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2010年8月31日 (火)

何を言っても涙する女(竹内結子)日本で一番酷暑な夏(松本潤)

すっかり「つぷやき」レベルになっているこのブログなわけだが・・・本当にこの夏の暑さを実感しているのは屋外作業をしている人たちなのだろう。

その人の気持ちがわかったらガマ親分はその暑苦しい顔を全面に押し出すことさえ恥じるべきなのである。

「法」を支配したいから立候補とか・・・まあ、面白いからいいか。

キッドはこのブログでは極力、政治色を排したいと考えている。

本当か・・・と思う人もいるかもしれないがキッドが本気で政治に語りだしたら・・・いや、そんなことはどうでもいい。

老母はテレビを見ながら直感的判断を下す。

「どう見ても悪人顔だもの・・・悪いのは見ればわかる」なのである。

まあ、外見で判断されるのが嫌いな人は敵に回しています。

一方、二人の恋の行方がどうしても気にならない恋愛ドラマというのも困ったよね。

主人公は役者の道に精進するべきだし、ヒロインは子育てに励むのが大事ってどうしても思っちゃうよね。

胸がドキドキするのも・・・「マイ・ボス☆マイヒーロー」で小人さんが木こりさんに変化したほどのキレがないんだよね。

で、「夏の恋は虹色に輝く」を見た。

関連するキッドのブログ

(もう、ご存知でしょうが仮記事です)

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2010年8月30日 (月)

ならぬ堪忍するが堪忍ぜよ(坂本龍馬)

藩というものがどういうものか・・・ということをある程度理解しないと薩長同盟といういわば謀反の密約は理解できないと思う。

人と人間がどう違うか・・・というと言葉の上では、人は個体を指すが人間は人と人との関係を含んだ意味合いを持つということになる。

個は人の固まった状態である。固とは古びた状態で、古とは10代を経た口伝・・・つまり、昔話のことである。

日本語では不思議なことに個(こ)は子(こ)に通じていく。母体を離れた個体は子になるのである。

親と子はひとつの人間関係であり、それは古い話で結ばれている。つまり、過去の記憶であり、生前と生後の物語だ。

親子関係の連鎖により、一族が発生する。一族の連鎖により、部族連合が作られる。

部族連合は国家を生む。

国家はさらに国際関係を発生させる。つまり、外交関係とは人間関係の延長上にある。

すでに、日本という国号はあったが、その首長が天皇であることは神話的な出来事で、実際の体制は幕藩体制である。幕府という中央政府があるが、一方で各藩は地方自治を越えた独立採算制度運営された・・・一つの国家だったのである。

そうして運営されてきた地域が西欧列強という外圧によって錯乱していくのが幕末である。

薩摩国の指導者である西郷隆盛と長州国の指導者である桂小五郎の約束は国運を賭けたギャンブルでもある。

その「約束」を脱藩浪士の坂本龍馬が保証することに何か意味があるのだろうか。

すでにある程度確立された法治国家に住むものには甚だしく理解しにくいことだろう。

しかし、結局は個と個の約束事なのである。その約束は命懸けの約束に他ならない。

西郷と桂の約束を坂本が見届けるということは・・・どちらかが違約した場合は坂本龍馬が責任をもって裏切り者を殺すということに他ならない。

西郷も桂も坂本龍馬なら必ず相手を殺害できる・・・と確信して善意の第三者として承認したのである。

つまり、薩長同盟とはそういうことなのである。

一方、龍馬はこの場合、謀反の立会人である。国家などというものがない時点だが、あれば国家反逆罪なのである。

その時点で龍馬は親兄弟を捨て、国家を捨てた存在であったと言える。

そうでありながら・・・龍馬は人間関係を色濃く継続していく。

感謝の謝は謝罪の謝である。

「ありがたい」と人間は感謝しながら「ごめんなさい」と謝罪する。

革命家とはその不可思議な心境を常に抱えたまま・・・生きているものなのである。

で、『龍馬伝』を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。

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(例によって仮記事です)

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2010年8月29日 (日)

一線を越えている私たち(栗山千明)大体一線を越えましたよ(オダギリジョー)

突然、愛機が停止してしまうトラブルが発生して、五日目である。

もちろん、他機で記事を書くこともできるわけだが・・・。

このブログを書きはじめてからずっと苦楽を共にしてきた愛機の最後をともにしたい感じなのである。

おっかなびっくり書いているので文章がたどたどしい感じがするのだが、ご容赦ください。

とにかく・・・この記事はそれなりに書きたいわけである。しかし、状況がそれを許さないのだな。

とにかく、東雲麻衣の頭にガラスの器が落ちてきて・・・ついに事件が始まったと緊張したのに・・・名もない永遠の森の女生徒が・・・「東雲さんの能力をためさせてもらった」オチである。

うわーっ・・・すかされたよっ。すかされましたよーっ。

「時効警察・最終回』で「デュマ・デュマ・デュマ」は悪夢を見るお呪いだった・・・くらいにすかされました・・・脱力するほど笑わせてもらいましたーっ。

森の荒熊さん、こんにちは・・・である。

そして・・・つい、つぐみ、宮崎あおい、レミーというラインも発見してしまったのだった。

うわあ・・・書きたいなあ・・・つぶさに書きたいなあ。

上司だった北島が肩を借りたあとどのように一線を越えたかとか妄想炸裂なのになあ・・・である。

しかし・・・仮記事なのである。

で、『熱海の捜査官』を見た。

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(当分、仮記事の模様)

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2010年8月28日 (土)

愛した数だけ傷つけて(中島美嘉)未来が過去に嫉妬する世界(長瀬智也)

ついに前フリの文字サイズがこれに・・・。

開き直っているな・・・あくまで仮記事です。

しかし、三日連続で本文更新しないのは・・・もうその気がないようでもある。

もうしばらく、ご容赦ください。

愛機に情が移っているので・・・生きている間は・・・しかし、膨大に蓄積されたデータの移行の問題もあるよな。

さて、「大物感」ということでゲスト・三田佳子なのであるが、同時に西田敏行である。そのためにあおられたのが要潤である。「雑魚が言いこと言った」まで言われて一同爆笑だったな。

今回は人間箱入りトリックである。

前回のゲストは「小泉今日子」なのであるが、小泉今日子といえば、ドラマ「セーラー服と機関銃」で蓮っ葉な役だった。星泉は長澤まさみである。ほんの数年前なのに・・・なんだかずっと昔のような気がする。そして「長澤まさみ」といえば「プロポーズ大作戦」で原史奈と共演していた。「原史奈」といえば「鉄甲機ミカヅキ」である。「ミカヅキ」では奈良沙緒理と共演していたわけだが・・・奈良沙緒理と言えば「HEART BEAT」である。その中で女子高生にカバンに詰め込まれて運ばれるのが趣味の男たちが登場した。

まあ・・・良質なエンターティメントとは言い難い「HEART BEAT」がいつまでも心に残るのは変態だからだと思う。

で、「一番綺麗だった私」抱いた元彼が・・・今の彼氏に激しく嫉妬される話である。

もう何が幸福で何が不幸か分らない話だが・・・そういうところが変態の醍醐味なのだな。

そういう愛と縁があって・・・この物語がぐっとくる人はそれなりに幸福できっと同時に不幸なのだろう・・・と考える。

で、『うぬぼれ刑事』を見た。

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(あくまで仮記事です)

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2010年8月27日 (金)

死者の魂はあるべき場所に帰しリカちゃんごっこでそんなあ(長澤まさみ)

さて、前日の記事も最終更新してないのだが、愛機Priusが不調なのである。

思えば・・・記事数1600を越え、開始以来、プロバイダのアクシデントやココログのメンテナンス以外のトラブルも越えて一日も休みなくレビューをしてきたわけである。

少し・・・夏休みをとってもいいかなあ・・・と思うのである。

あらゆるドラマを見つつ、しかも他の番組もある程度は見て、しかも、読書とかゲームとか映画鑑賞とかもしていないわけではないのだ。

今回も「GOLD」の記事を書くために長澤まさみが小美人を演じた「ゴジラ・モスラ・メカゴジラ」なんていうものをチェックしたりしている。

ゴジラの骨から作られたメカゴジラ・・・「その骨を海に返してください」と小美人はお願いにくるわけである。

このあたりの構図はちょっとした反米思想や、非武装中立論なども投影されていて・・・ツッコミを入れ始めるとものすごく面白いわけである。

「だが・・・ゴジラの脅威がある限りメカゴジラが必要だ」という意見に対し、小美人(長澤)はこう答える。「その時はモスラがお守りします・・・」・・・実に怪しい展開だ。

一方、リカ(長澤まさみ)を唯一、いじめる権利を持つ社長(天海祐希)の教育論は暗礁に乗り上げる。

父親の「競争原理」と母親の「弱者救済論理」の板ばさみの果てに・・・社長は少し・・・おかしくなっているのである。

ノイローゼ(神経衰弱)などという懐かしい言葉が飛び出すこのドラマ。

本来、スパルタ教育は指導者育成教育である。指導者というのは少数派だから・・・基本的にはエリートでいいのである。そして「しごき」とは本来、脱落者は死んでもいい・・・くらいの苛烈さで行うものなのである。なにしろ・・・指導者育成なので最悪、最上の一人が生き残ればいいのである。

競争社会は誰もが指導者になろうとする社会と考えてもいい。しかし、誰もが指導者にはなれないことを教育は伝えなければならないだろう。そして、指導者になれなかった生き残りのことを指導者が考えることも大切なのだ。

「ゴジラを眠らせてあげてください」・・・小美人に頼まれたらいやとは言えないのである。

で、『GOLD』を見た。

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(仮記事です・・・本文は場合によって更新されない可能性があります・・・ご了承ください)

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2010年8月26日 (木)

大切な人を大切にできない病(綾瀬はるか)すれちがい・縁側(藤木直人)

「機動戦士ホタルノヒカリ」かっ。

雨宮蛍(綾瀬はるか)は女である前に企業戦士なのである。結局「働く女」の物語なのでどこか・・・歪な感じになります。

まあ・・・普通の人々は「適当に」そのあたりのことをネグレクトして生きていく。

仕事もほどほどにプライベートもほどほどに・・・である。

しかし、与えられた仕事がそれを許さなかったり、生まれついての能力や作り上げた性格がそれに不向きだったりすることもある。

そういう時、人々は「当たり前のことができない自分」に悩むのである。

まあ・・・そういうのは最近、キッドの中ではすべて「個人差の問題」として処理されるのだが・・・それではあまりにも大雑把な感じだと言える。

この物語はどうしても脚本家という特殊な職業についている人間が脚本を書いているので・・・普通そうだろう・・・働く女の意識が全面に押し出される。

大好きな人が大切にしている人の依頼による仕事をないがしろにできず・・・むしろ・・・完璧を超えるほどのものに仕上げたい・・・そういう「働く女」が・・・大好きな人との結婚のためのウエディング・ドレス選びをすっぽかしたり、婚約指輪選びを投げ出したり、結納の打ち合わせを家族とするのを忘れたりするのは・・・もはや「病気」の一種である。

並の男だったら・・・「嫌われてる」とか「結婚がイヤになったのか」とか「あいつを殺して自分も死のう」と思うところだが・・・「悪いのは自分」と考える実存主義的な部長(藤木)。

まあ・・・ドラマだからいいけど・・・良い子のみんなは真似しちゃダメだぞ。

で、『ホタルノヒカリ』を見た。

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(仮記事です・・・番組の途中ですが・・・諸々の事情で更新が遅れる可能性があります・・・どうかご容赦ください)

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2010年8月25日 (水)

俺たちただの似た者同志(森山未來)でもハートビートは鳴りやまないっ(満島ひかり)

