君の唇は100万ボルト地元に降りた最後のズベ公(長瀬智也)基本不良少女と呼ばれて(戸田恵梨香)
さあ、いよいよ・・・「うぬぼれ刑事」→「熱海の捜査官」→「モテキ」という金曜日の悪夢(一部地域を除く)がそろい踏みである。
東京は一日の休憩を挟んでこれから一週間猛暑再開なのである。
とにかく、円周率が3とかじいさんばあさん、女子供を完全に拒絶した三本立てである。
どんだけ間口せまいんだよ。しかも「熱海」と「モテキ」は終了開始が3分かぶるという不親切設計。
もう、池袋文芸座で「ダスティ・ホフマン特集」を見てから池袋文芸地下で「ゴジラ特集」を見るような感じか?
そのたとえはどうかな。
まあ、とりあえず、今回は「ゲスト・戸田恵梨香」である意味、メイン・ディシュだよな。
つまり、前菜・加藤あい、スープ・蒼井優、魚料理・樋口可南子で肉料理・戸田ってことか。
まあ・・・おいしくいただきましたがーっ。
じゃ、来週、薬師丸ひろ子はデザートですかーっ。
っていうか・・・この強力な流れで押し流されていく「サイバラ物語」恨ミシュラン秘話を匂わせたんだな。
おそらく・・・レビュー体制は・・・
(土)「うぬぼれ刑事」
(日)「熱海の捜査官」
(月)「龍馬伝」
(火)「夏虹」
(水)「モテキ」その他
・・・という感じになりまする。まあ・・・暑いのですべて軽い妄想になる模様でございます。
よろしくおつきあいください。
で、『うぬぼれ刑事・地元流(第4回)』(TBSテレビ100730PM10~)脚本・宮藤官九郎、演出・土井裕泰を見た。ジブリ祭りが終ったところで始まる踊る祭り・・・このワクが人並みの幸せを得る日は遠いわけだが・・・こういう時こそ、戸田恵梨香の起爆力が問われるところだな。だが、まあ、視聴率はともかく・・・内容的にはさすがの存在感である。この役をこなす他の女優がいるか・・・おそらくいないのである。
阪神タイガース愛の刺青を腰に彫った女・羽柴祐子(戸田恵梨香)が多摩川河川敷で遺体となって発見される。高校時代は真面目で成績も良く、近所の人が道で会えば必ず挨拶をする評判のいい子だった祐子。
しかし、発見された遺体は死後に激しい暴行を受け無惨にも顔を潰されていた。
その被害者の写真を一目見た・・・うぬぼれ(長瀬)はたちまち恋に落ちるのだった。
ついに加害者ではなく被害者・・・しかも遺体にまで欲情するようになったうぬぼれは自分の変態性欲に呆れ果てるのだが、祐子が夢の中で純情可憐な女子高校生となり、飲みかけのジュースをくれたり、キュートなキス顔で迫るので身も心も祐子一筋に染まるのである。
遺族である祐子の母親・サチ江(伊藤かずえ)の前で被害者に焼香をするうぬぼれは泣き崩れる。
「あの・・・生前・・・あの子がお世話になったのでしょうか・・・」
「一面識もありません・・・うえ~ん」
ついこの間、絶対泣かない世界で意地悪な総合商社夫人をやっていたのに今回はいかにも所沢の不良少女の成れの果ての不良の中年女を演じる伊藤かずえ、ちょっとウエイトが気になるぞ、松坂慶子を目指すのか。
とにかく、演技力は抜群だ。
なぜ、少女は悪に染まっていったのか。祐子の場合は母の再婚が原因だった。
「祐子の高校の2年先輩で22才年下の彼と再婚なんかするから・・・あの子」
絶句するうぬぼれだった。その再婚相手は借金を作った上、行方知らずだという。
世田谷通り警察署は埼玉県警と協力し、所沢の地元のヤンキーたちの交友関係を調べ上げるのだった。所沢の闇は深く、ある意味、全員がなんらかの犯罪に関係しているといっても過言ではない勢いである。
次から次へと浮上する前科もの、マルチ商法関係者、組織暴力団構成員たちは結局、実家の居酒屋を手伝うことに落ち着くのが所沢の市民性なのである。
なにしろ・・・都心までは遠いのである。
捜査が着々と進展している頃、カメラマン・アナーキー(矢作兼)は都内某所のガソリン・スタンド店員・昭島ユリ(戸田)に一目惚れをしていたのだった。お茶の間はユリが遺体である祐子にそっくりなことと所沢出身であることから事件の全貌を直感するのであるが、アナーキーは鎌倉の花火や伊豆半島までドライブに行った後で、ユリの地元の付き合いに翻弄され、ヤンキーのパシリにされてもなお気がつかないというのが悲しい男心の表現であることは言うまでもない。
