耕史)・・・。その口元からは汚臭を放つ吐息がもれ、強欲の涎がしたたりおちるかのようだ。獲物を狙うその聴覚は研ぎ澄まされ、遠く離れたいつわりの母娘の会話も逃がさない。

「いい・・・私はあなたのお母さん・・・そしてあなたは継美よ・・・」

「うん」

「・・・つぐみ・・・か」

駿輔は取材対象を容赦なくカメラに収めるのだった。その目にはなぜか憎悪さえ浮かんでいる。登場した時からどこか冷酷なムードを漂わせる駿輔。演じる山本耕史の見事な演技である。はたして駿輔は生きながら地獄に堕ちるどんな過去を持っているのだろうか。

二人を迎える鈴原の家には母親の藤子(高畑淳子)と妹の芽衣(酒井若菜)、果歩(倉科カナ)・・・そして芽衣のお腹に宿る胎児であった。

奈緒と二人になった藤子は突然、七歳の子を連れて帰った生さぬ仲の娘を責めずにはいられない。

「母親だって・・・ただ生むだけじゃなくて・・・授乳や下の世話をして徐々に母親の自覚が芽生えるって・・・言うでしょう・・・孫に対するだって同じよ・・・娘の子育てを手伝いながら、だんだんおばあちゃんになっていくのよ・・・きっと・・・それなのに突然、七歳の子供を連れて帰られて孫だって言われても・・・」

そこへ芽衣と果歩が継美を連れて現れる。するといそいそと継美にかけよる藤子。

「継美ちゃん、お願いがあるの・・・私をおばあちゃんと呼んで・・・」

「うん・・・おばあちゃん」

「・・・ああん、かわいいーっ。ほっぺなんかぷにぷにしてるしー」

お茶の間・爆笑・・・である。

しかし、その光景を冷たい目で見つめる次女・芽衣。

藤子と芽衣の血縁関係は不明だが・・・芽衣は出来の良い姉に対して歪んだ感情を心に宿していた。母親が長女を溺愛しているとずっと思いこんできたのである。もしも次女が本当に藤子の子供だとすれば・・・生さぬ仲の奈緒に「わが子と同じように愛情を注ごうとした藤子の配慮」が次女の目には「必要以上の愛」として映っていたということになるのだろう。

奈緒が「捨て子」だったことは結果として芽衣の心も歪ませたのである。

しかも、芽衣の胎児には先天性の異常が見つかっており、芽衣のひがんだ心をさらに冥い輝きで包み始めているのだった。

一方、新聞で「水色が好きだった少女・怜南ちゃん失踪」を見た葉菜は図書館で地方新聞の記事を閲覧する。検索した記事に掲載された「怜南」は「つぐみちゃん」に瓜二つだった。苦渋の吐息をそっともらした葉菜は絶望的な状況への不安に襲われて肩を落とす。人生の最後に差し込んだ救いの光・・・「実の娘のような人が母親になったこと」は幻だったのだ。

その頃、奈緒と藤子は二人が母娘になってから28年間続いた儀式をくりかえす。

「住むところが見つかるまでお世話になります」

「何言ってるの・・・ずっとここに住めばいいじゃないの・・・」

「でも、ご迷惑をかけるわけにもいかないし」

「迷惑って・・・私はあなたの母親じゃないの」

「すみません」

「ごめんなさい・・・私はあなたを芽衣や果歩と同じように育ててきたつもりなのに」

「・・・」

「甘えることは恥じゃないのよ・・・愛された記憶があるから甘えられる・・・そうでしょ・・・私はあなたのたった一人の母親なんだから」

「・・・お母さんらは感謝しています」

そこへ果歩が継美が寝入ったことを報告に現れる。

一人・・・継美の寝顔を屈折した顔で見つめる芽衣。母親や姉の気配に気がつくと・・・あわててその場を離れる。何か邪悪な心を悟らせまいとするかのように。

継美を起そうと呼びかける奈緒を制止して藤子は孫娘を抱き上げる。

そしてそれを娘にパスする。

「何よ・・・初めて抱いたような顔をして・・・」

「いえ・・・急に重くなったから・・・」

奈緒はぎこちなさを感じさせながら娘を抱いて鈴原家の二階に去って行く。

残された母と娘たちは奈緒について語り合う。

果歩「なんか奈緒姉ちゃん・・・変わったよね・・・丸くなったみたい」

芽衣「昔は心にジャックナイフを隠してたみたいだったもんね」

藤子「それが母親になったっていうことよ」

他愛ない母親の言葉が芽衣の心にはジャックナイフのように突き刺さる。芽衣の両手には常に自傷用の幻影のナイフが握られているのである。芽衣にとってはささいなことで傷つくことは甘美なことなのだ。そうでありながら他人を憎まずにはいられない性格なのである。

継美をベッドに寝かせた奈緒はその手を握る。その温もりに愛しさがこみあげる。

奈緒はふと「もものいえ」で入手した子供時代のたったひとつの私物を手にとる。

折り目のついた紙が一枚。それが五歳より前のたったひとつの思い出のよすがだった。

折り目にそって奈緒は紙を追ってみる。折り方は手が記憶していた。

鶴・・・いや・・・そうじゃない・・・これは紙飛行機・・・誰かさんが教えてくれたちょっと変わった紙飛行機・・・。色褪せた紙飛行機。

翌朝、一家六人がテーブルを囲む。祖母と娘三人と孫娘と次女の胎児。

芽衣「今日は・・・私の婚約者が来るのだからシングル・マザーっていうことは内緒にしてね」

奈緒「わかったわ」

藤子「奈緒が働きに行っている間、継美ちゃんはどうするの?」

継美「私、うっかりさんと遊ぶの・・・」

藤子「うっかりさん・・・」

奈緒「面倒を見てくれる親切な方がいるんです」

藤子(うっかりさんが葉菜だと勘付き)「ダメよ・・・見ず知らずの人に預けたりしたら・・・果歩・・・今日は面倒を見てあげて」

果歩「いいわよ」

穏やかなようでどこかに緊張の走る鈴原家の朝。敏感で繊細で愚鈍な芽衣は心の底で憎悪する姉によって平穏が乱されているのを感じ取っている。奈緒の存在そのものが芽衣の心に波風を立てるのである。

(あんたがいなくなっている間・・・万事は上手くいっていたのに・・・)

お腹の子が正常でないこともすべて姉のせいにしたくなる芽衣だった。

けなげにゴミ出しを手伝う継美。その傍らを通り過ぎる通学児童たち。おそろいのボーダーラインのシャツを着たいつわりの母娘は立ちすくむ。

役所で小学校の転入届けの書類を受け取った奈緒は暗澹とする。提出に必要な書類を揃えようがないのである。継美には戸籍がないのだから。

その夜、芽衣の婚約者である加山圭吾(音尾琢真)が鈴原家を訪れる。表だか裏だかの茶道の名家の生まれ(芽衣・談)であるお坊ちゃんらしくどこか、傲岸不遜な態度が滲み出る。

圭吾の「つぐみちゃんのお父さんは?」との問いに「銀行関係なんだけど単身赴任中なんだって」と答える芽衣。

藤子の問いに「継美は好き嫌いがない」と答えた奈緒だったが継美はしいたけが嫌いだった。

「あら・・・」と問う母に娘は「何でも食べないと・・・」と繕う奈緒。

「そうね・・・」と頷いた藤子だったが疑惑が生じる。

その疑惑を実の娘に対する気安さで芽衣にぶつける藤子。

「奈緒は・・・何かを隠してるんじゃないかしら・・・」

「そうね・・・不倫とか・・・」

「だけど・・・もし、あの子がまた出て行こうとしたら」

「出て行きたいものは出て行かせればいいじゃない・・・」

「でも・・・あの子は」

言いかけて口ごもる藤子に芽衣は言いようのない嫉妬を感じるのである。芽衣は「ある秘密」を「格別の愛」とずっと勘違いして成長してきたのだった。「母親の自分には与えられない特別の愛」が姉には注がれている。それはただ「本当の母娘ではないという事実」に過ぎないのだが。

