スミレの店と砂の家と旅の宿のMother(松雪泰子)
幸福とは失うまで存在しないものである・・・というのは悪魔のお気に入りの言葉である。
なぜなら神は与え奪うものだからである。
たとえば命について考えてみれば明らかだ。
燃え出した炎はあの太陽でさえいつか燃えつきるのである。
しかし、それでも人々はつかの間の幸せを愛するだろう。
目の前の幸は一瞬にして消え・・・やがて空腹がやってくる。
だが気にすることはない。また食べたいものを食べればいいのだ。
幸せになろうと思うこと。それは下手をすれば神にも止められない悪魔の手口なのだから。
水曜日のダンスは・・・。
「臨場」・・・17.9%↗18.6%↘16.7%↗16.9%・・・・・・↗18.6%↘17.0%↗18.6%↘17.2%↘16.2%
「Mother」・・・・・・11.8%↗12.0%↗12.8%↘10.0%↗11.9%↗13.9%↘12.4%↗14.0%↘12.2%
こうしてみると尾野真千子・・・視聴率持ってるのか・・・。まあ、生みの母が悪役というのは受け入れがたいという人も多いのかもしれない。なにしろ、生みの母は母の中の圧倒的多数者だからな。そして菅政権に再起の望みを託す騙されやすい民主党支持者も・・・。
で、『Mother・第9回』(日本テレビ100609PM10~)脚本・坂元裕二、演出・長沼誠を見た。不幸を招く女はいつも僻んでいる。不幸とは幸せを憎むことだからだ。不幸な女はねたみ、そねみ、ひがみ、うらやましがり、すねて全てを台無しにする。そして自分が不幸であることを怨むのである。世界がいつも不幸に満ち溢れているように見えるのはそういう女が呪いをかけているからだ。だが・・・神はもちろんそういうことはあまり気にしない。
春は菜の花
秋には桔梗
そして継美の花は夜開く
教壇に立つ鈴原先生(松雪)を怜南(芦田愛菜)は見つめる。
鈴原先生の声は優しい。
まるで昔のママ(尾野真千子)のようだ。
パスタを茹でてくれたママ。
ずっとずっと昔のママ。
もしも・・・鈴原先生がお母さんだったなら。
毎日、卵焼きを焼いてくれたなら。
どんなにうれしいだろう。
どんなに幸せなことだろう。
ふふふ・・・怜南ってバカな子ね。
そんな夢みたいなことを考えて。
鈴原先生が怜南のお母さんになってくれるわけないじゃない。
だって鈴原先生には継美がいるんだもの。
継美はクスクス笑いながら目を覚ます。
「継美・・・継美」
「お母さん」
自分を見下ろす奈緒の顔を継美は意識する。キッチンからはトントンと包丁の音が聞こえる。葉菜(田中裕子)が刻む朝餉の仕度のリズム。
継美はうれしくてうれしくて笑ってしまうのだ。
継美から夢の話を聞いて奈緒も微笑む。
「だってお母さんだものね」
「ねー」
継美の幸せな気持ちはずっと続く。だけれど心配事がないといえば嘘になる。ごはんはおいしいのに歯が抜けて食べづらい。このまま歯が生えてこなかったらどうなるの。
「大丈夫、生えてくるわよ」とお母さん。
「大人の歯が生えますよ」とお母さんのお母さん。
継美の不安は癒される。お母さんが口をそろえて言うのなら・・・きっと約束は果たされる。
なんといっても明日はまた旅に出るのだ。しかも今度は三人そろって旅に出る。きっと楽しいことがいっぱいあるに違いない。
「どこに行くんだっけ?」
「伊豆よ」
「いず・・・か。学校には内緒にしておくんだよね」
「そうだよ・・・内緒だよ」
お母さんとうっかりさんと三人の内緒の旅・・・継美は幸せの予感で飛び跳ねたくなるのだった。
継美を学校に送り出すと奈緒と葉菜は改まって向かい合う。
「メガネ・・・どこだったかしら」
「ここにあるよ」
奈緒はまるで娘のように母の眼鏡を探し出す。
ただそれだけで葉菜は幸せで泣きたい気持ちになるのだった。
「いいかしら・・・銀行の口座番号を言うから控えてね」
「はい」
「・・・金額は580万円・・・」
「あの・・・用意できますか」
「大丈夫」
「必ず・・・お返ししますから」
「いいのよ」
「メンテ企画への入金が済んだら・・・戸籍謄本を請求するの・・・望月奈緒と望月継美に間違いないか・・・よく確かめて・・・」
闇の世界に通じる葉菜が手に入れる売買される戸籍。
奈緒はまだ半信半疑であるが・・・母を信じた以上・・・それに従う他はないと覚悟を決める。
「明後日になれば・・・継美ちゃんとあなたは本当の親子として・・・ずっと暮らしていけるようになるわ」
葉菜は断言するのであった。
幸せを願うトリオと不幸な女との運命のレースの開始の号砲が鳴り響いていることを三人はまだ知らない。
