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2010年6月30日 (水)

野球は筋書きのないテレビドラマ、サッカーは筋書きのない劇場映画

アナログテレビの終焉に奉げられた供物としてのサッカーワールドカップ2010決勝トーナメント・日本VSパラグアイ戦。

もちろん、サッカーだって筋書きのないドラマといってもいいのだが、民放向きではない。45分ハーフという試合形式がCMの入れ時を彷徨わせるからである。

これが10分1ラウンドの九回戦というスタイルならサッカーは筋書きのない2時間ドラマの地位を確保できただろう。

まあ・・・とにかく・・・2010の日本の戦いは終りました。

優勝者以外は全員敗者というわかりやすい構図は・・・逆に誰も敗者ではないというきれいな言葉も生み出す。

本田は母親にメールを送る。「このチームが大好きだ。みんなと一緒にプレーできてこんなに楽しいことはない」

駒野の母親は涙ぐんだ。「皆さんに申し訳なくて・・・」

だが・・・敗北が決定した瞬間、チームメイトたちは項垂れる駒野選手の肩を抱き、背中をさすった。

その瞬間、青いサムライたちはひとつのゲームの敗者から別のゲームの勝者へと変転する。

プロ野球巨人戦がひとつの時代の仕事を終えアナログテレビから退場しつつあるようにアナログテレビも仕事を終え退場しつつある。

その最後に一花咲かせたサッカー中継。

前半・後半 57.3%

延長戦 61.2%

PK戦  53.9%

この試合を選択したTBSテレビが三唱する万歳は関東平野にこだました。

で、『2010ワールドカップサッカー南アフリカ大会・F組一位パラグアイVSE組二位日本・決勝トーナメント一回戦』(TBSテレビ100629PM1040~)を見た。日本時間23時キックオフ。翌30日午前1時45分にすべてのプレイが終了した。試合結果は前後半・0-0、延長戦・0-0、PK戦5-3で人口がほぼ千葉県と等しいパラグアイの勝利である。

ちなみにこの日、メグ・カナコンビで一世を風靡した女子バレーボール元全日本代表の大山加奈(26)は所属チーム東レを通じて引退を発表した。アテネ五輪(2004年)以来腰痛に悩まされ続けた苦闘に終止符が打たれたのである。カナ・・・。

TBSテレビは「うたばん」の後継番組である「ザ・ミュージックアワー」からプレトリア(南アフリカ共和国)と中継を繋いだ。元帝京高校野球部の石橋貴明が「はーい、やべっち」と呼びかけたのは極楽とんぼ(事実上解散状態)で元小樽潮陵高校サッカー部の加藤浩次である。

「やべっちではありません・・・」と現地中継司会者の加藤浩次は冷静に訂正した。

この後、石橋は「スッキリ!!」ネタもたたみかけたが加藤は「日本テレビではありません」と冷静に対応した。

この後、藤本美貴と高嶋ちさ子は焼肉ツアーのVTRを紹介、二人の肉食女子は肉を食べまくったのである。

この後、試合開始のホイッスルがなり、開始3分、サイドバック駒野が右から低い弾道のミドルシュートを放つ。日本は慎重にプレーをすすめて遠めから絶対に入らないシュートを何本か放った後でパラグアイの逆襲を受ける。フォワード・バリオスが日本陣地深くに侵入し決定的な場面。ゴールキーパー川島のファイン・セーブで得点を阻む。この後も川島は超ファインセーブ、こりゃもうだめかもはれんねセーブを連発していつも通りに危機をしのぐ。

パラグアイの猛攻は日本を圧倒し・・・守備の連続が日本チームの体力を削ぐ。長友も遠藤も累積二枚目のイエローカードを受けて次試合出場禁止。日本は後のないところへと追い詰められていく。もう、次の試合のことなんか考えていられないのである。

もっている男、本田が前半40分、決定的なチャンスを迎えるが・・・シュートは左にそれる。

後半、闘莉王が頭で合わせる決定的なチャンス、松井から替わった岡崎が本田からのパスを受け決定的なチャンス。ロスタイムに遠藤道のフリーキックを中沢が頭でおとし闘莉王が足を伸ばすが届かず。延長戦、阿部に替わった中村(憲吾)がシュートを放つが相手ディフェンダーが阻む。

激戦は果てた。

運命のPK戦。後攻めの日本は三人目の駒野がミス・キックし・・・天を仰いだ。

祈りは届かなかったのか・・・いや、勝負事は味方も祈れば敵も祈るのである。

パラグアイとしてはサッカーくらいは日本に勝ってもいいじゃないか・・・という気持ちが強いと思います。

岡田監督は「勝たせてやりたかった・・・私の力が・・・ちょっと足りなかった」と選手をフォローした。

特別ゲストの日本人初のセリエA優勝メンバー中田英寿は「PKは難しいし・・・しかし、日本はもう少し攻めていれば勝てた試合だった」と分析を始めるがそれをさえぎった身の程知らずの加藤浩次は「でも素晴らしい試合でした」と冷静にまとめたのだった。狂犬もすっかりお茶の間向きを意識するまでに成長したのだった。こんなにうれしいことはないよ。

さようなら・・・南アフリカワールドカップ・・・四年後に縁があったらまた会いましょう。

アナログ・テレビはすでに亡霊になっていたとしても。

関連するキッドのブログ『北京五輪

木曜日に見る予定のテレビ『毒トマト殺人事件』(テレビ朝日)『怪談新耳袋』(TBSテレビ)『プロゴルファー花』(日本テレビ)

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2010年6月29日 (火)

欠けた月の恋人はホームレス・・・変なことはしない(木村拓哉)

抱いてくれたらいいのに・・・と二宮真絵美(篠原涼子)は歌いだしたい気分で寝たフリである。

そばにいたいから・・・胸のふるえを止めて・・・愛がわかりかけたら・・・きっときっとあなたのことしかみえないし、真夜中の碧い海、潮風にさらわれる肌、こんな場所に二人がいることを誰も知らないのにである。

いやあ・・・正直言って・・・性的に何か問題があるとしか思えない展開だ。

いつもなら・・・お茶の間向きではないシーンを省略の技法で暗黒の彼方に葬り去っているだけですむのだが、このドラマの場合は違うような気がする。

第一の犠牲者である大貫柚月(北川景子)は「彼は指一本ふれなかった」と証言している。

第二の犠牲者であるリュウ・シュウメイ(リン・チーリン)は「ルームサービスを一緒に食べた」だけらしい。

そして・・・第三の犠牲者は・・・ドキドキしながら待ちくたびれて寝て、目覚めたときには何かされた形跡はない。

ある意味で・・・一般的な母親ではないと自ら語る蓮介(木村)の母(倍賞美津子)は「育て方を間違えた・・・一人で生きていけるように育てたつもりだったけど・・・」と言葉を濁す。

その果てにあるのは「一人でしか生きられない男」であるかのようである。

蓮介の母親の言動はいかにも少し狂っている感じが漂う。たとえば・・・消息不明の息子について真絵美に「あの子のことは基本的に放置して・・・」と言いながら「ずっとそばにいてあげてほしい」と言い添える。もちろん、心配のあまり気が動転していると考えることもできるが・・・キッドには狂った母親に育てられた狂った息子の説明にも思えるのだ。

おそらく、メイン・ライターはそのつもりで話を作っていると思えるが・・・世間の反応のあまりの悪さに修羅場と化した現場の臭いがするのである。

突然、投入された名もなき新人脚本家が二人・・・。

思わず、合掌したくなる重い空気が感じられる。梅雨だからか・・・。

で、本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「ヤンキー君とメガネちゃん」↗11.6%(無理のあるキャストを無理なくおさめた見事なドラマだった)、「ハガネの女」↘*8.8%(ろくでなしの親と困った子供のパレードである)、「タンブリング」↗*7.6%(国仲涼子はババアじゃないと思う)、「帰ってきた怪物くん」↘11.6%(幼児番組としては素晴らしい仕上がりでした・・・クリスマスとかにもヨロシク)、「龍馬伝」↘17.9%(歴史にくわしくないものにもう少し優しくしてあげてもいいかもしれない・・・がキッドはこのままどこまでもつっ走ってほしい気持ちで一杯だ)、ついでに「月の恋人」↗14.4%・・・以上。

で、『月の恋人~Moon Lovers~・第7回』(フジテレビ100628PM9~)原作・道尾秀介、脚本・浅野妙子・高橋幹子・山上ちはる、演出・平野眞を見た。高橋幹子はヤングシナリオ大賞(2007)の受賞者。山上ちはるは大河ドラマ「天地人」などにもかかわった取材ライターである。脚本家としては「みこん六姉妹」(TBSテレビ2006年)「リセット」(日本テレビ2009年)などがある。。今回の放送分を見る限り、いくつかの「情報ネタ」が盛り込まれていたり、違うトーンのセリフが出現していて・・・かなりちぐはぐに感じた視聴者も多いと思うが・・・脚本に女流が三人も名を連ねて成功した例をキッドは知らないので当然である。つまりきっと切羽詰っています。

しかし・・・まあ・・・そういう現場の混乱振りと作品とはある意味、無関係だし、気がつかない姿勢で話を進めたい。

ついでに・・・途中で愛する男の消息を恋敵の真絵美から聞かされた柚月が電話の向こうに波の音を聞くというロマンチックなシーンがあるが、水洗トイレから出てきた丸山鉄二(竹中直人)が「それは恋の音さ」などと言ってムードをぶち壊す場面がある。「不毛地帯」で傷だらけになった演出家が自分を見失っているのがよくわかる。この流れでそんなことしちゃダメだぞ。

さあ・・・とにかく・・・妄想の旅へ向かうことにしよう。

若い社長の下で若い役員たちは「代表取締役解任の動議」を提出する。

その理由は①無謀なインド進出 ②無謀な中国からの撤退 ③公私に渡る不祥事

・・・である。

③についてはレゴリスのイスガス爆発事故と社長と専属モデルとの不適切な関係が問題になっている。

一番、最後について言えば、蓮介はシュンメイに求婚しているので不適切とは言えないが会社のイメージを甚だしく損ねたとも言える。

側近の蔡(松田翔太)の主導によるクーデター劇に・・・蓮介は最後までクールに振舞う。

「あなた方がそうおっしゃるなら・・・私はこの場にとどまることはできない」

まるで他人事のように会社を去る蓮介だった。

もちろん、蓮介はすでに世界から逃避したくて逃避したくてたまらない心境なので渡りに船なのである。

「君を幸せにしたい、しかし、自分の生き方を変えることはできない」

とシュンメイに告げたように

「会社のために尽くしたい、しかし、自分の生き方を変えることはできない」

のである。

もちろん、蓮介の「生き方」というものが何かをお茶の間は知らされないために戸惑うばかりなのだが・・・精神的に不安定なものにまともな言動は期待できないのである。

とにかく・・・こうして・・・業界第二位の大企業である「レゴリス」のトップは放逐されたのだった。結局、少しもワンマン経営者ではなかったのである。ナンバー・ツーの蔡が簡単にクーデターを成功させたのがその証拠だ。

優秀な経営陣は早速、かねてから業務提携をもちかけていた第一位企業の「マストポール」と提携する。詳しい説明はないが・・・どう考えても吸収合併であり、「レゴリス」は「マストポール」のブランドの一つに後退したわけだが・・・残留した社員たちには危機感がない。

「えらそうな社長から解放されてよかった・・・もっとはやく謀反をしていればよかった」なのである・・・小学生かっ。

しかし、解放されたのはレゴリスではなく・・・蓮介だったというのが今回の主題となる。

大学卒業後、「レゴリス」を起業した蓮介は身も心も会社に奉げ、我を見失っていたらしい。

愛する女・シュウメイに去られ、やる気を失ったというわけでもない。

飼い犬に手をかまれ、育てあげた会社を奪われても何かを嘆くわけでもない。

蓮介にとって・・・おそらく・・・すべてのことが・・・どうでもよかったのである。

蓮介にとって世界は本来、馴染めない存在だった。あらゆるものにイヤイヤつきあっていたのである。もちろん、そういう蓮介の本質とは別に会社を運営し、シュウメイと交際する人間的な表面を装う蓮介も存在する。

しかし、蓮介の核心は空虚であり、おそらく、蓮介の心は母親の心無き育児によって破壊されているのである。何をして生計を得ているのかも不明な母親はどう考えても怪物的な存在を垣間見せている。おそらく、蓮介と同様に自分以外を愛せないタイプなのである。もちろん、わが子といえども自分以外の存在なのである。

真絵美は蓮介の母親の恐ろしい正体に気がついている気配があるが、それを口にすることはしない。突然、首を絞められたらこわいからである。

真絵美は自分が愛する蓮介を出会いの前に壊してしまった母親を憎悪しているが、それをけしてあからさまな態度で示さない。蓮介の母親が自分の理解を超えた存在であることを知っているからだ。

「あの子はダメな子なのよ・・・でも・・・あなたが面倒みてもいいわよ」

何様なんだという態度を崩さない蓮介の母親に真絵美はすでに馴染んでいる。

(この人も・・・ある意味、憐れな存在なのだ)と真絵美は思う。(あの素晴らしい子供を愛せないのだから)と。

愛を知らない母親に育てられた愛を知らない子供。

そんな愛を知らない男を愛してしまった自分。

その滑稽な関係に真絵美は苦笑する。

そういう深みをまるで関知しないような蔡が真絵美を口説き始める。

「蓮介さんの持っていたものはすべて・・・私のものになりました・・・あなたはどうですか」

「蓮介は最初から何も所有していなかったわよ・・・彼はすべてを与え続けていただけ・・・あなたは何かを手に入れた気がしているけれど・・・それは彼から何かを盗んだわけじゃないのよ・・・あなたは自分のものを奪い取って自分のものだと満足している子供のようなもの。この話・・・理解してもらえるかしら」

「いいえ・・・さっぱり」

「それが・・・あなたの限界というものかもね・・・だからあなたは私の愛の対象になれない」

「私があなたのお飾りになり、あなたが私のお飾りになる・・・そういう関係はお嫌ですか」

「私は飾りじゃないのよ」

かわいい部下(満島ひかり・濱田岳)に見送られて真絵美は蓮介・捜索ツアーに出発する。

蓮介はこの世から去りつつある自分を半ば怖れ、半ば喜びながら後始末に乗り出す。

無能だが情のある男・雉畑(渡辺いっけい)をキャッチした蓮介は雉畑に別れを告げる。

「オレは・・・レンスケと一緒に働きたいんだよ・・・」

「いいえ・・・あなたには私の育てたレゴリスを見守ってもらいたいのです」

「そんな・・・オレは淋しいよ」

しかし、シュンメイ、柚月、真絵美、リナ(満島)、笠原(中村ゆり)にさえ触手を動かさない蓮介なのである。雉畑を抱いたりはしない。この脚本家がいかに同性愛好きだとしても蔡までが限度なのである。

そして・・・蓮介は定宿としていたホテルをチェック・アウトした。前回も指摘したようにインテリアの会社を経営しながらインテリアに興味のない蓮介である。

そして・・・彼はいまや文字通りホームレスなのである。

着の身着のまま、愛車を転がして蓮介は開放感を味わう。

俺は何者でもない

俺はどこからも来ないしどこへも行かない

俺はただの男

俺は愛さない男

蓮介はそこでふと・・・愛のようなものの記憶に刺激される。

愛を知らない蓮介。

それでもシュンメイにはなぜか気がひかれるのである。

もちろん・・・それは蓮介とシュンメイの身長差に無関係ではない。

大柄な女に蓮介が惹かれるのは失われたものの臭いがするからである。

それはマザー・コンプレックスである。

愛を知らない狂った母親に壊された母と子の絆。

蓮介が理由もなくシュンメイに執着するのは・・・ただそれだけのことだった。

蓮介は無自覚に最初から失われた母の姿を追い求め、中華料理屋「食料ガエル」を訪ねる。そこにはシュンメイが暮らしていたからである。

しかし、そこに網を張っていたのは柚月だった。

柚月は本能的に蓮介の欠落を知っている登場人物である。柚月は自分の愛がその欠落を埋めることができるのを知っている。ただし、その方法がわからないのである。

柚月は「蓮介と裸の付き合い」をすることにより、蓮介の子供を懐妊し、出産すれば蓮介を育てなおすことができることを知っている。しかし、どうすれば蓮介をその気にさせられるかがわからないのである。

実はパンダのきぐるみを来たまま、下半身だけ露出すればすむ話なのだが・・・蓮介がパンダのぬいぐるみコンプレックスなのは明らかである。しかし、あまりに非常識なのでその手があるとは思いつかないのである。

もちろん、それが判明しても柚月は思うだろう・・・それじゃ・・・私を愛するんじゃなくて・・・パンダのぬいぐるみを愛することにならないか。

いや・・・そうなんですけど・・・彼はそういう心の病気ですから。

昼間が夜になれば・・・そういうチャンスがありえた展開に、美しい男を心の底から憎む醜い男(温水洋一)が邪魔にはいる。禿男はシュンメイのノートを蓮介に差し出すのだった。

嫉妬のために・・・あるいは蓮介の傷心を思いやって血相を変える柚月。

その一瞬の隙に蓮介は再び彷徨い出すのだった。

かって蓮介が手作りの家具を売ったフリーマーケットには柚月の父親(長塚京三)が待っていた。

「君は本当に世界に馴染まない男だな」

「あなたはすべてを手元に置きたがる・・・まるで想像上の父親のような人だ」

「しかし・・・私は君の才能を買った男だよ」

「いつまでもお客さんならよかったのに」

「私は君の父親になってもいいと思っているのに」

「ボクの父親はこの世界には存在しないのです」

超現実的な会話を交わしながら、柚月の父親は常識の通じない男を見送った。

(とにかく・・・婿には向かない男だよな)

柚月の父親は徒労を感じた。

どこへともなく、消え去った蓮介。

しかし、数十年、蓮介のストーカーを続けている真絵美には最後の手段があった。

蓮介の愛車には発信器が仕掛けられていたのである。

たちまち・・・蓮介の居場所を特定する真絵美。

(なるほど・・・)そこは真絵美にも思い出の深い場所だった。

海の見える大学。真絵美と蓮介の母校。そして懐かしい美大前のバス・ストップ。

真絵美は直行した。

夏季休業前の美大は開放的なムードに満ちていた。

芸術家肌の学生たちのために不審者対策は遅れ気味である。なにしろ、学生どころか教職員さえもが不審者であるのが美大というものなのだから。

妙にリッチで同時にクールな雰囲気の蓮介を誰もが不審には思わないのである。

「グラサンかけた変な人来なかった?」

真絵美が尋ねると蓮介の辿った道はたちまち発見されるのだった。

出現した真絵美に苦笑する蓮介。

「みつかっちゃった」

「みつけちゃった」

二人は微笑むと学食の豚キムチ定職を海辺へと運ぶ。

学生時代の二人が好んだランチタイムが蘇る。

「さっきの青い鳥のフィギュア・・・お気に入りなの?」

「ニワシドリを知ってるかい・・・漢字で書くと庭師鳥・・・」

「青いの?」

「スズメの一種だから・・・青いというより青黒い奴はいる・・・オーストラリアのアオアズマヤドリとか・・・」

「巣を作るときに結構、青いビー玉とかで巣を飾るんでしょ」

「そう・・・花びらとか鳥の羽根とかもね」

「かたつむりとかを置いたりするんでしょ」

「かたつむりを奪い合ったりもする」

「アーチ形の奇妙な巣を作ったりするんでしょ」

「種類によって巣のカタチもいろいろあるしね」

「鳥だって巣を作るのに・・・あなたは他人の住む場所ばかりを作り続けてきた」

「そりゃ・・・オレだっていつかは巣を作りたいさ」

「木工の授業で・・・材質の話をしたのを憶えてる?」

「さあ・・・?」

「育ちすぎて大木になった木は均質な木材としては適正とは言えない・・・」

「だけど・・・木は木材になるために生きているとは限らないって話か?」

「そう・・・あなたにはあなたの生き方があるってこと・・・」

「そうかな・・・」

二人は学内のアトリエを勝手に仮の宿にした・・・美大の建築物管理などというものは・・・もういいか。

「あの頃も・・・徹夜して・・・こうして月を見たよな」

「ええ・・・」

「月ってさ・・・気がつくといつの間にか空にあると思わない?」

「さあ・・・」

「日の出は待つけど・・・月の出は待たないだろう?」

「昔は・・・月の出を待って歌を詠む人がいたっていうけどね」

「そうか・・・そういう教養はなかったな・・・」

「ふふふ・・・蓮介は家具おタクだもんね」

「お前だってそうだろう・・・」

「で・・・気がつくとそこにある月みたいな・・・何かを求めているわけ?」

「さあ・・・」

「いいけど・・・変なことはしないでよ」

「するわけないだろ」

(バカ・・・してって言ってるのに・・・もうずっとずっと前から)

待つことしばし・・・真絵美は夢の世界に旅立った。

(どうして・・・私をお嫁さんにしてくれないの?)

(ごめん・・・ボクはママのお婿さんになるって約束しちゃったから・・・)

(バカ・・・それは子供の世界の話じゃないの・・・ピーターパンとか青い鳥とか・・・家なき子とか・・・)

眠ることを忘れた蓮介は真絵美のためにニワシドリの巣のディスプレーを作りはじめた。

(ボクを見つけたご褒美だよ・・・君のために本当の巣は作れないけどね)

二人の失職者が幸せな過去を彷徨っていた頃。

二人の中国人は顔を合わせていた。

「同志シュンメイ・・・すべて計画通りだ・・・日本企業ののっとりは実に簡単だ」

「同志ツァイ、社長は・・・レンスケは・・・どうしているの・・・」

「さあね・・・真絵美が追っていったから・・・今頃、二人でよろしくやってるんじゃないか」

「そう・・・真絵美さんが・・・そうね・・・真絵美さんの方が・・・レンスケにふさわしいものね」

「なんだ・・・同志シュンメイ・・・工作員が愛に溺れたら命とりだぞ・・・」

「・・・」

さあ・・・一体、どんな結末が待っているというのか・・・最終回は2時間15分スペシャル。要するに・・・最終回が本編なのか。

関連するキッドのブログ『第6話のレビュー

Hcinhawaii0649 ごっこガーデン。愛と青春の美大前セット。アンナダーリンの作る巣で愛の暮しを送る日々・・・はうぅんなのでしゅ~。ハートがぴょんぴょんぴょんでぴょ~ん。待ちに待った真絵美パート。なつかしのキャンパス・ライフ・・・海の見える大学で・・・学生たちは講義に集中なんかできるものですかぴょ~ん。毎日、サーフィン&バーベキューですぴょ~ん。バス停留所から学食、レゴリス落書き教室を経てアトリエ長屋へ。そして・・・ドキドキの寝たフリ大作戦・・・最初から・・・こういう流れでは何故ダメだったのか!・・・大人の世界は不思議なのぴょ~んまこ蓮介と真絵美はすっかりいい感じなのでシュウメイの存在を完全に忘れてマシタ!青島!すみれさん。それにしても社長でなくなった蓮介はどうやって食べていくのでしゅか? ママはお小遣いくれましゅか? 最後は2時間15分スペシャル・・・劇場で!じゃなくてお茶の間で!・・・これは新しい手口かもしれましぇ~ん・・・っていうかこの青い鳥はしゃーわせの青い鳥でしゅか~・・・色違いヴァージョンがあったとは・・・じいや・・・ヒヨコロイドの在庫一斉処分する気でしゅねお気楽怪物くんの怪子ちゃんはベッキーの目がこわいからまあまあだったんじゃないの?・・・来週・・・ものすごく面白くなったら・・・衝撃だよね・・・次回作からアンナちゃんのダーリンは連続2時間ドラマ体制になったりして・・・とにかくもう少しまとめて欲しいよね・・・なんだかんだをikasama4執事長・・・日本VSパラグアイ直前でお尻に火がついてますな。とにかく、今回はなんか、教科書的なベタドラマでしたな・・・。真絵美はちょっと気を使いすぎてうろたえる・・・みたいな損なキャラクターを演じているのか・・・演技に悩んでいるのか微妙な感じになってますな。はたして・・・月は誰を指すシンボルなのか・・・今回のところはズバリベタベタに真絵美でしたが・・・泣いても笑っても最終回・・・とにかく映画化決定しなくて幸いだったかもしれませんねえあんぱんち波の音は一生忘れない失恋の音・・・そんなことで海を嫌いになったらたまりませんわ・・・台湾美人女優、視聴率の女王、若手ナンバーワン女優を集めてグダグダな展開・・・一体、誰のせいなのかしらーっ・・・まあ、出演者の一人としてこれだけは言いたい・・・キャストに罪はないんですぅーっ。さあ・・・拡大スペシャル・・・どんなことになるのか・・・やはり楽しみなのねー・・・ドラマ好きって困った生き物だわ~mari一人で生きていくことしか学ばなかった蓮介・・・母に代わってずっと蓮介に尽くし見守ってきた真絵美・・・生まれついての美しさで愛をふりまきながら愛を知らない蓮介の矛盾・・・はたして・・・物語はどこへ収斂していくのでしょう。蓮介が誰かと幸せになってくれるといいのですけど・・・

水曜日に見る予定のテレビ『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日)『中谷美紀の離婚シンドローム』(日本テレビ)

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2010年6月28日 (月)

暮れなずむ神戸の光と影の中日章旗をしばし降ろす(坂本龍馬)

回天の志は野望の礎である。

日本を統一するためには常に合戦が求められてきた。

聖徳太子が、源頼朝が、足利尊氏が、織田信長が分かれた国土を結ぶために血の粛清を求めた。

幕末、英雄たちの魂は再び、降臨し、流血を求める。

平和主義者の祈りは虚しく砕け散り、和の前に戦があるのはこの世の理なのである。

なぜなら人は皆、欲しがり屋さんだからである。

富国強兵の理想を求める勝海舟は利敵行為が過ぎると既得権益の保護者によって失脚の憂き目に会う。

親亀こけたら小亀もこけるのがこの世のならいである。

しかし、捨てる神あれば拾う神もあるのもお約束なのである。

で、『龍馬伝・第26回』(NHK総合100627PM8~)脚本・福田靖、演出・渡辺一貴を見た。例によって、シナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は薩摩の二大英雄、西郷吉之助と小松帯刀の二大描き下ろしイラスト大公開。強く打てば大音量、弱く打てば小音量の打楽器・西郷と笛吹けば踊る才人・小松帯刀・・・薩摩に人材あふれんばかり。とにかく、上に立つものの器量は抜群のお国柄。しかし、そこに立つまでは粛清の嵐を超えなければならない修羅の道。殺伐さの滲み出る温厚さ・・・薩摩のぼっけもん(馬鹿)の迫力にお坊ちゃまの龍馬はたじたじなのですな。しかし、そこで呑まれることがないのが土佐のいごっそう(馬鹿)。馬鹿と馬鹿が出会えば馬鹿馬鹿しくも盛り上がるのが人の道でございます。仲を取り持つのはいなせ(馬鹿)な勝海舟。日本全国馬鹿祭り開催中でございます。天章院様もご照覧あれなのですな。一寸先は闇の政治の世界。必要なことができず、不必要なことを何故しなければならないのか。馬鹿のあつまりで賢いものが常に感じる疑問。しかし、その答えを得ることがなければめでたく馬鹿の仲間入り。教育って本当に難しい。それでも人は愛する人に言葉を贈るのでございますね。

Ryoma186404 元治元年(1864年)、夏。長州は前年の八月十八日の政変に始まる凋落の道に苦悶していた。池田屋事件、禁門の変、下関戦争・・・そして長州征伐である。過激派の弾圧、武力革命の失敗、対外戦争の敗北、そして朝敵として成敗される・・・ふんだりけったりである。その渦中で長州内部は激しい下克上の波に洗われていた。幕府に恭順する穏健派と幕政に徹底抗戦を叫ぶ過激派の血で血を洗う抗争はいったりきたりのくりかえしの果てに、四民皆兵を掲げた高杉晋作の奇兵隊、伊藤俊輔の力士隊など武装民によってついに討幕派によって統一される。四面楚歌に見える状況が長州の一致団結を生んだのだった。京都からの長州勢の駆逐の成功に気をよくした江戸の幕府閣僚は停止されていた参勤交代の復活など時代錯誤の政治を開始する。京都で孤軍奮闘していた一橋慶喜は江戸の愚かさに唖然とするのだった。朝廷の命により長州征伐を行う・・・その成り行きがすでに幕府の権威の衰えであることを慶喜は痛感していた。

江戸城大奥。表の政治の愚かさに天章院・篤姫は歯軋りをしていた。篤姫の私室には服部半蔵配下のくのいちお銀が参上している。

「馬鹿な・・・表のものどもは何を考えておるのじゃ・・・参勤交代じゃと・・・台所が火の車の各藩がそんな命に従うものか・・・従うものがなければ命を出したものの格はますます下がるのじゃ・・・そんな道理もわからぬか・・・長州征伐を見よ。総督となった尾張公慶勝も、副総督となった越前公茂昭も迷惑顔。まして、動員された諸藩は戦う気などさらさらないのだわ。しかも、軍事的裁量を薩摩の西郷に担わせるとは・・・どこの国に他国の陪臣を将軍にさせる法がある・・・あきれかえるわ・・・まして、政敵の足を引っ張るために海軍を解散させるなど・・・どれだけ亡国の輩が集っておるのじゃ。愚の骨頂とはこのことじゃ・・・」

お銀は平伏した。

「お城の表のものにはフランス国の魔のものが手を伸ばしておりまする・・・これらの毒牙に襲われたものは・・・しばらく理性を失うようにございます」

「わかっておる・・・大奥にその手がおよばぬように・・・薩摩十字の結界を張っておるのじゃ・・・あのものたちはなぜかクロスに心弱いようじゃからな」

「おそらく・・・伴天連の信仰が関与していると思われます」

「ふふふ・・・神なるものは常に正邪の極みにおわすもの・・・神君家康公が切支丹を禁じたのはその邪を嫌ったからじゃ・・・しかし、毒をもって毒を制する必要はある・・・勝に知らせよ・・・江戸に戻り、その時に備えよとな・・・西郷には妾が文を書くわ・・・」

神戸の海軍操練所には秋風が吹いていた。

その沖に英国軍艦「プリンセス・ロイヤル」を旗艦とする列強諸国連合艦隊が九隻からなる雄姿を現す。

「ふふふ・・・黒船か・・・」

勝海舟は火葬に伏した義弟・佐久間象山の骨壷を抱えて整備半ばの船着場に立つ。

佐久間象山は夏場に京都に潜伏していた尊王攘夷派に斬殺されている。海舟はその敵である幕府官僚との派閥争いに破れ、海軍を失っていた。

「まったく・・・右も左も馬鹿ばっかりで嫌になるぜ・・・せっかくの良港・神戸を横浜についで異人に献上して・・・何が尊王攘夷だ・・・何が公武合体だってえの・・・お先真っ暗とはこのことだぜ・・・なあ・・・友山さんよ」

「ふふふ・・・ここでカジノを張る夢はつぶれましたが・・・横浜に作られた競馬場とやらを京都に作る算段もありますしな・・・世の中に博打好きは尽きせぬのでおじゃるからの」

岩倉具視は勝の肩を抱いてつぶやいた。

「ともかく・・・異人どもが京に上ることはなんとしても阻止せねばなりませぬ」

「まあ・・・慶喜公がなんとか算段するだろうよ」

「そうでおじゃるな・・・魔のものに見入られながらもフランスのことはあの方にまかせるとして・・・問題は英国のパークス公使でおじゃる・・・」

「その手立ては江戸の奥の方から薩摩に伸びた手がなんとかしてくれるやもしれねえ」

「ふふふ・・・源平の昔から・・・強者を手玉にとるのは・・・公卿の習い。英仏と言えども京の都の百鬼夜行を簡単に扱えないことを知るでおじゃろうがのう・・・」

「こわい・・・こわいねえ」

勝は小石を拾うと黒煙を吐く沖合いの軍艦に投擲した。

「一昨日きやがれっ」

大阪の薩摩藩邸では坂本龍馬と西郷隆盛が会見していた。

「この度はご結婚おめでとうごわす」

「いやあ・・・お祝いに酒など贈ってもらい恐縮するきに・・・」

「坂本さあのご内儀は・・・安政の大獄で獄につながれたものの忘れ形見じゃとか」

「楢崎という医師の娘じゃき・・・」

「安政の大獄ではわが殿は命をなくし・・・おいどんもいろいろと難儀をしました・・・聞くところによれば・・・お内儀は苦界に身を沈めたこともあったとか・・・よくぞ・・・お救いなされたもんでごわす・・・」

「いや・・・そんなたいそうなもんじゃないきに・・・その・・・なんちゅうか・・・ものすごく具合のいい女での」

「ほほう・・・」

西郷は火傷した足を抱えて、身をのりだした。

「ぼっけえよか女子でごわすか」

「これがもう・・・たまらんきに」

海軍操練所の訓練生だった薩摩藩士ともども座は女談義で盛り上がる。

龍馬と西郷は意気投合した。

その頃、長州萩城下では井上聞多が暴漢に襲われていた。

「まあ、待つであります」

「問答無用・・・お上(毛利公)を惑わして藩の行く末を惑わせる奸臣とはお手前のことであります」

聞多は俗論派(佐幕)に斬られた。

虫の息から生還した聞多を暴漢が襲う。

「まあ、ちょっと一息つかせてくれであります」

「問答無用、尊王攘夷をないがしろにする異国かぶれめ、成敗するであります」

聞多は正義派(尊王攘夷)に斬られた。

静まりかえった路地に下関から力士を連れて登城していた伊藤俊輔が駆けつける。

「井上様・・・大丈夫でありますか・・・」

力士たちの足踏みの震動で再鼓動を開始した聞多は呻く。

「う・・・うーん・・・右から左からまさになます切りであります・・・もう少し寝かせておいてくれ・・・」

力士たちは血の海で鼾をかく聞多を囲んであきれたように顔を見合わせた。

「殿がお目通りを許される・・・」

武市半平太は夢見心地でその言葉を聞いた。

半平太は縄を打たれ目隠しをされたまま・・・獄舎を出る。

城内を勘で探れば、内庭に通されたことがわかる。しかし、そこには異様な空気が漂っていた。血の臭い・・・そして人々のうめき声。

「武市よ・・・久しいな・・・」

半平太は頭上に容堂の声を聞いた。

「御主が・・・わしのために忠義を尽くしたことはよくわかっておる・・・それを思うとわしは極楽絵図の心を知る思いがするものよ・・・」

「大殿様・・・」

「けんど・・・そのためにお前に心を寄せたものが味わう地獄もまた・・・いい酒の肴よ・・・」

「・・・」

「見るがいい・・・地獄を眺めながら味わう酒は格別ぞ・・・」

半平太は目隠しをはずされた。

獄の役人たちは赤鬼、青鬼に扮し、庭の各所で責め問いを行っていた。

土佐勤皇党の郷士たちは苦悶の声をあげている。あるものは逆さ吊りにされ、血の池に頭から落とされていた。あるものは裸で毬栗の上を転がされていた。あるものは獣のように四肢をしばられ火で炙られていた。

そして以蔵は目にも口にも耳にもそして尻の穴にも穴と言う穴に大小様々な杭を打たれていた。横倒しに縛られた体は時々痙攣をする以外に生きている証はない。棒杭からはどくどくと流血が続く。

「どうじゃ・・・半平太・・・これが・・・御主がしでかしたことの報いじゃ・・・」

「・・・」

「この地獄をなんとみる・・・」

「お、お許しくだされ・・・・お許しくだされ・・・お許しくだされぇ」

容堂はにやりと笑うと盃をあおった。

関連するキッドのブログ『第25話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『2010ワールド・カップ・サッカー決勝トーナメント日本VSパラグアイ』(くじ運万歳TBSテレビ)

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2010年6月27日 (日)

魔王・・・そして怪物くんへ(大野智)狼少女モネ(石井萌々果)

キッド的に残念無念だったのは・・・怪子ちゃん(上戸彩)ではなかったことだ。

まあ、怪子ちゃん(ベッキー)はものすごく順当なわけだが・・・順当すぎるじゃん。

怪子ちゃん(深田恭子)とか、怪子ちゃん(沢尻エリカ)とか、怪子ちゃん(堀北真希)とか、怪子ちゃん(大政絢)とか、怪子ちゃん(蒼井優)とか、怪子ちゃん(吉高由里子)とか・・・いろいろな妄想のキャスティングが~。

・・・どんだけ怪子ちゃんが好きなんだよ。

しかし、元祖触手攻めとも言える怪子ちゃんのゴーゴン・ヘア・プレーがないなんて・・・なんてスカシなんだよっ。

で、『もう帰ってきたよ!! 怪物くん全て新作SP』(100626PM9~)原作・藤子不二雄Ⓐ、脚本・西田征史、演出・松岡昌宏(他)を見た。実写版のファースト・シリーズは怪物くんの人間界修行を通じて、一種の情操教育ドラマとなっていた。勤労や友情の大切さをコミカルでありながらかなり道徳的に教える風があり、この枠の特性的にはかなりの成功例と言えるだろう。もちろん、そのベースには藤子不二雄風の道徳観という縛りがあり、道徳としては不適切な展開もあると考える向きもあるだろうが、それはそれである。

それに対して、今回のスペシャル版はエンターティメント色の強いオムニバス版になっている。

いわば、アニメ版に準じた趣向で、短編読みきりの面白さがフィーチャーされているのである。

幼児向けの娯楽作品として素晴らしい出来ばえだったと考える。

第一話「怪子ちゃんがやって来た!」

女性恐怖症である原作者のトラウマが遺憾なく発揮されたキャラクター怪子ちゃんがついに登場である。原作の怪物くんは「わがままの権化」というキャラクターなのだが、怪子ちゃんはその怪物くんも怖れる「わがままのカリスマ」なのである。しかも、基本的には怪子ちゃんは怪物くんにベタ惚れである。愛してくれる女性を潜在的に恐怖する。この屈折した感じがたまらなくユーモラスなのは間違いない。

いかなる事情でか、怪子ちゃんのゴーゴン・ヘア・・・怒り心頭に達すると髪の毛が触手のようにウネウネと伸びて、あらゆるものを巻き締めにするという怪子のオチ術・・・を封印したままで・・・怪子ちゃんの恐ろしいキャラクターをそれなりに演じたベッキーはさすがと言わざるをえない。

ヒロシ(濱田龍臣)は失恋で傷心。「あなたの顔が嫌い」と想い人に言われたヒロシ・・・そこで怪物くんは「人間は顔じゃない」と慰めようとして「人間の顔じゃない」と言い間違えてしまう。

一方、怪物くんは「恋愛」と「主従愛」の区別がつかず、親の決めた許婚の怪子ちゃんに「オレは恋をしている」と手紙を書いたため・・・怪物ランドからは嫉妬に燃えた怪子ちゃんが登場。

ウタコ(川島海荷)を恋敵と考えて対決を迫るのであった。

ここで怪物くんが大盛りカレーライスを食べているのを見て、「どうして、怪物くんだけ大盛りなの」と疑いの眼差しを向ける怪子ちゃんにウタコは「カレーが一番好きだから」と答えると「彼が一番好きですって!」と誤解する怪子ちゃん・・・たたみかけるようなだじゃれで嫉妬である。

ここでウタコもなんとなく怪子に敵愾心を燃やし始めるところが、ウタコを高校生設定にしたドラマ・オリジナルの展開の妙になってくる。

なんとなく青春なのである。

実は怪物くんは「ウタコを男だと思っている」というまだまだ初心なオスの怪物なのであるが・・・最後は「怪物くんをどれだけ知っているクイズ」に敗北し傷心のウタコを心の崖下に突き落としかねない本心を明かそうとして「オレはウタコの男だと思っている」と言い間違えてしまう。

この表面上は愛の言葉に怪子ちゃんはたちまちうっとりとなるのだった。

なかなか、おしゃれな言葉遊び展開だった。

次回、登場の際にはゴーゴン・ヘアの特撮を絶対に見せてもらいたい・・・。

第二話「名探偵ごっこ」

怪物くんが人間界のテレビドラマ「名探偵A」にはまるという展開。劇中劇の名探偵A(エース)を演じるのは藤子不二雄Ⓐである。

ウタコの大事なトロフィーを壊したのは誰か・・・を解明する推理劇。

はずされた窓枠・・・壁に残った血・・・メッセージの消えたオムライス・・・荒らされた室内・・・様々な謎を名探偵怪物くんが迷推理で解き明かす。お供の怪物たちはそれぞれに証言をするが・・・すべての真実はビデオカメラに収められていたという趣向。

フランケン(チェ・ホンマン)、オオカミ男(上島竜平)、ドラキュラ(八嶋智人)たちの姑息な嘘がしょうもなくかわいいわけである。

もちろん・・・真犯人は・・・そうとは知らない怪物くんだったというオチまでピタリと決まっている。

第三話「狼男が娘に出世したと嘘をつく話」

身内に出世をしたと嘘の手紙を出し、訪問する身内のために周囲を巻き込んで嘘に嘘を重ねる・・・定番の人情話である。

狼男は愛娘の狼少女モネ(石井萌々果)に「怪物王子からキャプテンと呼ばれるまでに出世した」と嘘をつく。モネが人間界にやってきたために・・・狼男は怪物くんたちに話を合わせてくれるように頼み込む。

まあ、この話は基本的にはやってくるのは母親で・・・すべてお見通しというのが決まりなのだが、やって来たのが娘というのがミソである。

とにかく・・・口元狼フェイスの石井萌々果が超かわいいのである。獣人愛趣味の諸君は一発昇天なのである。

それはそれとして散々に居丈高にえばり散らした狼男に対して「そんなお父さんはこわい」と泣き出すモネ。

狼男反省オチである。辛抱しきれずこっそりと手をハンマーに変えていた怪物くんもモネのかわいさに免じて狼男を赦免するのだった。

まあ・・・結局はコント仕立てになるわけだが・・・原作はそこそこ数があるわけで・・・こういうオムニバス形式でシリーズ展開するのも一興である。

とにかく、大野智演じる怪物くんは奇妙な味があることは間違いないだろう。

怪物くんは本来、不気味でかわいいキャラクターなのである。

それを大野智はある意味、完璧に体現しているのだ。

まあ・・・レギュラーにすると視聴率的に苦戦した「実写版・ちびまる子ちゃん」の二の舞になる可能性があるので時々スペシャルが無難でしょうけどねーっ。

関連するキッドのブログ『怪物くん

月曜日に見る予定のテレビ『月の恋人』(フジテレビ)

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2010年6月26日 (土)

生徒のための生徒会、生徒会のための生徒ですよヤンキー君(仲里依紗)メガネちゃんじゃねーっ(成宮寛貴)

一人は全員のために。全員は一人のために。

チームと個人の関係を示す名言である。キッドは映画「三銃士」だったか「四銃士」だったかで耳にした印象がある。

人類はチームを作ることでマンモスも絶滅させたし、空を飛べないくせに月に足跡を残した。

日本は和の国を名乗るようにこのシステムについてはある意味、熟練してきた。

そのためについには世界を相手に戦争をするまでになるのだが、その戦争の敗戦後、内外ともに和の力によって日本が強くなり過ぎないように工夫が凝らされてきた経緯がある。

たとえば・・・日本の人々は「忠臣蔵」が大好きなのである。家臣団というチームが敵討ちをするという物語である。そのために米国を中心とした連合軍の日本占領司令部はある時期まで「忠臣蔵」を禁止したりもしたのである。