黄金の金曜日のために火曜日と土曜日が消滅している夏ドラマなわけだが、結局、好みというのはいかんともしがたいものだからな。

もちろん・・・そういうものも個人差のひとつの表現でしかない。

金曜日のよさがちっともわからなくても、火曜や土曜のよさが分ればそれはそれでめでたいことなのだ。

それぞれにひとつのエンターティメントである。

火曜日のドラマ対決は①「ジョーカー」↗15.7% ②「逃亡弁護士」↗*9.2%

頭の悪さでは甲乙つけがたい両ドラマであるが・・・今回、「ジョーカー」には怨みを持つ被害者ゲストに尾野真千子、「逃亡弁護士」には行きずりの依頼人ゲストに白石美帆が登場。粗雑な内容とは別に迫真の演技を見せる。ある意味、反則キャスティングである。

で、『モテキ・第6回』(テレビ東京100821AM0012~)原作・久保ミツロウ、脚本・演出・大根仁を見た。ついに30歳となってしまった幸世(森山)、様々な辛酸をなめた果てに勃起不全にまでなってしまったのだが、故郷の幼馴染林田(菊地凛子)の馬乗りプレイで性的復活・・・モテ期復讐編に突入するために再び上京する。だが・・・だからといって長年にわたって築きあげてきた人格が突然変異するわけはないので案の定、うだうだするのである。

そんな幸世に実は天敵である親友・島田(新井浩文)から呼び出しがかかるのである。

幸世は藤本が自分より優秀なところは「ブスにも優しくできるところ」と分析している。

しかしだ・・・その前に、根拠なき、ブスに対する差別意識が病的なレベルにあり、いわばブス嫌悪症という一種の強迫観念であることを自覚するべきなのである。

それが自覚できない幸世はせっかくの初体験を相手が基樹(信川清順)だったという一点で忌まわしい思い出にしてしまうのだった。

島田の用件は「いつか(満島)ちゃんから電話があり、23歳の誕生日をみんなで祝ってもらいたいというので飲み会を開く」というものだった。

いつかの意中の人が島田と知っている幸世はものすごく複雑な気持ちになるのだった。

その当日。いつかと再会した幸世は「あれ(キスした後にケンカ別れ)以来避けていて御免・・・また友達になってほしい」ときりだされ・・・ますます複雑な気持ちになるのである。

そこに登場したのが謎の中年男・墨さん(リリー・フランキー)である。シモネタのレベルはリリー・フランキーレベルらしい。

たちまち、表情が曇るいつか・・・しかし、幸世は三枚目特有の勘でいつかの顔が「女の顔」になっていることを嗅ぎ取る。

それもそのはず、処女をドブに捨てたいつかの初体験の相手こそ・・・20歳年上の墨さんだったのである。

誕生祝いの席から脱出したいつかは幸世の前で泣き崩れ・・・処女喪失の顛末を語りだすのである。

それは藤本とユリエ(堀まゆみ)の結婚式の出来事だった。

失恋の痛手をこらえて写真係を務めるいつか。やがて・・・カラオケ大会となり・・・いつかがまだふっきれない相手である島田が花嫁ユリエのために唄うのは・・・。

家庭的な女がタイプの俺 一目惚れ

守りたい女って思った初めて

まじめな顔してギュッと抱きしめた

目をとじれば億千の星

一番光るお前がいる

・・・と「純恋歌/湘南乃風」である。

おタクであるいつかにとっては「ベタでつまんない最悪の歌」だが・・・それを「好きな人」が別の誰かのために歌っていると思うといたたまれないのである。

その時、親友に先を越されて酔いつぶれていた幸世を他所に墨さんはいつかの傷心をすかさず読み取り、傷心につけこんで美味しく処女を頂いてしまうのだった。

一丁羅のワンピースを破瓜の鮮血で汚し・・・朝焼けの道を蟹股で帰るいつかは陰惨な気分を味わうのだった。

それを嘆くいつかに幸世は「どうしようもない似た者同志」を見出すのである。

一同大爆笑である。

そして・・・突然、幸世は自分の心の病を自覚するのだった。

「私・・・自分もお姫様みたいに守られたいって・・・思いがあるのを隠してた」

「怨まないで・・・感謝してもいいんじゃないか・・・」

「そんな・・・女の気持ちが分るの」

「そりゃ・・・痛くもないし、血もでないさ・・・でも」

「自分だって・・・ドブに捨てたって・・・」

「オレだって怨んでるし・・・でも感謝もしてるんだ・・・」

「そんなの・・・わからないよ・・・」

「逃げちゃだめなんだ・・・戦わないと・・・」

「シンジくんかよっ」

そして幸世は嫌がるいつかの手をひっぱって・・・カラオケ大会へと戻っていく。

「オレたちはマンガや音楽のことだけは・・・あいつらに負けちゃダメなんだ」

「意味わかんないし・・・第一・・・私のこと・・・どう思ってんの」

もちろん・・・傷つくことが絶対に嫌いな幸世はあくまで愛してくれる相手だけを愛したいのではぐらかす・・・しかし。

「好きだった奴のこととか、初体験の相手とか・・・ふっきって・・・それからオレのこともう一度考えてほしい」とムチャクチャ自分に都合のいいことを言い出すのである。

しかし・・・どうしようもなく似た者同志のいつかには幸世の言葉は通じるのである。

こうして・・・カラオケ大会に突入したいつかの選曲は・・・。人々をどん引きさせるのだった。

昨日の夜、駅前TUTAYAさんで

僕はビートルズを借りた

セックスピストルズを借りた

「ロックンロール」というやつだ

しかし、何がいいんだか全然分りません

最近の曲なんかもうクソみたいな曲だらけさ!

なんて事を君は言う、いつの時代でも

僕は今すぐ、今すぐ、今すぐ叫ぶよ

遠くで近くですぐ傍で叫んでいる

くれよ 僕にくれよ もっともっと

遠くにいる君に吐き出すんだ

「ロックンロールは鳴り止まないっ /神聖かまってちゃん」だった。

しかし・・・幸世はどうしようもなくいつかをかっこいいと思うのである。

唄っている間は死にたくなったいつかだが・・・何かが完全燃焼したらしく・・・後日、幸世にはメールが届く。

「なんだかふっきれたみたい・・・今度また一緒にどこかへ行きたいな・・・今度は私、もっと頑張るから・・・」

幸世は胸に暖かいものがこみ上げてくるのを感じる。

もちろん、下半身にも・・・である。

だが・・・幸世のモテキ逆襲編はまだ始まったばかりなのである。

関連するキッドのブログ『第5話のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『科捜研の女』『警視庁継続捜査班』(テレビ朝日)『怪談新耳袋』(TBSテレビ)『日本人の知らない日本語』(日本テレビ)『長澤まさみのGOLD』『もやしもん』(フジテレビ)

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2010年8月24日 (火)

おかえりと言ったらただいまと言われた(松本潤)いってきますと言うのでいってらっしゃいと言った(竹内結子)

挨拶の言葉に意味があるのかどうか人はあまり問わない。

言語によるコミュニケーションが何を伝えているのかはよくわからない。

家で親が子供に何かを教えるように。

学校で先生が生徒に何かを教えるように。

誰かが何かを誰かに伝えたとして・・・それが本当に伝わったのかどうかはよくわからない。

それでも人は他人を求めている。

自分ではない誰かを求めている。

そして、挨拶をする。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「20世紀少年最後の希望」13.3%(木南晴夏とったな)、「崖っぷちのエリー」↘*5.5%(なぜみのもんたと勝負なのかよくわからん・・・サイバラの生き様が面白いだけなのに)、「うぬぼれ刑事」↗*8.0%(小泉今日子とったな)、「熱海の捜査官」↘*6.8%(どこまでついてこさせない気か楽しみだ)、「ハンマーセッション」↗*7.0%(エロダンサーとったな)、「美丘」↗*9.7%(さあ倒れて倒れて倒れて)、「龍馬伝」16.3%(みんな帰ってきたな)、「GM」(小動物ヒガシをあつかう多部未華子とったな)・・・ついでに「ハンチョウ」↘11.2%、「夏虹」↗11.8%・・・以上。

で、『夏の恋は虹色に輝く・第6回』(フジテレビ100823PM9~)脚本・大森美香、演出・星野和成を見た。このドラマを見ていると『カバチタレ!』(2001年)を連想することがある。脚本家が同じだから不思議ではないのだが・・・それはキャラクター造形が類似しているような部分があるからだと思う。

原作の「カバチタレ」とは違いドラマ版では主人公の田村を常盤貴子が、栄田を深津絵里が演じている。原作では男性であるキャラクターを女性に置換しているのである。そしてドラマでは有能だがやや頭が固いところがある栄田と弟(山下智久)を養うお人好しすぎる田村の女の友情物語が展開する。さらに言えば二人は擬似恋愛というか、プラトニックなレズビアンというムードをかもし出している。

いわばヒロインの田村のピンチをヒーローの栄田が救うというスタイルである。

また、頭が固すぎる栄田を田村の柔軟さが癒すという場面もある。

こうして二人は女同志の友情を育んでいくのだ。

これを原型と考えると、頭の固すぎる二世俳優である大雅(松本)と娘の海(小林星蘭)を養う夫に死別した詩織(竹内)はややアクロバットを演じることになる。つまり、本来は同性同志の友情から擬似同性愛と移っていく過程がいきなり恋愛関係に発展することになるからである。

それが唐突な大雅の一目惚れと一方的な告白に始まることによって二人の関係はギクシャクするのだが、それがそのままドラマ全体をギクシャクさせてしまったような気がするのである。

もちろん、恋愛ドラマだからそういう手があってもよかったのだが・・・「大雅の人間的成長」と「詩織の死者による拘束からの解放あるいは昇華」というキャラクターの宿命を考えるとあまりいい「手」ではなかった気がするのである。

特に、アクロバットだけにかなり繊細な演出力が要求される序盤で演出が不調であったために「つかみ」が失敗している印象がある。

繰り返すが、脚本的にはこの「手」もありなのである。だが、オーソドックスな「手」としては大雅が一目惚れしてもそれを告白することはできずに・・・お互いがより深く知り合っていくという・・・友情先行の方がスムーズだったように思える。あるいは・・・詩織がそうであるようにお互いに魅かれあっていながら無自覚・・・知らぬは本人ばかりなりという「手」もあったはずだ。

そのスタイルでもここまで充分に持たせることができたと妄想できるのである。

まあ・・・それはそれとして、かなりの時間を使って、大雅の片思いと詩織の葛藤は描いてきたので・・・今回はそれなりの新展開・・・両思いの始まりがある程度は胸に落ちる形になっている。今回だけを考えると快調と言える出来ばえなのである。

しかし、要するに若さゆえの浅い考えで道を見失っていた大雅が素人の詩織の率直な言葉「父親は名優だったが息子は大根役者」に目を開かれ・・・向かうべき道を見出していくという部分が「恋愛要素」で散漫になってしまった印象は否めない。

何度も言うが「仕事」と「恋愛」を両立させるためにはかなり繊細な演出力が要求されるのである。

「恋愛にかまけていたらいい仕事はできない」し、「仕事に熱中していたら恋愛は二の次」という展開の方が要素として容易だからである。

とにかく・・・難しい道を歩いてきたのでお茶の間受けはもう一つだが・・・大雅は上手くいかない恋愛と平行して・・・人間として深みを感じ始めるところまでやってきたのだ。

子役あがりの年下の女としか見ていなかった桜(桐谷美玲)が自分の力量をはるかに上回る演技力を持っていることを思い知る。

いやな成りあがり男だと思っていた俳優の伊良部(永山絢斗)が自分よりもっといやな思いをしていたことを聞き出す。

同じ境遇の仲間だと思っていた植野(笠原秀幸)が恋多き女であるメアリー植野が母親であることにより、自分よりもっと困惑していることを感じる。

そういう他人を見る目が・・・役者として大切だということを大雅は気付く。

そのためにただのおばかさんだと思っていた母親の真知子(松坂慶子)が「夫と父親を偲ぶ妻と息子の旅」というツアー企画にエンターティメント性を持たせるために「そういう妻であり、母親を演じることができる大女優であること」を大雅は体得していくのである。