葉菜は公園に行き、謎の老人(高橋昌也)の正体の一端が明らかになる。
老人は理髪店「スミレ」の先代主人であるスミレの夫だった。
「あの店が自分のものだと思ったことはありません」
「あの店は家内が死ぬ前に君に譲ったものだ・・・君の好きにしていいのだ」
「申し訳ありません」
老人は微笑んだ。
葉菜は店を担保に借金をする。
生命保険作戦が失敗しても最後の手段があったのだ。
葉菜は娘のためにできることがある幸せを感じていた。
その頃、奈緒は母に贈った布団を干していた。そこへ葉菜の主治医である袖川が訪れる。
「あの・・・この家のものは今・・・留守なんですが」
「私は・・・あなたに会いにきました」
奈緒は胸騒ぎを感じる。
「あの・・・」
「私は・・・大体の事情は知ってます。修羅場を立ち聞きしていたので」
「・・・母は病気なんですか」
「急性骨髄性白血病です・・・すでに一度発症して・・・今は小康状態です」
「そんな・・・あんなに元気そうなのに」
「ええ・・・びっくりするくらい元気ですけど・・・いつ死んでもおかしくない容態です」
「・・・そんなこと・・・母は一言も・・・」
「きっと・・・奇跡が起きているんですね・・・でも・・・このままだとウーッ!マンボになっちゃうんです」
「ウーッ!マンボに・・・」
奈緒は衝撃で気が遠くなった。
葉菜はいつもの番いのインコを見ていた。
いつか飼いたいと夢見ていたインコ。しかし・・・自分が死んだら世話をするものがいなくなるとあきらめていたインコ。今は後の面倒を見てくれるかもしれない人がいる。しかし、同時にインコを飼う必要もなくなった。愛しいものがそばにいる幸せを葉菜は感じる。
学校帰りの継美は葉菜と合流した。
仲睦まじい二人をペット・ショップの女主人は怪訝な目で見る。
葉菜は水の臭いを感じていた。
梅雨が近いかもしれない。葉菜は鮮やかに季節感を感じる自分に心が浮き立つ。
継美は歌を歌いだす。
おやまにあめがふりました
あとからあとからふってきて
ちょろちょろおがわができました
二人のホンキー・トンク・ウーマンは家路を辿る。
その頃、デストロイヤー仁美は激しい破壊衝動に突き動かされ、警察を支配下に置いていた。すべてが明らかになれば敵に回る国家権力も今は被害者である仁美の味方である。
仁美は味方がいることの安堵に酔っていた。
国民監視システムの映像には標的が移っている。仁美から怜南を奪った女教師と裏切り者の実の娘。
仁美の瞳には暗い憎悪が燃え上がる。
今や、仁美は世界のすべてを憎んでいる。もちろん、そこには自分自身も含まれるのである。仁美はすでに母ではなかったし、人間でもない存在と化していた。
女たちは夕餉の食卓を囲んでいた。
藤子(高畑淳子)直伝の茶碗蒸しは美味だった。
「これ・・・美味しいわ・・・継美ちゃんのお母さんは料理が上手ねえ」
「えへへ」
二人の会話を聞きつつ奈緒は葉菜の身を案じていた。
しかし・・・継美のために計画の変更はできない。
旅支度を整える奈緒に葉菜が声をかける。
「何か・・・手伝えることがあるかしら・・・」
「大丈夫・・・先にお風呂をどうぞ・・・」
「そう・・・じゃ、お言葉に甘えて」
湯支度を整えようと身を屈めた葉菜はふと咳き込む。
その音は葉菜の老いと病を奈緒に強く意識させる。
「大丈夫ですか・・・」
「風邪でも引いたかしらねえ」
「病院に行かないと・・・」
「そんな大袈裟なことじゃないわ・・・そうそう・・・継美ちゃんにうつさないように気をつけないとね」
奈緒の心は震える。
(お母さん・・・お母さん・・・お母さん)
「明日は少し早く出ましょうよ・・・」
「・・・」
「せっかくだから継美ちゃんと海に・・・そんなことしている場合じゃないかしら?」
「いいえ・・・」
旅立ちの日。葉菜は慣れ親しんだ店を見納めた。
やがて・・・店は人手に渡るだろう。しかし、葉菜は満足だった。
三人の逃亡者は最初の追っ手を逃れた。
三人がすでに伊豆へ向かう踊り子号の車内にいる頃、室蘭から来た刑事たちは理髪店「スミレ」に到着したのである。
女刑事(吉田羊)「逃げられたみたいね・・・鈴原家に向かいましょう」
いたずらくまのこかけてきて
そうっとのぞいてみてました
さかながいるかとみてました
しかし、国民監視システムは駅のホームで逃亡者トリオを捕らえている。
出勤時間に婚約者の加山(音尾琢真・・・「スミレ16歳!!」のオヤジにして「竜馬伝」の望月亀弥太)を待ち伏せた鈴原家の次女・芽衣(酒井若菜)は決意を語る。
「どうしても・・・伝えたいことがあるの・・・」
加山は膨らむ芽衣の腹部から目をそらす。
