生徒のための生徒会、生徒会のための生徒ですよヤンキー君(仲里依紗)メガネちゃんじゃねーっ(成宮寛貴)
一人は全員のために。全員は一人のために。
チームと個人の関係を示す名言である。キッドは映画「三銃士」だったか「四銃士」だったかで耳にした印象がある。
人類はチームを作ることでマンモスも絶滅させたし、空を飛べないくせに月に足跡を残した。
日本は和の国を名乗るようにこのシステムについてはある意味、熟練してきた。
そのためについには世界を相手に戦争をするまでになるのだが、その戦争の敗戦後、内外ともに和の力によって日本が強くなり過ぎないように工夫が凝らされてきた経緯がある。
たとえば・・・日本の人々は「忠臣蔵」が大好きなのである。家臣団というチームが敵討ちをするという物語である。そのために米国を中心とした連合軍の日本占領司令部はある時期まで「忠臣蔵」を禁止したりもしたのである。
その工夫のためにたとえば・・・「国家のための国民、国民のための国家」などというと危険人物扱いされる時代もあった。国民のための国家はあってもいいが、国家のための国民はあってはいけない・・・というのが正論とされたのである。
そんな馬鹿な話はないのである。一人のための全員だけがよくて全員のための一人がダメではチーム・ワークは成り立たない。
だから、沖縄県民が反対しているから沖縄県には米軍基地は作れないというおかしな主張がまかり通る。
沖縄県が日本国の一部である以上、日本国民の過半数が賛成ならば沖縄県には米軍基地は作れるに決まっているのが民主主義というものだ。
それに納得が出来ないのであれば、沖縄県は日本から独立すればいいのである。
もちろん、独立戦争となり、沖縄は火の海になるのである。
しかし、そんな馬鹿なことは・・・おそらくおきないであろう。沖縄県民は成人式に暴走しようがしまいが良識ある日本の国民だからである。
では、問題点はどこにあるのか。それはたとえば、軍組織というものの有毒性という偏見に要因がある。
沖縄に米軍基地があってそこに戦場では戦争をする職業の人々が集結している。彼らは戦場では殺し合いという非日常的な営みをするために、「殺人」が基本的に罪である日常で非合法活動を起こしやすい・・・という考え方がある。米兵が少女強姦だの自動車暴走だのと言う事件を起こす度にそれはすべて「日本国内に外国軍が駐留していること」が原因だと騒がれるのである。
しかし、日本の民間人が秋葉原で無差別に人を殺傷する事件がある以上、そういうことは軍民だろうが市民だろうがやるときはやるのである。
そして、そんな脅威とは比べ物にならない凶悪な事件を抑止するために日米同盟があり、沖縄には必要に応じた軍の配置がなされているのだ。
そういう前提を学校で義務教育できない・・・というのがまた・・・日本を抑圧するシステムの効果なのである。
なぜ・・・そうなるのか・・・経験で知っている人々は残り少ない。
人々はまるで平和が血を流さずに獲得できるものと誤解したまま、成人し、武力は悪、武人は悪人という洗脳によって間違った方向へ歩を進めている。
そういう人々は・・・もし戦争が起こった場合、日本を守るために戦った人々に石を投げる可能性がある。
現実に、自衛隊が違憲であるなどと唱える愚者は実在するわけである。
ベスト16に進出したサッカー日本代表に「他国に勝つなんてなんてひどいことをするんだ」と言う人はちょっと変わった人だと思うが・・・こと、武力にまつわる話となると日本人の心はゆらぐのである。
日本国民のための自衛隊員はOKだが、自衛隊員のための日本国民はNG・・・そんな寝言ではチーム・ワークは成立しない。
少なくとも・・・花と花の仲間たちはチーム・ワークの神髄と祖国防衛の意義を明らかにするのである。
・・・スタッフはきっとそういうドラマを作ってるつもりはないと思うぞ。