その工夫のためにたとえば・・・「国家のための国民、国民のための国家」などというと危険人物扱いされる時代もあった。国民のための国家はあってもいいが、国家のための国民はあってはいけない・・・というのが正論とされたのである。

そんな馬鹿な話はないのである。一人のための全員だけがよくて全員のための一人がダメではチーム・ワークは成り立たない。

だから、沖縄県民が反対しているから沖縄県には米軍基地は作れないというおかしな主張がまかり通る。

沖縄県が日本国の一部である以上、日本国民の過半数が賛成ならば沖縄県には米軍基地は作れるに決まっているのが民主主義というものだ。

それに納得が出来ないのであれば、沖縄県は日本から独立すればいいのである。

もちろん、独立戦争となり、沖縄は火の海になるのである。

しかし、そんな馬鹿なことは・・・おそらくおきないであろう。沖縄県民は成人式に暴走しようがしまいが良識ある日本の国民だからである。

では、問題点はどこにあるのか。それはたとえば、軍組織というものの有毒性という偏見に要因がある。

沖縄に米軍基地があってそこに戦場では戦争をする職業の人々が集結している。彼らは戦場では殺し合いという非日常的な営みをするために、「殺人」が基本的に罪である日常で非合法活動を起こしやすい・・・という考え方がある。米兵が少女強姦だの自動車暴走だのと言う事件を起こす度にそれはすべて「日本国内に外国軍が駐留していること」が原因だと騒がれるのである。

しかし、日本の民間人が秋葉原で無差別に人を殺傷する事件がある以上、そういうことは軍民だろうが市民だろうがやるときはやるのである。

そして、そんな脅威とは比べ物にならない凶悪な事件を抑止するために日米同盟があり、沖縄には必要に応じた軍の配置がなされているのだ。

そういう前提を学校で義務教育できない・・・というのがまた・・・日本を抑圧するシステムの効果なのである。

なぜ・・・そうなるのか・・・経験で知っている人々は残り少ない。

人々はまるで平和が血を流さずに獲得できるものと誤解したまま、成人し、武力は悪、武人は悪人という洗脳によって間違った方向へ歩を進めている。

そういう人々は・・・もし戦争が起こった場合、日本を守るために戦った人々に石を投げる可能性がある。

現実に、自衛隊が違憲であるなどと唱える愚者は実在するわけである。

ベスト16に進出したサッカー日本代表に「他国に勝つなんてなんてひどいことをするんだ」と言う人はちょっと変わった人だと思うが・・・こと、武力にまつわる話となると日本人の心はゆらぐのである。

日本国民のための自衛隊員はOKだが、自衛隊員のための日本国民はNG・・・そんな寝言ではチーム・ワークは成立しない。

少なくとも・・・花と花の仲間たちはチーム・ワークの神髄と祖国防衛の意義を明らかにするのである。

・・・スタッフはきっとそういうドラマを作ってるつもりはないと思うぞ。

で、『ヤンキー君メガネちゃん最終回(全十話)』(TBSテレビ100625PM10~)原作・吉河美希、脚本・永田優子、演出・髙成麻畝子を見た。クライマックスで花(仲)の見事なバイオレンス・アクションがあるのだが・・・見事な演出だった。これを毎回見せるドラマではなかったのがちょっと残念な感じである。しかし、暴力を捨てて平和の道を歩く花が戦後日本のシンボルである以上、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍んだ花が最後の最後で爆発するという趣向は実に和の風味を感じさせて素晴らしいのである。

北朝鮮や中国の領海侵犯に我慢に我慢を重ねた日本が拉致事件発覚後、見事に北朝鮮工作船を撃沈し、事実の発覚を忌避する中国の反対に屈せず、証拠の工作船を引き上げる国家として当然の毅然とした態度をとったような爽快感があったもんね。

かっては阿修羅のように荒れ狂ったハリケーン・アダ(花)は祖父の優しさに包まれて穏やかに暮らすことに幸せを見出し、紋白高校の生徒会長として平和な日々を送っていた。

そこへかっての花にこてんぱんにやられたことを怨み、復讐に燃える長崎(古川雄大)が現れる。長崎は喧嘩に負けた腹立たしさ以上に、花が修羅場を忘れ平和に暮らすことを妬ましく感じ、因縁をつけずにはいられないのだった。

「昔、オレをあんなにひどい目にあわせたくせに高度成長して豊かに暮らすなんてあってはならないことだ」と憤怒に燃える長崎とその一派だった。

彼らが紋白学園を襲撃した時、花のすべてを知り、花によって平和のありがたさを知った大地(成宮)は・・・恩人の花を守るために自らを犠牲にして長崎たちが売る喧嘩を買い停学処分になるのだった。

すべては「ヤンキーだった過去を隠す花の秘密を守るため」なのである。

元ヤンキーではない元ひきこもりの千葉(小柳友)を除く、生徒会役員一同は大地の男気に萌えるのだった。

しかし、事情を知らない紋白高校の生徒たちは自衛活動と侵略戦争の区別はなく戦争には絶対反対なのである。

そのために大地の退学処分に反対する署名活動は進捗しない。

責任を感じた花は落とし前をつけるために長崎の元へ向かおうとするが、和泉(本郷奏多)はそれを制止する。

「大地は・・・会長を守るために殉じたんでさ・・・その意をないがしろにしないでおくんなさい」

花は唇を噛みしめるのであった。

大人しく謹慎生活を続ける大地の元へは千葉や練馬(鈴木亮平)などが激励にやってくる。しかし、大地はなすべきことをなした武人として潔く裁きを受ける覚悟ができていた。

ひそかに大地に心を寄せる凛風(川口春奈)は「仇討ちするならお供します」と申し出るが花は「あの人が私のためにしてくれたこと・・・無駄にはできない」と取り合わない。

しかし、和泉の旧友・香川(染谷将太)が人質にとられたために和泉が長崎との乱闘事件を引き起こし・・・生徒会の二人の副会長がそろって停学処分という不祥事に発展するのだった。

和泉「すまん・・・オレも停学に・・・」

大地「いちいち・・・報告すんなよ」

ついに堪忍袋の緒が切れた花は・・・決着をつけることを決意する。

退学届けとともに大地にラブレターを届ける花。

「いつもありがとう」・・・花の泣かせる文字に大地は花の決意を知る。

あわてて高校にかけつける花だったが・・・すでに花は校内放送で告白を終えていた。

「すべての原因は私にあります。私が元ヤンだったことがいけないのです。そんな私の過去を隠すために品川くんや和泉くんは犠牲になったのです。今の私が私なら昔の私も私・・・昔の行いが今を作るというのなら私はすべての責任を・・・」

そこへお約束で襲来する長崎軍団。

「ハリケーン・アダ・・・勝負を逃げても無駄なんだよ」

「受けてたってやる・・・でも金輪際うらみっこなしだよ」

圧倒的な実力差で雑魚たちを瞬殺する花。

長崎の必殺の一撃を息一つ乱さずに交わすと一撃で長崎に高速道路の支柱に人型をくりぬかせた上で、その体を冥王星の軌道まで射出するのだった。

・・・普通、長崎は死ぬよな。

覚悟を決めて教室に戻る花を笑顔で迎える千葉と凛風。

「会長・・・みんな品川くんたちのために署名してくれたよ」

クラスメートたちは口々に言う。

「品川くんや和泉くんは仲間を守るために戦ったんでしょ」

「私たちも仲間のために何かするのは当然よね」

・・・もちろん、花の実力を目の前で見た以上、逆らったら何をされるかわからないとクラスメートたちが考えたと邪推することもできるが・・・ここはみんなのための自分、自分のためのみんなという和の心がクラスに宿ったと心が温かくなるのが真の日本人の道なのである。

花と大地は仲間たちの暖かい心に触れ・・・ついに本当の居場所にたどり着いたのだった。

「花・・・もうありのままの自分でいいんじゃないのかな」

祖父(伊東四朗)の言葉に従い・・・メガネと三つ編みの偽装を解く花。

翌朝・・・大地は憧れのシャープペンの君を発見し、胸がときめく。

大地「は、はじめて会った時からずーっと好きでした。な、名前教えてください」

花「足立花に決まってるじゃありませんかー」

大地「えーっ・・・」

凛風「それで花さんはどうなんです・・・」

花「さー・・・・どうなんでしょうねえ?」

こうして、俺たちの学園ラブ・コメディーは始まったばかりだハッピーエンドの鐘が鳴り響くのだった。

花をお姫様抱っこした大地はマジ重かったらしい。

義務教育向けの道徳教育番組に是非推奨したいドラマです。

関連するキッドのブログ『第9話のレビュー

日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)『荒川アンダー ザ ブリッジ』(テレビ東京)

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2010年6月25日 (金)

ハルとナカジとコンビニで(上野樹里)かなりピンボケ(瑛太)

最終回の視聴率が↗10.8%である。恋愛の神様の脚本で若手ナンバーワン女優と若手ナンバーワン俳優のダブル主演。これでこの視聴率は実に微妙な平均11.2%なのである。

初回視聴率11.9%よりも平均視聴率が低く、平均視聴率よりも最終回視聴率が低い。これはある程度客が逃げたと言える傾向だが・・・それほど逃げなかったというポイント差でもある。

南アフリカ・サッカー・ワールドカップで日本がベスト16を決めた朝、マンガ喫茶で仮眠をとるという大学生カップルはこのドラマをどう見るのか感想を聞きたいものだと思ったのはキッドの他は数人だと思う。

「ゲゲゲの女房」の後の情報番組でセックスレス夫婦の特集を組んでいるとき、イノッチ夫人はオンエアをみていたのかどうかとか、有働アナはどの程度困惑していたのかとどうでもいいことが気になるときがあるのと同じくらい気になった。

ドライなのかウエットなのかもわからない・・・ある意味、心があるのかどうかもわからない若者たちのなう。

それを淡々と描いた秀作であると言ったら・・・まるで袖の下をもらったような気分になるドラマだった。

で、『素直になれなくて・最終回(全11話)』(フジテレビ100624PM10~)脚本・北川悦吏子、演出・光野道夫を見た。このドラマの最大の難点はTwitterドラマではなかったという点にあるのだが、スタッフは別にTwitterドラマを作るつもりはなかった・・・という言い訳は可能であろう。そもそも主人公周辺の人々にはTwitterで知り合うに足る共通の話題性はなく、お互いにフォローしあう関係だったかどうかも不明である。出会い系が恋愛の場なのか、ビジネスの場なのか・・・というのは主観の相違の問題だからである。

ホームレスすれすれのその日暮らしの人と都会の若者はほとんど区別がつかない場合があるのと同じくらいに。

ハル 私は学校の先生になりたかった・・・ただそれだけです。そのために一生処女でもいいのです。今も昔もそういう人は多いと思うなう。

ナカジ 多いかどうかは別としていてもいいと思うなう。

リンダ(天国からのメール)ナカジ、スキダ、ナカジ、スキダ、ナカジにキスしたい・・・ナカジを抱きしめたい・・・それからアレも。

ドクター 韓国チーム、最強伝説・・・。

リンダ(天国からのメール)ドクターもかわいい、ドクターにもキスしたい・・・ドクターを抱きしめたい・・・それからアレも。

ピーち ツイッターを使ったホラーものの方をまず試してみて・・・悪魔をフォローしちゃって呪われるとか・・・私ってきっと役柄限られるタイプの呪いがかかった気がする・・・。

リンダ(天国からのメール)ピーちとはトモダチになれる。リスカフレンドに。

ハル 私はリンダのこと忘れない。

リンダ(天国からのメール)ハルなんか死ねばいいのに。

ハル弟 ぼく・・・出番ありました・・・でもダ、ダイジェストあつかいって・・・。

妹(木南晴夏)ハルマキ・・・ハルサメ・・・ハルハル・・・それは私か・・トッキョタッワー!

ドクター 実は韓国に親の決めたフィアンセいました・・・ハルより美人でした・・・。

ハル ドクターは好きだけど・・・韓国には行かない・・・ナカジの方がもっと好きだから。

白髪鬼 オレって必要な役だったのかな?

姥桜 実は兄妹詐欺に必要だったのよ。

姥桜の夫 私と弟は影の薄い父子なのです・・・ふふふ。

ナカジ イラクにいって死体を撮るぞ~。

ハル 二週連続空港でラブ・スルーって・・・ぼぎゃあん。

ナカジ イラクで死体を撮って撮って撮りまくりなう。

トルシエ オランダ戦は二軍で戦うべきだった!

刑事 いや・・・実戦練習として結果オーライだよな。

オシム 殺せ、殺せ、殺し屋の魂こそがゴールにつながるのだ!

色男 本田本田本田本田・・・。

ジーコ ちっ・・・オレが無能みたいじゃないですか。

悪女 遠藤大爆笑フリーキック!

岡田 ふふふ・・・秘儀・死んだフリ・・・大成功!

マドンナ 本田ーっ・・・・岡崎・・・あーっ!の香りがするヒールパス&シュートねっ。

ハル ド、ドラマはどうなりましたか・・・。

ナカジ 地雷をふんだらグッドバイ!

ハル ナカジ、遅刻ですよ・・・。

ナカジ ハル・・・。

ハル ナカジ、手が冷たい・・・。

ナカジ ハル・・・。

ハル ナカジ、血まみれデス・・・。

ナカジ ハル・・・。

ハル ひぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ・・・なう。

キッド 情報産業の末端で小銭とわずかな名誉を得るために紛争地帯に飛び込んだまま、消息を絶ったすべての英霊に・・・黙祷・・・を奉げます。安らかに眠りたまえ・・・マイ・ディア・フレンド・・・。

関連するキッドのブログ『第10話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『タンブリング』(TBSテレビ)『もう帰ってきたよ怪物くん』(日本テレビ)・・・これは新たな最終回詐欺の手口か・・・。

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2010年6月24日 (木)

青い炎と水色の毛糸と灰色の囚人服のMother(松雪泰子)

似ているようで似ていないもの。

違うようで同じもの。

それは人間である。

つがいの籠の鳥は幸せか、不幸せかを考えない。

それを考えるのが人間である。

つぐみの母はつぐみを見失わないだろう。

いつも電信柱の影からそっと見守るからだ。

母と離れて暮らす娘は母を忘れないだろう。

大人になればなるほどわかる母の恩に心が揺れるから。

それでもつぐみは母を怨むだろう。

温もりが欲しいときにそこにいない母を。

だが・・・怨めば怨むほど・・・慕えば慕うほど・・・母の手の温もりは反芻される。

やがて・・・怜南がママを許す日が来るかどうかは・・・わからない。

仁美と葉菜は違う人間だし、怜南と奈緒も違う人間だからである。

繰り返される人間の営みは似て非なるもの、異なって同じものである。

しかし、それはよせてはかえす波のように続いていく。

水曜日のダンスは・・・。

「臨場」・・・17.9%↗18.6%↘16.7%↗16.9%・・・・・・↗18.6%↘17.0%↗18.6%↘17.2%↘16.2%↗18.6%↘17.0%

「Mother」・・・・・・11.8%↗12.0%↗12.8%↘10.0%↗11.9%↗13.9%↘12.4%↗14.0%↘12.2%↗14.8%↗16.3%

トレビアンなダンズざんした。

で、『Mother・最終回』(日本テレビ100623PM10~)脚本・坂元裕二、演出・水田伸生を見た。廻り行く季節。室蘭には冬の気配がある。渡り鳥は季節を追いかけて旅をする。母を求めて継美=怜南(芦田愛菜)はくりかえしくりかえし電話番号をプッシュする。

お母さん 

どうして迎えにきてくれないの

・・・ごめんなさい

・・・でもお母さんは

途切れる通話。

穏やかな空気のような職員は問いかける。

「怜南ちゃん・・・こんな夜にどこへ電話していたの」

「・・・あのね・・・天気予報」

「勝手に電話してはダメよ」

継美は知っていた。自分は囚われの子供であることを。

そして奈緒(松雪泰子)もまた囚われの母親であることを。

二人は籠の鳥である。その巨大な檻は大きすぎて目に入らないだけ。

葉菜は継美の嘆きが聴こえたように苦悶にあえぐ。

着てはもらえぬセーターを涙こらえて編んでいるのはこんな気分かと思う。

水色の毛糸で編むのは・・・手提げ袋だった。

葉菜は想像を楽しむ・・・継美は・・・これに何を入れるのか。

いや・・・と葉菜は思う。これを使うのは・・・奈緒・・・。

私の愛しい娘だ。

でも・・・もしかしたら・・・継美が使うことがあるかもしれない。

何か・・・奇跡が起きて・・・。

しかし、葉菜は思う。残された時間は短い。

死の気配が身体に満ちている。

奈緒は母親の病室を訪れる。継美のことで心は揺れているが葉菜のことでも心は定かではない。

主治医の袖川(市川実和子)が告げた言葉が重く心にのしかかる。

「こんなことを言うと・・・私はいつもううーっマンボ!になっちゃうんですけど・・・葉菜さんのその時は・・・もう、二、三日かもしれません。明日か・・・明後日には・・・逝かれることになるでしょう」

「・・・」

奈緒はやつれた葉菜を見る。長い歳月・・・怨み慕った母が目の前にいる。しかし、残された時間はあまりにも短いのだ。

葉菜は娘を見る。

弱いものを見捨てない娘。

誰もができないことをやり遂げる娘。

私の愛しい娘。

しかし、この子も死神には勝てない。それでいい。そのことに分別を持つ娘に育っている。私の命ある限り・・・私はこの子を守り抜いた。

それは誇らしいことだ。私の・・・面白い子。できれば最後まで見届けたいが・・・それは不自然な願い。こうして二人で一緒に過ごせることがもうすでに奇跡なのだもの。

「私ね・・・走馬灯が楽しみなの」

「・・・人生の最後に見るというパノラマ視現象が?」

「そう・・・それ。死ぬ間際に人生のすべてが一瞬で蘇るって・・・凄いじゃない」

「はいはい・・・」

「あなたと・・・二人で逃げ回っていた頃・・・富山から名古屋、名古屋から焼津、そして前橋・・・最後は宇都宮。何をやっても上手くいかなくて・・・不安で・・・おそろしくて・・・でもね・・・これは内緒だけどね・・・楽しかったの・・・あなたと二人で旅をしていることが・・・本当に楽しかった・・・それをもう一度楽しめるかと思うと・・・」

「私はほとんど覚えていないの・・・」

「いいのよ・・・どうせ、私だけが楽しめることなんだから」

「あのね・・・お母さん・・・家に帰ろうか?」

「いいのかしら・・・」

「いいと思う」

葉菜は悟った。人生を走馬灯のように回想する時はもうまもなくなのだ。

児童養護施設の怜南の元へ千葉の知人から差し入れが届く。食べ物の山の底にお年玉が入っていた。その中に一万円札を数枚、発見した継美は目を輝かせる。地獄の沙汰も金次第であるということを継美は理解している。

葉菜の心に眠る走馬灯の舞台の切符とは違い、東京行きの切符はお金がないと入手できないのである。

継美が一人旅に出発した頃、奈緒と葉菜は旅路の終着点にたどり着いていた。

理髪店「スミレ」にはつがいのインコが飼育されていた。

「まあ・・・」

「お店の人に聞いたの・・・お母さんがいつも見ていたって」

「でも・・・」

「一緒に飼おう・・・」

葉菜は幸せというものが次から次へとやってくることを知った。これが最後の晩餐というものなのね。死刑囚は最後に言い残す言葉を聞いてもらえるって云うし。

「とり・・・しらべを担当したのはあなただったとか・・・」

ハイエナの駿輔(山本耕史)は今や虚しさを感じつつ取材を続けていた。今は亡きスミレの夫(高橋昌也)は元刑事だったらしい。

「あの温厚そうな人が人を殺すとは思えないんですが・・・」

「あの人の夫はそりゃ・・・酷い男だったよ。酒を飲んではあの人に乱暴してね・・・でも、あの人の供述は一貫していた・・・いさかいの後で、カッとなってマッチで火をつけて娘と半年逃げ回った・・・それだけだ・・・」

「しかし・・・」

「世の中には男と女と・・・母親というのがいる。こいつが何をしでかすか・・・我々には永遠に謎なんだよ・・・お若い方・・・」

老いた猟犬は微笑んだ。ハイエナは閉ざされた真実に歯噛みをする。答えのない質問を重なれば謎は深まるばかりだからである。

奈緒は洗濯物を畳んでいた。葉菜は病床で編み物をしていた。

「洗濯機使いにくかったでしょ・・・炊飯器も」

「大丈夫・・・わかるから・・・それより寝てないとダメじゃない」

「今日は気分がいいのよ」

「ダメよ・・・寝てて・・・」

「ふっくらってとこを押すのよ・・・」

「・・・はいはい」

洗濯物をもって階下に降りた奈緒は物音に気がつく。

ドアを開けて継美が飛び込んでくる。奈緒が夢にまで見た愛しい娘。

・・・継美・・・?

継美だよ・・・誰だと思った?

・・・どうしてここに?

あのね

バスにのって室蘭から青い電車に乗って・・・函館から夜の電車に乗って・・・東京に来たの・・・それから銀色の電車に乗って・・・

・・・一人で?

一人できたの 千葉のおばさんがお小遣いをくれたの

・・・どうしてそんな危ないことをするのよ?

地図で調べたの

・・・この傷はどうしたの?

函館の階段で転んだの

・・・この傷は?

新宿で転んだの

・・・もっと大怪我したらどうするつもりだったの?

お母さん・・・継美はお母さんに会いにきたんだよ

もう・・・継美のこと嫌いになった?

もう・・・継美と会いたくなかった?

・・・会いたかったよ

奈緒は継美を抱きしめた。その背中を撫でた。その温もりを感じた。

奈緒は継美の涙に溺れそうになった。

継美は階段を駆け上がる。

まどろむうっかりさんにボディー・プレスの一撃。

うっかりさんはうーっマンボ!になるのだった。

窓際の鳥かごを発見した継美ははしゃぐ・・・。

「うっかりさん・・・もう、お昼だよ・・・あーっ、鳥さんがいる」

葉菜は夢から醒めつつ、継美を抱きとめようとする。そして奈緒を振り返った。

「・・・あの雑誌記者の人に相談してみます・・・お昼を食べてから」

継美は生姜をすった。今日は釜揚げうどんだった。

「あのね・・・うっかりさん・・・どうかしたの?」

「・・・別に・・・」

「・・・」

「病気なの・・・あまりよくないの」

「そう・・・」

継美は無心で生姜をすった。

「まあ・・・上手ね」

葉菜は起き出した。蝋燭の炎が消える前に一瞬輝く時間に入ったのである。

うどんの宴が始まった。

この柚はゆずれん

だじゃれパーティーだった。

・・・このカレーは辛れ~

15点・・・

・・・えー、15点?

うっかりさんは母の母として見本を示す。

・・・・・・チアガールが立ちあがーる

80点

座は盛り上がった。

継美「家に帰ってきたよ・・・イエーイ」

奈緒「このすいかは美味すいか?」

継美「23点」

葉菜「マスカット食べたらまあ、スカッとした・・・たらこを食べたら働こ~、眉毛からまあ、湯気が出た!」

継美「・・・」

葉菜「あら・・・受けなかったかしら・・・」

継美「うっかりさん・・・病気・・・治るよね」

葉菜「もちろん・・・継美ちゃんとあったら・・・すごく元気が出てきたし」

継美は奈緒を見た。奈緒の表情から継美は察した。

この世には不思議なことがある。

最終電車の運転手はどうやって帰るのか?

ラムネのビー玉はどうやって壜の中に入れるのか?

人は何故死ぬのか?

継美はそういう不思議なことが気になる子供だった。

ハイエナは超スピードで望月家を訪問した。

「もう・・・施設から捜索願いが出ている。そのうちに・・・この家や鈴原家にも連絡があるだろう・・・通報するなら今するべきだ」

「とにかく・・・今晩はこの家に泊めて・・・明日、私が室蘭まで送るわ」

「とにかく、一日が限度だ・・・大事になったら・・・また連絡するけど・・・それで・・・済むのか?・・・また同じことをくりかえすんじゃ・・・」

「大丈夫」

「鈴原さんには・・・」

「さっき連絡したわ・・・」

その時、鈴原一家ご一行がにぎやかに登場した。みんな・・・継美のファンなのである。

再会を喜びあう女たちを残して、ハイエナは葉菜の元へ忍び込んだ。

「真相を話してくれとはいいません・・・ずさんな犯行だと聞きました」

「・・・」

「火をつけたら・・・奈緒さんを巻き込む恐れがあったことを・・・あなたが考えないはずはない」

「・・・」

「この事件には・・・もう一つ・・・真相があるはずです・・・たとえば母親が娘を守るためにおこした事件だったりとか・・・」

「そういうのは・・・男の人の幻想ですよ」

葉菜は悪戯っぽく微笑むのだった。

ハイエナはもやもやした。

女たちはガールズトークに突入した。

果歩(倉科カナ)の恋人の耕平(川村陽介)は仔犬のようにハイエナと合流した。このドラマに男の居場所はないのだった。

継美「大きくなったね」

芽衣(酒井若菜)「もうすぐ生れるよ」

果歩「なんだか、朝ドラマのお正月みたい」

藤子(高畑淳子)「っていうか、ガールズトーク」

芽衣「わー、ガールズに入っちゃったよ」

藤子「まだまだガールズよ、ねえ」

葉菜「はい」

芽衣「ガールズはお土産にあんみつ買わないでしょ」

藤子「あら、スイーツに和も洋もないわよ」

葉菜「昔、デイトの帰りによく・・・食べました」

奈緒「まあ、お母さん・・・デイトなんて」

果歩「継美ちゃんは好きな男の子できた?」

継美「いっぱいいるよ」

芽衣「まあ・・・」

藤子「娘を見習ってほしいわよね・・・いい年して・・・」

葉菜「一回も・・・してないの・・・」

奈緒「一回くらいは・・・」

葉菜「そう・・・一回はあるのね」

奈緒「もう・・・やめて~」

つかの間の幸せに浸る女たちだった。

女たちは記念撮影をした。

藤子の二人の娘と、奈緒の二人の母と継美・・・そして芽衣の娘。

帰り道・・・果歩は耕平を飼いならす。

果歩「子供は三人くらい欲しいなあ」

耕平「就職活動頑張ります」

妹の調教ぶりを見るうちに芽衣は産気づいたのだった。

昇り行く太陽、沈み行く月。生と死は常に隣り合わせる。

葉菜は継美と奈緒の髪を切った。

「昔は・・・みんなお母さんが娘の髪を切ったものよ。奈緒の髪も私が切ったし・・・私の髪も私のお母さんが切った・・・」

「うっかりさんにもお母さんがいたの?」

「いますよ・・・みんなお母さんから生れてくるんです」

継美の心の中で疼くものがあったが・・・うっかりさんは気がつかないふりをした。

うっかりさんは心をこめて生さぬ仲の孫の髪を切る。

奈緒は葉菜から祖母の写真を見せられる。

「この人がお母さんのお母さん・・・」

継美は鏡を見ておしゃれな気持ちが高まった。

「この髪だとスカートの方が似合うかしら」

それは口実で・・・継美はお母さんにうっかりさんと二人きりの時間を作ってあげようと判断したのである。

「お母さん・・・私・・・あの子と離れられるかな・・・こんなに何もしてやれないままで」

「私と奈緒は会えたわ・・・三十年かかっても・・・」

「・・・」

「あなたと継美ちゃんはこれからよ。あの子が大人になった時・・・あなたに何かしてもらったかどうか・・・あなたのことをどう思うのか・・・それはまだ始まったばかりなのよ」

葉菜は奈緒の髪を切った。

「こうしていると・・・幸せだったあの頃と同じ気分になるわ・・・幸せで」

奈緒は葉菜の手の感触に記憶が蘇るのを感じた。

「お母さん」

奈緒は縁側で手鏡を持って母に髪を切ってもらう自分を意識する。

「なあに・・・」

手鏡に映っているのは・・・。

「あのね・・・」

若き日の母の顔だった。

「どうしたの?」

「私・・・思い出した・・・お母さんの顔・・・思い出したよ」

「・・・」

葉菜は喜びを感じた。娘が喜んでいるのがわかったからだ。

やがて・・・最後の一日が終ろうとしていた。

継美を寝かしつけ、葉菜はその隣に身を横たえる。

「やれやれ・・・どうにか間に合いそう」

葉菜は仕上がりかかった編み物を見つめる。

「お母さん・・・今度・・・二人で逃げていた頃の話が聞きたいな」

「長い長い話になるよ」

「長い長い話を聞くわ」

「奈緒・・・私はあなたと・・・ずっと一緒にいるよ」

「お母さん」

「本当に・・・この世は不思議なことだらけだわ・・・継美ちゃん、この子、本当は天使なんじゃないの」

葉菜は眠りについた。

奈緒はその日の最後の仕事として手紙を書き始めた。

長い長い母と娘の時間を始めるために。

いつものように酒の入った葉菜の夫は葉菜を殴る蹴るの乱暴狼藉の後、鼾をかいて眠り始めた。葉菜は娘の奈緒の眠る寝床に向かった。そこには娘はいなかった。葉菜が娘を探すうちに火の手が上がっていた。

すでに炎は燃え上がっている。その炎を奈緒は見つめていた。夫はすでに炎の中にいた。

葉菜は娘の手をとった。

逃げなければいけない。

この火から。この夜から。この世のすべてから。

ありがとう・・・奈緒。

ありがとう・・・お母さんのために・・・。

弱いお母さんでごめんね・・・奈緒。

でもね・・・やったのは私だよ。

お母さんのやったことだから。

みんな忘れてしまいなさい。

・・・お母さん、どこへ行くの?

さあ・・・どこに行きましょうか。

・・・ふふふ。

ふふふ。

葉菜のための招待状のないショーは終焉した。

朝市に出かけるために継美は目覚める。

お母さんが大根を刻む音がする。

「お母さん、おはよう」

「おはよう」

「あのね・・・うっかりさん、まだ寝てるの」

「寝かしておいてあげて」

奈緒はネギを刻み始める。

花瓶の花は萎れている。

「でもね・・・朝市に行くんでしょ?」

「そうね・・・じゃ・・・おこしてあげて・・・やさしく・・・ホッペのところをつんつんして」

「わかった・・・うっかりさん・・・うっかりさん・・・朝ですよ」

鳥は女を見下ろしていた。たくましい働く女だ。女は急ぎ足で道行きながら携帯電話をかけている。

「ああ・・・奈緒・・・お母さん・・・朝早くから、ごめんね・・・芽衣が男の子を生んだの・・・心臓の手術があるから・・・まだ抱っこもできないんだけど・・・」

鳥は見た。女の足が止まるのを。女は鳥を見上げた。鳥は超音速で飛び去った。

空に残る一筋の飛行機雲。

藤子は新生児を見守る芽衣を見舞った。

「お母さん・・・少し出てくる・・・」

「何かあったの・・・」

「葉菜さんが・・・今朝、なくなったの・・・」

「・・・」

「命って・・・不思議だわ・・・この子はきっと丈夫に育つよ・・・」

「そりゃ・・・そうよ・・・私の子供だもの」

はかない命はまだまどろみの中にあった。

継美は好きなものノートに「うっかりさん」を書き加えた。

継美は知っていた。死んだら人は・・・思い出だけになることを。

奈緒は継美に告げた。

「もうすぐ・・・鈴原のお母さんがここにくる。そうしたら荷物をまとめて家を出るのよ」

「どこに行くの?」

「室蘭に・・・施設に戻るのよ・・・お母さん・・・近くまで送っていくから・・・」

「鳥さんに・・・お水をあげなくちゃ・・・」

継美の心は乱れた。お母さんは私を捨てるつもりなのか。

手が震え、水の入ったグラスを落とす。

あわてて・・・タオルで床を拭う継美。

「お母さん・・・お母さんは・・・継美のこと・・・嫌いになったの」

「嫌いになんかならないよ・・・」

「じゃあ・・・どうして・・・お母さん・・・やめちゃうのよ」

奈緒は継美をひざの上に抱き上げた。短い間に大きくなった継美の重みを感じる。

「・・・憶えているかしら・・・継美・・・二人で渡り鳥を見に行った時のこと・・・あの時、四月一日だからお母さんになるって嘘をつくって言ったでしょう・・・でも、今度は嘘じゃない。今度は私は本当に継美のお母さんになる。だから、お母さんをやめたりしない」

「・・・」

「・・・だから・・・いつかきっと継美はお母さんと会える・・・お母さんがお母さんと会えたように」

「いつ・・・いつあえるの・・・」

「・・・継美が大人になった時」

「いやっ・・・そんなに待てないよ・・・会えない時間が愛育てるのさ目をつぶれば君がいるなんて嘘だってひろみちゃんが言ってたし、それに大人になったらお母さんのことわからなくなっちゃうかもしれないよ。すれちがっちゃうかもしれないよ」

「・・・大丈夫、お母さんが必ず継美を見つけるから」

「顔が変わっても?・・・背が変っても?・・・」

「・・・絶対、見つけるから・・・」

「お母さん・・・」

「・・・泣かないで」

「無理だよ・・・だってお母さんも泣いてるもの」

「・・・」

喪服の女たちが葉菜の周囲に集まった。藤子は死に装束を用意した。

「後のことは・・・まかせなさい」

「・・・お願いします、お母さん」

「・・・」

「継美・・・うっかりさんに別れの挨拶をしましょう」

「・・・」

「お母さん、継美を送ってきます」

「うっかりさん・・・鳥さん、もらうね・・・うっかりさん・・・元気でね」

袖川医師はうーっマンボ!になった。

行きは母を訪ねて一人旅、帰りは別れのための二人旅である。

旅路はあっという間に尽きた。

「前の席の人・・・ウトウトしてたね」

「・・・気持ちよさそうだったね」

「・・・」

「・・・どっちかな」

「あっち」

「・・・じゃあ・・・ゆっくり歩いて行こうか」

「ゆっくり歩いて行こうか」

継美には大きい葉菜の手編みの袋、葉菜からもらった鳥かごを継美は両手に下げた。

二人は遊びながら他人の家路を辿る。

そこへ・・・怜南の同級生と母親が通りかかる。

母親は怜南と奈緒の関係をいぶかしむ。怜南は小さく手を振って別れを告げた。

奈緒は手をふりかえした。

唐突に去って行く継美。バス停に戻り座り込んだ奈緒はその顔を反芻する。

悲しみをこらえる・・・継美の暗い顔。捨てられた子供の顔。

奈緒は立ち上がった。

継美は別れ道で母娘と別れた。母娘は手を繋いで去って行く。

継美が奪われたもの。うらやましくてうらやましくて走り出す継美。

しかし、息は切れ・・・鳥かごを下ろす。

そこに奈緒が追いついた。

二人の間に広がる道程。

「お母さん・・・もう淋しくなっちゃった?」

「・・・悲しい顔で別れるんじゃなくて・・・もう少しお話ししましょう・・・」

首を振る継美。

「見ていて・・・継美は・・・ちゃんと一人で帰れるから」

「そう・・・でも・・・お母さん見ていられるかな」

奈緒は涙ぐむ。

「悲しいの・・・?」

「・・・ううん・・・うれいしの」

「うれしいのに泣くの・・・」

「・・・うれしくて泣くときもあるのよ・・・」

「じゃあさ・・・好きなもののことを話すといいよ・・・好きなもののことを話すと楽しくなるから」

「・・・そうだったわね・・・じゃ・・・夜のプール」

「かさおばけ」

「8月31日」

「電車の中で鼾かいてる人」

「キリンは牛の種類ってこと」

「そうなの?」

「脊椎動物亜門哺乳綱鯨偶蹄目ウシ亜目キリン科よ」

「相合傘」

「おませね・・・靴箱からはみ出した長靴」

「台風のどどどどどっどーって感じ」

「朝の光・・・」

「お母さんの変な眉毛」

「継美のしゃなりしゃなりとした歩き方」

「お母さんが洗濯物干しているとこ」

「継美がそわそわしているとこ」

「お母さんの・・・声」

「継美の書いた字・・・」

「お母さん・・・」

「継美・・・」

「お母さん」

母と娘は抱き合った。

奈緒はうっかり書いた手紙を渡し忘れているのに気がついた。

「・・・これ、継美が二十歳になったら読んでほしい」

「うん」

「じゃ・・・お母さん・・・ここで見てるから・・・」

「うん」

「お母さん・・・ずっと見てるから」

「うん」

継美は他人の家路を辿る。

この世界には不思議なことが満ちている。

お互いを慈しみあう母と娘が離れ離れで暮らさなければいけないこと。

この世に産み落とした子供をゴミのように捨てる母親がいること。

赤の他人の子供を拾い上げる人間がいること。

命を助けた人間が罪に問われること。

それでも命を助ける人間がいること。

それが継美のお母さんであること。

継美は不思議な問題を何度も何度も考えるだろう。

そして少しずつ大人になっていくだろう。

そしてその度にお母さんを奈緒という人間をどんどん愛おしく感じるようになるのだ。

その人は今、私を見守っている。

これからも私をきっとずっと見守っている。

継美はそう考えて・・・心から微笑んだ。

奈緒は踵を返した。東京には母の葬儀が待っている。そして・・・継美の母親としてしなければならないことが山のようにあるのだ。

白鳥園に戻った継美は少し叱られた後で二段ベッドの上に上った。

そしてお母さんの手紙を開いた。

子供は親の言いつけを守らない生き物だからである。

継美へ

あなたは今、怜南と名乗っていることと思います。

でも、私にとってあなたは今もそしてこれからもずっと継美です。

この手紙は12年後のあなたに書く手紙です。

二十歳になったあなたに向かって書いています。

でも、我慢できなくてこっそり読んでしまっても

お母さんは許します。

でもいつか大人になったあなたも読んでくれることを願っています。

あなたはうっかりさんのことを憶えているかしら?

私のお母さん。

あなたのお祖母ちゃん。

もしも、私があなたの母にならなければ

私はお母さんと出会うことができなかったかもしれません。

あなたの母になったから

私はお母さんを最後の最後に愛することが出来ました。

世界には不思議なことがありますね。

渡り鳥はどうして迷わないか・・・知ってますか?

鳥たちは星座を道しるべにしているのです。

いつも北にある北極星。

そして空をめぐる星座たち。

鳥たちはその位置を覚えて旅をするのです。

鳥たちはひなのうちに星座の地図を覚えるのです。

私は明日・・・あなたを連れて室蘭に向かいます。

そしてあなたに別れを告げるのです。

母と娘として

会うことも許されない私たち。

母と娘と名乗ることも出来ない私たち。

それでも私は信じています。

私と私の母が再びめぐり合えたように

私とあなたがいつかまた手と手を重ねる日が来ることを。

幼いあなたと手をつないだ日々の出来事が

私とあなたの道しるべになるからです。

二十歳になった継美

あなたはどんな女の子になっているでしょう。

小さな靴をはいていたあなたは

おしゃれで少し踵の高い靴をきっと履いている。

私はなんて声をかけようかしら?

私が誰だかわかりますか?

今でも水色が好きなのかしら?

椎茸は好きになりましたか?

彼氏はいるのかしら?

もし、よかったら、うどんでも食べませんか?

継美、元気ですか? 継美。

二十歳になったあなたと出会うことを考えると

お母さんは胸がドキドキしてきます。

あなたに出会えてよかった

あなたのお母さんになれてよかった

今の私にはあなたと過ごした季節が

すべてです。

そして・・・これからあなたと再び出会う季節は

私にとって宝箱なのです。

あなたは私の宝石です。

愛をこめて

母より

追伸。クリームソーダは飲み物の種類ですよ。

継美は手紙をうっかりさんバッグにしまった。今夜・・・もう一度読むために。

きっと20才になる前に・・・手紙はボロボロになってしまう。

でも・・・コピーをとっておけば大丈夫だと継美は考える。

そして好きなものノートに書き加える。

お母さんからの手紙

ハイエナは聖なる母に敗北した。崇めることも貶めることも結局は同じというのがハイエナの生きる道だからである。だからといってハイエナも死肉を食らわねば生きていけないのだ。そしてハイエナにも聖域はあるらしい。

そして・・・季節は流れた。藤子の服を着た葉菜のような奈緒の後姿と・・・仁美のような顔をしたおしゃれな継美は向かい合い微笑んで喫茶店のクリームソーダを注文する。

時は2022年。第22回のサッカー・ワールドカップの開催地はまだ未定である。

すべての「Mother」に幸いがありますように。

関連するキッドのブログ『第10話のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『子役オールスターズとハガネの女』(テレビ朝日)『岩佐真悠子のトラブルマン』『里久鳴祐果の大魔神カノン』(テレビ東京)『仲里依紗のヤンキー君とメガネちゃん』(TBSテレビ)

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2010年6月23日 (水)

そんなバナナと絶対零度の女刑事はつぶやかない(上戸彩)口紅将軍だったんですーっ(加藤あい)

だが・・・キッドはそんなバナナと言いたい気分である。この世界の鑑識&科捜研は根こそぎ拾わなすぎなのである。

前科者と刑事捜査官のデータの差し替え・・・指紋採取の段階で・・・容疑者の指紋が容疑者宅から全く採取されない異常さが大問題になるはずである。

っていうか・・・被害者の指紋がどんどん採取されるわけである。

そうなると被害者の自宅からの指紋採取をしてもたくなるのが人情で・・・そうなれば被害者宅からは容疑者の指紋が多量に採取され・・・妻(紺野まひる)の不倫関係のもつれが浮かび上がる。

っていうか・・・容疑者の金融会社から被害者の金銭貸借リストが浮かんで物議をかもすはずである。

そんな諸を一刑事がもみ消すのは不可能だ。

だから・・・例によって呪文を唱える必要がある。

コレハドラマダカラウンケンソワカー、悪霊退散!