最初はギクシャクしていた大雅がやがて演出家を満足させる笑顔を演じることができたというのは松本潤の演技力の成果であるが、それを抱擁しつつ、教育的指導をする松坂慶子の演技もまた見事だったのである。

プライベートで「父親が大雅が役者になったことをどけだけ喜んだか」ということをさりげなく悟らせておき、ロケ現場で「こんなにおいしいものを食べて天国のお父さんに申し訳ない」とふって大雅に「最近の母の口癖なんですよ・・・」と自然なリアクションを演じさせる。

このシーンはかなり技巧的なもので・・・母子はそれをそつなく演じきっているのだ。

一方、死んだ夫の実家に娘を連れて里帰りした詩織は血のつながった娘と同じようにはその場を楽しめず、死んだ夫にそっくりの声を持つ義弟(塚本高史)によってお約束の思い出したらすぐ涙でやるせない気持ちになる。

さらにやや唐突だが桜による恋のライバル宣言で追い込みである。

機は熟したと言わんばかりに天国の父と夫合作かと思える「なんでそんな落ちやすいところに貴重なトロフィーが・・・作戦」展開である。

大雅「付き合うのが無理なら・・・ボクはなんとか君の役に立ちたいと思うんだ」

詩織「娘と二人、楽しく暮らしてきたのに・・・あなたのせいで困ったことに・・・できれば消えてほしい」

大雅「・・・なるべく顔をあわせないようにする」

詩織「それはもっと困るの」

大雅「えーっ」

詩織「・・・」

ある日突然、二人黙るの・・・あんなにおしゃべりしていたけれど・・・こんな日がくるとはお茶の間は思っていたけれど・・・優しい口付けを交わす二人・・・。

関連するキッドのブログ『第5話のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日)『ホタルノヒカリ2』(日本テレビ)

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2010年8月23日 (月)

長崎のこと気がかりなれど京の大事に才谷梅太郎伺い候(坂本龍馬)

慶応元年暮れから慶応二年の正月はすでに1866年である。

龍馬はすでに倒幕の決意を固めていると思われる行動をしている。

しかし、周囲を含め、龍馬自身もそれが実現可能かどうかは不明だった。

薩長同盟を成立させることにより、軍事的衝突をさけることが当面の目的だったと考えることもできる。

しかし、実際には長州攻めは行われ、幕府は命令に従わない諸藩の発生に驚愕することになる。

その準備段階であるこの時期。

すでに薩長の倒幕派にとっては坂本龍馬はなくてはならない存在だったと言っていいだろう。

敵の敵は味方であるという戦略の基本に立てば、どの藩も勤皇路線と佐幕路線があり、勤皇路線の立場に立てば幕府の中にも勤皇路線を見出すことはできる。

言うなれば反主流派である幕臣・勝海舟の意を受けた浪人・坂本龍馬は勤皇路線の薩摩と長州をつなぐ幕府側の人間と言えるのである。

すでに自分が複雑な立場にあることを自覚した龍馬は・・・この時から才谷梅太郎という偽名を常時使い始めるのだ。

正月を下関で過ごした坂本龍馬は・・・長崎における亀山社中の商談と京都における薩長の密約の経緯を伺っていた。どちらからもよくない知らせが届いたが・・・竜馬は京都に向かっていった。

土佐勤皇党では平井、岡田、武市らを失い、海軍操練所では望月亀弥太を失い、亀山社中では近藤長次郎を失う。龍馬の命懸けの旅が冗談ではないことを本人は強く自覚していた。

で、『龍馬伝・第34回』(NHK総合100822PM8~)脚本・福田靖、演出・真鍋斎を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はついに登場、アラン・ウォードではなくギリシャ王ジョージでもなくトーマス・ブレーク・グラバー描き下ろしイラスト大公開、幕末最大の極悪人(自称)だけあってど迫力でございます。いい、実にいい。そして圧倒的な西洋列強に苦心惨憺立ち向かう幕末の外事警察こと長崎奉行・朝比奈山城守も対応的登場。実際にはハゲタカVS外事に豪商小曽根家が絡み合い漁夫の利を得ようとする構図になっておりますな。反社会的勢力のスポンサーが巨大企業という全く現代に通じる構図。国家という虚構の圧力が低下した社会では公安力は相対的に低下。当事者は苦戦を強いられるというのはいつの世も同じです。どこからどこまでが平和維持活動なのか、どこからどこまでが反戦抗議運動なのか、ボーダーラインはいつも曖昧。平和維持のための軍事行動、反戦のための武力衝突。悪魔の手際の鮮やかさに拍手喝采でございます。

Ryoma186601

 例によって元号と西暦の不一致の確認である。1866年1月1日は慶応元年11月15日にあたる。ついでに1866年は慶応2年11月25日まで続く。つまり、慶応元年は1865年~1866年に、慶応二年は1866年~1867年にまたがっている。このあたりがうっかりさんには錯誤の罠になりやすい。つまり、慶応元年が1865年とは限らず、1866年が慶応二年とは限らないということなのだ。しかも慶応二年は1867年だったりもするのである。資料を読んでいて慶応ニ年の1月と1866年の1月を混同すると前後の脈絡がおかしくなるので注意が必要なのである。時間がなくて判別不能だったりすると歴史家や作家は・・・慶応元年の暮れ・・・とか慶応二年春とか曖昧な感じに逃げるので発見したらケケケと笑うのを忘れてはいけない。西暦で言うと薩長同盟成立は1866年3月7日である。これは慶応二年の1月21日にあたる。ちなみに翌日の1866年3月8日には李氏朝鮮が南下するロシアに屈し、反対勢力である国内のフランス系カトリック教徒およそ一万人を虐殺する丙寅教獄が開始される。ソウルにはこの暴挙に謝罪する追悼施設がある。これがあるので韓国人はフランス人には頭があがらない。それはそれとして・・・慶応二年正月の流れはおおよそ、次のようになっている。下関でのユニオン号(薩摩名・桜島丸、長州名・乙丑丸)の引渡し手続き終了を受け1月8日、京都で桂・西郷会談開始・・・同盟締結交渉進捗なし。1月14日、長崎でユニオン号売買における業務上横領の罪に問われ近藤長次郎切腹。この時、龍馬は下関で京都行きの船を待っていた。1月20日に龍馬が京都入り。1月21日から22日にかけて徹夜で会議。22日未明、同盟成立。龍馬が長次郎の死をいつ知ったのかは謎に包まれているが、龍馬が長次郎の遺体を見ることは忍者出ない限りなかったと思われる。なお、1月23日には龍馬は寺田屋事件に遭遇している。

長崎には春が訪れていた。長崎奉行所では庭の早咲きの桜が散り始めている。その花を見ながら長崎奉行朝日奈山城守は渋い顔をしている。下座には目付役の服部一三が畏まっている。

「で・・・確たる証拠は出たのか・・・」

「それは・・・」

英国商人グラバーを廻り、薩摩藩とその出先機関を名目とする亀山社中なる浪士組織が不審な動きを示していることは朝日奈山城守も把握していた。

しかし、長崎奉行配下の隠密組織がくのいちのお元を頭に集団抜けをしたために・・・機能不全に陥ってしまったのである。抜け忍狩りをするどころではない。なにしろ、抜けた人数の方が多いのである。このためには慶応元年暮れには奉行所の御金蔵が破られる不始末まで起こっていた。

「江戸と上方より・・・援軍忍びが到着しましたので・・・証人の捕縛を準備いたしておりまする」

「亀山社中の坂本龍馬か・・・」

「坂本なるものは神出鬼没の輩にて押さえがたく・・・亀山社中の勘定方を捕縛し、金銭の流れを洗いますれば薩摩の陰謀を明らかにすること可也と心得まする」

「手ぬるいわ・・・聞けば、坂本は英国より購入した蒸気船を下関に回航していると言う。これを討て」

「は・・・」

服部一三は平伏しながら舌打をした。実は公儀隠密頭の服部半蔵である。長崎奉行以上に情報は心得ている。大身の旗本である山城守は江戸の老中同様・・・幕府の力を過信しているとしか一三には思えない。

その夜・・・長崎のとある寺に一三は頭巾をかぶり現れる。本堂に一本の蝋燭が灯り、夜風が揺れる。

「到着(つい)たか・・・」

「・・・月光・・・ここに」

「御主たちには・・・亀山社中の内偵を命じるつもりであったが・・・事は急を要しておる。月光衆は近藤長次郎なる男を生け捕りにし・・・そして月水夫の水軍忍びには坂本龍馬暗殺を命ずる・・・なお・・・近藤捕縛には天狗鬼の術を用いよ・・・と慶喜公からの命がある」

「・・・御意・・・月鬼を連れておりますれば・・・仰せの通りにいたしまする」

「長崎くのいち衆や・・・亀山忍びを甘くみるでないぞ・・・」

「すでに・・・月の輪、三日月、夏日水夫、夕水夫、歳水夫と月水夫の水軍くのいちは洋上にて不審船への待ち伏せを仕掛けておりますれば・・・。残りの月光衆は亀山周辺に結界を張っておりまする・・・」

「うむ・・・吉報を待っておる・・・」

風が蝋燭の炎を吹き消すと・・・寺は無人となった。

近藤長次郎は商談のために、夜明け前の畦道を単身、小曾根屋敷を目指していた。

そこに満月、新月、涼月、半月などの月光衆が襲い掛かる。

長次郎も少年時代から探索方として働いた下忍である。足止めのために放たれた伊賀十字手裏剣を素早く交わす。その時には懐から取り出した饅頭が撃たれていた。それを交わそうとした月光衆は炸裂した饅頭にたちまち炎につつまれる。

「見たか・・・佐久間象山直伝科学忍法、雷火饅頭(手榴弾)の術・・・」

しかし、その時、闇に潜んでいた天狗鬼の月鬼が長次郎の首筋に牙を立てていた。

「お・・・こ・・・これは面妖な」

吸血鬼菌の注入により、長次郎に快感の波が押し寄せる。たちまち勃起した長次郎は連続射精の波に恍惚となるのだった。

そこへ、吸血鬼の気配を読んだ伊達小次郎こと陸奥陽之助が到着する。

長次郎はその姿を捕らえると最後の意志を振り絞る。

「不覚じゃったき・・・陸奥殿・・・お願いしまする・・・人のままで逝かせてくだされ」

「長次郎はん・・・堪忍な」

陸奥は自血刀により、長次郎を月鬼ごと刺し貫いた。

「かたじけない・・・お、おと・・く」

長次郎は血煙をあげ爆散した。陸奥は涙を流すとともに血痰を吐いた。

九州北岸洋上・・・幕府小型蒸気船、「秋月」「冬月」に乗りこんだ月光くのいち衆は・・・上海から下関に向けて回航中のユニオン号を待ち伏せていた。

しかし、それはすでに龍馬たちの知るところであった。

天気は晴朗で波も静かだった。姿を現せた亀山社中の旗艦「亀山」は遠距離連続射撃を「秋月」と「冬月」に浴びせる。

乗っ取りに備えていたくのいちたちは・・・一戦も交えずに海の藻屑と消えた。

お元「いつもの手はつかわないのね・・・」

龍馬「あの者たちには洗脳は効かんし・・・肉弾戦となったらこちらが危ないからの・・・」

本気モードの坂本龍馬の目には冷酷さと悲哀が同居していた。

「全滅じゃと・・・」

見届け忍びからの報告を受けた服部一三は歯軋りをした。その音は幕府の崩壊を知らせる合図のように長崎奉行所の片隅に響き渡る。

空を飛び 風を切り 進み行く忍者 正義の味方

姿は見せずに 現れ消える

弾丸の中もなんのその

おお 命をかけ行くぞ

月光 月光 忍者部隊

幕府忍び最強の特殊部隊を投入しても・・・得たのは近藤長次郎の「死」だけだったのである。

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火曜日に見る予定のテレビ『ジョーカー許されざる捜査官』『逃亡弁護士』(フジテレビ)『土俵ガール!』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2010年8月22日 (日)

