新参者の刑事は事件を解決してもたい焼きを買えませんでした(阿部寛)
勝ち点というものは実に妙なものだ。
日本は対カメルーン戦を1-0で勝ち、対オランダ戦では0-1で敗北した。勝ち点は3+0=3で得失点差は1-1=0である。
上位2チームが決勝に進出できる予選リーグ。
勝ち点6をあげたオランダは決勝進出が決まり、勝ち点0のカメルーンは予選敗退が決まる。
最後の一枚の切符を勝ち点で並ぶ日本とデンマークが争うことになる。
デンマークは対オランダ戦で0-2と敗北を喫し、カメルーンには2-1で勝った。勝ち点は0+3=3で得失点差は2-3=-1である。
最後の試合はオランダが勝てば日本の勝ち点は3、オランダは勝ち点6となり、オランダが決勝進出。
日本が勝てば日本が勝ち点6でオランダは勝ち点3となり、日本が決勝に進む。
しかし、スコアの内容に関わらず、引き分けの場合は両者勝ち点4となり、得失点差で日本がオランダを上回る。つまり、ゼロの勝利なのである。
もしも日本VSデンマークが0-0のドローに終れば、日本はたった一点で決勝進出を果たすことになる。
勝つことを病的に嫌う日本人にとってまさに理想の展開なのである。
対デンマーク戦は日本0.5VS0オランダで試合開始の笛が吹かれる。相手に1点もやらなければ日本の勝利、1点でもやれば敗北である。
まさに専守防衛スタイルである。
・・・何、とられたらとりかえせばいいのではないか・・・ですと。
拉致被害者を取り返せない国家の国民にそんな実力を期待するのは無理なのです。
オシムの言葉を借りれば「殺し屋根性に欠けた国民性」なのですから。
憲法第9条の呪縛のもと・・・手に汗握る攻防戦は日本時間の木曜深夜というか金曜早朝に開戦するのだ。
で、『新参者・最終回』(TBSテレビ100620PM9~)原作・東野圭吾、脚本・牧野圭祐(他)、演出・山室大輔を見た。日曜劇場はファミリー向けの番組と言うよりはオヤジ向けの番組作りを基本としている。そのために「うちのホンカン」シリーズ(1975)などという名作も生み出した。そのものズバリの「オヤジぃ。」(2000年)などというものもある。オヤジの夢が若い女性との恋愛であるという・・・変質的な傾向を強めた最近では「冗談じゃない!」で織田裕二VS上野樹里、「ハタチの恋人」で明石家さんまVS長澤まさみなどというしょうもない作品を仕上げたりもしている。
その反省を生かして・・・かどうかは知らないが・・・「新参者」は父親としてのオヤジを前面に押し出している。それでも第2話ではまつ矢の主人(寺島進)と愛人(宮地真緒)の年の差カップルを登場させているし、事件の被害者(原田美枝子)の元夫である直弘(三浦友和)は実は認知していない娘だった祐理(マイコ)を愛人秘書のように見せかけていたのである。いつも言うことだが・・・これが日曜劇場の病巣であることは間違いない。
そういう意味で暗喩としての近親相姦ドラマである「パパとムスメの7日間」(2007)はあからさまでないことが成功の原因なのである。まあ、ムスメと入浴したいパパが変態的であることは仕方のないことなのである。
さて、とにかく「新参者」は「親バカ親父の物語」であった。
主人公は結婚できない刑事であるが・・・犯人は「親バカ」なのである。
途中で息子の犯した犯罪を保身のためにもみ消した上杉刑事(泉谷しげる)も登場するし、ずっと参考人としてマークされていた直弘も仕事をしてお金を稼ぐことが息子・弘毅(向井理)のためだと考える不器用な父親だったのである。
しかし、真犯人は親子二代に渡って親バカの頂点を極めたのであった。
息子に三十万円の玩具を買い与えることがかっこいいと考える岸田克哉(速水もこみち)は親バカだったが・・・同時にバカ息子でもあった。
被害者を殺害したのは克哉の父親である要作(笹野高史)だったのである。
動機は「息子が会社から横領した八千万円の穴埋めをするために、被害者名義の口座から五千万円を着服したことを隠蔽するため」だった。
恐ろしいことは・・・「親バカのしたことだから情状酌量してください」という空気がそこはかとなく流れることである。
日曜劇場の道徳観というものがどことなく歪んでいることが察せられるのだな。
そんなことで・・・殺された被害者の苦しみが救われるものか。
加賀刑事(阿部寛)は「あなたの罪をつぐなうためには嘘はおやめなさい」と諭し、かっての愛人・亜美(黒木メイサ)に上杉のバカ息子(早乙女太一)の親思いの一面を捏造させ感動した親バカ刑事である上杉を利用してバカ息子を庇う要作を自白に追い込む。
