魔王・・・そして怪物くんへ(大野智)狼少女モネ(石井萌々果)
キッド的に残念無念だったのは・・・怪子ちゃん(上戸彩)ではなかったことだ。
まあ、怪子ちゃん(ベッキー)はものすごく順当なわけだが・・・順当すぎるじゃん。
怪子ちゃん(深田恭子)とか、怪子ちゃん(沢尻エリカ)とか、怪子ちゃん(堀北真希)とか、怪子ちゃん(大政絢)とか、怪子ちゃん(蒼井優)とか、怪子ちゃん(吉高由里子)とか・・・いろいろな妄想のキャスティングが~。
・・・どんだけ怪子ちゃんが好きなんだよ。
しかし、元祖触手攻めとも言える怪子ちゃんのゴーゴン・ヘア・プレーがないなんて・・・なんてスカシなんだよっ。
で、『もう帰ってきたよ!! 怪物くん全て新作SP』(100626PM9~)原作・藤子不二雄Ⓐ、脚本・西田征史、演出・松岡昌宏(他)を見た。実写版のファースト・シリーズは怪物くんの人間界修行を通じて、一種の情操教育ドラマとなっていた。勤労や友情の大切さをコミカルでありながらかなり道徳的に教える風があり、この枠の特性的にはかなりの成功例と言えるだろう。もちろん、そのベースには藤子不二雄風の道徳観という縛りがあり、道徳としては不適切な展開もあると考える向きもあるだろうが、それはそれである。
それに対して、今回のスペシャル版はエンターティメント色の強いオムニバス版になっている。
いわば、アニメ版に準じた趣向で、短編読みきりの面白さがフィーチャーされているのである。
幼児向けの娯楽作品として素晴らしい出来ばえだったと考える。
第一話「怪子ちゃんがやって来た!」
女性恐怖症である原作者のトラウマが遺憾なく発揮されたキャラクター怪子ちゃんがついに登場である。原作の怪物くんは「わがままの権化」というキャラクターなのだが、怪子ちゃんはその怪物くんも怖れる「わがままのカリスマ」なのである。しかも、基本的には怪子ちゃんは怪物くんにベタ惚れである。愛してくれる女性を潜在的に恐怖する。この屈折した感じがたまらなくユーモラスなのは間違いない。
いかなる事情でか、怪子ちゃんのゴーゴン・ヘア・・・怒り心頭に達すると髪の毛が触手のようにウネウネと伸びて、あらゆるものを巻き締めにするという怪子のオチ術・・・を封印したままで・・・怪子ちゃんの恐ろしいキャラクターをそれなりに演じたベッキーはさすがと言わざるをえない。
ヒロシ(濱田龍臣)は失恋で傷心。「あなたの顔が嫌い」と想い人に言われたヒロシ・・・そこで怪物くんは「人間は顔じゃない」と慰めようとして「人間の顔じゃない」と言い間違えてしまう。
一方、怪物くんは「恋愛」と「主従愛」の区別がつかず、親の決めた許婚の怪子ちゃんに「オレは恋をしている」と手紙を書いたため・・・怪物ランドからは嫉妬に燃えた怪子ちゃんが登場。
ウタコ(川島海荷)を恋敵と考えて対決を迫るのであった。
ここで怪物くんが大盛りカレーライスを食べているのを見て、「どうして、怪物くんだけ大盛りなの」と疑いの眼差しを向ける怪子ちゃんにウタコは「カレーが一番好きだから」と答えると「彼が一番好きですって!」と誤解する怪子ちゃん・・・たたみかけるようなだじゃれで嫉妬である。
ここでウタコもなんとなく怪子に敵愾心を燃やし始めるところが、ウタコを高校生設定にしたドラマ・オリジナルの展開の妙になってくる。
なんとなく青春なのである。
実は怪物くんは「ウタコを男だと思っている」というまだまだ初心なオスの怪物なのであるが・・・最後は「怪物くんをどれだけ知っているクイズ」に敗北し傷心のウタコを心の崖下に突き落としかねない本心を明かそうとして「オレはウタコの男だと思っている」と言い間違えてしまう。
この表面上は愛の言葉に怪子ちゃんはたちまちうっとりとなるのだった。
なかなか、おしゃれな言葉遊び展開だった。
次回、登場の際にはゴーゴン・ヘアの特撮を絶対に見せてもらいたい・・・。
第二話「名探偵ごっこ」
怪物くんが人間界のテレビドラマ「名探偵A」にはまるという展開。劇中劇の名探偵A(エース)を演じるのは藤子不二雄Ⓐである。
ウタコの大事なトロフィーを壊したのは誰か・・・を解明する推理劇。
はずされた窓枠・・・壁に残った血・・・メッセージの消えたオムライス・・・荒らされた室内・・・様々な謎を名探偵怪物くんが迷推理で解き明かす。お供の怪物たちはそれぞれに証言をするが・・・すべての真実はビデオカメラに収められていたという趣向。
フランケン(チェ・ホンマン)、オオカミ男(上島竜平)、ドラキュラ(八嶋智人)たちの姑息な嘘がしょうもなくかわいいわけである。
もちろん・・・真犯人は・・・そうとは知らない怪物くんだったというオチまでピタリと決まっている。
第三話「狼男が娘に出世したと嘘をつく話」
身内に出世をしたと嘘の手紙を出し、訪問する身内のために周囲を巻き込んで嘘に嘘を重ねる・・・定番の人情話である。
狼男は愛娘の狼少女モネ(石井萌々果)に「怪物王子からキャプテンと呼ばれるまでに出世した」と嘘をつく。モネが人間界にやってきたために・・・狼男は怪物くんたちに話を合わせてくれるように頼み込む。
まあ、この話は基本的にはやってくるのは母親で・・・すべてお見通しというのが決まりなのだが、やって来たのが娘というのがミソである。
とにかく・・・口元狼フェイスの石井萌々果が超かわいいのである。獣人愛趣味の諸君は一発昇天なのである。
それはそれとして散々に居丈高にえばり散らした狼男に対して「そんなお父さんはこわい」と泣き出すモネ。
狼男反省オチである。辛抱しきれずこっそりと手をハンマーに変えていた怪物くんもモネのかわいさに免じて狼男を赦免するのだった。
まあ・・・結局はコント仕立てになるわけだが・・・原作はそこそこ数があるわけで・・・こういうオムニバス形式でシリーズ展開するのも一興である。
とにかく、大野智演じる怪物くんは奇妙な味があることは間違いないだろう。
怪物くんは本来、不気味でかわいいキャラクターなのである。
それを大野智はある意味、完璧に体現しているのだ。
まあ・・・レギュラーにすると視聴率的に苦戦した「実写版・ちびまる子ちゃん」の二の舞になる可能性があるので時々スペシャルが無難でしょうけどねーっ。
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ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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