犯人の目星をつけっぱなし、一度だけ出しっぱなし、コネタはいつでもやりっぱなし(オダギリジョー)ぱなしはありって話かしらん(栗山千明)

ミステリーにはミスリード(誤解)とミステイク(失策)はつきものだしそもそもミッシング(失踪)の話である。

捜しものは何ですか? 見つけにくいものですか? カバンの中も机の中も探したけれど見つからないのに。

まだまだ探す気ですか?・・・と探偵や犯人が言い出したら物語は困るのが普通だが・・・いいんだよ・・・謎なんて解かなくても・・・いつまでもいつまでもおかしな世界で・・・おかしな人たちと・・・おかしなことをやっていてくれよ・・・と思えるドラマがあることは・・・一部愛好家には幸せなこと。

どうせ・・・世界は「ライ麦畑でつかまえて/サリンジャー」を読んだことのない人たちの方が多数派なんだから。

たとえ累計6000万部の超ベストセラーだとしてもさ。

そういう人たちには一生わからない事柄というのがあって当然なんだからね。

もちろん、いくらホールデン・コールフィールドが落ちこぼれに手を差し伸べようとしても暗い輝きに心を寄せる人々の運命は変らないもの。

それは何かを知ったからといって人が常に良くなるとは限らないってことの暗示なんだからね。

で、『海の捜査官・第4回』(テレビ朝日100820PM1145~)脚本・演出・三木聡を見た。すっかり、貴重な脇役として定着した感じの松重豊はここでは南熱海警察署署長の拾坂を演じているが、「夏の恋は虹色に輝く」(フジテレビ月9)では同時にタレント事務所社長・青木も演じている。さらには「MM9」(TOKYO MX土深夜)においては気象庁特異生物部部長・久里浜も演じている。気象庁特異生物部ってなんだよ・・・という人は自分の目で確かめてもらいたい。特異生物部対策課機動班・班長(高橋一生)だし、ベテラン班員・朏(みかづき)万里(尾野真千子)とか新人班員・藤澤さくら(石橋杏奈)とかファンにはたまらないメンバーがひっそりとM(いわゆる怪獣)と日夜戦っています。まあ、そんなことを知ったからって人生が薔薇色になる人は限られているだろうけどね。

さて、起承転結で言えば今回は「結回」である。だからといって何かに決着がつくわけではないのはご承知の通り。しかし、世の中には「一話完結でないと・・・来週まで内容を覚えていられないかわいそうな人」がいるのでものづくりに携わる人間はいろいろと気を使う。

そこで・・・これまでのことを整理しておくということで捜査会議が開かれたりするんだ。

「やりっぱなし追放の週」と題された会議の出席者は・・・。

広域捜査官・星崎クルーゾー(オダジョー)

広域捜査官・北島(栗山)

南熱海警察署拾坂署長

婦人警官・ケイトー光子(ふせえり)

犬塚ゴロー発見保安官助手みたいな署員(少路勇介)・・・。

「うぬぼれ刑事」と「熱海の捜査官」をつなぐバーテンダーで有能な助手である。今回は日本国に併合されてよかったいにしえの琉球王国の高校球児たちが熱闘甲子園で花開いているので二つの番組に時間差があるのだが、その間をNHK総合が「うぬぼれ刑事」でゲストの犯人役だった小泉今日子と「熱海の捜査官」でレギュラーのヤクザの朱印組長(松尾スズキ)が東京の深夜をそれとなく撮影したスケッチVTRを見ながらなんとなく語り合う「終電。」という仮題が「夜のピクニック」だったしょうもなくおしゃれな特別番組があって見事につないでいたりする。日韓併合100年で歴史を知らないものたちが大日本帝国の半島における同化計画についてなんだかんだいうわけだが・・・たまたま失敗した例であって成功している例もあるのを知る必要があるだろう。それと悲惨な戦争に敗戦して国家が消滅したことは・・・まったく別問題と考える思考方法もある。相対的に絶対を考え、絶対的に相対を考える柔軟な思考こそが麗しいのじゃないか。

そういう柔軟な思考がなければ楽しめないことってあるんだよ。きっと。

だから・・・捜査員たちが考える事件のポイントが本当にポイントなのかどうかも怪しいのさ。

①海底から発見されたスクールバスの座席の下から発見されたカセットテープ

②スクールバスの消失に関係したかもしれない謎の老人・蛇川(小野栄一)

③失踪した蛇川の自宅の畳の下から発見された二人の少女の踊るビデオテープ

④美少女B・椹木みこ(山田彩)が援助交際をしていたかもしれないレプス陶芸クラブ

⑤発見された美少女A・東雲麻衣(三吉彩花)が思い出した言葉「ライン

⑥消失事件前日に美少女四人が全裸の新也(山崎賢人)を写生した裸のデッサン

これらは結果から考えれば線で結ばれると星崎は曖昧に断定する。曖昧に断定できるのかよ・・・と考えてはいけないんだよ。「ライン」なんてそれだけでただ「線」だし・・・。

これだけは曖昧に断言できる。何ひとつ解明されていない・・・らしい。

ここで・・・整理ということについて考えてみよう。まず、時系列の整理という手がある。

つまり、挿入する前に愛撫するか、愛撫してから挿入するかでいろいろな違いがあるということなんだ・・・例としてどうかなって言うんだろう・・・ボクもそう思うよ。・・・ってお前誰だよっ。

ともかく・・・もう一度、時間を追って整理してみよう。

①三年前の4月9日にバス消失事件発生

この時、謎の老人カセットテープが関係しているが・・・カセットテープが事件前に隠されていたのか、それとも海底で仕込まれたのかも不明なことは言うまでもない。

また、ビデオテープに残されたみこと東雲の姿が失踪前のものなのか後のものなのかも明らかにはされない。

なんとなく・・・カセットテープもビデオテープも失踪前のものと思わされているだけなのかもしれないよね。

事件前日、「ひみつのしゃせいかい」が行われたことは敷島が星崎に証言し、何度も全裸の男のお尻を愛する一部愛好家のための回想シーンが挿入されるのでほぼ事実なのだろう・・・古典的な痴漢行為にコートの下は全裸男という変態例があるわけだけど、これは三木聡の潜在的な変態願望が露呈していると考えることもできるんだ。わかるだろ・・・彼は「ああ、もしボクが美少年だったら・・・ボクの全てをさらし、美少女たちにスケッチしてもらうこともできるのに・・・そして美少女たちにボクのすべてを凝視されて、ボクはすごく感じるだろうなあ、それはまるで天国かも」と耽溺しているとボクには思えるんだよね・・・だから、お前、誰なんだよ。

②三年前の4月12日に南熱海のバス停で意識不明の東雲麻衣が発見される。

③およそ三年後の3月14日に南熱海総合病院で東雲麻衣が意識を取り戻す。

④3月15日に星崎と北島が南熱海に到着。合同捜査開始。

⑤3月25日に永遠の森学園の裏山にあるインターネット上の宗教の聖地に行方不明の美少女Cである教祖・月代美波(佐倉絵麻)から「もうすぐ帰る」のボトルメッセージが届く。

・・・ということなのです。

④~⑤・・・整理しすぎだろう。

整理なんてそういうもんですよ。どれが重要で重要でないかを判断するのは整理される人の気持ちなんか考えないで行われるのです。・・・だれが人員整理の話をしろと・・・。

いや、同じですよ。整理の気持ちはボクにはよくわかるんだ・・・だから、お前誰だよ。

まあ、とにかく、詳しいことは公式ページを見ればわかるんだよね。それでいいんじゃないのかな。ライ麦畑の側に崖っぷちがあるのかどうかなんて原爆落とされた広島市民にしてみればどうでもいい話なんだしね・・・何の話だよ。

つまり、タフなヘミングウェイとヘタレなサリンジャーは相性最悪ってこと。

お前・・・ホールデンの擬似人格か・・・まあ、青春の残滓だからな。

とにかく、今回は北島と「空と海と虹の会」代表の平坂(萩原聖人)が堤防で赤い夕陽を見た翌日の・・・3月23日から始まるのである。

刑事たちはそれぞれアミダで決められた項目の検証に着手するのだった。

その頃、永遠の森学園の校長室では校長の宇喜田(津村鷹志)とかっては美少女だったが美人教師かどうかは微妙な敷島(藤谷文子)がミステリアスな会話を交わして思わせぶりを展開する。

校長「事件に関することは情報公開してください。私は事件解決を願っている」

敷島「校長先生と阿久根寮長(宮田早苗)の関係とかもですか」

校長「それは絶対秘密です」

裸のデッサン担当の星崎はモデルとなった新也に再度事情を聴取する。

星崎「どうも・・・よくわからない・・・君はどうして裸になったのか」

新也「二つに一つだと思うんですよ・・・監督がボクの裸を見たかったか・・・それともボクの全てを見た美少女たちの反応を見たかったのか・・・しかし、そんなぶっちゃけた話をしてもなんなので・・・ここは愛の話をしましょう。ぼくは四人の少女たちから愛されていたのです。だから彼女たちがそうしたいと言うのなら・・・裸にでも何でもなりますよ・・・愛のために」

星崎「大体わかりましたよ」

・・・おい、この調子で全部書くのか?・・・なにしろ書きっぱなしだからな。

星崎「君はそのすべては説明できない愛のデッサンを保管してないの」

新也「それはありません(燃やしたので)」

星崎「敷島先生が持っているということは」

新也「さあ・・・敷島先生とは(絵を燃やした夜に)キスしましたけど」

星崎「え・・・」となんとなくもやもやする星崎。

新也「それが・・・なにか・・・」

星崎「いや・・・ちょっと(もやもやした気持ちを)整理させてくれ」

もちろん・・・星崎は敷島に対してよからぬ気持ちを抱いていたので敷島と新也のキスという衝撃の事実にさらによからぬ気持ちを抱いてしまったのである。

その整理のつかない気持ちを抱いたまま、敷島と遭遇した星崎は女生徒にヌードを描かせた男子生徒とキスをした女教師である敷島に普通の男としてちょっと腰が引けるのだった。

まあ、ボクたちのようなヒッピーでフリーセックスな世代には想像もつかないおかたい感じだよね。この主人公は・・・お前、もういいよ。

敷島「今度お食事でもいかがですか?」

星崎「これは・・・差し出口ですが、あまり生徒と(性的)関係をもたれない方がよろしいのでは?」

一瞬で事情を悟った敷島は口の軽い新也を懲罰的に張り飛ばすのだった。

陶芸クラブ担当の拾坂署長は昔の恋人でリストカットの過去がある経営者の洲崎(広田レオナ)の潮騒の聞こえるマンションを訪問する。

そこで「売春斡旋の罪を見逃す取引で失踪当時中学生だった椹木みこの重大な秘密を聞き出すこと」に成功する。

拾坂は洲崎が耳元で囁くその情報に「えーっ・・・」と驚くが情報の内容はもちろん秘密にしっぱなしである。悪癖が追放されたためしはないのだ。

一方、やりっぱなし案件には入っていない「バス発見と堤防建設による海流変化の関係」についてNPO「空と海と虹の会」の施設を訪れた北島は平坂手作りのゲソたっぷりシーフードカレーとうなぎのヌルヌルを使った面白い実験でちょっとしたよこしまな気持ちを平坂に抱く。