・・・ふう。

火曜日のドラマ対決は①「チーム・バチスタ2」↘15.1% ②「絶対零度」↘12.8%

平均では「チーム・バチスタ2」14.4%、「絶対零度」14.4%なのだが小数点第二位までいくと、「チームバチスタ2」が上回っている。・・・いい勝負だった・・・。ある意味、低レベルで。

で、『絶対零度~未解決事件特命捜査~・最終回』(フジテレビ100622PM9~)脚本・酒井雅秋、演出・村上正典を見た。ひとまわり(十二支で)前のパソコンにはOSにWindows98が入っている。まるで12年前にはそれを分析する技官がいなかったような話である。1998年・・・百瀬刑事(黄川田将也)は射殺後、焼却された遺体となって発見される。死体が特定されたのは残された結婚指輪が百瀬のものだったから。百瀬は美人妻(紺野まひる)と心臓疾患を抱える幼子を残したまま消えたのだ。しかし・・・百瀬の残した多額の生命保険金で高額な手術費をまかなうことが出来、2010年、百瀬の愛児は少年野球に熱中するまでに成長した。

容疑者の組織暴力団関係者・橋本(青木伸輔)は12年間、所在不明である。

いつもなら時効が迫るので百瀬の親友だった山口刑事(袴田吉彦)が執念を燃やすという手もあるのだが、殺人事件など重要事件の時効が廃止された今、再捜査開始の理由がなかなかに難航している気配がある。

「第ニの銃弾があって・・・共犯者浮上・・・ってのはどう?」

「そんなの最初の捜査でわかるだろう・・・」

「じゃ・・・別事件の現場から容疑者の指紋採取というのは・・・」

「まあ・・・使い古された手だが仕方あるまい」

などと意見が交わされるうちになんとなく再捜査が始まった感じは否めない。

最終回にしてこのグダグダ感・・・たまりません。

登場した瞬間に真犯人の臭いが漂う百瀬刑事の上司・中馬刑事(北見敏之)である。

さて・・・上司が部下を説教する決まり文句の一つに「ここは学校じゃないんだ」とか「オレはお前の先生じゃないぞ」があるわけだ。教育現場と仕事現場は違う「甘え」は許さないという意を含んだ教育的指導である。ついでに言うと学校では教師が生徒に「オレはお前の親じゃない」という教育的指導がある。

つまり、社会よりも学校、学校よりも家庭が甘やかし許されるという前提である。

しかし・・・桜木刑事(上戸彩)についていえば・・・現職の刑事であるにも関らず、長嶋室長(北大路欣也)からは毎回、事件とは無関係の宿題を出され、まるっきり、上司と部下である前に教師と生徒の関係だし、倉田係長(杉本哲太)からは職場でのお泊り用に寝袋を誕生祝いにプレゼントされたりして上司と部下である前に父と娘のような関係なのである。

一体・・・今の世の中は・・・そういうベタベタした人間関係がもてはやされる時代なのだろうか・・・。

いや・・・その前に・・・警察がそんな甘えた関係に溺れてシビアな捜査ができるのか・・・とか・・・いろいろ考えてしまう展開なのである。

まあ・・・それはそれとして・・・百瀬刑事の遺品の手帳を分析した桜木は・・・百瀬の行きつけの神社で真新しい百瀬の筆跡のある絵馬を発見する。

それは少年野球でヒットの打てない息子のための「安打祈願」の絵馬だった。

「百瀬刑事・・・生きてるじゃん」

たちまち・・・被害者の百瀬刑事と容疑者のチンピラ橋本の立場は入れ替わる。

仕方なく、高峰刑事(山口紗弥加)は橋本の母(田島令子)に謝罪に行く。

「すみません・・・息子さんは人殺しじゃなくて被害者でした」

橋本の母は主人公グループを悪者にしないために裁けた母親を演じるのだった。

「この殺人警察!とは・・・言わないわ・・・正直でよろしい」

まあ・・・ワシントン大統領の父親みたいな母親もいないわけじゃないだろうけどな。

最後まで息子に甘かった母親の対応としてはものすごく不自然であるとは言える。

やがて・・・息子の手術代欲しさに死体入れ替え保険金殺人を犯した百瀬は少年野球場近くの工場に勤務している男であることが特定される。

最終回なので桜木刑事は手錠を嵌める特権を与えられる。

「息子を殺人犯の子供にしたくない・・・」という百瀬だったが・・・手柄は譲れないのだった。

どうせなら・・・「橋本のお母さんは・・・殺人の容疑者の母親として・・・12年間も苦しんだんですよ・・・無実で・・・しかも殺された被害者の母親なのに・・・彼女にどう償うつもりです」くらいは言ってもよかったな。

子供に優しいアイドル女優が演じる主人公の刑事という設定が前提にある。

そのために子役に気をつかいすぎて・・・他の点に気がまわらない・・・困った脚本であるとは言える。

まあ、はっきり云うと、なんじゃ、こりゃである。

ま・・・もしも続編作る気なら・・・ミステリーの筋立てを充分に練ってからチャレンジしてくれるといいなあ・・・ついでに・・・人間の本質に対する考察ももう少し・・・ね・・・と星に願うのである。

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

で、『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋・最終回』(フジテレビ100622PM1010~)原作・海堂尊、脚本・後藤法子、演出・今井和久を見た。それなりに見応えのある最終回の攻防・・・そして奇跡のハッピーエンド・・・さらに俺たちの戦いは始まったばかりだスペシャルである。

まあ・・・エンターティメントだからな。

寺内(でんでん)殺し・佐々木(堀部圭亮)殺しの犯人は・・・花房(白石美帆)と思わせておいて・・・やっぱり・・・栗山(浅見れいな)と思わせて・・・結局・・・鴨志田議員(本田博太郎)の秘書・岡村(吉家章人)で決定。

しかし、鴨志田は「すべて秘書のやったこと」でとかげの尻尾を切る。

本田博太郎万歳である。

理想の病院建設記念パーティー。そのスピーチの最中、峰不二子が登場する。

「こちら・・・理想の病院の療養所建設予定地から・・・生中継でお届けします。おや・・・こんなところで掘削作業が・・・ああー、あれはなんでしょう・・・、いかにも産業廃棄物なドラム缶が大量に埋蔵されている模様です・・・」

銭形警部「おやー、これはなんとPCBですぞ・・・ものすごい環境汚染物質が・・・こんなに大量に・・・これは大変だー」

しかし、鴨志田はすかさず「まったく知らなかったとはいえ、この鴨志田私財を投げ打ってでも浄化に努めます・・・なにしろ・・・すべて秘書のやったことなのです」

本田博太郎、万々歳である。

やがて・・・ナース藤原(名取裕子)が登場し「血まみれ将軍じゃないの・・・ドクター速水は女装癖があって時々、口紅を塗るから口紅将軍なの」と真相を暴露する。

お互いに相手が犯人だと思い・・・庇いあっていた速水と花房。

速水「君のために金時計を売って髪飾りを買ったんだ」

花房「あなたのために髪を売って金時計の金の鎖を買ったのよ」

和泉(加藤)「誰が賢者の贈り物の話をしろと・・・」

しかし・・・和泉は速水と花房の腐れ縁の深さを知り、身を引くのだった。

そして・・・速水は危篤状態に。

和泉「結局・・・私は女として負けたし医者としても負けるのね」

白鳥(仲村トオル)「いや・・・お茶の間は何でもいいからハッピーエンドが見たいんだ・・・ここは速水の誤診で処理する」

田口(伊藤淳史)「医者の不養生は定番ですものね」

高階(林隆三)「自分のことは自分ではわからないものだからな」

田口「院長・・・いつの間に」

和泉「なるほど・・・心不全は悪性リンパ腫が心臓に達したためではなく、悪性リンパ腫で抵抗力の劣った体が単なる感染症に侵されたオチですか」

白鳥「いかにも海外ドラマからのいただきの臭いがするがオリジナルと言い張って大丈夫」

田口「厚労省のお墨付きが出ましたか」

花房「彼・・・助かるの・・・」

和泉「助けます・・・私は医者ですからーっ」

白鳥「よーし、大団円だー」

そこで大規模爆発事故発生・・・混乱のうちに県外から応援のドクター・ヘリが飛来する。関西テレビ・フジテレビの枠を越えて友情の花が咲き誇るのである。

もちろん・・・制作費に限度があるのでドクター・ヘリ・チームは出ませんし、ドクター・ヘリは模型です。

木曜日に見る予定のテレビ『女刑事みずきスペシャル』(テレビ朝日)『恋とオシャレと男のコ』(TBSテレビ)『素直になれなくて』(フジテレビ)『プロゴルファー花』(日本テレビ)

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2010年6月22日 (火)

月影の恋人が・・・ってないのかよ(谷村美月)陰日向に咲く女(宮﨑あおい)

・・・というわけで・・・爆笑の「北朝鮮VSポルトガル」が本気出したヨーロッパの鬼強さを予感させるわけである。

最終回の季節に一回休みの「月の恋人」・・・そのために何をレビュー対象にするか迷うのだが・・・ここは例によってテレビでオンエアされた映画ということになる。アニメ「荒川アンダー ザ ブリッジ」というのも捨てがたいが所詮、テレビ東京だしな。

実はたまっていました。

で、本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「ヤンキー君とメガネちゃん」↘10.1%(ゲストなしでもねばったな)、「ハガネの女」↗*9.9%(かわいい視聴率キター)、「タンブリング」↘*4.0%(視聴率があってよかった・・・)、「日本VSオランダ」43.0%(タンブリングの10倍か・・・負け試合なのでカメルーン戦より下がったけどな)、「龍馬伝」↗20.3%(うーみーとったな)、「新参者」↗18.7%(沢木ルカとったな)・・・以上。

いつの間にか・・・みんな最終回だったな。

で、『陰日向に咲く(2008年劇場公開)』(日本テレビ100528PM9~)原作・劇団ひとり、脚本・金子ありさ、監督・平川雄一郎を見た。ドラマ「Stand Up!!」(2003年)の脚本・演出コンビである。なんとなくスタイリッシュというコンビなので・・・実に中途半端な仕上がりになっている。凄くつまらなくはないが凄く面白くはないのである。演出家は「白夜行」とか「JIN-仁-」の演出家であるので・・・この特徴は脚本家の持ち味なのだろう。つまり、あまりお茶の間には受けないということだ。

実は今回とりあげる作品はどちらも原作が作家のデビュー作である。つまり、半分素人の作品ということだ。しかし、どちらも100万部のベストセラーなのだ。だが100万という数値は視聴率にすると*1.0%に過ぎない。

ベストセラーが映画化やドラマ化されてもヒットするとは限らないという原因はこの数値にある。

ドラマの勝敗ラインを10.0%とすると・・・100万部のベストセラーからのテレビ的合格ラインの変換は100人に一人が受けるものから10人に一人が受けるものへの変換の仕方ということになる。

この怪しい変換にはもちろん正解はない。

原作はオムニバス小説で次のような人々が登場する。

①ホームレス

②おタクとアイドル

③遊ばれる女

④ギャンブル中毒者

⑤売れない漫才師

そして映画では③が完全に割愛される。どちらかといえば脚本家の得意な分野なのに奇妙である。なんとなく近親憎悪のようなものがあるのか。

オムニバス小説をオムニバス映画とするために登場人物の関連付けが行われる。

①のホームレスは二人いるが・・・一人は④ギャンブル中毒者の父親。一人は⑤売れない漫才師のなれの果てである。

なぜか、②おタクとアイドルは独立したエピソードになっている。

この中途半端な感じが・・・脚本家の特性なのである。

やりかけてやめた・・・という感じがなんともむずがゆいのだな。

ギャンブル狂を演じるのは岡田准一で・・・ものすごいダメ男である。このダメ男がやがて再生していく予感が原作の味であるが・・・やはりダメ男であるホームレスの父親(三浦友和)との再会が着地点なのでものすごく再生していない感じが残る。

ダメな父親とダメな息子が再会しても・・・ダメなんじゃないのか・・・と暗澹とするのである。

一方、ヒロインは一人二役で・・・母と娘を宮崎あおいが演じる。

母の若い頃が娘にそっくりというのは手法としてあってもいいが・・・ものすごく中途半端な印象もおこしやすい。

売れない芸人(伊藤淳史)に一目惚れした母の足跡を弁護士となった娘が追うという趣向である。実はこの娘が映画オリジナル・キャラクターなのである。

娘はギャンブル中毒者の債務整理の相談者として主人公と出会うのだが・・・宮崎あおいと岡田准一が演じているとはいえ・・・この二人に幸せな恋の予感は一切感じないのである。

やがてギャンブラーは借金返済のためにオレオレ詐欺の手下となり・・・芸人の憧れのストリッパーであったジュピター(緒川たまき)のなれの果ての老婆に詐欺を仕掛けることになる。

亡き母への思慕を感じる主人公と夭折した息子への執着をみせるストリッパーとの電話のやりとりが泣かせどころだが・・・ファンタジー色が強くて漠然とするのである。

鬱屈したダメ男は岡田のはまり役だが・・・ものすごい傲慢なキャラクターでもあり・・・お茶の間では心から楽しめない人も多いだろう。そういう意味では劇場向きと考える他はない。

主人公とヒロインがかすかなロマンスを感じさせながら気がつくと騒音にまみれたパチンコ屋店内にいるという場面は秀逸なのだが・・・やはりお茶の間向きとは云えない。

ま・・・あくまでニュアンスの問題です。

とにかく・・・宮崎あおいの魅力も生かしきれていないし・・・おタク(塚本高史)とアイドル(平山あや)が実は初恋のカップルだったという・・・「電車男」のヴァリエーションもただそれだけである。平山あやの演じるマイナー・アイドルははまりすぎて哀愁ではなく悲壮感が漂い・・・それはそれでどうかと思うのである。

なんていうか・・・この脚本家・・・間口の狭さが・・・ネックなんだなあ。

みんな同じ話になっちゃうんだよなあ。

云いたくないけどスイーツ(死語)を極めているみたいな・・・。

宮崎あおいも本当に映画で名作に廻りあわないな・・・。富江女優の呪いか・・・。

まあ、「純情きらり」と「篤姫」があるからいいのか。後は変な歌歌っていればCMで稼げるしな。だが、もう一回くらい狂気を感じさせるほど美しい宮崎あおいを見せてほしいのである。

関連するキッドのブログ『篤姫

で、『リアル鬼ごっこ(2007年劇場公開)』(テレビ東京100607AM0245~)原作・山田悠介、脚本・監督・柴田一成を見た。「バトルロワイヤル」とならぶキング原作を半分素人がパクリで大ヒットしちゃいましたという展開である。実に羨ましいことである。映画版はこれに「ターミネーター」のテイストが加味されている。ものすごいB級映画感がうれしいのである。深夜に見る映画としては最適の一作と言える。

原作では遠未来のどこかの国という設定だが、映画版はパラレル・ワールド要素を無作為に取り入れてなんとなく不気味な世界の構築に成功している。

特に映画版のオリジナル・キャラクターと言っても過言ではない「もうひとつの別の世界の王様」(柄本明)の凶悪さは美少女度100%のヒロイン・佐藤愛(谷村)の胸に手をつっこむわ、おひざに抱っこするわ、チューしちゃおうとするわ、ベッドに縛り付けるわ、電子ビームで切断しようとするわ・・・やりたい放題である。まあ、ある意味、そこが最大の見せ場です。

この世には平行して存在するもう一つの別世界がある。そこではもう一人の別の自分がいて・・・なぜか、二つの世界では一つの命の生死が連動しているのである。

あちらの世界での自分が死ねばこちらの世界の自分も死ぬのだ。

ところが、こちらの世界では突然、全国の「佐藤さん」が連続して不審死を遂げはじめる。

毎日、何万人もの佐藤さんが死亡するのである。

それはあちらの世界で絶対王政を行う王様が「佐藤さんをターゲットとした人狩りゲーム」を始めたからだった。

もちろん、そんなことは知らないこちらの世界の不良少年・佐藤翼(石田卓也)は突然、リアル鬼ごっこ続行中のあちらの世界に転移する。

つかまれば「死」が待っている恐ろしいゲーム。

佐藤翼は逃げ足の速さで逃げ惑いつつ、あちらの世界の秘密とともに自分の出生の秘密を知る。

あちらの世界にも妹の愛(谷村美月)が存在するが、こちらの世界の愛が自閉しているのにあちらでは自由闊達な少女であり、こちらの世界の父親(吹越満)がアルコール中毒なのにあちらの世界では頑固親父である上に・・・あちらの世界には佐藤翼が存在しないのである。

翼の母親は多次元跳躍の超能力を持っていて・・・こちらの世界からあちらの世界へ渡った彼女はあちらの世界で翼を出産し・・・こちらの世界に舞い戻って家庭を作ったのである。

そして、母親の血を得たこちらの愛は自閉症である代わりに次元の壁を乗り越えてあちらの世界の愛と通信ができる超能力者であり・・・翼は母親と同じ、多次元跳躍者だったのである。

そして・・・翼の実の父親は・・・。

佐藤兄弟の超能力を狙う王様によって囚われの身となるあちらの世界の愛。

翼はこちらの世界に戻り、こちらの愛を守ることであちらの愛を守ろうとする。

しかし・・・こちらにはこちらの王様が・・・愛に猟奇的な興味を抱いていたのだった。

まあ・・・この手のシステムに馴れていないとなんのこっちゃの物語が展開していきます。

ハッピーエンドを迎えた時に・・・翼が第三の世界に飛翔するなど最後までB級色を貫いた超エンターティメント。

これは素晴らしいと云えます。

ついでに、あちらの世界の女子アナ(松本莉緒)がB級美女として格別です。

しかし、「リアル鬼ごっこ2」(2010年)の愛はキャスト・チェンジ・・・このあたりもまさにB級なのです。

くりかえしますが・・・深夜にテレビで見る映画としては最高と言える作品です・・・お前はなっ!

関連するキッドのレビュー『物呪~モノロイ~

水曜日に見る予定のテレビ『臨場』(テレビ朝日)『ERⅩⅢ』(NHK総合)『Mother』(日本テレビ)

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2010年6月21日 (月)

新参者の刑事は事件を解決してもたい焼きを買えませんでした(阿部寛)

勝ち点というものは実に妙なものだ。

日本は対カメルーン戦を1-0で勝ち、対オランダ戦では0-1で敗北した。勝ち点は3+0=3で得失点差は1-1=0である。

上位2チームが決勝に進出できる予選リーグ。

勝ち点6をあげたオランダは決勝進出が決まり、勝ち点0のカメルーンは予選敗退が決まる。

最後の一枚の切符を勝ち点で並ぶ日本とデンマークが争うことになる。

デンマークは対オランダ戦で0-2と敗北を喫し、カメルーンには2-1で勝った。勝ち点は0+3=3で得失点差は2-3=-1である。

最後の試合はオランダが勝てば日本の勝ち点は3、オランダは勝ち点6となり、オランダが決勝進出。

日本が勝てば日本が勝ち点6でオランダは勝ち点3となり、日本が決勝に進む。

しかし、スコアの内容に関わらず、引き分けの場合は両者勝ち点4となり、得失点差で日本がオランダを上回る。つまり、ゼロの勝利なのである。

もしも日本VSデンマークが0-0のドローに終れば、日本はたった一点で決勝進出を果たすことになる。

勝つことを病的に嫌う日本人にとってまさに理想の展開なのである。

対デンマーク戦は日本0.5VS0オランダで試合開始の笛が吹かれる。相手に1点もやらなければ日本の勝利、1点でもやれば敗北である。

まさに専守防衛スタイルである。

・・・何、とられたらとりかえせばいいのではないか・・・ですと。

拉致被害者を取り返せない国家の国民にそんな実力を期待するのは無理なのです。

オシムの言葉を借りれば「殺し屋根性に欠けた国民性」なのですから。

憲法第9条の呪縛のもと・・・手に汗握る攻防戦は日本時間の木曜深夜というか金曜早朝に開戦するのだ。

で、『新参者・最終回』(TBSテレビ100620PM9~)原作・東野圭吾、脚本・牧野圭祐(他)、演出・山室大輔を見た。日曜劇場はファミリー向けの番組と言うよりはオヤジ向けの番組作りを基本としている。そのために「うちのホンカン」シリーズ(1975)などという名作も生み出した。そのものズバリの「オヤジぃ。」(2000年)などというものもある。オヤジの夢が若い女性との恋愛であるという・・・変質的な傾向を強めた最近では「冗談じゃない!」で織田裕二VS上野樹里、「ハタチの恋人」で明石家さんまVS長澤まさみなどというしょうもない作品を仕上げたりもしている。

その反省を生かして・・・かどうかは知らないが・・・「新参者」は父親としてのオヤジを前面に押し出している。それでも第2話ではまつ矢の主人(寺島進)と愛人(宮地真緒)の年の差カップルを登場させているし、事件の被害者(原田美枝子)の元夫である直弘(三浦友和)は実は認知していない娘だった祐理(マイコ)を愛人秘書のように見せかけていたのである。いつも言うことだが・・・これが日曜劇場の病巣であることは間違いない。

そういう意味で暗喩としての近親相姦ドラマである「パパとムスメの7日間」(2007)はあからさまでないことが成功の原因なのである。まあ、ムスメと入浴したいパパが変態的であることは仕方のないことなのである。

さて、とにかく「新参者」は「親バカ親父の物語」であった。

主人公は結婚できない刑事であるが・・・犯人は「親バカ」なのである。

途中で息子の犯した犯罪を保身のためにもみ消した上杉刑事(泉谷しげる)も登場するし、ずっと参考人としてマークされていた直弘も仕事をしてお金を稼ぐことが息子・弘毅(向井理)のためだと考える不器用な父親だったのである。

しかし、真犯人は親子二代に渡って親バカの頂点を極めたのであった。

息子に三十万円の玩具を買い与えることがかっこいいと考える岸田克哉(速水もこみち)は親バカだったが・・・同時にバカ息子でもあった。

被害者を殺害したのは克哉の父親である要作(笹野高史)だったのである。

動機は「息子が会社から横領した八千万円の穴埋めをするために、被害者名義の口座から五千万円を着服したことを隠蔽するため」だった。

恐ろしいことは・・・「親バカのしたことだから情状酌量してください」という空気がそこはかとなく流れることである。

日曜劇場の道徳観というものがどことなく歪んでいることが察せられるのだな。

そんなことで・・・殺された被害者の苦しみが救われるものか。

加賀刑事(阿部寛)は「あなたの罪をつぐなうためには嘘はおやめなさい」と諭し、かっての愛人・亜美(黒木メイサ)に上杉のバカ息子(早乙女太一)の親思いの一面を捏造させ感動した親バカ刑事である上杉を利用してバカ息子を庇う要作を自白に追い込む。

上杉「オレが庇った息子は結局・・・死んだ・・・あんたにできるのは息子に罪を償わせる道を作ってやることじゃないのか」

要作(号泣)

バカだ・・・親バカだ。

そんなことで泣かれても「撚紐(よりひも)用の独楽と組紐(くみひも)」をもらって独楽を回せなかった孫の翔太(中西龍雅)が小学校の国語の授業で「僕のお父さんは盗人、お祖父さんは人殺しです」と作文を書くことになる運命は変らないのである。・・・書くかよ・・・キッドなら書く・・・面白いものな。

とにかく・・・加賀刑事はすべての嘘を看破し、最初から手に握っていた犯人を牢獄へと解放したのである。

加賀刑事につきまとわれるより・・・刑務所の方が気楽だという考え方もあるらしい。

たい焼き屋の少女奈々(沢木ルカ)が加賀刑事の意中の人であることは言うまでもない。

奈々との短い会話を楽しむことが加賀刑事の生きがいであることをノーマルな松宮刑事(溝端淳平)は想像もしないらしい。・・・自分の変態基準を勝手にあてはめるなよっ。・・・いいじゃないか、どうせ妄想なんだから・・・。そして奈々目当てでこのドラマを見ていた人間だってきっといるんだから。だからこその最終話視聴率↗18.0%なんだから。

関連するキッドのブログ『第9話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『離婚同居』(NHK総合)『絶対零度・未解決事件特命捜査』『ジェネラル・ルージュの凱旋』(フジテレビ)

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2010年6月20日 (日)

禁門の変と下関戦争の間に祝言をあげました(坂本龍馬)

元治元年(ほぼ1864年)・・・。

この奇妙な年を描くとなれぱ一年あってもたりないだろう。

幕末が最高潮に達するすべてがここから始まる。

前年に京都から追放された長州過激派は復活をかけて六月に池田屋に集結したがこれを幕府側に襲撃され計画は頓挫したように見えた。

しかし、長州軍は七月には再び兵を結集し、御所を占領しようと試みる。そしてまたもや撃退される。

その混乱の中、坂本龍馬はお龍と祝言をあげる。

そして八月には四ケ国艦隊が長州を攻め・・・長州は壊滅的打撃を受ける。

この中で過激派に同情的な態度をとって幕府要人は恐ろしい権力者の奢りにより粛清される。

秋・・・師と仰ぐ勝海舟が左遷されると・・・龍馬は新婚まもなく路頭に迷うのである。

で、『龍馬伝・第25回』(NHK総合100620PM8~)脚本・福田靖、演出・渡辺一貴を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。18年前に死んだ母にそっくりって微妙な口説き方でございましたが今回は一人二役の寺田屋お登勢の方の描き下ろしイラスト大公開でお得です。セットと映像構成がファンタジーとも云うべき独特な世界を描き出すこのドラマ。タイムスリップ感は抜群ですな。勝者には必ず内訌あり・・・。まさに盛者必衰の理を現す・・・現象です。特に官僚同士の足の引っ張りあいはお家芸レベルですし、出る杭は打つ根性も立派です。土佐では武市瑞山が打たれ、京都では久坂玄瑞が打たれ、神戸では勝海舟が打たれる。やがて、この打たれたものたちを拾い集めて維新を起すのが西郷隆盛であることは言うまでもありませんが・・・結局、最後は打たれます。見事な様式美でございます。平将門、新田義貞、織田信長・・・日本の歴史は出る杭は打たれる歴史と言っても過言ではございません。そして打たれた杭は土下座するのが慣わしです。それはもう是非もなしのことなのです。米国の南北戦争は酣で対日圧力は減衰、独り舞台となったフランスは幕政をかき回し始めます。親仏派の台頭による親米派の一時的左遷・・・官僚・勝海舟の謹慎の裏をこう読むのは実に容易な妄想と云えましょう。そしてそういう縄張り争いで敗者の側に立つものは常に冷や飯を食うというのも定番なのでございますな。敵味方が渾然一体となって右往左往する幕末の終わりの始まりでございます。

Ryoma186403_2 で、元治元年七月、体制の一機挽回を目指して長州藩を中核とする尊王攘夷過激派は天皇親政を目指して、御所占領を計画する。大和の乱での代官所襲撃と発想は同じである。無防備な拠点を占領すれば状況が打開できると考えるのはテロリストにありがちなことである。若干25才の久坂玄瑞に率いられたおよそ三千の烏合の衆は各地で参集し五月雨的に京都侵攻を開始する。まさに暴挙そのものと言えるだろう。云わば野盗の群れが集団で京都を襲撃したようなものなのである。過激派たちは各所で放火・略奪を繰り返した。禁門の戦いは半日で終結したが、京の都は三日三晩燃え上がり、焼け野原となったのである。池田屋事件で海軍塾生が犯行に加わったことで問責を受けた勝海舟は禁門の変にも反乱軍側に塾生が参加したことにより、監督責任を問われることとなる。

それどころか、勝自身が危険分子として当局にマークされることになるのだった。

もちろん、その裏には米国の覇権を快く思わないフランス軍の思惑がある。すでに将軍後見人の一橋慶喜は闇の血に支配され始めていた。やがて篤姫によってその体は浄化されるのだがそれはまた別の話である。

京都の闇の中を日本土着のもののけたちが蛤御門に向かって動いている。

市街のあちこちで火の手があがっている。

黒頭巾に身を包んだ桂小五郎は舌打をした。長州忍びの頭となった小五郎はすでに京都守護職が御所の防備を固めている情報を掴んでいた。自重を促すために先発隊を追いかけるが、京の都には公儀隠密が二重三重の結界を張っていて容易に身動きがとれないのだった。

思い切って・・・東へでるか・・・と小五郎が思案するところに闇の中から坂本龍馬が現れた。

「坂本君・・・君はどこにでも顔を出す男だな」

「桂さん・・・この道は無理じゃ・・・」

「そうか・・・」

「伏見の方で大分、火の手があがっちょる・・・ワシの縄張りにしちょる寺田屋が心配で・・・これからそっちへまわるとこじゃきに・・・」

「君はその船宿に女を囲っているそうだな」

「相変わらず・・・地獄耳じゃの・・・」

「なんとしても暴発をとめねばならんのだ・・・」

「それは無理じゃの・・・もう先手は戦に入りかけちょる」

「そうか・・・」

「とにかく、寺田屋で一息いれたらどうじゃ・・・ワシの女もいい女だが・・・女将がまたすこぶる徒なお方じゃき」

「そうか・・・」

覆面の下で小五郎は微笑んだ。小五郎は年増女も嫌いではないのである。

桂小五郎は祇園の方角を見る。贔屓にしている芸妓の幾松の身を案じたのである。しかし、両軍兵士は色街には手を出さなかった。勝った場合の戦勝祝いをする場所がなくなるのは問題外だからである。

すでに蛤御門周辺では長州軍と連合軍の決戦の火蓋が切られていた。

血気にはやった長州軍は旧式ながら威力のある牽引砲を装備していて、閉じられた御門に砲撃を開始していた。御門の一部は破損したが、損害は少ない。これに対して警備側の会津藩は新式の十五センチ砲で応射を行う。砲弾は炸裂し、長州側は血溜りを作る。そこで狂乱した長州軍切り込み部隊は闇雲な突入を開始した。死にもの狂いの長州兵に守備側は一瞬気おされる。

「それ・・・敵はひるんだそ・・・突っ込め」

御門をはさんで敵味方が入り混じる肉弾戦となった。会津藩は発砲を控え、長州兵の乱入を許した。

鎧武者たちが槍を連ねて門内へ侵入する。

後方で指揮をとる河童の三平こと久坂玄瑞は勝機を見出した。

「それ・・・一気に御所へ討ち入るのだ・・・玉を抑えてしまえばこっちのものでありますぞ」

その時、乱戦となった主戦場に轟音とともに火柱があがった。側面に展開した薩摩軍が参戦したのである。敵味方の区別なく無差別砲撃を加える。突入した長州軍は血肉となって撒き散らされる。

「なんと・・・鬼畜な・・・」

久坂玄随は薩摩軍の配置を確認すると手元の予備軍である長州鉄砲忍びを送り出した。

「おのれ・・・薩摩め・・・目にもの・・・見せてくれるわ・・・」

黒尽くめの精鋭である長州鉄砲忍びは戦国伝来の戦ぶりで薩摩軍の陣営に迫る。しかし、射程距離寸前で彼らは絶叫する。全員が火達磨と化していた。

「なんじゃ・・・」

薩摩軍の指揮は・・・謀反の罪に問われ長く島流しにあっていた西郷吉之助がとっていた。

「さ、西郷・・・」

久坂は風の噂で鹿児島城下を火の海にかえた西郷の敵味方を区別しない火術の恐ろしさを聞いていた。

すでに・・・周辺にも火の手が上がっている。

「くそ・・・水を・・・」

久坂は秘術・放水で対抗するべく水脈を求める。しかし、夜明けとともに敵軍の動向を的確に把握し始めた薩摩軍の陣営で無表情に火球を繰り出す西郷は久坂のいる本陣を察知していた。

本陣に燃え上がる火の手を消そうと久坂の放った水流が一瞬で蒸発する。

「くそ・・・兵が燃えている・・・兵が・・・」

久坂の最後の言葉は断末魔の絶叫に変った。

最後の放った巨大な火球は長州軍本陣を一瞬で炎上させていた。

人肉の焼ける臭いを嗅ぎながら・・・西郷はつぶやく。

「わが胸の燃える思いにくらべれば・・・火勢は弱し大文字焼き・・・」

希代の放火魔である西郷に新たな悪名の勲章が与えられたのである。

燃え上がる京都の町を見ながら・・・お登勢はつぶやいた・・・。

「空が真っ赤や・・・」

「京の都が・・・恐ろしゅう燃えちょるき」

「こりゃ・・・材木の値がえげつなく上がりますなあ・・・」

「ワシがええ男を紹介します・・・土佐の材木商を手広くやってますきに・・・」

「ふふふ・・・ほんに坂本様はさむらいだかあきんどだかわかりまへんなあ」

二人の会話を聞きながら、小五郎は苦い酒を飲み干した。

「御所は・・・御所も燃えたのか・・・」

二条城から合戦の様子を眺めていた慶喜は夜明けの気配を感じていた。

慶喜は奥にしつらえた葛篭の蓋を開く。

最近・・・日光が苦痛になってきていた。

(俺の血も穢れはてつつある・・・)

慶喜は闇に身を置きつつ・・・フランス公使と同じような地獄の息を吐いた。

それは闇の主の香りである。

自分が守ろうとしているのが日の本の国なのか・・・そうではない別のものなのか・・・薄れ行く意識の中で慶喜はふと疑問に感じる。

関連するキッドのブログ『第24話のレビュー

月曜日に見る予定のテレビ『男はつらいよ 柴又慕情』(テレビ東京)・・・ふふふ。

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2010年6月19日 (土)

一つ目メガネ小僧ですよヤンキー君(仲里依紗)お前を守るよメガネちゃん(成宮寛貴)

古き良きホームドラマと古き良き学園ドラマの融合。

どこにでもありそうでどこにもないオールド・ファッション・ラブ。

弱いものいじめをするためではなく誰かを守るための暴力。

それを暴力と呼ばない人は言葉の意味を間違えている。

暴力とは「あばくちから」なのである。

あばくのは「けもののからだ」だ。

何のためにあばくのか・・・もちろん「たべるため」である。

強き力はけだものを食物に換える。

そして・・・それはかよわきものにふるまわれる。

「暴力」とは人の「やさしさ」の表現なのである。

で、『ヤンキー君メガネちゃん・第9回』(TBSテレビ100618PM10~)原作・吉河美希、脚本・永田優子、演出・吉田秋生を見た。まあ、かなりグダグダだったり、恐ろしいほどのキャスティングの弱さはあるが、コンテンツとしてはそれなりに価値あるコメディーとして成立していた・・・と言えるのである。優秀な姉がいるために父親のような医師になりたいという夢を口に出せないかわいいヤンキー品川大地(成宮)と圧倒的実力で都内の不良たちを震撼させたかわいいヤンキー足立花(仲)のそこはかとないラブ・コメ。ドラマ初心者にはうってつけのコンテンツと言えるだろう。

花を神と仰ぐ凛風(川口春奈)は実は相思相愛の大地と花に純情可憐に割り込みをかけるかわいいレディーだし、それを知って見て見ぬフリをする和泉(本郷奏多)は学力抜群のヤンキーである。

大地は友達にも恵まれている。ケンカ上等の練馬(鈴木亮平)もいれば大地を慕う頭脳明晰の千葉(小柳友)もいる。

大地はその恩恵を「うぜえ」の一言で片付けるお坊ちゃまでもある。

ある意味、すごく甘口の設定である。

ただし・・・夢を追いかけるにはあまりにも学力が不足しているという一点は実に辛いのである。

かって荒んだ日々を送っていた花は祖父の辰夫(伊東四朗)の愛に包まれて更生し、普通の女子高校生として幸せな日々を送る。不良の反作用で学級委員になり、生徒会長にもなる更生ぶりなのである。

やがて、花の祖父の愛は大地をも包み込み、大地はついに夢の実現に一歩を踏み出す。

花は失われた普通の日々を取り戻すために学園ごっこに過剰に熱中していくがその姿が大地の心を潤していく。

大地にはシャープ・ペンの君という心に決めた人がいるが・・・それが実は花であるというお約束もかなり甘酸っぱい・・・。

今回、ついにきちゃうのか妄想の中で・・・愛の告白をしようとする凛風をさりげなくかわし、花の求愛を「こんなオレでよければ・・・」と受け入れようとする大地は・・・実はもうシャープ・ペンの君の正体に薄々気がついているようでもあるが・・・単に浮気でやくざな性分なのかもしれない。

ヤンキーと引きこもりの生徒会の支持率が伸び悩む原因を探った花は「うざい、こわい、ヤンキー」の大地のイメージを修正する必要に迫られ、大地主導の「文化祭」開催を実現するのである。

ゲゲゲの女房ブームに乗り、妖怪研究家となった花はクラスでお化け屋敷を開催。低予算ドラマとしては思い切ったイベント展開にこぎつける。

大地「進学校だから・・・文化祭がないんだろ・・・」

花「よく学び・・・よく遊べですよ」

大地「お前は学びも遊びもダメダメじゃんか」

凛風「何言ってるんです・・・昔の花さんは最高の遊び人だったんですよ」

大地(緋牡丹お龍として鉄火場で丁半博打の壺をふる花を妄想)

千葉(薔薇を咥えてタンゴを踊る花を妄想)

和泉(マフィアと酒を酌み交わす花を妄想)

・・・「打つ、踊る、買う」である。

遊びと言えば「(酒、タバコ等を)飲む、(博打を)打つ、(売春婦を)買う」と決まっているわけだが・・・つまり、爛れた異性交遊を「ダンス」で表現しているわけです。

凛風「なわとび、鬼ごっこ、かくれんぼどれをとっても花さんは最高でした」

大地「小学生かよっ」

そんな湧き合い合いの華麗なるギャッツビーな日々に暗雲が立ち込める。

かってハリケーンアダとして悪名を高めた花に崩壊させられた不良グループが復讐の機会を狙っていたのだ。

そして不良仲間の相模(波岡一喜)はうっかり花の所在をもらしてしまうのである。

最高潮に盛り上がった・・・文化祭に殴りこんでくる陰湿な不良グループ。

「花を頼むよ」と老い先短い辰夫に頼まれた大地は男気を見せるのだ。

「オレが足立花だよ・・・」

「・・・お、お前・・・男だろっ」

とにかく・・・まあ・・・そこそこ緊迫して最終回に続きます。

関連するキッドのブログ『第8話のレビュー

日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)『新参者』(TBSテレビ)『荒川アンダー ザ ブリッジ』(テレビ東京)

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2010年6月18日 (金)

列島から飛行機に乗って半島に着く予定なう(上野樹里)幸せの黄色いハンカチって私は女看守かよ(大平うみ)

深夜映画でメグ・ライアンの「D.O.A./死へのカウントダウン」というB級サスペンスをやっていて・・・上野樹里って和製メグ・ライアンなんだよなあ・・・と思う。

そう考えると・・・主演するなら・・・パクリ元はいろいろとあるわけなのである。

今回は「ラスト・フレンズ」で演じた性同一性障害者をリンダ(玉山鉄二)という他人を通じて傍観する役どころである。そこがものすごく倒錯的で奇妙な感じがした。ようするに・・・ネタかぶりすぎなのである。

もちろん・・・脚本家が違うのでそこそこテイストは違うのだが・・・ある種の底の浅さではいい勝負であり・・・そういう意味ではゲンナリする。

まあ・・・上野樹里の無駄遣い・・・いい加減にしてもらいたい。

で、『同窓会~ラブ・アゲイン症候群・最終回(全9話)』(テレビ朝日100617PM9~)脚本・井上由美子、演出・秋山純を見た。旬を過ぎた男優・女優を四人ならべてドタバタ喜劇を作る。テーマは「同窓会不倫」・・・お手軽である。そして結局、そういうお手軽な企画がそこそこのヒット作となる。まさに職人魂爆発だな。平均視聴率14.5%はテレビ朝日の「木曜ドラマ」枠としては「松本清張 けものみち」(2006年1月~3月)の平均視聴率・14.7%以来なのである。実に四年ぶりのヒットなのである。ものすごくしょうもないドラマだがしょうもないお茶の間向きとはこういうことなのである。いい仕事してますと賞賛する他ないのである。

マドンナ ぶわっはっはっは、ぶわーっはっはっは。最終話↗17.8%なう。

刑事 おみそれしました。

色男 オレも死んだ甲斐があったよ。

悪女 私も森のくまさん熱唱の甲斐があったわ。

亭主 いや・・・オレの最悪ぶりはもっと高く評価されるべき。

鑑識 悲惨ですな。

役人 いやあ・・・オレの持っていた秘密のたいしたことなさといったら・・・赤面。

マドンナ いいのよ・・・そこはどうでもいいところだから。

カレン ラジオから好きな歌が流れ出すのを待っていた頃・・・

悪女 待っていたその曲にあわせて口ずさむ時・・・

マドンナ 私は思わず笑顔になって生きる幸せを感じていた・・・

女医(スリット)遠い昔のようでつい昨日のことのよう・・・

色妻 でも歌はなつかしい友達のように再び巡り合う・・・

マドンナ どんなシャラララも素敵!

悪女 どんなオウオウも輝いている!

カレン イエスタデイがワンスでモアよ~

マドンナ イエスタデイがワンスでモアなのね~

役人 結局、これって時をかける中年みたいな話なんだよな・・・。

マド娘 ま・・・ピント甘めでロマンチックに云えばね・・・。

息子 要するに・・・若さゆえのあやまちじゃないあやまちってことだよね。

鑑識 まあ・・・あやまちがあるだけ幸せってことですなー。

アイロン そんなに絵に描いたようにションボリしなくても・・・。

キャスター ただいま、入ったニュースによりますとハヤブサのカプセルは無事日本に到着したようです・・・この快挙に対して、一部仕分け議員からは「やはり世界で一番は気持ちがいい」と「世界で一番の必要性」を今さら再認識している発言が伝えられました。

色男 まあ、オンリーワンでナンバーワンが最高ってことで授業をサボって天国に旅立つボクを祝福してください。

刑事 おー・・・空にとけてった。

清志郎 ホットなナンバー・・・トランジスタ・ラジオ・・・。

高倉健 もし・・・オレを待っていてくれるなら・・・黄色い・・・。

キッド 永遠の愛なんて・・・ないと思えばないし・・・あると思えばある。だって永遠は一瞬の中にあるのですからーっ。

鑑識 けだし名言ですなー。キザにも程がありますなー。しかし、時には恥をしのんで言い切ったもんの勝ちなのですなー。

アイロン だからそんなに超ションボリしなくてもーっ!

関連するキッドのブログ『先週の木曜日のレビュー

で、『素直になれなくて・第10回』(フジテレビ100617PM10~)脚本・北川悦吏子、演出・西坂瑞城を見た。通俗的なラブ・コメを中年男女が繰り広げるのはそこそこ面白おかしいがすっかり神通力を失った恋愛の神様はもう少し現代を研究するべきだったのかもしれない。特に・・・おタクについての洞察がかなり不足しているような気がする。つまり・・・若者たちが通俗的ではないのである。もっとカワイイ・・・もっとアニソンな・・・もっと枯れ果てたナウなヤングが世界に文化を発信している・・・それゆえのTwitterだったらよかったのになあ・・・と思うのだった。

ハル ぼぎゃあぁぁぁぁん。ついに↘*9.9%なう。

ナカジ 星がきれいな夜だよね~。

リンダ ボクも死んだ甲斐がなかったよね~。

ピーち 死ぬ死ぬ詐欺だしね~。

ドクター そのうえ命とりとめた詐欺です。

白髪鬼 結局、俺たちのパートしか書けてないんだよな。

姥桜 心の若作りに失敗したのよね。

ハル弟 ぼく・・・出番あるんでしょうか。

妹(木南晴夏) 私の積み上げてきた個性派女優の特性が・・・トッキョタッワー。

リンダ 好きな人に振り向いてもらえない悲しみなんて・・・異性愛だって同性愛だって同じさ・・・だけど妥協の幅がすごく狭いことは理解してもらいたい・・・だって・・・たとえばボクがダメなら・・・。

マツコ その先は言わないのが身の為よ。

ハル 教員試験も落ちたし韓国に嫁入りなう。

ドクター すぐに美味しいキムチをつけられるように私の母が指導します。

リンダ 出せなかった一通のメール・・・もっと素直に君の愛を信じてほしい・・・。

ナカジ 韓国なんかに行くな! 君が好きだ!

