絶対零度のメロンパンと私そしてバナナ(上戸彩)浪費したらいけないんですーっ(加藤あい)
闇の世界に少し踏み込んだ絶対零度。
実行犯を裁いたところで・・・お涙頂戴へ・・・この姿勢が気持ち悪いのである。
それならそれでもうひとひねりだったな。
素晴らしい子役を見すぎているせいで普通の子役の演技が・・・。
いや・・・普通の子供もいるんだから・・・これでいいのだけれどね。
火曜日のドラマ対決。①「ジェネラル・ルージュ」↘14.7% ②「絶対零度」↘12.7% ③「離婚同居」↘*6.7%
で、『絶対零度~未解決事件特命捜査~・第7回』(フジテレビ100525PM9~)脚本・浜田秀哉、演出・岩田和行を見た。サブタイトルが「光と闇~IT社長殺人事件」である。このドラマが「きらきらひかる」(1998年)、「ヴォイス~命なき者の声」(2009年)の延長線上にあることは間違いないのである。「きらきらひかる」が監察医を中心とした「遺体と事件の隠された真相」を究明する物語であったのに対し、「ヴォイス」は医学生が超能力を駆使してなんとなく真相らしきものを空想するという空虚な物語に、そして本作品は新米刑事が超能力を駆使して手抜き捜査の後始末をつけるお手軽な物語になっている。一応、プロフェッショナルが捜査をする分、「絶対零度」の方が良質になっていると言えよう。だが・・・「きらきらひかる」のあの完成度には遠く及ばないのである。困ったことだ。
これは結局、オリジナルの限界と言える。
今回の「六本木IT会社社長殺人事件」の場合もいくつかの問題点がある。
第一の捜査・・・2005年、投資情報企業「FUTURE STEPS」の社長・桝山(松尾敏伸)が社長室で何者かに殺害される。犯人を特定できず迷宮入り。
加害者は桝山と顔見知りの警備員・木戸(野中隆光)だった。この犯人を容疑者リストにも載せられない当時の捜査一課って・・・一体。
第二の捜査・・・2010年、桝山の秘書・吉岡(神農幸)が木戸が桝山の私物を所持しているのを目撃、再捜査の末・・・凶器の所持により木戸が逮捕され起訴される。
第三の捜査・・・公判中に木戸は自供を翻し、凶器は友人だった桝山から贈呈されたものだったと虚偽の申告をする。特命捜査対策室は再々捜査を余儀なくされる。
なんとなくしょうもない臭を感じていただけたでしょうか。
結局、事件は木戸の犯行の裏に闇の組織(指定暴力団)の資金洗浄ルートがからみ、その関与を暴くことで一応の解決を見るのである。最初の捜査で暴かんかっ。
もちろん・・・暴けないのには理由があるわけで・・・そこに闇の組織と表の社会との癒着があり、一番面白い部分である。しかし、恐ろしいことにそこはスルーなのである。
特命捜査対策室が追いかけるのは・・・犯罪ではなく・・・桝山という人間の心の軌跡なのだから。
なんじゃそりゃーっ・・・である。であるが・・・そういうのがやりたいらしいので仕方なくお茶の間は付き合うしかない。
もちろん・・・そういうドラマがあったっていいのである。
桜木(上戸彩)は例によって桝山のあらゆる資料を読み込み・・・桝山の人格を再構築していく。
ちなみに木戸の犯罪は桝山の利用していた古物商と、木戸の勤務していた警備会社が共に闇の組織につながっていたことが解明されたことにより、高木検事(隈部洋平)が黒崎弁護士(小須田康人)に勝利することで有罪判決が下る。
桜木のたどり着いた桝山の人物像は犯罪捜査とは無関係なのだった。
このあたりが・・・本当に困った感じがします。
まあ・・・ともかく・・・桝山の人生をふりかえってみましょう。
天涯孤独の生い立ちで育った桝山はしかし、友人である真野(大橋智和)とベンチャー企業を立ち上げた頃は希望に燃えた若者だった。しかし、資金繰りに困り、闇の組織に目をつけられた頃に豹変し、金の亡者となって真野を解雇する。闇の組織のダミー企業として成功した桝山だが急性骨髄性白血病を発症。しかし、骨髄移植ドナーが現れ命拾いをする。偶然、ドナーが交通事故死していたことを知った桝山は遺児(近藤里沙)との文通を通じて正義感に目覚め、闇の組織を告発しようとして暗殺されたのだった。
・・・話が長いわ・・・。
ここで明らかなのは・・・桝山が不用意な人間だったということである。闇の組織を敵に回すのに・・・無用心すぎるのである。
次に桝山の善意の表現の仕方である。単純に言えば・・・せっかく真野というキャラを用意していたのだから・・・真野を解雇する理由を「友人を悪事にまきこまないため」ぐらいにしておけばよかったのだ。
貧乏だけれど堅実なメロンパン屋になっている真野に桜木が真相を話す。
真野「あいつ・・・なんだって殺される前にメロンパンなんて買いにきたんだろう」
桜木「おそらく・・・死を覚悟していたんだと思います。あなたを解雇したのはあなたを・・・犯罪に巻き込みたくなかったから・・・天涯孤独な桝山にとって・・・あなたはたった一人の友人だったから・・・」
真野「ま、桝山・・・」
このくらいでよかったんじゃないのか・・・と思うのですよね。
今回、桜木にバナナを与えるのは長嶋室長(北大路欣也)ではなく、倉田係長(杉本哲太)でした。まあ、桜木がバナナを食べてればそれでいいドラマと言えるでしょう。
せっかく・・・いい事件なのに詰めの部分で台無しにしているような気がするのはキッドだけではないはず・・・。
いよいよ・・・次回からは本筋とも言える杉並事件に突入するらしい。面白いといいなあ。どす黒いといいのになあ。お涙頂戴は最後の最後に持ってこれると爽快なんだけどなあ。