そこへ・・・もやもやした気持ちを抱えたまま星崎が合流。

相棒たちはちょっとした諍いを車内で起こす。

星崎「あの男を好きになっちゃったのか」

北島「一度したくらいで・・・いい気にならないで・・・」

星崎は右折をする。人気のない場所で・・・二度目をするためにである。

事後の二人の暗示は車外に出るために着込むコートでなされる。つまり、二人は二度目の行為のために乱れた着衣を正したのである。そして・・・その行為で車内にこもった換気をする必要があったのだ・・・もちろん、この妄想をする人としない人がいることは想定内です。

とにかく・・・二人は二度目をした証拠にすっかり仲良くなっています。

「堤防が出来て海流が変ったためにバスが発見された・・・とすれば」

「何者かがバスを発見させるために堤防を作ったという可能性もある」

「でも、ただの偶然かもしれない」

「しかし、不可解な事件なので裏が必ずあるっていうこと」

「さっきは言いすぎたわ・・・ごめんなさい」

「ぼくの方こそ、くだらない嫉妬が生んだもやもやの憶測だったよ」

微笑みあう二人は・・・仲睦まじい相棒として復活した。あたかも夫婦喧嘩の後で合体仲直りをしたカップルの如く。・・・でしょう。まあ、妄想したければすればいいさ。

そして南熱海の潮風はカーセックスで温まった星崎の愛車を過剰に冷却したのだった。・・・いい加減にしておけよ。

とにかく「堤防が誰の意思で作られたのか」を至急に調べることになったのである。

担当は犬塚である。南熱海市役所土木課を訪ねた犬塚は、マトリョーシカ式ダルマ型盗聴器により、藁久保土木課長(光生)の「堤防は市長関連の案件だから秘密に・・・」という情報を入手する。見かけより優秀な男というお約束なのである。

その頃、今のところ、見掛け倒しの四人組は、事後であることをなんとなくごまかす寒い芝居の後で、クルーゾーVSケイトーのくりかえしのギャグ、ケーキを開けたら黒板消しと見せかけて嘘の因縁話でしんみりしたりしている。表面と中身の差異という尽くしなのだな。

結論は・・・「椹木みこはただの淫行少女ではないかもしれない」なのである。ここはどこからそんな結論が・・・という軽いジャブである。

一方、夜の南熱海興行(朱印組)事務所。レミー(二階堂ふみ)による「市長恐喝計画」に便乗した朱印組長(松尾)と鮫島専務(緋田康人)のその後である。

口からでまかせだったレミーは計画を中止したいが二人の極道は差し迫った現金入手の事情があった。

鮫島専務は・・・元はまともな社会人だが詐欺事件にからんだ過剰な暴力行為で身を持ち崩しているがレミーと同い年の娘がいるために仕送りしなければならない。

朱印組長は・・・不況のために密入国の手引きをしていたが下請け業者が密入国者満載のトラックで交通事故を起こし、契約不履行で追い込みをかけられているのである。

レミー「しょうがないわねえ・・・」

犬塚の掴んだ情報と陶芸クラブでの淫行疑惑で星崎は藁久保に「堤防建設」の情報開示を迫る。

脅しをかけられた藁久保は酒の入ったグラスをパリンとは割らずにトマト・ジュースの入ったコップをぐにょっと握りつぶすのだった。とても残念な感じが痺れます。

夜霧に包まれた学園寮。東雲麻衣にボトル・メッセージが届く。

東雲さん・・・あなたを探していました

その言葉を見つめる東雲麻衣。

明けて3月24日。しかし、この酷暑の夏に春のドラマを・・・これが一番のボケだな。

早朝の先発バスを送り出した阿久根寮長は寮の裏の林で邪悪なものに遭遇して卒倒する。

東雲麻衣、レミー、新也、そして野々山まどか(岡本紗里)の四人を乗せたバスはあの日と同じように永遠の森学園へと続く道を走る。

レミー「また・・・ボトル・メッセージが届いているらしいよ」

野々山「じゃ・・・月代美波がどこかにいるってこと・・・?」

その時、あの日と同じように路上に横たわる人影。

「私たちも消えちゃうかも」と興奮するレミーだったが、東雲は「大丈夫」と冷静だった。

あの日と同じようにサイドブレーキをかけた運転手の新宮寺(山中聡)は様子を探るためにバスを降りる。

突然、ナイフで襲い掛かる仮面の男。格闘の末、玩具のナイフに気がついた新宮寺は相手をノックアウトする。

仮面の下には・・・。

その頃、熱海南海荘では星崎と北島が朝食をとっていた。北島が「一人で大変ですね」と余計な一言を言ったために主人の相模の結婚を考えていた仲居の売り上げ持ち逃げかけおち事件が発覚する。ただし、ケイトーの兄の言うことなので信憑性は全くない。

そこへ、バス襲撃事件の連絡が入り、広域捜査官は緊急出動するのだった。

オチを言う前に取り残された風な相模を山鳥の啼く声が優しく包む。

逮捕された男は京極(裵ジョンミョン)で密入国者満載のトラックの運転手で、下手を打ったために逃走資金を稼ごうとしていたとこわもての北島の特殊な取調べで泣きながら自供する。

その所持品からは割れた銭かえるや所持金1564円とともに椹木みこの写真が発見され、京極は掲示板で知り合いしばらく交際していたことを主張する。

「人を殺してしまえるほど頭がいいので・・・別れた・・・あの事件もみこが計画し、残りの二人は殺されている」と推測を述べる。

しかし、つい口がすべり北島に「ブス」と言ってしまい、気がついた時にはすでに死人の顔色になっていた。

保護されたレミーは「退屈な日常からの脱出」が叶わず、迎えに来た父親である市長(団時朗)から玩具売り場を梃子でも動かない幼児のようにふんばって逃れようとする。

そんなレミーを哀れに思う新也だった。

そこへ星崎が東雲だけに事情聴取をするために現れる。

その頃、新宮寺は金一封として3000円を贈られ、微妙な金額に敷島と顔を見合わせるのだった。

市役所に戻った市長は「陶芸クラブの秘密について3000万円を要求する」強迫メッセージが届いていることを知り舌打するのだった。

その頃、星崎は堤防に藁久保を呼び出していた。しかし、「地方行政に杜撰はつきもので堤防の推進者は誰か・・・全く不明」とシラをきる藁久保。

その慇懃無礼な態度になんとなく情けなくなる星崎だった。自分も同じ公務員だからである。

その夜、星崎はイエスノーランプについて伺いを立てる。

椹木みこはただの淫行少女であるのか?

おい、淫行じゃなくて援交少女だぞ・・・失敬。その答えはノーを示す赤ランプだった。えーと・・・それは流れからイエスノーランプに聞くまでもないことだ・・・というギャグなのかな。どう考えても椹木みこはただの援助交際少女とは言えないのである。失踪前、中学生だし・・・。

北島「どうやら彼女はただのえんこうさんではなかったようね」

星崎「そのようです」

明けて3月25日。星崎は東雲から何を聞きだしたのか・・・不明のままです。まあ、何も聞き出せなかったということですな。

永遠の森学園で新也から約束のノートを受け取る前に「ライ麦畑でつかまえて」を読んでいた東雲麻衣。その後、頭上から何者かがガラスの器を東雲めがけて落とす。

しかし、寸前で足を止める東雲だった。

事件が動いているかどうかは別として何者かの悪意の存在が初めて示されたのだった。

このドラマとしては・・・実はこれが最初の本質的な事件なのである。

あの事件のただ一人の生存確認者が何者かに命を狙われている。

今、新たなる事件の幕開けなのだな。・・・長い前フリだったよね。四回ほとんど使って序章ということなのだもん。

星崎たちは椹木みこを分析するためにテスト用紙を閲覧する。

その結果わかったことは北島と桂東の最低点が5点だが、星崎が88点だったことではなくて・・・椹木みこのテストの成績が中学二年の夏休みから極度に悪化することであった。

たちまち、かえるちん化現象を起こし、アニメ声になる北島と桂東。

北島「中ニの夏休みにデビューかしらん」

桂東「デビューしたかもかしらん」

二人とも・・・かわいすぎるぞ。

星崎「選択問題で全問不正解になるということは全問正解を知っていた可能性がありますかしらん」

北島「ものすごく不運だった場合もあるかしらん」

とにかく、椹木みこは夏休みに何かがあり、年末には援交少女になっていたらしい。

カセットテープ担当だったらしい鑑識の坂善(田中哲司)はカセットテープには今のところ、「何の証拠にもならない」という結論を伝えに来る。挨拶を含めて無駄な時間を排除したいのは用件が済んだら帰る前に温泉に入る時間を確保するためであるらしい。

有能な犬塚は広域捜査官への推薦状を手に入れるらしい。

その頃、トイレのために学園内で単独行動をとった星崎は「五芒星の中に目の描かれた赤いカード」を入手する。

謎の女生徒の集団から「あまり深く立ち入らないことです」と警告される星崎。

その頃、北島と桂東はスクールバスの中に篭る敷島と新宮寺を発見する。

「車の中で何をしているのかしら」という桂東の問いに星崎とのカーセックスを連想して顔を赤らめる北島だった・・・いい加減にしておけよ。

星崎は東雲と新也から赤いカードの情報を入手していた。

東雲「学園を中心とした宗教のシンボルです。私が中学生の頃からあったので記憶にあるのです。その宗教の教祖は月代美波でした・・・」

シンクロしながらフルーツ牛乳を飲み終わった北島と桂東に合流した星崎。

おなかがゴロゴロとして桂東はトイレへと向かう。

残った二人の広域捜査官は禍々しい学園の校舎を眺めポーズを決めるのだった。

もちろん、事件の幕開けを告げる凶鳥が飛ぶことは言うまでもない。

そして・・・その夜・・・謎の聖地に集った謎の宗教の謎の信者たちは「入学式に戻る」という教祖を讃えて怪しいダンスを踊るのだった。

まもなく私は帰ります・・・一つの真実を携えて・・・

ボトル・メッセージの送り手ははたして・・・。

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月曜日に見る予定のテレビ『ハンチョウ』(TBSテレビ)『夏の恋は虹色に輝く』(フジテレビ)

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2010年8月21日 (土)

迷宮入りのアンドローラ膝小僧感じる?(小泉今日子)刑事物語マラカスの詩(長瀬智也)

コネタ系で言うと武田鉄矢演じる片山刑事を主人公とした映画「刑事物語」シリーズ(1983年~)に「刑事物語2りんごの詩」とか「刑事物語3潮騒の詩」などがある。フーテンの寅さんテイストで・・・毎回、片山刑事が事件を解決して失恋というお約束になっている。

金曜日の作家たちは元ネタがわからないようなことばかりをして遊んでいるわけである。

そういう意味で1982年に犯行があり、時効直前の1997年に犯人が逮捕された松山ホステス殺害事件の加害者である福田和子の名前も・・・彼女が2003年に服役中に病死したことも知らない人も意外にいるかもしれないのである。

何を知っていて何を知らないか・・・そういう「知識の共有性」というのは予想外に成立しないということを自覚している人は多かったり少なかったりするのである。

「日本人は韓国の歴史問題について無知だ」などという馬鹿な知識人がいるわけだが、「知」というものについてもう少し認識してもらいたいものだ。

ドラマの中で、主人公のうぬぼれ(長瀬)が2010年4月から「死刑に当たる罪について公訴時効が廃止された」ことを刑事のくせに知らないことを先輩の町田刑事(小松和重)は驚くわけだが、そういう人は多いかもしれないし、場合によっては「殺人事件にかって時効があったこと」を知らない人もいるかもしれないし、「時効」がなんなのかを知らない人だっているだろう。

知には誰が何を知っていて、誰が何を知らないか・・・という知も存在するし、それを面白おかしく思う知もあるのだな。

そして・・・ほとんどの物事は知れば知るほど面白いのが普通なのである。そこに立っているだけで涙が出るほどかわいかった80年代のキョンキョンを知っていればこのドラマがより面白いのが知というものなのだ。

