ああ、痛い、あ~いたい、逢いたい(長瀬智也)送ってくうださい(蒼井優)
永遠の世界で一番普通の女の子(蒼井優)でもよかったのだが、主人公とヒロイン(ゲスト)のタイトルは貴重だからな。
なにしろ・・・この世の基本は会話なのだ。
「逢いたい」と思っているとひょっこりと現れて手を差し出されて「送ってく~ださい」なんて言われたらいつ死んでも悔いはない気持ちになるのである。
先週から今週にかけてつかこうへいが存在しなくなってしまった現世でクドカンはより、その貴重さを高めているのである。
それは寺山修司が消えて野田秀樹が輝きを増したように・・・星々の栄枯盛衰の運命なのである。
惚れて惚れて惚れぬいた女が他人の腕の中に抱かれていることを思い浮かべたときの心の深淵を面白おかしく描く・・・そういうことは誰にでもできるものではないのだ。
キッドなんてそれを考えるだけで目の前真っ暗になって何もできなくなってしまうもん。・・・お前、誰だよっ。
とにかく、うぬぼれ刑事は有料でも見たいドラマの領域に達している。(注意・NHKレベルという意味ではありません・・・単にお金を払ってでもみたいという比喩です)・・・もちろん、有料だったら見るとは限らないが。
だってお金が好きな自分が好きなんだもん・・・だから、お前誰なんだよ。
ああ、とにかく、今、キッドの頭の中は「送ってくぅぅぅぅださい、くぅださい、くぅださい・・・」でいっぱいなのである。
この調子で「振り込んでくぅださい」と言われたら振り込んじゃうもん。・・・お、お前・・・もういいか。
で、『うぬぼれ刑事・癒し系・第2回』(TBSテレビ100716PM10~)脚本・演出・宮藤官九郎を見た。「うぬぼれ刑事・初恋篇」に続いて「うぬぼれ刑事・癒し系」・・・もうすでにこのサブ・タイトルだけでも金を払う価値を感じるわけである・・・それは心にもないだろう。とにかく、金と心がイコールであるという発想がすでにクドカン。いじましいな。心から愛した女・里恵(中島美嘉)は同僚・冴木刑事(荒川良々)の妻となり、身も心も奉げたかった女・恵里子(加藤あい)を殺人犯として泣く泣く逮捕してしまったうぬぼれ刑事(長瀬)は失意と傷心のどん底で背中を丸めて歩いていた。
ふと・・・足を踏み入れたマッサージ店「手には手を」でふたたびうぬぼれの心が燃え上がる。つつましく、控え目で、しとやかなマッサージ屋さんの小沼せつ子(蒼井)の「手」が・・・うぬぼれの冷えた心に着火するのである。
ここからは、しばらく、「タイガー&ドラゴン」でお馴染み、ミイラ取りが連続ミイラになる事件である。100人の男がいたら100人が「好きになっちゃうよ」的魅力の表現である。沢田メグミ(伊東美咲)が魔女っ子メグちゃんなら・・・小沼せつ子は稀代の悪女・癒し系なのである。たちまちマッサージャー小沼さんの虜囚となるうぬぼれ5プラス毒舌筆談ホステス「私は私」のママ玲子(森下)。「チンチ・・・」ではなく「オマ・・・」濡れちゃったのか。・・・おい、いい加減にしとけよ。全員、おそろいのお客様用着衣お持ち帰りである。
しかし・・・栗橋教授(坂東三津五郎)だけは・・・失意の帰還である。裏街道の女ならではの突然の退職で・・・小沼さんは消息を絶ったのだった。
おりしも・・・世田谷通り周辺では惚れた弱みに付け込んだ連続結婚詐欺事件が発生していた。「小顔に見せるためのアゴ前Vサイン」の画像や似顔絵からたちまち浮かび上がる小沼さんそっくりの犯人像・・・しかし、例によってうぬぼれは「その点」からはひたすら目をそむけるのだった。
一方、息子の私生活をネタに元・福島県警本部長の葉造(西田敏行)が書き下ろした「うぬぼれ刑事」はベストセラーとなり、ドラマ化が決定する。例によって死体役の運命(生田斗真)に誘われて撮影現場に遊びにきたうぬぼれ刑事はドラマ版・うぬぼれ刑事(中村梅雀)の差し入れのおむすびに小沼さんの手の温もりを感じるのだった。
そしておむすび店「ゑびすむすび」の店員となっていた小沼さんを刑事犬のように発見するのだった。
