犯罪者を教育者にするすっとこどっこいな学園物語(志田未来)ビンタビンタビンタ(吉高由里子)
文学にしろ、漫画にしろ、ドラマにしろ・・・モラルに反逆することは極めて正常なことである。
しかし・・・そこには相当な覚悟が必要だ。
毒をもって毒を制すという言葉に従って、虞犯少年を糺すために犯罪者を教師として採用する学園・・・。
これはもう完全に狂人の仕業と言っていいだろう。
そのコミックを連載する雑誌も狂人だし、それを原作としてドラマ化する放送局も狂人である。
教え子が刑事の娘というドラマ版の追加設定は少年漫画雑誌とテレビドラマの「限界の違い」をうっすらと臭わせる。
まあ、「相撲賭博」の力士たちを他の局と同様に追求しているわけだから、反社会勢力に組するようなドラマは作れないわけである。
まあ、底の浅いルールよりもモラルみたいな展開になると考えます。
一方で、いわゆるかぐや姫ルーツの原作小説のあるお涙頂戴ドラマもスタート。まあ、こちらはお約束の範囲でケータイ小説のプロフェッショナル・ヴァージョンというムードである。
二つのドラマに共通しているのは・・・まあまあ面白いということである。
で、『ハンマー・セッション!・第1回』(TBSテレビ100710PM0756~)原作・小金丸大和(他)、脚本・高橋麻紀、演出・麻生学を見た。囚人護送車が事故に遭遇、詐欺師の音羽4号(速水もこみち)と反社会勢力所属の傷害犯・今村昌平(六平直政)は逃亡犯となる。たまたま逃げ込んだ学園で水城校長に見出された音羽は詐欺師の能力を見込まれて教師としてモラルの危機にある学園の現状を修正するように要求される。
この校長を演ずるのが小日向文世であり、悪魔に魂を売り渡した小悪党を演じさせたら天下一品なので・・・荒唐無稽な展開の破綻をただ一人で食い止めるのである。・・・ある意味、ずるいぞ。
こうして・・・詐欺師は蜂須賀悟郎と名乗り、教員免許もないのに教壇に立つことになる。ついでに今村は用務員としてなし崩しに雇用される。・・・まあ、ある意味、この時点で公序良俗的にはアウトである。
ま、それはそれとして・・・本名不詳の蜂須賀は・・・生徒に巣食う心の闇を詐欺師の直感で洞察し、彼らの心に正義の灯を点すのである。まあ・・・その前に罪を償うべきなのだが。
ま、それはそれとして・・・転職した父親の境遇を悲観した生徒(石黒英雄)がハッピースラッピング(他人を強襲して心胆を寒からしめることに興ずる遊び)に現実逃避するのを諌め、罠を仕掛けて親子の仲を修復したりするのである。まあ・・・その前に警察に出頭するべきなのだが。
ま、それはそれとして・・・なぜかタイトな制服に身を包む楓(志田)はなぜかおっさん趣味という設定でなぜかてやんでえべらぼうめえなのである。何故なんだ。ま、変顔して、変なコスプレしていれば相変わらずかわいいので問題ないな。
一方、巨乳な小学生でお馴染みだった紗綾がメガネっ娘・浅倉結衣役で登場。一部愛好家を画面に釘付けである。
この他にも、新田真潮(高山侑子)、早乙女耀子(松山メアリ)、水野繭(逢沢りな)といった女生徒が配置され・・・目が離せない。
その上、校長の娘で3年B組の副担任の涼子(比嘉愛未)である。しかも性格設定が・・・ツンデレではないのだ。それは・・・どうかな?