そして知とは基本的に移ろうものだ・・・知ったことを忘れるのが人間というものだから。

で、『うぬぼれ刑事 マラカスの詩(第7回)』(TBSテレビ100820PM10~)脚本・宮藤官九郎、演出・土井裕泰を見た。心はお天気で変わるし、六本木は広すぎるのである。そして言葉だけでは愛は伝わらず、男らしさを立てないとうぬぼれと呼ばれるのである。1984年にアン・ルイスが唄ってからもう26年も経過しているのだな。しかし、夜の蝶がカラオケで歌う歌としてはミラーボールが回るほどに馴染んでいるのである。

ちょっと前なら時効寸前だった殺人事件からタイムリミットが消え・・・果たして終らない夏休みに夏休みの宿題が終るのかどうか・・・刑事たちの怠惰な気持ちが疑われる今日この頃なのである。

凶悪なすっぴんメイクの「世田谷区医師殺害事件」の容疑者・福原直美(小泉今日子)指名手配写真にちょっとピンとくる世田谷通り警察署の現在のエースうぬぼれ。かってのエースである町田警部は・・・「重大犯罪の時効がなくなったこと」を失念している後輩を諭すのだった。二人のエースが存在していることを失念するとオチが効かないので注意が必要です。

うぬぼれたちが集ううぬぼれ酒場では・・・自分に惚れているしかない・・・異性に愛されない男たちが週末を過ごしていた。うぬぼれ仲間のいるその空間はあまりにも居心地がいいために時を忘れさせる。そのために彼らは30時間もそこで飲み続けていた。今回のスポットライト・レギュラーである栗橋教授(坂東三津五郎)は70杯のマティーニを飲み、バーテンダーのゴロー(少路勇介)の足は棒になっていた。

そこへ真っ赤なドレスの怪盗ルビイ・・・ではなく、謎の女・板倉里奈(小泉)が現れるのだった。里奈は栗橋の短大の平成元年の卒業生だと名乗り・・・栗橋は記憶にはないが話をあわせる。なにしろ・・・22年前の話である。

里奈はウォッカ・トニックを飲み、上機嫌で穴井(矢作兼)のつまらないギャグも大受けの笑い上戸。

やがて、氷ぬきのウオッカ・トニックを飲む頃には不機嫌で「どうせ、私のこと嫌いなんでしょう」と言いながら氷のような辛辣さでうぬぼれた心を打ち砕く説教上戸。

そして、トニックぬきのウオッカ・トニックを飲んだあとには眉間にしわを寄せるのだった。

酒を飲み始める前に嗅いだ里奈の香水の匂いに心を奪われたうぬぼれは・・・苦悩を浮かばせる里奈の眉間に惚れたのだった。

しかし・・・そのしわは・・・実は飲みすぎて嘔吐の前兆だった。

だが・・・お茶の間はもちろんのこと、うぬぼれの周囲の全員が・・・里奈が犯罪者であることを知っていた。なにしろ・・・うぬぼれが惚れてしまったからである。

そんなことはうぬぼれの父親・葉造(西田敏行)に伺いをたてるまでもなく明らかなのである。

冴木刑事(荒川良々)とうぬぼれは直美の足取りを追っていた。全国津々浦々を顔見世巡業さながらに渡り歩く・・・直美。

「まるで・・・捕まえてほしいと言ってるみたいだ」とうぬぼれは感じる。

報道されている事件のあらましは・・・再現ドラマとして語られる。

殺された医師は安藤和馬(坂東・妄想キャスト)・・・里奈(小泉)は安藤家のメイドで安藤の妻・サツキ(森下愛子・妄想キャスト)の目を盗んで不倫関係にあった。妻の留守中に二人は「かっけ診断プレー」で「うふん、あはん、そこはだめ」とエロスの世界を展開する。クドカンはキョンキョンのツボを憎いほど心得ているのである。いや、別に膝小僧が性感帯という話をしているわけではありません。

恐ろしいほどのかわいさを持ちながら・・・どこか知性的・・・そんな矛盾した存在感こそ・・・女優・小泉今日子の持ち味なのである。

これに・・・不幸な境遇が加われば鬼に金棒なのである。

そして、同時にサルのキグルミが史上最高に似合うアイドルなのでござった。

妻が歌舞伎の夜の部ではなく昼の部を見に行ったことから、不倫が発覚、ヒマを出された里奈は恨んで安藤を絞殺するに至った・・・。

やがて、逃亡生活を続ける里奈は15年間、警察の追及を逃れ居場所を転々と移って過ごした。

その途中では捜査中の刑事(生田斗真・妄想キャスト)が里奈(遠山景織子・妄想キャスト)に捜査情報をもらし、逃亡を手助けする不祥事がすでに発生していた。小泉今日子がヒロインの「マンハッタンラブストーリー」では劇中ドラマで軽井沢夫人を演じるのが遠山で、そのドラマの脚本家が森下である。ちなみにダンサー役で及川光博が登場するが・・・彼は伝えたいことをダンスで表現するという役柄だった。

今回、うぬぼれと里奈=直美が踊りだすシーンはそのことを思い出すとさらにニヤリ感が増します。

一方、事件当初から捜査に携わる町田と被害者の安藤家を訪問したうぬぼれは・・・被害者・和馬(村松利史)の妻・サツキ(木野花)が余命いくばくもないことを知る。そして・・・町田が仄かにサツキを慕っていることを感じると同時に・・・サツキの匂いが里奈と同じ匂いであることに気がつくのである。

そして・・・サツキが犯人の逮捕を望んでいない様子であることにも気がつくのだった。

捕まりたい様な犯人。

犯人が捕まってほしくない様な被害者遺族。

うぬぼれの中に巣食う漠然とした不安。

それを打ち消すようにうぬぼれを唆す里恵(中島美嘉)だった。

「久しぶりに言うけど・・・君を好きにならない女なんていないよ・・・」

うぬぼれのうぬぼれは沸騰するのだった。

そして・・・原点に戻るかのように埠頭に戻る刑事と・・・容疑者。

「もうすぐ・・・時効になってしまう・・・だから私を逮捕して・・・」

「いいえ・・・時効はもうないのです」

「ええーっ」である。

真相などというものはすべて闇の中である。しかし・・・床掃除をすれば四つん這いのお仕着せのスカートの中身が極めてエロスなメイドの直美は次のように語るのだった。

「安藤のお屋敷はとてもステキな場所で・・・安藤の旦那様を愛することはメイドとして当然の奉仕活動だったのです・・・旦那様は不義密通の秘密を隠すために私に奥様と同じ香水を贈ってくださいました。私はそれで奥様の目を盗み、旦那様と秘密の関係を続けることを安心して行うことができたのでした。しかし、奥様はすべてお見通しだったのです。奥様は旦那様を愛していて、私も旦那様を愛していて、旦那様は奥様を妻として、私を愛人として愛している。そういう円満な三角関係でございました。もちろん、そういう関係を不純だとか、私が性的奴隷に甘んじているとか批判する方々もおありでしょうが・・・愛の形にルールなどはないということをお知りになっていないだけなのです。やがて・・・奥様が私と旦那様の関係をなぜお許しくださったのか・・・私が知る日がやってきました。旦那様は末期のガンで・・・余命はいくばくもない。そして・・・旦那様は愛するものの手にかかって死ぬことを強くお望みなのでした。奥様にはわかっていたのです。旦那様が私の手にかかって死にたいと望んでいることを。大恩のある奥様とお慕い申し上げる旦那様のたっての望みをどうして断れるでしょう。むしろ、私は喜んで旦那様のお命をお奪いもうしあげたのでございます。私の手の中で喜びに震えて断末魔をお迎えになった旦那様、そして涙を流して感謝してくださった奥様・・・私は幸福感を感じると同時に・・・自分の犯した罪の重さに震えたのです。奥様は私に逃走資金を援助してくださり、そして奥様に好意を寄せる町田刑事から捜査情報を聞きだし、逐一、私に報告してくださいました。ご夫婦のために逃亡生活を送る私の身を案じて、時効が来たら二人でゆっくり旅にでましょう・・・と奥様は口癖のように言ってくださいました。それも夢のように楽しみでしたが・・・罪を犯した私は人としてその償いをしたい思いが日に日に増していったのです。同時に愛する旦那様と優しい奥様と私の愛について誰かに知っておいてもらいたい・・・そういうえもいわれぬ気持ちもともにわきあがり・・・私の心は乱れたのです・・・ウオッカ飲むかマラカス振るかせずにはいられないほどに・・・私は・・・楽になりたかったのです・・・町田さん」

うぬぼれは直美に「サツキに心を奪われた世田谷通り警察署のかってのエース・町田刑事」だと思われていたのである。

では・・・直美は町田刑事のことをどう思っていたのだろうか。もちろん、サツキが町田を憎からず思っていた以上・・・直美もそれに準じた気持ちを抱いていたのだろう。メイドたるもの・・・夫人の好みに沿うのが務めだからである。

こうして・・・わからない人にはまったくわからないように思える・・・円満な三角関係と・・・うぬぼれの失恋は同時に成立したのだった。

とにかく・・・ここまで異常な愛を淡々と表現する小泉今日子・・・類稀な努力家だな。

そして・・・うぬぼれを讃えるヘイヘイヘイの歌が今夜も聞こえてくるのだった。

関連するキッドのブログ『第6話のレビュー

日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)『多部未華子のGM・踊れドクター』(TBSテレビ)

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2010年8月20日 (金)

あなたに見えないものは他人にも見えないというそんなあ(長澤まさみ)ゴールドよりダイヤモンドだね(佐藤めぐみ)

さて、愛読者の方はご存知だろうが・・・キッドはホラー・マニアである。

もちろん、基本的におタクなので・・・実際には万物のマニアなのだが、とりわけホラーは好きだ。

しかし、エンターティメントとしてのホラーの最大の問題点は霊感商法などの詐欺ビジネスとの境界線が曖昧という点である。

水木しげるがお化けの実在を語れば語るほどどこかでお化け詐欺に騙される犠牲者が出るわけである。

だが・・・そんなおばかさんにあわせて生きていては面白くないわけだ。

まあ・・・要するに「死後の世界を信じる人間」と「死後の世界を信じない人間」の両面を人格に内包しておき、サイフは後者に預けておくのが無難だということである。

ラブが好調になる壺を売りつける輩と神社仏閣教会などの墓地管理系企業を同列に扱うのは論理的ではあるが社交的ではないとか・・・何かを信じないと不安になるタイプの人間は何かを信じるしかないのでよろしいなどと折り合いをつけるしかないわけである。

まあ、とにかくキッドの灰色の脳細胞は「広島」とか「長崎」とか「沖縄」とか「東京」とかの地名を思い出すだけで「神も仏もない」という信念の自動スイッチが入る仕掛けになっています。ただし・・・その場合、悪魔の実在は否定できないのです。

だから、基本的には「GOLD」は毎回、大爆笑しながら視聴しています。

で、『GOLD・第7回』(フジテレビ100819PM10~)脚本・野島伸司、演出・河毛俊作を見た。前回に引き続き、日本の法律では従兄妹の間での婚姻には何の問題もないことを強調しておきます。実際、現在の日本の総理大臣・菅直人の妻・伸子夫人は夫・直人の父親の妹の娘であり、二人は従兄妹の関係です。もちろん・・・このドラマの世界が実在の日本である必要はないために・・・おそらく、従兄弟同士の結婚を異常に忌み嫌う異世界の物語と脳内補完するか・・・脚本家がちょっと頭おかしくなっているかのどちらかをチョイスすることも可能です。