「君の気持ちはわかるけど・・・」
「この子の父親はあなたじゃないの・・・ごめんなさい」
芽衣は婚約指輪を加山に返却した。芽衣は結婚と出産を両立できないタイプだった。
帰宅した芽衣を迎える母・藤子と末の妹の果歩(倉科カナ)・・・そしてうな重は梅の耕平(川村陽介・・・「ROOKIES」の桧山にして「JIN-仁-」の火消しの千吉)の鈴原家トリオと一匹。
「思い切ったことしたわね」
「だってこの子の母親なんだもん・・・ねえ・・・これで奈緒姉・・・家に戻ってこれるんじゃない」
果歩はまだ奈緒が実の母と再会したことを教えてもらってないらしい。
「母親は世間じゃなくて子供の目を見ているべきでしょ」
「・・・パスタでも食べる?」
藤子には葉菜に対して少し複雑な気持ちが残っているようだ。
それは怨みの火種だが・・・藤子にはそれに着火しない知恵がある。
そこへ・・・地獄の業火に振り回される刑事たちがやってくる。
彼らには善悪の区別はない。ただ職務として為すべきことを為すだけである。
「長女の奈緒さんは今どちらにおいででしょうか」
「長女とは十数年疎遠になっているのです・・・あの娘は妹の結婚式の招待にも欠席の返事を寄こすくらいですから・・・」
藤子はシラを切った。
刑事たちは鈴原家に怜南がいたという情報を仁美から得ているはずだが、それ以上は追求しない。まずは任意の事情聴取。そして優先すべきは誘拐された養女の保護と、参考人の身柄の確保だからである。
道警から警視庁への仁義も切らなければならない。
伊豆熱川に到着したトリオは虎口を脱したかのようだった。
しかし、足取りは着実に監視され、検索されていたのである。国民監視システムから逃れることのできる国民はいないのだった。すべては時間の問題だった。
顔識別認証機能は逃亡者リストの該当例を次々とピックアップしていくのだった。協力要請を受けた警視庁広域捜査担当はすでに踊り子号に乗りこむ三人を洗い出していた。・・・いい加減にしておけよ。「相棒」とかの見すぎだろう。その場合、担当警察庁だろう。じゃ、あの少人数で近所の旅行代理店を聞き込みしたのか。うっかりさんだけに実名で予約したのか。・・・ま、その点はいいか。ことによるとROMESシステムかもしれんしな。誰が空港を防御しろと・・・。
とにかく・・・トリオに残された時間があまりないことは充分に予感できるのだ。
トリオは取引銀行の所在地を確認した。
「疲れたでしょ・・・」
奈緒は葉菜の体調を気遣った。
「大丈夫・・・それより海に行きましょう」
親はなぜか子供に海を見せたがる。それが一種の義務でもあるように。
だが子供もまた海を見れば喜ぶのである。
もちろん・・・海は命の母なのである。
継美は砂浜で家作りに熱中した。
衝撃のラストのためにテーマ・ソング前出しである。
いいのができたわね
ここが庭でしょ
ここが自転車置き場
ここがお風呂でしょ
ここが台所
ここがテレビをみる部屋
ここが継美とお母さんの眠る部屋
じゃあここでアイスを食べるのはどうかしら
お母さん
そこはトイレだよ
じゃあ・・・ここは
そこは・・・うっかりさんの部屋
雨が降ってきたら困るかな
屋根がないし
葉菜は心の中で号泣した。
「継美・・・ここが気に入った?」
「うん」
「じゃ・・・ここに住む?」
「いいよ・・・」
「また学校とか替わって友達とかあえなくなるけど」
「友達はすぐできるよ」
「・・・」
「三人で暮らすんでしょ?・・・この街でお店をやるの?」
「・・・」
「お母さんが髪の毛洗う係でうっかりさんが髪の毛切る係・・・私が髪の毛洗う係」
「・・・」
「だめ?」
「素敵なお店ね」
「三人家族のお店だよ」
その時、三人の頭上を海鳥が過ぎていく。
継美は衝動的に走り出した。
鳥さん
ここにいるよ
ここだよ
奈緒はそこにいる継美を見つめた。
そして浴衣の君はラッコ体操ではしゃぐのだった。
「お風呂は広いから泳げますよ」
「お風呂で泳いじゃいけないんですよ」
すでに布団が敷かれた旅館の一室。
奈緒の携帯電話がなる。
鈴原家には芽衣の連絡を受けたハイエナの駿輔(山本耕史)が乗り込んでいた。
駿輔「今日、室蘭から鈴原家に警察が来たそうだ・・・おそらく・・・仁美が通報したんだろう・・・あなたは見つかったら警察に任意同行を求められ、一緒にいるのが道木怜南と確認されたら未成年者略取の疑いで逮捕されることになる」
「・・・鈴原の母はそこにいるの?」
藤子「奈緒・・・無事なのね・・・私・・・言い忘れていたことがあるの・・・一番大事なこと・・・あなたはよくやったわ・・・よく怜南ちゃんを誘拐した・・・あなたは私の誇りよ・・・」
