アンドロイドが泣かないと決めた日(榮倉奈々)
帰ってきたのだった。
意表をついたスペシャル版登場である。
人の心に棲む闇をビルの谷間に澱ませる奇跡の物語。
絶対に泣かないと決めたので・・・本当に泣きません。
ただし・・・今回の美樹(榮倉)は不死身の体を手に入れたらしい。
今さらですが・・・記事はすべて妄想ですのでご注意ください。
で、『絶対泣かないと決めた日~緊急スペシャル~』(フジテレビ100702PM9~)脚本・渡辺千穂、演出・石川淳一を見た。誰もがあまり期待していないキャスティングで平均11.4%ながら最終回14.9%をたたき出した奇跡のドラマ(2010年1月~)である。社内いじめの地獄に耐え抜き、自分だけでなく関係者一同の魂のルネッサンスを成し遂げた不死身のOL美樹の再登場である。
総合商社・葵商事に外資系大企業がら合併の魔手が伸びていた。葵商事社内には業績の高い部門目当ての合併で他部門が消滅する可能性を危ぶむ正義派と利潤を追求するためには社員の犠牲も厭わない吸収合併万歳派の対立抗争が始まっていた。
正義派の筆頭に立つ、イタリア食品部門・統括マネージャー桐野(藤木直人)は腹心の美樹を秘書室に潜入させるべく人事工作を行う。
秘書室はリーダー・絵里奈(佐藤江梨子)をはじめとして合併促進の巣窟となっていたのだ。
合併を阻止しようと運動する桐野の前に立ちはだかる利潤追求の鉄の掟。そして金の亡者である本部長・安西(升毅)と腰ぎんちゃくの秘書室長(北見敏行)・・・。
しかし、「まちがっていることをまちがっていると言えないのだけは絶対イヤな女」美樹はその掟と金の亡者たちに敢然と立ち向かうのだった。
一方、美樹の妹の守護霊である謎の魔法少女によって悪魔アダマンテの呪縛から解放された万里香(杏)は夫・仲原(要潤)とともにニューヨークで暮らしていた。葵商事ニューヨーク駐在員の妻社会の女王みどり(伊藤かずえ)はアダマンテの支配下にあり、裏切り者の万里香には密かに処刑命令が下っていた。
「私たちの嘘八百であなたの夫の出世に響くことなんていくらでもあるのよ」
夫を愛する万里香の弱みにつけこんで万里香を支配下において調教しようと考えるみどり。
「さあ・・・私の靴をおなめなさい」
万里香は屈辱に耐えるのだった。
そんな万里香にはとバスガイド出身で光の国の科学者・美恵子(加賀美早紀)は愚痴をこぼす。
美恵子「いじめられるだけ・・・マシじゃない・・・私なんかチョイ役過ぎて泣けてくるわ」
万里香「本当よね・・・加賀美早紀の無駄使いにも程があるわ」
みどり「甘いわね・・・私なんか高見沢みちるからスタートして・・・美人すぎてどんだけ悪女役やらされてると思ってんの」
二人「先輩~・・・最近ふっくらしてきましたよね」
みどり「そ、それだけは言わないで・・・役作りなんだから」
その頃、秘書室のリーダー絵里奈に緊急出動を命じられた美樹は得意先のエロ親父に対する夜の特別接待を命じられていた。
美樹「そんな・・・ことはできません」
絵里奈「何を言ってるの・・・秘書といえば高級娼婦と同義語なのよ」
エロ親父の送迎を命じられた美樹は接待用高級車の車内でセクシャル・ハラスメントを受け、時速100キロで走行中の車内から路上に転がり落ちるのだった。
火花を散らして道路に転倒する美樹。
エロ親父はスキャンダルの予感に青ざめる。
しかし、すでに機械化されたサイボーグである美樹にはこれぐらいのことはなんでもないのであった。
「き、きみ・・・怪我は・・・」保身のための計算をしながら声をかけるエロ親父を無視して、美樹は路上を自動帰宅装置の命じるままに走り出すのだった。
「バ・・・バケモノ・・・」・・・エロ親父は腰が抜けた。
しかし、体はサイボーグ化されても心は人間の美樹は汚い男に接触された不快感で泣きそうになる。
「でも・・・私は絶対に泣かないと決めたから」
美樹の体細胞を構成するナノマシーンは修復活動を開始していた。
そこに立ちふさがるアンドロイド絵里奈(先代ハニーOLヴァージョン)である。
「あなた・・・お得意様に恥をかかせたわね」
「あんなことされたら黙ってはいられません。セクハラは犯罪なんですよ」
「まったく・・・サイボーグのくせに頭が固いのね・・・私のような高性能セクサロイドには理解しがたいわ」
「二代目に・・・胸で負けてるからって・・・」
「な、なんですってーっ」
絵里奈の集積回路はショートした。
しかし、登場した瞬間に裏切り者だとわかる桐野の学生時代の友人(鈴木一真)の仕掛けた罠により、窮地に陥る合併反対派。
一方、万里香はみどりの罠により、甲殻類アレルギーの支店長夫人にかにエキスたっぷりのご馳走をふるまってしまう。
「まあ・・・毒を盛るなんて恐ろしい」というみどりに万里香は冷然と言い放つ。
「やっていないことをやっていると言われるのは心外です。だからやったことはやったと言います。みどり様はピーナッツ・アレルギーですよね。そのサンドイッチ、ピーナッツバター入ってます」