ちなみにこのドラマでは実は主人公の早乙女悠里(天海祐希)と自殺した兄・早乙女修一(水上剣星)には性的関係があったと暗示されているわけですが、兄妹で性行為すること自体には問題ありません。ただし、兄妹は二親等ですので婚姻は法令によって認められません。

さらに今回は、自殺した兄が人妻と不倫した時に作った子供である宇津木洋介(綾野剛)と悠里が抱擁を交わすシーンがあり、この時、洋介に対して悠里はかなりの確率で性的欲望を感じたと推察できるわけですが、二人の性行為にも何の問題もありません。しかし、叔母と甥は三親等ですので法令によって婚姻は認められません。

つまり、婚姻関係の可否という点では・・・

悠里と修一(二親等の婚姻)→NG

悠里と洋介(三親等の婚姻)→NG

晶(武井咲)と洋介(四親等の婚姻)→OK

ということです。日本の法律ではそう定められています。

よく、近親相姦では遺伝的な疾患の発現が問題となりますが・・・遺伝学的には近親であろうがなかろうが両親の因子の配合が問題なのであり、実際には近親相姦の問題は社会的な問題に帰すると言えるのです。たとえば性的関係の強要などが起こりやすいこととか、遺産相続の問題などでもめるから・・・ということでございます。ケケケ。

経済的な支配階級に属する悠里は・・・指導者として有能に振舞っていますが・・・その心は苦渋に満ちていることが明らかになる今回。

早乙女家の婿となった夫・明石辰也(寺島進)は成りあがりものの悲しさでひがみ根性から自暴自棄となり、暴飲暴食の果てに愛人を作って家出、悠里に離婚を迫った愛人の暴力で悠里は第四子である朋(大江駿輔)を流産していたのだった。

もちろん、秘書のリカ(長澤まさみ)は霊感によって悠里の想念結晶体である朋の存在を感知していたのである。

リカが霊能力者として未熟なのは現実と霊的存在の区別がつかないところなのである。

分類としては「役に立たない超能力者」と言えるだろう。

人々は超能力に憧れるものだが・・・実際に持ってみると不便なことは多いのである。

たとえば「触れるものをすべて黄金に変える能力」の場合、いつも「あ~ん」して食べさせてもらう必要が生じたりして大人としては恥ずかしいことになる。

究極の超能力は何かというと・・・それは人それぞれであるが、超能力業界では次のようなものが「役に立つ能力」とされている。

その①「千里眼」・・・基本的には時空間の視聴者である。単に遠くのものが見える場合には視力がいいのと区別がつかないわけであるが、地球の裏側だとか、一万光年先を霊視するようになるといろいろと便利である。たとえば「はやぶさ」がちゃんと軌道に乗っているかなどをチェックできるのだ。さらに「昔のこと」や「未来のこと」まで見えるようになると犯罪の捜査や歴史認識などに有利だが、無能力者に理解を得るためには実証する必要があり、「正解」を知っているだけで結局、解き方を知らないと役に立たない。未来予知に関する「予言」能力も・・・せっかく予知して告知しても「偶然」の一言で片付けられればはいそれまでよ・・・である。

その②「不死身」・・・貞子や富江など数々のスーパースターがいるので今さらと言われるし・・・高いビルから落ちてピンピンしていても「あなたって丈夫ねえ」の一言で片付けられることが多い。

その③「願望達成能力者」・・・その他にもいろいろな能力があるわけだが、今回は「幸運」をもたらす女・神代麻衣子(南沢奈央)が登場するので、これについて述べておこう。「こうなってほしい」ことが実現するというのは「個人選択」と「自然選択」の場合がある。どちらかといえば神がかっているのが後者である。「落ちる飛行機」と「落ちない飛行機」があって必ず「落ちない飛行機」が割り当てられるという能力だ。一般人はこういう人を「運がいい」と言うわけだろう。だが「飛行機が落ちないようにできる」という能力があるわけで・・・これがより「願望達成能力者」というニュアンスに近くなる。

「好きになった人が必ず好きになってくれる」とか「料理が絶対に美味しい」とか「嫌な奴は即死」とか・・・物騒な能力で・・・オチとしては「一瞬の気の迷いが叶う」という展開がベタである。

母親に叱られた子供が能力者の場合、「ママなんか死んじゃえばいいのに」と思った瞬間にママ心臓発作で子供泣く展開である。しかし、さらに強力になると子供が後悔した途端にママ復活という手もあります。まあ、火葬場から蘇ると腰を抜かす人が多いので注意が必要です。

とにかく、こういう能力者は確率論を否定していくように見えて実は「絶対というものはない」という矛盾の上に成立します。「不可能に見えて可能性がゼロでない以上つまり、絶対に否定できない」のです。

麻衣子の姉である沙織(佐藤めぐみ)は心にダイヤモンドの砂時計が流れているために、非常に理性的に利潤を追求しますが、麻衣子は何もしなくても利を得る体質なのだということです。

沙織は「リスクを背負ってギャンブルする必要はない」と語りますが、麻衣子には「リスクそのものがない」と信じる姉妹の父親(名高達男)は麻衣子教の信者ということです。

今回は昔はピカピカに光っていた千里眼(宮崎美子)も登場するのですが、実はある程度の超能力者である悠里には禍々しさを感じさせます。

物語の冒頭からの悠里とリカの対話を見ていれば一目瞭然ですが・・・リカが霊感少女であることを悠里は最初から知っているわけです。

この手のタイプは「千里眼」と「願望達成能力」の複合タイプと分類できます。

その名は「直感者(インテューター)」と呼ぶのがふさわしいでしょう。

たとえば、DNA鑑定の結果を待たずに洋介が甥であることを悠里はうっすらと感じますし、男たちが鑑定結果を捏造したことも一言二言話すだけで直感するわけです。もちろん・・・体験に基づいて類推しただけだと考えることも可能ですが、ここはあくまで超能力の話をしているわけです。

晶と洋介の交際の展開と結末なども悠里にとっては直感の範囲内に過ぎないわけです。

そのような超能力をもってしても・・・強力な願望達成能力者の障害が出現すれば無力ということもあります。

もしも両者が敵対関係に陥れば「直感ができない」という目が必ず出るわけですから。

悠里は政治家たちに「グレイのキライな自分は政治家にはなれないが・・・シロクロはっきりしていることは母親として戦争には絶対反対だ」と主張するのですが・・・「戦争は危険」という直感が現実の戦火の前では何の役にも立たないことは千里眼でなくても自明の理と言えるからです。

ともかく・・・リカと悠里は共闘する同志となったわけですが・・・いかにも悪魔に魂を売り払った感じの神代一族との戦いは・・・ハルマゲドンの様相を呈する模様。

原子や分子と会話できる念力者が登場した方が刺激的なのにな・・・。究極の超能力者たちは地味なんだよな。そういう点は「HERO」と比較しないように注意しましょう。

心理超能力の戦いにもそれなりにコクがあるものでございますから。

関連するキッドのブログ『第6回のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『志田未来のハンマー・セッション!』『吉高由里子の美丘・君がいた日々』(日本テレビ)

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2010年8月19日 (木)

君よ君こそがパワー・スポット(藤木直人)せんこう花火とホタルノヒカリ(綾瀬はるか)

さて・・・テレビ東京のお昼のロード・ショーは「らせん」→「リング」→「リング2」ときて明日は「リング0バースデイ」である。

それはさておき戦争ドラマと同じく、ホラーもパッとしない夏なのである。

映画「リング」(1998年~)シリーズから12年・・・久しぶりに見ても豪華キャストに感じるのは・・・逆に言うと「リング」に関った女優たちが・・・成功率の異様な高さを獲得しているということである。

リングといえば凄い死に顔が一つの定番だが・・・最初の絶叫女子高校生ヒロインは竹内結子である。初々しい死に様なのである。もちろん、物語を支える主人公は松嶋菜々子、中谷美紀、仲間由紀恵と豪華なリレー。「らせん」貞子は佐伯日菜子が演じていて一部愛好家は納得。その他にも麻生久美子や奥貫薫などが一昔前の初々しさで蘇る。そして「リング2」の絶叫女子高校生ヒロインは深田恭子なのである。少女たちの恐怖があってこそのホラー映画と考えると・・・「リング」シリーズの素晴らしさがよくわかるのである。

この辺りをじっくり語りたいくらいだが・・・それは後の機会にしておく。一つだけ言えるのは綾瀬はるかは2000年デビューなので「リング」シリーズには少し間に合いませんでした。いれば・・・凄い死に顔を見せてくれたことは充分に妄想できるのです。

・・・というわけで・・・レビューのホラー・ツアーはコチラから→「怪談新耳袋

まあ・・・戦争ドラマも怪奇ドラマもまとめて面倒見ている「ゲゲゲの女房」は凄いということである。

水曜日のダンスは・・・。

9係・・・16.2%↘15.6%↘15.1%↘14.0%↘13.7%↗15.2%↘13.3%↗15.3%

ホ2・・・・・・・・・16.2%↗17.4%↘15.1%↘14.9%↗15.3%↘15.0%↗15.3%

トレビアンである。

で、『ホタルノヒカリ2・第7回』(日本テレビ100818PM10~)原作・ひうらさとる、脚本・水橋文美江、演出・南雲聖一を見た。童貞と処女で結婚し、生涯一度も浮気をせずに天寿を全うする・・・まあ、究極のオンリー・ミー、オンリー・ユーを実現する男女が人類の何パーセントいるのかどうかはさておき・・・もはや・・・童貞と処女のまま、結婚する人がいるのかどうかも定かではないできちゃった結婚フリー離婚再婚上等の時代・・・。ピュアでオネスティーでイノセントなカップルはある意味、馬鹿馬鹿しいのですな。

大好きな部長(藤木)にプロポーズして受け入れてもらったと同時に瀬乃(向井理)に愛を告白されて胸がときめき・・・有頂天になると同時に後ろめたくもなり、自分を見失い、自分で自分をノックアウトしかかる蛍(綾瀬)・・・もはや・・・独壇場でございます。

さて・・・やはり・・・フランスが香り立つ・・・このドラマ。

部長の口から・・・シモーヌ・ド・ボーヴォワールの「第二の性」の有名な文句「人は女に生れるのではない。女になるのだ」が引用される。哲学者サルトルのパートナーとして20世紀におけるジェンダー(性差)の問題に点火した女である。まったく、面倒くさいことをしてくれたものだ。

このドラマでは「女性が社会的に作られた制度的虚構に過ぎない」とは言わない。

どちらかと言えば・・・ありのままの性への讃歌の要素が強い。

蛍に雌雄があるように人間にもオスとメスがある。

メスに生れた蛍はどんなに干物化しても女であることに変りはない・・・というニュアンスがそれとなく展開していくのである。なぜなら・・・このドラマは本質的には少女マンガだからである。

ボーヴォワールたちが言葉という虚構で破壊してしまった女性という虚構を・・・再構築することを目指しているように・・・「女らしさ」に郷愁を感じる展開なのである。

まあ、女が女らしくありたいと思うのが自然のように、女が女らしくありたくないと思うのも自然なのであるとキッドは一応断っておきます。多重人格の中にはフェミニストも含まれているものですから。つまり、結局は個人差ということです。

人間は果てしない欲望と、それを管理するこじんまりとした理性で運営されているので・・・部長への萌える貞操観念と、瀬乃へのほとばしる浮気心で・・・蛍は動揺します。

恋愛の神様に祈るわけです。

・・・私のような女に滅多にない機会・・・二人の男に同時に愛されるという幸運を少し楽しんでもいいですか・・・。

蛍・・・恐ろしい女である。ま、これが女の基本であるという考え方もあり・・・同時にそれが人の本性だとボーヴォワールなら主張するでしょう。

さて、この夜は「恋する日本語」といううんちくドラマがNHK総合でオンエアされたのですが・・・その中で北乃きいは「あえか」という万葉集から伝来する日本語に触れます。まあ、「あえかなる乙女」と言えば「はかなげで守ってあげたくなるような娘」という感じになる言葉でございます。