で、『ヤンキー君とメガネちゃん・最終回(全十話)』(TBSテレビ100625PM10~)原作・吉河美希、脚本・永田優子、演出・髙成麻畝子を見た。クライマックスで花(仲)の見事なバイオレンス・アクションがあるのだが・・・見事な演出だった。これを毎回見せるドラマではなかったのがちょっと残念な感じである。しかし、暴力を捨てて平和の道を歩く花が戦後日本のシンボルである以上、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍んだ花が最後の最後で爆発するという趣向は実に和の風味を感じさせて素晴らしいのである。
北朝鮮や中国の領海侵犯に我慢に我慢を重ねた日本が拉致事件発覚後、見事に北朝鮮工作船を撃沈し、事実の発覚を忌避する中国の反対に屈せず、証拠の工作船を引き上げる国家として当然の毅然とした態度をとったような爽快感があったもんね。
かっては阿修羅のように荒れ狂ったハリケーン・アダ(花)は祖父の優しさに包まれて穏やかに暮らすことに幸せを見出し、紋白高校の生徒会長として平和な日々を送っていた。
そこへかっての花にこてんぱんにやられたことを怨み、復讐に燃える長崎(古川雄大)が現れる。長崎は喧嘩に負けた腹立たしさ以上に、花が修羅場を忘れ平和に暮らすことを妬ましく感じ、因縁をつけずにはいられないのだった。
「昔、オレをあんなにひどい目にあわせたくせに高度成長して豊かに暮らすなんてあってはならないことだ」と憤怒に燃える長崎とその一派だった。
彼らが紋白学園を襲撃した時、花のすべてを知り、花によって平和のありがたさを知った大地(成宮)は・・・恩人の花を守るために自らを犠牲にして長崎たちが売る喧嘩を買い停学処分になるのだった。
すべては「ヤンキーだった過去を隠す花の秘密を守るため」なのである。
元ヤンキーではない元ひきこもりの千葉(小柳友)を除く、生徒会役員一同は大地の男気に萌えるのだった。
しかし、事情を知らない紋白高校の生徒たちは自衛活動と侵略戦争の区別はなく戦争には絶対反対なのである。
そのために大地の退学処分に反対する署名活動は進捗しない。
責任を感じた花は落とし前をつけるために長崎の元へ向かおうとするが、和泉(本郷奏多)はそれを制止する。
「大地は・・・会長を守るために殉じたんでさ・・・その意をないがしろにしないでおくんなさい」
花は唇を噛みしめるのであった。
大人しく謹慎生活を続ける大地の元へは千葉や練馬(鈴木亮平)などが激励にやってくる。しかし、大地はなすべきことをなした武人として潔く裁きを受ける覚悟ができていた。
ひそかに大地に心を寄せる凛風(川口春奈)は「仇討ちするならお供します」と申し出るが花は「あの人が私のためにしてくれたこと・・・無駄にはできない」と取り合わない。
しかし、和泉の旧友・香川(染谷将太)が人質にとられたために和泉が長崎との乱闘事件を引き起こし・・・生徒会の二人の副会長がそろって停学処分という不祥事に発展するのだった。
和泉「すまん・・・オレも停学に・・・」
大地「いちいち・・・報告すんなよ」
ついに堪忍袋の緒が切れた花は・・・決着をつけることを決意する。
退学届けとともに大地にラブレターを届ける花。
「いつもありがとう」・・・花の泣かせる文字に大地は花の決意を知る。
あわてて高校にかけつける花だったが・・・すでに花は校内放送で告白を終えていた。
「すべての原因は私にあります。私が元ヤンだったことがいけないのです。そんな私の過去を隠すために品川くんや和泉くんは犠牲になったのです。今の私が私なら昔の私も私・・・昔の行いが今を作るというのなら私はすべての責任を・・・」
そこへお約束で襲来する長崎軍団。
「ハリケーン・アダ・・・勝負を逃げても無駄なんだよ」
「受けてたってやる・・・でも金輪際うらみっこなしだよ」
圧倒的な実力差で雑魚たちを瞬殺する花。
長崎の必殺の一撃を息一つ乱さずに交わすと一撃で長崎に高速道路の支柱に人型をくりぬかせた上で、その体を冥王星の軌道まで射出するのだった。
・・・普通、長崎は死ぬよな。