「えーっ」
たちまち悶絶するみどりだった・・・おいっ、いい加減にしておけよ。
まあ、毒蛇は毒蛇の尻尾を踏めないのは決まり事だからな。ヘビには足がないからな。
やがて、食品チームのリーダーの佐野(木村佳乃)の母親(島かおり)の入所する老人ホームに息抜きに出向く美樹。そこへ登場した瞬間に切り札とわかる二階堂様(佐々木すみ江)が登場。
絶対絶命の葵商事株主総会・・・合併反対の声が葬り去られようとした瞬間、その神秘のベールを脱ぐのだった。
「私が筆頭株主、そしてあらゆる企業の大株主、二階堂だよ・・・この世の正義は私のお気に入りになるかどうかで決まるんだ・・・私は美樹ちゃんてえ子がすごく気に入った・・・以上」
この世界で大金持ちのすることに不可能はないのである。
やがて、魔女の万里香とサイボーグ美樹は再会する。
「ありがとう・・・あなたのおかげで私はいい魔法少女になれました。けじめとして私を一発なぐってもいいわよ」
「本当にいいの・・・」
「お嬢様に二言はない」
「じゃ・・・せえの」
100万馬力の美樹に軽く頬をはたかれた万里香は成層圏を離脱した。
しかし、魔法があるので命に別状はないのである。
とにかく・・・会社ものエンターティメントとしては軽く傑作なのです。
関連するキッド『泣かないと決めた日』
日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
キッド様早々とまたお邪魔いたしております。
絶対泣かないと~は何となくところどころ、ながら見をしていましたが、車から転がり落ちても捻挫もなく、次の日会社行ける主人公は凄いと思いました(^_^;)
いじめがどうというよりは、少年漫画とかハリウッド映画?の王道みたいなストーリー構造のエンターテイメントだったかな?と思いました。
Motherの感想で何度か、リンゴあめがテレビドラマ等はわかりやすくないといけないと思っていた、と書いたのは、幼なじみが漫画家を目指していて、良く、編集者に、「もっとわかりやすく!話は単純でいいの!ここいらない、ここも省いて。もっと大衆にわかりやすくまとめて!」と言われてテーマがめちゃくちゃになったと酒を飲んでは愚痴っていたので、そういうものかと思っていたからです。
そういう意味では、泣かないと決めた日はエンターテイメントとして優良児なのでしょうか。
そしてMotherのように儚い感覚をわかりやすい形に変換できることは、もしかして凄いんですね。きっと。
投稿: リンゴあめ | 2010年7月 3日 (土) 23時46分
◉☮◉Mother~リンゴあめ様、いらっしゃいませ~Mother◉☮◉
最後はコネクションがものを言うというか
かわいがられたもの勝ちというか
そういうアジア的な神話って面白いですよね。
のんびりします。
まあ、現実逃避のエンターティメントとしては王道。
そして上には憎まれるより可愛がられろという
なつかし年功序列の処世術の訓話です。
めずらしくてなつかしいというのは
面白さの基本ですが
そういうものって特別なのでございます。
基本的に素人が面白さを追求するのは
ある意味、イギリスで日本語を話しているようなもの。
現場の人は「もっと英語で話せ」とアドバイスします。
しかし、日本人(アマ)は英国人(プロ)の
アドバイスをなかなか理解できないのですね。
「Japanese please」(日本語でお願いします)
を知っているとよろしいのです。
基本的に大衆とか普通とか一般的とか老若男女とか
掴みがたいものを掴むのは高等技術なのですな。
キッドはそういう時に注文者を
他人の代表と考えます。
注文者は一般人の代表ではなく
自分以外の第三者の代表です。
自分には見えない自分を教えてくれるという意味では
ありがたい存在です。
ただし・・・心の中では常に
「バカのくせに大衆の心がわかっているつもりかよ」
と毒づいているのが普通です。
まあ、「文句があるなら自分で書け」と言ったら
商売あがったりなので禁句です。
肝心なのはそういう心を相手に読まれない
ポーカーフェイスを作ることです。
わかりやすくて面白いのと
わかりにくくてつまんないは紙一重。
バナナの皮ですべるということを
常識と考えるか
非常識と考えるかの問題でもあります。
子供より大人の方が
笑いを知っているのか知らないのか
という問題もあります。
ものを知らない相手にものを教えようとすること。
それは至難の指南でございます。
一方で人はお化粧という文化を持っています。
それは流行や様式美で美を装うこと。
素晴らしいドラマは化粧の下にある素顔がまた美しい。
そういう構造を持っている場合が多いのです。
それはまあ・・・感じる相手によりますけれども~。
投稿: キッド | 2010年7月 4日 (日) 16時01分