それが「秘密」である以上、芽衣の心は嫉妬でさらに曇っていくのである。

奈緒の部屋では継美が「かけ算の九九」を予習している。奈緒は「通学させられないこと」にひどく苦痛を感じている。

隣室で藤子と芽衣の親子喧嘩が始まる。

芽衣が胎児の異常について藤子に打ち明け、藤子が逆上したのである。

それはひょっとしたら奈緒には与えられない肉親の情であった。

しかし、芽衣にはそれが届かない。母親は自分にばかり辛くあたると感じるのである。

「ちゃんと精密検査を受けないと・・・」

「いいのよ・・・ダメならダメで・・・そうなれば向こうの親にも妊娠のことを言わずにすむし・・・かえってよかったかも」

「そんなこと言わないで・・・お腹の子供に聞こえるわよ・・・」

・・・まあ、聴こえませんけどね。まだ聴力も記憶の回路も聴力の回路も未発達ですから。

しかし、その迫力に芽衣は安心するのであった。かまってもらえれば芽衣の傷つきやすい心は一瞬の満足を得られるように発達しているのである。

修羅場の後に奈緒と芽衣が残される。

「ごめんなさいね・・・私が帰ってきたせいで・・・お母さんの気が散って」

「いつものことだよ・・・お母さんにとって・・・あんたは特別な娘なんだもの」

「そんなことないのよ」

「自覚ないの?・・・お母さんはいつだってあなたを叱らない・・・叱られるのは私ばかり」

(それは違う・・・私は遠慮して叱られるようなことはしないだけ・・・本当の娘のあんたとは違うのよ)とは言えず・・・口ごもる奈緒だった。

たった一つの「秘密」が家族の心を否応なく歪な形にしていくのだ。

いつわりの家族はつらいのである。

その頃、長い偽りの生活の根源である葉菜は「つぐみの正体」について思い悩む夜を過ごしていた。

つかのまの平安が訪れていた。いつわりの母親は清掃員として働き、いつわりの娘は叔母の果歩とともに日中を過ごす。

ランチは大好きなクリーム・ソーダを食べながら外食である。職場で手作りの弁当を食べる奈緒は果歩に娘の安否を尋ねる電話をする。

そこへ地獄の冷気を漂わせながら死肉喰らいのハイエナがやってくる。赤頭巾ちゃんを狙う狼のようにその顔にはいつわりの笑顔の仮面が張り付いている。駿輔は継美が一人になる瞬間をずっと待っていたのである。

「つぐみちゃん、こんにちは」

「・・・」

「心配しないで・・・お母さんの知り合いだから」

「・・・」

「・・・学校はどうしたのかな・・・」

「・・・ひっこしたばかりなので・・・」

「そうか・・・義務教育なのに学校へ行かせないと・・・お母さん、警察に捕まるかもね」

「・・・」

「おじさんの質問に答えてくれたら・・・警察には内緒にしてあげる」

ハイエナは継美が玲南だった頃、邪悪で淫靡な悪戯をした玲南の母親の愛人の写真を見せる。

「この人、知っている?」

「・・・知りません」

「じゃ、この人は・・・?」

次の写真は玲南の母親・仁美(尾野真千子)の写真だった。

「・・・・・・知らない人です」

「そうか・・・この人は玲南ちゃんのお母さんだよ・・・玲南ちゃん、知っているでしょ・・・玲南ちゃんは・・・今、どうしているのかな」

「・・・・・・・・・・玲南ちゃんは・・・死にました・・・海で溺れて死にました」

「ふうん・・・そうか・・・」

ハイエナは果歩が戻ってくる気配を魔物の霊感で察知する。

「じゃ・・・おじさんに会ったことお母さんに伝えておいて・・・そのうち・・・会いに行くって」

そこへ・・・果歩が戻ってくる。果歩と駿輔は北海道で知り合っている。

「あれ、あなたどうして・・・」

「こりゃ・・・偶然だな・・・君の娘さん?」

「まさか・・・姉の子供ですよ」

継美は知っていた。この男は悪魔の眷属だと。自分と母親を引き離すために邪悪な世界からやってきた冷酷で無慈悲な使者であることを。継美は脱兎の如く逃げ出した。

継美は走っていた。どこへ・・・とにかく・・・人目をさけて・・・そう、うっかりさんのところへ。

困ったときに警察官に頼れない身の上なのだと継美には判っている。警察官は本当の地獄には立ち入れないのだ。そして、本当に地獄に立ち入った自分といつわりの母親は両方の世界を敵に回していることを。

あの世もこの世も・・・世界の全てが敵であることを。

継美は知っている。でも・・・しかし・・・うっかりさんなら。

角を曲がった継美はうっかりさんに抱きしめられた。

「大丈夫・・・つぐみちゃん」

「・・・うっかりさあぁぁぁぁぁぁぁん」

「つぐみちゃん」

「うっかりさん」

「つく゜みちゃん」

「うっかりさん」

ちょっと目を離した先に姪を見失った果歩はあわてて姉に連絡をした。

うろたえた奈緒にうっかりさんから電話が入る。

「大丈夫・・・つぐみちゃんは私のところにいます」

理髪店「スミレ」に退避した継美はふと葉菜が放置していた新聞記事のコピーを目に留める。それは「怜南ちゃん失踪」の記事だった。

継美は安全神話の崩壊に退避を開始する。

「待って・・・」と葉菜は声をかける。

「私は味方・・・判る?・・・私は何があってもつぐみちゃんの味方だよ」

「・・・ウソツキでも・・・?」

「ウソツキでも」

「私とお母さんのこと警察に言ったりしない?」

「・・・つぐみちゃんはお母さんが好き?」

「うん」

「世界で何番目に好き・・・?」

継美は黙って指を一本たてた。その指を握る葉菜。

「それじゃ・・・警察になんて言わないよ・・・私はつぐみちゃんの味方だし・・・つぐみちゃんは世界で一番お母さんが好きなんだもの・・・警察になんて言わない・・・それが味方ってことよ」

継美は少なくとも奈緒の到着を待つことにした。

(お母さんが決めてくれるだろう・・・だってお母さんはお母さんなのだから)

果歩は奈緒からの電話を受けて安堵した。藤子は心配のあまりに職場から自宅へ駆けつけていた。

「継美、見つかったって」

「ああ・・・よかった」

そんな母親の気配を背中に感じながら、芽衣は面白くもないお笑い番組を眺めながら乾いた作り笑いをあえてあげるのだった。

(お姉ちゃんばかり心配して・・・お姉ちゃんばかり気遣って・・・お姉ちゃんばかり愛して)

芽衣の心はもはや嫉妬の坩堝と化している。

迎えにきた奈緒に継美は新聞記事のコピーを見せる。

奈緒は青ざめた。

葉菜はすべてを悟ったように奈緒に頷く。

奈緒は継美の手を引いて逃げ出した。

残されてしばらく、躊躇する葉菜。その足が前へ一歩動く。

足早に立ち去る奈緒に継美は相談を持ちかける。

「あのね・・・うっかりさんは・・・味方だって・・・」

「継美・・・私たち、もうここにはいられない」

「また・・・夜の汽車に乗れるの」

「・・・ごめん・・・お母さん・・・役立たずで」

そんな二人に追いついた葉菜。

「待って・・・待ってください」

「うっかりさん・・・私たちのことは忘れてください・・・もしも・・・この先・・・捕まるようなことになってもうっかりさんのことは話しませんから」

「逃げてちゃだめ・・・」

「でも・・・継美を学校に行かせていないことを疑われているし・・・雑誌のハイエナのような記者も嗅ぎまわっています・・・もしものことがあったら・・・母や妹たちにも迷惑をかけてしまいます」

「つぐみちゃんを学校にいかせる方法はあります・・・落ち着いて考えて、逃げていても問題は解決しません、考えて、ふつうの生活を手に入れる方法を・・・見つけるのです」

その夜はひとまず鈴原家に戻った奈緒。

暗がりで継美は九九の暗記に励む。

ねえ、お母さん、聞いて

さんいちがさん

さんにがろく

さざんおーるすたーず

ほら、学校に行かなくても大丈夫じゃない

奈緒は葉菜の言葉を噛みしめる。・・・ボケるところかよっ・・・緊張に耐えられませんでした。

何か方法が・・・あるのだろうか?

