ふぁたしふぁ、 リカちゃん、お友達になりまひょう、ひぃぃぃぃぃ(長澤まさみ)
ふふふ・・・調教師(天海祐希)による猛獣(長澤まさみ)の飼育プレー・・・これを楽しむだけでも充分に価値のあるドラマである。
最近、発言のブレというものが問題になっているが、本来、知性的であるということは「ブレ」を伴うものなのである。
たとえば、サッカーという競技は実は一つ一つのプレーは練習が不可能なものだという考え方がある。
練習というものは基本的には反復して行うものだ。たとえば、シュートなどというものもゴールに向かって反復して蹴りこむことによって精度を増していくのである。
しかし、実際にはそのような練習はすべて無意味なのである。
なぜなら・・・サッカーのフィールド内で全く同じような状況というのはほとんどないからである。
ゴールまでの距離、方向が同じなんてことはあるのではないか・・・と思う人は素人なのだな。
試合開始からの時間経過、選手の疲労の蓄積、気温と湿度と風速と風向き、そしてそれまでの人類の歴史を含むすべての社会的状況、それはいついかなるときも全くの未体験ゾーンをプレイヤーに用意するのである。
ご理解いただけただろうか。
だが、選手たちは結局は猛練習をしなければならない。なぜならそれが気休めになるからである。
さて、キッドは「練習は必要だ」ということと「練習には意味はない」ということを同時に主張したつもりだが・・・いかがだろうか。
それをご理解いただけただろうか。
専門家たちや担当者たちの発言はいつでもブレるのが当然なのだ。
それは是非を緻密に極限的に考察するからで・・・そのイエスとノーは限りなく境界線を彷徨うからである。
だから・・・一分前に「発射準備」を命令した司令官が一分後に「いや・・・今回は発射延期だ」と言っても周囲の専門家たちは誰も「ブレ」を責めたりはしないのである。
それは状況に応じた判断というものだからである。
素人は「言ってることが前と違う」と他人を責めることに疑問を感じないものだが、玄人は思うのである・・・「それは君の理解力が不足しているだけだ」と。
だが、そんなことを言っても素人には物事を理解できないのが一般的である。
そして理解できる知性がないことを前提として人々は説明責任を専門家に求めるのだ。
こうして・・・人々の不毛のコミュニケーションは今日も続いていくのだな。
ご理解いただけるだろうか。
で、『GOLD・第2回』(フジテレビ100715PM10~)脚本・野島伸司、演出・河毛俊作を見た。最初に断言しておくが、前頭葉に「買物脳」などは存在しませんのでご注意ください。それは「男脳」や「女脳」が・・・あるいは「右脳」や「左脳」が科学的根拠のない、擬似科学的言説であるとと同様に広告代理店のマーケティング・プランナーという世界で最も怪しい職種の人々が営業のためにひねり出してただのキャッチ・コピーなのでございます。
ただし・・・多くのお茶の間の人々が・・・確かに私の頭の中には買い物脳のようなものがあると考えれば・・・それは各自の妄想の中で確かに存在するとも言えますな。
まあ・・・昔から・・・ストレス解消のためにショッピングをする人は掃いて捨てるほどいるのでそれをすべて「買物脳」があるから仕方のないこと・・・とする売り文句はなかなかに巧妙であるのかもしれません。
まあ・・・そういう言葉で飯を食べている人たちを責める意図はないので・・・要するにこの物語の主人公・早乙女悠里(天海)が「インチキな話」で秘書のリカちゃん(長澤)を騙しているというこの物語の骨格が判ればいいのです。
もちろん・・・騙すと言っても悠里は犯罪行為をしているわけではありません。基本的に人を騙すことは素晴らしく楽しいことなので、悠里は淑女のたしなみとしてそれを楽しんでいるということです。
ドラマの中で・・・悠里に饒舌に話しかけられるリカちゃんは単に悠里に弄ばれているだけなのです。
悠里の語る言葉に何か意味があるのだろうと耳を傾けている皆さんには残念ながら・・・そこにはただ無意味が風に吹いているだけだということを伝えておきたいのです。
今回のテーマは「女の子の心の化粧の下地は厚塗りにすべきか、薄塗りにすべきか」というものですが・・・まあ、すっぴんが一番という人にはほとんど無意味ですな。
つまり、生足がいいと思っている人にストッキングは黒がいいか肌色がいいか質問しているみたいなものです・・・おいおい、もうたとえがすでに意味不明だぞ。
悠里は「女の子の教育で一番大切なのは愛の正義をつらぬくように躾けること」と言います。簡単に言うと「貞操観念を育む」ということです。
「愛」が契約の一種である以上、契約違反や契約不履行を引き起こす可能性のある「貞操観念の欠如」は好ましくないのですな。