「・・・お母さん」
果歩「私たちは大丈夫だから・・・絶対逃げ切って・・・あきらめちゃダメだよ」
「・・・果歩」
芽衣「私の子供が生れたら・・・継美ちゃんと遊ばせたいの。継美ちゃん・・・お姉ちゃんだから・・・きっと遊んでくれるよね・・・きっとそうなるから・・・きっと」
「・・・芽衣」
駿輔「どうする・・・出頭する気はないのか?・・・その方が心証が・・・」
「継美を離す気はありません」
駿輔「・・・刑法上では未成年者の略取・誘拐は状況によっては親告罪となる・・・これは被害者を保護するための法的配慮だ・・・だから・・・仁美が告訴しなければ犯罪そのものが成立しないかもしれない・・・明日・・・室蘭に行き・・・仁美を告訴しないように説得してみるつもりだ」
「・・・あなたが・・・どうして?」
駿輔「・・・俺だって人間だもの・・・」
藤子「・・・継美ちゃんを家で引き取ることはできないの」
駿輔「それは無理でしょう。犯罪加害者の家族だし、下手すれば共犯者ですから」
藤子「・・・」
駿輔「逮捕されたら二人の・・・奈緒さんと継美ちゃんの旅路は終わりです・・・二人は二度と一緒に暮らすことはできないでしょう」
藤子「・・・芽衣・・・果歩」
芽衣「お母さん」
果歩「お母さん」
藤子「私は決めた・・・奈緒にもしものことがあっても離縁届けは出さない・・・いいわね」
頷く二人だった。
なんにもいないとくまのこは
おみずをひとくちのみました
おててですくってのみました
幸せな夜は過ぎ去ろうとしていた。
継美はすでに眠っていた。人間が一番幸せなのは眠っているときだが人間はそれを味わうことはできないのだ。
「警察が捜査をはじめたそうです」
「そう・・・」
「とにかく・・・明日、戸籍を手にいれて・・・逃げるのはそれから」
「・・・継美ちゃん・・・ここでお店をやるとか・・・うふふ・・・さあ、もう寝ましょう」
「眠れるかな・・・」
「気持ちはわかるけど・・・」
「昨日・・・あなたの主治医に会いました」
「ああ・・・あの先生、少し大袈裟だから」
「嘘つき・・・また・・・私を騙そうとして」
「・・・じゃ・・・また、騙されて・・・」
「どうして・・・私は再会してから・・・あなたにひどいことばかり言ったのに」
「そんなの・・・今のあなたならわかるでしょう?」
「・・・罪滅ぼしですか?」
「違うわ・・・幸せだからよ・・・」
「・・・」
「幸せって・・・自分よりも大切な誰かがいるってことでしょう?」
葉菜は奈緒を見た。そして継美に目を移した。
「その人を守るためなら自分の命さえもいらないと思える人がいることでしょう?」
「・・・継美の作った砂の家・・・」
「ええ・・・素敵だったわねえ・・・」
室蘭の警察署内では刑事が仁美に報告していた。
「奈緒さんと怜南さんの行き先が判明したようです」
「・・・」
仁美は終焉を予感する。
待ち受ける暗い未来。誰も幸せにならない未来。それこそが仁美の望むところだった。
それでもどこかにいるようで
もいちどのぞいてみてました
さかなをまちまちみてました
眠れない夜を一人で泣いているのはみじめだ。しかし子守唄を歌ってあげるあの子はもういない。仁美は唇を噛みしめる。
運命の朝は明けた。
そつのない旅館の仲居は朝食を下げながらお愛想を言う。
「お母さんにそっくりですね」
奈緒と継美は秘密の共有者として喜びを分かち合う。
「そっくりだって」
「似てきたのかな」
「目かな」
「鼻かな」
「お手手かな」
「親子だもんね」
「当然だよね」
二人の会話を葉菜は微笑んで見つめる。
「じゃ・・・お母さんはご用事をすませてくるからね」
葉菜は通帳を取り出す。
「うっかり・・・落さないようにね」
奈緒は緊張した。
朝一番で室蘭の刑事たちは熱川に到着していた。県警に応援が要請され、道木怜南の捜索が開始される。その捜査の網の中に奈緒は飛び込んでいく。
ハイエナも室蘭の仁美を訪ねていた。
「告訴をしないように頼みに来ました」
仁美はハイエナを見下して嘲笑を浮かべる。
「もう子供はいらないって・・・言ってたでしょう・・・それにあの子はもう・・・君を母親だと思っていないし・・・今さら・・・告訴したって」
「残念でしたあ・・・もう、告訴しちゃいました・・・告訴を取り下げるつもりもないわよ」
「なんで・・・そんなことを・・・」
「嫌いだからよ・・・あの女が」
ハイエナは言葉を失った。人間の恐ろしさに股の下に尻尾がしまいこまれる。
駿輔の頭に浮かぶのは職業的な見出しばかりだった。
悪魔の女教師、教え子を誘拐!
独身35才一人暮らしの心の闇!