ま・・・話の内容はともかく、目に優しいドラマであることは保証いたします。
関連するキッドのブログ『小公女セイラ』
で、『美丘~君がいた日々~・第1回』(日本テレビ100710PM9~)原作・石田衣良、脚本・梅田みか、演出・猪股隆一を見た。主人公はクロイツフェルト・ヤコブ病(発病すると全身の不随意運動(マヒ)と認知症が進行しおよそ1年ほどで致死)のような難病患者である。本人は告知を受けており、やがて死に至る病に向き合って生きている。
少なくとも・・・初回は「死を覚悟した若者」と「そうでない人々」の乖離を主題として描かれており実に丁重で低調だった。
冒頭・・・ヒロインの美丘(吉高)は夜の大学校舎の屋上に登り自殺を試みようとする。
そこへやってきたのは小公女セイラの恋人だった太一(林遣都)である。
彼には麻理(水沢エレナ)というガール・フレンドがいるのだが、一目で美丘に恋をしてしまう。
なんだかんだそうでないフリをするがそういうことである。
美丘もこの世に引き戻されたことで女子大生にありがちな運命を太一に感じるのだった。
なんだかんだそうでないフリをするがそういうことなのである。
「星を見に来ただけよ・・・」
「星なんて見えないじゃん」
「よく・・・見るの・・・よく見ると・・・かよわい光の星も見えてくるのよ」
「あ・・・見えた」
「・・・星は何百光年も何千光年も遠くの光だから・・・滅びた後でも光として残る・・・うらやましいわ・・・」
「星がうらやましいか・・・考えたこともなかったよ」
「・・・」
もうすぐ死ぬと分っている人間と・・・それを意識しない人間。
二人の隔たりはやがて消えるだろう。
今回のやりすぎは・・・彼女の特殊性の引き出し方が・・・あまりロマンチックではなかった点にある。
一人、ランチを食べる美丘。そこへ女子大生の女友達集団がやってくる。
マリのお客をとったってそりゃもう大騒ぎの図である。
美丘がグループの一人のボーイフレンドに手を出したということで問責なのである。
「ずっと片思いでようやく交際を始めた彼なのに」
「向こうから声をかけてきたのでつきあっただけよ・・・それに彼は彼女いないって言ってたわよ」
この流れで・・・ふたまたかけられた女子大生の女友達がいきなり、美丘をビンタである。
どう考えてもビンタされる流れではない。
そこで美丘はビンタ返しである。
すると・・・周囲が「何するのよ」である。
いや・・・先に手を出したのはどっちだよ・・・という話だ・・・しかも学食である。
目撃者多数である。
「やだ・・・みんなこっちみてる・・・」ってそりゃ見るだろう。
この脚本のこの部分で脱落した人は多いと思う。
さて・・・やがて天に召されるかぐや姫という竹取物語をベースとするこの手の物語では翁と嫗は重要だ。
かってもドラマ「1リットルの涙」の陣内孝則と薬師丸ひろ子。ドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」の三浦友和と手塚理美などがナイス翁嫗コンビを演じてきた。
今回は父(寺脇康文)母(真矢みき)である。
これがちょっとミス・キャストの香りがする。
病院の検査をさぼり帰宅した娘が「もう・・・身体の心配しても意味ないでしょう」と苦しい胸の内を明かすと思わず母が娘をビンタである。
ここでビンタはないと思うが・・・それでもビンタをするのなら・・・かよわい母親が精一杯の気持ちで仕方なくしなければならない。
この母はなんとなくはったおす勢いである。
だめだ・・・っていうか真矢みきには合ってないだろう。真矢をキャスティングした以上・・・ここは唇噛みしめて泣いちゃうとか・・・そういう逆方向でいかないと。
まして一回にビンタ三回はかぶりすぎだ。
ふられ役である麻理。
その女友達の直美(中村静香)が今度は夜のカフェで彼氏に二股かけられたことが発覚。
「もう死にたい」という直美を慰める麻理。
そこに居合わせた美丘が「そんなことで死にたがるなんてバカだ」というと麻理は美丘に「なんてことを言うの」である。