しかし、一方で悠里はその実現は難しいと含みを持たせ、謎めかせるのです。
こうなるとリカちゃんはもう我慢ができないのです。
「なぜ・・・愛を貫くことを教えるのは難しいのですか~、教えてふにゃふにゃ~」
「それはね・・・人には衝動があるからなの・・・目の前にあるものが急に欲しくなるという心理がね・・・それはショッピング・ブレインという魔物が女の子の脳には棲みついているからなのよ・・・」
「えーっ、そんなあ・・・・うえっへっへっへ」
調教師と猛獣の間にはいつの間にか、阿吽の呼吸が芽生えているようだった。
おりよく、格好な教材として、長男・洸(松坂桃季)の元・恋人、椎名涼子(波瑠)が「息子さんの子供を妊娠した」と悠里を訪問する。
しかし、ビューティフル・マザーとして四人の子供はもとより、その周囲の人間を監視カメラ、盗聴器などで常に情報収集している悠里にとってそれが「虚偽の申告」であることはお見通しだったのだ。
もちろん、悠里は洸の初体験から別離にいたるまでの二人の性交渉を日時・場所から体位まですべて把握しており、妊娠の可能性が低いことを知っているし、涼子が失業した父親の入れ知恵で診断書を偽造したこともお見通しなのである・・・そうなのかっ。
やがて・・・悠里は事を穏便に処理するために小芝居を繰り広げるのだった。
父親のために元・恋人の前で詐欺をすることになった涼子はついに、自白してしまう。
「すみません・・・妊娠は嘘でした・・・」
そこで、悠里は「あなたの父親とは決別しなさい・・・あなたの父親はあなたを売春婦扱いしたのよ・・・面倒は私が見るから・・・」と持ちかける。
それに対し涼子は「いえ・・・父は魔がさしたのです・・・本当はいいお父さんです」と親孝行な娘を演じるのだった。
悠里は「ふふふ・・・なかなか・・・高く売るわね」と思うが・・・最後の仕上げを実行しようとして・・・リカちゃんに妨害されるのだ。
「洸しゃぁぁぁぁん、彼女を見送ってあげてくだしゃぁぁぁぁぁい。彼女はそんなーって感じでふにゃふにやなんですーっ・・・そういう時は女の子は優しい言葉が・・・優しい笑顔がふにゃふにゃなんですーっ」
「わかった・・・」
人品貴い男になるために・・・洸は美しい別れ際を演出するのです。ただし、やり逃げの事実は変りません。
まあ、美男美女の交し合う視線はそれだけで意味ありげなので心が洗われる気持ちがします。
残された社長と秘書は余韻に浸る・・・。
「あの社長には・・・衝動はないんですか・・・」
「教えてもいいけど・・・私の頼みをきいてくれたらね」
「私にできることなら・・・」
「できるわ・・・いいえ、あなたならできるってことよ」
その秘密のスイッチを押すリカちゃん。
秘密の隠し扉が開き・・・隠し部屋に現われたのは光り輝く「リカちゃん」の群れだったのである。
「どひー・・・こ、これはーっ。ふにゃふにゃにやーっ」
「さあ・・・あなたにしか言えない言葉は何かしら・・・」
「えーと、えーと」
「あなたと同様に本当の友達のいない私・・・走れメロ子が・・・リカちゃんたちに言ってもらいたい言葉があるでしょう・・・わかるでしょう・・・あなたなら・・・」
「わかります、わかります・・・私、リカちゃん、お友達になってね・・・ふにゃふにゃあ」
こうして、ふたりはリカちゃん地獄へ落ちていくのだった。
一方、底なしに深い二人の女たちに比べて・・・ほとんど深みのないキャラ設定の悠里に横恋慕している二枚目きどりの丈治(反町隆史)は前回、丈治への愛を告白した悠里の娘・晶(武井咲)に色男きどりでお断りである。
「オレが愛しているのは君のお母さんだ・・・いずれ結婚するつもりだ(丈治の思い込みである・・・悠里は別居中の夫(寺島進)を実は愛している)・・・だから君の思いに答えることはできない・・・」
みもふたもない発言である。まあ、ある意味、丈治は精神年齢低めの設定なのである。
自分が子供な大人なので、大人な子供である晶を扱いきれないのである。
ともかく・・・勘違い男の無粋な振る舞いで晶の愛の正義は行き場を失くしてしまったのだった。
さあ・・・悠里は娘のピンチをどのように乗り切るか・・・以下、次週である。
関連するキッドのブログ『第1話のレビュー』
土曜日に見る予定のテレビ『志田未来のハンマー・セッション!』(TBSテレビ)『吉高由里子の美丘・君がいた日々』(日本テレビ)『臼田あさみの鉄の骨』(NHK総合)・・・さて、土曜日をどうするかだな。
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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