さっそく・・・交際を申し込むうぬぼれだが・・・嫌な予感がするために・・・刑事である身分を隠し、件の事件の犯人の偽名にケイジをつけて・・・「みうらけいじ」と名乗ってしまう。
そこで小沼さんはうぬぼれを「ニコラスさん」と呼ぶようになるのである。ニコラス・ケイジの最新作はディズニー映画「魔法使いの弟子」である。
再会を喜ぶ、小沼さんとうぬぼれ5だったが・・・うぬぼれは酔いつぶれた冴木刑事を送って新婚の冴木家にお邪魔する破目になる。
冴木家に漂う・・・むさくるしいほどにアツアツでラブラブな生活臭さ。
お互いのオナラを嗅ぎあうほどにただれた愛欲の日々の気配に胸苦しくなるうぬぼれだが、里恵はお茶を勧めながら舌打するのだった。
しかし、食卓に置かれた「うぬぼれ刑事」の本に・・・ちょっとうぬぼれるうぬぼれだった。
夫の同僚に対するサービスとしてうぬぼれをマッサージする里恵。
しかし・・・そのふれあいはうぬぼれの心をもはや癒さない。
傷口にすりこまれた塩に苦悶するうぬぼれを待ち伏せて天使の微笑みを浮かべる小沼さん。
「送ってくーださい」攻撃炸裂である。
たちまち・・・その気になるうぬぼれ・・・しかし・・・小沼さんの質素なアパートは豪華なシャンデリアの眩い輝きの中で高価な電化製品が満載されている・・・異空間だったのだ。
そして・・・小沼さんは「お金が必要なの・・・」と潤んだ瞳で告げるのである。
捜査線上には保険金殺人疑惑のある行方不明の未亡人・・・が浮かぶが冴木刑事のメモが悪筆なので判読不能である。
持ち合わせに余裕のないうぬぼれは借金を父親に申し込む。
葉造はにこやかに借金を快諾した後で小沼さんに振込先を書き出させる。
そして・・・「この女はお前を幸せにしてくれる女だ・・・この女を逃がすなよ・・・この女を逮捕したらお前の昇進間違いなしだ」とうぬぼれに囁く。
「え・・・」と驚愕するうぬぼれは「彼女は天使なのに・・・」と反論する。
しかし、葉造は「いや、あの女は最高の悪女だ」と断定するのだった。
仕方なく、彼女を大黒埠頭に呼び出すソウルフルでスタイリスティックスでマイケルでサタディー・ナイト・フィーバーなうぬぼれ。
しかし、小沼さんはお約束のくりかえしを許さないのだった。
新たなる犠牲者とともに犬吠埼方面にドライブに向かう小沼さん。
手頃な崖っぷちに停車した車に睡眠導入剤入りのジュースを運ぶ小沼さん。
だが・・・犠牲者はうぬぼれに入れ替わっていた。
小沼さんの制止を振り払いジュースを飲み干したうぬぼれは時々、凄まじい眠気に襲われながら謎解きとプロポーズを進めるのだった。
「あなたの借金申し込みのメモと・・・グーグー・・・ある人の遺言のメモの筆跡が・・・スヤスヤ・・・一致しました」
証拠品A 「・・・をお願がいします」
証拠品B 「・・・をお願がいします」
「しかもお願いの送り仮名の使い方も同じ間違いを犯しています」
「おねががいします・・・って書いたんです」
「なぜ・・・そこだけは見栄を・・・」
「ふっ・・・私はお金が好きなんですよ・・・他人の金でジュースを飲もうが自分の金でジュースを飲もうが・・・ジュースの味はかわらないでしょう・・・」
「いや・・・あなたと一緒に飲むジュースならきっと美味しいのです」
「私は生まれつき心がない女なんです。私にとって男の人は一万円札なんです」
「つまり・・・慶応大学の創始者のような・・・」
「120万円くれたら120万円男ってことですよ」
「私はあなたにお金で買えないものを贈りたい・・・」
「なんですか・・・」
「無罪です・・・」
しかし、小沼さんは婚姻届よりも逮捕状を、指輪より手錠を選ぶのだった。
「なぜです・・・なぜそこまでして・・・私との結婚を拒むのですか?」
「あなたを不幸にはしたくないから・・・」
愛しい女を逮捕して泣き崩れ眠り込むうぬぼれ刑事・・・一部お茶の間悶絶・・・例によって駆けつける刑事たちだった。
「よくやったぞ、うぬぼれ・・・今度新しい無線機買ってやるから」
