負け組になったら土下座してわびるのよ(吉田里琴)あんたかっこいいわ(八木優希)
短期決戦をそつなくまとめる痛くもかゆくもないルーティン・ワーク・ドラマ。
こんなぬるま湯を書いてて本当に楽しいのか・・・疑問だが。
仕事ですから・・・と言われればその通り。
まあ・・・このメンバーで趣味に走ったドラマを書かれてもそれはそれでおそろしいことになる可能性はありました。
で、『ハガネの女・最終回(全7話)』(テレビ朝日100702PM1115~)原作・深谷かほる、脚本・大石哲也、演出・唐木希浩を見た。数々の問題児、数々の問題保護者、数々の問題教育委員を抱えた物語。つまり、主人公は概ね正しい。そして、先生仲間は基本的に善人ぞろい。ある意味、日教組万歳ドラマに仕上がっている。問題のある教師だっているだろうがな。
しかし、そんなことを言い出せばたちまちモンスターになるのである。
キッドは職業以外に趣味を持っている人生に対して否定的であるが、たとえば太極拳に夢中になっている外科医とかに手術されることに不安を覚えるタイプである。
昔、親戚の人々に「あんたのように誰もが自分の好きに生きているわけではない」とお説教されたことがあるが、その時、「好きに生きるか生きないかは人それぞれの勝手であるが、好きに生きない人生を選択しているのはあなたの選択の結果にすぎず、それはある意味、人はみな好き勝手に生きている証ではないのか」と問い質したキッドは充分に憎まれる素質を持った小学生だったと考える。
まあ、とにかく、「自分で望まぬ人生を生きている自己憐憫ほど哀れなものはない」という信念は今も崩れない。
そういう意味で・・・最後まで自分を曲げない弱肉強食肯定主義者・4年3組生徒の菊田真理衣(吉田)は天晴れな存在感なのである。「駒野お前は悪くない」という美しさもあってもいいが「駒野のせいでベスト8を逃した・・・一本も止められない川島も最悪だ」というどす黒い主張もあってもいいと思う。慰めよりムチが好きな人だっているんだからーっ。キーッである。・・・いい加減にしておけよ。
その母親(荻野目慶子)は夫の会社の倒産ショックで入院しているのであり、まさに荻野目を吉田が越えた一瞬である。・・・だからドラマだよ。
一方、ウサギ殺しのれもん(柴田杏花)、一人成長早いホットマンせり(日向ななみ)、継母問題に悩む美奈(八木優希)、恋愛依存症の母親を苦に自殺未遂の愛梨(大橋のぞみ)と天才少女子役たちは最後はみんな良い子になってしまうのである。
まさに教師絶対万能論の臭いがします。
教育が趣味の教師・・・これだけはなぜか、信用できない気がするのである。
広い視野をもって教育現場に還元していく・・・それがある程度要求されるのが教育というものだからだ。
しかし、教育がすべての教師は悪くない。
人が人に教えるということは全身全霊をもってとりくむ大事業だからである。
それにしても、憲法が戦勝国主導による不合理なものである以上、一刻も早い改正が必要であると同じように、教育委員会という不可思議なシステムも戦勝国占領軍の主導で誕生したことを忘れてはいけない。
教育委員会と教育委員会事務局の解体も緊急を要する政治的課題であることは間違いない。
戦場で人を殺害することは戦勝国に限って合法、教育現場で情報の収集・蓄積・処理の基本を教える教育者の養成に対する無理解・・・こうした国家戦略の根幹を揺るがす不自然な状態は一刻も早く改善する必要がある。
なにしろ、世界は日本を悪さができないように懲らしめのために縛っておきながら、そのことをすでに忘れかけているのである。
今、自ら呪縛を解かなければ、人々はいつまでも縄にがんじがらめのまま不自由に生きていかなければならないのだ・・・もちろん、緊縛趣味の人の徹底的な反対は断固、粉砕する必要がある。もちろん、彼らは断固粉砕に歓喜するので問題はないのである。