母は殺人犯!仰天の過去に何が!
それでも養女を庇うセレブな経営者義母の傲慢!
娘を奪われた母の慟哭・・・「あの子を返して!」
偽装された自殺・・・洗脳された怜南ちゃん(7)
・・・ハイエナ仲間たちの舌なめずりの音が聞こえる駿輔だった。しかし、人の不幸を金を払ってでも読みたい人間のために奉仕するのがハイエナの役回りなのである。死肉喰らいにふさわしいビジネスと言えるのだ。
熱川の街に出た奈緒は不穏な空気を感じ取った。警官の数が多い。
そして・・・振込みをする予定の金融機関には営業時間になっているのにシャッターが下りていた。
お詫び
ATMシステムメンテナンスのため、
本日は9時30分からの営業となります。
お客様にはご迷惑をおかけ致しますことを
深くお詫びいたします。
天城信用金庫 熱川支店
奈緒の不安は恐怖に変りつつあった。
通り過ぎる警官の声が聴こえる。
「・・・室蘭から応援も到着したって・・・」
じっとしているのがこわかった。奈緒は葉菜に連絡をとった。
「あ・・・お母さん・・・あのね」
「ごめん・・・急いでいるの」
「どうしました・・・」
「銀行が開かないんです・・・他のところを・・・まわってみます・・・何か変ったことはないですか」
「・・・今のところ・・・何も・・・」
「お母さん・・・あのね」
「ごめん・・・後で聞くから・・・」
「・・・お母さん・・・」
パニック寸前で歩き回る奈緒の目に聞き込みをする刑事の姿が飛び込んできた。
「この二人を最近、見かけませんでしたか・・・」
奈緒はうろたえた。もはや・・・何も考えられない。奈緒は継美と合流するために旅館への道を辿り始める。
その肩に雨が落ちる。
「うっかりさん・・・見て見て・・・晴れているのに雨が降ってきたよ」
「まあ・・・お天気雨ね・・・キツネの嫁入りって言うのよ」
「ええー・・・何それ・・・」
「お天気なのに雨が降るのはキツネが結婚式をしているからなのよ」
「えー・・・本当?」
通り雨はふりそそぐ。
奈緒を刑事たちを乗せた車が追い抜いて行く。
なかなかやまないあめでした
かさでもかぶっていましょうと
あたまにはっぱをのせました
旅館の前で刑事が聞き込みをしている。それに応じる旅館の仲居は目ざとく奈緒を見つける。
「お帰りなさいませ」
雨に濡れた奈緒に仲居は傘をさしかけようとする。
それなのに奈緒は呪縛されたように動けない。
刑事が振り返ったとき・・・奈緒は身を翻して逃げ出した。
刑事たちは獲物を見つけた。奈緒は逃げた。できるだけ遠くへ。
継美を逃がすために。
しかし、前方にもう一組の刑事たちが現れた。
奈緒は逃げ場を失って天を仰ぐ。そして叫んだ。
「つぐみーっ」
その声を継美は聞いた。幽かな母の自分の名前を呼ぶ声を。
葉菜には聞こえなかったその声を。
葉菜は胸騒ぎを感じて部屋を出る。
玄関に刑事がいる。
素知らぬ顔を装った葉菜は刑事に確保された奈緒の姿を発見する。
葉菜も我を忘れた。
「奈緒・・・奈緒・・・奈緒ーっ」
「お母さん」
刑事「望月葉奈さんですね・・・事情を伺いたいことがあります」
葉菜は奈緒の手をとった。
「奈緒・・・」
「お母さんの手・・・こんなだったかな」
「奈緒・・・」
「なんだか小さくなったみたい・・・」
「奈緒の手が大きくなったんだよ・・・」
「お母さん、病院に行って・・・検査を受けて・・・」
「わかった・・・わかったから・・・」
女刑事(そこは意外だったわ・・・虐待児童を保護した独善的な女教師というだけではなく・・・もっと複雑な事情があるのかしら)「と、とにかくつもる話は後ほど・・・」
「待ってください・・・継美ちゃんとこの子にお別れをさせてやってください」
刑事「つぐみって誰だよ」
「お母さん」と継美が刑事に挟まれてもがいていた。
「この子は話したがっているんです」と葉菜は哀れみを請う目で刑事たちを見る。
女刑事は目配せをした。
「お母さん・・・どこへ行くの・・・継美も一緒に行く」
雨はあがった。奈緒は言葉を捜していた。そして継美の目線にあわせてしゃがみこむ。
「お母さん・・・どうして黙ってるの・・・」
「継美・・・さっき・・・電話で・・・何を言おうとしていたの」
「あのね・・・歯が生えてきたの・・・大人の歯が・・・生えてきたの」
「そう・・・よかったね・・・ごはんをたくさん食べたからだよ・・・これからもごはんをたくさん食べるんだよ」
奈緒は継美の手を握りしめた。
「継美・・・お母さんの手・・・忘れないで・・・ずっと継美の手を握っているから・・・ずっと継美と一緒だから・・・」
「お母さん」
