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2010年6月22日 (火)

月影の恋人が・・・ってないのかよ(谷村美月)陰日向に咲く女(宮﨑あおい)

・・・というわけで・・・爆笑の「北朝鮮VSポルトガル」が本気出したヨーロッパの鬼強さを予感させるわけである。

最終回の季節に一回休みの「月の恋人」・・・そのために何をレビュー対象にするか迷うのだが・・・ここは例によってテレビでオンエアされた映画ということになる。アニメ「荒川アンダー ザ ブリッジ」というのも捨てがたいが所詮、テレビ東京だしな。

実はたまっていました。

で、本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「ヤンキー君とメガネちゃん」↘10.1%(ゲストなしでもねばったな)、「ハガネの女」↗*9.9%(かわいい視聴率キター)、「タンブリング」↘*4.0%(視聴率があってよかった・・・)、「日本VSオランダ」43.0%(タンブリングの10倍か・・・負け試合なのでカメルーン戦より下がったけどな)、「龍馬伝」↗20.3%(うーみーとったな)、「新参者」↗18.7%(沢木ルカとったな)・・・以上。

いつの間にか・・・みんな最終回だったな。

で、『陰日向に咲く(2008年劇場公開)』(日本テレビ100528PM9~)原作・劇団ひとり、脚本・金子ありさ、監督・平川雄一郎を見た。ドラマ「Stand Up!!」(2003年)の脚本・演出コンビである。なんとなくスタイリッシュというコンビなので・・・実に中途半端な仕上がりになっている。凄くつまらなくはないが凄く面白くはないのである。演出家は「白夜行」とか「JIN-仁-」の演出家であるので・・・この特徴は脚本家の持ち味なのだろう。つまり、あまりお茶の間には受けないということだ。

実は今回とりあげる作品はどちらも原作が作家のデビュー作である。つまり、半分素人の作品ということだ。しかし、どちらも100万部のベストセラーなのだ。だが100万という数値は視聴率にすると*1.0%に過ぎない。

ベストセラーが映画化やドラマ化されてもヒットするとは限らないという原因はこの数値にある。

ドラマの勝敗ラインを10.0%とすると・・・100万部のベストセラーからのテレビ的合格ラインの変換は100人に一人が受けるものから10人に一人が受けるものへの変換の仕方ということになる。

この怪しい変換にはもちろん正解はない。

原作はオムニバス小説で次のような人々が登場する。

①ホームレス

②おタクとアイドル

③遊ばれる女

④ギャンブル中毒者

⑤売れない漫才師

そして映画では③が完全に割愛される。どちらかといえば脚本家の得意な分野なのに奇妙である。なんとなく近親憎悪のようなものがあるのか。

オムニバス小説をオムニバス映画とするために登場人物の関連付けが行われる。

①のホームレスは二人いるが・・・一人は④ギャンブル中毒者の父親。一人は⑤売れない漫才師のなれの果てである。

なぜか、②おタクとアイドルは独立したエピソードになっている。

この中途半端な感じが・・・脚本家の特性なのである。

やりかけてやめた・・・という感じがなんともむずがゆいのだな。

ギャンブル狂を演じるのは岡田准一で・・・ものすごいダメ男である。このダメ男がやがて再生していく予感が原作の味であるが・・・やはりダメ男であるホームレスの父親(三浦友和)との再会が着地点なのでものすごく再生していない感じが残る。

ダメな父親とダメな息子が再会しても・・・ダメなんじゃないのか・・・と暗澹とするのである。

一方、ヒロインは一人二役で・・・母と娘を宮崎あおいが演じる。

母の若い頃が娘にそっくりというのは手法としてあってもいいが・・・ものすごく中途半端な印象もおこしやすい。

売れない芸人(伊藤淳史)に一目惚れした母の足跡を弁護士となった娘が追うという趣向である。実はこの娘が映画オリジナル・キャラクターなのである。

娘はギャンブル中毒者の債務整理の相談者として主人公と出会うのだが・・・宮崎あおいと岡田准一が演じているとはいえ・・・この二人に幸せな恋の予感は一切感じないのである。