お坊ちゃま教師・塩田(要潤)を争った芳賀稲子(吉瀬美智子)と愛梨の母親(横山めぐみ)は仲直りの酒宴を催す。
この時、どちらがどちらかよくわからない状態は・・・ある意味、二人の女優の限界を示しているし、愛梨の母親と塩田が何もなかったというオチは・・・このお茶の間向けドラマの限界を示す指標である。・・・なわけないだろうが。
最後はクラスが一丸となり、解任の噂の出た稲子に対し「先生やめないで」の大合唱である。
そんな風にまとまることにものすごく嫌悪感を憶える人にキッドはひそかに共感しつつ、こう囁くのである。
「黙っておけばいい・・・嵐はやがて過ぎ去るから」
最後に演説を決めるのはマナ(有村架純)である。「人生に勝ち組も負け組もない・・・あるのは今が幸せかどうか・・・それだけです」と語る十七歳。これから数多くのライバルを倒し、勝ち残っていく女優の道レースにエントリー。ますまずの好スタートをきったと言えるだろう。どうか・・・これで終わりませんように。
基本的にこのドラマの根底に流れているのはある種の敗者の戯言のようなものでもありますから。
関連するキッドのブログ『第1回のレビュー』
月曜日に見る予定のテレビ『月の恋人』(フジテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
じいやさま、こんばんわ♪
春期もお疲れさまで御座いました。
まだ終わっていないドラマもあるらしいですが、
あれに関してはもう基本的に捨て。。。なんで。。。
くうの心は、すでにオダジョと堺さまが恋しい夏期でございます(*^^*)
「ハガネ」は回を追う毎にNHK教育テレビでも放映できそうな
甘い感じのドラマになっていきましたが、まぁ。。。
子役さんたちの凄すぎるパワーに押されて最後まで
楽しく見てしまいました^^
誰が負け組だろうと、吉田里琴ちゃんは間違いなく
勝ち組だと思った次第でございます。
それよりも、昨夜じいやさまのブログを携帯から覗いて
「新耳袋」を見逃した痛い自分に泣きたいです。。。(; ;)
全然知らなかったな。
ここでもう、負け組の気分いっぱいです。
では、夏期もよろしくお願い致します(*^^*)
投稿: くう | 2010年7月 4日 (日) 18時37分
❀❀❀☥❀❀❀~くう様、いらっしゃいませ~❀❀❀☥❀❀❀
東京はすでに真夏に突入して一週間・・・。
梅雨はどこにいったのだ・・・状態でございます。
朝から晩までサウナに入っているような日々です。
それなのに春ドラマ最後の一本は
最終回二時間超ですからな。
どれだけ変則なんだー・・・でございます。
堺様はともかく、オダジョは
期待が膨らみますなーっ。
もしも真面目なドラマだったら
どうしよう・・・といらぬ不安まで
感じるほどですぞーっ。
心行くまで脱力したいですからな。
「ハガネ」はまあ、けして冒険しない
おっさん脚本家が
丁寧にまとめた良作・・・という感じでした。
このメンバーでやりぬいたら
「Mother」も「女王の教室」も
真っ青の問題作も可だったと思いますが
なんとなく男が描いたレディス・コミックといった
仕上がりです。
三角関係は削るか、よりハードに仕立てるか
してもらいたいのに
よりによってほのぼのでまとめるとは・・・。
どんだけビビリなんだよ・・・でございます。
しかし、三年間を一学期でまとめあげた
構成力はなかなかなのですな。
プロとしてはそつがなくて立派でした。
まあ・・・いろいろ妙な点も多いけれど
子役たちの実力でしのぎましたなあ・・・。
吉田里琴は難役ばかりやらされて・・・
ちょっと厳しい感じがしますな。
今回の真理衣の清々しさだって・・・
わからない人にはわからない手のものだし・・・。
「新耳袋」は今週もおそらく
その2がありますぞ・・・。
とりあえず関東ローカルではーっ。
体調管理の難しい季節、どうかご自愛くださりますように。
投稿: キッド | 2010年7月 5日 (月) 03時09分