奈緒は葉菜を訪ね全てを打ち明ける。

再び始まる娘と生みの母親としか思えない・・・しかしそれを隠す女の息詰まる対峙。

「あの子は母親に虐待されていました」

「あなたは・・・つぐみちゃんを助けたのね・・・」

「いいえ・・・私は傍観者だったんです。世の中には虐待されるものと虐待するもの・・・そして傍観者しかいません。私もずっと傍観者だったのです。あの子がどんなひどい目にあっても見て見ぬふりを続けていました」

「じゃ・・・どうして」

「偶然が・・・ほんの偶然が・・・私をゴミ袋で凍死しかけていたあの子に引き合わせたのです。あの・・・偶然がなければあの子は死んでいた・・・ただそれだけのことです・・・だからといって・・・私がしたことが許されないことは知っています。ただ・・・私は傍観者から犯罪者になったのです。だけど・・・私は・・・犯罪に関しては素人で・・・ただ逃げることしかできない」

「あなたに一つだけ聞いておきたいの・・・釣り橋の恋って知ってる?」

「はい・・・大学の怪しい心理学講座で習いました」

「つり橋で揺れる恐怖を分かち合った二人は恋をしたような気になるの・・・でも渡りあったら、その恋は幻になってしまう。今、あなたは追いつめられてそういう幻想の親子の絆を持った気になっているのではなくて」

「それ・・・間違ってます・・・恋のときめきもつり橋で感じるときめきも同じようなものでつり橋の揺れで恋をしたと錯覚することがあるって話です・・・今の場合は喉元過ぎると熱さを忘れるって言う方がたとえとしては近いんじゃ・・・」

「もう・・・あなたって理系ね・・・じゃ、それでいいけど・・・どうなの」

「私・・・この間・・・あの子の手を握って大きくなったと感じたんです。ほんの二十日間の母親体験だけど・・・これは母親ごっこじゃないって・・・あの時、体が震えました。もう私はあの子の母親なんです・・・あの子の手を絶対に離したくないんです。だから逃げるしかないなら逃げるのです」

「そう・・・そうなの・・・あなたは・・・本当に母親になる覚悟なのね・・・」

「でも・・・あの子を学校にさえ行かせてあげられないのです」

「つぐみちゃんは・・・学校に行けます。義務教育はすべてに優先されるので・・・身分を隠して就学できる特例があるのです」

「え」

「そのためには身元引受人が必要ですけど」

「でも・・・私の身元を調べられたら」

「私が身元引受人になります」

「それじゃ・・・ご迷惑が・・・」

「私は今の事情は何も聞かなかったことにします・・・ただ・・・つぐみちゃんを学校に行かせてあげたい・・・あなたと一緒よ・・・」

「うっかりさん」

真夜中、一人になった奈緒は考える。法の網目を潜るためには決め手が必要だった。異常で抜け目のない夫の暴力から逃れるために杓子定規な法の番人を欺くためには当然あるべきもの・・・それを偽装するしかない。奈緒は手軽なジャムの壜を選んだ。この世には存在しない男の拳に・・・手頃な壜だった。

三人は虚偽の申告内容を打ち合わせ・・・役人の審査を受ける。

どのような法も結局は人間が管理運営するからである。

理不尽な人間の存在から弱者を守るための特例を司るシステムの番人。しかし、その法もまた理不尽な人間に利用される恐れがある。国籍のない人間の不法就学。場合によっては人身売買。そして犯罪者による利用。

実際に奈緒は児童誘拐という罪を犯した人間である。しかし、子供を殺そうとする母親から子供を攫った女にどんな罪があるというのだろうか。

審査官「お父さんから・・・どんな暴力をうけましたか」

継美「お腹をたたかれて・・・」

葉菜「いやな思い出にふれないでおいてやってくれませんか」

審査官「いや・・・これは特例だから・・・それなりに事実関係を確認しないと・・・それに私は幼い子供が暴力を受けた体験を語っているのを聞くといい感じになるんです」

奈緒は子供を連れ出すと再び戻ってきて眼帯をはずした。

美しい女性の傷跡を見てもいい感じになる役人は合格の札をあげた。

三人は法の抜け穴をくぐった。

三人は解放の光を浴びて公園で小休止をした。

奈緒「どうして・・・そこまでしてくれるのです」

葉菜「私は・・・つぐみちゃんを学校に行かせてあげたかっただけよ」

奈緒「でも・・・私は犯罪者なんですよ・・・」

葉菜「それじゃ・・・私は共犯者ね・・・いいじゃない・・・それで」

葉菜は奈緒の望みをかなえてあげることができた・・・それだけで満足していた。

公園で花を摘んだ継美は奈緒と葉菜に小さな花束をプレゼントする。

それを受け取った奈緒は何か懐かしい記憶が蘇るのを感じる。

継美と葉菜。

私とお母さん。

・・・あの手のぬくもり。

戸籍のない少女・継美は小学生である権利を得た。

祖母に買ってもらったランドセルを背負い、もう一人の祖母のようなうっかりさんに見守られ、継美は新しい学校の教室へ向かう。

その頃、藤子と芽衣は病院で精密検査の結果を聞いていた。

芽衣のお腹の胎児は心臓に疾患が見つかった。

「出産後、すぐに死亡する場合もありますし、手術で助かる場合もあります。それが可能かどうかは・・・出産後でないとわかりません。もちろん、中絶と言う選択枝もあります」

医師の説明は芽衣の耳には「お前の子供はできそこないだ」と宣告しているように聴こえるのだった。

「生むかどうかはお父さんに当たる方と相談して・・・」

「相談は必要ありません・・・中絶しますから」

芽衣の決断に藤子はうろたえる。

「そんなに結論を急がなくても」

「こんな病気を抱えた胎児を妊娠するような女との結婚は破談になるに決まっている」

「そんな・・・」

「それに・・・まだ命と言えるようなものじゃないじゃないの・・・これは」

「・・・」

娘の言葉に呆然とする藤子だった。

その頃、ハイエナは仕事帰りの奈緒を待ち伏せていた。

「やあ・・・先生・・・久しぶり・・・」

「・・・」

「少し、お話ししませんか・・・そんな犯罪者を見るような目で見ないでください。立場は逆なんですから。いえ・・・私はね・・・先生を尊敬してるんですよ。今日は葬式だったそうですよ。道木怜南ちゃんのね。遺体なしで娘を失った母親はどんな顔で・・・娘を送ったのかな・・・いやいや・・・私にはわかってます。私は見てきましたからね。たくさんの虐待された子供。虐待した親。虐待一家の研究家のようですよ。だから、判ります。怜南ちゃんは実の母親に虐待されていた。このままでは本当に死んでいたかもしれない。でもね・・・それに気がついても普通は警察に通報するくらいが関の山、あるいは何もしないか。そして事件が起きてからこう言うんですよ。いい子だったのにって。警察に通報して虐待が明るみに出てから結局、放置されて殺された子供だっている。どうしてそうなるのか・・・法律では子供は親の所有物だからですよ。殺されない子供たちのために殺される子供の権利より親の権利が優先されるのです。そうでしょ。親は納税者で・・・子供は税金の無駄遣いの対象物なんですから。仕分けを合理的に行えば無駄を省いた方が誉められる世の中なのです。それなのにあなたは母親の手から子供を取り上げた。ヒーローで反逆者だ。実に素晴らしい行動力です。でも、今後の事を考えるとどうかな・・・。あなたは捕まって・・・服役することになるかもしれない。まあ、覚悟の上の行動なのでそれはいいでしょう。しかし・・・つぐみちゃんはどうかな。好奇の目で姿はさらされ・・・母親に虐待され、母親の愛人に虐待され・・・そして女教師に誘拐された哀れで不幸な少女の烙印を押されて生きていくことになる。そして・・・最後はあの母親の手に戻るか・・・それとも施設送りだ・・・」