覚悟を決めて教室に戻る花を笑顔で迎える千葉と凛風。
「会長・・・みんな品川くんたちのために署名してくれたよ」
クラスメートたちは口々に言う。
「品川くんや和泉くんは仲間を守るために戦ったんでしょ」
「私たちも仲間のために何かするのは当然よね」
・・・もちろん、花の実力を目の前で見た以上、逆らったら何をされるかわからないとクラスメートたちが考えたと邪推することもできるが・・・ここはみんなのための自分、自分のためのみんなという和の心がクラスに宿ったと心が温かくなるのが真の日本人の道なのである。
花と大地は仲間たちの暖かい心に触れ・・・ついに本当の居場所にたどり着いたのだった。
「花・・・もうありのままの自分でいいんじゃないのかな」
祖父(伊東四朗)の言葉に従い・・・メガネと三つ編みの偽装を解く花。
翌朝・・・大地は憧れのシャープペンの君を発見し、胸がときめく。
大地「は、はじめて会った時からずーっと好きでした。な、名前教えてください」
花「足立花に決まってるじゃありませんかー」
大地「えーっ・・・」
凛風「それで花さんはどうなんです・・・」
花「さー・・・・どうなんでしょうねえ?」
こうして、俺たちの学園ラブ・コメディーは始まったばかりだハッピーエンドの鐘が鳴り響くのだった。
花をお姫様抱っこした大地はマジ重かったらしい。
義務教育向けの道徳教育番組に是非推奨したいドラマです。
関連するキッドのブログ『第9話のレビュー』
日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)『荒川アンダー ザ ブリッジ』(テレビ東京)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
スポーツで
ALL FOR ONE, ONE FOR ALL
の精神が正当化(賛美)されても、
政治では
日本国民のための自衛隊員、自衛隊員のための日本国民
の考えは危険扱いされる矛盾・・・。
鋭い指摘だと思います。
海外派兵等で常時危険にさらせれているにもかかわらず、自衛隊員にねぎらいの言葉すら掛けないばかりか違憲だと喚く・・・そんな人がむしろ「危険」視されないのって、何だか不思議です。
give&giveの関係だと思わずに、何もせずともgiveできる―という確信があるのでしょうね。
投稿: inno-can | 2010年6月27日 (日) 01時36分
局地的な政治の不安定が
どういう状況を招くか・・・
ということを人々は
深く認識しないといけない季節です。
特に中国の西や南で
そういう状況が何故起きているのかを
分析する必要がございます。
最近まで中国は
朝鮮戦争を米韓による侵略戦争と
主張してきましが
ようやく、侵攻を開始したのが
北朝鮮軍だと認める声明を政府筋が
コメントしました。
「中国はけして他国を侵さない」
というのがいかに危うい約束であるか・・・
ということでございます。
中距離弾道ミサイルでは
すでに中国は西太平洋を
射程圏にしている。
そういう中で沖縄周辺を防衛するのは
危ういバランスの上で成り立つ
政治的な駆け引き。
日本はシーレーンの海賊退治に
自衛隊出動というカードを準備中ですが
そういう任務に借り出される人々への
感謝の気持ちを失えば
国防そのものが揺らぎます。
国防が揺るげば
国家が揺らぎ
国家が揺らげば
国民が生命財産の危機に瀕する。
軍艦を撃沈された韓国が
北朝鮮に対して低姿勢を示す・・・
それが武というものの真実の姿です。
国に命を奉げるなんて無意味だと言う人は
基本的に人生も無意味であると
言う可能性がある。
キッドはそう考えます。
投稿: キッド | 2010年6月27日 (日) 11時39分
キッドさん、こんばんは~♪♪
蒸し暑い部屋で蒸し暑さに耐えていると
鼻がつまってくるのは何故でしょうか。
異常なほどの湿度が鼻の粘膜までにも水分を?