女刑事(充分に事情を察しながら)「あの・・・その辺で・・・一応、誘拐の容疑者ですから・・・鈴原奈緒さん・・・」
「継美・・・車が出るから・・・危ないよ・・・離れていて」
しかし、奈緒に泣きながらしがみつく継美。事情を察する女刑事もなす術がないのだ。
「お母さん・・・お願いします」
奈緒は葉菜に頼んだ。葉菜は頷いた。葉菜は娘から孫を抱き取った。
お母さんとおばあちゃんと継美・・・三人家族で暮らすの
継美の願いは空にとけていく。この世の諍いに神が手を触れない証拠である。
お母さん
お母さん
おかあさあん
継美が駆け寄るのを海鳥は見ていた。しかし、容疑者を乗せた車は無情にも走り去る。継美の母親である奈緒は児童誘拐犯として連行された。継美は心無い制度によって母親を奪われたのである。女刑事は望月葉菜を見つめ、安堵した。どんな事情があっても手続きにしたがって処理しなければならない。それが公僕の務めなのだ。この訳ありの人はものわかりがよさそうだ。とにかく一件落着なのだ。
そして仁美の呪いは成就したのだった。優秀な女刑事は悪魔の笑い声を耳にするが、それは別の話。職務とは無関係なのである。女刑事にとってはとりあえずどうでもいいことなのだから。温泉街に来ても温泉には入らず容疑者を室蘭に連れ帰ることが彼女の糧を保証するのである。
雨上がりの温泉街を闇の組織の見届け人である海鳥は飛び去った。
・・・久しぶりに終った瞬間に「これはドラマだから大丈夫」と自分を慰める必要のあるドラマ出現である。トレビアン。
関連するキッドのブログ『第8話のレビュー』
金曜日に見る予定のテレビ『森カンナの警視庁失踪人捜査課』『子役オールスターズとハガネの女』(テレビ朝日)『岩佐真悠子のトラブルマン』『里久鳴祐果の大魔神カノン』(テレビ東京)『仲里依紗のヤンキー君とメガネちゃん』(TBSテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
とうとう運命の日がやってきました!
キッド様レビュー全文投下楽しみにしてますo(^-^)o
デデストロイヤー仁美…(≧∇≦)
女子プロレスの名前みたいです
対する菜緒は…フルムーン菜緒?まんまです。
投稿: リンゴあめ | 2010年6月10日 (木) 10時48分
◉☮◉Mother~リンゴあめ様、いらっしゃいませ~Mother◉☮◉
そうですね・・・毎回、最終回のような
怒涛のクオリティー。
でも破局は来ましたね。
ただ今、アップしました。
少し、ブラッシュ・アップするかもしれないですけど
一応、これで完成形でございます。
毎度、お待たせしてすみません。
デストロイヤーは破壊者ですかねえ。
しかも覆面レスラーですし。
得意技四の字固めですし・・・
仁美にはふさわしいリングネームかと。
ホワイトナイト・奈緒との
タイトルマッチが見たいくらいです。
葉菜はセコンドでいい味だしますよ。
「やっておしまい」と
ハッパをかけるのでございます。
ルール無用の悪党に正義のパンチをぶちかますのです。
ま、パンチは反則ですけど・・・。
投稿: キッド | 2010年6月10日 (木) 18時49分
いつもは終盤に流れる主題歌&スタッフロールを
オープニングに持って行って終盤でジックリと見せる
演出はこの水曜枠の御家芸ですねぇ。
でもって、しっかり伏線を張って
回収するとこも忘れてはいないのがいいですねぇ。
忘れた頃にその伏線でホロリとさせてきます。
でもって、葉菜を「あなた」と呼ぶ奈緒と
奈緒に対して他人行儀な感じだった葉菜が
奈緒の逮捕をきっかけに
自ら作っていた壁を取っ払って
母子に戻っていく。
実体験でもありますが
人って何かしら絶対的な危機に陥ってこそ
自分の本音をさらけ出すというか
自分の正直な気持ちが出てきますね。
一方で自分が逮捕されてでも
奈緒と継美を引き離そうとする仁美もまた
この決断が彼女の偽りのない思いなんでしょうね。
それにつけても、やはりこのドラマは
芦田さんが完全に軸になっていますね。
いやはや、安達さんの再来かというくらい。
5歳の子をキャスティングしたのは
怜南が7歳だけど親が食事をまともに与えないから
成長が止まっているってのを見せるためだからという
意図も感じてましたが今回は改めて
彼女の能力の高さを見せてもらいました。
そして彼女をはじめ、俳優陣をキッチリと
見せてくれるスタッフの力も素晴らしいです。
今更ですが、役者頼みで
演出とか物語構成に手抜きばかりしてる
今期のTBSとフジにこのドラマに爪の垢があれば
煎じて飲んで頂きたいものです。