「あなた・・・何が言いたいの・・・」

「簡単ですよ・・・あなたは実業家として有名なこの人に・・・私のために黙って1000万円出してくれと頼めばいい・・・ご存知でしょう・・・あなたのお母さん・・・かわいそうな子供のために犯罪者に身を落とす娘を育てた母親だ・・・さぞかし・・・お優しいんでしょう?」

ハイエナは牙をむき出し、地獄の青い炎を燃やした瞳を輝かせ、下賎な笑いを浮かべるのだった。

奈緒は目の前が暗くなるのを感じた。

奈緒は愛しいわが子・・・継美の元へと向かう。もはや二人で逃げることしか奈緒の頭にはない。

しかし、ひょっとしたらうっかりさんがまたなんとかしてくれるかもしれない。

奈緒はワラにもすがる思いに支配されていた。

奈緒もまた地獄へ向かう扉の前でずっと立ちすくむ迷子を心に抱えているのだ。

継美は学校にいた。葉菜と一緒にいた。二人は折り紙をおっていた。

「お母さあん」

奈緒は顔をあげた。継美の飛ばした水色の紙飛行機がゆっくりと風に乗り上空を舞って旋回し下降してくる。

奈緒は手を伸ばす。しかし、眼帯をしている奈緒は遠近感がつかめない。紙飛行機はするりと奈緒の手をすり抜け着地する。

そして・・・その紙飛行機はちょっと変わった形をしていたのである。

奈緒は世界が回転を始めたような眩暈を感じる。

うっかりさん・・・あなたは誰なのです・・・。

まさか・・・本当のお母さんでは。

私を捨てたお母さんではないでしょうね。

関連するキッドのブログ『第3話のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『森カンナの警視庁失踪人捜査課』『原幹恵の警部補 矢部謙三』(テレビ朝日)『岩佐真悠子のトラブルマン』『里久鳴祐果の大魔神カノン』(テレビ東京)『仲里依紗のヤンキー君とメガネちゃん』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2010年5月 5日 (水)

こうして私は産む機会を天の恵と考えるに至った(北乃きい)

さて・・・頭の悪い人類の頭の悪い人生が頭が悪いなら悪いで100万年続いてきた秘密が語られるこのドラマ。

ある意味、すごく気持ちの悪いドラマだが・・・そこがいいと思うしかないのである。

こういうドラマであることを譲れない人々がいて・・・それもまた人間なのだと認めることが大切だからだ。

で、『八日目の蝉・最終回』(NHK総合1000504)原作・角田光代、脚本・浅野妙子、演出・佐々木章光を見た。男女が同権であり、一夫一婦制度を持つ国家では不倫によって生じる人間関係は悲劇を生みやすい。夫が他の女性と不倫関係になった場合、妻は権利を侵害されたと言える。夫が結婚の事実を隠して妻以外の女性と交際すれば詐欺罪が成立する。すべてが裁くことで解決すれば問題はない。しかし、現実には様々な灰色領域が存在する。自分を裏切った夫を愛する妻。不倫と知りつつ男に溺れる愛人。その三角関係は実に面妖だ。しかし、肉体関係あるところに妊娠があり、生まれ出ずる命は最初から残酷な運命を背負わされる可能性が高い。

だから・・・不倫なんてする奴は人間じゃない・・・と断言することができる。

しかし、なかなかどうして、それをしてしまうのが人間なのである。

もちろん、それぞれのケースで善悪を論じることは可能である。

他人の子供を奪う。その罪の重さははかりしれない。

たとえば・・・子供のあるものがわが子を殺されたとすればその嘆きは想像を絶するだろう。

しかし、時に人間はわが子を自ら殺したりもするのである。

心ある人々はその罪の深さを誰に訴えればいいのか・・・呆然とするかもしれない。

他国によってわが子を奪われた拉致被害者の家族たちの嘆きを日本人ならほとんどが知っている。

このドラマの主人公はある意味、それに似た行為をするのである。

それを肯定的に捕らえることはとてもできないだろう。

しかし・・・このドラマの作り手はギリギリまでその罪深さを問わない。

それはこのドラマの最大の被害者である恵理菜(北乃きい)が最悪の加害者である誘拐犯希和子(檀れい)に薫(小林星蘭)として育てられ・・・犯罪者を母として慕うというトリックでお茶の間を惑わしていくからである。

希和子が産みの母である恵津子(板谷由夏)から嬰児を強奪し、わが子として育てる間、地獄の苦しみを味わったはずの恵津子の描写を全くしないことも異常な描写と言える。

それはある意味、実母に対する憎悪をスタッフが追求しているかのようである。

もちろん・・・少数者の苛立ちとしては・・・それはありうる心情だろう。肉体的、精神的、経済的・・・様々な理由で生むことのできない女性が・・・それを理由に女性として迫害される悲劇。その屈折した吐露がこのような形に結晶することはありうるだろう。

さらに・・・救出された薫=恵理菜にうまく対応できない無能な母として恵津子はさらに手酷く描かれていく。

これに対して・・・誘拐犯である希和子はわが子の幸せだけを願う賢母の如く描かれているのである。

母親から引き離され、小豆島から東京まで輸送された薫は実の母親に抱かれた瞬間に失禁してしまう。その時、実の母である恵津子は実の子である薫を生理的に拒絶してしまうという展開はありえることだと思うが・・・一般的だとは言えないだろう。五年の間・・・思いに思った長女なのである。さらに言えば次女が生れているために恵津子は子供の下の世話を知らぬわけでもない。幼女が失禁したことに対し憐れとは思えど嫌悪するというのはかなり意図的な演出だと言える。さらに、関西弁に染まった薫を拒絶し、暴力をふるう恵津子の行動はまるで極悪人を描くかのようで・・・何かスタッフの執念のようなものを感じるのだ。

もちろん・・・あくまで希和子は異常者なのである。

逮捕され裁判にかけられた希和子は裁判官から被害者家族に発言される機会を与えられ「私に子育てをさせてくれてありがとうございました」と感謝する。そこには「罪の意識」が欠如しているのである。まして、子供を奪われた母親に対する思いやりは微塵もない。ところがその悪鬼のような言葉を浴びせられ・・・憤怒に駆られる実の母親の方がまるで醜いものであるように描写されたりもするのである。

愛人に言われるままに堕胎した女が敗者のように扱われ、そのことを非難しつつ、妻としてわが子を出産する女が勝者であるように扱われることへの拒否反応が異次元世界の演出を生み出したと言えるのだなあ。ものすごい変態的演出なのである。

結果として・・・薫=恵理菜は心をどこかに置き忘れたような鬱屈した大人になっていく。

なんという無惨なことだろう。

もちろん・・・ここで諸悪の根源である浮気な夫・秋山(津田寛治)を責めさいなむことは可能であるが・・・このドラマはそれもしない。夫はまるで第三者の傍観者であるかのように物語の外にあるのだ。