ハル 今さらかいっ。

ドクター 今さらですか。メッシですか。

ピーち 今さらなのー。ハット・トリックなのー。

キッド 次から次へと手がまわらなくなって整理された共演者が消えていくドラマ・・・久しぶりに見たな・・・。まるで沈む船からネズミが逃げ出すような・・・。

土曜日に見る予定のテレビ『タンブリング』(TBSテレビ)・・・すっかり静かな土曜日に。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2010年6月17日 (木)

カレーうどんと月光と小さな旅行鞄のMother(松雪泰子)

法律は制度である。制度とは社会である。社会とは人間である。

つまり、法律とは人間なのである。

でありながら・・・法律は非人間的側面を持つ。

それは被害者が人間なら加害者も人間であるという矛盾から生じていく。

賢者たちは太古からこの問題に頭を悩ませてきた。

世界が賢者の集まりなら問題はない。

しかし・・・愚者は悪いことを平気でするのである。

さらに問題を複雑にするのは賢愚の境目はどんな賢者にも見定めがたいものであるという事柄である。

だから時に法律は愚者の産物のように見えることもある。

だが・・・哲人ソクラテスは語る。

悪法もまた法なりと。

いかなる悪法も無法よりは良い。

よって、法に従うのが人の務めであると。

しかし・・・世界は哲人の集いではないのもまた事実なのである。

水曜日のダンスは・・・。

「臨場」・・・17.9%↗18.6%↘16.7%↗16.9%・・・・・・↗18.6%↘17.0%↗18.6%↘17.2%↘16.2%↗18.6%

「Mother」・・・・・・11.8%↗12.0%↗12.8%↘10.0%↗11.9%↗13.9%↘12.4%↗14.0%↘12.2%↗14.8%

ナイス・ステップ。

で、『Mother・第10回』(日本テレビ100616PM10~)脚本・坂元裕二、演出・水田伸生を見た。参考人として事情聴取に応じた奈緒(松雪泰子)と葉菜(田中裕子)である。葉菜はすべての責任は自分にあると証言するが・・・警察はとりあわない。内偵を進めていたと思われる女刑事(吉田羊)は「未成年者誘拐」で告訴された奈緒が容疑を認めたたために逮捕状の請求に踏み切っていた。奈緒は参考人から容疑者へと立場を変えたのだった。

ハイエナのような雑誌記者の駿輔(山本耕史)は奈緒が逮捕された事実を鈴原家に電話で告げる。

義母の藤子(高畑淳子)と二人の妹たち、芽衣(酒井若菜)と果歩(倉科カナ)は苦しい姉の心情を思い寄り添いあうのだった。

逮捕された奈緒は室蘭中央警察署に移送され、取調べを受ける。取調べ室に向かう奈緒の耳に幻聴が届く。

「お母さん・・・」

奈緒は母親として・・・警察署内り廊下の暗がりに継美(芦田愛菜)の幻を見るのだった。

刑法224条

未成年者を略取し、

又は誘拐した者は、

三月以上七年以下の懲役に処する。

法律は母と娘を無情に切断した。

継美は本名・怜南として児童擁護施設・白鳥園で保護を受ける。

警察は内偵により、怜南の実の母である仁美(尾野真千子)とその情夫・浦上(綾野剛)にも疑いの目を向けていたのである。

白鳥園に到着した怜南は「白鳥」という名にかって白鳥麗子だったことのある「お母さん」の名残を感じるのだった。

そしていつわりの笑顔を満面に浮かべるのだった。

母親が牢屋にいるのに泣いてはいられないからである。

「独身の女性教師が教え子の女子小学生を誘拐」という猟奇的な事件にハイエナのようなマスコミは涎をたらして群がるのである。

犯罪加害者の家族となった鈴原家の人々は容赦のない社会的制裁を受けるのだった。

会社経営者である藤子は進退問題を問われ、就職の決まっていた果歩は内定を取り消される。あらゆる組織はリスクを管理しなければならないからだ。

殺到するマス・メディアの取材陣に恐怖を感じる鈴原家の人々。

しかし、芽衣の胎児のかりそめの父親であり、果歩の飼い犬である耕平(川村陽介)は社会の事情に疎いために「何が起きているか不明」で鈴原家の人々を和ませるのであった。

背後のテレビには警察署に移送される奈緒の姿がさらされていた。

そこでは「教え子の命を救った聖職者の側面」は隠匿され、「卑劣な犯罪者」がクローズアップされる。もちろん、その方が視聴率を獲得できると考えるものがいるからである。

駿輔は関係者を装い、奈緒に面会を申し込む。

「虐待の事実は隠されて・・・淋しい独身女性が狂気の犯行に及んだ・・・という記事になっています。実の母親の育児放棄やその愛人の性的虐待についてはまだ調べが進んでいないし・・・被害者児童の保護の問題もありますので・・・一流誌は今のところ・・・控えています。あなたのイメージは世間的には極悪ですよ」

ハイエナは淡々と事実を告げた。

「継美はどうしていますか・・・」

「マスコミと違って警察は虐待の事実をある程度掴んでいるようなので・・・直接、道木家には戻さず保護しているようです・・・」

「施設は・・・どんな施設ですか・・・継美は・・・」

「いい加減にしなさいよ・・・あなたの継美はもう消滅したんです。今は実の母に虐待され教師に誘拐された被害児童の怜南ちゃんがいるだけです・・・いいですか・・・鈴原の家はバッシングを受けて藤子さんは社長の座を辞任する予定だし、果歩さんの就職は内定を取り消された。あなたは・・・そのつぐないについて考えるべきなんだ。それが良識ある社会人としての責任なんじゃないですか・・・他人の子供の母親になる夢はあきらめるべきだと思います」

かって他人の子供の死を座して見るだけだった駿輔は奈緒に同意を求めていた。

「それが・・・ふつうの人間の限界でしょう?」

しかし、哀れみを請うハイエナの目は奈緒には届かない。

奈緒にはただ継美の身を案じる気持ちだけがあった。

ちゃんとした食事を与えられているのか。施設の職員は意地悪な性格ではないか。性的な倒錯者が混じっていたらどうしよう・・・継美に関する危惧は奈緒の中で日に日に増殖していくのである。

その証拠に奈緒の周囲にはいたるところに継美の姿が出現していた。

他人には見えないものが見えることは狂気と見なされる。

生物学の研究者であった奈緒はその程度の常識は弁えていた。だから継美の存在を他者に打ち明けることはない。

だからといってそこに継美がいる事実は変らないのである。

ハイエナは東京に戻ると奈緒の実母である葉菜を訪ねた。

「私にできることはないでしょうか・・・」

「少なくとも・・・あなたは弁護側の証人として喚問されることはないでしょう。あなたは・・・前科者・・・それも放火殺人犯・・・しかも殺したのはいさかいのたえなかったあなたの夫だ・・・あなたが出て行ったら裁判官の心証が・・・どうなるか予想がつかないですから」

ハイエナは人間に気を使うほどの知性はないのである。

もちろん、そこまで調べ上げているのに記事を書かない自分の情を誰かに理解してもらいたいのである。

「あの子は・・・ただ・・・継美ちゃんの母親になろうとしただけなのに・・・」

「それが犯罪になるんですよ・・・親権という権利を犯したわけだから」

「そんな・・・実の親が親権を放棄したから・・・あの子が」

「拾ったものは交番に届けるべきなんです・・・それが日本の掟です」

「・・・」

日本の掟のシステムの代行者である地方検事(塩見三省)は奈緒の取調べを始めていた。

「ひょっとして久利生公平という男ならあなたを起訴することはしないかもしれない。しかし、私は普通の検察官なので・・・あなたを普通に取り調べます」

「・・・」

「あなたは・・・他人の子供である怜南さんを誘拐しましたね?」

「はい」

「あなたは怜南さんに継美と言う名前をつけた?」

「はい」

「あなたは怜南さんに自分をなんと呼ばせていましたか?」

「母親として・・・」

「具体的にお願いします」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・お母さんです」

「つまり、あなたは他に親権者があるのに無断で親権を行使しようとした・・・それはつまり自分の営利のために怜南さんを誘拐したことになるのです・・・」

「・・・」

「それを認めますか?」

「はい・・・」

「・・・あなたは困った人だ・・・あなたは怜南さんを裏技という特殊な手段を用いてまで学校に通学させていますね・・・そんなことをしたら人目についてまずいと思わなかったのですか?」

「・・・あの子にふつうの生活をおくらせてあげたかったのです」

「母親として?」

「そうです」

「・・・あなたは本当に困った人だ」

検事は暖かくも冷たくもない眼差しで奈緒を見た。彼は普通の検事なのである。それはある程度優秀であるということなのだ。この世界の警察機構や検察機構はそこそこ有能であり、そして非常にそつがないのだった。

まもなく、裁判が始まった。

検事「被告は便宜的ではなく本心から母親になろうとしていたのですね?」

奈緒「はい」

検事「今はどうですか?」

奈緒「今も同じです。私はあの子の母親です」

検事「・・・・・・・・・・・・・・・質問は以上です」

傍聴していたハイエナは藤子に語った。

「あなたの娘は頑固な人ですね」

「・・・」

「弁護士の話では・・・無罪は無理みたいです」

「執行猶予は・・・」

その時、吉報が届いた。怜南に対する加害者の一人である浦上が逮捕されたのである。

一方、仁美の家には女刑事が到着していた。

「あなたは実の娘を黒いゴミ袋に入れて路上に放置したまま、カラオケ付のラブ・ホテルに行きましたね。当日の室蘭の気温はマイナス四度・・・怜南ちゃんの着衣は薄いワンピース一枚です。分かりますか?・・・お母さん、あなたのしたことは犯罪ですよ」

刑法218条

老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者が

これらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、

三年以上五年以下の懲役に処する。

「保護責任者遺棄罪の容疑であなたを逮捕します」

仁美の心に自分のした行為がようやく結晶した。

そうだ・・・あの子が・・・怜南がここにいないのは

天国に行ったからだ

私があの子を殺したから・・・

仁美は己の罪の深さに震えた。

衝動的に仁美は遺品である怜南の水色のマフラーに取りすがった。

「・・・私を・・・私を死刑にしてください・・・」

仁美の心はようやく・・・自分の罪を受け入れた。

実の母の罪は・・・偽の母親の罪を相対的に軽くしたようだった。

この世界の司法機構はそれなりに情状を酌量するのである。

拘置所の奈緒は月光を見ていた。

心にあるのはわが子継美のことばかりである。

継美、ごはんは食べていますか。

継美、靴は小さくなっていませんか。

継美、学校は楽しいですか。

継美、友達はできましたか。

継美は幼い園児の魚の骨をとっていた。

継美の靴は小さくなっていた。

継美は学校の試験に恐怖を感じた。

継美は元気に遊んでいた。

そして一人になると笑顔を消して月光を見上げた。

「お母さん」

継美の声に奈緒は振り返る。しかし、そこにいるのは幻のわが子である。

抱きしめることはできないのだ。

仕方なく奈緒は己の体を抱きしめた。温もりを伝えることのできない悲しみに奈緒は泣く。

主文

被告に禁固一年を言い渡す。

ただし刑の確定より三年間、刑の執行を猶予する。

弁護士「ここまできたら無罪でもよかっただろう」

検事「しかし、犯罪は犯罪だからな」

弁護士「まあ・・・妥当とは言えるか」

検事「妥当だろう」

すでにマスコミでは「鬼畜母・・・愛人の性的虐待に嫉妬・・・ゴミ袋の冷凍地獄」騒ぎも収まり、世間の関心はワールド・カップ一色になっていた。もちろん、奈緒の名誉が回復することはなかった。第一、そんな犯罪者がいたことさえ一日で忘れるのが世情というものなのだ。

ハイエナは葉菜に吉報を伝えた。

「情状酌量がつきました」

「そう・・・よかった・・・よかった」

葉菜には主治医の袖川(市川実和子)が往診に来ていた。

葉菜は立ち上がり・・・着替えを始めた。

「神社に・・・お礼参りにいかないと・・・」

「なぐりこみですか・・・」

葉菜は微笑んで倒れた。袖川は医師として葉菜の死病が再発したのを感じた。

奈緒の戸籍上の母である藤子は実母の葉菜の病室を「つまらないもの」を持って訪ねた。

すべての恩讐は彼方に去ったのである。

「・・・判決を聞いたら・・・なぜか・・・あなたの顔が浮かんだの」

「・・・」

「奈緒、帰ってくるわ・・・そうしたらすぐに・・・ここへ寄越すから」

「・・・奈緒さんには知らせないでほしいんです」

「・・・何・・・お加減・・・悪いの」

「もう・・・手遅れみたいです」

「・・・あなた・・・午年生まれよね・・・」

「はい」

「昭和29年なのよね」

「はい」

「一緒よね・・・」

「・・・はい」

「ハヤブサよくかえってきたよね」

「・・・はい・・・8823謎の人ですよね」

「なんだかいろいろあって・・・長いのか短いのか・・・」

「はい」

「・・・だめよ・・・絶対にダメ・・・娘に知らせないでひっそりと逝くなんて」

「・・・」

葉菜はかっては誰よりも恐ろしかった藤子の優しさに頭を下げた。

奈緒は鈴原家に帰還した。

「一生かけて・・・つぐないます・・・」

「早く上がりなさい・・・」

為さぬ仲の母と娘の絆は少し強まっていた。

母は娘が心を隠すことをありのままのこととして受け止めた。

果歩は奈緒に抱きついた。

芽衣は奈緒に「お帰り」と言った。

奈緒は芽衣の母胎に置かれた手に手を重ねて「ただいま」と言った。

奈緒は自分の部屋に継美の思い出が置かれていることを知った。

私、あなたのお母さんになろうと思う

お母さん

お母さん

お母さん

お母さん

奈緒の携帯電話は非通知の着信履歴で埋まっていた。

奈緒は最新の履歴に返信してみた。応答はなかった。

その時、ハイエナが白鳥園の継美の暮らしぶりを報告にきた。

ハイエナは・・・奈緒が継美を愛し続けることを快く思わない。

自分が死んだ男の子に無力であったように奈緒も怜南に無力であるべきだと感じていた。

ハイエナは奈緒に継美が怜南に戻ったことを思い知らせるために作為的なVTRを作っていた。

怜南ちゃん・・・手伝って。

怜南は手伝うよ。

怜南ちゃん、コップをこっちへ。

はい、怜南のカップ。

怜南ちゃん、坊さん屁をこいただよ。

怜南はだるまさんが転んだだと思うよ。

怜南ちゃん、柏餅食べたい?

怜南も柏餅たべたい。

家族は継美が怜南と呼ばれることで感じる奈緒の心の傷を思いやった。

「私も・・・忘れなきゃ・・・継美も忘れたんだから」

「奈緒・・・」

「大丈夫・・・私はちゃんとうれしかった・・・継美が楽しそうだったこと」

「奈緒姉ちゃん」

しかし・・・藤子には分かっていた。

奈緒は顔で笑って心で泣いていることを。

だから継美もまた顔で笑って心で泣いているのだ。

だが・・・藤子は奈緒のそういう嘘にもう傷つかない。

そういう娘であることを受け入れた母になったのだから。

だから・・・あのことは話しておかなければならない。

「あの人・・・よくないのよ・・・口止めされているんだけどね」

「・・・」

「だけど・・・あなたは行かなくちゃ・・・あの人に会いに行かなくちゃ・・・」

「でも・・・こわいんです」

「こわくても・・・行かなくちゃ・・・娘として・・・あの人を見送ってあげるの」

「お母さん・・・」

「あの人云ってた・・・三人で観覧車に乗ったって・・・とても大切な一日だったって・・・一日あれば人生は充分だって・・・残された日々を毎日大切な一日にしてあげるのよ」

奈緒の大柄な母親はもう一人の小柄な母親の元へ娘を送り出した。

「よくきてくれたわね・・・ありがとう・・・帰りに病院の食堂でカレーうどんを食べるといいわ・・・うまいから」

「夜までいるわ」

「そんなに無理しないで」

「明日も明後日もくる」

「気持ちだけで充分」

「もういいのよ・・・わかっているの」

「・・・」

「離れていてもずっとお母さんでいてくれたこと・・・」

「・・・」

「だから今度は私を娘でいさせて」

「・・・こっちへおいで」

「・・・」

「奈緒」

「お母さん」

二人は固く抱き合った。過ぎ去った歳月を埋めるように。

「ずっとずっとこうしていたかった」

「私だって・・・私だって・・・」

奈緒は葉菜の小さな体を抱きしめた。

葉菜は奈緒の大きな体を抱きしめた。

そして・・・奈緒はホスピスを学び始めた。

その夜・・・ようやく継美と奈緒の電話はつながった。

継美は施設に来てから夜毎、旅支度を整え、奈緒に電話をしていたのだ。

お母さん。

・・・・継美。

あのね、オバケって本当にいるの?。

トイレから手を出すって本当?

継美はいないと思うけど夏未ちゃんはいるっていうの。

お母さん、聞いてる?

今日はとんかつを食べたの。

昨日はさばの味噌煮だったの。

二段ベッドに寝ているよ。

上に寝ているよ。

気をつけないと天井に頭をぶつけるの。

冷蔵庫はめっちゃ巨大だよ。

白鳥園っていうところにいるよ。

お母さんが勉強していた白鳥と同じなの。

みんないい人だよ。

園長先生のおならはくさいよ。

飼ってるウサギのウンチは丸いよ。

あとね・・・あとね。

あとね・・うっうっ・・・お・・・かあ・・・さん

お母さん・・・いつ迎えにきてくれるの。

出かける用意はいつもできてるの。

どうして迎えにきてくれないの。

もう牢屋を出れたんでしょ。

お母さんに会いたいの。

毎日、継美は待っているの。

迎えにきてよ。

継美を迎えに来てよ。

毎日、電話をしてたんだよ。

つながらないからまちがえて憶えたかと思ったよ。

でも、あってたね。

お母さん。

継美は待ってるよ。

・・・継美・・・ごめん・・・。

お母さん・・・また誘拐して。

継美を誘拐して・・・。

・・・継美・・・。

何リットルの涙を流したら二人は幸せになれますか。

関連するキッドのブログ『第9話のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『子役オールスターズとハガネの女』(テレビ朝日)『里久鳴祐果の大魔神カノン』(テレビ東京)『仲里依紗のヤンキー君とメガネちゃん』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

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2010年6月16日 (水)

絶対零度の師弟愛とバナナみたいな寝袋(上戸彩)VS黒札からの生還だったんですーっ(加藤あい)

久しぶりにVSタイトルである。

それくらい、今回は対決ムードがあった。

・・・いや・・・ワールド・カップに侵食されているだけなのでは・・・。

いや・・・違う。

ヒロインとゲストの絶妙なからみあい・・・ということで・・・いい勝負だったのである。

だから・・・刑事(上戸)と犯人(ともさかりえ)VS医者(加藤あい)と患者(麻生祐未)というVSだったと言うべきかもしれない。

涙の量ということでは後者が圧倒するが、そこはかとない悲しさということでは前者も捨てがたい。

特に前者は究極の師弟愛展開である。師のためにはすべてを投げ出す弟子・・・絶滅危惧種だものな。

火曜日のドラマ対決は①「ジェネラル・ルージュ」↗15.6% ②「絶対零度」↘13.3% ③「離婚別居」↘*6.0%

で、『絶対零度~未解決事件特命捜査~・第10回』(フジテレビ100615PM9~)脚本・浜田秀哉、演出・岩田和行を見た。ゲストのともさかりえはこのドラマの原型とも言える「きらきらひかる」(1998)の「第6話」にもゲストとして登場する。12年の時を経て・・・同じような役回りを淡々とこなすというのがすでに凄いのである。

東京理工大学講師殺人事件の再捜査が始まる・・・。河原で所在不明だった凶器が発見されたためである。被害者の遺伝子工学研究室講師・浅井(斉藤歩)は大学構内で死体となって発見される。現場から逃げ出したバーテンダーの広田(若葉竜也)は逃走中に転落死・・・目撃証言から広田の犯行が疑われつつも凶器が発見されず未解決となっていたのである。

特命捜査対策室に再捜査命令が下り、事件を再検証する捜査員たち。

やがて・・・浮かび上がったのは極悪と言える浅井の人格であった。

浅井は大学構内に盗聴器を仕掛け、大学関係者の秘密を探るとその情報を基に私腹を肥やしていたのである。

膨大な盗聴記録を分析した科捜研の大森技官(北川弘美)は浅井に強迫された人物を容疑者として浮上させていく。

浅井は客として訪れたバーで広田の低学歴を罵倒し、屈辱に耐えかねた広田が暴力をふるうと今度は傷害罪で訴えると脅したのである。バーの店主(宮地大介)に恩を感じる広田は店を営業停止に追い込むと凄む浅井に謝罪するためにたまたま大学構内を訪問下だけであったことが判明。

やがて・・・重要参考人は遺伝子工学の権威・園田教授(浅野和之)と不倫関係にあったことから浅井に強迫されていた助教(助手)の樋口(ともさか)に絞り込まれる。

しかし、初対面の樋口に「遺伝子工学とは何か・・・」を説明してもらった桜木刑事(上戸彩)は・・・そこからかよっ・・・恩を感じて樋口を犯人扱いできないのだった。

ビキナーズ・ラック信者である長嶋室長(お父さん犬)は「素人にしかめぐり合えない幸運がある・・・好きなようにしろ・・・ただし犯人にはなるべく拉致されるな」と北大路欣也のような優しさで自由行動を許すのだった。

一方、事情聴取を受けた園田教授は樋口との不倫関係を認めた上で「樋口は冷酷な女なので犯行を行った可能性がある」と証言する。

しかし、その言動は桜木刑事の聞き込んだ情報と著しく食い違うのであった。

かって樋口は喫茶店のウエイトレスであった。家庭の事情で進学を断念した樋口だったが、喫茶店の客だった園田教授は樋口の「暖かい人柄」と「燃えるような向学心」を見抜き、樋口の勉学の道を開いた恩人だった。

園田教授の指導により社会人からの大学入学を果たした樋口は有能な研究者として評価されていたのである。

「冷酷な女」と「暖かく燃えるような女」・・・二つの異なるプロフィールに疑問を感じる桜木刑事は・・・やがて評価を下した園田教授の恐ろしい秘密に突き当たる。

園田教授は・・・若年性認知症を発症していたのである。

世界的な権威である園田教授の発病が知られれば予算配分は削減され・・・園田教授の遺伝子研究は未完となる。

大恩ある園田教授のためにその秘密を隠し、樋口は献身的に園田教授の失われていく記憶をメモによって補完していたのだった。

その秘密を掴んだ浅井は園田教授を強迫し・・・園田教授は浅井を殺害したのである。

浅井の死体と立ちすくむ園田教授を発見した樋口はすべての事情を察し・・・すでに浅井を殺害した記憶さえ忘却しつつある認知症の園田教授に代わり、犯人となる決意をしたのだった。

しかし・・・凶器を遺棄した後で大学に戻った樋口は・・・事件の意外な展開に口を噤んでいたのである。

もしもの場合のそなえて・・・園田教授の記憶メモの自分のプロフィールを「暖かい人柄」から「冷酷な女」に書き換えて・・・。

記憶を失った園田教授は樋口の人格をメモにあるまま「冷酷な女」と評するしかなかったのだった。

すべては教授を心から愛した助教の物語だったのである。

やがて・・・保存状態の悪かった事件当日の盗聴記録が復元される。

「あの女・・・教授のためなら・・・オレに体を差し出したぜ」

「き、きさまーっ」

教授もまた彼女を深く愛していたのだった。

なんて麗しい師弟愛なのか・・・そういう教授になってみたかったぜ。

すでに責任能力があるとは言えない園田教授はしかし、無罪となるために起訴されることになる。

一方、情状酌量の余地があるとはいえ、証拠隠匿や偽証などの罪に問われるだろう樋口。

二人は警察署内で邂逅する。

恩師はすでに弟子の顔さえ忘れている。

弟子は無言で恩師を見送る。

自分が今、何をしているのかも忘れながら、園田教授は桜木刑事にそっとつぶやく。

「今の人・・・優しそうな人でしたね」

桜木刑事はふと目を伏せるのである。認知症患者を身近に持つ人なら誰もが感じるだろう百聞は一見に如かずという言葉。記憶が失われていくことの物悲しさ。それが見事に表現されていると言えるだろう。

その悲哀を慰めるために倉田係長(杉本哲太)は桜木の誕生日に「かわいい寝袋」をプレゼントするのだった。

「・・・憶えていてくれたんだ・・・私の誕生日」

事件解決によって残された重苦しさを忘れ微笑む桜木だった・・・。

・・・ええと・・・まさか・・・倉田と桜木に恋愛フラグがたったわけじゃないよな。

それは・・・余りにも意外な展開すぎるんですけど・・・。

ある意味、衝撃を感じました。まあ・・・あくまで妄想的にはですが。

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

で、『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋・第10回』(フジテレビ100615PM10~)原作・海堂尊、脚本・後藤法子、演出・今井和久を見た。「絶対零度」は脚本がやや若書きの気配があって役者の演技力でかなり支えてもらった印象があったが、こちらはメイン・ライター回でセリフ的にはスムーズである。そのために泣き所では女優の競演に快く涙することができたと思う。

本筋であるジェネラル・ルージュを廻る東城医大病院殺人事件は大詰め直前である。妖しい看護師長・花房(白石美帆)はますます妖しく、怪しい国会議員・鴨志田(本田博太郎)は完全に挙動不審なのである。まあ・・・この二人にそういう役をやらせたら誰にも勝てないレベルである。

しかし、今回の見せ場は死病に取り付かれた疑いのあるジェネラル・ルージュこと速水救命救急センター部長(西島秀俊)の原点である城東デパート火災を廻るエピソードなのだ。

急患となって搬送されてきたのは看板落下事故の被害者・斉藤(麻生)である。白鳥に速水とメディカル・アソートとの繋がりを暗示したクラブ「彩子」のママだった。

彼女は・・・城東デパート火災で生れたばかりの娘を失っていた。

東城医大に搬送された斉藤の嬰児はトリアージによってブラック・タグを与えられ病院の片隅に放置されたのだった。そのことで心に深い傷を負った斉藤は東城医大病院に激しい嫌悪感を抱いていたのだった。

斉藤「娘がもし・・・助からないとしても・・・何かしてもらいたかったんです・・・でも・・・速水先生は何もしてくれなかった」

速水「助けることができなくて申し訳ない」

斉藤「ふん・・・顔だって覚えてないくせに・・・」

速水「あなたの娘さんは・・・水色のベビー服でくるまれていた・・・私は助けられなかった患者のことを忘れません・・・」

斉藤「そんな・・・同じ黒札でも顔見知りの娘さんはあわてて運び出したくせに・・・」

田口(伊藤淳史)「速水先生は・・・患者を差別するような人じゃ・・・」

和泉(加藤)「すみません・・・それ・・・私です・・・私・・・速水先生に・・・命を」

斉藤「そうなの・・・あなたが・・・あの時の娘さん・・・そうなの・・・あの時の娘さん・・・助かったのね・・・よかった・・・私・・・それがずっとずっと気になってた・・・」

和泉「すみません・・・助かったのが私で」

斉藤「なんであなたが謝るの・・・よかったのよ・・・助かって・・・本当によかったわ・・・」

和泉「・・・」

斉藤にはわかっていた。速水が助けられる命を選択したことを。その苦しみを。

速水にもわかった。斉藤が速水医師の苦渋の選択を受け入れたことを。

和泉もわかった。斉藤の心にある優しさが。

斉藤は泣いた。和泉も泣いた。もちろん、お茶の間も泣いたのである。

誰かが誰かを理解すること・・・これほどの愁嘆場はないからである。

病院を去って行く斉藤に白鳥(仲村トオル)が声をかける。

「あんた・・・最初から・・・速水を憎んでいなかったんだろう」

斉藤は速水には涙を見せず・・・背を向けると泣き崩れる。

女優魂のダメ押しである。麻生祐未はいつか「マルサの女」をやるべきだと思う。

まあ、「税務調査官・窓際太郎の事件簿」(TBSテレビ)の番外編で「マルサの事件簿・椿薫」でもいいわけだが・・・。

「サラリーマンNEO」の色情狂妻も抜群だが・・・正攻法の主演ものを見たいのだなあ。

きっと凄いはずなのである。「麻生版・マルサの女」・・・絶対に面白いと思うのだが・・・。

その時、宮本信子には是非、脱税する方でゲスト出演してもらいたい。

ちゃららららららら~ら。ちゃららららららら~ら。

木曜日に見る予定のテレビ『同窓会』(テレビ朝日)『恋とオシャレと男のコ』(TBSテレビ)『素直になれなくて』(フジテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2010年6月15日 (火)

朧月の恋人に逃げられた・・・そして追いかけない(木村拓哉)

運命というものに賭けてはいけない。

それは神を試すのと同じであるから。

しかし、どうしても「運命」や「神」を疑わずにはいられない人間というものがいる。

人の好意を素直に飲み込めない。

愛というものが信じられない。

世界をありのままに受け入れることができない。

どんな人間にもそういう部分はある。

しかし、その傾斜が過ぎるとその人間は他人の目からは壊れたように見える。

主人公の人格をこれだけ壊してしまうドラマというものはかなり冒険的だと思う。

本当に「壊れている」のか、それとも「誤解」なのか・・・伏せたままの進行も実に危うい感じだ。

ラスト・シーンで「月へ飛ぶ思い」を実行してしまいそうに見える主人公・・・それはかなり禁断の手法である。

「狂気」を描くこと・・・そういう傾きを持つ作家と・・・常に「異質」を演じること・・・そういう流れを強める演技者。

ひょっとしたら不幸な結婚をしているかもしれない・・・と強く感じる終局の冒頭だった。

このブログの愛読者には不必要かもしれないが過去を振り返ってみよう。

この脚本家は直前に「八月の蝉」で正妻の子供を誘拐しわが子として育てる狂気の愛人を描いている。2008年の月9「イノセント・ラヴ」では近親相姦の果てに記憶喪失となった主人公。話題となった「ラスト・フレンズ」では家庭内暴力を受けながら男に依存する親友を性的に愛する同性愛者・・・。傾いています。

そして、この主役は「MR.BRAIN」(2009)で突然、犯罪推理の天才になったホスト、「CHANGE」(2008)で突然、学校教師から総理大臣になる男、「華麗なる一族」(2007)で有能な経営者でありながら突発的に自殺する男・・・を演じている。脈々と流れています。

おそらく・・・お茶の間的には・・・作家も主役もそろそろ、ストレートを投げてくると思っていたはずである。

ところが・・・ものすごい魔球を投げ込んできたのだ。

それが・・・大暴投でないことを少し祈りたい気持ちになりました。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「失踪人」↗11.8%(星野真里とったな)、「ヤンメガ」↗10.9%(千葉くんとったな)、「ハガネの女」↘*9.4%(吉田里琴は美人すぎるのか)、「タンブリング」↗*7.7%(かわいい視聴率キター)、「怪物くん」↘13.7%(藤子不二雄さすがだな)、「龍馬伝」↗20.1%(蛍とったな)、「新参者」↗14.7%(ダイヤマンもこみちとったな)、「女帝薫子」↘*8.6%(フタケタなし・・・おめまけたべ)・・・ついでに「月の恋人」↘13.4%、「オランダVSデンマーク」21.3%、「日本VSカメルーン」44.7%・・・愛国者諸君・・・万歳。

で、『月の恋人~Moon Lovers~・第6回』(フジテレビ100614PM9~)原作・道尾秀介、脚本・浅野妙子、演出・石井祐介を見た。「最終章序幕・別れ」とサブタイトルが示された今回。序曲が「別離」なのである。一体・・・このドラマが描く愛とは誰の誰に対する愛なのか・・・六話を費やして全く明らかにしない・・・というのは恐ろしいことである。もちろん・・・キッドには妄想できる。それについては毎回、視点を変えて物語り、今回は「もしも愛が他人を愛することなら・・・そんなものはない・・・なぜなら人は誰もが自分しか愛さないものだからだ」というとんでもない愛の本質を語ることもできるのだ。しかし、あえて・・・それを強く主張するのは控えてみようと思う。

たとえ・・・自分しか愛さない人間でも他人を愛してみたいと思わないわけではない・・・と考えるからである。

少なくとも・・・このドラマの主人公である蓮介(木村拓哉)は誰かを愛そうと努力していることは明確だ。しかし・・・結局は愛せないのである。

前回、主人公が愛そうとしたヒロイン・シュンメイ(リン・チーリン)についてはかなりくわしく描かれた。蓮介は「世界」についての拘りがあり、「世界」から愛されたいと願う病的な傾向を持っている。また、蓮介は自分の経営する家具屋「レゴリス」と心理的には一体化しており、「レゴリス」を構成しているものをすべて自己の一部と考えていることも示されている。そんなことはありえないと考えるのが一般的だが・・・蓮介の行動はそうとしか思えないのである。

「レゴリス」が世界に進出するスタート・ラインが「中国・上海」である。

そこで蓮介は絶世の美女であるシュンメイに出会い、世界を代表する彼女に愛されたいと願うようになる。そんな馬鹿なと誰もが思うだろうが・・・このドラマはそういうものを描いているのである。

ここで実際には日本企業の中国進出における様々な問題点が描かれてもいいのだが・・・それはあまり深くは描かれない。あたかも・・・中国が普通の外国のように描かれているだけである。

その実体を不透明にしているのが蓮介の片腕である蔡(松田翔太)という謎の在日中国人の存在である。おそらく、蔡は中国の工作員であり、日本企業と中国という巨大な犯罪組織との面倒事をすべて引き受けていると考えることができる。

ちなみに日本と中国には国交があるが・・・それが非常に特殊なものであることを誰もがなんとなく知っているはずである。

たとえば毒ギョーザ事件である。中国から輸入されたギョーザが毒入りであり、それが中国国内で混入されたことは明らかだったが、中国は中国国内で犠牲者が出るまでこれを一切認めなかった。中国国内で犯人が見つかった後も謝罪は一切なく、無事に事件が解決されたのでこれからは日中両国が食の安全に注意しようと呼びかけてきたのである。まるで中国人が中国のギョーザに毒を入れそれを日本人が食べたのは日本人に責任があるかのようである。なぜなら中国を支配する中国共産党というマフィアは絶対に間違いを起こさないのが前提であり、間違いがない以上謝罪することもないからである。

日本と中国の間にある戦略的互恵関係というものはそういう側面でとらえることができる。

このドラマでは蓮介と蔡がどのように出会い、どのように関係を築いてきたのかはここまで一切描かれていない。ただ、蔡が蓮介の信頼を得た腹心であるかのように描かれてきただけである。

少なくとも、現在の蓮介にはそれで何の問題もない。

蔡がレゴリスの社員である以上・・・蔡は蓮介の一部に過ぎないからである。

もちろん・・・そのような狂気に支配されている蓮介が人格のすべて・・・というわけではない。

しかし・・・その傾向は時とともに強まっている。

自社製品が製造過程の不手際で不良品となり、それが顧客に重大な損害を与えた。

イスガス爆発小学生負傷全治二ヶ月事件は・・・壊れかかった蓮介の人格を崩壊寸前まで追い込んでいく。

それは・・・社を代表して被害者への謝罪に出向く蓮介のスタイルが明確にしている。

短いジャケットからチェーンをはみ出させた社長の誠意ある対応など社会的常識からかけ離れているのである。

被害者の親から謝罪の受け入れを拒否されると蓮介は一目のある病院内で今後の対応を上海支店の責任者である雉畑(渡辺いっけい)や蔡と協議する。

両手をポケットにつっこんでである。

もはや、その奇行は誰の目にも明らかなのである。

しかし・・・一代でしかも若くして起業し、大成功を収めた経営者である蓮介の正気を疑うものはいない。雉畑も傲慢な経営方針にたいして意見をすることはあっても、信頼すべき自分の上司が発狂しかかっているとは想像もつかないのである。

そもそもホテル住まいをする蓮介の異常さは・・・家具屋の経営者としてすでに明確なのである。

それは豪邸に住むライバル企業「マストポール」の大貫照源(長塚京三)と比較すればわかる。蓮介はインテリアの仕事をしながら常に他人の用意したインテリアに身を置いている。自社製品をまったく愛用しないのである。

「もしも被害者が死亡していたらどんな責任がとれるというのです」

経営会議で正論を言う神経とはかけ離れた蓮介の生活が不気味さを感じさせることに気付かなければならない。

「世界中のだれもが永遠にレゴリスの家具を使用する」蓮介の夢が達成されればすべてのホテルにあるのはレゴリスのインテリアになるとは言える。

それを目指している人間はいてもいいが・・・その実現を信じて疑わない人間はもはや正気とは言えない。

一体、蓮介はいつ・・・その狂気の嵐を生じさせたのだろうか。

その一つの鍵は少年期にあるだろう。

そして・・・それを明らかにできる可能性のある母親(倍賞美津子)が登場する。

実は母親は蓮介に呼び出されて東京にやってきた。事故発生で曖昧になっているが・・・シュンメイにプロポーズした後で・・・蓮介は結婚相手として紹介するためにシュンメイと母親と自分との会食をセッティングしたのである。

だが・・・シュンメイがそのこと・・・蓮介との結婚問題・・・をどのように受け止めているかは一切描かれない。

描かれないから蓮介の狂気はまだ隠蔽されているのである。

一方で・・・蓮介のすべてを知る親友である真絵美(篠原涼子)は結婚相手に選ばれなかったどころか、候補にもなっていない立場に驚愕し・・・蓮介との関係を絶とうと努力を始めている。

「今度は私にかわってあなたが蓮介を支えてあげるんだよ」と真絵美はシュンメイに優しく語りかけるが(まあ・・・日本のことも何一つ知らず・・・インテリアの素人で・・・日本語にさえ不自由なあんたには無理なんだけどね)と意地悪していることは簡単に想像がつく。

しかし、このドラマはそれを明確にしないのである。

さらに・・・今回、少し示されたのは小学生でさえ一目会えば機嫌がよくなるほどの超カリスマ・モデルであり、マストポールの社長令嬢である柚月(北川景子)がかなり幼い頃に蓮介と出会い、その膝の上で初恋に落ちたという事実である。

柚月は単なる一途ではなく・・・ずっと一途なのである。

おそらくローティーンで蓮介に恋をした柚月は膝の温かい素敵なお兄さんを常に追い求めてきたのである。だから・・・蓮介がどんな人間離れをした振る舞いをしても・・・それを異常とは思わないのである。

自社製品による顧客の深刻な被害による蓮介のダメージをなんとか緩和しようと「レゴリス」のショップに足を運び、デモンストレーションとしての商品購入をしたり、パンダのきぐるみで入院患者を見舞うパフォーマンスを展開したり・・・まるで少女のような純粋さで蓮介に接するのであった。

そして・・・冷淡な態度をとり続ける蓮介から「いろいろと助けてくれてありがとう・・・今度あらためてお礼をするよ」と言われれば昇天する勢いなのである。

「ああ・・・ああ・・・蓮介お兄様に誉められた・・・どうしましょう・・・もげっ」

柚月かわいいよ。柚月である。

柚月・・・登場シーンに心を洗われるのは彼女が若さゆえに少し狂っていても問題ないからである。

さて、物語の中でただ一人・・・蓮介の狂気に気がついている男がいるとすればそれは蔡である。

蔡は最初から日本企業を乗っ取るために中国共産党が送り込んだ工作員なのである。・・・ここまで静観していたがいい加減にしておけよ。だってそうとしか思えないんだものっ!・・・まずお前が精神鑑定を受けたらどうなんだ・・・。

・・・百歩譲って蔡は野心あふれる在日中国人なのである。

蓮介の幼少時代に受けたなんらかの狂気の種を蔡がコントロールして育てた結果、蓮介が狂ったことは充分に考えられる。

シュウメイとシュウメイの同性愛者の友人ミン(阿部力)の関係を利用し、蓮介を狂気に追いやる裏工作をしていたことはまず間違いないだろう。

ミンを出入国管理官に売ったのも蔡なら、ミンからシュウメイに助けを請う電話をさせたのも蔡である。実に陰湿な工作活動であるが・・・ほとんど描写を怠るこのドラマでその部分だけははっきり描かれている。

ついでに言うとシティー・ホテルに中華の出前がやってくる異常さもだが。

主人公も狂気だが・・・脚本家も・・・おいっ。

結局、シュウメイは蓮介の母親との見合いの席を蹴り・・・上海に帰国するような気配を醸し出す。

ここでもドラマでは描かれないが・・・シュウメイの言動から・・・蔡の工作が失敗したことは読み取れる。

「私がいることが・・・あなたを苦しめる」という一言である。

シュウメイはミンを蓮介が救援しないから去るのではないのである。

シュウメイと蓮介が結ばれることにより、真絵美が離れることは・・・蓮介の破滅を意味することをシュウメイは理解したのである。シュウメイは身を引いたのだ。

ここで・・・真絵美ファンは絶叫するべきだろう。

なぜなら・・・真絵美はこの時点で・・・ヒロインの資格を失ったのである。

ここから真絵美が蓮介の愛を獲得するのはあまりにも美しくないからだ。

「私じゃ無理かな・・・」とさりげなくつぶやき誰にも相手にされないリナ(満島ひかり)ほどに恋愛レースから脱落したようなものである。

まあ・・・醜い恋が成就するというさいはてハッピーエンドは脚本家の常套手段でもあるので蓮介と真絵美が爛れつつ結ばれる可能性はあります。

とにかく・・・お見合いの席に現れなかったシュンメイ。

母と二人になった連介はまるで子供のようにふるまう。

最初はイスにだらしなくななめにすわり・・・そしてシュンメイが去ったと思い込んだ後は・・・。

「オレはお前を幸せにしたい・・・でもオレにはオレの生き方がある」

とある意味・・・意味不明の言葉を残して・・・椅子の肘掛に腰掛けるのである。

母親は「お前・・・大丈夫かい」と平静を装って息子に声をかけるのであるが・・・。

大丈夫じゃねーーーーーーっとキッドはテレビに向かって絶叫しました。

そして・・・新月に近い・・・朧月夜・・・。

蓮介は「正気だった頃の記念写真で十円の価値しかないかっての仲間たちの真偽を検定」する。

狂気の直観力でたちまち・・・敵の正体を悟るのである。

蓮介「お前が・・・俺を狂気に追い込んだのか・・・一体いつから・・・そんなことを・・・」

蔡「・・・」

蔡は無言のまま・・・工作員に特有の冷笑を浮かべ・・・蓮介を代表取締役から解任するための経営会議に向かうのだった。

最終回だったら蓮介が虚空に身を乗り出してもおかしくない成り行きだった。

しつこいようだが・・・中国と日本の戦略的互恵関係というものを象徴しているのである。

気をつけろ。

はたして・・・蓮介は・・・正気に戻ることができるのか・・・そして誰かを愛することができるようになるのか・・・最終章は始まったばかりなのである。

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Hcinhawaii0648 ごっこガーデン。ときめきの地下駐車場。アンナもう・・・今回のダーリンは何を求めているのか・・・アンナにはむじゅかしくてわからないのでしゅ・・・くすん。でもそういう謎なところがなおさらはうぅんですぴょん。いやんぴょんぴょん・・・言葉だけでなくて頭をなでなでとかしてもらえたらさらにヒートアップなので特別ルールを実行しますぴょん。じいや~、なでなでモード発動して~まここれって・・・優秀だった社長さんが・・・女の色香に迷って身を滅ぼしゅ話なのでしゅか~。まるで場末のキャバクラで繰り広げられるお話みたいでしゅ~。もちろん、あくまでまこの想像の話でしゅ~。女帝・薫子とか嬢王Virginとかじいやが見ちゃいけないと指定したドラマは見てませんじょ~。ああ・・・録画内容をチェックしちゃダメなのパンダ~・・・蓮介の人生観ってとことん謎でしゅ~まこには蓮介の何もかもが???なのでしゅ~・・・でもアンナちゃんは応援しますパンダお気楽シュウメイと蓮介は寄り添ったんだから・・・心は通じたんだよね・・・でも国際結婚で面倒臭そうだよね。英語の授業がキライだった人には無理だし・・・日本が勝ったのはやはり直前までワールドカップ養成ギブスをはめてたからなのかな」ikasama4なんだか・・・編集が粗いのか狙いなのか・・・お話しが凄く飛ばしてますよね。シュウメイの直前までの行動と電話の言動とか・・・すこし深読みを要求しすぎのように思えます。謎として残したにしては問いかける力が弱いし、演出家と脚本家がちょっとマッチしなかった気配・・・。ちょっとキャスティング行政で溺れてる気配が濃厚です・・・残念な感じがいたしましたmariあら・・・じいやちゃま・・・早い・・・ワールドカップ体制で遅刻しましたよ~あんぱんちキャプテン長谷部大活躍万歳!・・・笠原(中村ゆり)たちってゼーレの香りがするわ・・・蓮介・・・問題ないって一言で片付ければいいのに・・・仕事も恋も中途半端はダメだ・・・っていうことがこのドラマのテーマなのかしらね・・・っていうかドラマそのもの?」