投稿: ikasama4 | 2010年6月10日 (木) 21時19分
✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥
ねー。
そうでございますよねーっ。
って・・・じじいが継美になったら不気味ですが~。
それほど
どうだと言わんばかりの
お家芸炸裂。
これでもう少し視聴率あると
よろしいのですがね。
レビューしていても
なんとか再現性を低くしようと
もがけばもがくほど
何もかも落せなくなっていく
恐怖の呪縛力がございますな。
これもフリだったし
ここはオチてるしの
てんやわんやでございますものな~。
「手」はなあ~。
反則ですな~。
雨が降ってきたので
水木しげるに傘貸そうとするくらい
反則です。
子供の名前を呼ぶことのできない母親と
母親を「お母さん」と呼ぶことのできない子供・・・。
その一言が
あんな場面でしか出てこない二人。
不幸なのに幸せ・・・これはなかなかに
切ない感じでございますな。
もどかしいほどに
ナイス・ドラマでございます。
人間は
大切なものが
何かを
すぐに忘れる生き物なのですねえ。
そして手遅れかその一歩手前でないと
正直になれないのですよねえ。
本当にギャンブラーなのですな。
仁美は「戸籍がないままでは仁美が不幸」という正当性と
「虐待の罪を裁かれたい」という自虐性
そして「世界への憎しみ」
それらすべてを
幸せなお嬢さんとして
仁美の目に映っていると思われる
奈緒にぶつけている感じがいたします。
この勘違いが晴れるとき
仁美の孤独が終るのでしょうが・・・
その前にすべてを
ぶちこわしていて
どうしようもないことに
なる気配もございますよね。
奈緒も幸福になったし
葉菜も幸福になった
そういう意味では
継美も今は幸福です。
そうなると仁美が覚醒できれば
物語は終局を迎えるわけですが
そのためには
すべてを明るみに出さなければならない。
それが継美の将来に関ることである以上
困難が伴う可能性がございます。
裁きの鉄槌がくだる日は来るのか・・・。
残された時間が・・・実に楽しみですな。
少なくとも
「Mother」に
天は芦田愛菜を与えたもうた・・・
という印象はございますな。
まあ・・・多くの同じ年頃の子供を持つ
お母さんが・・・
ウチの子はあんなに賢くないと
虐待をはじめる危惧を感じるほどでございます。
今回は望月トリオの行動にずっと妄想上のミライさんが
「少し間に合わないかもしれない・・・」
と囁いていましたが
フラウボゥとハヤト・コバヤシの会話で
しめたい気分です・・・。
「継美ちゃんには負けたくない負けたくない・・・と」
「違うの・・・継美ちゃんは違うのよ」
まさに超子役誕生でございます。
しかもファニー・フェイスですので
すごくスリリングですしな。
今後が・・・。
子役で凄すぎるといろいろと
バランスを失うことがあるので
本当に無事を祈るばかりです。
とにかく・・・旅館の仲居にいたるまで
まったく隙のないキャスト陣。
それにキッチリと答える
脚本と演出。
チーム・ワークです。
チーム・ワークの勝利でございます。
ああ・・・ゴールが目前なのが
なんともはやですな。
投稿: キッド | 2010年6月10日 (木) 23時29分
Mother掲示板も「落ち着いてこれはドラマよ」と言いたくなる人続出で涙で前が見えない人だらけです(私含め)
マスコミの見出しがまさに現実にありそうで、これからの菜緒と、現実にちょっとげんなりです
冬の海で始まり、南の海で終わる(旅が)
「連れていって」から「ここにいるよ」にたどり着く
一瞬理想どおり出来上がるけど、それは幻ですぐに壊れる砂の家
そして天気なのに雨が降る
脚本家さんは比喩が上手!そして対比が隙がない~という感じでした
印象的でわかりやすいです
絵面が美しいし…
構造がきちんとしていると内容もよくなる気がします、わかりやすくなるからでしょうか。
仁美はポイントポイントで舵を切り損ね、続け、とうとうそんな隔たったところまで来てしまった…感があり、見てる方はなすすべもなく立ちすくま、されます
怜南は実母と義母、二人とも逮捕されることになりましたが、どこまでもキャラの善悪を問わないあたりが、Motherの凄みなんだと感じました
人を自分の立場と、知り得る情報だけから裁くことの難しさ、空しさ、これでもかというほど描いていると思います。
しかしあと2回もあるんですね~
あ~何を描くんだろう。もう今回でクライマックスが来てしまっているはずなのに。楽しみです!