今週の科捜研の大森(北川弘美)・・・飼育しているイグアナの「鈴木」が食欲不振のために心配で不機嫌に。
関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー』
で、『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋・第8回』(フジテレビ100525PM10~)原作・海堂尊、脚本・後藤法子、演出・今井和久を見た。東城医大病院の倫理委員会が会議を招集する。不在の高階院長(林隆三)は心療内科医の田口(伊藤淳史)を議長に指名した。議題は怪文書「救命救急センター速水部長(西島秀俊)の収賄について」の真偽を検証することである。
ちなみに速水医師は公務員ではないので賄賂の授受により東城医大に損害を与えたことが立証されれば背任罪になるが・・・速水医師が収賄することによって東城医大に損失が生じていない以上、メディカル・アソートが善意の寄付をしたという考え方もでき、この場合は税制上の問題である。つまり贈与税が発生し、脱税の嫌疑がかかるかどうかと言う問題なのである。
田口「お金をもらったのですか?」
速水「もらいました」
田口「・・・以上です」
・・・で何も問題ないのである。後は雑談だな。
田口「所得として申告しましたか・・・」
速水「忙しいのでしていません」
田口「どうしましょう・・・」
白鳥(仲村トオル)「もう厚労省の問題じゃないよ・・・国税庁の管轄だよ」
田口「ですよね」
三船事務長(利重剛)「だけど・・・賄賂もらって業者に便宜を図っているわけでしょう」
田口「しかし、無駄遣いしているわけじゃないし」
花房看護師長(白石美帆)「お金は全部、院内の医療費の不足分として補填しました」
田口「つまり、赤字を埋めてたわけですよね」
白鳥「そんなの監査してれば一発でわかる話じゃないですか」
田口「それを十年間も・・・」
黒崎教授(榎木孝明)「そこが問題なのだ。それだけの臨時収入があったなら・・・上納するべきだろう。せめて銀座のクラブとかで私を接待するべきではないか」
田口「・・・そういう問題なんだ」
黒崎「上下関係とか秩序とかお中元とかお歳暮とか心尽くしとか・・・凄く大事だろう」
一同(沈黙・・・)
速水「医療費を誰が負担するかという問題なのだ・・・同じ外傷だって・・・太った人と痩せた人じゃ・・・包帯の量とか・・・全然違うんだもん」
田口「もん・・・とか・・・子供ですか」
白鳥「もう・・・私はこの場にいなかったことにしてください」
田口「最初から・・・呼んでないじゃないですか・・・」
三船「もう・・・いいや・・・解散、解散」
速水「オレにもっと演説させろ~・・・患者の命を救うのが趣味で何が悪い・・・」
田口「まあ・・・程々にしてくださいね」
白鳥「人命救助に金を湯水のように使っても文句いいにくいからなぁ・・・」
三船「そんなの詭弁ですよ・・・昔から貧乏人は高い薬が買えなくて助かる命も助からないって相場がきまってるんだ」
田口「ですよねえ」
和泉(加藤あい)「あの・・・速水先生のもらったお金の封筒から一万円抜いて夜食のカップラーメン買っちゃったんですけどー」
一同「えーっ・・・」
和泉「お、おつりは戻しました」
花房(舌打)
田口「それは問題ですね」
白鳥「大問題だよっ」
木曜日に見る予定のテレビ『おみやさん』『同窓会』(テレビ朝日)『恋とオシャレと男のコ』(TBSテレビ)『プロゴルファー花』(日本テレビ)『素直になれなくて』(フジテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
「きらきら」には遠く及ばないけれども「ヴォイス」には
近付いてきてる、と言う残念感。。。
あまり、お涙を引っ張らないと言う点で、私はこのドラマを
結構買っていたのに、今回は大変残念な結果になってしまいました(-_-;)
でも、多くの日本人はベタなお涙頂戴でも良いみたいなので
私はひねくれ者なのかも知れませぬ。
「杉並事件」に期待してます♪
投稿: くう | 2010年5月27日 (木) 01時02分
❀❀❀☥❀❀❀~くう様、いらっしゃいませ~❀❀❀☥❀❀❀
「きらきら」の場合、
まずは真相の究明が大前提で
明らかになった真実が
結果として誰かの心を癒したり
衝撃を与えたりする。
このバランスが見事なのですよね。
一方、「絶対零度」の場合は
誰かの心を癒したり
衝撃を与えるために
真相を究明しちゃってるのですな。
この本末転倒感が
ものすごく
まどろっこしい。
システム的な問題としては
深津絵里(新人)-鈴木京香(先輩)
という対峙の緊張感が
上戸彩(新人)-山口紗弥加(先輩)
では得られないということ。
キッドは山口は大好きな女優なので
アレなんですけど
上戸彩(新人)-竹内結子(先輩)
とか・・・
上戸彩(新人)-田畑智子(先輩)
とか・・・
上戸彩(新人)-仲間由紀恵(先輩)
とか・・・
上戸彩(新人)-国仲涼子(先輩)
このぐらいの主導権争いが
見たい・・・気がします。
「暢気に幻視なんてしてる場合じゃないよ」
って桜木刑事ちゃんが叱られるくらいで・・・。
「杉並事件」・・・楽しみです。
心が傷だらけで血まみれになるくらいの
刺激が欲しいのでございます。
投稿: キッド | 2010年5月27日 (木) 07時37分