水曜日に見る予定のテレビ『臨場』(テレビ朝日)『ERⅩⅢ』(NHK総合)『Mother』(日本テレビ)

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2010年6月14日 (月)

たい焼きも満足に買えない新参者が刑事って・・・(沢木ルカ)ほっとけっ(阿部寛)

「金を愛したかっこいいパパ」でもよかったのだが・・・謎を残したままだからな。

空を越えて

星の彼方

行くぞ はやぶさ

イオンエンジンの限り・・・。

まさか・・・と思ったが、ついに探査機「はやぶさ」が地球に帰還した。

七年間の宇宙の旅を終えて地球に帰ってきた・・・まあ、はやぶさの残骸のようなものが・・・のである。

これは「機械」に「命」を感じるモエオタにとってはものすごく萌えることである。

まるで・・・サッカー・ワールド・カップの日本戦を見に帰ってきたような感じである。

日本チームには八咫烏(ヤタガラス)だけでなく・・・隼(ハヤブサ)もついているのである。ガンバレ・・・ニッポン。

で、『新参者・第9回』(TBSテレビ100613PM9~)原作・東野圭吾、脚本・牧野圭祐(他)、演出・平野俊一を見た。途中で標準語を使い始めたのだが・・・結局、また警視庁捜査一課の小嶋主任(木村祐一)は関西弁をしゃべり始めたのである。何度も言うようだが警察庁ではなく警視庁である。大阪府警と同じように言えば、東京都警なのである。関西弁の主任なんているかっ。かっこ悪いんだ・・・ここだけは・・・どうしようもなく。

百歩譲って関西人がたまたま職についたとしても・・・標準語しゃべるだろう。

そうじゃないと・・・出世できないから。

キッドは別に芸人がドラマに出ても構わないと思う。ただし・・・そのチェックはどうしてもきつくなる。そこで・・・この配役は・・・かわいそうすぎると思う。

とにかく・・・ただでさえ・・・ややはずしているこのドラマが・・・小嶋主任の登場するたびに完全崩壊するのがたまりません。

なんでだ。どうしてなんだ。そんなことして誰が得するんだよ。

ま、まさか・・・関西人対策か・・・すると日本橋は大阪の・・・秋葉原みたいなとこかよっ。

ちなみに東京にあるのは日本橋(にほんぱし)、大阪にあるのは日本橋(にっぽんばし)である。これから察するに日本をにほんと呼ぶ人とにっぽんと呼ぶ人のテリトリーがなんとなく想像できるか・・・あくまで妄想の域を出ない。

さて・・・たい焼き屋「銀のあん」の看板娘・奈々(沢木)がすっかり、加賀刑事のたい焼き購買行動を把握しているまでになった今回・・・怪しい人物は正体を割らないままに・・・つづくとなっている。

ゲストは税理士の岸田要作(笹野高史)の息子であり、被害者(原田美枝子)が英語の家庭教師を務めていた教え子であり、息子に30万円の玩具を買い与えるかっこいいパパでもある克哉(速水もこみち)である。もちろんおバカなキャラである。自分で自分のことを「勝ち組」とかいうくらいだ。ちなみに妻は玲子(ちすん)である。

そして・・・被害者が殺された日・・・克哉は・・・日本橋にいたことが判明する。

克哉は自称・・・サイドビジネスの投資で荒稼ぎをした会社員なのであるが・・・被害者の元夫・直弘(三浦友和)とも面識があり、克哉の父・要作は直弘の恩人でもあった。

やがて・・・直弘のアリバイが崩れるとともに・・・克哉は重要参考人として捜査線上に浮かび上がる。そして直弘と克哉の間には不自然な金銭の授受があったことが判明する。

加賀刑事「人は嘘をつくものだ・・・他人に嘘をつくし、自分にも嘘をつく、そして誰かを庇うために嘘をつく・・・」

亜美(黒木メイサ)「その分類法って・・・なんとなく腑に落ちないんですけど・・・三番目がものすごくとってつけたような感じで・・・なんか・・・奇数と偶数と算数みたいなちぐはぐな感じがあるって言うか・・・」

加賀「ほっとけっ」

とにかく・・・誰かを庇っているようにも見える直弘に加賀は意味ありげにつぶやく。

「あなたの息子さん(向井理)・・・知りたがってたな・・・被害者は何故・・・殺されなければならなかったんだろう・・・と。まあ・・・被害者遺族としてはよくある心情ですけどね」

「・・・」

ともかく・・・来週が最終回だと思うと・・・なんとなく心が安らぐ奇妙なドラマである。

関連するキッドのブログ『第8話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『離婚同居』(NHK総合)『絶対零度・未解決事件特命捜査』『ジェネラル・ルージュの凱旋』(フジテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

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2010年6月13日 (日)

剣を用いてもてるものは銃を用いてもてるものにおよばず(坂本龍馬)

京都周辺には春を売って口を養う女たちが屯していた。

女とそれを商う者たちにとって上客は金払いのいい客だった。

幕末の動乱・・・次から次へと金回りのいい男たちが現れた。

尊皇攘夷の人斬りたち。

御所護衛の人斬りたち。

腕が自慢の男たちは敵を斬り恩賞に与かり、その金で女を買った。

後に維新の元勲となったものには芸妓を妻にしたものもあるし、新選組の隊士の中には水茶屋の娘に子を生ませ、その子が売れっ子芸妓になったため老後を養ってもらったものもいる。

敵も味方もなく、景気がいいときにはもて、不景気になればもてない・・・今も昔も色街では不変の真理である。

しかし、時には泥中に人情の蓮の花は開くのである。

で、『龍馬伝・第24回』(NHK総合100613PM8~)脚本・福田靖、演出・梶原登城を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は龍馬の義母である坂本伊與と生母・幸のそっくりさん寺田屋お登勢の二大ビッグ・マザー描き下ろしイラスト大公開で圧巻でございます。夏の香りがする幕末の転換点・・・池田屋その後で・・・奢る平家は久しからず和をもって貴しを成すを忘れる権力者たち。粛清の反作用で起きた尊王攘夷の炎に油を注ぐ大粛清へ・・・。やられたらやりかえす・・・古き良き燃える男たちのロマンが進捗中です。結局はフランスに操られた幕府の代理戦争なのでございますけれどね。これを見た大英帝国はニヤリでございますな。幕末から日清日露の戦役までイギリスがどれだけ儲けたか・・・気が遠くなる勢いです。しかし、もはやそれは遠い昔。世界に出なければ「サッカーを敵陣に爆弾を運ぶ戦いであること」に気がつかない我が国のあり方・・・はたしてワールド・カップはどうなることでしょう。パスしているだけでは勝てないという簡単な真理は憲法九条がある限りなかなかに気がつかれにくいもの。大体・・・目標がベスト4というのが情けない。優勝を目指さないゲームになんの意味があるのか・・・。まあ・・・勝てば官軍なので・・・こういう愚痴が虚しいものになることを祈るばかりでございます。陽射し増す六月の好天・・・超早い暑中お見舞い申し上げます。

Ryoma186402 で、元治元年夏、池田屋事変で暴力革命を目指したテロリスト集団を撲滅した京都守護職会津公と戦闘集団・新選組・・・。京都市中取締りは不浄の仕事であるために武士にはできない・・・という法の矛盾を突いて下層階級中心の浪士集団「新撰組」は歴史の舞台に名乗りを上げます。尊王攘夷系の過激派浪士の狼藉に手を焼いていた京都市民は喝采をあげ、新撰組には官からも民からも潤沢な資金が流れ込む。人を殺して報奨金をもらえる構図は基本的に土佐勤皇党武市瑞山と岡田以蔵の関係と相似しているところがミソなのである。市民も新撰組を芝居の赤穂浪士になぞらえてもてはやす。そうなればたちまち増長するのが人の性なのであった。祇園精舎の鐘の音はなかなか耳に届かないものなのだ。

土佐の高知では岡田以蔵が鉄の鎖に縛られていた。しかも両手両足を広げたうつ伏せである。

「以蔵よ・・・いかなるあやしのものといえども鉄のいましめは解けまい・・・その鉄鎖には銀も溶かしてあるからの・・・」

牢獄の中には土佐郷忍びの頭となった岩崎弥太郎が立っていた。

「忍び仲間のお前を責め問いするのは辛いが・・・これも役目じゃ・・・上のものには思惑ちゅうのがあるからの・・・大殿様が関心あるのは・・・幕府への面目というものでの・・・不逞の輩がおこした罪ということで勤皇党の行いを正したいのじゃ・・・ま・・・お前にそんなことを言っても無駄だがな・・・なにしろ・・・お前は何一つ・・・知らんのだからな・・・見ろ・・・ここに訴状がある。お前の知らないことが・・・色々と書いてある。森下衆の隠し目付けはいたるところに張っておるからの・・・すべては筒抜けじゃ・・・そしてこの訴状はお前の自白に基づいて書かれたことになっておるのじゃ・・・驚くじゃろう・・・何一つ知らんお前がいろいろと白状しちゅうわけじゃから・・・だから・・・かわいそうじゃが・・・ちいと泣いてもらわにゃならん・・・拷問に耐えかねて白状したという体裁を整えるためにな・・・」

岩崎は真っ赤に焼けた鉄火箸を取り出した。それを以蔵のむき出しの尻に近づける。

薬のために寝ぼけたような眼差しだった以蔵の目が見開かれる。

「あああああああ」

焦げた臭いが漂いだす牢獄で弥太郎は目を細めた。

「武市先生のかわいがっていたここが・・・こんな風にされて・・・あの方もさぞや・・・お心が傷むだろうて・・・すまんな・・・以蔵・・・しかし・・・もっと泣いてもらわんと・・・」

弥太郎はゆっくりと火箸を以蔵の肛門に差し込んでいく。

「あーっ!」

以蔵の悲痛な叫びは牢獄中に響き渡った。

その頃、伏見寺田屋工兵隊は壬生での屯所増築に出張していた。

忍び大工などで構成された部隊は豊臣秀吉の一夜城を築いた川波衆の流れを組んでいる。前線で戦う兵のための陣地構築がその秘伝であった。

寺田屋お登勢は徳川の安泰で忘れられた技能の伝承者だった。にわかに元亀戦国の香りが強まった幕末においてお登勢は忍び大工を養成し、日本初の工兵隊を組織していたのである。

坂本龍馬は勝海舟の命令で海軍代表としてその作業ぶりを見学に来ていたのだった。

応対したのは新撰組副長の土方歳三だった。

川舟で荷揚げされた資材はすでに処理されて組み立てが迅速に行われる。

その模様を龍馬は関心して眺めていた。

「凄いもんですな・・・小屋が見る見る間に建っちょる・・・」

「ふふふ・・・そうでしょう・・・」かすかに上州なまりのある土方は坂本龍馬の素直な感想に笑顔で応じた。

「あたしらも・・・最初に寺田屋さんの仕事ぶりを見たときにはたまげましたよ・・・ほら・・・あそこに道場があるでしょ・・・あれなんざ・・・半日でできちまった・・・」

「ほう・・・そりゃ・・・たいしたもんじゃの・・・」

龍馬は池田屋に放っていたくのいちから・・・望月亀弥太を斬ったのが・・・この土方歳三であることの報告は受けていた。しかし・・・望月が土佐藩の密偵であることは・・・新撰組の与かり知らぬことである。過激派浪士に化けていて過激派浪士として殺される。それもまた忍びの宿命だった。

そのために龍馬は土方に含むところはない。今はただ忍び大工の手際に魅了されるばかりである。

「なるほどの・・・大砲相手の戦には陣地構築が大切だと言うが・・・このような工兵隊があったら便利じゃのう・・・」

「坂本様も・・・そう思われますか・・・兵を展開するには兵糧の確保が大切ですが、武器弾薬を野ざらしにするわけにはいかない・・・この工兵隊があれば・・・進軍がたやすくなるということです」

「なるほど・・・倉庫も作れば、穴も掘る・・・それに橋なども作れるの・・・」

「さすがは・・・海軍きっての兵法者と噂の高い、坂本様じゃ・・・話が早いねえ」

「おう・・・そう言えばお玉池が池の千葉道場にいた藤堂くんがケガしたそうじゃが・・・大丈夫かの・・・」

「顔をやられましたが・・・命はとりとめました・・・さすがは伊賀の忍びの血を引く奴だと評判ですよ・・・」

「そういえば・・・土方様は軍医だとか・・・」

「ははは・・・見よう見まねですよ・・・薬活の法の真似事で・・・まあ・・・軍医は数が足りないので衛生兵というものを養成したいと思ってます」

「衛生兵とな・・・」

「まあ・・・応急処置ですな・・・とりあえず血止めなどの手当てをして後は医者にまかせるという寸法で・・・」

「なるほど・・・手当ての早い遅いは命にかかわると言いますきにの・・・」

「そういえば坂本様は京都で医者の娘とつきあっているとか・・・」

「いや・・・なんだ・・・妙な縁での・・・ははは」

「ふふふ・・・坂本様も・・・新しい忍び戦の工夫をいろいろとなされていると聞きました」

「おう・・・それじゃ・・・幕府はの・・・西洋列強に対抗するために海軍を作っちょるわけだが・・・それにあわせて江戸では洋式歩兵の養成も始めたそうじゃ・・・いわば陸軍じゃ」

「噂は聞いたことがあります・・・」

「しかしの・・・わしはそれでは不十分じゃち・・・思うておる・・・」

「ほう?」

「海軍はいわば・・・軍艦の軍じゃ・・・しかし、敵地を占領するためには歩兵もいなければならん・・・これが陸軍というわけじゃ。時には海軍は陸軍を運ばねば海の外での戦はできんわけじゃ・・・」

「その通りですな」

「しかし、陸軍が海に慣れておらんとせっかく運んでやっても即座に戦ができんということが想定されるじゃろ?」

「確かに・・・そうですな」

「そこで・・・わしはの・・・外国には海兵隊というものがあると知ったんじゃ・・・」

「ほほう・・・つまり海軍の中の陸軍ということですか」

「そうぜよ・・・土方さんはわかりが早いの・・・」

「いや・・・死んだ芹沢がそのようなことを申していました。新撰組も黒船と戦うときには舟戦も知る必要があるとか・・・」

「ほほう・・・そりゃ・・・なかなかじゃの・・・。酒乱じゃと聞いていたが先見の明はあったんじゃの・・・」

「ああ・・・本当に酒は身を滅ぼすとはあの人のためにあるような言葉でさ」

「そこでじゃ・・・末は・・・海軍とたとえば新撰組が合同で訓練して・・・海兵隊の養成が出来ぬものかと勝先生が言うのじゃが・・・」

土方は龍馬の言葉に新鮮なものを感じた。

「そりゃ・・・なんとも・・・凄い話ですな・・・」

「ええじゃろう・・・来る西洋列強との戦では・・・この戦法は絶対に不可欠じゃと思う。早い話・・・わしが操船する海軍の軍艦に新撰組を載せて・・・まずは敵地を艦砲射撃・・・すかさず新撰組が上陸して急襲をかけるという段取りじゃ・・・」

「こりゃあ・・・胸のすく話だねえ・・・」

「まあ・・・わしには恐ろしい話のようにも思えるがの・・・」

「しかし・・・そうしなければ攘夷なんてできませんでしょうな」

「その通りじゃ・・・」

「あっしはね・・・龍馬様・・・今は都の治安を守るためにきったはったをしていますが・・・いつかはそんなことをしている場合じゃなくなると思うんですよ・・・今の夢のような話を聞いていると・・・なんだか胸のつかえがとれるような気分です」

しかし、お互いが観相術者である龍馬と土方は・・・その未来が幽かな可能性でしかないことがわかっていた。

龍馬は思う・・・新撰組がわが艦に乗ることはないだろう・・・と。

土方は思う・・・龍馬の船に新撰組が乗り込むことはないだろうと・・・と。

しかし・・・二人は知らない。龍馬が艦長になる可能性があった船に土方が乗船することを。しかし、土方はその船に敗残兵として乗り込み・・・龍馬はその頃、陸地で非業の死を遂げるのである。

二人がそれぞれの未来予想に思いをはせる間に、新撰組の隊員の急増にともない増築された隊士舎は池田屋工兵隊によって完成していた。

二人は微笑み、笑顔で別れの挨拶を交わした。

元治元年の夏の陽射しが降り注いでいた。

関連するキッドのブログ『第23話のレビュー

月曜日に見る予定のテレビ『月の恋人』(フジテレビ)

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2010年6月12日 (土)

なりたい者になれるよヤンキー君(仲里依紗)ずっと一緒さメガネちゃん(成宮寛貴)

格差のあることを認めることはその是正には必要なことである。

一方で格差に目をつぶれば無用な軋轢が生れないという考え方もある。

賢愚の差を測る方法は昔から人々を悩ませ続けてきた。

低賃金を目当てに開発途上国に進出する企業は多いが、そこで一定の生産力を得ればやがて現地の労働者たちも国際的な水準への賃金引上げを主張するようになる。

濡れ手に粟という美味い話は一瞬の夢なのである。

しかし、一瞬でも利があれば旨いと思うのが商売というものなのだ。

誰かは安定を夢見る。

誰かは下克上を夢見る。

その差違は必然である。それを話し合いで埋めるか、それ以外の方法で埋めるか。

その問いに対する答えも風に吹かれていると昔の人は言いました。

で、『ヤンキー君メガネちゃん・第8回』(TBSテレビ100611PM10~)原作・吉河美希、脚本・永田優子、演出・川嶋龍太郎を見た。誰もが分るドラマなんか作るのは無理だ・・・という考え方がある。もちろん、その通りである。勉強ができるものと勉強ができないものの間に横たわる川の深さを考えるものと考えないものがいるということが予測できるからである。勉強ができる側からの景色と勉強ができない側の景色も違うと思われる。バカでないものは考える・・・バカはバカなりの考えがあるのかもしれん。バカは考える・・・バカでないものもバカについて考えるかもしれん。しかし・・・その答えはなかなかに交わりがたいものがある。

かって専門学校の講師をしていた頃・・・目の前に座る学生たちのあまりのバカさに・・・義務教育に携わるものたちの無能を密かに呪ったことがあるキッドは・・・卒業するまでにあまり賢くならなかった学生たちに己の無能さを悟ったりするのである。

少年老いやすく学成り難しである。

しかし、気持ちということでいえば、バカというのはものすごい武器でもある。

たとえば大衆の気持ちを知るということにあたってバカの有利ということがある。大衆というのは基本的にバカなものだから・・・バカにとってはその気持ちを理解しやすいのである。バカでないものはうっかりすると大衆の気持ちを見誤る。

禍福は糾える縄の如しなのである。

大衆に支持される指導者というものはあまり賢くないものだという理由がそこにあります。

指導者たちは時には賢者の教えを請うものだ。賢者は賢さのあまり、いろいろと言葉を紡ぐ。たとえば「職業選択の自由」である。そこですごいバカが「オレ、医者になる」と決意したとする。賢者は少し考えて恐ろしい未来を思い描く・・・足し算引き算も満足にできないバカに薬の加減ができるのかと。そこで「医師は国家試験合格者がなります」と付け足すのである。

バカの中のちょっと賢いものはそのごまかしに敏感に気がつき思わず歌うのだ。

「職業選択の自由あはは~ん」・・・ああ、懐かしい。

そういう世の中の裏と表を描くのがこのドラマである。

当然、少しずれてます。たとえば「男女雇用機会均等法あはは~ん」な凛風(川口春奈)は将来の夢を問われて「お嫁さんになること」を妄想する。しかし、場合によっては「専業主婦あはは~ん」なのである。「年功序列あはは~ん」の「終身雇用あはは~ん」だからである。そのために「亭主関白あはは~ん」で「夫唱婦随あはは~ん」なのである。「単身赴任あはは~ん」で「不当解雇あはは~ん」であり、「自己責任あはは~ん」で「経済格差あはは~ん」なのである。

一方、元引きこもりの千葉(小柳友)は「バカではないがちょっとバカ」なところがあり、「繊細すぎて自滅するタイプ」に分類される。大手の弁護士事務所の筆頭弁護士(文系)の息子である彼の将来の夢は宇宙飛行士(理系)である。まあ、最終的には宇宙飛行士は体育会系という考え方もあります。ともかく、親の期待は「世襲」であり、子供が弁護士の道に進んでくれること。千葉は自分の夢と親の夢の間で相克します。この悩みを引きずると「ホームレス」の可能性も視野に入ります。

逆に、元ヤンキーの大地(成宮)の悩みは「親が期待してくれないこと」・・・。大地の親は町医者(古田新太)ですが・・・すでに医学部に進学している姉・海里(大和田美帆)には「期待」するが・・・花(仲)と学年最下位争いをする自分には「期待できない」と思っているに違いないと・・・大地は悩みます。まして「理系に進んで将来は医者になりたいという夢」を口に出すことはとてもできないのです。

なぜなら・・・「そこにいけばどんな夢もかなうという」ガンダーラはこの世にはないことがバカでもわかるからです。

大地と千葉は本当は仲良しですが・・・お互いを思いあって忠告合戦の果てに武力衝突します。

大地の意見。「千葉は頭もよくて選択肢があるのに親に遠慮して夢をあきらめるなんてバカだ」

千葉の意見。「大地の親は自分のことは自分で決めろと自主性を認めてくれているのに最初からあきらめて夢を捨てるなんてバカだ」

お互いが相手を思いやり、自分のことは後回しなのです。

そこへ・・・学校で一番のバカが実力行使です。

「ケンカはやめて~」・・・圧倒的な実力者の花は二人を地球の果てまでぶっとばすのでした。

「あたしの夢は・・・みんなといつまでも一緒に仲良く生きていくことなんだ・・・」

大地は悟るのです。「バカにも上には上があること」を・・・。

「それにくらべたら・・・自分にも可能性がある」と希望を感じた大地でした。

千葉は悟るのです。「人間、時にはバカにならなきゃダメだな・・・」と。

大地「おれ、医者になる」

千葉「ボクは宇宙を目指すよ・・・」

花はうれしかった。バカな仲間がバカで・・・。

その時、学年トップで将来の予定は経済官僚の和泉(本郷奏多)がため息をつきながら、立ち上がり、お茶の間にむかってこう語りかけるのです。

「これはあくまでマンガの世界の話です・・・現実はそんなに甘くないのでご注意ください」

最も賢いバカである練馬(鈴木亮平)はニヤリとしながら頷くのだった。

関連するキッドのブログ『第7話のレビュー

日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)『新参者』(TBSテレビ)『女帝薫子』(テレビ朝日)『荒川アンダー ザ ブリッジ』(テレビ東京)

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2010年6月11日 (金)

なぜか二人で線香花火なう(上野樹里)トイレのドアをぶちやぶりなう(瑛太)子供みたいな親の子供に生れて(大平うみ)

郵便貯金組の親分が「てめえ、どこの組の記者だ」と恫喝した後で「無理を通せねえとあればこの首さしだすしかねえ」と息巻く木曜深夜・・・どんだけ仁義なき戦いなんだ・・・しずかちゃん。

まあ、金は天下のまわりものですからな~。どこに上納されるにせよ・・・庶民には関係ないといえば関係ないわけで。たちまち急騰する米国市場。わ、わかりやすすぎる。

なるようにしかならない。しかしなにもしなければジリ貧。

政治の世界はどこまでいっても真っ暗闇なのでございますねえ。

そこが面白いといえば面白いのです。

はたして小役人(尾美としのり)が語るものすごい秘密が本当にものすごいのか・・・そうでもないのか・・・ものすごい大きなフリですからな・・・ある意味、楽しみです。

で、『同窓会~ラブ・アゲイン症候群・第8回』(テレビ朝日100610PM9~)脚本・井上由美子、演出・高橋伸之を見た。この脚本家は「14才の母」(2006年)であるから、分別のない中学生が妊娠することは肯定するが、いい中年男女が一線を越えることにはあまり肯定的ではないらしい。分別があるのが大人だからである。そこが面白いとも言えるし、そこが面白くないとも言える。まあ・・・基本的に人間なんてみんなダメでいいんだよ~という優しい視点が感じられるのである。もちろん、その視線を人を小馬鹿にしていると感じる人もいるだろう。キッドにも時々、どっちなのかわからない時があります。

マドンナ ぶわっはっはっはっはっはっはっ。よろめき詐欺で↗15.2%なう。

悪女 笑ったもんが勝ちよね~。

みゆき 道に倒れて誰かの名を~。

マドンナ 呼び続けたことがありますとも~。

亭主 慶応の経済出ている私の死ぬ死ぬ詐欺もよろしく~。

アイロン 私の衝撃の告白も~。

息子 母さん・・・恋敵の亭主に恥を告白して・・・どうする気なの・・・?

マド娘 意地よ・・・女の意地なのよ・・・ハットリくんを抱きたい男もいるんだぞ~って。

亭主 夫に逃げられた女に男の魅力について訊ねる私~。

鑑識 無惨ですな。

役人 オレのかかえている秘密が大したことじゃなかったらどうしよう・・・。

色男 大丈夫だ・・・お茶の間はそこはどうでもいいと思っている・・・と思う。

刑事 サッカー・ワールド・カップが始まるってのに駆け落ちしているオレって・・・。

鑑識 わかります・・・ちなみに私はトラキチ役もできます。

キャスター ただ今、はいったニュースによりますと郵便組組長は連立離脱をジミーに指示したそうです。

色男 マジかよっ。

キャスター ただ今、はいったニャースによりますと郵便組の参院改選派ハセガワが泣いて頼んだところ、連立離脱はとりやめになりました。

色男 犬山イヌコかよっ、フクシマの二の舞は避けたか・・・わかりやすいな・・・。

キャスター まあ、ミンシュが圧勝すれば連立の必要なくなったりして~。

色男 まあ・・・それまでオレがもたないから関係ないけどな~。

色妻 あなた・・・自分が死ぬからって他人の家庭に波風たててどうすんの~。

色男 だって面白いじゃな~い。

マドンナ 皆さん、私の話を聞いてよ、私はどこにでもいるおばさんよ~。

刑事 ずぶぬれで深夜の病室にやってきて・・・。

マドンナ おいしいごはんを家族に作りパートにでかけるおばさんよ~。

刑事 ベッドに寝ている負傷者を引きずりだしておいて・・・。

マドンナ たった一度の浮気心で娘に出ていけとののしられるおばさんよ~。

刑事 ラブホテルにしけこんだ上で抱かせないって・・・。

マドンナ 二度と会わないと何度も誓って何度も逢いに行くおばさんよ~。

刑事 どんだけ貞淑ぶりっこなんだよーっ。

マドンナ だって・・・こわいの・・・初めてなんですもの・・・亭主以外の男の人とは~。

悪女 なんじゃ・・・それ。

女医A(スリット) 来週、出番あります。

キッド おばさん・・・がんばって走りましたな~。まあ・・・どうでもいい感じでしたけどな~。コントとしては秀逸の出来でしたな~。NEOの麻生さんといい勝負でしたな~。

関連するキッドのブログ『先週の木曜日のレビュー

で、『直になれなくて・第9回』(フジテレビ100610PM10~)脚本・北川悦吏子、演出・森脇智延を見た。このドラマがTwitterとほぼ無関係なこと同じように無関係なことだが木村カエラは妊娠五ヶ月で瑛太と結婚することをRing a Ding Ding Dong Ring a Ding Ding Dongと素直になって最近(20100601)発表している(誤検索対応用)、関係ないけどおめでとうございます。いよっ、下町の歌姫!

ハル 先週の微上げはご祝儀だったのなうね・・・↘10.4%ぼぎゃあ~ん。

ナカジ やることやっていてすんませんなう。おっとー、MステにCoccoが帰ってきたー!

こっこ ニライカナイ(黄泉の国)~。ニライカナイ(とこしえのくに)~。ニライカナイ(極楽浄土)~。

白髪鬼 西には天竺があり、東にはハワイがある。山が火を吹きゃ低気温です。

ハル このドラマなみに意味不明なう。

姥桜 あら・・・でも今回、前半はいい感じだったわよ~。父親を心配する息子とか。部下を心配する上司とか~。兄を心配する妹とか~。親孝行な韓国人とか~。いろいろあるけどとりあえず夏は海だとか~。青春よね~。

リンダ そ・・・それはいい年こいて同性愛に悩んだり、上司の優しさに気がつかなかったり、ネカマだったり、勃起不全だったり、ラーメン食べにいくタイミングでハンバーガー買いに行ったり、カーテンしめたり、抱き損なったらナイフで頚動脈切断を馴染みの店のトイレで実行するアタシが悪いみたいな・・・。

ピーち 少なくとも私とキャラかぶっているわよね~。

マツコ プロデューサーのやりたいことと脚本家がミスマッチだと思うわ。

ドクター 韓国帰ったら大金持ちだったりして~。

ハル 本当の愛は知らなくても玉の輿なら充分ですなう。

ナカジ 線香花火が欲しいんです・・・誰か線香花火をください・・・浮気な私に。

ハル弟 存在を忘れられた私に。

妹(木南晴夏) 制服が似合うのに海に連れて行ってもらえない私に。流れとして男3の女2だから私連れて行くべきでしょ。トッキョタワー。

ハル だよね~。絵になってたらいいってもんじゃないよね~。

カエラ 男はみんなハル狙い、女はみんなナカジ狙いの時のハル狙いの二番手男の作戦です。私みたいなのをあえてグループに参加させます。するとハル-ナカジのラインが崩れて、ナカジ-カエラとなって、ハルがあまります。それをすかさず二番手の男が奪うのです。つまり二番手の男がいい女を連れてきたときは本命カップルの危機ということです。

キッド 恋愛はゲームでございますよね。そういうことをもう少し追求すればいいと思いますな。

土曜日に見る予定のテレビ『怪物くん』(日本テレビ)『タンブリング』(TBSテレビ)

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2010年6月10日 (木)

スミレの店と砂の家と旅の宿のMother(松雪泰子)

幸福とは失うまで存在しないものである・・・というのは悪魔のお気に入りの言葉である。

なぜなら神は与え奪うものだからである。

たとえば命について考えてみれば明らかだ。

燃え出した炎はあの太陽でさえいつか燃えつきるのである。

しかし、それでも人々はつかの間の幸せを愛するだろう。

目の前の幸は一瞬にして消え・・・やがて空腹がやってくる。

だが気にすることはない。また食べたいものを食べればいいのだ。

幸せになろうと思うこと。それは下手をすれば神にも止められない悪魔の手口なのだから。

水曜日のダンスは・・・。

「臨場」・・・17.9%↗18.6%↘16.7%↗16.9%・・・・・・↗18.6%↘17.0%↗18.6%↘17.2%↘16.2%

「Mother」・・・・・・11.8%↗12.0%↗12.8%↘10.0%↗11.9%↗13.9%↘12.4%↗14.0%↘12.2%

こうしてみると尾野真千子・・・視聴率持ってるのか・・・。まあ、生みの母が悪役というのは受け入れがたいという人も多いのかもしれない。なにしろ、生みの母は母の中の圧倒的多数者だからな。そして菅政権に再起の望みを託す騙されやすい民主党支持者も・・・。

で、『Moher・第9回』(日本テレビ100609PM10~)脚本・坂元裕二、演出・長沼誠を見た。不幸を招く女はいつも僻んでいる。不幸とは幸せを憎むことだからだ。不幸な女はねたみ、そねみ、ひがみ、うらやましがり、すねて全てを台無しにする。そして自分が不幸であることを怨むのである。世界がいつも不幸に満ち溢れているように見えるのはそういう女が呪いをかけているからだ。だが・・・神はもちろんそういうことはあまり気にしない。

春は菜の花 

秋には桔梗

そして継美の花は夜開く

教壇に立つ鈴原先生(松雪)を怜南(芦田愛菜)は見つめる。

鈴原先生の声は優しい。

まるで昔のママ(尾野真千子)のようだ。

パスタを茹でてくれたママ。

ずっとずっと昔のママ。

もしも・・・鈴原先生がお母さんだったなら。

毎日、卵焼きを焼いてくれたなら。

どんなにうれしいだろう。

どんなに幸せなことだろう。

ふふふ・・・怜南ってバカな子ね。

そんな夢みたいなことを考えて。

鈴原先生が怜南のお母さんになってくれるわけないじゃない。

だって鈴原先生には継美がいるんだもの。

継美はクスクス笑いながら目を覚ます。

「継美・・・継美」

「お母さん」

自分を見下ろす奈緒の顔を継美は意識する。キッチンからはトントンと包丁の音が聞こえる。葉菜(田中裕子)が刻む朝餉の仕度のリズム。

継美はうれしくてうれしくて笑ってしまうのだ。

継美から夢の話を聞いて奈緒も微笑む。

「だってお母さんだものね」

「ねー」

継美の幸せな気持ちはずっと続く。だけれど心配事がないといえば嘘になる。ごはんはおいしいのに歯が抜けて食べづらい。このまま歯が生えてこなかったらどうなるの。

「大丈夫、生えてくるわよ」とお母さん。

「大人の歯が生えますよ」とお母さんのお母さん。

継美の不安は癒される。お母さんが口をそろえて言うのなら・・・きっと約束は果たされる。

なんといっても明日はまた旅に出るのだ。しかも今度は三人そろって旅に出る。きっと楽しいことがいっぱいあるに違いない。

「どこに行くんだっけ?」

「伊豆よ」

「いず・・・か。学校には内緒にしておくんだよね」

「そうだよ・・・内緒だよ」

お母さんとうっかりさんと三人の内緒の旅・・・継美は幸せの予感で飛び跳ねたくなるのだった。

継美を学校に送り出すと奈緒と葉菜は改まって向かい合う。

「メガネ・・・どこだったかしら」

「ここにあるよ」

奈緒はまるで娘のように母の眼鏡を探し出す。

ただそれだけで葉菜は幸せで泣きたい気持ちになるのだった。

「いいかしら・・・銀行の口座番号を言うから控えてね」

「はい」

「・・・金額は580万円・・・」

「あの・・・用意できますか」

「大丈夫」

「必ず・・・お返ししますから」

「いいのよ」

「メンテ企画への入金が済んだら・・・戸籍謄本を請求するの・・・望月奈緒と望月継美に間違いないか・・・よく確かめて・・・」

闇の世界に通じる葉菜が手に入れる売買される戸籍。

奈緒はまだ半信半疑であるが・・・母を信じた以上・・・それに従う他はないと覚悟を決める。

「明後日になれば・・・継美ちゃんとあなたは本当の親子として・・・ずっと暮らしていけるようになるわ」

葉菜は断言するのであった。

幸せを願うトリオと不幸な女との運命のレースの開始の号砲が鳴り響いていることを三人はまだ知らない。

葉菜は公園に行き、謎の老人(高橋昌也)の正体の一端が明らかになる。

老人は理髪店「スミレ」の先代主人であるスミレの夫だった。

「あの店が自分のものだと思ったことはありません」

「あの店は家内が死ぬ前に君に譲ったものだ・・・君の好きにしていいのだ」

「申し訳ありません」

老人は微笑んだ。

葉菜は店を担保に借金をする。

生命保険作戦が失敗しても最後の手段があったのだ。

葉菜は娘のためにできることがある幸せを感じていた。

その頃、奈緒は母に贈った布団を干していた。そこへ葉菜の主治医である袖川が訪れる。

「あの・・・この家のものは今・・・留守なんですが」

「私は・・・あなたに会いにきました」

奈緒は胸騒ぎを感じる。

「あの・・・」

「私は・・・大体の事情は知ってます。修羅場を立ち聞きしていたので」

「・・・は病気なんですか」

「急性骨髄性白血病です・・・すでに一度発症して・・・今は小康状態です」

「そんな・・・あんなに元気そうなのに」

「ええ・・・びっくりするくらい元気ですけど・・・いつ死んでもおかしくない容態です」

「・・・そんなこと・・・母は一言も・・・」

「きっと・・・奇跡が起きているんですね・・・でも・・・このままだとウーッ!マンボになっちゃうんです」

「ウーッ!マンボに・・・」

奈緒は衝撃で気が遠くなった。

葉菜はいつもの番いのインコを見ていた。

いつか飼いたいと夢見ていたインコ。しかし・・・自分が死んだら世話をするものがいなくなるとあきらめていたインコ。今は後の面倒を見てくれるかもしれない人がいる。しかし、同時にインコを飼う必要もなくなった。愛しいものがそばにいる幸せを葉菜は感じる。

学校帰りの継美は葉菜と合流した。

仲睦まじい二人をペット・ショップの女主人は怪訝な目で見る。

葉菜は水の臭いを感じていた。

梅雨が近いかもしれない。葉菜は鮮やかに季節感を感じる自分に心が浮き立つ。

継美は歌を歌いだす。

おやまにあめがふりました

あとからあとからふってきて

ちょろちょろおがわができました

二人のホンキー・トンク・ウーマンは家路を辿る。

その頃、デストロイヤー仁美は激しい破壊衝動に突き動かされ、警察を支配下に置いていた。すべてが明らかになれば敵に回る国家権力も今は被害者である仁美の味方である。

仁美は味方がいることの安堵に酔っていた。

国民監視システムの映像には標的が移っている。仁美から怜南を奪った女教師と裏切り者の実の娘。

仁美の瞳には暗い憎悪が燃え上がる。

今や、仁美は世界のすべてを憎んでいる。もちろん、そこには自分自身も含まれるのである。仁美はすでに母ではなかったし、人間でもない存在と化していた。

女たちは夕餉の食卓を囲んでいた。

藤子(高畑淳子)直伝の茶碗蒸しは美味だった。

「これ・・・美味しいわ・・・継美ちゃんのお母さんは料理が上手ねえ」

「えへへ」

二人の会話を聞きつつ奈緒は葉菜の身を案じていた。

しかし・・・継美のために計画の変更はできない。

旅支度を整える奈緒に葉菜が声をかける。

「何か・・・手伝えることがあるかしら・・・」

「大丈夫・・・先にお風呂をどうぞ・・・」

「そう・・・じゃ、お言葉に甘えて」

湯支度を整えようと身を屈めた葉菜はふと咳き込む。

その音は葉菜の老いと病を奈緒に強く意識させる。

「大丈夫ですか・・・」

「風邪でも引いたかしらねえ」

「病院に行かないと・・・」

「そんな大袈裟なことじゃないわ・・・そうそう・・・継美ちゃんにうつさないように気をつけないとね」

奈緒の心は震える。

(お母さん・・・お母さん・・・お母さん)

「明日は少し早く出ましょうよ・・・」

「・・・」

「せっかくだから継美ちゃんと海に・・・そんなことしている場合じゃないかしら?」

「いいえ・・・」

旅立ちの日。葉菜は慣れ親しんだ店を見納めた。

やがて・・・店は人手に渡るだろう。しかし、葉菜は満足だった。

三人の逃亡者は最初の追っ手を逃れた。

三人がすでに伊豆へ向かう踊り子号の車内にいる頃、室蘭から来た刑事たちは理髪店「スミレ」に到着したのである。

女刑事(吉田羊)「逃げられたみたいね・・・鈴原家に向かいましょう」

いたずらくまのこかけてきて

そうっとのぞいてみてました

さかながいるかとみてました

しかし、国民監視システムは駅のホームで逃亡者トリオを捕らえている。

出勤時間に婚約者の加山(音尾琢真・・・「スミレ16歳!!」のオヤジにして「竜馬伝」の望月亀弥太)を待ち伏せた鈴原家の次女・芽衣(酒井若菜)は決意を語る。

「どうしても・・・伝えたいことがあるの・・・」

加山は膨らむ芽衣の腹部から目をそらす。

「君の気持ちはわかるけど・・・」

「この子の父親はあなたじゃないの・・・ごめんなさい」

芽衣は婚約指輪を加山に返却した。芽衣は結婚と出産を両立できないタイプだった。

帰宅した芽衣を迎える母・藤子と末の妹の果歩(倉科カナ)・・・そしてうな重は梅の耕平(川村陽介・・・「ROOKIES」の桧山にして「JIN-仁-」の火消しの千吉)の鈴原家トリオと一匹。

「思い切ったことしたわね」

「だってこの子の母親なんだもん・・・ねえ・・・これで奈緒姉・・・家に戻ってこれるんじゃない」

果歩はまだ奈緒が実の母と再会したことを教えてもらってないらしい。

「母親は世間じゃなくて子供の目を見ているべきでしょ」

「・・・パスタでも食べる?」

藤子には葉菜に対して少し複雑な気持ちが残っているようだ。

それは怨みの火種だが・・・藤子にはそれに着火しない知恵がある。

そこへ・・・地獄の業火に振り回される刑事たちがやってくる。

彼らには善悪の区別はない。ただ職務として為すべきことを為すだけである。

「長女の奈緒さんは今どちらにおいででしょうか」

「長女とは十数年疎遠になっているのです・・・あの娘は妹の結婚式の招待にも欠席の返事を寄こすくらいですから・・・」

藤子はシラを切った。

刑事たちは鈴原家に怜南がいたという情報を仁美から得ているはずだが、それ以上は追求しない。まずは任意の事情聴取。そして優先すべきは誘拐された養女の保護と、参考人の身柄の確保だからである。

道警から警視庁への仁義も切らなければならない。

伊豆熱川に到着したトリオは虎口を脱したかのようだった。

しかし、足取りは着実に監視され、検索されていたのである。国民監視システムから逃れることのできる国民はいないのだった。すべては時間の問題だった。

顔識別認証機能は逃亡者リストの該当例を次々とピックアップしていくのだった。協力要請を受けた警視庁広域捜査担当はすでに踊り子号に乗りこむ三人を洗い出していた。・・・いい加減にしておけよ。「相棒」とかの見すぎだろう。その場合、担当警察庁だろう。じゃ、あの少人数で近所の旅行代理店を聞き込みしたのか。うっかりさんだけに実名で予約したのか。・・・ま、その点はいいか。ことによるとROMESシステムかもしれんしな。誰が空港を防御しろと・・・。

とにかく・・・トリオに残された時間があまりないことは充分に予感できるのだ。

トリオは取引銀行の所在地を確認した。

「疲れたでしょ・・・」

奈緒は葉菜の体調を気遣った。

「大丈夫・・・それより海に行きましょう」

親はなぜか子供に海を見せたがる。それが一種の義務でもあるように。

だが子供もまた海を見れば喜ぶのである。

もちろん・・・海は命の母なのである。

継美は砂浜で家作りに熱中した。

衝撃のラストのためにテーマ・ソング前出しである。

いいのができたわね

ここが庭でしょ

ここが自転車置き場

ここがお風呂でしょ

ここが台所

ここがテレビをみる部屋

ここが継美とお母さんの眠る部屋

じゃあここでアイスを食べるのはどうかしら

お母さん

そこはトイレだよ

じゃあ・・・ここは

そこは・・・うっかりさんの部屋

雨が降ってきたら困るかな

屋根がないし

葉菜は心の中で号泣した。

「継美・・・ここが気に入った?」

「うん」

「じゃ・・・ここに住む?」

「いいよ・・・」

「また学校とか替わって友達とかあえなくなるけど」

「友達はすぐできるよ」

「・・・」

「三人で暮らすんでしょ?・・・この街でお店をやるの?」

「・・・」

「お母さんが髪の毛洗う係でうっかりさんが髪の毛切る係・・・私が髪の毛洗う係」

「・・・」

「だめ?」

「素敵なお店ね」

「三人家族のお店だよ」

その時、三人の頭上を海鳥が過ぎていく。

継美は衝動的に走り出した。

鳥さん

ここにいるよ

ここだよ

奈緒はそこにいる継美を見つめた。

そして浴衣の君はラッコ体操ではしゃぐのだった。

「お風呂は広いから泳げますよ」

「お風呂で泳いじゃいけないんですよ」

すでに布団が敷かれた旅館の一室。

奈緒の携帯電話がなる。

鈴原家には芽衣の連絡を受けたハイエナの駿輔(山本耕史)が乗り込んでいた。

駿輔「今日、室蘭から鈴原家に警察が来たそうだ・・・おそらく・・・仁美が通報したんだろう・・・あなたは見つかったら警察に任意同行を求められ、一緒にいるのが道木怜南と確認されたら未成年者略取の疑いで逮捕されることになる」

「・・・鈴原の母はそこにいるの?」

藤子「奈緒・・・無事なのね・・・私・・・言い忘れていたことがあるの・・・一番大事なこと・・・あなたはよくやったわ・・・よく怜南ちゃんを誘拐した・・・あなたは私の誇りよ・・・」

「・・・お母さん」

果歩「私たちは大丈夫だから・・・絶対逃げ切って・・・あきらめちゃダメだよ」

「・・・果歩」

芽衣「私の子供が生れたら・・・継美ちゃんと遊ばせたいの。継美ちゃん・・・お姉ちゃんだから・・・きっと遊んでくれるよね・・・きっとそうなるから・・・きっと」

「・・・芽衣」

駿輔「どうする・・・出頭する気はないのか?・・・その方が心証が・・・」

「継美を離す気はありません」

駿輔「・・・刑法上では未成年者の略取・誘拐は状況によっては親告罪となる・・・これは被害者を保護するための法的配慮だ・・・だから・・・仁美が告訴しなければ犯罪そのものが成立しないかもしれない・・・明日・・・室蘭に行き・・・仁美を告訴しないように説得してみるつもりだ」

「・・・あなたが・・・どうして?」

駿輔「・・・俺だって人間だもの・・・」

藤子「・・・継美ちゃんを家で引き取ることはできないの」

駿輔「それは無理でしょう。犯罪加害者の家族だし、下手すれば共犯者ですから」

藤子「・・・」

駿輔「逮捕されたら二人の・・・奈緒さんと継美ちゃんの旅路は終わりです・・・二人は二度と一緒に暮らすことはできないでしょう」

藤子「・・・芽衣・・・果歩」

芽衣「お母さん」

果歩「お母さん」

藤子「私は決めた・・・奈緒にもしものことがあっても離縁届けは出さない・・・いいわね」

頷く二人だった。

なんにもいないとくまのこは

おみずをひとくちのみました

おててですくってのみました

幸せな夜は過ぎ去ろうとしていた。

継美はすでに眠っていた。人間が一番幸せなのは眠っているときだが人間はそれを味わうことはできないのだ。

「警察が捜査をはじめたそうです」

「そう・・・」

「とにかく・・・明日、戸籍を手にいれて・・・逃げるのはそれから」

「・・・継美ちゃん・・・ここでお店をやるとか・・・うふふ・・・さあ、もう寝ましょう」

「眠れるかな・・・」

「気持ちはわかるけど・・・」

「昨日・・・あなたの主治医に会いました」

「ああ・・・あの先生、少し大袈裟だから」

「嘘つき・・・また・・・私を騙そうとして」

「・・・じゃ・・・また、騙されて・・・」

「どうして・・・私は再会してから・・・あなたにひどいことばかり言ったのに」

「そんなの・・・今のあなたならわかるでしょう?」

「・・・罪滅ぼしですか?」

「違うわ・・・幸せだからよ・・・」

「・・・」

「幸せって・・・自分よりも大切な誰かがいるってことでしょう?」

葉菜は奈緒を見た。そして継美に目を移した。

「その人を守るためなら自分の命さえもいらないと思える人がいることでしょう?」

「・・・継美の作った砂の家・・・」

「ええ・・・素敵だったわねえ・・・」

室蘭の警察署内では刑事が仁美に報告していた。

「奈緒さんと怜南さんの行き先が判明したようです」

「・・・」

仁美は終焉を予感する。

待ち受ける暗い未来。誰も幸せにならない未来。それこそが仁美の望むところだった。

それでもどこかにいるようで

もいちどのぞいてみてました

さかなをまちまちみてました

眠れない夜を一人で泣いているのはみじめだ。しかし子守唄を歌ってあげるあの子はもういない。仁美は唇を噛みしめる。

運命の朝は明けた。

そつのない旅館の仲居は朝食を下げながらお愛想を言う。

「お母さんにそっくりですね」

奈緒と継美は秘密の共有者として喜びを分かち合う。

「そっくりだって」

「似てきたのかな」

「目かな」

「鼻かな」

「お手手かな」

「親子だもんね」

「当然だよね」

二人の会話を葉菜は微笑んで見つめる。

「じゃ・・・お母さんはご用事をすませてくるからね」

葉菜は通帳を取り出す。

「うっかり・・・落さないようにね」

奈緒は緊張した。

朝一番で室蘭の刑事たちは熱川に到着していた。県警に応援が要請され、道木怜南の捜索が開始される。その捜査の網の中に奈緒は飛び込んでいく。

ハイエナも室蘭の仁美を訪ねていた。

「告訴をしないように頼みに来ました」

仁美はハイエナを見下して嘲笑を浮かべる。

「もう子供はいらないって・・・言ってたでしょう・・・それにあの子はもう・・・君を母親だと思っていないし・・・今さら・・・告訴したって」

「残念でしたあ・・・もう、告訴しちゃいました・・・告訴を取り下げるつもりもないわよ」

「なんで・・・そんなことを・・・」

「嫌いだからよ・・・あの女が」

ハイエナは言葉を失った。人間の恐ろしさに股の下に尻尾がしまいこまれる。

駿輔の頭に浮かぶのは職業的な見出しばかりだった。

悪魔の女教師、教え子を誘拐!