むしむしと生温かい季節は、辛い。
家族といえど、成人を過ぎて知り合った他人同士。
体感温度が異なり・・・
蒸し暑い昼に「除湿の弱で27度」がベストな人もいれば、
「冷房の強で25度」がベストな人もいる。
後者のほうが「夏に風邪ひくバカ」に近く、
もちろんヤマトは後者で、
だからなんていうか結論から言うと、
すごく平和な状態での大地と花みたいに
低レベルな言い争いが勃発するのです。
日本人・・・一致団結。和の心。しばわんこ和の心。
あうんの呼吸・・・思いやり・・・大多数は思いやる心に賛同。
良かったですね。心温まりました。
良いクラスですね。きっと皆が大人になっても
「あのクラスは楽しいクラスだった」
「ヤンキーや元ヤンキーがやたらいたけど楽しかった」と
忘れずに宝石のような想い出となるのでしょう。
個人的に、何故か毎回凜風に惹かれてしまった。
可愛いですね。こんな妹いたら可愛がります。
ちょっと恐かったりもしそうですがね。
竹刀痛いからやめて~殴らないで~とかって。
毎回綺麗にまとまっていた感じがします。
特に最終回は丁寧に丁寧に作られていたと思う。
スペシャルとか映画化とかまでになるかは謎ですが、
個人的にとても好きなドラマでした。
投稿: ヤマト | 2010年7月 3日 (土) 00時20分
お腹が大きいと暑さ倍増でございますね。
どうぞ、なるべく快適にお過ごしください。
適温を知るのは難しいですが
冷やしすぎは万病の元ですからな。
体調を気遣ってのことかもしれませんぞ~。
プラス思考でどうぞ~。
親子と言えども
体質は違いますからな。
隔世遺伝もあるし。
キッドは母親にも父親にも顔がよく似た子供でしたが
虚弱体質はまったく「誰に似たのやら」
特に消化器系が
両親そろって丈夫だったのに
小学生で十二指腸潰瘍になる始末。
食あたりは日常的。
つまり、親はくさったものを食べても
ピンピンしているのに
キッドは七転八倒するのですな。
父親は「根性が足りないから腹をこわす」
母親は「この子は気が弱いから・・・」
が口癖でした。
ちがう・・・腐ったもの食べても平気な
あんたらが異常なんだ・・・と
唇を噛みしめる日々でした。
二人は今でも賞味期限とかを
一切気にせずに長寿を保っておりまする。
人間、お腹が強いものの勝ちですな。
まあ、親と子の意志の疎通は難しい・・・
原作では凛風は実は超のつくお嬢様ですので
未だに良妻賢母的な自我しか持ってないのですな。
親に反発してヤンキーになっているのに
根は夢見る乙女というのは
少女漫画の定番中の定番ですけれどもーっ。
花の場合・・・大地とは
「ずっと一緒にいたい」とある意味
プロポーズ宣言をしているわけですが
自分の作り上げたイメージ優先で
本人目の前にしても気がつかない大地って
ある意味、うかつな人間なのかもしれません。
名も知れぬレギュラーで一本作ったりとか
キャスティングもかなり地味目な
このドラマが
結構いい数字を維持できたのは
なんとなくのほほんを作る姿勢が
正されていたからだと思うのですな。
素晴らしい生き方ってこういうことじゃないの・・・
そんなメッセージがこめられていたように
考えます。
ま、基本的に人間がコンクリートぶちぬく時点で
御伽噺なのですけれども~。
投稿: キッド | 2010年7月 3日 (土) 18時19分