願わくば怜南は大丈夫っぽいので、葉菜に治って欲しい…
投稿: リンゴあめ | 2010年6月11日 (金) 08時45分
寸止めなのであります。
闇社会を通じて戸籍を偽造していつまでもいつまでも皺と皺を合わせてシワワセ?になるようには出来ていないとは思っていましたが、やっぱり(?)寸止めなのでありました。。。
「理容すみれ」の店名まできちんとドラマとして設計されていました。それを利用して予告では「あれが偽戸籍なのね? あれが偽戸籍謄本なのね!」と必要以上に盛り上がらせてしまう先週の予告カット割りといったら。
「わたしわー、お菓子配る係!」という本来の子どもらしい無邪気さもヨカッタ(でもどうあってもそうはならないことを予感させて余計に哀しい…)。「波が来て壊れちゃう」のですから。
「あなた」から「お母さん」へ。そしてそのお母さんの見せる表情(田中祐子のあんな表情初めて見た…)。ここにも「引き裂かれる二人」なのですね。
市川姉も(これまでに無い?)いい役もらいましたね。
投稿: 幻灯機 | 2010年6月11日 (金) 08時48分
◉☮◉Mother~リンゴあめ様、いらっしゃいませ~Mother◉☮◉
抜群の臨場感。
抜群の叙情性。
抜群の構築力。
詩人の魂爆発の一品でございますよね。
まあ、世の中はそういう泥の中で
心身ともに汚れた人々が
右往左往しているのが楽しいのですけれどね。
なるべく上から目線でなく
下から見上げて物悲しいと
思うべきだとキッドは思います。
・・・本当かっ?
ねーっ。
海鳥さんは何でも知っているんですよね。
かもめ
かもめ
笑っておくれ
でございます。
さいはての北の町から逃げて
うらぶれた南の温泉街でつかまる
生さぬ仲の母と娘。
つ・ぐ・みーっ・・・でございます。
そして天気雨と
「あめふりくまのこ」
の連動の様式美。
よく、「不自然な雨について」
わざとらしい演出という
批判がありますが
そういう人には
「ミソとクソを一緒にするタイプ」が
混じっているのでご注意ください。
たとえが下品ですみません。
今回の「雨」の使い方は
最高級味噌でございましたな。
まあ、クソミソには
お笑いの神髄の一つがあるので
キッドも時々あえてそうなりますけど~。
しかし、この作品は
そういう的外れな意見を
嘲笑する上品さがございますね。
惚れ惚れいたします。
そして、意外とこの見事な作品を
まったく理解できない人がいる
ということも忘れてはなりません。
世の中はなかなかに
あきれるほど恐ろしいものですからね。
美しい物語を美しく撮る
屈指の画面構成ですな。
まあ。絵になるものは絵になるのですけどね。
仁美は「心の病気」とも言えるし
歪んだ「性格」とも言えるし
許されざる「罪」を犯した愚か者とも言えるのでしょう。
しかし、彼女を許してしまったら
「正義」は即死です。
そういう苦渋の迷いが人間社会にはありますな。
奈緒は明らかに誘拐した時には「子供」で
逮捕された時は「大人」になっています。
母になることでしか大人になれないという
一つの物語ですな。
そして・・・若さゆえのあやまちといえども
罪は裁かれる。
それが「制度」というものですからな。
でも・・・それじゃあんまりだ・・・
と心が軋むのがドラマの醍醐味ですからなーっ。
間違いは誰にでもあるが
それを野放しにしない・・・
という掟が
人類を地上最強生命体(一部ウイルスをのぞく)に
仕上げたわけですしーっ。
いよいよ舞台は裁きの場へ。
そして愚かな世間と賢すぎる個人の対決という
この脚本家得意の主題に突入です。
もう、お茶の間の神経逆撫では確実!
ほどほどにしておけよと祈るばかりです。
葉菜は死にますか~
仁美死にますか~
とさだまさし気分で歌います。
投稿: キッド | 2010年6月11日 (金) 17時56分
✪マジックランタン✪~幻灯機様、いらっしゃいませ~✪マジックランタン✪
ふふふ、旅館の仲居(松本紀保によく似た上原由恵)でしたかな。市川姉についてはこれしか思いつきませんでした。間違ってたらごめんなさい。
闇社会の戸籍捏造には色々と妄想が伺えますな。
基本的には「実在の人間の戸籍」を合法的に改氏改姓する方法がありますな。
これは「戸籍」のプールです。
一組の死亡が確認されない死体と戸籍があれば
いくらでも増殖できますからな。
それよりも今回は「熱川」という
人生の憂さの捨て所が
町をあげての闇の組織であるという趣がございましたな。
役場の人間がすべて組織の一員であれば
戸籍の捏造なんて・・・赤子の手をひねるようなもの。
温泉従業員なんて元殺し屋がまじっていても
問題ないような伝説がございますしね~。
まあ・・・あくまで妄想でございます。
お菓子配る係は・・・継美の
子供を演じる子供のサービス精神のようにも見え
ここはなかったことにしました。
あまりにも継美が
冷徹すぎる人格になりますからーっ。
もちろん・・・継美は
人よりちょっと苦労が多くて
老けたところがあるけれど
持ち前の無邪気さで
それを打ち消している天使なんですけれど~。
まあ、悪魔にとっては強敵ですな。
地獄に棲む葉菜も藤子も奈緒も
全員解放してしまいましたからな・・・。
ただ、生みの母も救えるのかどうか・・・
それは神のみぞ知る模様です。
引き裂かれつつ強く結ばれる・・・。
見事な描写の幕切れ。
これでうっかり
継美が何もかも忘れてしまったら・・・
歴史はくりかえすわけでございます。
Mother万歳!
投稿: キッド | 2010年6月11日 (金) 18時28分