上杉「オレが庇った息子は結局・・・死んだ・・・あんたにできるのは息子に罪を償わせる道を作ってやることじゃないのか」
要作(号泣)
バカだ・・・親バカだ。
そんなことで泣かれても「撚紐(よりひも)用の独楽と組紐(くみひも)」をもらって独楽を回せなかった孫の翔太(中西龍雅)が小学校の国語の授業で「僕のお父さんは盗人、お祖父さんは人殺しです」と作文を書くことになる運命は変らないのである。・・・書くかよ・・・キッドなら書く・・・面白いものな。
とにかく・・・加賀刑事はすべての嘘を看破し、最初から手に握っていた犯人を牢獄へと解放したのである。
加賀刑事につきまとわれるより・・・刑務所の方が気楽だという考え方もあるらしい。
たい焼き屋の少女奈々(沢木ルカ)が加賀刑事の意中の人であることは言うまでもない。
奈々との短い会話を楽しむことが加賀刑事の生きがいであることをノーマルな松宮刑事(溝端淳平)は想像もしないらしい。・・・自分の変態基準を勝手にあてはめるなよっ。・・・いいじゃないか、どうせ妄想なんだから・・・。そして奈々目当てでこのドラマを見ていた人間だってきっといるんだから。だからこその最終話視聴率↗18.0%なんだから。
関連するキッドのブログ『第9話のレビュー』
火曜日に見る予定のテレビ『離婚同居』(NHK総合)『絶対零度・未解決事件特命捜査』『ジェネラル・ルージュの凱旋』(フジテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
>スコアの内容に関わらず
キッドさんの細かい説明を読んでも、分かり難っ^^;
こういうもんなのね(笑)
とにかく最低でも引き分けで!とか聞くので、そうなんだ~って。
運でもなんでもいいから頑張ってくれ~って応援してます。
あ~、言われてみればそうですね!
うんうん、オヤジ向けだわ。
それでダメな時が多いのか。
『冗談じゃない』や『ハタチの恋人』を思い出しますわぁ。。。
なるほどね~。こいう見方もキッドさん…
さすがっすねっ!
海老様は、ローマでラブラブっすねっ♪
なんのこっちゃ(笑)
最終回は、不器用な父親たちにジーンと来ましたよ。
あれだけ要らないと思ってた小嶋主任も、
初めてイイ仕事したじゃないですか~。
バカ息子も十分魅せて貰えましたし(笑)
>たい焼き屋の少女奈々(沢木ルカ)が加賀刑事の意中の人である
そうか~。それで50回も通い続けても
食べられないことに怒るでもなく、
一個ぐらい分けてくれよ~っともならず、
う~ん理解できる。
これぞ男性目線ですね。
だって、加賀は絶対にアブノーマルでしょ(笑)
投稿: mana | 2010年6月22日 (火) 11時13分
|||-_||シャンプーブロー~mana様、いらっしゃいませ~トリートメント|||-_||
勝ち点、得失点差、総得点のリーグ戦のルールは
ゲーム好きにとってはたまらない部分ですが
そうでない人は
シロクロはっきりつけんか・・・という気分になるっ!
と妄想しますな。
どんな仕事でもそうですが
スピードと正確さは反発しますからな。
正確に切れば仕事が遅いと云われ
スピードアップすれば耳をちょん切る。
あわて床屋のお粗末でございます。
ドラマ作りも
刑事の捜査も
時間との戦い。
はたして時効がなくなると
未解決事件が減るのか
増えるのか・・・
キッドは微妙だと思ったりするのですな。
夏休みに終わりがないと
夏休みの宿題が終らないみたいな。
・・・夏休みの前から夏休みの心配するな。
そしてみんなが遅刻常習犯や締め切り守れない男ではないぞ。
まあ・・・ともかく・・・オヤジたちは
怠惰な夢を見つつガムシャラに働き
亭主元気で留守がいいと言われる。
なつかしの昭和は遠くなりましたなーっ。
加賀がたい焼き屋の少女との会話を
楽しむのは
じゃりん子チエの健気さに
和む大人のたしなみですな・・・。
一部愛好家の逸脱行為のために
そういう健全な心が
病気扱いされるのは本当に困ったことでございます。
半玉時代から目をつけ
いつかは身請けして
妾にしようと金をそそぐ・・・
これこそ紳士のたしなみですのに・・・。
いつの時代の話なんだよ。
まあ、とにかく
夫を捨てて
夢を追いかけつつ
息子はかわいいという
欲張りな被害者の憐れな末路こそ・・・
オヤジたちの溜飲のさがる部分なのでは・・・
と妄想する次第・・・。
地球上の30億の男と
地球上の30億の女は
今宵も男と女のラブゲームを続けるのです。
一部同性愛者をのぞいて・・・。
投稿: キッド | 2010年6月23日 (水) 04時09分