はたして・・・うぬぼれ刑事は女にこの男とだけは結婚したくないと思われるタイプなのか・・・それとも・・・心のない極悪人をも改心させるほどの名刑事なのか・・・。
様々な謎をはらみつつ、来週は未亡人・ショートカット・元女子アナにうぬぼれは正面からのしかかる模様。
関連するキッドのブログ『第1話のレビュー』
日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)『多部未華子のGM・踊れドクター』(TBSテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
>「送ってくぅぅぅぅださい」
我が家のダンナも、まさにこのタイミングで
「こりゃ騙されるよな」と言っていました。。。^^;
いや、それだけなんですけどね。
確かにお金払ってでも見たいドラマかも知れませぬ^^
投稿: くう | 2010年7月17日 (土) 19時27分
❀❀❀☥❀❀❀~くう様、いらっしゃいませ~❀❀❀☥❀❀❀
ふふふ、おくってくうださい。
この言葉の中にはくう様がいらっしゃいますからな。
ナイス・コメントと申し上げたいのですな。
聞き逃さない計算高い女の子たちが
翌日、日本全国でくうださいを
連発しているかと
ぞくぞくいたしまする。
おごってくうださい。
買ってくうださい。
ごちそうしてくうださい。
連れてってくうださい。
優しくしてくうださい。
結婚してくうださい。
離婚してくうださい。
・・・何にでも応用できる恐ろしさでございます。
まあ・・・まず
清純そうに見える魔性の女でないと
効果は薄いのかもしれない・・・
と申し上げておきたいのでございますけど。
投稿: キッド | 2010年7月18日 (日) 01時01分
キッドさん、こんにちは。東京は梅雨明け後、猛暑日が続きますね。
うぬぼれ刑事#2見ました。いやもうなんだかやり放題ですよねえ~、筆談ホステス(自局ネタ)、探偵!ナイトスクープ(多局ネタ)、内田裕也のVサイン・・・毎週金曜日は楽しみです!
にしても蒼井優に送ってくうださい♪って言われたら、男は落ちますよね。お金が好きなキャラがなんだか笑えて(龍馬伝見た後だとよりギャップが)。掃除用ロボットルンバまで部屋に用意した小道具さんの配慮に感心しました。
ちなみに「モテキ」初回は野波麻帆が何だかエロくって(劇中森山未來も言ってますがw)、仲里依紗の「日本語―」初回は大胆な翻案作品ながら意外と面白く、「美丘」#2は“吉高由利子かわいいんだから満足だろ!?”というスタッフの叫びが聞こえてきそうな出来でした。。
投稿: inno-can | 2010年7月19日 (月) 12時14分
♬♬♬のだめデスヨ♬♬♬inno-can 様いらっしゃいませ♬♬♬のだめデスヨ♬♬♬
ものすごく暑いですな。
いよいよ夏本番でございます。
四十度だけは勘弁してもらいたいと
天神さまにお願いしたい日々です。
ふふふ・・・いつものクドカンの視聴率になって
「流星の絆」よりはるかにやりたい放題。
もはや、「うぬぼれ刑事」は別格ですな。
クドカンの特徴は
少女だけでなく熟女もそれなりに
使いこなすところですな。
来週はきっと
アイドル女優の再生者の面目躍如です。
オンエア順に見ると
逆に龍馬伝のお元は
お金が好きな芸妓に見えて
仕方なかったですよーっ。
演出もクドカンですからな。
ルンバの動きまで
緻密に計算されていた気配がありますな。
「モテキ」は鬼才となりつつある大根仁のテイストが
遺憾なく発揮されていますな。
第二話の満島ひかりのコケティッシュ爆発が楽しみです。
なまめかしい・・・とは彼女のためにある言葉ですからな。
まあ・・・「日本語・・・」や「美丘」は
残念ながらレビュー対象からは案の定
除外されそうですが・・・
それなりに楽しんでみています。
ま、作品としてはかなり残念な感じですけれど~。
投稿: キッド | 2010年7月20日 (火) 04時08分