一人で食ってんじゃねえよヤンキー君(仲里依紗)うぜーメガネちゃん(成宮寛貴)
ガキ大将とか番長とかいうものには表と裏がある。
ガキ大将はいじめっこのリーダーにもなるし、弱い子を保護することもある。
番長も反体制、反権力のシンボルのようでいて実は体制と権力の飼い犬だったりする。
そういう立場というものはどんな社会になっても消滅しないのである。
社会が豊かになろうが、貧乏になろうが人間は簡単には変わらないからだ。
だから、ヤンキー君のような人はいつだってヒーローになりえるのである。
たとえば、ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」(2000年)にはマコト(長瀬智也)が登場する。地元じゃ名前の知れた不良である。その口癖は「あー、面倒くせえ」だ。その同級生に引きこもりの森永(高橋一生)がいる。マコトは森永から情報を聞き出すためにとそこはかとない友情のために武田久美子の写真集をエサに森永を部屋から誘い出すことに成功する。森永の心を動かすのはマコトの粗野な言動の影に隠れた繊細さだ。つまり「ヤンキーの真心がおタクを揺さぶる」のである。
それは一つのシステムであるので、善なる展開になるとは限らない。悪のようで善かと思うとやはり悪ということはいくらでもあるからである。それは善のようで悪というものがある以上仕方のないことだ。
とにかく、「悪のようで善」にはそう簡単に巡りあえないため、ドラマで時々、描いておく必要があるのだ。
ほら・・・世の中、こわいようにみえてやさしいこともあるんだよ・・・でも本当にこわかったらごめんなさいなのである。
で、『ヤンキー君とメガネちゃん・第2回』(TBSテレビ100430PM10~)原作・吉河美希、脚本・永田優子、演出・高成麻畝子を見た。マコトにはヒカル(加藤あい)という彼女のようなものがいるのですが、これが二重人格で表はお嬢様、裏では殺人鬼です。一方でこのドラマの主人公・ヤンキー君こと品川大地(成宮)にも彼女のようなものがいて、足立花(仲)は昔ヤンキー、今委員長の二つの顔を持っています。まあ、この物語は二人が荒野の大地に花を咲かせる物語ですのでマコトとヒカルの物語のような悲しい結末にはならないと思いますけれど。真実の輝きは眩しすぎて目が瞑れることがありますからね。そういう意味では「池袋ウエストゲートパーク」をソフトに仕上げたのが「ヤンキー君とメガネちゃん」だと言うこともできます。
品川は進学校である紋白高校に通っていますが、中学時代に度々、暴力沙汰を起こして不良のレッテルを貼られています。そんな品川にしつこくつきまとう学級委員の花。品川の口癖は「うぜー」ですが、花の耳には入らない。なぜなら花もまたかっては「ハリケーン・アダ」と怖れられた超不良だったのです。暴力行為で警察のお世話になっているほどです。
ひょんなことから花の正体を知った品川は親近感を抱くとともに・・・花が女として自分に惚れているのでは・・・と妄想をたくましくします。そのことを昔の不良仲間で揚羽高校の練馬(鈴木亮平)にのろけたりしています。
まあ、大地に花でモンシロチョウやアゲハチョウがヒラヒラと舞うメルヘンなのです。
今日も今日とて一人、屋上で昼飯を食べる川崎に花は急接近、「品川くんが威嚇したために不登校になっているクラスメートの千葉くん(小柳友・・・ブラザートムの息子)を謝罪してもらいたい」と告げておにぎりを略奪します。花は学級委員でもあり元ヤンだからです。
品川には千葉との間にそのような記憶はないのですが、花が取り出す怪しいメモにはその「事実(噂)」がまことしやかにメモられているのです。
そんな二人をまだ敵か味方か正体を明かさない優等生の和泉(本郷奏多)はクールに見つめるのでした。
千葉の家は壁面に「CHIBA」と大書してある豪邸で千葉の母親はケーキ作りの得意なエリコ(水野真紀)で美人だった。年上の美人に弱い品川は千葉の説得に本気になり、花はケーキを美味しくいただくのだった。しかし、足フェチの千葉は簡単には出てこない。
一度や二度ではあきらめない花は怪しい相性診断などで千葉の気を引こうとして、引きこもったドアの向こうで千葉は心を開きかけます。