独身35才一人暮らしの心の闇!

母は殺人犯!仰天の過去に何が!

それでも養女を庇うセレブな経営者義母の傲慢!

娘を奪われた母の慟哭・・・「あの子を返して

偽装された自殺・・・洗脳された怜南ちゃん(7)

・・・ハイエナ仲間たちの舌なめずりの音が聞こえる駿輔だった。しかし、人の不幸を金を払ってでも読みたい人間のために奉仕するのがハイエナの役回りなのである。死肉喰らいにふさわしいビジネスと言えるのだ。

熱川の街に出た奈緒は不穏な空気を感じ取った。警官の数が多い。

そして・・・振込みをする予定の金融機関には営業時間になっているのにシャッターが下りていた。

     お詫び

ATMシステムメンテナンスのため、

本日は9時30分からの営業となります。

お客様にはご迷惑をおかけ致しますことを

深くお詫びいたします。

天城信用金庫 熱川支店

奈緒の不安は恐怖に変りつつあった。

通り過ぎる警官の声が聴こえる。

「・・・室蘭から応援も到着したって・・・」

じっとしているのがこわかった。奈緒は葉菜に連絡をとった。

「あ・・・お母さん・・・あのね」

「ごめん・・・急いでいるの」

「どうしました・・・」

「銀行が開かないんです・・・他のところを・・・まわってみます・・・何か変ったことはないですか」

「・・・今のところ・・・何も・・・」

「お母さん・・・あのね」

「ごめん・・・後で聞くから・・・」

「・・・お母さん・・・」

パニック寸前で歩き回る奈緒の目に聞き込みをする刑事の姿が飛び込んできた。

「この二人を最近、見かけませんでしたか・・・」

奈緒はうろたえた。もはや・・・何も考えられない。奈緒は継美と合流するために旅館への道を辿り始める。

その肩に雨が落ちる。

「うっかりさん・・・見て見て・・・晴れているのに雨が降ってきたよ」

「まあ・・・お天気雨ね・・・キツネの嫁入りって言うのよ」

「ええー・・・何それ・・・」

「お天気なのに雨が降るのはキツネが結婚式をしているからなのよ」

「えー・・・本当?」

通り雨はふりそそぐ。

奈緒を刑事たちを乗せた車が追い抜いて行く。

なかなかやまないあめでした

かさでもかぶっていましょうと

あたまにはっぱをのせました

旅館の前で刑事が聞き込みをしている。それに応じる旅館の仲居は目ざとく奈緒を見つける。

「お帰りなさいませ」

雨に濡れた奈緒に仲居は傘をさしかけようとする。

それなのに奈緒は呪縛されたように動けない。

刑事が振り返ったとき・・・奈緒は身を翻して逃げ出した。

刑事たちは獲物を見つけた。奈緒は逃げた。できるだけ遠くへ。

継美を逃がすために。

しかし、前方にもう一組の刑事たちが現れた。

奈緒は逃げ場を失って天を仰ぐ。そして叫んだ。

「つぐみーっ」

その声を継美は聞いた。幽かな母の自分の名前を呼ぶ声を。

葉菜には聞こえなかったその声を。

葉菜は胸騒ぎを感じて部屋を出る。

玄関に刑事がいる。

素知らぬ顔を装った葉菜は刑事に確保された奈緒の姿を発見する。

葉菜も我を忘れた。

「奈緒・・・奈緒・・・奈緒ーっ」

お母さん

刑事「望月葉奈さんですね・・・事情を伺いたいことがあります」

葉菜は奈緒の手をとった。

「奈緒・・・」

「お母さんの手・・・こんなだったかな」

「奈緒・・・」

「なんだか小さくなったみたい・・・」

「奈緒の手が大きくなったんだよ・・・」

「お母さん、病院に行って・・・検査を受けて・・・」

「わかった・・・わかったから・・・」

女刑事(そこは意外だったわ・・・虐待児童を保護した独善的な女教師というだけではなく・・・もっと複雑な事情があるのかしら)「と、とにかくつもる話は後ほど・・・」

「待ってください・・・継美ちゃんとこの子にお別れをさせてやってください」

刑事「つぐみって誰だよ」

「お母さん」と継美が刑事に挟まれてもがいていた。

「この子は話したがっているんです」と葉菜は哀れみを請う目で刑事たちを見る。

女刑事は目配せをした。

「お母さん・・・どこへ行くの・・・継美も一緒に行く」

雨はあがった。奈緒は言葉を捜していた。そして継美の目線にあわせてしゃがみこむ。

「お母さん・・・どうして黙ってるの・・・」

「継美・・・さっき・・・電話で・・・何を言おうとしていたの」

「あのね・・・歯が生えてきたの・・・大人の歯が・・・生えてきたの」

「そう・・・よかったね・・・ごはんをたくさん食べたからだよ・・・これからもごはんをたくさん食べるんだよ」

奈緒は継美の手を握りしめた。

「継美・・・お母さんの手・・・忘れないで・・・ずっと継美の手を握っているから・・・ずっと継美と一緒だから・・・」

「お母さん」

女刑事(充分に事情を察しながら)「あの・・・その辺で・・・一応、誘拐の容疑者ですから・・・鈴原奈緒さん・・・」

「継美・・・車が出るから・・・危ないよ・・・離れていて」

しかし、奈緒に泣きながらしがみつく継美。事情を察する女刑事もなす術がないのだ。

「お母さん・・・お願いします」

奈緒は葉菜に頼んだ。葉菜は頷いた。葉菜は娘から孫を抱き取った。

お母さんとおばあちゃんと継美・・・三人家族で暮らすの

継美の願いは空にとけていく。この世の諍いに神が手を触れない証拠である。

お母さん

お母さん

おかあさあん

継美が駆け寄るのを海鳥は見ていた。しかし、容疑者を乗せた車は無情にも走り去る。継美の母親である奈緒は児童誘拐犯として連行された。継美は心無い制度によって母親を奪われたのである。女刑事は望月葉菜を見つめ、安堵した。どんな事情があっても手続きにしたがって処理しなければならない。それが公僕の務めなのだ。この訳ありの人はものわかりがよさそうだ。とにかく一件落着なのだ。

そして仁美の呪いは成就したのだった。優秀な女刑事は悪魔の笑い声を耳にするが、それは別の話。職務とは無関係なのである。女刑事にとってはとりあえずどうでもいいことなのだから。温泉街に来ても温泉には入らず容疑者を室蘭に連れ帰ることが彼女の糧を保証するのである。

雨上がりの温泉街を闇の組織の見届け人である海鳥は飛び去った。

・・・久しぶりに終った瞬間に「これはドラマだから大丈夫」と自分を慰める必要のあるドラマ出現である。トレビアン。

関連するキッドのブログ『第8話のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『森カンナの警視庁失踪人捜査課』『子役オールスターズとハガネの女』(テレビ朝日)『岩佐真悠子のトラブルマン』『里久鳴祐果の大魔神カノン』(テレビ東京)『仲里依紗のヤンキー君とメガネちゃん』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2010年6月 9日 (水)

絶対零度の監禁地獄で刑事はバナナの夢を見るか?(上戸彩)あたほたなたんたでたすーっ(加藤あい)

たぬきでお願いします。

「ああ、微妙」という歌を作詞したくなる仕上がりを見せる「絶対零度」・・・である。

ま、アン・ルイスは歌ってくれないだろうが。

第一、いい年した大人の男が上戸彩を監禁しておいて何もしないってことはないだろうがーっ。

お前はなーっ。

言いたいことは言いました。

火曜日のドラマ対決は①「絶対零度」↗14.6% ②「ジェネラル・ルージュ」↘13.8% ③「離婚同居」↗*6.2%

「ジェネラル・ルージュ」は本題に入ったのに落ちるってどうなんだ?・・・ダースベーダーが解せないからか。

で、『絶対零度~未解決事件特命捜査~・第9回』(フジテレビ100608PM9~)脚本・酒井雅秋、演出・村上正典を見た。前・後編で演出が違うっていろいろと妄想が膨らむところだな。前編担当が「嬢王Virgin」の演出家なので監禁シーンで一線を越えかけたので交替とか・・・一人で妄想していてください。

細部を考えていくと色々と微妙なので「これはドラマなんだから」の呪文の大量消費が必要となります。なにしろ・・・一回縄を解いたのにまた縛られちゃう刑事だからな。犯人は実は優しいのでトイレ休憩入れているみたいだし・・・。

一応、低酸素状態で心身ともに虚脱という設定とか、ギリギリ綱渡りの居場所特定とかそれなりにアイディアは投入しているのだがそれを見せる段取りがわかりにくいのである。しかし、まあ・・・それなりに面白いわけである。

フリ直し(再度説明)の問題があるので2時間ドラマより、前・後編の方がタイトになるわけですしね。ちょっと計算不足なんだな・・・きっと。

警視庁捜査一課特命捜査対策室は一家である。家長である長嶋室長(北大路欣也)は末っ子の桜木刑事(上戸彩)が消息を絶ったと知るや血相を変える。

「たとえ、一般市民が守れなくても身内の命は絶対守らないといけねえ・・・おめえら・・・どんな手段を使っても泉坊を助けるんだぜ」

「合点承知の介」と若頭の倉田係長(杉本哲太)は相槌を打つ。その心中には(待ってな桜木刑事・・・すぐに救い出してたんとバナナを食わしてやるぜ)と期するものがある。

捜査員一同は一般市民を守るのとは気合の入り方が違うのである。

一方、囚われの身となった泉坊こと桜木刑事(上戸)・・・非力な腕の力を精一杯使って縄を解こうとあがくのだった。身をよじれば巨乳も揺れ緊縛された姿が悩ましい。金八先生で性同一性障害者を演じさらし巻きで一世を風靡しただけあって囚われの乙女は十八番である。

大向こうから「よ、上戸屋」「彩様~」と黄色い声まじりの声援が飛ぶのであった。

・・・おい、いつまで続ける気だ。

もう充分なので時を遡行します。

愛と命のさざ波は寄せては返し慈しみと怨みの糸はもつれてからまわる。

時の歯車は逆行し、二人の美しい女子高校生が命の炎を燃やしていた時へと反転するのである。

美香(米村美咲)は登山の好きな機械技師・河野の娘だった。幼くして母を亡くし、父一人娘一人仲睦まじく暮らしていたのである。そこは夕陽のきれいな町・・・見幸台であった。朗らかな娘だがドジっ子でもある美香はその日もうっかり階段から転げ落ちて頭を打ち父親を蒼白にさせたのだった。

「大丈夫だよ・・・大したことない」

笑顔を見せる目に入れても痛くない一人娘に安堵する河野。しかし、大事をとって病院に連れ出すのだった。いや・・・頭から血が出てるんですから救急車呼びましょうとは言わないでください。ドラマですから。

夜間に病院を訪れた河野父娘は間が悪く順番待ち30分。

ようやく・・・名前を呼ばれたと思ったら、苦悶する女を抱えた男が登場。国会議員の本谷(中根徹)だった。女は中根の愛人で食中毒を発症していたらしい。大胆不敵な本谷は議員の権威を振りかざして割り込みを強行するのである。

愛人抱えて本人がそんなことしないだろう・・・ドラマですから。

文句を言おうとした河野をなだめる美香。娘に甘い父親は「もう平気」という娘の言葉になんとなく診療をあきらめて帰途についてしまう。

いや・・・せっかく待ってたんだからもう少し・・・ドラマですから。

家路についた車の中で美香の容態は急変。

「お父さん・・・頭が痛い」の一言を残して逝去する。死因は打撲によるクモ膜下出血である。

河野の心は壊れた。何故・・・娘は死ななければならなかったのか。

何故、自分は娘に診療を受けさせなかったのか。

いや・・・あの男だ・・・あの中根議員が美香を殺したのだ。

愛人なんか作りやがって・・・その上、妻もいないオレから娘まで奪いやがった。

絶対に許さない。絶対にだ。

中根にもまた高校生の娘がいた。翔子(志保)である。翔子は父親に愛人がいることを知り心を痛めていた。できれば・・・穏便に事をすませたいと考える賢い娘だった。翔子は父親の愛人の住む家を突き止めていた。それは見幸台にあった。

けれど・・・実際に愛人と対決するのをためらう翔子。

そして・・・翔子は夕陽の美しい公園で愛する母(宮田早苗)に贈る写真を撮った。何も知らない善良な母にふさわしい美しき落日風景。

その背後には復讐のために中根の身辺調査をし、翔子の存在に気がついた河野が立っていた。

河野は翔子を憎い男の娘としてしか見ることができなかった。翔子が美香と同じ高校生だとは全く感じられなくなっていた。河野の心は壊れていたのである。

河野は無慈悲にも翔子を時限式窒息装置に閉じ込めた。中根を苦しめることができれば手段は問わないという頑なな心が河野を支配していた。

「お父さん・・・お母さん・・・お父さん・・・お母さん・・・助けて・・・たすけ・・・」

窒息死は苦痛を伴う死に方である。河野は翔子が苦しんで死ぬことを願った。そうすれば中根が苦しむはずだと想像できたからである。翔子が死んだ時・・・河野の心には冥い悦びがあふれた。

もちろん・・・それで怨みが消えるわけではない。河野は中根を死ぬまで苦しめるつもりなのである。

その復讐を妨害するものはすべて排除するのだ。桜木刑事は飛んで火にいる夏の虫だった。

しかし、一寸の虫にも五分の魂である。桜木刑事は河野の隙をついて「河野美香」の名を暗号電文で室長に送ったのである。

室長は容赦のない尋問で中根議員の口を割らせたのだった。

「え・・・そんな理由で翔子は殺されたというのですか・・・」

「浮気は罪なものなのです・・・時と場合によってはね・・・」

室長は冷徹に言い放った。そんな理由でかわいい部下が殺されては寝覚めが悪いからである。

桜木刑事も河野の心に一撃を放っていた。

「そんなことをして・・・娘さん喜ぶんですかね・・・月並みですけど」

河野の心は自暴自棄の方向に揺れた。

「まあ・・・若い女を道連れにして死ぬのも悪くはないかもなあ」という気分になったのだった。

「そ、そんな~」・・・血色を失い、死に化粧になった桜木刑事は色艶倍増である。

だが、最終回ではないので特命一家は河野宅を急襲し、桜木は救出されるのだった。

桜木は刑事としての意地を見せる。

「か、かくほ・・・かくほをお願いします」

「うむ」

末っ子のかわいさに顔がほころぶ長嶋室長なのである。

「バナナを買って帰ろうな」

見幸町に・・・今日も美しい夕焼けが広がっていく。やがて闇に帰る一日のために。

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

で、『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋・第10回』(フジテレビ100608PM10~)原作・海堂尊、脚本・徳永友一、演出・植田尚を見た。水増し請求ドラマだけに最後は水質汚染がらみである。とにかくなんとなく出番待ちをしていた白鳥(仲村トオル)が全開バリバリで視聴率ダウンでお気の毒である。県警からは白鳥が家庭教師をしたおかげでキャリア組になれたらしい武田刑事(山中崇)がやってくる。「相棒」の芹沢刑事(山中崇史)とは別人である。念のため。かわいい感じがするのが崇史でとっぽい感じがするのが崇である。言われなくても区別はつくし、その説明の方が意味不明だぞ。

とにかく、警察が殺人事件の捜査に乗り出したのに陣頭指揮をとる白鳥(厚労省)だった。

そこは・・・ちょっと無理があるよね。「トリック」テイストじゃないんだから。

っていうか状況から言うと白鳥も容疑者だろうが・・・。

原作付ミステリなのに・・・ここでも「ドラマですから」の呪文のお世話になるとは・・・。

ともかく、窒息死した寺内(でんでん)は薬物の過剰投与に見せかけようとした疑いもあり、医療知識に詳しいものが怪しいと白鳥は断定するのだった。もちろん、そうとは限らないが「ドラマだから」である。

寺内の死亡推定時刻から院内関係者のアリバイ確認が行われる。

その結果、長谷川医師(戸次重幸)が死亡時の居場所が曖昧であることになる。

白鳥「動機あるよね~」

しかし、実際は長谷川は別病院への移動を考えており、そのために外部で人と密会していたのだった。

長谷川「院内で殺人事件があったのが報道されて何もかもおじゃんですよ」

寺内の遺体は司法解剖に回されることになり、白鳥はそれに何の権限があってか割り込む。

一方、田口(伊藤淳史)は寺内の実家での遺品の整理に立ち会う。

「寺内さんは・・・孫がいることを知って・・・急に何かに目覚めたみたいなんです・・・そして僕たちに何かを伝えようとしたんです・・・それが何かを知りたいのです・・・まあ、死に際に地獄のこととかが気になって急にいい人ぶるのはよくあることですけど」

そして田口は寺内家の実家から大金を発見するのだった。

「うわ~、福沢諭吉がいっぱいだ」

そこに偶然、届く土地売買の書類。駆けつけた白鳥は寺内の遺体に「PCB(ポリ塩化ビフェニル)汚染」による皮膚障害があったことを告げる。

寺内の売った土地は産業廃棄物によるPCB汚染が確認された土地だったのである。日本では1970年代に使用禁止、生産禁止、輸入禁止になった有毒物質である。

寺内のガンもPCBによる発ガンだったと推定される。

恐ろしい物質だが、元々、ドイツが毒ガス作っているときに偶然合成した物質なので当然なのである。しかし、便利な物質として長期間製品化されたために大量の有毒産業廃棄物が生まれ、未だに処理が終ったとは言えない今日この頃なのである。つまり、一般的な原料資材として大量に使用されたPCBがどこに眠っているか追跡できないからである。

その恐ろしいPCB汚染のある土地を低価格で買い取り、病院付属の療養施設を建設する。

それが国会議員・鴨志田(本田博太郎)とメディカル・アソートという政財界が組んだ陰謀の正体だった。

孫の存在を知り仏心のついた寺内は悪事を告発しようとして口封じされた可能性が浮上した。

その犯人として疑われるメディカル・アソートの営業部長・佐々木(堀部圭亮)は消息不明となっていた。

そしてもう一人・・・長谷川の証言で・・・犯行現場近くにいた可能性のある看護師長・花房(白石美帆)・・・そしてそうなると一緒にいたと証言する救命センター部長のジェネラル・ルージュ速水(西島秀俊)のアリバイも崩れるのだった。

「何が何やらわからないのです。そんなところにようやく高階院長(林隆三)が帰国しました。でも問題は私の出番がほとんどないことなのですーっ。これじゃ、視聴率とれませんよーっ」と嘆く和泉医師(加藤)だった。

そして・・・混乱する救命センターに腹部にナイフを突き立てたままの佐々木と意識不明の速水が搬送されてきたのだった。

速水はまさに血まみれ将軍に・・・なったのだろうか・・・まだ不明なのである。

とにかく・・・今回言えることはPCB汚染、懐かしいな・・・ということだ。

人間は忘れやすい生き物だからである。しかし、生み出させた汚染物質は人間が忘れようが残留するのだった。そして・・・毒性もまたけして消えないのである。

なんだ・・・急に社会に警鐘を鳴らすドラマにするのかよ。そんなこと言われてもお茶の間は心の準備が・・・。そんなことより加藤あいの出番をどう確保するかの方が大事だし。

木曜日に見る予定のテレビ『おみやさん』『同窓会』(テレビ朝日)『恋とオシャレと男のコ』(TBSテレビ)『プロゴルファー花』(日本テレビ)『素直になれなくて』(フジテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2010年6月 8日 (火)

立待月の恋人にプロポーズをした・・・返事は待たない(木村拓哉)

他人の目からは奇妙に見えても本人には整合性があるということはある。

たとえば、このブログではキッドは結構、書きたい放題のことを書いている。

人によっては辛辣な文言に不満を感じる場合もあるだろう。

それは別に構わない。それでこそ自由な表現活動というものだ。

ところが、キッドのブログにコメントを投稿してくださる方にはキッドはその自由を認めない。

承認制にしていることを利用して、削除することもあるし、編集して公開することもある。

その理由は様々だが、基本的にはコメント内容が読者を不快にさせるのではないかと危惧した場合が多い。

人によってはそれを矛盾と感じる人もいるだろう。

キッドは読者に不満を感じさせることを否定しない。

しかし、投稿コメントが不満を感じさせることを否定するということであるからだ。

だが、整合性とはそういうことなのである。キッドが他人を不満にさせることは問題ないが、キッドの責任の及ぶ範囲で他人が他人を不満にさせることは認めがたいのである。

キッドのブログでは読者を不快にさせてもいいのはキッドだけなのである。

この一点は譲れないのである。

それを奇妙と感じる人がいれば、キッドはその人にとって奇妙な人ということになるだろう。

それと比較するのは乱暴な話だが、「月の恋人」の主人公は明らかに奇妙な人として描かれている。その奇妙さが多くのお茶の間を惑わしていることは充分に想像がつく。

一体・・・葉月蓮介(木村)という男は何を求めているのか、何を探しているのか、何がしたいのか・・・全くわからないという人はきっといるはずだ。今回はその部分を蓮介が語るのだが・・・それが本心なのかどうかがまたわからない仕掛けになっている。

それがドラマとして成功しているかどうかは別として、少なくとも葉月蓮介が理解しにくい男であることはかなり伝わっているのではないだろうか。もちろん、キッドはそういうドラマが嫌いではない。秘密にされた葉月蓮介という男の正体を見極めたいという欲望が滾るからである。もちろん・・・ここまで神秘のベールで蓋った以上、それなりに凄い正体を脚本家が用意してあることが望ましい。この脚本家はいざとなったら「それはたまたまそうなのです」で逃げるタイプでもあるが・・・今回はそれはほとんど許されない段階に達していると思う。

そういう意味でなかなかにスリリングな月曜日である。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「失踪人」↘*9.1%(二度目の陥落)、「ヤンメガ」↘*9.5%(弱いレギュラー主役回で二度目の陥落)、「日本VSコートジボワール」14.5%(死んだフリ作戦だったら凄いな)、「十津川刑事の肖像2」12.2%(この二つでレギュラーは陥落)、「ハガネの女」↗12.7%(八木優希とったな)、「タンブリング」↗*7.4%(ものすごい即席奇跡の連打万歳)、「怪物くん」↗14.1%(キャンプファイヤーとったな)、「トラブルマン」↘*0.8%(片桐はいりと犬山犬子は最高)、「龍馬伝」↘19.2%(新選組素敵だけどな)、「新参者」↘12.7%(五十円玉の指輪だけはイヤだ)、「観月版鬼龍院花子の生涯」13.9%(なめたらいかんぜよ)、「女帝薫子」↗*9.6%(もう一息だべ)・・・ついでに「月の恋人」↗17.4%・・・以上。

で、『月の恋人~Moon Lovers~・第5回』(フジテレビ100607PM9~)原作・道尾秀介、脚本・浅野妙子、演出・平野眞を見た。演出家も人の子である。この演出家は前作の「不毛地帯」で唯一の視聴率ヒトケタ回である*9.9%を叩きだしている。その傷は結構深いはずで「月の恋人」の第2~3回もかなり低調な感じがした。しかも作品は共に失敗を許されないタイプなのである。さらにいえば前作は原作の持つ重厚さが足枷となっていてこちらはラブ・ロマンスがネックになっている。非情に苦しい気配がするのである。そういう意味では今回は第2~3回に比較すると少し肩の力が抜けたような気がする。それでもまだ重厚なラブ・ロマンスという重苦しさを感じる局面だと思う。それが狙いだと言われればそれまでだが、エンターティメントとしては問題あるだろうと考える。いや、もちろん、こちらの期待値が凄く高レベルの話なのであまり気にしないでください。

さて、賢明な視聴者はお気づきかと思うが、わかりにくい主人公に対して、ヒロインの一人である・・・ここまでは二番手・・・二宮真絵美(篠原涼子)はものすごくわかりやすいキャラクターになっている。

クリエーターとしては有能だが恋愛沙汰にはひどく臆病で主人公に学生時代からずっと片思いしているという奥手の35才である。主人公に告白して気まずくなるのが嫌で親友を演じて十数年・・・どれだけ腰が引けているのか計り知れないという女性である。

しかし、人生には限りがあり、二宮の仮面にも綻びが生じている。葉月蓮介を時にはインテリア・デザイナーとして時にはアート・ディレクターとして・・・さらにはプランナーとして仕事上の支えとなっているだけではいられなくなっている。

二宮という親友の仮面から真絵美という女の素顔が情欲とともに覗きはじめているのである。逆に言えばもはや葉月の親友でいることに耐えがたくなっているとも言える。

そうでありながら、葉月への恋愛を告白する勇気は持てず、できれば奇跡が起こり、相手がその気になってくれることを祈る日々なのである。それはもう狂おしいほどに祈っているのだ。自業自得なのだが蛇の生殺しは勘弁してくれよという気分なのだった。

その祈りが天に通じたのか・・・二人の関係は新局面を迎える。しかし、それが真絵美の願いとはまったく逆であることに真絵美はうろたえる。

それが真実かどうかは別として・・・なにしろ真絵美と違って葉月はまったく心が読めない男なのである・・・少なくとも真絵美にとっては葉月が恋に落ちたことが察せられる。恐ろしいことにその相手は自分ではないのである。

葉月がこれまで女性関係がなかったとは断言しない真絵美が我を失うほどの恋仇が出現したのだった。

それが劉秀美(林志玲)であることは言うまでもない。

秀美がたとえば直前までの噂の相手である大貫柚月(北川景子)とは別格であるとある意味では葉月のストーカーである真絵美にははっきりわかるのである。このドラマの困ったところは真絵美を通じてしか・・・葉月の心がわからないという点にあるのだが・・・そこはもう真絵美を信用するしかないのである。

キッドは恋のレースを楽しむドラマとして見るならこのドラマは秀作になっていると思う。

本命である真絵美に感情移入していて大丈夫なのか・・・とお茶の間の女性陣がかなり不安を覚える展開だからである。勇気を持って対抗であるシュウメイに乗った人はそのままそのままと呪文を唱える展開であり、穴馬である柚月に賭けるものは半ば勝負を投げつつ二人が結婚したら「葉月柚月」かよ・・・などと嘯いて空を見上げる情勢だ。

一方、キッドはこの男・・・結局、誰もえらばないんじゃないの・・・と疑いつつ大穴の笠原(中村ゆり)とかリナ(満島ひかり)の出番チェックに勤しむわけである。

つまり・・・結末が全く読めないのである。本当にラブ・ロマンスなのかと叫びたいくらいだ。

そういうレースを求めない視聴者にとってはこれほど歯がゆいドラマはないのではないかとも推測します。それはつまり・・・真絵美の気分そのものなのである。真絵美は心のどこかで親友が王子様に突然変身する夢を捨てがたい女だからだ。もしも、そうでなかったらやってられないのである。そして恐ろしいことにこのドラマは明らかに普通ではない方向に向かっているように見える。少なくともキッドにはそう見えます。

とにかく、今回はヒロインたちが葉月の愛の姿を確認することに勤しむのだった。

シュウメイにとっては自分と葉月の愛であり、真絵美と柚月にとってはシュウメイと葉月の愛ということになっている。真絵美と柚月にとっては目の前が真っ暗になる検証であることは言うまでもない。

シュウメイと書くべきか、秀美と書くべき迷ったが・・・今回はシュウメイと書くことにする。

Johnをジョンと書くようなものである。中国人名は漢字で表記されるがそれをカタカナで書くのはなんだか礼儀に反するような気がするのだが、発音表記と考えるとフリガナ的ということになるのかもしれない。ブログのルビ表記は困難さにも一因はあるのだな。ついでに言っておくと韓国人名を裵勇俊と書くのもまた微妙な問題である。かって朝鮮半島の国家は大陸国家の属国扱いだったので文字は漢字である。そのために大陸国家の崇拝の念は強い。文字による支配力というものがあるからである。それを克服するために作られたのがハングル文字である。そのために半島国家は漢字を捨てた形になっている。国粋主義者でさえなんとなく漢字を使う列島国家とは一味違うのである。そういう事情を考えるとぺ・ヨンジュンとカタカナ表記することは順当とも言える。ハングル表記では日本人に意味不明な場合が多いしな。第一、打ち方がわからない。文字化けするんだろうし。

さて・・・なぜ、そんなことを言うかと言えば、このドラマでは「言葉の壁」が問題だからである。それが一つの障壁となっているわけだが、お茶の間的には伝わりにくいネタに属すると思う。それは6月13日に太陽系小惑星探査を終えて地球に帰還する探査機はやぶさの軌道を計算する主題のドラマと同じようなものだからである。数学と同じくらい外国語の苦手な人は多いのである。そして言葉が不自由なことで感じる困惑というものをほとんどのお茶の間の皆様は旅先でしか感じない。

以前も書いたがかってキッドは某巨大テーマ・パークのアトラクションの構築に携わったことがあり、そこで米国人との通訳を介したミッションにほとほと困ったことがあります。細かいニュアンスなんか伝わらないからである。間とかとっても意味ないし。だじゃれも不可なのだ。そりゃそうだ。まして愛なんて伝わらない気がしたものだ。

しかし、一方で「愛には言葉なんかいらない」という神話もある。

人によっては生まれつき無口なのであまりしゃべらないという場合もある。

その上、シュウメイは向学心に燃えて日本語を勉強しているので片言を喋るという煙幕もあるのである。

それはシュウメイが外国で孤独に暮らしていることを様々に隠蔽しているのである。

この点について脚本家は様々な工夫をこらしているのことが判る。父親が日本にいたから日本語を学んだという設定もそうだし、ひらがなが読めないシュウメイはジャポニカ学習帳で書き取りをする。セリフもいたるところに「言葉の通じない不自由さ」の説明が入っているのだが・・・お茶の間の多くはそういうことを一瞬で忘れる可能性があるのだな。

たとえば、冒頭・・・日本からシュウメイの父親を追い出した蓮介が実は中国でシュウメイの父母の関係修復に助力していたことを知り、シュウメイが蓮介の心に眠る「暖かさ」に触れたと感じたあとで・・・二人で月見をするシーンがある。

ちなみに立待月とは月齢17日。満月から欠け始めたほぼ満月である。立って待っているとたちまち登ってくるのでその名がある。

そこで初めてシュウメイは疑問を口にする。

「レゴリスってどういう意味?」

月の砂のことさ。あの月は世界中どこにいっても見れるだろう・・・自分の会社の家具も世界中で使われるように願いをこめてつけたんだ

「それなら月屋(和名)とかムーン・インテリア(英語)、ルナ(ラテン語)、チャンドラ(インド語)とかにすればよかったのに・・・」

とはシュウメイはつっこまない。ただ「世界・・・」とつぶやくだけである。

シュウメイが懸命に蓮介の言葉の意味を掴もうとしている努力を蓮介は意識しない。自分の言葉が伝わって当然だという態度にも見える。しかし、言葉の障壁は確実に存在するのである。

たとえば世界という言葉ひとつをとってもニュアンスは違う。日本人が世界と言う場合は外国、あるいは自国を含めた国際関係を示している場合が多い。しかし、中華思想の中国人にとっては世界といえば中国のことであり、日本を含む外国は世界の外にある異世界なのである。本当かよっ。

しかし、賢明なシュウメイは蓮介の言葉に蓮介の志向性を読み取る。

(わんすけ(蓮介)は・・・この世を支配したいと願っているのだ・・・)・・・と。

それに対してシュウメイは自分の願いを口にする。

「私の夢は・・・故郷で両親と一緒に暮らすことです」

アメンボのいる村でか・・・

「そう・・・そこで好きな人と暮らす・・・」

この時、蓮介は口を噤むがその顔には好意的な微笑が浮かんでいる。

ここに蓮介の危うさを読み取ることができるだろう。

自社の家具による世界征服を目論む蓮介は果てしない闘争の日々に疲れ・・・壊れかかっているのである。

つまり・・・すべてを投げ出してのんびりとひっそりと心穏やかな日々を過ごすことの憧れ。それが蓮介がシュウメイに執着する大きな理由なのである。

さて、前回、キッドは前段部分でこのドラマの原型を「竹取物語」に置き、蓮介=かぐや姫論を提示したが・・・もう少し、通俗的な解釈ではシュウメイ=かぐや姫論も当然成立する。なにしろシュウメイは耳にタコができるほど「わたし上海帰る」を連発しているのだ。上海=中国=日本人にとっての別世界と連想すればいつか上海に帰るシュウメイはまさにかぐや姫ということになるだろう。その場合は、蓮介はとりのこされて仕方なく真絵美(女官)あたりでお茶を濁すミカド(かぐや姫にふられた天皇)のポジションになるので・・・それはどうかと思うわけだが・・・。真絵美応援団万歳の展開とも言えるのだな。

一方で「何もかも捨てて中国の貧村でそれなりに幸せになるわんすけ」という結末もどうかと思うわけであります。

まあ、第二章が始まったばかりであまり先走るのもなんなので・・・やめておきますが。

とにかく・・・蓮介が壊れかけた男であることは留意しておきたい。

次に、蓮介の心がシュウメイにあることを悟った真絵美は絶望のあまり、涙を流しつつ、そっと差し伸ばされた蔡風見(松田翔太)の腕にすがりつく。蔡の場合は日本育ちの中国人なのでツァイではなく蔡で充分だろう。王貞治は選手時代は王(ワン)ちゃんと長嶋茂雄に呼ばれていたわけだが、ワン監督とは誰も呼ばないからな。

蔡は蓮介とは違う意味でわかり辛い男である。その意味は「裏切るのか裏切らないのか」まだ読めないという一点に帰するからである。蓮介の忠実な下僕を通すのか、臥薪嘗胆をしている野心家として出現するのか・・・ある意味、単純な男なのであった。

とにかく、その単純な正体を隠しつつ、蔡は真絵美を伴い、蓮介のテリトリーである高級フレンチの店へ侵入し、蓮介とシュウメイの仲睦まじい夕餉を霍乱する。

我を失った真絵美は親友の仮面を頭に乗せて全身針鼠と化し、楽しい一時に毒を撒き散らして台無しにするのであった。

「シュウメイの今後の展開ですってこんなところで仕事の話って無粋じゃないのああそう仕事しかできない私に気を使って話題を選んでくれたわけそりゃ私は舌平目のムニエルとかフォフグラとかテリーヌとかシャトーブリアンとかとは無縁の目玉焼きで結構な女ですとも結構毛だらけ猫灰だらけケツのまわりはクソだらけですともウエイターさんギャルソンさん今日はこちらのシャチョさんのおごりメニューをハジから全部持ってきてくだしゃんせーシャンソンシャンゼリゼー」とまくしたてる真絵美。

呆気にとられる蓮介だったが、今日は虫の居所が悪いらしいと素っ気無く応じる。

そこで・・・シュウメイの言葉に不自由な障害が提示される。

「マエミさん・・・何言ってるかワカリマセン・・・もう少しゆっくりお願い」

気にするな・・・戯言だから・・・

「もしかして・・・料理の話ですか?」

まあ・・・そうだな

「それなら、今朝はおいしいトーストを食べました。半熟卵が銀のエッグスタンドに乗っていてまるで夢のようなモーニングです」

ホテル暮らしをしていながらルーム・サービスを知らない貧しいシュウメイにとって蓮介のオーダーした「お部屋での朝食セット」はまさにお姫様メニューだったのである。

蓮介はちょっと照れて千切ったパンをシュウメイの口に放り込む。

しかし、シュウメイの一句一言は真絵美の脳みそを半分ほど爆破炎上させたのであった。蓮介の一挙一動は残った脳みそを沸騰させたのである。

「あっそう・・・朝食をお部屋で一緒にね・・・夜明けのコーヒー二人でお飲みになられたと・・・あーそーですか」

真絵美は機能停止した。

「わ、私・・・ちょっとお化粧なおしてくる」再起動しつつ真絵美はよろめきつつ席を立つのだった。

シュウメイは真絵美の体調を心配し、蓮介は幽かに怪訝に感じ、蔡はほくそ笑んだ。

とにかく・・・シュウメイが言葉のあまり通じない世界に住んでいることを人々は忘れがちなのである。

こういう場合のたとえとしてキッドはいつも近所の主婦の会話を思いだす。

「あの人・・・愛想ないわよね」

「挨拶しても挨拶返したことないよ」

「あの人・・・聾唖者ですよ」

「・・・・・・・あ・・・・・・そうなんだ」

不自由なことが伝わりにくい不自由さというものがあります。

シュウメイのもう一人の恋のライバルである柚月は若さゆえにもう少しストレートである。週刊誌でシュウメイと葉月の密会場面を見た柚月はシュウメイの下宿先「田鶏(食用かえる)」を襲撃する。店の主人・時田(温水洋一)と常連客の丸鉄(竹中直人)を「似たようなハゲ二人」の一言で瞬殺した柚月はシュウメイに腕相撲勝負を挑むのだった。

しかし、肉体労働者だったシュウメイはお嬢様の腕自慢だった柚月をあっさりと打破するのだった。

二重の敗北感に苛まれつつ柚月は敵に哀れを乞うのだった。

「何なの・・・あなたにあって私にないものって何なのよ・・・蓮介はあなたのどこが気にいったの・・・」

しどろもどろに言う柚月の言葉をシュウメイは無視したわけではありません。何を言っているか聞き取れなかったのです。しかし、柚月が何かで悩んでいることを察知したシュウメイは「元気出して・・・」と励ますのです。