いや・・・それはそうだが・・・「その通りだけど・・・もう少し優しくね」ぐらいで良いだろう。強調しすぎは物語全体を低調にするのである。
いや、それより・・・昼の部と夜の部でネタがかぶりすぎだろう。
せめて・・・笠木(勝地涼)か北村(夕輝壽太)が「一日に二回二股騒動かよ」とか「行け!鉄人」とか言うべきだぞ。
とにかく、店を飛び出した美丘は二股男を追いかけ乱暴狼藉の限りを尽くすのである。
大騒ぎとなって警官が登場。
手に手をとって逃げる美丘と太一。取り残される麻理。
冷静に経緯を見つめるドクター高梨(谷原章介)「まあ・・・拙い手も三回出せばそれなりに・・・様式美となります・・・つまり、一日に二股男は三人いるのが今の大学生活の実態ということなのですな・・・ははは」
まあ・・・そういうあまりおしゃれではないところを除けば吉高由里子の魅力は炸裂しています。まあ・・・前回まで「怪物くん」やってた枠としてはこれが精一杯という考え方もありますし。
関連するキッドのブログ『ラブ♡シャッフル』
月曜日に見る予定のテレビ『ハンチョウ』(TBSテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
>どう考えてもビンタされる流れではない。
そこで美丘はビンタ返しである。
すると・・・周囲が「何するのよ」である。
そうなのです~。。。まさにこの辺から、どっと
テレビの画面を遠く感じる自分がいたのでございます。。。
その上、美丘の前で「偶然」死の話です。
そしてレストランで「偶然」ふた股の話を聞いちゃいます。
どんどんドラマから遠くなる自分。。。頭は真っ白な感じでした。
役者さんが達者な方々じゃなければ。。。
すでに学芸会のようだと感じてしまったのでございます(; ;)
どうせ大きな作り事を見せられるのならば「ハンマー」の方が
爽快感があったのでした。
愚痴です。。。すいません(^^;ゞ
投稿: くう | 2010年7月12日 (月) 03時45分
❀❀❀☥❀❀❀~くう様、いらっしゃいませ~❀❀❀☥❀❀❀
この脚本家は学芸会ドラマの定番「CAとお呼び!」
の脚本家ですからね。
まあ・・・この枠は小中学生向けとも
言える枠なので学芸会でいい・・・
という考え方もあります。
まあ・・・要するに人生観が
薄い・・・タイプなのです。
だから・・・ご都合主義の連打に
全く気がつかないで
話を進めることができる・・・わけです。
それに一度気がついてしまうと
ドラマから簡単に弾き飛ばされてしまう。
今回、キッドが土曜日を
最初から敬遠気味だった理由の一つです。
ああ・・・やはりでした。
投稿: キッド | 2010年7月12日 (月) 06時26分
コメント連投失礼いたします。
うぬぼれ―の記事に美丘のことも書こうと思ったんですが、送信してしまい後の祭りで^^;。
えー、土9枠ですからまあこんなものなのかなあと。小中学生をメインターゲットに据えるならば、この位のぬるさでも丁度いいんでしょうね。原作は石田衣良ですから相当過激な(?)描写もありますが、ぼかすでしょうしね。
なんとなく物足りなさは感じますが、吉高由利子の破天荒っぷりが演出で殺されない限りは、見ようと思います。彼女はハマり役だと#1で確信しました。
投稿: inno-can | 2010年7月12日 (月) 21時17分
♬♬♬のだめデスヨ♬♬♬inno-can 様いらっしゃいませ♬♬♬のだめデスヨ♬♬♬
まあ、石田衣良をおしゃれに感じる方には
脚本・演出のだささの極みが
耐え難いものになっているのでは・・・
とふと感じますな。
キッドは別に石田衣良をおしゃれだとは思わないので
平気です。
まあ、吉高は時々ものすごく
美少女に見えないことがある
奇跡の美少女なので
それを楽しむ分には
充分だと思います。
おそらく、金曜日のドラマがこぼれてくるので
レビューはこれが最後になる予定。
「熱海」が期待はずれだった場合・・・
ワンチャンスあるかな・・・。
投稿: キッド | 2010年7月13日 (火) 00時33分