愛すべき人(実母)を愛せず、愛してはいけない人(犯罪者)を愛してしまう。その無惨な人生を過ごす薫=恵理菜は育ての母と同じように不倫の子を宿し、それを堕胎しようと考えている。それほどの苦しみが心にあるからである。

それを救いにやってくる天使がマロン(高橋真唯)だった。薫の幼馴染であったマロンは薫の唯一の故郷である小豆島への旅へと薫を誘う。薫はその旅の中でたとえ偽りの母娘だったとしても幸福だった記憶を蘇生させる。

やがて・・・それは新しく芽生えた命に対して・・・ある思いを生じさせるのだ。

もちろん・・・薫=恵理菜はここで恵理菜として再生するのである。

それはわが子への執着に始まり、それを奪われた恵津子の悲しみに帰着するだろう。

しかし、このドラマはそれをはっきりとは描かない。

それよりもあくまで妄想に生きる前科者の希和子の妄執へとなぜか回帰していくのだ。

生みの親より育ての親と言う言葉があるが・・・それを希和子にあてはめるのは実に盗人猛々しいのである。それでもなお・・・このスタッフは希和子に何か聖なるものを見出させようと意図するのだ。

もちろん・・・それは寸止めである。

心を破壊された子供と自分の罪の重さを認めない女とが再会して涙の抱擁で幕となるのではあまりにも狂気の沙汰になるからである。

そういう意味では無難でそれなりに優しいラストシーンだったと考えます。

まあ・・・とにかく、元ネタでは狂乱した愛人が正妻の子供を虐殺しているわけで・・・そういう事実にくらべれば穏やかなお話しだった・・・とも言えるのです。

ああ、すべての不幸なおいたちの子供たちに救いがありますように。

そして、超現実的な物語にそれなりに深みを与えた女優たちには心から拍手を奉げたい。

関連するキッドのブログ『第二話のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『おみやさん』『同窓会』(テレビ朝日)『恋とオシャレと男のコ』(TBSテレビ)『プロゴルファー花』(日本テレビ)『素直になれなくて』(フジテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2010年5月 4日 (火)

アリバイよりもサプライズ(柴本幸)さすがは諏訪御料人じゃ(阿部寛)

上杉謙信(阿部寛)は遠くを見つめるのだった・・・ちがうわっ。

あいかわらず・・・ぎっしりとつめこまれたクリスマスのお菓子の詰め合わせの紙の靴の如きキャスティングである。

配役で犯人がわかる2時間ドラマとは別次元でじっくり見るとものすごく面白いかもしれない。

しかし・・・ゴールデン・ウイークは野暮用があるのでじっくりする時間がないのだ。

ある意味、切迫しています。

で、『新参者・第3話』(100502PM9~)原作・東野圭吾、脚本・牧野圭佑(他)、韓哲を見た。日本橋署(架空)の加賀刑事がピックアップする容疑者は創業80年瀬戸物屋「柳沢商店」の嫁、マキティーこと柳沢麻紀(柴本)である。ちなみに1930年は昭和五年であるので「戦前から続いている老舗」ということになる。老舗としては初心者だ。姑の鈴江(倍賞美津子)が60代なのでおそらく三代目の妻、夫の尚哉(大倉孝二)が四代目主人というところだろう。マキティーは第1回から連続して登場しているわけだが・・・「一人暮らしの女殺害事件」の被害者・峯子(原田美枝子)が最後にメールを送った相手として容疑者リストに浮上したのである。

加賀は現場に残された「新品のキッチン鋏」と「メールに残された金額」を結びつけ、刃物店「うぶけや」主人(前川清)に購入者を尋ねる。

「ああああ・・・購入者は例の被害者だった~」と歌い上げるのである。

そしてどうやら・・・被害者はマキティーのためにキッチン鋏を購入したらしい。

このドラマの最大に微妙なところは・・・「キッチン鋏」のことをマキティーに確認しようとする松宮刑事(溝端淳平)を加賀刑事が制止することである。もちろん、それは加賀が事件を楽しみつつ、他人の家庭の事情に首をつっこみたいからなのだが・・・それは刑事としてどうだろう・・・とつい思ってしまうのだ。

老舗の店にキティー婚式で嫁いだ小悪魔アゲハな水商売あがりの嫁マキティーは・・・「大切なかわいいキティちゃんのタオルを雑巾にされた怨み」で嫁姑戦争に突入、「あやまってくれるまで口をきかない」と決めて三ヶ月なのである。

ぶっちゃけ~、そろそろ・・・お姑さんと仲直りしたくて~、マキティーはいろいろと考えている。

そして、姑も嫁の機嫌を治そうと作戦を練っている段階である。

何も知らずにおろおろしているのは息子で夫の直哉だけなのである。

そして、マキティーは「伊勢旅行に行きあわびを食べる姑のために内緒で食用鋏」を買い、そのことで口が重くなり、姑は「伊勢旅行で嫁のために500円の伊勢海老キティーちゃん(ご当地限定)」を予約していたのだった。

嫁は姑を慕いつつ・・・姑は嫁を案じつつ~ペンペンなのである。

その秘密をすべて握り、加賀は今回も奈々(沢木ルカ)の店のたい焼きを食べられなかったことの憂さを晴らすのだった。

まあ・・・何と言っても今回は柴本幸が役にはまりすぎだったということに尽きる。「日本橋名探偵アゲハなマキティー」とかを軽く見たいほどだ。

さて・・・本筋はさておき・・・ゆっくりと明らかになる・・・最初の事件の人間関係。

一度容疑が晴れたものを含め・・・関係者はみな怪しい感じである。

①被害者の元・夫・清瀬直弘(三浦友和)・・・三浦友和だから。

②被害者の息子・弘毅(向井理)・・・たった一度の母の失言で「ボクはいらない子だったの」と拗ねている。

③弘毅と同居しているかじり癖のある亜美(黒木メイサ)・・・なぜか被害者に似ているらしい。

④税理士の岸田(笹野高史)・・・清瀬家と被害者を繋いでいる接点。

⑤直弘の秘書・祐理(マイコ)・・・鼻が高い。

⑥被害者の友人・多美子(草刈民代)・・・裏切ったらしい。

⑦洋菓子店の美雪(紺野まひる)・・・何食わぬ顔をしている。

⑧上杉刑事(泉谷しげる)・・・加賀に対して「親の死に目に会えない」をふる。

⑨加賀刑事・・・事件の核心から逃げている。

⑩小嶋刑事(木村祐一)・・・関西弁の警視庁の刑事なんて絶対に認めない。絶対にだ。

まあ・・・枚挙に暇がないのでもういいか・・・。

関連するキッドのブログ『第2話のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『ERⅩⅢ』(NHK総合)『Mother』(日本テレビ)

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2010年5月 3日 (月)

丸くても一角あれや人心あまり円きは転び易きぞ(坂本龍馬)

天衣無縫でありたいと願う人々は無縁であるかもしれないが、生まれつき天衣無縫のものは自戒を作る必要を感じる。龍馬はどちらかといえばボケ体質なので自らツッコミを入れることがある。

円満な人間関係を築くためには円やかな人格は必要だが、時にはそれは「八方美人」という罵詈にたどり着く。

人間が徒党を組む生き物である以上、党の中で円やかであっても、党と党の対立が生じれば円やかではすまない。

こういう時、人は「譲れない一点」を持つべきだと龍馬は歌うのである。

もちろん、それは剣士としての兵法原理からも発している。

生死のやりとりにおいて「不戦不敗」は真理である。しかし、「先手必勝」である以上、この「矛盾」に対処しなければならない。それは「己を知り敵を知る」ことにも通じるが、同時に「突破口」にも通じていく。