「もげっ・・・」ハゲの自慢の炒飯の香りに包まれて脱力する柚月、かわいいよ柚月なのである。

柚月は自分以上の天真爛漫さをシュウメイに感じ自分の巣に帰っていく。そこにいるのは父親であり恋する蓮介の商売仇の大貫照源であった。

そうはしないと思うが、蓮介の母親が恋多き女であるという真絵美の解説がある以上・・・蓮介の父親が照源である可能性はなきにしもあらずである。蓮介の照源に対する態度が何か異様なものであるのも僅かにそれを臭わしている。蓮介が柚月に指一本触れない理由も二人が異母兄妹ならば納得である。そうでなければ北川景子と一晩過ごして何もしないなんてありえないだろー。お前はなー。

照源と柚月の会話は二夜にまたがるが・・・一括しておく。

「パパ・・・私、家を出ようかな・・・家が敵同士って・・・当主の息子と当主の娘ならロミジュリになるけど、当主と当主の娘だと成立しにくいみたい。私にとって金持ちの娘であることは障害にしかならないみたいなの・・・裸一貫でやり直したいのよ」という第一夜。

「パパ・・・商売で押されてるからって相手のことスパイしたり、いやらしい写真でおとしめたりとか・・・あまりにも姑息で見苦しいわ・・・手段を選ばないとか言い訳してないで娘に恥ずかしくないビジネス展開してちょうだい・・・パパは私のパパなんだから」という第二夜。

北川景子にこんなこと言われて反省しない父親がどこにいると言うのだ。お前はなーっ。

一方、蓮介の心は断崖絶壁に追い込まれていく。

ここまでかぐや姫からの連想だけで家具屋をチョイスしてしまったのではないと疑われ、ビジネス部分の展開が弱いこのドラマ。

具体的な家具も「水馬椅子(アメンボ・スツール)しか登場していないのが残念な感じ。

店舗を拡大するとか・・・インドに工場を展開して生産量を確保するとかとってつけたような経営戦略を口にする蓮介には「家具屋」の顔が見えてこない。

これを補強するために辞表を胸に創業当時を忍ぶ雉畑(渡辺いっけい)・・・そこに蔡が現れる。

「昔は・・・使い捨ての家具ではなくて・・・100年愛される家具を作りたいとか・・・レンスケは言ってたのにな・・・」

「社長が変ることはできないかもしれませんが・・・会社は変るかもしれません」

意味深なことを言う蔡だった。

社内のミーティングでは消極的な社員を常に鼓舞する姿勢の蓮介である。

立ち止まることは死ぬということです」と泳ぎ続けないと呼吸困難になる鮫のようなことを言い募る蓮介なのである。

そのくせ・・・広告のアイディアは盗まれ、モデルとの密会は暴露され、社員に対する説明責任は一切果たさない。明らかに経営者として失格のムードが濃厚になっていく。

「レゴリスの家具で時空間(100年持つし世界中いっぱい)を満たす」という執念に狂った異常者のようである。

蓮介をそこまで追い詰めているのは何なのか・・・ここが最大の謎であると言えるだろう。

そして、その真逆にあるのが「シュンメイとの小さな幸せ」であることも間違いないだろう。

親友としての二宮とストーカーとしての真絵美の分裂に悩む女はわかりきっていることをもう一度たずねるのである。

「シュウメイをどうするつもりなの・・・シュウメイとどうなりたいの」

シュウメイを側におきたい・・・ずっと一緒にいたいんだ

心臓が凍りつく真絵美だった。昼間から線香花火をして現実逃避するしかないのである。

一方、中国から不法入国するミン(阿部力)・・・。日本の出入国管理はまさに無防備なのか。

ミンはレゴリスの上海工場での横暴を日本で告発するためにやってきたらしい。そんなことをしてミンに何の得があるかは不明である。そもそもミンは蓮介の手先だったはずなのだが・・・ここでは言葉の壁を示す道具となっている。

わかりにくいのはミンがマジ(同性愛者)なのかノンケ(職業上の女装者で異性愛者)なのか曖昧だと言うことである。部外者である丸鉄はミンを男として考え、シュンメイの恋人と誤解し、蓮介の嫉妬を煽る言動をする。

しかし、字幕では「あたし、あなたしか頼る人がいないの、ケガしちゃってノルマきつくて大変なのよ・・・でも社長を信じちゃダメよ」とかお姉言葉を連発してシュンメイの妹分に徹しているのである。

ここで乗り込んできた蓮介の行動は「ビジネスのためにモデルから犯罪者を排除する経営者」と「自分の女に手を出された男のむき出しの嫉妬」に分裂する。

この辺の心理描写がうまく処理できないので・・・丸鉄が「恋人同士は言葉が通じ合うのが大切なのよね」と恥ずかしい感じの説明をしたりするのである。

もう・・・脚本と演出がいろいろと上手くできていない感じが漂います。

いや・・・やりたいことは推測できるけどお茶の間はついてこれないぞ、きっと。

「約束したでしょ・・・中国のトモダチを助けて・・・あなたは優しいからデキル」

精一杯の言葉で蓮介に訴えるシュウメイ。

世界中の貧困を撲滅することは手に余る」と一瞬、正気に戻る蓮介。

しかし、口から出る言葉は「ふざけるな・・・トモダチみんなは助けられないよ

その言葉を「トモダチは助けない」と解するシュウメイ。

基本的に言葉の障壁による誤解なのである。それが上手く伝わっていないことに脚本・演出ともに消化不良感が残るのです。

一方、例によって日本における唯一の女友達である真絵美に相談したシュウメイは「もう・・・私はダメみたい・・・後はシュウメイにまかせるわ」という一言でようやく、真絵美の蓮介への恋情を理解するのである。今頃かよっという人は言葉の障壁というものへの理解が・・・もういいか。

冷静になって問題を整理したシュウメイは「蓮介が暖かい人になることは蓮介のためになることだから工場の人々を楽にさせるべきだ」と結論に達する。しかし、出てくる言葉は「蓮介が工場を救済しなければ、私、仕事ヤメル・・・上海カエル」になってしまう。

蓮介はそれを理解しているのか、その裏までを理解しているのかは不明である。

不明なまま・・・蓮介は妖しくも疑わしい本音を吐き出すのである。

仕事をやめるには条件がある・・・オレと結婚しろ・・・結婚してくれよ

一体、蓮介は「シュウメイにとにかく仕事を続けさせる方便」として求婚しているのか。それとも「あのね。もう仕事とかどうでもいいの。一緒にいたいの。シュウメイとずっとずっと一緒にいたいの。ただそれだけなの」という幼児的なプロポーズなのか・・・どちらともとれる態度でどこへ向かっていくんだよという感じなのである。

その証拠に蓮介はシュウメイの返事を待たないのである。

だからこそ・・・蓮介は追い詰められ、壊れかかっているという推測が成り立つのである。

「世界征服を狙うビジネスマン」と「何もかも捨てて幸せな子供に戻る男」・・・この二つの間で蓮介は揺れる。もちろん、前者に徹しても後者に徹してもその間で揺れようとも蓮介が発狂しかかっているのは間違いない。

蓮介の帰る月世界の扉は心の中で開きかけているのである。

それをさりげなく暗示するのが戦術的撤退を決意した柚月の言葉である。

「今・・・あなた・・・ピンチよ・・・内外敵ばっかりだし・・・でも私には何もできない・・・だけどせめて何かの役に立ちたくてそれだけは伝えたいの」

蓮介が知っている情報ばかりだが・・・柚月の行動は蓮介の心を優しく揺らす。

もういっちゃうのか」ってそれはあまりにも淋しがりやのアニキのセリフだろう・・・。

情報交換の場に残された割り勘のコインは蓮介の幸福の象徴であるアメンボを示す四枚の銀貨。それは真絵美・シュウメイ・柚月が蓮介にとっては同格であることを暗示しているとも言える。・・・当然、蓮介にはもう一人別格の第四の女がいるのである。

それはおそらく蓮介の幼い日の第四の女とアメンボをめぐる記憶が存在することを提示しているのだろう。

そこで唐突に挿入される中国で実際にあった椅子爆発事件のフィクション化。レゴリスのイスガス爆発である。

そのニュースを聞いたとき・・・蓮介の張り詰めた緊張の糸は切れかかる。

あぁーっ

蓮介の人格崩壊が始まった如くに。・・・しかし、そのスイッチであるだろう持ち上げられたイスは放出される一歩手前で留まった。もうしばらく、ここと向こうの狭間の世界で蓮介は生きていく模様である。

もう一度、繰り返しておきます。この物語の主人公は・・・狂気の一歩手前でアイドリングをしているということです。凄い話だぞ・・・。ともかくキッドの妄想上では・・・。

関連するキッドのブログ『第四話のレビュー

シュンメイ=かぐや姫説を唱えるなら天使テンメイ様のレビュー。

Hcinhawaii0646 ごっこガーデン。いつでもお月見3Dプラネタリウム・セット。アンナすごくいい女とダメダメな女は背中あわせなのぴょん。こわがりほど恐ろしいことをしでかすものなのぴょん。真絵美を応援したい気持ちは山々なれど~。ごっこはシュンメイでゴーなのぴょ~ん。しょれが乙女心というものだからおいしいトコ取りでサクサクいくのでしゅ~。ダーリンはきっとシュンメイのカタコトに萌えているのでしゅぴょん。じいやお月見団子もヨロシクね~。こっそり見学組にもお配りしてくだしゃい~。アンナのお友達の皆さんにも月見酒をお出ししてね~。お月様はもう少し明るくしてもいいかもぴょ~ん。アンナはごっこガーデンをやり遂げましゅからーっあんぱんち後姿でバッチリ決めましたのよ~。変装シュンメイの蓮介用明太子購買シーンを通り過ぎたのは私です。今回も共演を決めたのですわ~。月の砂を目視できるって蓮介は超サンコンさん視力を持っているのかしら~シャブリはい、今週は遅刻なのでありました~、じいや今週は早めなのでありますね~でもってお月見団子は草団子でヨロシク~mariう~ん、全員が辞表を忍ばせている会社って・・・困りましたね~。翔太ロイドがあまっているので真絵美モードで遊べると言われても・・・こ、困りましたね~ミマムわ~い、遅刻したっしょ~。東京はすっかり夏なのでボーっとするっしょ~・・・冷たいお団子うまいっしょ~・・・でも季節は完全に違うっしょ~・・・アンナちゃん・・・帰国子女設定だからか・・・

Hcinhawaii0647 ごっこガーデン。密室のプロポーズ祭り会場。まこぎゃぼ~。せっかくのプロポーズ祭りなのにムカデに咬まれたお手手がモンスターエンジンなことに~。じゃけんどまこロイドを総動員してアンナちゃんを応援するどーっ。結婚申し込まれたのにオーイエースと返事するシーンがないのが残念無念でごじゃりましゅ~。寸止めプレーでしゅかしら~。花男ファン待望はF2キター・・・二人そろって中国人設定なのがおかしいわ~。蓮介のプロポーズは本気ですか嘘ですか~。謎でしゅ~ミステリーでしゅ~はうぅんお気楽恒例のあんぱんちさんチェックゥゥゥゥっ。オマケあるよ。おやおや、篠原さんの事務所、キスNGじゃなかったの・・・ウチもそろそろ解禁しようかなーってもうみんなごっこガーデンでしまくってるじゃん!・・・ま、いいかikasama4ふふふ・・・ついに完成アメンボロイド・・・リアルなので本物そっくりです。大量生産したら世界中の本物が・・・いかんいかん・・・アメンボを絶滅危惧種にしてどうする。ナンバーワンを狙うレゴリスは実は風前の灯なんですね。このドラマ、蓮介の中のナンバーワンとオンリーワンをめぐる心理的内部抗争としてみることが可能ですな。そして風見は薔薇のない花屋ふたたびでございますなーっアンナとにかく、このプロポーズだけは・・・心がこもっていようがいまいがリピなのです。いやん・・・またダーリンに結婚申し込まれちゃったぴょ~ん。さあ、このガッツで来週もやりとげますぴょんぴょんぴょん

水曜日に見る予定のテレビ『臨場』(テレビ朝日)『ERⅩⅢ』(NHK総合)『Mother』(日本テレビ)

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2010年6月 7日 (月)

秘密を愛した社長(阿部寛)

小市民たちの薄汚れうらぶれた日常。

加賀刑事(阿部寛)が暴いていくのはそういう日常に幽かに秘められたロマンスである。

それをロマンスと感じられればこの物語はそこそこ面白いはずだ。

だが、キッドはちっとも面白くありません。

なにかとてつもなく残念な感じが漂っている。

そうだなあ・・・あえて言えば・・・ツッコミのないボケを延々と見せられているというか。

出てくる登場人物が全員とてつもなくみみっちいというか・・・そんな感じ。

もちろん、普通の人々というのはみみっちいものだし、それを淡々と描くことにも問題ない。

しかし、ドラマとしては誰かが「みみっちいなぁ」と囁かなくてはいけないんじゃないか。

どうなんだ。

で、『新参者・第8回』(TBSテレビ100606PM9~)原作・東野圭吾、脚本・牧野圭祐(他)、演出・山室大輔を見た。清瀬直弘(三浦友和)には忘れられないロマンスがあった。それはちょっと悪だった青春時代の恋の勲章。いけないルージュ・マジックの乱れた日々である。直弘はその感傷を胸に秘めてこっそり回想するのが密かな楽しみだった。妻や息子にも語らぬ自分だけの青春の秘密。とにかくその秘密があったから「オレはさ・・・昔・・・泥だらけの純情みたいな赤い青春の日々があったんだぜ・・・」となぜか上から目線で家族を見下ろすことができるのである。

独身時代の直弘(和田正人)はスナックのママ戸紀子(吉井怜)によって童貞を喪失したのであった。薄汚いアパートの一室で酒の臭いをプンプンさせて裸の尻をさらけだしたあの夏の日。

その頃から趣味がいいと言えなかった直弘は50円玉を削り、戸紀子に指輪を作ったりしたのだ。そんな変な指輪・・・一笑に付するのが正しい美的感覚というものだが。

しかし、初めて女を知った直弘は戸紀子に夢中になった。少し、うざくなった戸紀子は魅力的な流れ者と知り合い、姿を消したのだった。

それから、23年。キャバクラとクラブの中間くらいのお値段手頃なバーで直弘は祐里(マイコ)に出逢った。「この女抱けるかもしれないな」と股間を膨らませた直弘は戸紀子の指輪に気がつく。・・・そんな・・・まさか。

直弘「君のママは・・・戸紀子って言うんじゃないか」

祐里「まあ・・・どうしてご存知なの?」

祐里の年齢を聞いた直弘は祐里を自分の娘と確信した。

(そうか・・・あの人はオレのために身を引いて・・・未婚の母の道を歩いたのか)

直弘の股間は萎んだ。戸紀子はすでに他界していた。

直弘は祐里に父親らしいことをしてやりたい気持ちになった。娘がいる父親は男のロマンなのである。だが、家族には内緒にしていたかった。娘を独り占めしたかったし、第一、せっかくの秘密のロマンスが汚れる気がしたからである。

そのせせこましい心情が誤解を招いた。ホステスを秘書にしたと世間は呆れた。愛人秘書と誰もが思った。妻子は家を出る決意をした。しかし・・・その前に夫に質問してみた。

「どうして・・・愛人を秘書にしたの」

夫はついに正直な告白をした。

「あの子は君と知り合う前の恋人の子なんだ・・・」

「なんだ・・・そんなことなら早く言えばいいのに・・・」

「そうだよ・・・父さん・・・姉さんがいるなんて素敵じゃないか」

「・・・お前たち」

「でも、念のため・・・DNA鑑定は受けてね」

「そうそう・・・認知とかするにしてもね・・・形式的な問題だし」

「・・・お前たち」

DNA鑑定の結果、直弘と祐里が親子である確率は限りなくゼロに近かった。

祐里は戸紀子の別の愛人の子供だったのである。

「あなた・・・」

「父さん・・・」

妻と息子は蔑みの目で直弘を見た。その見下ろされながらのいたわりがつらくて直弘はため息をつくのだった。

時々、クラブに戻った祐里の夢を見て股間を膨らませる今日この頃の直弘だった。

当然・・・加賀刑事の出番はなかった。誰も殺されなかったからである。

もうひとつの別の世界はきっとすぐそこにあるのだ。

それほど遠くない・・・けれどけして交わることのない不確定な時空間に。

関連するキッドのブログ『第7話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『離婚同居』(NHK総合)『絶対零度・未解決事件特命捜査』『ジェネラル・ルージュの凱旋』(フジテレビ)

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2010年6月 6日 (日)

いざさらばわれも海軍旗をたてとものちしぶき穢れ洗わん(坂本龍馬)

いざさらばわれも波間にこぎ出でてあめりか船をうちや払わん・・・は新撰組・芹沢鴨の歌と言われる。新選組がかっては攘夷集団だった名残がある。

過去を振り返れば西洋の列強諸国に対して誰が正解で誰が不正解の見識を持っていたかを断じるのはたやすい。

現在でも水面下で敵国の軍人の生命を奪った武人たちが自国に仇を為したのかどうかは国連での裁定を待つ状態である。

池田屋に集ったのが憂国の志士だったのか、自暴自棄になったテロリスト集団だったのかは意見の分かれるところだし、これを殲滅する中核になった新撰組が王都の平和を守る警察組織だったのか血に餓えた粛清主義者の集団だったのかも意見の分かれるところである。

とにかく、最後は勝てば官軍の理が勝るのだ。

人々はとにかく負けたらだめだ・・・ということである。

芹沢鴨は軍艦が大砲積んで日本の海を遊弋している最中に手漕ぎで戦おうとしているところにすでに死が読み取れる。それが内訌であろうとなかろうと・・・時代認識があやまっているのが敗因なのである。

その歌を歌い継いだ新撰組がやがて敗者に身を置くことは必然であるという見方も可能である。

龍馬の時代認識はそうではなかったと推測できるが、和をもって貴しとなすこの国では過ぎたるは及ばざるが如しという理も成立する。

人生に勝利することは本当に難しいのである。まあ、触らぬ神にたたりなしでございます。

人々は平和を望む。しかし、それは戦わずして得ることはできないシステム。神様の罠侮りがたしです。

で、『龍馬伝・第23回』(NHK総合100606PM8~)脚本・福田靖、演出・真鍋斎を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はスミレ16才!!も泣いた望月亀弥太の描き下ろしイラスト大公開!・・・さすがでございます。さらになつかしの沖田総司イラストも大公開です。さすがにさすがでございまする。ふふふ、人間、光の加減でハゲになったり白髪になったりしますからねえ。遠回りでも実現可能な夢を追う者とすぐ結果がでないと夢破れてしまう者・・・龍馬と亀弥太の見る夢は同床異夢だったのかもしれません。海軍塾が舞台でしたのでどうしても「勉強」についての考えが頭に浮かびます。分るまでじっくりと考えようとした亀弥太なのに「攘夷」だけはどうしてもせっかちに結果を追い求める。このあたりが人間に複雑なところでしたな。もう一人の別の亀弥太を暗示するところなど中々に工夫されていたと考えます。まあ、テロリストとそれを取り締まる側が反転していくのが幕末ですからねえ。漁夫の利を得るのが誰か・・・この辺が考えどころというものでしょう。世の中が小人で構成されていれば結局、小人の国ができあがる。無理のない話と言えるのでございます。「学」も「剣」も成り難しと言えます。しかし、人生には限りがある。学も剣もどこかで実践したくなるのが人情ですが・・・生兵法は怪我の元の真理も絶対なのでございます。そうでありながら機を見て実践しなければ事はならない。そのタイミングを掴むことの難しさ・・・そして実践して失敗することへの恐怖との訣別・・・人生は簡単なようで難しい、難しいようで簡単なのでございまする。正しい情熱の燃やし方は・・・本当に難しいですねえ。「数学できんと何が悪いとや」という浅野温子も出ていた映画「高校大パニック」(1978)のセリフをふと思い出しましたぞ。

Ryoma186401 で、元治元年六月五日(1864年7月8日)に時は移る。世に言う池田屋事件である。八月十八日の政変からおよそ一年。天誅組の変も天誅組の壊滅に終わり、長州藩を中心とした尊皇攘夷派は劣勢を挽回するために暴挙に出ようとしていたというのが基本的な解釈である。しかし、すべては幕府側の捏造だったという推測もある。ただし、最終的に長州藩が明治維新の立役者になっている以上、さらに勝者による捏造がなされたという推測もある。とにかく、明らかなことは新撰組と会津藩、彦根藩、桑名藩らの京都警護のものと長州藩士らが池田屋周辺で闘争したということである。その結果、双方に死傷者が出たものの新撰組の勇猛さが鳴り響いたわけだ。ある意味、池田屋事件あっての新選組と言えるのだった。

土佐の忍びである望月亀弥太は長州過激派に潜入し、池田屋事件に遭遇した。吉田稔麿(長州)、宮部鼎蔵(熊本)、大高又二郎(林田)、北添佶摩(土佐)など犠牲者の顔ぶれもこの座の複雑さを物語っている。一種の過激派交流会のようなものだったのかもしれない。もちろん、亀弥太はあくまで密偵である。変事を悟ると直ちに裏口から撤退しようとした。

この時、新撰組近藤隊は二手に分かれており、表から斬りこんだのが近藤勇、沖田総司、永倉新八、藤堂平助。裏口には奥沢栄助らが配置されていた。

亀弥太は敵の気配を感じ、秘術を用いる。くぐつの術である。亀弥太は妖術使いだった。裏手守備の新撰組隊士たちには裏口から若い女中が出てきたことで一瞬の隙が生じた。だが、その女中は人形(くぐつ)だった。悲鳴をあげる女中の背後には亀弥太がいて、脱出を図る。そのさらに背後から声をかけるものがいる。喀血のために戦線を離脱した沖田総司である。

「そいつは敵だぞ」

その一声で術が解けた。新撰組の隊士・奥沢は女と思っていたものがただの人形と知り、血相を変えて斬りこんだ。それを交わしながら亀弥太は人形を投げる。人形は火薬を含んでおり、一瞬で燃え上がった。たちまち奥沢は火達磨になる。亀弥太の背後にいた浪士が残った新撰組隊士と切り結ぶうちに・・・亀弥太は虎口を脱した。

しかし、そこに別働隊の土方隊が駆けつけたのである。返り血を浴びた望月亀弥太は逃れようがなかった。

土方歳三はすでに抜刀していた。裏道は狭く、逃れようがない。

亀弥太は再び、ふところから人形を取り出そうとした。

その時、歳三が叫ぶ。

「石田流妖術・・・異界送り・・・」

亀弥太は身構えた・・・「おのれ・・・御主も妖術使いか」と叫んだところで・・・亀弥太は絶句した。

周囲は静寂に包まれている。目の前には見たこともない巨大な建物が林立していた。

「なんじゃ・・・ここは・・・」

亀弥太は足元を見た。磨き上げられた石のような道路である。すぐ側の扉が開き、全身が緑色の奇妙な裸の女が現れる。女は亀弥太を見ると「ひっ」と叫び声をあげた。

「ここは・・・どこじゃ」

「ドコ?・・・キョウト第3層第21ブロック・・・ウリタ?」

「二十一部落・・・じゃと?」

「ココニハタリトモ」

「なんじゃ・・・」

「アア・・・モ・・・」

女は急ぎ足で去って行く。亀弥太は女を追おうとして手を伸ばす。しかし、女は一瞬早く、奇妙な透明な管に入っていった。そして一瞬で消え去った。

亀弥太は知るよしもなかったが、そこは45世紀の京都市街地だった。京都は25層の超高層建築物で覆われている。しかし、老朽化が進行し、廃墟と化していたのだった。女は都市管理者の一人だったが、亀弥太は酔狂な不法侵入者として彼女に無視されたのである。

突然、轟音が響いた。林立する建物が超発破によって爆砕されていたのだった。京都全域を覆う超建築物はすべて破棄される予定だった。すべては破壊され、再利用可能な資材となるため粉砕される。

亀弥太は空を見上げた。亀弥太が空と思ったのは京都第3層の天井である。その上には二十二層の町があり、それが一挙に瓦礫に変ろうとしていた。想像を絶する質量が亀弥太にのしかかろうとしていた。その前に足元が砕ける。第三層の床が崩壊したのである。亀弥太は崩落に飲み込まれた。瓦礫の山がその姿を覆う。亀弥太は絶叫した。

「うぎゃあああああああああ・・・」

超時空曼陀羅は一瞬にして超時空地獄絵図と化した。

京都の裏通り。苦悶の表情を浮かべて・・・亀弥太が絶命していた。

土方歳三は血刀をふってその死体を見下ろしてつぶやく・・・。

「この世の見納めにどんな・・・末世を見たのか知らねえが・・・よほど恐ろしい目にあったようだな・・・くわばらくわばら」

土方は亀弥太の死骸を乗り越えて阿鼻叫喚の戦闘の続く池田屋に乗りこんだ。

関連するキッドのブログ『第22話のレビュー

月曜日に見る予定のテレビ『月の恋人』(フジテレビ)

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2010年6月 5日 (土)

この花は私ですよヤンキー君(仲里依紗)背中で泣いてる唐獅子牡丹なんだよメガネちゃん(成宮寛貴)

念を押しておくが・・・コミック原作である。

なんでクラスだけが突然、合宿に行くんだよ。

なんで湯河原なんだよ。

なんで数学だけの弱点克服補修なんだよ。

なんで夫婦仲修復にクラスを巻き込むんだよ。

なんでたまたまヤンキーが湯河原出張中なんだよ。

なんで花(仲里依紗)は湯けむり美人なんだよ。

なんで花と凛風(川口春奈)は入浴シーンがないんだよ。

最後以外の疑問はスルーしてください。最後は絶対に許さない。絶対だぞ~。

で、『ヤンキー君メガネちゃん・第7話』(TBSテレビ100604PM10~)原作・吉河美希、脚本・永田優子、演出・吉田秋生を見た。進学校である紋白高校の生徒会は元ヤンキーと元引きこもりで構成されている。生徒会長の足立花は学業は校内最下位の赤点女王だが闇の世界ではハリケーン・アダと畏怖される国内最凶の暴力の実力者なのであった。花の絶対的な統制の下、生徒会は学園の平和を守るために今日も明るく楽しく不幸の芽をつみとる運動を展開するのだった。

やたらと出演シーンの多い担任の堺先生(皆川猿時→大人計画)であるがついに主役回まで・・・一般人には菅直人の対抗馬が樽床氏だったような驚きだろう。もしも、間違えて樽床氏が総理大臣になっていたらどうするつもりだったのだ。全国で「知らない人が総理大臣になった騒動」が巻き起こっていただろう・・・的な抜擢である。

突然、発表される勉強合宿計画。温泉地湯河原で二泊三日の学級旅行なのである。しかし、これには恐るべき公私混同の陰謀が隠されていたのである。数日前、堺先生の家庭では教育者としての仕事に熱中するあまり家庭を顧みない夫への今時珍しい妻(坂井真紀)との夫婦喧嘩が勃発。妻は子供(田中理勇)を連れて湯河原の実家へ里帰りしていたのだった。妻を説得しようにも大事な学校は休めない。坂井先生は仕事と家庭を両立させるべく計画を実行したのである・・・アホかっ。

そんなこととは露知らず、遠足気分でルンルンになる花だった。

バスガイドごっこで思う存分、リンゴとバナナとオーブレネリを満喫するのだった。

しかし、一部生徒の目には花が品川大地(成宮)とイチャイチャしているようにしか見えないのがお約束である。

敬慕する生徒会会長・花と意中の人である副会長・大地の仲睦まじさに複雑な気持ちになる生徒会書記の凛風だった。それをもう一人の副会長の和泉(本郷奏多)は悩ましげに見つめる。しかし、引きこもりの会計・千葉は全く空気を読まないのだった。

坂井先生の計画。昼間は補習授業。夕方、近所の神社で子供と花火でご機嫌取り。夜、妻と関係修復である。しかし、花がまったく授業内容を理解できないために居残り補修をする必要に迫られ・・・子供との約束をすっぽかし。妻に離婚宣言をたたきつけられる。

しかし・・・坂井真紀も皆川猿時の妻役をやるところまで・・・ま、いいか。

悄然とした坂井先生であった。

一方、頭の良くなる足湯の存在を知り、逆上した花は男湯まで大地を誘いに行くのである。しかし、唖然として拒絶する大地。

楽しく旅行を楽しむ花だったが・・・坂井先生の家庭の不幸の原因が自分にあると知り・・・落ち込むのだった。

花「なんとかしてくださいよ~」

大地「うっぜ~」

なのである。

しかし・・・かっては医師である父親(古田新太)の後姿に憧れを感じた大地・・・。

一肌脱ぐことを決意する。なにしろ・・・シャーペンの君(実はメガネをとったソフト・フォーカスの花)と温泉で偶然に再会し、デートの約束を取り付けてモチベーション上昇中なのである。

坂井先生の教育者ぶりを見せようと子供を迎えに出た花は遠征中のヤンキーたちに包囲されるのだった。しかし、花、大地、和泉の最強トリオにたちまち退治されるヤンキー軍団。修羅場は忘れた頃にやってくるのだった。

「家庭より教室を大事にする夫が嫌い」だった妻は・・・劣等性を見捨てない夫に男気を感じ・・・夫婦仲は修復されるのであった。

しかし・・・デートの時間に遅れる大地。もちろん・・・シャーペンの君はいない。しかし、花はかけつけるのである。

一瞬、きちゃいそうになる(=ラブラブになりそうになる)二人だったが、足湯の営業時間終了オチでチャンチャンである。あくまで寸止め・ラブコメですから~。

しかし、帰りのバスでは行きよりもさらにはしゃぐ花だった。

大地はこれっぽっちも気付いていないが・・・大地は花にデートを申し込んでいたからなのである。もちろん・・・それを愛と花が理解しているかどうかは別として。

喧嘩と勉強 秤にかけりゃ

喧嘩が上等 ヤンキーの世界・・・。

関連するキッドのブログ『第六話のレビュー

一方、「ハガネの女」は先週よりかなり見やすくなったがまだまだ薄さが否めない。機会があればじっくり失敗点を検証したいが・・・今回もスルーすることにする。今回は一応、好きな子に意地悪してしまう美奈(八木優希)の主役回でした。意中の人・雪哉(宮城孔明)の母親役で西山繭子登場である。本当にキャスティングだけは抜群だな。来週は真理依(吉田里琴)の主役回で母親役は荻野目慶子である。想像するだけでも強烈だ・・・。

日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)『新参者』(TBSテレビ)『女帝薫子』(テレビ朝日)『荒川アンダー ザ ブリッジ』(テレビ東京)

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2010年6月 4日 (金)

目をそらしまくりなう(上野樹里)心をごまかしまくりなう(瑛太)コントロール・ミス(大平うみ)

菅直人総理大臣誕生である。市民運動家が総理大臣になったのである。

ある意味、奇跡的な流れである。菅は山口県生まれの東京育ちなので完全な都会人とは言えないが、成り上りで東京選出の総理大臣というのは斬新な展開と言える。

「薬害エイズ事件」で名をあげ・・・「未納三兄弟」だけど「自分も未納」で赤恥をかく。

実に面白い首相が誕生したと言える。

大政翼賛会に参加していたのに再軍備反対した市川房枝の愛弟子ならでは言動で新風を巻き起こしてもらいたい。笑われてもいい。言うべきことを言えばいいのである。

なにしろ・・・前首相は大爆笑で退場していったのだ。

大抵のことでは笑いはとれないはずだ。

首相と一緒にイライラできるなんて・・・なんだか楽しいぞ。

それにしても谷垣総裁(自民)は何を言っても影が薄いな。キッドは「きちっと」という言葉がなんとなく嫌いなのだが・・・それは自由よりも平等を臭わす言葉だからである。せめて「きちんと」と言ってもらいたい。自由民主党は「きちっと」する必要はないと思う。どちらかといえば散らかした感じがふさわしいと思う。今の自民がだめなのはきちっとしすぎなのである。

だらしない・・・くらいでいいのである。

なにしろ、今は野党なのだ。何を言っても自由なのである。そういう下野した意識が不足しているので「きちっと」とか言ってしまうのではないかな。

まあ、谷垣が「きちっとしろ」と言い、菅が「いらっとする」・・・そういう展開なら・・・いいか。

そもそも政治なんて整理整頓とは別方向にある乱雑なものなのだと思うからなんとなくそう思う。

民主党代表は菅直人→鳩山由紀夫→菅直人→岡田克也→前原誠司→小沢一郎→鳩山由紀夫→菅直人という流れである。こうしてみると小沢総理というのもないことはないのだが。「ブスっとしている」総理大臣はなんとなくやだなと思ったりもする。

まあ・・・とにかく・・・なんだかよくわからない政党である民主党政権は存続し、日本がなんだかわけがわからない国であることは当分続くのである。

で、『同窓会~ラブ・アゲイン症候群・第7回』(テレビ朝日100603PM9~)脚本・井上由美子、演出・秋山純を見た。夫が失業中の妻であるマドンナ(黒木瞳)は中学時代の同窓会で再会した刑事(高橋克典)にラブ・アゲインをして、見境がなくなり、さかりのついた猫のように刑事の周囲をうつろく恥ずかしい女である。しかし、刑事もなんとなくその気になって犯罪者を張り込み中にマドンナと甘いひとときを過ごす。その直後、刑事は犯罪者に刺され、軽症を負うのであった。天罰覿面である。史上最低のマドンナの亭主は万歳三唱を叫ぶのであった。

マドンナ ぶわっはっはっは。これでどうだの視聴率↗15.1%なう。

刑事 面会謝絶詐欺成功なう。

亭主 家族写真を見て一念発起とみせかけて間男にイヤミを言うだけなう。

鑑識 どこまでもダメ亭主ですな。

色男 ハレルヤ・チャンス!

マドンナ おわびのしるしにかぼちゃのサラダを作るなう。

マド娘 そんなんでごまかされるかっ。貞操帯はめろって言ってんだよ。

悪女 まあ・・・母娘で凌辱プレーなんて・・・。

刑事 左遷された~。

アイロン どういうことよ!

刑事 友情を大切にしたから~。

アイロン 公務員として失格でしょ・・・相手によって態度変えたら!

刑事 ・・・え?

アイロン 赤の他人を逮捕して、友達だから逃がすって・・・正義とは言えないでしょ!

刑事 ・・・あーっ・・・それは気がつかなかった。

アイロン そうでなくても同級生との不倫疑惑で荒波たててんのよ・・・あんた!

刑事 お、おれは・・・そ、そんなつもりじゃ・・・。

アイロン じゃ、どんなつもりよ!

亭主 そうだよ・・・どんなつもりなんだよ。

刑事 いいから・・・あんたは働けよ・・・男として言っとく。

亭主 張り込み中に他人の女房とおしゃべりして刺された男に言われたくないわ。

マド娘 でもパパは働くべき。でもママは許さない。

息子 そうだそうだ。親が不純異性交遊なんて・・・うらやましいだろう!

刑事 オレに似て曲がったことが大嫌いな男に育ったな。

悪娘 っていうか・・・親子そろってバカ?

悪女 なんだかんだ・・・あたしってラッキーよね。

女医A(スリット)まあ、色男もうすぐ死にますけどね。そういう病気ですから。

色男 まあ・・・最終回まではなんとか・・・やれるだけやって・・・。

マドンナ 私は悪くないもん・・・誰かが背中を押すから仕方なく恋してるんだもん。

色妻 小学生かよ・・・ああ、出番ないわ~。

キャスター ただ今、入ったニュースによりますと誰だかよくわからない樽床候補を破り菅総理大臣誕生です・・・誰だかよくわからないといらっとしますよね。いかにも一応選挙しました的すぎますよね~。まあ、対立候補が田中真紀子だったらそれはそれでいらっとしますけど~。

役人 そろそろすべてを明かすときがきたようだ・・・誰も興味ないと思うけど。

亭主 オレはコンビニのビニール傘(500円)~。

鑑識 それはビニール傘に失礼ですな。あんたただの役立たずですから。

マドンナ 娘から家を追い出され、売春婦と間違われてラブホにも入れず、町を彷徨う私って・・・本当に憐れな女。

刑事 犯人に刺され、左遷され、妻と息子に罵られ・・・本当に惨めな男。

マドンナ 虹の向こうへいこう。

刑事 子供の頃、夢見た国へ。

マドンナ 二人は枯れススキ~。

刑事 雨上がりの夜空に浮かんだ月が映る水溜りを踏み越えて・・・。

キッド 月の恋人ブームですな。結局、中年男女の恋なんてカラオケ熱唱ほどの面白さなんですな。

関連するキッドのブログ『先週の木曜日のレビュー

で、『素直になれなくて・第8回』(フジテレビ100603PM10~)脚本・北川悦吏子、演出・光野道夫を見た。脅威の粘り腰をみせるこのドラマ。↗11.8%で微上げである。先週の内容。本当はナカジ(瑛太)が好きだけどドクター(パク・ミンハ)と付き合うハル(上野)・・・そしてハルが好きだけどピーち(関めぐみ)に迫られて悪い気はしないナカジ。今週の内容。本当はナカジ(瑛太)が好きだけどドクター(パク・ミンハ)と付き合うハル(上野)・・・そしてハルが好きだけどピーちに迫られて悪い気はしないナカジ・・・なんだ・・・いつの間にか、タイム・スリップしたのか・・・というスリルを味わうことができるドラマです。二人の気持ちの揺らぎを丁寧に描写しているという優しい考え方で対応しましょう。

ハル ほっといてくださいなう。

ドクター 韓国は戦争を回避します。魚雷で攻撃されても低姿勢的選挙結果です。拉致されても土下座外交の日本と親近感を感じます。ただし、婚前交渉はガツガツ姿勢です。

妹(木南晴夏) 自宅でやるために追い出されたトッキョタッワー。

ドクター でもできませんでした。

ナカジ 月がきれいなんだなう。

ハル 月がきれいなのねなう。

キッド 月の恋人ブームなのですな。まあ・・・基本テクニックなのでかぶります。

ピーち 私・・・してない・・・我慢した・・・でもハルが許可してくれたら・・・。

ハル えーっ・・・するのー?

ピーち だってするしないについてはだらしない女設定だから~。

ハル ほら・・・ドクター、ここにナカジの写真があるのよ~。

ドクター どんなプレーですか?

ハル ご褒美に御宅拝見を許可します。

姥桜 24才で初めての彼氏か・・・ふっ。

ハル ハウメニーイイカオです。

白髪鬼 不倫とかしてないで仕事しろや・・・。

ナカジ なんだよ~。ガンとか~。パパ死んだら泣いちゃうぞ。オレ~。

ピーち 私の胸で泣いて・・・。ずっとずっと好きだった・・・不倫清算してからだけど。

ナカジ そうかーっ。俺たちって不倫仲間だったのかーっ。

リンダ ボクなんて・・・EDなんだか、同性愛なんだか・・・もう・・・よくわからないのよねー。どうせならおねえ言葉キャラにしようかしら。ねえ・・・どう思う?