やがてギャンブラーは借金返済のためにオレオレ詐欺の手下となり・・・芸人の憧れのストリッパーであったジュピター(緒川たまき)のなれの果ての老婆に詐欺を仕掛けることになる。

亡き母への思慕を感じる主人公と夭折した息子への執着をみせるストリッパーとの電話のやりとりが泣かせどころだが・・・ファンタジー色が強くて漠然とするのである。

鬱屈したダメ男は岡田のはまり役だが・・・ものすごい傲慢なキャラクターでもあり・・・お茶の間では心から楽しめない人も多いだろう。そういう意味では劇場向きと考える他はない。

主人公とヒロインがかすかなロマンスを感じさせながら気がつくと騒音にまみれたパチンコ屋店内にいるという場面は秀逸なのだが・・・やはりお茶の間向きとは云えない。

ま・・・あくまでニュアンスの問題です。

とにかく・・・宮崎あおいの魅力も生かしきれていないし・・・おタク(塚本高史)とアイドル(平山あや)が実は初恋のカップルだったという・・・「電車男」のヴァリエーションもただそれだけである。平山あやの演じるマイナー・アイドルははまりすぎて哀愁ではなく悲壮感が漂い・・・それはそれでどうかと思うのである。

なんていうか・・・この脚本家・・・間口の狭さが・・・ネックなんだなあ。

みんな同じ話になっちゃうんだよなあ。

云いたくないけどスイーツ(死語)を極めているみたいな・・・。

宮崎あおいも本当に映画で名作に廻りあわないな・・・。富江女優の呪いか・・・。

まあ、「純情きらり」と「篤姫」があるからいいのか。後は変な歌歌っていればCMで稼げるしな。だが、もう一回くらい狂気を感じさせるほど美しい宮崎あおいを見せてほしいのである。

関連するキッドのブログ『篤姫

で、『リアル鬼ごっこ(2007年劇場公開)』(テレビ東京100607AM0245~)原作・山田悠介、脚本・監督・柴田一成を見た。「バトルロワイヤル」とならぶキング原作を半分素人がパクリで大ヒットしちゃいましたという展開である。実に羨ましいことである。映画版はこれに「ターミネーター」のテイストが加味されている。ものすごいB級映画感がうれしいのである。深夜に見る映画としては最適の一作と言える。

原作では遠未来のどこかの国という設定だが、映画版はパラレル・ワールド要素を無作為に取り入れてなんとなく不気味な世界の構築に成功している。

特に映画版のオリジナル・キャラクターと言っても過言ではない「もうひとつの別の世界の王様」(柄本明)の凶悪さは美少女度100%のヒロイン・佐藤愛(谷村)の胸に手をつっこむわ、おひざに抱っこするわ、チューしちゃおうとするわ、ベッドに縛り付けるわ、電子ビームで切断しようとするわ・・・やりたい放題である。まあ、ある意味、そこが最大の見せ場です。

この世には平行して存在するもう一つの別世界がある。そこではもう一人の別の自分がいて・・・なぜか、二つの世界では一つの命の生死が連動しているのである。

あちらの世界での自分が死ねばこちらの世界の自分も死ぬのだ。

ところが、こちらの世界では突然、全国の「佐藤さん」が連続して不審死を遂げはじめる。

毎日、何万人もの佐藤さんが死亡するのである。

それはあちらの世界で絶対王政を行う王様が「佐藤さんをターゲットとした人狩りゲーム」を始めたからだった。

もちろん、そんなことは知らないこちらの世界の不良少年・佐藤翼(石田卓也)は突然、リアル鬼ごっこ続行中のあちらの世界に転移する。

つかまれば「死」が待っている恐ろしいゲーム。

佐藤翼は逃げ足の速さで逃げ惑いつつ、あちらの世界の秘密とともに自分の出生の秘密を知る。

あちらの世界にも妹の愛(谷村美月)が存在するが、こちらの世界の愛が自閉しているのにあちらでは自由闊達な少女であり、こちらの世界の父親(吹越満)がアルコール中毒なのにあちらの世界では頑固親父である上に・・・あちらの世界には佐藤翼が存在しないのである。