「動いたら負け」という局面で「動いても勝つ一手」を探すこと。

それが精進というものなのである。

「攘夷一色に染まれば開国」「倒幕一色に染まれば大政奉還」たえず龍馬は一角を突き上げた。

もちろん、角を立てるのは攻撃であり、そこには隙が生じる。結局、人は無敗であり続けることはできない運命なのである。

で、『龍馬伝・第18回』(NHK総合100502PM8~)脚本・福田靖、演出・渡辺貴一を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は後の元祖鉄オタ・勝塾塾頭・佐藤与之助と「風林火山」のミツの兄河原村伝兵衛の有薗芳記描き下ろしイラスト徹底比較特集、世界で一つだけの花とはこのことです。もちろん、それだけでは萌えられない方々のために幕末のモー子こと大和屋お徳描き下ろしイラストも出血大サービス。鼻血ブーです。とにかくノリノリで爆笑場面連続の最高のこの大河ドラマ。キッドも2回お茶を噴きました。やはり、龍馬、勝、以蔵のトリオはトレビアンですな。まさに絵にかいたような、天才・秀才・おバカさんでございます。滅びつつある幕府にあってなんとか日本を残そうとする勝、それを一を聞いて十を知るスタイルで体得する龍馬・・・そしてただただ時代に翻弄され流されていくかわいい以蔵。もうブルブルと震えがとまりません。なんちゃあないのか・・・救出の手立ては・・・。あの仔犬を拾ってやるタイムマシーンは・・・。・・・でございます。

Ryoma186302 文久三年(1863年)、早春の京には続々と諸大名が集結しつつあった。二百五十年ぶりの将軍上洛に備えるためである。公武合体派の巨頭たち・・・薩摩藩の大殿・島津久光は将軍入京よりわずかに遅れるが入京。土佐藩大殿・山内容堂はすでに入京し、これを迎える。久光の入京の遅れは生麦事件が尾を引いている。突発事故とはいえ、英国と薩摩の中にたった幕府を苦境に追い込んだことは佐幕派と言える久光にとって面目ないことだった。「しかし、英国の礼を糺すことはあながち間違いではない」と宇和島藩大殿・伊達宗城は久光を慰める。「英国の貴族を殺めたわけではなく無礼討ちに賠償などあろうことか」と京都守護職に就いた会津藩主・松平容保に水を向ける。容保は無言だった。安芸広島藩主・浅野長訓は前年より藩制改革を行い危機感を深く抱いている。「この度の義は当方にあれども・・・相手のあることゆえ、予断はなりませぬ」・・・刃傷沙汰には深いトラウマのある一族なのである。筑前福岡藩主・黒田長溥は薩摩藩からの養子である。久光には大叔父にあたる。中州に科学工場を建設するほどの蘭学者でもあった長溥は開国派として生麦事件を困った不始末と感じていたが、久光との軋轢を避け発言を控える。(なに・・・そのうち西郷がなにかやらかすだろう・・・)長溥は島送り処分の西郷を密かに援助している。筑後久留米藩藩主の有馬頼咸は砲術家としては一流だったが遊び人としては超一流だった。すでに財政が傾いている久留米藩であるにも関らず京都滞在にも金に糸目はつけないのだった。

このように大名あるいは大殿が一同に会した京の都は空前の将軍上洛景気に沸いていた。膨大な物流が京に流れ込んだのである。

勝海舟も大坂から京へ入る。将軍から召しだされた場合に備えるためである。しかし、同時に海軍奉行として有力大名への資金・人材の協力要請を続けているために恐ろしく多忙だった。

そんな勝の宿に土佐藩から使いが来た。真夜中である。

すでに以蔵は勝の警護役を命じられ、宿に詰めている。気配に以蔵は跳ね起きたが、勝がそれを制する。勝は以蔵に犬万(犬を手懐けるための忍びの薬物)入りの饅頭を放った。

「大丈夫だ・・・大人しくしてな・・・」

以蔵は鼻をならして饅頭にむしゃぶりついた。そのかわいさに勝は目を細める。若い頃は犬嫌いだった勝だが最近は愛犬に目覚めている。勝の寝所にやってきたのは山内家が使う忍び森下一族のくのいちお幸だった。

信濃から越後に流れた古い海野一族の血を引く勝海舟にとって武田の武将・板垣家の流れを汲む森下一族はあながち無縁とはいえない。また、公儀隠密の土佐における拠点である板垣家は勝にとって一種の同胞である。山内容堂が土佐忍びの頭領となって以来、勝と容堂は盟友関係にある。

肥大化した土佐勤皇党の処理について策を講じたのは勝海舟であった。容堂は建策を受け入れ事態はその計画によって進捗している。

その結果、龍馬の脱藩は許され、海軍塾には土佐藩士が参加し、人斬り以蔵が勝のボディー・ガードになるという予想外の流れが実現しているのである。容堂は京の公家の派閥争いも把握し、土佐勤皇党をそれぞれの公家の派閥に振り分けることにより党の分断にも成功していた。武市半平太を愕然とさせた独裁組織の崩壊が始まっていた。

「殿より・・・奇策成功の御礼を言上せよと申し付けられました」

勝自慢の西洋ランプの灯に照らされてお幸は白い裸身をさらす。

「お・・・こりゃ・・・ありがたいね・・・こっちは祇園にあがる暇もねえからな」

「しぼりとれるだけしぼりとってこいとの御下命でございまする・・・」

言い終わる前にお幸は座した勝の背後に忍んでいる。豊かな乳を勝の背中に押し付けたお幸は左手を勝の首に回し、動きを封じた上で、右手を勝の下半身に伸ばす。

「うん・・・乙だねえ・・・」

あっというまに半裸にされた勝はお幸に後抱きにされたまま、卓越した指先で秘処をまさぐられるのである。

「お・・・」

あまりの快楽に声を漏らした勝にお幸は妖艶な忍び笑いで応えるのだった。

その頃、将軍本陣となった二条城では暗闘が繰り広げられていた。

将軍を守備するのは服部半蔵の影の軍団と篤姫の選んだ大奥くのいち衆である。

襲撃してきたのは妖異の群れだった。

赤い目をした襲撃者たちは黒装束の忍びだったが思わぬ抵抗を受け敗退しつつあった。

「・・・さすがは・・・篤姫様・・・こうなることを読んでいたか・・・」

服部半蔵は負傷者を数えながら、城内を進む。倒れているのは味方ばかりである。

その時、天井から敵が襲い掛かる。不意をつかれた半蔵を押しのけたのは老くのいち幾島である。

「ご油断召されるな」

その手には篤姫お手作りの薩摩十字刀が握られている。

赤い目の忍びは超人的な速度で両手の爪を幾島に突きつける。

しかし、幾島の修練の術が勝っていた。忍びの胸に薩摩十字刀が突き刺さっている。

薩摩十字刀には秘薬・鬼殺しが塗られている。薩摩に古来伝わる吸血鬼用の聖水薬である。おそろく主原料は大蒜と思われる。

吸血鬼細胞はたちまち化学反応を起こし、発熱し、沸騰し、気化する。

赤い目の忍びは灰となって消散した。

「かたじけない・・・」

服部半蔵は幾島を振り返った。

幾島はすでに次の敵に応じていた。

闇の中を巨大な蝙蝠が滑空していく。

それは琵琶湖に浮かぶ屋形船に降り立った。

一瞬後、蝙蝠から人間に変身した裸身の白人男性が舌打をする。

「ムシュー・・・言ったでしょう・・・将軍家は甘くないと・・・」

船に揺られているのは将軍家後見役一橋慶喜にそっくりな男だった。

白人男性は憎しみのこもった目で慶喜を見た。

「ヨシノブ・・・俺は高貴な血を将軍にそそがねばならぬのだ・・・」

「ふふふ・・・キャピタン・フランソワ・ロロノア・ジルベール・ブーランジェ・・・それは我の役目・・・しばらくは時期を待つのです・・・」

吸血海賊ブーランジェは赤い目で慶喜を睨みつける。

それに応じた慶喜の目もまた赤く輝きだすのだった。

「さあ・・・そろそろ棺桶にお戻りなさい・・・朝陽はご老体には毒ですぞ・・・」

ブーランジェは東の空に夜明けの気配を感じてたじろぐ。

忌々しげに鼻をならした大男は屋形へと入っていった。そこには巨大な棺桶が置かれている。

慶喜はそれを見届けると上半身をはだけた。その背中には黒い翼が出現していた。

「ふ・・・日も浴びられぬとは下級な悪鬼め・・・その内・・・灰に換えてくれるわ」

すでに半ば吸血鬼と化した一橋慶喜は京の市内を目指して飛び立った。

関連するキッドのブログ『第17話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『八日目の蝉』(NHK総合)『絶対零度・未解決事件特命捜査』『ジェネラル・ルージュの凱旋』(フジテレビ)