マツコ やめときな。本当の愛なんて誰も知らないんだよ。

ハル ドクターに抱かれてナカジを想うなう。

ナカジ ピーちに抱かれてハルを想うなう。

キャスター ただ今、入ったニュースによりますと、首相は小沢氏にすっこんでろ、普天間問題はシカトで通す、どうせ参院選までの場つなぎ政権だしという姿勢ではやくもいらっとしているという観測がその筋から漏れ伝わったということです。

キッド いよいよ夏ですなー。今度は何日持つのかな・・・意外と長期政権だったりして。まあ、冷夏とか食糧危機とか戦争とかものすごいことになる可能性もありますけどな。まあ、人間最後はなるようになれですね。

土曜日に見る予定のテレビ『怪物くん』(日本テレビ)『タンブリング』(TBSテレビ)・・・あれ・・・静かだな。

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2010年6月 3日 (木)

閉じた押入れと黒のゴミ袋と失神の暗闇とMother(尾野真千子)

「鎮静剤」という歌がある。私生児として生れたフランスの芸術家マリー・ローランサン(1883-1956)の書いた詩を詩人の堀口大學(1892-1981)が訳し、フォーク・シンガーの高田渡(1049-2005)が歌ったのである。「系図」というアルバムに収録されている。

いや、別に「鎮静剤」を高田渡が歌わなくてもいいのだが、詩の持つひとつの側面は高田渡の歌によって強調されていると思う。

原題は「LE CALMANT」で、これに類した名前の市販の鎮痛剤は今もある。「煩わしい痛み」があってそれを和らげたいという願いは人類にある程度、共通するだろう。それを「呪い」と感じるかどうかは意見が分かれる。

「痛い」と言えば痛みは減じると言われる。それは同時に「痛くない人々」に呪いをもたらす。

「痛みを分かち合う」とは呪いを甘んじて受けることである。そういう行為を否定するか肯定するかも人それぞれである。

高田渡の鎮静剤は男性ボーカルであることがすでに呪いの歌なのである。

退屈な女より もっと哀れなのは 悲しい女です

悲しい女より もっと哀れなのは 不幸な女です

不幸な女より もっと哀れなのは 病気の女です

病気の女より もっと哀れなのは 捨てられた女です

捨てられた女より もっと哀れなのは よるべない女です

よるべない女より もっと哀れなのは 追われた女です

追われた女より もっと哀れなのは 死んだ女です

死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女です

呪いの歌はおそらくエンドレスで続くだろう・・・忘れられた女より もっと哀れなのは 退屈な女です・・・と。

女であることの痛みは多くの場合、母である痛みを伴う。時には死んだ娘よりももっと哀れなのは忘れられた母親かもしれないし、捨てられた娘よりもっと哀れなのはよるべない母親かもしれない。

とにかく・・・マリー・ローランサンも堀口大學も高田渡もすでにこの世にはいないのだ。ただ・・・呪いの歌声が心に残るばかりなのである。

水曜日のダンスは・・・。

「臨場」・・・17.9%↗18.6%↘16.7%↗16.9%・・・・・・↗18.6%↘17.0%↗18.6%↘17.2%

「Mother」・・・・・・11.8%↗12.0%↗12.8%↘10.0%↗11.9%↗13.9%↘12.4%↗14.0%

鳩山首相辞任を伝える「報道ステーション」18.3%のザッピング効果があったかもしれないが、傑作の底力を感じさせる視聴率になっている。

で、『Moher・第8回』(日本テレビ100602PM10~)脚本・坂元裕二、演出・長沼誠を見た。生みの親のうっかりさんこと望月葉菜(田中裕子)と暮らし始めた鈴原奈緒(松雪泰子)と為さぬ子である鈴原継美=道木怜南(戸田愛菜)・・・つかの間の安息を感じる三人の前に自らの虐待行為の果てに我子・怜南に捨てられた道木仁美(尾野真千子)がやってくる。葉菜を突き飛ばし、奈緒を振り払い、怜南の元へ向かう仁美。

「怜南・・・ママだよ・・・迎えにきてあげたよ」

呼びかける仁美・・・しかし、怜南=継美はふすまが開かぬように家具を置き、さらに押入れに隠れる。

「どうして・・・出てきてくれないの・・・ママとギュッとしよう・・・ギュー・・・ギュー」

仁美の心は不安を感じながら過去の日々に心を彷徨わせる。

2010年 仁美29才 怜南7才

2009年 仁美28才 怜南6才

2008年 仁美27才 怜南5才

2007年 仁美26才 怜南4才

2006年 仁美25才 怜南3才

2005年 仁美24才 怜南2才

2004年 仁美23才 怜南1才

2003年 仁美22才 怜南0才

2002年・・・道木仁美は恋をした。相手は不実な男であった。ひょっとしたら不倫だったのかもしれない。しかし、仁美が身ごもり・・・怜南を生んだときまで父親は仁美に寄り添っていた。部屋に海の写真を飾る怜南の父親。

テレビでは「実子虐待」のニュースが流れている。

男「・・・体重が5キロしかないなんて・・・生れたばかりの怜南とほとんど同じじゃないか」

仁美「自分の子供を虐待するなんて・・・信じられない・・・そんな親、人間じゃないのよ」

仁美は恐ろしいものからわが子を守るように怜南を抱きしめた。

私はあなたにごちそうを作るでしょう

ハンバーグ

カレーライス

海老フライ

そしてクリームソーダ

男「おいおい、クリームソーダは食べ物じゃないだろう」

仁美「だって、アイスクリームは食べ物でしょう?」

そして、時は夢のように流れた。希望は少しずつ削がれていった。男は仁美の元を去った。あるいは本来の家庭に戻っていったのかもしれない。仁美と怜南は取り残された。仁美は男の遺影を飾り、男が天国に旅立ったという神話を怜南に語る。

それでも仁美は希望を失わなかった。室蘭という町で母と子は健気に暮らしていた。仁美は男と肩を並べて工場で働いていた。生傷の耐えない作業。仁美をよく知る近所の老婆がその心の支えになっていた。身寄りのない仁美には他によるべはなかった。仁美が仕事をしている間、怜南の面倒は親切な老婆が見てくれた。

仁美はまだ若い・・・地元の遊び仲間たちはまだ未婚のものも多く、仁美に誘いをかけてくる。

しかし、仁美は怜南のために働くことを優先する。父親のいないことでの不憫を怜南に感じさせないために。しかし、そう思えば思うほど・・・どこかで不満が疼くのである。

なぜ・・・私ばっかり・・・そうしなければならないの。

時は流れていく。仁美にかかる重圧は高まる。老婆は体をこわし、千葉県にいる親戚の元へと引っ越すことになった。たちまち、保育の問題がのしかかる。受け入れ可能な保育園が見つからない。仕事と育児の両立は仁美の心を霍乱する。

保育園が決まれば新しい人間関係が始まる。助け合うべき母親たちは仁美にとっては助けにはならない。ギリギリの生活を送る仁美を助けてもなんのメリットもないからだ。

恵まれた母親たちの何気ない一言が仁美の心にガラスのように突き刺さる。

父親がいないって大変よね

しつけ一つにしても問題よね

子供は言ってもわからないことがあるから

でこぴんくらいはしないとね

お呼ばれの席で心づくしのボーナツを隠す仁美。

うらやましく、ねたましく、はずかしく・・・屈辱に心は焦がされる。

そういう暮らしの中でも怜南は活発な少女になっていた。

無邪気にはしゃぐ怜南を静かにさせるために仁美は初めてのでこぴんをした。怜南が感じる痛みを思うと仁美は胸が苦しくなる。その苦しさが仁美をまた一歩、断崖へと追い詰める。

仁美は鬱屈する。出口のない鬱屈は沈殿し、発酵し、気泡となって仁美の心を窮屈にする。

怜南は母親につきまとう。怜南は急に体調を崩す。怜南は頭のいい子で皆が誉めそやす。私がこの子を優しいいい子に育てたのです。貝殻から潮騒が聞こえることを教えたのは私です。私が好きなものをこの子も好きなのです。クリームソーダは食べ物です。

そういうことを誰もわかってくれない。

洗い物をする仁美を・・・「がんばれママ」と応援する怜南。その声が騒がしい音にしか聴こえなくなったとき、仁美は自分が崖っぷちに佇んでいることを知る。

静かにしていて

少しの間

黙っていて

少しの間

ママにも休みたいときがある

仁美は怜南を突き飛ばした。怜南の驚愕が仁美をさらに苦しめる。

砂浜で怜南を遊ばせる仁美は突然、どこかへ逃げたくなった。一人でどこかへ。怜南を捨て去って心が安らげる場所へ。しかし、爆発する感情は冷静な行動を疎外する。怜南はたやすく仁美に追いすがる。

愛しさと憎しみの区別が仁美から消えかかる。

仁美はやみくもに手を伸ばし、最悪の男の手を握る。

男の欲望を仁美は愛と錯覚する。そのための心の準備は万全だった。その頃、怜南は短い幼児期を脱して母を思いやる賢い子供になりつつあった。しかし、すべては時期外れなのである。

仁美はこの世の荒海で溺死しないために男に溺れた。

男は仁美が望んだ海へ仁美を連れて行く。幼い怜南を一人残して。

明るく過ごしやすいリゾートホテルで欲望を満たした恋人の浦上真人(綾野剛)をベッドに残し、仁美は暗い部屋で一人留守番をする怜南に電話をかける。

元気でいるかしら

海は楽しいよ

シュノーケルで海にもぐったり

青いお魚さんを見たり

ママは幸せだよ

ママが幸せだと

怜南も幸せだよね

また電話するね

おやすみ

怜南は暗い部屋で買い置きのスナック菓子を食べる。

仁美は何かが間違っている気がしたが自分をなだめる。

自分だけが損をすることは不公平だ。それに自分が不幸になってしまったら怜南を幸福にはできないだろう。自分が幸福になることは怜南のために必要なこと・・・。

仁美は怜南にペットを買い与えた。ハムスターのすずはひまわりの種を食べる。そして仁美は怜南に500円を渡す。

真人はたちまち仁美に飽きた。目の前の怜南はいかにも欲望をそそる玩具として真人の目に映る。仁美のモノである怜南。真人のモノである仁美。当然、怜南は真人のモノだ。自分のモノを自分が自由にすること。それは真人の淫靡な欲望に火をつける。

まずはじっくり観察してみよう。服を脱がせすみずみまで見てみよう。それは禁じられた遊びかもしれないが、禁じられれば禁じられるほど喜びは高まるというものだから。

仁美はコンビニエンス・ストアで働くようになっていた。帰宅した仁美を無視して素知らぬ顔でゲームに熱中する真人。怜南の姿を求める仁美は押入れに潜む下着姿の娘を発見する。仁美の心は泡立つがもはや半ば壊れているソレは正しい結論を導きださない。

仁美「なんで・・・怜南は押入れに隠れているの」

真人「何か・・・問題があるのか」

仁美「いいえ・・・」

仁美は娘に水色のマフラーを買い与えた。

真人は怜南に熱中した。仁美との月並みな行為よりも自由に弄ぶことのできる怜南との行為の方が深い愉悦を感じさせる。

真人が「指を折ってみようと思えば折れる」玩具は刺激的なのだ。

つき指をした怜南を医師に見せる仁美は負傷の状況を聞かれ口ごもる。

母親の困惑を感じた娘は嘘をつく。

「すべり台で・・・」

納得した医師を目で追いながら仁美は怜南を叱る。

「気をつけないと駄目よ」

驚愕に見開かれる怜南の瞳を仁美はスルーする。

やせ衰えていく怜南。生傷の耐えない怜南を学校や近所の人々は噂の対象にする。

その忠告ももはや仁美にとっては苛立たしい棘に過ぎない。

「最近、変な男の人が入り浸っているわね」

「関係ないでしょう」

今さら・・・何をと仁美は思う。苦しい時には知らん顔で・・・弱みをみせればよってたかってつるしあげる。

私ばかりを何故責めるの。

仁美は怜南の首の周囲に赤痣を発見する。

「これ・・・どうしたの・・・」

「・・・」

「なんでもないよ。ちょっと首をしめて失神させただけ。落ちちゃったけどすぐに目がさめたから」

「ウラガミさん」の言葉に怜南は微笑んだ。仁美は口を噤んだ。

夜。仁美はトイレに起きた怜南を見た。怜南は用心深く仁美を見た。そこにはかっての母親の気遣いの残骸が見てとれた。その表情にすがるように怜南はこらえていた涙を流す。

「・・・助けて・・・助けて・・・ママ」

仁美は衝動的に怜南を抱き上げて走り出していた。

夜の街を仁美は走る。

その行く手にはそう遠くない天国があった。

そこでは怜南の父親が妻子とともに和やかに人生を楽しんでいる。

その幸せそうな姿に仁美は絶望を感じた。

あるいはそれは仁美が思い描く幻想の家庭だったのかもしれない。

現実とは違うもうひとつの理想の世界。

なぜ・・・私ばかりが・・・こんなに辛い気持ちを抱えて・・・ここにいるのだろう。

仁美は本当の天国への道を探し始める。車が流れる道路の上に立つ陸橋にその入り口はあるように思える。

怜南と一緒に天国に行こう・・・怜南を抱きしめて身を乗り出した仁美に怜南がしがみつく。

死への恐怖が・・・わが子の重みが・・・仁美の前で天国への扉を閉ざす。

あーっ

あーっ 

ああーっ。

地獄にうずくまり仁美は泣く。憐れな母と娘に冷たい雪が舞いおりる。

仁美は地獄の光景に慣れ、心は苦痛に麻痺した。

陰湿な虐待を繰り返す愛人と育児を半ば放棄した母親と五歳で体の成長が止まり、心ばかりが大人びる被害者児童の荒涼としたお茶の間のテレビからは児童虐待のニュースが流れている。

「自分の子供を虐待するなんて信じられない」

「人間のすることじゃないよわね」

幸福な人々の言葉がひどく奇妙に聴こえる仁美だった。おかしくて嗤わずにはいられない。

あははは

あははは

いひひひ

いひひひ

うふふふ

うふふふ

夜更け・・・怜南は郵便ポストに手を伸ばす。

赤ちゃんポストの・・・自分を招き入れる挿入口を想像しながら・・・。

「怜南・・・どうして出てきてくれないの・・・じゃあ、ママこれから・・・ボーナッツを作るよ」

ボーナッツは棒状のドーナツのような揚げ物お菓子である。仁美が怜南のために作った古き良き思い出のレパートリーだった。

葉菜が声をかけようとするのを奈緒が制した。

葉菜は娘の娘を守りたかった。奈緒は生みの母とわが子の絆を見定めようとしていた。

その時、扉が開き、継美=怜南が現れた。

「怜南」と仁美は娘を抱きしめる。その背中にそっと手を乗せる娘。

娘「あのね・・・怜南はもういないんだよ」

母「何を言ってるの・・・」

娘「怜南は・・・天国に行ったの」

母「・・・」

娘「私は鈴原継美・・・お母さんと一緒にここで暮らしているの」

母「そんなこと言って・・・ママが嫌いになったの・・・?」

継美「好きでも嫌いでもないよ・・・もうママじゃないからね」

仁美は打ちのめされた。そしてその場から逃げ出した。

娘の言う言葉は正しい。正しいけれど間違っている。

私ばかりをなぜ責めるのか。

一人ぼっちの仁美はどこにもない救いを求めた。

取り残された継美を奈緒は抱きしめた。

継美は笑おうとしていた。

「いいの・・・笑わなくていいの・・・泣いて・・・泣いていいのよ」

うー

うーうー

うーうーうー

継美は奈緒にしがみついた。

そして吠えるように泣いた。母親の胸で泣く赤子のように泣いた。そんな母と子を葉菜は抱きしめた。愛しさが溢れて止らなかった。娘の奈緒の頭を撫でた。娘の娘の継美の頭を撫でた。葉菜は二人に頬ずりをした。葉菜のその優しい老いた手に奈緒の手がそっと重ねられた。

それから奈緒は仁美を追った。

仁美は一人で公園のブランコに揺られている。娘に捨てられた母親は心の逃げ場を探していた。

「あの子に未来なんてないでしょう。あなたのやってることだって結局、虐待じゃない・・・私が警察に通報出来ないと思って・・・人の弱みにつけこんで・・・いい人ぶってるだけでしょう」

「私は・・・罰を受けるつもりです・・・いつか、あの子の居場所が見つかれば裁きを受けるつもりでいます・・・そういう覚悟です・・・でもあなたには聞きたいことがあります」

「何も知らないくせに・・・」

「あなたとあの子に流れていた七年の歳月について・・・私は何も知りません。何が正しいことで何が間違っていることだと判断することもできません。人間はみんな川の中で溺れまいともがきながら生きているようなものだから。母親と子供はちょうど温かい水と冷たい水の交じり合った場所に棲息しているようなものでしょう。時には子供の温もりが愛おしく時には子供の熱が疎ましい。だからといって子供を本当に捨てたいと思う親なんていない。でも時には安全な場所から高みの見物をしている人たちが母親を溺れるように仕向けていく」

「そうよ・・・私は他人に責められるようなことはしていない・・・それなのに私ばかりが悪いように人は言うのよ」

「でも・・・私にはあなたという人がわからない・・・思い出してください・・・あの子は室蘭の冬の夜にゴミ袋に入れて捨てられていたのです。それをしたのはあなたでしょう」

仁美は誰にも知られてはならないことが知られていることに恐怖した。

思い出したくない・・・忘れたい・・・自分が人間ではなくなったひと時の出来事。

その信じられない残酷な行為をしたのは・・・他でもない自分なのである。

「あのままだったら・・・どうなっていたか・・・あなたは分からなかったのですか」

「・・・」

「親がなくても子供は育つなんていいますが・・・嘘ですよ。親が見守っていなければ子供は簡単に死ぬんです」

「もう・・・いいよ」

「怜南ちゃんを・・・連れて帰らないんですか。このまま置いて帰るんですか?」

「何よ・・・あの子がもう邪魔になったの?」

「いいえ・・・私は私を育ててくれた母のように継美を愛しています。だけどあの子はあなたから生れた子供です。あなたに育てられた優しい女の子です。私を生んでくれた母のように本当のお母さんのぬくもりの中で育つことがあの子の幸せになるなら・・・私はあの子をお返しします」

「もう・・・遅いわ」

「私があの子に話してみます・・・時間がかかるかもしれないけれど・・・あなたとあの子がいつか本当の母と娘に戻れるなら・・・私は道木怜南ちゃんの幸せを願うから・・・」

「無理よ・・・私はあの子に・・・好きでも嫌いでもない・・・もうママじゃないって言われたの・・・そんなの・・・死んだと同じよ」

仁美の心は乱れた。自分の愚かな過ち。怜南への未練。壊れた愛。自分が滅茶苦茶にした愛。仁美は逃げ出した。この恐ろしい裁きの場から。

その後姿に奈緒は宣言した。

「私・・・あの子の母になります」

仁美は無言で立ち去った。

誰も知らない仁美と怜南の幸せな時代を取材したハイエナのような雑誌記者・駿輔(山本耕史)は複雑な気持ちで帰宅した。そこには心を失った仁美が待っていた。

「お金を貸して・・・室蘭に帰る」

「子供をつれて千葉に行くんじゃなかったの?」

「もう・・・いいのよ・・・沖縄ってもう泳げるかな」

ハイエナはさらに人として壊れた気配の漂う仁美を呆然と見送った。仁美は自分で割った愛の破片を握りしめて心が血まみれになっているのだ。失血死寸前なのである。

鈴原家では三女の果歩(倉科カナ)が母親の藤子(高畑淳子)に状況を報告する。

「継美ちゃんの生みの親・・・室蘭に帰ったって・・・ねえ・・・これでお姉ちゃん、家に帰ってこられるんじゃない?」

「奈緒は何処にいるの?」

「なんか・・・散髪屋さんのところにいるって・・・」

「・・・そう・・・奈緒はね・・・出て行ったんじゃないの・・・帰っていったのよ」

「?」

次女の芽衣(酒井若菜)は婚約者の母親から冷たい応対を受けていた。障害が残るかもしれない子供を妊娠した芽衣は堕胎を回避したことで婚約者の機嫌を損ねた模様である。芽衣は不安に満ちた表情で母子手帳を見つめる。

葉菜は主治医の袖川(市川実和子)から一般的な回答を受け取っていた。

「あのね・・・偽の診断書で保険に加入するのは犯罪なんですよ」

「はい」

「一体・・・何を考えているんです」

「・・・届けたいものと・・・持ち去りたいものがあるんです・・・」

袖川は戸惑いの表情を浮かべる。

奈緒は継美の髪を梳かしていた。

あなたはこれからいろいろなものを手に入れるの

三年生になって四年生になって

五年生になって六年生になって

中学生になって高校生になって

誰かを好きになって結婚して

お母さんになって

その時、きっとお母さんとお別れするのね

別れたくないけど

きっとその日がくる

でも大丈夫

それはずっと先のことだから

明日の明日の明日の明日の明日の明日の・・・ずっと明日

その日が来るまでお母さんは絶対継美を離さない

お母さんとあなたは一緒に生きていくのだから

母と娘は希望に燃える。

その頃、室蘭に戻った仁美の元へ刑事が訪問していた。

「いろいろと聞きたいことがあってね・・・近所でいろいろ噂もあるし・・・何もなかったらないではっきり言えばいいんだよ・・・亡くなった娘さんのことでね」

仁美は牙をむき出して叫んだ。

「怜南は死んでなんかいないの・・・怜南は生きているの・・・あの子は誘拐されたのよ」

仁美はまた一つ地獄へと続く階段を下りるのだった。

関連するキッドのブログ『第7話のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『森カンナの警視庁失踪人捜査課』『子役オールスターズとハガネの女』(テレビ朝日)『岩佐真悠子のトラブルマン』『里久鳴祐果の大魔神カノン』(テレビ東京)『仲里依紗のヤンキー君とメガネちゃん』(TBSテレビ)

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2010年6月 2日 (水)

絶対零度の史上最弱刑事の私そしてバナナ抜き(上戸彩)本題突入こわいんですーっ。(加藤あい)

一夜、明けると首相が辞意である。「Mother」の視聴率がまたもや最大のピンチに・・・。

と明日の記事の心配をしている場合じゃないのだが・・・。

涙目の最後の演説を聞いていると「同床異夢」という言葉が思い浮かぶ。

あたかも鳩山首相は「数十年後の日本は自主防衛の出来る国家になるべきだ」と語っているのである。

つまり、それは国土防衛の最前線である沖縄に日本国軍が米軍抜きで専守防衛体制を築くということである。

そのための段階的米軍撤退が普天間問題だという主張である。

一方、連立政権を離脱した社民党は旧社会党時代に撤回したはずの「非武装中立論」を前面に押し出してくる。ようするに自衛隊は違憲であり、日本は完全に丸腰になって「平和」の祈りを世界に奉げるべきだという・・・それが「国民の願い」だというものすごい寝言を唱えだしているのである。

「沖縄からいかなる軍隊もなくすために」普天間からの米軍撤退を叫ぶ精神異常者と「日本国軍だけで沖縄を防衛するために」普天間からの米軍移転を唱える甘やかされ不勉強な夢想家との共通点は「普天間の海兵隊が沖縄県外に移動する」という一点なのである。

そんなすりあわせが無理なことは最初から明白なのである。

国民の3%が無知ゆえに社民党を支持するのはまだいいとして、鳩山総理大臣の主張もまったく虚妄と断じる他はない。

手順としてはまず、憲法改正だからである。そこで日米が対等な軍事同盟を確立し、同じ戦場で同じ敵と戦い同じ血と汗と涙を流し、米軍が日本軍を信頼に足るパートナーと認めてのちに、完全に沖縄の防衛を日本に委ねる交渉が始まるのである。

それが筋なのである。そういう段階を経ずして・・・米軍が沖縄から撤退することはありえないのである。

ここまで・・・馬鹿な人々が・・・政府首脳になれる日本って・・・ある意味凄いな。

火曜日のドラマ対決は①「チーム・バチスタ2」↘14.6% ②「絶対零度」↗14.4% ③「離婚別居」↘*4.9%

で、『絶対零度~未解決事件特命捜査~・第8回』(フジテレビ100601PM9~)脚本・酒井雅秋、演出・岩田和行を見た。「第5回」は脚本・谷和俊、演出・村上正典なのだが、縁の地でまったく偶然に犯人に遭遇という確率主義者なかせの展開をしている。もう、この点は「ドラマだから」の呪文でしのぐしかないのである。一応、縁の地にいるのであり、六年前の犯人がたまたまそこにいることは時間の問題なのである。時空間の片方処理できていればまあまあなのだな。このドラマではーっ。

いよいよ、前フリし続けた「杉並事件」の再捜査が開始される。

これまでは・・・初動捜査陣の無能さで再捜査の新証拠発見をカバーしてきた特命捜査対策室なのだが、今回は「杉並事件」の未解決に関与した当時の捜査陣が二人も室内にいるのである。

杉並事件とは・・・杉並女子高生誘拐殺人事件の略称である。その捜査の陣頭指揮をとったのが長嶋室長(北大路欣也)であり、犯人像をプロファイリングしたのが高峰刑事(山口紗弥加)だったのだ。

2004年アテネオリンピックで北島康介が金メダルを獲得した夜に誘拐され身代金要求が行われた被害者の本谷翔子(志保)は機械仕掛けの窒息装置で殺害され遺体で発見される。犯人は身代金の受け渡し現場に現れず、被害者の父親・拓郎(中根徹)が国会議員であったことから容疑者リストは膨れ上がり収拾がつかない状態となった。

自ら心臓マッサージを施すほどのプレッシャーによって傷心した長嶋室長だった。

一方、プロファイラーの高峰は絞り込んだ容疑者が自殺し、その後にアリバイが成立したことにより、容疑者の母親・仙道多喜子(山口美也子)から「人殺し」と罵られ、蒼白になったのである。

そんな苦い過去が「杉並事件」なのだ。

しかし、別件で逮捕・有罪となった小栗(滝藤賢一)が獄中で犯行を仄めかす発言をし、再捜査が開始されたのであった。

小栗は不治の病を発症しており、「犯罪史に名前を刻むため」と称して自供を開始する。しかし、いくつかの手がかりを残して絶命するのだった。

汚名をそそぐために捜査を続ける刑事たち・・・しかし警察上層部は事件の長期化を危惧し共犯者の追求に及び腰になる。小栗の単独犯で被疑者死亡のために事件解決という帳尻あわせを行おうとしたのである。

反発する現場の刑事たち。「共犯者を見逃せということですか・・・」なのである。

事件を探る新聞記者(菊地均也)は被害者遺族の関係者を装い、桜木刑事(上戸)から捜査情報を聞きだす。暴露記事によって捜査の打ち切りは決定的となり、桜木刑事は唇をかみしめるのだった。それにしても・・・コーディネーター・・・もう少し刑事らしい衣装用意できんのか・・・。だらしないにもほどがあるぞ。

殺された翔子の母親・恵理子(宮田早苗)から翔子の最後の希望である「母親にある景色の見える場所を教えること」を伝え聞いた桜木刑事は休日を利用して、翔子の足取りを追う。

一方、死んだ小栗の証言から一人目の共犯者を洗い出した刑事たちは主犯が大金で男たちを雇った事実につきあたる。最初から翔子の殺害が目的だった可能性が浮上したのである。主犯は殺人装置の設計図に異様な点描を残していた。そして・・・小栗が残した謎のヒントは「ロケット」という言葉だった。

桜木刑事は翔子の残した携帯の写真画像を辿り、ついに見幸台の公園にたどりつく。そしてその場にいあわせた男(飯田基祐)が点描していることに気がつくのである。

点描と言えば水木しげるだが男は両手があった。・・・無意味なツッコミを・・・。

いや・・・気をそらさないと次の展開が受け入れられないので・・・。

点描の男を長嶋室長の命令を無視して尾行した桜木刑事は・・・男に逆襲され・・・白昼の街角で消息を絶つのだった。

桜木刑事・・・なぜ・・・刑事になれたんだ・・・。とにかく・・・監禁されている間に室長宿題の「タコワサカワサキ」の謎が解けるといいなと思うばかりである。

ジャンジャンジャカジャカジャカジャジャーン・・・。誰がギターを弾けと・・・。

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

で、『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋・第9回』(フジテレビ100601PM10~)原作・海堂尊、脚本・田中眞一、演出・星野和成を見た。いつの間にか終盤戦である。末期ガンで入院中の寺内(でんでん)が院内で心拍停止の状態で発見される。役人・白鳥(仲村トオル)の指示で心臓マッサージを行う田口(伊藤淳史)や和泉(加藤あい)らの懸命の努力にも関らず寺内は蘇生しないのだった。

「寿命・・・」と肩を落とす医師たちの中で白鳥は点滴静脈注射について和泉に尋ねる。

「どんな投薬をしたのかな・・・」

「鎮痛のためのオピオイド(モルヒネ)ですけど・・・」

「ほほう・・・単位時間あたり25ミリグラムも?」

「そんなことをしたら危険です・・・単位時間あたり2.5ミリグラムに決まっているでしょう」

「おやおや、すると・・・これは何かな?」

投与のためのシリンジポンプには単位時間あたり25ミリの表示が残っていた。

「そ・・・そんな」

「つまり・・・寺内さんの死は・・・寿命ではなく医療ミスの疑いがでてきたわけだ」

白鳥・・・ついに見せ場である。ここまでためたなあ・・・。

投与したのは和泉だった。

「わ、私はそんな初歩的ミスはしません」

「すると・・・ミスではなくて・・・故意・・・つまり殺人ってことですか?」

たたみかける白鳥である。

患者の死は・・・病死か・・・医療ミスか・・・それとも殺人か・・・このシリーズは本来、そういう話なのである。ここまでただの救命ものでよく引っ張ってきたよな。

突然・・・容疑者リストに載った和泉は我を失うのだった。

そして憧れの速水部長(西島秀俊)を屋上に呼び出すのだった。

「私・・・もうなにがなんだか・・・」

「ふっ、くだらない」

と立ち去ろうとする速水の背中に飛び込む和泉だった。

「こ、こわいんですーっ」

その姿を不気味なムードで見つめる花房看護師長(白石美帆)・・・さあ盛り上がって参りました。

白鳥の直感は寺内の死に鴨志田国会議員(本田博太郎)が関与している疑念を生じさせていた。白鳥につつかれてたちまちリアクションする鴨志田の秘書。

田口の説得により遺族の同意を得た救命チームは遺体の画像診断を行う。

「生きている患者はオレのもの・・・死体はお前のものだ」と白鳥に嘯いた速水だったが遺体の喉に残された死因を見逃さないのである。

寺内は喉に圧力を加えられ窒息死していたのだった。

「つまり・・・何者かが・・・殺したということだ」

白鳥の結論に医師たちは戦慄するのである。もちろん、和泉は自分の医療ミスでないと知りホッと安堵するのである。

まあ・・・和泉のミスで心拍停止・・・第三者がとどめをさした可能性も残りますけどねーっ。

ついに・・・東城医大で事件が起きましたーっ。まあ・・・今さらですけど・・・。

引っ張りすぎだろーっ。どんだけ水増しなんだよ・・・。高階院長(林隆三)ついに帰国か・・・。まあ・・・加藤あいがおどおどしてるのが見られるからいいかーっ。・・・そこか。

木曜日に見る予定のテレビ『おみやさん』『同窓会』(テレビ朝日)『恋とオシャレと男のコ』(TBSテレビ)『プロゴルファー花』(日本テレビ)『素直になれなくて』(フジテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2010年6月 1日 (火)

満月の恋人を抱き上げる・・・つかの間の幸せを感じるために(木村拓哉)

さて・・・モチーフというものがある。

フランス語では動機という意味があって・・・音楽では主題となりえる旋律だったり、物語では主題となりえる事件だったりする。絵画では着想点といったニュアンスが生じる。

ニュアンスは人それぞれのものだが、キッドは「コレをアレすればナニするかもしれないな」という希望を感じることがモチーフを得るということだと思う。

つまり・・・モチーフとは表現の出発点のようなものだ。

妄想してみよう。「月の恋人」のモチーフである。「木村拓哉で竹取物語をやると受けるかもしれんな」ということだ。

まあ、ストレートなので・・・誰かがもう言ってるかもしれないが、一応、説明してみよう。

「竹取物語」とは月世界の王女と日本男児たちの恋物語である。子供のいない老夫婦が輝く竹を割ると赤子が封入されている。老夫婦は天の授かりものとして赤子を養育する。やがて赤子は絶世の美女となる。その名は「かぐや姫」である。世の男たちはかぐや姫を娶ろうと争奪戦を繰り広げる。かぐや姫は男たちに無理難題を言うがそれは「結ばれない恋」であることが前提なのである。かぐや姫は月に帰る宿命を持っているのである。時の帝さえもかぐや姫を娶ることはできないのである。そして別れの日が来る・・・。

もちろん、「月の恋人」のかぐや姫とは秀美(林志玲)のことでもないし二宮(篠原涼子)でもなく柚月(北川景子)でもない・・・何を隠そう葉月蓮介(木村)である。当然、「レゴリス」のスタッフたちは蔡(松田翔太)を含めて「おじいさん」と「おばあさん」の役回りなのである。あるいは五人の公達という求婚者を考えると、蔡は帝にあたるのかもしれない。残りの二人はリナ(満島ひかり)と笠原(中村ゆり)である。トップ・スリーの誰かが帝である場合はエルカ(西山茉希)を追加すればやはり五人になる。

まあ・・・竹取物語をモチーフにすることは珍しくない。基本的に主人公が死ぬ恋愛物語は竹取物語のヴァリエーションなのである。そこからどこへ向かうかが・・・問題なのである。

少なくとも蓮介がかぐや姫であることは間違いない。なぜなら彼の職業は「家具屋」(かぐや)なのだから。・・・根拠はそこかよっ。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「失踪人」↘10.4%(人質をとって犯罪行為を強制がモチーフ)、「ヤンメガ」↗10.5%(石橋杏奈がモチーフ)、「ハガネの女」↘*8.5%(ウサギ無駄死にがモチーフ)、「陰日向に咲く」*6.9%(お茶の間の限界がモチーフ)、「タンブリング」↘*7.2%(男子新体操がモチーフ・・・まんまだな)、「怪物くん」↗13.9%(全裸の後姿がモチーフ)、「鳴沢了」11.3%(矢田亜希子の禊がモチーフ)、「金七事件簿」11.2%(実在した刑事がモチーフ)、「龍馬伝」↘19.5%(妹の身売りがモチーフ)、「新参者」↘12.8%(息子溺愛がモチーフ)、「女帝薫子」↘*7.9%(銀座のホステスがモチーフ)・・・ついでに「月の恋人」↘15.5%・・・以上。

で、『月の恋人~Moon Lovers~・第4回』(フジテレビ100531PM9~)原作・道尾秀介、脚本・浅野妙子、演出・石井祐介を見た。演出は「ヴォイス」「BOSS」「東京DOGS」の二~三番手ディレクターである。可もなく不可もない演出で・・・とにかくつないだことはつないだが・・・もう少し冒険してもよかったかもね。たとえば満月の表現の仕方。たとえばアメンボの表現の仕方。やりすぎない演出も大切だが・・・もう一工夫あってもいいと思う。まあ・・・微妙な問題で・・・ドラマがドラマだけに凄く怖いとは思いますけど。初回はともかく、2~3回目は明らかに無難すぎて繋ぎ損なっている気配がありますからーっ。

ここまでの月の恋人。「レゴリス」の社長・蓮介は中国進出の足場となる上海で買収した地元工場のアイドル工員・秀美に魅了される。太陽のような秀美の直向さに輝きを感じるのである。秀美もまた強引だがお金持ちの蓮介に従うことで幸運を掴もうと考える。蓮介には恋人候補としてライバル企業「マストポール」の経営者の娘でカリスマモデルの柚月がいたが、蓮介はしがらみを嫌って一線を越えない交際を続けていた。自分にふさわしい男として蓮介に恋をする柚月は若さにまかせて蓮介に何度もアタックするがその度に玉砕するのだった。一方、下請けデザイナーの二宮は学生時代から密かに蓮介を慕っていたが蓮介が自分には高嶺の花として感じられ鬱屈した日々を送っている。

一言で言うと蓮介はモテモテということである。

「レゴリス」を急成長させた蓮介だが、その上昇志向には終わりがなく、その拡大戦略を実現させるために秀美の「美しさ」を全面に押し出したイメージ広告を発案する。

そして、その広告プロデューサーに二宮を抜擢するのだった。

二宮は恋愛とインテリアを融合する「恋するレゴリス」というコピーを生み出した。

しかし、低次元の和を重んじない蓮介の経営手法は社内に無用とも言える軋轢を生み出していた。上海での経営展開に失敗して更迭された峰岡(川平慈英)は「恋するレゴリス」についての機密情報を社外に持ち出し、マストポールに売り込みをかける。柚月の父親・大貫照源(長塚京三)は小躍りして喜ぶのだった。

恋するレゴリス

・・・さて・・・ここまで・・・「恋するレゴリス」がそんなに重要なアイディアだと思えない人は少し魔法をかけてください。

恋するレゴリスはものすごいアイディアだ企業の売り上げを倍増する。

峰岡と大貫の密会・・・大貫の自宅で会っているので・・・を目撃した柚月・・・自宅に帰宅したので・・・はものすごい秘密を知ってしまったと有頂天になり、この情報を利用して蓮介と親密になろうと考える。

しかし、蓮介は「コスト・ダウンを図るために取引先を変更しようとすると守りに入った部下から反対されたり、モデルの秀美がご機嫌ななめだったり」と・・・いろいろ多忙のために相手にしないのだった。

「もう・・・どうなったって知らないから・・・もげっ」

癇癪を起こした柚月は「親の力で仕事をしない」という自分ルールを変更して、盗用した広告のモデルを買って出るのだった。

その真意は秀美よりいい女であることを証明するためである。

レゴリスより先にキャンペーンにうってでるマストポール。

恋するインテリア

このコピーがそんなに凄いか・・・と感じたあなたは魔法をかけてください。

凄い・・・恋するインテリア・・・売り上げ三倍増のアイディアだ。

まあ・・・ここまで書くとオチも見えてくるが・・・気がつかない優しさでお願いします。

コレでないとどんなコピーかな。

パパのインテリアをよろしく(大貫柚月)

・・・いかん・・・何も付き合って墓穴を掘る必要はないのだ。

その頃、せっかく再会した父親に犯罪歴があったことが判明し、蓮介によって父親を中国に送還されたことに立腹した秀美はモデルの仕事をボイコットしていた。

それは理屈が通らないと思うのは日本人だけです。

中国では海底油田は自分たちのものだといえば自分たちのものだし、北朝鮮が悪いかどうかは考えるといえば永遠に考え続けるし、日本の領海近くで挑発行動をとらないでとお願いすれば挑発してるのはそっちだとけんもほろろだし、もらうものはもらうけどこちらから出すものはなにもないという態度を崩さないのが正しいからです。そして公園では太極拳を教えます。

そのうち身包みはがされる恐れがあるので注意しましょう。

ともかく、愛する蓮介の夢を賭けた仕事が滞っては困るし、このままではスタッフが路頭に迷うと危機感を覚えた二宮はさっそく秀美の説得にあたる。

「蓮介は・・・ひどいことをするように見えるけど・・・本当はそんなひどくない奴かもよ」

「そうでしょうか・・・」

「うん・・・ひどいことをしても・・・ちょっとひどいくらいだと思う」

「私・・・がんばる・・・よく考えてみたら・・・悪いのは私のパパでした」

「だよね~」

こうして二宮は秀美からの好感度をアップするのだった。しかし、秀美に感謝されればされるほど心に暗闇が広がる二宮だった。

秀美に愛されて・・・どうする・・・私が愛してもらいたいのは・・・。

秀美が現場に復帰することによって・・・動き始める現場。

しかし・・・盗用したアイディアでマストポールが広告を展開すると全員が青ざめるのである。

ここは非常にわかりにくいところですが・・・一部雑誌には「レゴリス」のネガティブ・キャンペーン記事が掲載され、蓮介が芸能記者に追い回されるシーンがある。これはあくまで柚月の記事に対する裏づけ取材である。つまり、蓮介のポジションは沢尻エリカの夫と同じだということです。・・・これがドラマ内芸能ニュースの表現の難しいところです。

人気モデルの父親が家具屋第一位で恋人が家具屋第二位・・・という点を面白おかしく盛り上げているだけなのです。

その話題の人の恋人を木村拓哉が演じることである意味、意味不明の構図になることはもう仕方ないっていえば仕方ないのである。

とにかく、レゴリスの社長として、冷たくした部下に裏切られた蓮介は「やってくれるよな」とか負け惜しみを言いますがかなりダメージを受けています。

そして「なんとかしてくれ」と二宮に泣きつくのである。

・・・本当に仕事のことは私に頼るのに・・・そして私は頼りになるやつなのに・・・その他のことは対象外なのね・・・と唇をかみしめる二宮だった。

新しいアイディアを求めて呻吟する二宮。

それを見守る蓮介。難題出しておまかせはかぐや姫の常套手段だからです。

その頃、新たに上海に赴任した雉畑(渡辺いっけい)は秀美の父親を入院中の秀美の母親に引き合わせるという重要任務を遂行していた。

そして蓮介の元へ吉報が届く。秀美の両親は和合したのである。

対不起(ごめんなさい)と中国語で記した蓮介は両親の関係修復を証明する写真と契約更新の書類を添えて秀美に届ける。愛の交換日記である。

秀美は蓮介の心情に触れ・・・蓮介のためにおにぎりを握る決心をするのだった。

一方、蓮介の好物の明太子のおにぎりをコンビニで買った二宮。

日中おにぎり合戦は不揃いながら手作りの秀美に軍配があがったと自己採点する二宮。

練成した姉御根性は抜けないのだった。

二宮は蓮介に「おにぎりは秀美が作ったの」

秀美に「蓮介は明太子が大好きなの」

夜一人で「バカバカ・・・私のバカ・・・一人いい子になってどーすんの」と泣き濡れるのである。

気持ちが通じ合い・・・晴れ晴れとした秀美と蓮介を見て・・・二宮はまたいい仕事をするのである。

素顔のレゴリス

このコピーがそんなに凄いか・・・と感じたあなたは魔法をかけてください。

凄い・・・素顔のレゴリス・・・売り上げ十倍増のアイディアだ。

えーと・・・オチです。

とにかく、秀美の魅力は爆発・・・恋するインテリア(柚月)を圧倒するのである。

打ちのめされた柚月は蓮介との関係修復を求める。

「ひどいことしてごめんなさい・・・でも私はあの女に負けたくなかったの」

「いや・・・柚月には感謝している・・・おかげでいい仕事ができた」

蓮介は上から目線で勝ち誇るのだった。

蓮介はご褒美として二宮に天麩羅を奢るのだった。

しかし・・・二宮が欲しいのは塩で食べると美味しいきすの天麩羅ではなくて蓮介の熱いキスなのである。

それが得られないと一人合点をした二宮は胸が一杯になり席を立つのである。

空には満月が輝いていた。

一人暮らしのホテルに戻った蓮介はフロントに秀美の新作おにぎりが届いているのを知る。

空には満月が輝いている。

ホテルの水滸では秀美が奇跡の水馬(アメンボ)を発見していた。

空には満月が輝いている。

微笑みあう秀美と蓮介。

「アメンボいたよ・・・私もうしあわせだから・・・蓮介のためにアメンボつかまえてあげる」

「よせよ・・・危ないから」

あすなろ抱きから正面抱き上げの蓮介の連続攻撃。

空には満月が輝いている。

公園で二宮が泣いていた。蔡が現れて慰めの言葉を言うのだった。

満月となった月はやがて・・・欠けていくのである。

とまとめたところでメモである。キッドは文盲ネタコレクターでもある。

秀美のジャポニカ学習帳を変則だが文盲ネタと認定しておく。

れんすけ

わんすけ

と書いてしまう。・・・かわいくて涙である。

文盲ネタの例。墓参りに出かけた黒人。文盲のために墓碑銘が読めず迷う。老婦人が優しく教える・・・涙である。映画『ドライビング Miss デイジー』(1989年)より。

チーム編成のために各チームのボードに指名が示される。選手たちはそれぞれのチームに散っていくが一人、文盲の選手が取り残される。自分の名前が読めないのだ。チーム・メイトが優しく抱きしめる・・・涙である。映画『プリティー・リーグ』(1992年)より。

・・・ということです。

関連するキッドのブログ『第3話のレビュー

Hcinhawaii0642 ごっこガーデン。天麩羅パーティー・セット。まこいえーい。わんすけ・・・かわいいのでしゅ~。わんすけはシュウメイをリフティング・・・フィギュア・スケートのようにクルクル回して空中射出するイキオイだったのでしゅ~。ちょっとラブ・コメ要素が少ないのかちらね。柚月も秀美に対するライバル心で蓮介の足を引っ張るところなんか・・・本末転倒で笑いどころのはずなのにね~。さらっとししゅぎなのかもデス。じいや、まこは天丼もたびたい~お気楽真絵美は完全に姐御だよね~。仕事はできるけど恋愛下手っていうか自己完結。社長としては重宝するよね・・・真絵美を秘書、秀美を妻、柚月を愛人にするのがいいかな~あんぱんちお気楽社長も夢を見るのね。業務連絡。月の恋人に出演予定よ~。来週なの~。よろしくね~

Hcinhawaii0643 ごっこガーデン。秘密のテレビセット。mariちょっと、天麩羅食べすぎましたね。あらあら・・・アンナちゃまはまたもや妄想遊戯に・・・意外とダイエットにいいポーズかもしれませんね・・・リン・チーリンはさすがにプロのモデルですね・・・有無を言わさぬ説得力でしたアンナすご~い。ダーリン力持ちぴょん・・・でも腰を痛めないかとか・・・つい心配してしまうのぴょん。いえ、アンナが最近、ダイエットをさぼっているからとか・・・そういうこととは関係ないのぴょ~ん。もう、この体勢から倒立でダーリンの肩に乗り、開脚して三回転で着地できるくらい身軽なのでしゅ~。ホントでしゅよ~。う~ワンワン

Hcinhawaii0644 ごっこガーデン。おにぎりパーティー・セット。ikasama4なんと~、またしてもオカカでしたぞ・・・私も明太子は好きなのに・・・ゆっくりと明らかになっていく男たち女たちの性格。ノーとは言えるがイエスとは言えない蓮介とかですなーっ。結局、可愛い男なのですなーっ。ちょっとずるいのですな。それで「わんすけ」とかってもはや反則ワザの領域なのでは~シャブリおおーっ・・・遅刻しませんでした~。執事長、パーティー準備お疲れ様なのでありました~。広告のコピーは正確には『素顔の。レゴリス』『あなたと。レゴリス』なのでありました。守秘義務要旨も再録しておきましたから秘密を守らせたいあなたは参考になるかもなのでありました~くううふふ・・・遅刻したけどおにぎりは食べますから~。就職活動はお腹がへるのだ~

Hcinhawaii0645 ごっこガーデン。秘密のテレビセット。ミマムえへへ・・・私も遅刻だけど・・・天麩羅とおにぎり・・・とくれば天ムスもできるよね~。ねえ、じいや・・・はい、天ムスきたーっ・・・みんなの恋ははじまったばかりみたいですねえアンナはうぅん・・・あすなろ抱きキマシターっ。そろそろだと思っていたのぴょん・・・でもね・・・これできっと前半戦終了・・・シュウメイと蓮介の相思相愛がスタートラインなのぴょんね~。きっと柚月はくるくる空回りのまま・・・若さゆえの片思いなんだよね~。そうなると真絵美ちゃんの逆襲っていうか、裏切りっていうか、告白っていうか・・・そーゆーのがあるのかなあ・・・蓮介の心はまだまだ解き明かされていないよね~。ファンタジーの色彩が強いのか弱いのか微妙な感じなのれしゅ~。シュウメイの純情アタックと真絵美のせつない片思い・・・どっちに行っていいのか・・・迷っているからイケナイのでしゅか~。とにかく蓮介ブログで和んだら、もう一度、天麩羅セットからリピしましゅ~・・・ラブラブ~ダーリン!」

水曜日に見る予定のテレビ『臨場』(テレビ朝日)『ERⅩⅢ』(NHK総合)『Mother』(日本テレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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