翼の母親は多次元跳躍の超能力を持っていて・・・こちらの世界からあちらの世界へ渡った彼女はあちらの世界で翼を出産し・・・こちらの世界に舞い戻って家庭を作ったのである。

そして、母親の血を得たこちらの愛は自閉症である代わりに次元の壁を乗り越えてあちらの世界の愛と通信ができる超能力者であり・・・翼は母親と同じ、多次元跳躍者だったのである。

そして・・・翼の実の父親は・・・。

佐藤兄弟の超能力を狙う王様によって囚われの身となるあちらの世界の愛。

翼はこちらの世界に戻り、こちらの愛を守ることであちらの愛を守ろうとする。

しかし・・・こちらにはこちらの王様が・・・愛に猟奇的な興味を抱いていたのだった。

まあ・・・この手のシステムに馴れていないとなんのこっちゃの物語が展開していきます。

ハッピーエンドを迎えた時に・・・翼が第三の世界に飛翔するなど最後までB級色を貫いた超エンターティメント。

これは素晴らしいと云えます。

ついでに、あちらの世界の女子アナ(松本莉緒)がB級美女として格別です。

しかし、「リアル鬼ごっこ2」(2010年)の愛はキャスト・チェンジ・・・このあたりもまさにB級なのです。

くりかえしますが・・・深夜にテレビで見る映画としては最高と言える作品です・・・お前はなっ!

関連するキッドのレビュー『物呪~モノロイ~

水曜日に見る予定のテレビ『臨場』(テレビ朝日)『ERⅩⅢ』(NHK総合)『Mother』(日本テレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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コメント

すっかりご無沙汰してます。というのも今クール、国税調査官の終了と月9からの脱落で見るドラマ無くなってしまって。
さて陰日向ですが、自分的には、あり余るほどの偶然を使いながら、それが結局何も生み出してないという実に奇妙な映画でした。
ほんと宮崎あおいと麻生久美子に関しては、大好きな女優が出る映画が全く趣味に合わないというジレンマにいつも苦しんでます。(最近では、ソラニンは真剣にスクリーンに物投げたくなりましたし、ウルトラミラクルラブストーリーは、こんな映画作る金あるのに早期退職させられた日活社員を考えて涙が出ました)
ただ宮崎あおいの「ただ、君を愛してる」だけはなかなか。
映画としては駄作なんですが、いまどき「眼鏡外したら可愛い」っていうベタな脚本を、本当に実現してしまった宮崎あおいのポテンシャルは凄いと思います。

投稿: rhforever | 2010年6月23日 (水) 01時22分

おきざりにした~rhforever様、いらっしゃいませ~悲しみは

いや・・・キッドの場合、
今回は「Mother」があれば
他のドラマはなくてもいいくらいの気分でございます。

「あの夏の日-とんでろ じいちゃん」(1999)13才。
「害虫」(2001年)15才。
「EUREKA」(2002年)16才。
ここまで、大林宣彦、塩田明彦、青山真治
と少女愛の奉仕者ともいうべき監督たちが
美を搾り出して・・・その後は
そのオーラにすがった監督としか
出会っていないというのが
残念なのですな。

広末涼子・松田龍平ペアの「恋愛寫眞」と
宮崎あおい・玉木宏の「ただ、君を愛してる」は
甲乙つけがたいですが
まあ・・・軽い・・・と考えます。

麻生久美子は「回路」と「贅沢な骨」
それにドラマ「時効警察」と「転々」があるので
それを繰り返し堪能することにしています。

特に「帰ってきた時効警察・第4話」は
「しゃくなげの花」「月見そばのうた」「たべもの」を
一緒に口ずさめるようになるまで
見ます。

まあ・・・いつまでも
いつまでも
少女のように見える魔法の時間は
まもなく過ぎ去る・・・。
それは宿命で・・・
時よとまれ、君は美しいと
思わずつぶやくのが人間の哀れなのでございます。

投稿: キッド | 2010年6月23日 (水) 04時40分

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