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2010年5月 2日 (日)

失踪後40時間以上が経過・・・もう死んでいます(森カンナ)簡単に断定するなーっ(沢村一樹)

「八日目の蝉」と「Mother」・・・子供の誘拐事件が目立つ今季のドラマだが・・・実は「警視庁失踪人捜査課」もそれと無縁ではない。

誘拐されたことが明白でなければ「子供」も失踪人に違いないからだ。

主人公が抱える心の闇も・・・実はそこにあるのである。

「人探し」は警察よりも探偵に似合う仕事である。もちろん、警察も犯罪捜査のプロとして人を探すのだが、それは犯罪者であることが多い。被害者・・・さらには犯罪と関係しているかどうかも不明な人間を捜すことには不向きである。それをあえて職務とすることは多くの矛盾を生じさせるだろう。行方不明者の圧倒的な量的問題に対処する人材配置はのぞめないからである。

キッドは若い頃にスターの初恋の人を捜すという仕事をしていたことがある。

今とちがって個人情報についての認識が薄弱で・・・探せないことは滅多になかった。

まず、スター本人の口から、思い出話を聞く。最終的に初恋の人をこっそり招いてご対面させてスターをびっくりさせることが目的なので遠まわしである。スターは相手の名前を伏せて恋の思い出だけを語ってもらったりする。うっかり、恋人の渾名を口にしたりすることがあれば簡単だが、そうでなくても時期を特定できればそれでいい。

中学の同級生ということであれば・・・中学名などをスターのマネージャーから聞き出し、基本的にマネージャーはこちらとグルなのである。次に出身中学に電話をかける。場合によっては出張して直接取材をする。当時の担任の教師のお話しとか同じクラスの生徒の名簿とか、そんなものも簡単に手に入った時代なのである。・・・いい時代だったな・・・みんな暢気で。

情報を総合すると・・・相手の氏名・住所・電話番号はたちどころに分る。後は相手にコンタクトをとるだけだ。

なにしろ、名前で電話番号が分り、電話番号で住所がわかった時代なのである。

それでも・・・消息不明という壁は存在した。

みんなが知っているのに今はどこかに消えた相手。スターの初恋の相手なのに消息不明者。時には親兄弟さえ、居場所が分らなかったりするのである。

キッドはそういう相手に突き当たったとき・・・ひとネタ損した気持ちで一杯になるのだった・・・少しは心配してやれよ。

まあ・・・そういう意味でこのドラマはなんとなく面白いのです。

で、『警視庁失踪人捜査課・第3回』(テレビ朝日100430PM9~)原作・堂場瞬一、脚本・福島治子、演出・田村直己を見た。ミステリの女王と呼ばれる小説家・木下薫・本名・饗庭紗江子(高橋ひとみ)が出席したホテルのパーティー会場から姿を消し消息不明となる。家族や出版社から依頼を受け捜査課は行動を開始するのだった。

高城刑事(沢村)と明神刑事(森カンナ)は木下の自宅を訪ねる。薫の弟・孝(長谷川朝晴)はいきなり怪しい感じである。孝は姉がずぼらで見栄っ張りだったと語り、「部屋を片付けないで失踪するはずがない」と断言するのである。その言動から「姉思いの弟の本気の心配」を読み取った高城は容疑者リストから孝をはずすのであった。しかし・・・何かひっかかるものを感じる高城。姉弟の間には暗い影があるようだった。

明神は処方された精神安定剤と睡眠薬を発見し、通院先の聞き込みへと動く。

高城は「何度かけても不通の謎の電話番号」を入手する。

一方、醍醐刑事(北村有起哉)と法月刑事(小日向文世)は出版社の薫の育ての親である編集者・井村(朝倉伸二)を訪ねる。このコンビは実に目がこわいのである。笑っている時も冷たい目をしている。特に法月刑事は抜群だ。見つめられたらなんでも白状しちゃいそうです。井村は薫の熱狂的なファンがストーカー行為をしていたことを告げる。

しかし、そのストーカーにはアリバイがあった。

事務員の高畑は薫のカードの明細から薫には不倫関係の恋人がいたと妄想する。

しかも、実際に不倫関係の恋人・カメラマンの花崎(松田賢二)は実在した。

けれど、花崎は「彼女は最近、情緒不安定だったので別れた」とクールに対応する。

薫が精神的に悩んでいたことを病院で聞き出した明神は「自ら失踪して40時間を経過・・・もう彼女は自殺しています」と根拠もなく断定するのだった。調子にのってみたのだった。

やがて森田刑事(黄川田将也)の調査で謎の電話番号の相手が判明する。

そこは焼死体の発見された店で発見されたのは薫の利用する通販会社のオペレーターだった。しかもオペレーターは薫の高校時代の同級生だったのである。

高校を調査した法月刑事は薫の隠された過去を掘り出すのだった。

おそらく、関係者はあの目で見つめられ洗いざらい白状したのである。

薫は高校時代、イジメを受けていたがある日、そのリーダーから逃れるために相手を一室に閉じ込めた。しかし、リーダーは喘息の発作があり、翌日、死体で発見される。事件は事故として処理されたが薫は「人殺し」の汚名を着たのである。

「オペレーターは薫の過去を知り、強迫・・・逆襲した薫に殺されたのでは・・・そして薫は今頃覚悟の自殺を・・・」とふたたび断定してみる明神だった。

そして、出版社には「薫の遺書」が届いたのである。

しかし・・・高城は「死体を薫とみせかけたトリックの幼稚さ」やそうした細工をしながら「遺書を書く不自然さ」にピンと来た。

やがて、薫の部屋からは盗聴器が発見される。

そういうことができる人間で・・・出版社の編集者・井村に遺書を届けることができる人間。

犯人は墓穴を掘ったのである。

薫の真のストーカーは井村だった。

刑事たちは井村のアジトを急襲し、監禁されていた薫を救出する。

しかし・・・過去の罪の記憶と監禁の恐怖により、薫は精神に異常をきたしていた。

高校時代の少女に精神退行していたのである。

そんな薫を高城は優しく慰める。「もう大丈夫・・・警察が来ましたから」

明神は「私たち・・・本当に彼女を救出できたのでしょうか」と疑問を投げかける。

高城は「したのさ・・・犯人から解放し・・・過去の暗闇からも魂を解き放ったのだ」と断定する。その高城の心を明神はまだ測りきれないのだった。

そのためには高城の心の闇に踏み込む必要があるからで・・・その件はきっと最終回まではとっておくのである。

そして捜査一課の長野(宇梶剛士)はかわいい高城をエリート・コースに戻そうとするが高城はきっぱりと断るのだった。男には興味がないからである。

実に淡々と面白い・・・。

関連するキッドのブログ『第1回のレビュー

月曜日に見る予定のテレビ『遠藤久美子の駅弁刑事・神保徳之助4』(TBSテレビ)