ところが、そこへ引きこもりの原因となった薄汚い心根の悪友たちが家庭訪問にやってきて千葉の心は再び閉じてしまうのです。
もう誰とも会いたくない
千葉の宣言に花は意気消沈。しかし、同居する祖父・辰夫(伊東四朗)は花を励まします。かって荒んだ生活をしていた花を警察からもらいうけ焼き芋で釣って普通の生活の味を教えた祖父。「私はあきらめなかったよ・・・お前が一人で食べる寂しさを認めるまで」という言葉に花は再挑戦を決意。
一方、父・宙太(古田新太)母・聖(堀ちえみ)姉・海里(大和田美帆・・・岡江久美子の娘)というかなり普通の家庭の品川は成績不良を責められ、恐ろしい姉から「留年」を仄めかされひびるのです。品川が年上の女に弱いのはこの家庭環境に原因があるようです。
再び、千葉を家庭訪問する二人ですが、やはり難攻不落。
「うぜーからもういいんじゃね」
「このままでは千葉くんは留年してしまいます」
「留年なんて・・・たいしたことねーじゃんか」
「そんな・・・一人・・・みんなから・・・とりのこされていく気持ち・・・あなたに分かるの」
「・・・って、お前、ダブリ(留年生)なのかよ」
品川は花が年上だと知ってさらに胸がときめくのだった。
二人が手詰まりになったのを知り、「頭のいい人のノートは見ているだけで勉強ができるような気がします」と花におだてられたのがお気に召した和泉は助け舟を出すのだった。
それは「引きこもり日記」を綴る千葉のブログのアドレスをプレゼントなのである。
和泉はどうやらハッカーでもあるらしい。
アドレスを検索したりする意味不明の行動を経てブログにたどり着いた二人は書き込みで千葉とコンタクトを取るのだった。
トモダチだと思ったらタカリだった。そんな愚かな自分を家族に知られるのがこわい。
だってもうオレが知っている。
でも現実の人に知られるのはこわいんだ。
バカだな、オレは現実の人なんだぜ。
「ここにこうしているんだから」
二人は千葉の部屋の前でケータイから書き込みをしていたのだった。
「秘密を打ち明けたんだから・・・オレたちもうダチなんだよ」
千葉は新しい友人の誕生に扉を開くのだった。求めよ・・・然らば扉は開かれるとはこのことなのである。
二人の前に姿を見せた千葉はいじめられっ子としては規格外の巨体(設定190センチメートル超級)だった。
登校した千葉を悪友たちが待ち伏せる。
「よう・・・また金貸してくれ」
「たまには自分でなんとかしたまえ・・・ボクにはもう新しい友達がいるしね」
こうして千葉は「人として何より大切なトモダチのいる自分」を取り戻したのだった。
共通のトモダチがいる品川と花の関係も一歩進展したのである。
しかし、そんな花の前にしつこくつきまとうものが現れた。軽くぶっとばされる相模(波岡一喜)ではなくて・・・時代を越えた長めのスカートひきずって竹刀を手放さないスケバン・モードの姫路凛風(川口春奈・・・ニコモ→東京犬の妹→泣かないと決める女の妹→ここ)がやって来たのだ。まあ本当は通学途中で職質されて揉めて公務執行妨害でそのまま補導されるだろうがな。
関連するキッドのブログ『第1話のレビュー』
日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)『新参者』(TBSテレビ)『トリック劇場版2』(テレビ朝日)また阿部寛VS阿部寛かっ。
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
あと大地の青空背景の妄想とか
(確か前回は蝶々がアタマにとまって
それがハートマークになった)
「Yahoo!」ではなく
「Myahooo!!」だったり
千葉君のブログの題名が
「星☆のつぶやき」!
あ、すみません、ご挨拶を先に・・・
キッドさん、おはようございます~♪♪
只今飼い犬の病気再発疑惑で
家事・仕事・動物病院・
動物病院・仕事・家事の連打の日々で
もう日常を綴る記事が書けない、
そんなことする気力も体力もない、
それでも「ヤンメガ」は
見るし書きます。
どうかこのままこのクォリティを
最終回まで保って欲しい、切実な願い。
IWGP!