やがて・・・アナーキーのプロポーズに対して「ケジメが必要だ」というユリ。そのケジメとは浜名先輩(伊達みきお・サンドウィッチマン)に「キャッシュで100万円上納すること」だった。
「そんなお金は用意できません・・・」というアナーキーに「馬鹿野郎、ユリは妊娠十週目なんだよ・・・人の女孕ませといてタダですむと思うなよ」と所沢ヤンキー軍団。
「そんな・・・指一本ふれてないのに・・・」とアナーキーはようやく、それが所沢名物のGS店員に一目惚れしたら美人局祭りだと気がつくのであった。
一方、死体の刺青が阪神タイガースではなくて、浜名友和のイニシャルTHだと気がついたうぬぼれは・・・サチ江が保険金を半額受け取った・・・ただし年下夫が持ち逃げ・・・事実から事件の真相「遺体を偽装した保険金殺人で浜名友和の愛人で養子の浜名祐子は生きており、殺されたのは浜名の妻・昭島ユリ」に辿りつくのだった。
アナーキーが囚われた所沢のヤンキーの巣窟に地元なので一端、ホワイト・スーツに着替えてかけつけたうぬぼれ・・・。
「生きていてよかった・・・あなたの唇に惚れました・・・結婚してください」
「無理です・・・だって浜名先輩が好きだから・・・」
浜名は本妻ユリが殺そうとした愛人祐子を愛していたために本妻ユリを殺していたのである。
「じゃ・・・せめてキスしてください」
「ちょっと待った・・・」暴走気味のうぬぼれを体当たりで阻止するアナーキー。
祐子は地元でもないのに祐子に純情を奉げたアナーキーにキスを贈るのだった。
たちまち、乱入する刑事たち・・・。
「そんな・・・」
「私・・・生まれ変わって・・・いい子になるよ」
またしても・・・うぬぼれは恋心ではなく・・・欲しくもない犯人の改心を手に入れるのだった。
そんな・・・うぬぼれをうぬぼれ4が讃えるヘイヘイヘイの歌が世田谷通りの夜にこだまするのである。
いやあ・・・戸田恵梨香・・・こういう役をやらせたら・・・右に出るものいないな。
そして多くの男たちは矢作兼をうらやましく思うことなんていかにもありえなさそうなのにあるっちゃああるこの世の意外性を経験するのだった。
関連するキッドのブログ『第3話のレビュー』
日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)『多部未華子のGM・踊れドクター』(TBSテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
>とにかく、円周率が3とかじいさんばあさん、女子供を完全に拒絶した三本立てである。
ゆとり世代、高齢者、女性を除くと・・・。
働き盛りの男たち。こういうピンポイントターゲットがすばらしく。やっぱりクドカンは猛者ですねえ。
長瀬の妄想キスシーン・・・どーしてそんなに可愛いの!と欽ちゃん張りに言いたくなっちゃいました。かなり細かいことですが、保健室のくだりで戸田が飲むのが「瓶ジュース」だったところに、美術スタッフさんのこだわりを垣間見ました。昭和風の体でやってるわけですから、やっぱり瓶じゃなくちゃね、と(笑)。
中島美嘉のスケバン姿も決まっていて(タイトルの「不良少女と呼ばれて」・・・懐かしい作品ですね)、トリックもばっちり。ドラマを毎週楽しみに見るなんて、結構久々かもしれません。
投稿: inno-can | 2010年7月31日 (土) 16時24分
もっともドラマを見なさそうな世代に
絞ってどうするって話でございますよね。
そういう意味でもクドカン最高!でございます。
純情可憐な天使から
生まれついての小悪魔まで
華麗に演じ分けることができる
唯一の若手女優・・・それが戸田恵梨香。
その魅力をあますところなく伝える
会心の一撃でしたな。
中島美嘉のしらばっくれた感じも
夢と現実両方でそつなく提示。
この辺りも書き手と演者の阿吽の呼吸を感じます。
まあ、もう・・・楽しめる人だけが
楽しんじゃって・・・というこの感じ。
極楽です。極楽でございます。
投稿: キッド | 2010年7月31日 (土) 18時33分