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2010年5月 1日 (土)

一人で食ってんじゃねえよヤンキー君(仲里依紗)うぜーメガネちゃん(成宮寛貴)

ガキ大将とか番長とかいうものには表と裏がある。

ガキ大将はいじめっこのリーダーにもなるし、弱い子を保護することもある。

番長も反体制、反権力のシンボルのようでいて実は体制と権力の飼い犬だったりする。

そういう立場というものはどんな社会になっても消滅しないのである。

社会が豊かになろうが、貧乏になろうが人間は簡単には変わらないからだ。

だから、ヤンキー君のような人はいつだってヒーローになりえるのである。

たとえば、ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」(2000年)にはマコト(長瀬智也)が登場する。地元じゃ名前の知れた不良である。その口癖は「あー、面倒くせえ」だ。その同級生に引きこもりの森永(高橋一生)がいる。マコトは森永から情報を聞き出すためにとそこはかとない友情のために武田久美子の写真集をエサに森永を部屋から誘い出すことに成功する。森永の心を動かすのはマコトの粗野な言動の影に隠れた繊細さだ。つまり「ヤンキーの真心がおタクを揺さぶる」のである。

それは一つのシステムであるので、善なる展開になるとは限らない。悪のようで善かと思うとやはり悪ということはいくらでもあるからである。それは善のようで悪というものがある以上仕方のないことだ。

とにかく、「悪のようで善」にはそう簡単に巡りあえないため、ドラマで時々、描いておく必要があるのだ。

ほら・・・世の中、こわいようにみえてやさしいこともあるんだよ・・・でも本当にこわかったらごめんなさいなのである。

で、『ヤンキー君メガネちゃん第2回』(TBSテレビ100430PM10~)原作・吉河美希、脚本・永田優子、演出・高成麻畝子を見た。マコトにはヒカル(加藤あい)という彼女のようなものがいるのですが、これが二重人格で表はお嬢様、裏では殺人鬼です。一方でこのドラマの主人公・ヤンキー君こと品川大地(成宮)にも彼女のようなものがいて、足立花(仲)は昔ヤンキー、今委員長の二つの顔を持っています。まあ、この物語は二人が荒野の大地に花を咲かせる物語ですのでマコトとヒカルの物語のような悲しい結末にはならないと思いますけれど。真実の輝きは眩しすぎて目が瞑れることがありますからね。そういう意味では「池袋ウエストゲートパーク」をソフトに仕上げたのが「ヤンキー君とメガネちゃん」だと言うこともできます。

品川は進学校である紋白高校に通っていますが、中学時代に度々、暴力沙汰を起こして不良のレッテルを貼られています。そんな品川にしつこくつきまとう学級委員の花。品川の口癖は「うぜー」ですが、花の耳には入らない。なぜなら花もまたかっては「ハリケーン・アダ」と怖れられた超不良だったのです。暴力行為で警察のお世話になっているほどです。

ひょんなことから花の正体を知った品川は親近感を抱くとともに・・・花が女として自分に惚れているのでは・・・と妄想をたくましくします。そのことを昔の不良仲間で揚羽高校の練馬(鈴木亮平)にのろけたりしています。

まあ、大地に花でモンシロチョウやアゲハチョウがヒラヒラと舞うメルヘンなのです。

今日も今日とて一人、屋上で昼飯を食べる川崎に花は急接近、「品川くんが威嚇したために不登校になっているクラスメートの千葉くん(小柳友・・・ブラザートムの息子)を謝罪してもらいたい」と告げておにぎりを略奪します。花は学級委員でもあり元ヤンだからです。

品川には千葉との間にそのような記憶はないのですが、花が取り出す怪しいメモにはその「事実(噂)」がまことしやかにメモられているのです。

そんな二人をまだ敵か味方か正体を明かさない優等生の和泉(本郷奏多)はクールに見つめるのでした。

千葉の家は壁面に「CHIBA」と大書してある豪邸で千葉の母親はケーキ作りの得意なエリコ(水野真紀)で美人だった。年上の美人に弱い品川は千葉の説得に本気になり、花はケーキを美味しくいただくのだった。しかし、足フェチの千葉は簡単には出てこない。

一度や二度ではあきらめない花は怪しい相性診断などで千葉の気を引こうとして、引きこもったドアの向こうで千葉は心を開きかけます。

ところが、そこへ引きこもりの原因となった薄汚い心根の悪友たちが家庭訪問にやってきて千葉の心は再び閉じてしまうのです。

もう誰とも会いたくない

千葉の宣言に花は意気消沈。しかし、同居する祖父・辰夫(伊東四朗)は花を励まします。かって荒んだ生活をしていた花を警察からもらいうけ焼き芋で釣って普通の生活の味を教えた祖父。「私はあきらめなかったよ・・・お前が一人で食べる寂しさを認めるまで」という言葉に花は再挑戦を決意。

一方、父・宙太(古田新太)母・聖(堀ちえみ)姉・海里(大和田美帆・・・岡江久美子の娘)というかなり普通の家庭の品川は成績不良を責められ、恐ろしい姉から「留年」を仄めかされひびるのです。品川が年上の女に弱いのはこの家庭環境に原因があるようです。

再び、千葉を家庭訪問する二人ですが、やはり難攻不落。

「うぜーからもういいんじゃね」

「このままでは千葉くんは留年してしまいます」

「留年なんて・・・たいしたことねーじゃんか」

「そんな・・・一人・・・みんなから・・・とりのこされていく気持ち・・・あなたに分かるの」

「・・・って、お前、ダブリ(留年生)なのかよ」

品川は花が年上だと知ってさらに胸がときめくのだった。

二人が手詰まりになったのを知り、「頭のいい人のノートは見ているだけで勉強ができるような気がします」と花におだてられたのがお気に召した和泉は助け舟を出すのだった。

それは「引きこもり日記」を綴る千葉のブログのアドレスをプレゼントなのである。

和泉はどうやらハッカーでもあるらしい。

アドレスを検索したりする意味不明の行動を経てブログにたどり着いた二人は書き込みで千葉とコンタクトを取るのだった。

トモダチだと思ったらタカリだった。そんな愚かな自分を家族に知られるのがこわい。

だってもうオレが知っている。

でも現実の人に知られるのはこわいんだ。

バカだな、オレは現実の人なんだぜ。

「ここにこうしているんだから」

二人は千葉の部屋の前でケータイから書き込みをしていたのだった。

「秘密を打ち明けたんだから・・・オレたちもうダチなんだよ」

千葉は新しい友人の誕生に扉を開くのだった。求めよ・・・然らば扉は開かれるとはこのことなのである。

二人の前に姿を見せた千葉はいじめられっ子としては規格外の巨体(設定190センチメートル超級)だった。

登校した千葉を悪友たちが待ち伏せる。

「よう・・・また金貸してくれ」

「たまには自分でなんとかしたまえ・・・ボクにはもう新しい友達がいるしね」

こうして千葉は「人として何より大切なトモダチのいる自分」を取り戻したのだった。

共通のトモダチがいる品川と花の関係も一歩進展したのである。

しかし、そんな花の前にしつこくつきまとうものが現れた。軽くぶっとばされる相模(波岡一喜)ではなくて・・・時代を越えた長めのスカートひきずって竹刀を手放さないスケバン・モードの姫路凛風(川口春奈・・・ニコモ→東京犬の妹→泣かないと決める女の妹→ここ)がやって来たのだ。まあ本当は通学途中で職質されて揉めて公務執行妨害でそのまま補導されるだろうがな。

関連するキッドのブログ『第1話のレビュー

日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)『新参者』(TBSテレビ)『トリック劇場版2』(テレビ朝日)また阿部寛VS阿部寛かっ。

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