やっぱり、マコトのあの説得、
思い出してかぶりましたよね。
あのドラマは結構ハードな部分多い、
しかしこっちはソフトで子供も女子も安心
(でもIWGPは心から好きですが)。
多少無理やりでもオチはやはりこうでなくては。
千葉君、良かった良かった。
投稿: ヤマト | 2010年5月 2日 (日) 08時57分
>川口春奈・・・ニコモ→東京犬の妹→泣かないと決める女の妹→ここ
ぉおー。そうでしたかぁ。
いくらメイクがキツイと言っても、憶えてない。
喜勢のメイクにも驚いたけど。
『怪物くん」を見て『曲げられない女』を思い出し、
今回の「トモダチ」を見ても、
これは永遠のテーマとして、
意外と素直に受け入れられるネタなんだな~って思いました。
『ヤンキー君』の2話の方が面白いと感じたし。
キッドさんとGWにまったりとお話できて良かったです♪
あ、一人で喋ってますけど(笑)
投稿: mana | 2010年5月 2日 (日) 11時19分
人の気持ちはつきつめていえば合理。
しかし、つきつめなければ曖昧模糊。
なんでそうなるの?になるか
そうだよそういうもんだよになるかは
その時の気分次第です。
花のどこまでツッコミで
どこまでボケかわからない
言動を際限なく積み重ねることで
ああ、この子たちはこういう感じなんだ・・・
と説得力のある領域にたどりついているので
グズグズの結末でも
気にならないのですよね。
これはドラマとしてはいい兆しとキッドは考えます。
実は恵まれている環境のヤンキー君が
うぜーと言いながら花を
包容力で優しく包んでいる・・・。
この構図が萌えるのではないでしょうか。
不良だけど根はいい奴。
実にまったりと古典でございます。
そして結局、人間は食い物です。
というのもキッドの好みであります。
思いっきり豪華な千葉の母親も
ちょっと食べ物作りすぎだったり
悪に鈍感だったりして
どこか困った感じが漂うのも
面白おかしいポイントでした。
家族の病気は心配ですな。
心乱れますな。
いっそ一人の方がよかったと
思ったりしますな。
しかし、苦しい時こそ支えあうのが
人の道です。
相手が犬でもなーっ。
あれから10年・・・マコトももうオッサンですな。
フルーツ・パーラーは繁盛しているのか。
「こけし」の続編は出ているのか。
「こけしふたたび」とか「こけしいたけ」とか
「Myahooo!!」で検索してみたくなりますな。
キングは健在なのかーっ。
今の愛人は誰なのかーっ。
「トリック」もいいけど
「IWGP2010」もお願い~とおねだりしたいのです。
投稿: キッド | 2010年5月 2日 (日) 14時49分
川口春奈は三期連続妹キャラで登場。
おっと・・・ネタバレになるのか。
・・・何を今さら。
そろそろ、なんとなく顔を覚えてあげてください。
ま、今回が一番はじけるかな。
トモダチのシステムは謎の多いシステムですからね。
きっと人間の多くは友人とは何かというものに
悩みながら死ぬのだと思いますね。
そんな謎のシステムを
政治にもちこむのは火傷の元ですけどね。
まあ、国益優先の外交の世界では
「友愛」なんて寝言ですからなーっ。
「友愛」は中高生までにとどめておくのが一番です。
ただそこにいるだけでいい・・・
そういう輝きの季節があって
その思い出が
それだけではすまない世界に反映していく。
その程度が無難なのですな。
助け合いとギブ・アンド・テイクの
境界領域が暮らしの豊かさを保守いたします。
何事もほどほどが一番と
じじいは言うのでございます。
ああ・・・ゴールデンウイーク中盤なう。
投稿: キッド | 2010年5月 2日 (日) 15時00分
Uターンラッシュが続く今日この頃、
キッドさんはいかがお過ごしですか。
>川口春奈・・・ニコモ→東京犬の妹→泣かないと決める女の妹→ここ
ああ、東京DOGSの小栗旬の妹でしたか。
ニコモ出身(今も在籍?)だったとは。
細かなキャスティングまでなかなか目が行かないんですよね~。
最近ようやくスタッフ陣(脚本・演出・プロデューサーが誰だったかetc.)には目が行くようになったんですけれど。
キャストの作品遍歴を辿るのも面白いかもしれませんね。
ちなみに来週はいよいよ「月の恋人」放送開始ですね!(すみません、また話題脱線で^^;
F1層が逃げたといわれる月9にどの程度人を戻せるのか・・・。
キムタク主演+美女3人とくれば、もう
ベタにやっちゃって~(ギャツビーCM風に)
と思います。
個人的に2000年以降のキムタク月9では
スポ根モノの「プライド」が好きです。
細やかな感情表現がなされていたキムタクだけでなく
“古きよき時代の女”竹内結子がgood!でした。
投稿: inno-can | 2010年5月 4日 (火) 23時42分
キッドはとあるラジオの長時間番組で
老骨をむちうち
あくせくしております。
川口春奈はちょっと
野暮ったいところもありますが
それなりの位置を占めるコースに乗っていますね。
ただ・・・とにかく上が詰まってるからな・・・。
キッドにとって
もはや芸能界は
戦国シュミレーション・ゲームの
コンピューター同士の対戦を
見ているようなもの・・・。
かってのプレイヤーの一人として
育てた武将たちの行く末を見守りつつ
新しく誕生する武将を
なんとなく楽しんでいるという感じです。
まあ・・・好きなのです。
あれは・・・「婚カツ」のような
無惨な状態にはならないと思いますが・・・
神話にもいつかは終焉がくるでしょうけれど
本人がやると言う以上、
それなりの作品になるはず・・・
と確信しています。
まあ、ある意味、最後の大スターですからな。
投稿: キッド | 2010年5月 5日 (水) 05時44分