「あえ」という言葉は現代にも残っているわけで・・・たとえば「喘ぎ」です。「あえかなる声」がまあいろいろな意味でせつない感じであることを知っているのは大人であると言えるでしょう。「あえる」と言えば・・・混ぜ合わせること。男と女を混ぜ合わすことが「愛」の一つの形であることから・・・「あえ」は「あい」に通じていくことがわかるでしょう。「あえて」と言えば「間違う可能性があることはわかっているがそれでもなおやめられない」心情の前置きとなります。

そういう意味で「あえ」とは「ふたつのもの」という意味合いを持っています。たとえば「喘ぎ」は呼吸の一つです。もちろん・・・そこには「苦しそうな」というニュアンスが加わるわけですが・・・吸って吐く・・・つまり「息」の一つの状況を示しているわけです。

それを突き詰めると・・・いのちというものにつきあたりますな。

いのちがある・・・いのちがない・・・その球際でいのちがあることを「あえかなる」感じでとらえるわけです。

蛍の光は明滅いたします。ものすごくあえかなるホタルノヒカリという感じが成立するわけです。

それと同じように・・・蛍の部長への愛もあえかなるものだし、瀬乃への移り気もあえかなるものでございます。さらにいえば瀬乃への移り気が部長との愛をさらにあえかなるものにしていく可能性があるわけです。

このあたりのことを・・・ドキドキするほど知りつつ・・・つい危険な寄り道に心揺れる・・・それが蛍の醍醐味なのですな。

蛍は自分にボデイ・ブローを決めたり、ハート・ブレイク・ショットを連打するほど・・・恋のよろめきに興奮するわけですが・・・その乙女の姿は部長の目には「ゴリラのものまね」としか映らない。この二人が相性抜群というのがあえかなる人生の機微なのです。

一方、瀬乃はある意味、女性に対しては基本的に苦労知らず・・・「他に好きな男のいる女の手を自然に握ることのできるタイプ」です。

しかし、蛍としては意識してしまった以上、それは「友情の一線を越えること」と古風なシキタリで武装します。蛍はあくまで・・・「好かれていること」を楽しみたいのであり、「好きあう行為」は自粛するわけです。少なくとも・・・今のところは・・・。

なぜなら・・・「本命」はあくまで部長だからです。

しかし・・・「本命と清い交際しているのに・・・二番手と淫らなことをしてみたい気持ち」は蛍を揺さぶります。

だから・・・蛍は「結婚にむけて揺るがないためのパワーが必要だ」と感じるのです。

そこにやってくる・・・「パワー・スポット・ブーム」・・・思わず食いつく蛍でした・・・。

しかし・・・蛍のパワーへの欲求は基本的に動機が不純なのです。だから蛍は・・・。

部長に「なぜ・・・そんなにパワーが必要なのだ・・・」と問われても・・・沈黙を守るのである。

しかし、怪しいパワーアイテム販売員のサマンサ(森崎博之)のパワーマフラー三万円は即金で購入・・・そしてパワー・スポット探訪の準備としての水垢離は部長とのプレーの一貫としてエンジョイします・・・相変わらず変態カップルだな。

そして・・・部長を留守番に残して・・・パワー・ツアーへ・・・。普通のラブ・コメなら・・・ここには瀬乃が参加するわけですが・・・一筋縄ではいかないこのドラマでは密かに瀬乃を狙いながら・・・そのためには蛍に勝つ必要があると考えているけれど蛍を崇拝している後輩という複雑なポジションの桜木美香(臼田あさ美)が参戦するのです。

そして・・・その他大勢の男たちは美香にあえかなる女を感じてちやほやするわけですが・・・自然対応力ナンバーワンの蛍はまったくあえかなる感じがなくて・・・渓流渡りのプロのような足裁きを披露するのである。まあ・・・そこに惚れてしまう特殊な男がいるということなのですな。

一方・・・部長の方には・・・あきるほど女である小夏(木村多江)が登場。

蛍にはできない料理ができる小夏も女のクセに着付けができないという作戦です。

そういう意味で蛍のお弁当もつくり、アイロンがけも完璧で、男のクセに着付けができる部長はある意味、完璧な女です。

つまり・・・ボーヴォワールがやかましく言った末に仕上がった・・・男女の役割分担の相対化の権化が部長という構図。

つまり、部長はサルトルの実存主義とともにボーヴォワールのジェンダー論にも軽く共感を覚えているわけです。

しかし・・・かって部長にそれを語られたことのある小夏は大いなる勘違いをしていて・・・フェミニストたちを脱力させるという仕掛けです。

「私・・・女になる・・・というのは・・・あなたからあれこれされて・・・女の喜びを教え込まれるということだと・・・思ってた」

ものすごく知的なボケであることがご理解いただけたでしょうか。

そして、そんな小夏にはげしく「あえかなる女」を感じて動揺する部長。

そして、例によってそんな二人をたまたま目撃する井崎(高橋努)だった。

やがて・・・部長が隠していた小夏との疚しい部分が発覚。

そこで・・・バカ正直に「小夏に女を感じてドキドキした」と語る部長。

売り言葉に買い言葉で密かに楽しんでいた瀬乃との「プラトニックな浮気」について告白する蛍。

痴話喧嘩である。

そんな蛍に友人として瀬乃がアドバイスを贈るのだ。

「浮気するのは自分なんだから・・・本気の自分が勝利すればいいのさ」

そして・・・蛍はあえかなる女になるのである。

それは・・・「男を待つ女」そして「男より先に折れる女」なのである。しかも「そうしたいからする女」なのだ。

もちろん・・・部長はそんなことは先刻承知なのである。

「縁側に一緒に帰りましょう」という蛍に「線香花火を君のために買ってある」と応じるのである。

誰か せんこう花火をください

ひとりぼっちの私に

風が吹いていました

ひとりで 歩いていました

なんでもないのに泣きたくなるあえかなる線香花火も・・・二人でやれば揺ぎ無い愛の儀式なのである。

関連するキッドのブログ『第6話のレビュー

Hcinhawaii0661 ごっこガーデン。完全消火スプリンクラー付線香花火縁側セット。まこむひょひょ~。蛍とはチューもしないのに小夏さんとはこっぱずしい話だとかこっぱずかしいあれやこれやをするぶちょお。う~ん、いけず~でしゅ~。はたして・・・ETを上映している映画館はあるのかしらんま1/2。桜木さんはどういうつもりしんいち?・・・瀬乃をけしかけて・・・部長と蛍の壁に瀬乃が玉砕したところを玉砕したら・・・しっかりせよと抱き起こすつもりまさこ~。なかなか深い作戦だけど・・・基本的にいい人で自分に自信がないとつかえないテクニックだと思いましゅう・・・さあて・・・線香花火が終ったら暑さをぶっ飛ばす水が落ちてくる吊り洗面器大会に突入デスお気楽結婚はドキドキする人としたいけど・・・いつまでもドキドキしてたら心臓に悪そうだしなあ・・・美人にはすぐ飽きがくるけどいい人は長持ちするっていうけど・・・美人でいい人なら言うことないよねくう若い男とあんまり若くない男・・・蛍の表現力というか・・・こういうセリフまわしが最高なんだよね~。まあ・・・結婚して・・・家庭を持って・・・そこがパワースポット(生きる力の源泉)になればいいんだよね~。本当は男と女が子供を作って養って生きていく・・・そういう自然なカタチが・・・ナチュラルなパワーの源なのでは~・・・そうであっておくんなさいまし~ikasama4瀬乃に対してまた朝からコクリまくるの・・・と妄想炸裂の蛍さん・・・すでに神がかりな感じの演技の数々・・・あまりに神々しいので心配になるくらいです。セリフであの頃より君は痩せて・・・ずっと大人になった・・・っていう部長のセリフが書ける女優・・・脚本家もノリノリでございますねえ。でも・・・左前に着付けとか・・・やや不吉な流れですな・・・。まあ・・・このドラマに限って・・・突然の別離展開とかはないと思いますが・・・逆になにを仕掛けてくるかわからないドラマでもありますからねえ・・・夏ドラマとにかく幸せになってもらいたいカップル第一位は不動ですけれど~mari遅刻しましたけど・・・とりあえず線香花火はきれい・・・そしてどんな恋人同士のいさかいもにゃんこのせいにはしないでください・・・一人ごろごろ部長萌え~ですのエリさてさて・・・蛍のはるかちゃんも痩せたけど・・・ジョーの山P先輩も痩せ痩せで心配でスー。おむすびコロリンはちみつスタミナ弁当を差し入れしますyon・・・じいやカロリー計算よろしくね~・・・人の心の弱みにつけこむ商売は月にかわっておしおきしまスー

天使テンメイ様のスクロールなホタルノヒカリの軽い感想→コチラ

金曜日に見る予定のテレビ『崖っぷちのエリー』『熱海の捜査官』(テレビ朝日)『うぬぼれ刑事』(TBSテレビ)『モテキ』『大魔神カノン』(テレビ東京)

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2010年8月18日 (水)

自分の胸の鼓動が耳障りな心の小さいどぶネズミみたく(森山未來)優しく美しく暖かく(志保)

熱帯夜、猛暑日、熱帯夜・・・アナログテレビ最後の夏は酷暑である。

夏の定番戦争ドラマも低調である。「眼下の敵」を生ぬるくしたようなファンタジー「真夏のオリオン」放映も、英霊ものというより、末期医療ものと言うべき「帰国」も・・・あまりにもミクロな視点の「15歳の志願兵」も・・・あの戦争を伝えるドラマとしてはものたりない。マンネリだろうがなんだろうが・・・銃後を描くなら「東京大空襲」「広島」「長崎」「沖縄」「鬼畜ソ連」から一つは選んでもらいたい。それよりも「太平洋戦争」や「日中戦争」を激戦として描く姿勢があるべきだ。

戦争の恐ろしさを描くためには戦争そのものを描くのが一番に決まっているのである。

まあ・・・あくまで理想ですけれど。

そういうわけで戦争ドラマのレビューのツアーはコチラから→「白旗の少女

デジタル元年には民放各社リレー方式とかで「大日本帝国の興亡のすべて」みたいな戦争ドラマを期待します。・・・ま、やらんだろうが。

火曜日のドラマ対決は①「ジョーカー」↗14.5% ②「逃亡弁護士」↘*8.5%

「ジョーカー」・・・もう少し独善の論理を煮詰めないと・・・意味不明だよな・・・。逃亡弁護士は相変わらず働きすぎだし。

で、『モテキ・第5回』(テレビ東京100814AM0012~)脚本・演出・大根仁を見た。なんだかんだと3~5回まで夏樹(松本莉緒)で引っ張ったあげく・・・肝心な時に勃起不全とは・・・根性なしにも程があるだろう。その年頃には立って立ってたまらなかった人たち全員に土下座してわびてもらいたいよ・・・意味不明だぞ。

ともかく・・・傷つくのがこわくて、理想が高くて、相手には求めるが、自分はけして与えない男・幸世(森山)は人生で一番好きな女にオーラルで前戯までしてもらったのについに屹立しない己の不甲斐ない男根のために・・・基樹(信川清順)夏樹姉妹の完全制覇は実現しなかったのである・・・その捉え方はどうだろう。

そんな夜に・・・30歳の誕生日を迎えた幸世に故郷の母親(戸村美智子)からメールが届く。

父親(でんでん)がケガをしたと知った幸世は望郷の念にかられ・・・帰郷するのだった。

息子が30歳になっているので当然のように父母も老いている。

久しぶりに見た父と母があまりにも老いさらばえているのに気がつき・・・幸世は驚くのだった。そして老いた両親を喜ばす術を持たない自分を情けなく思うのだが・・・故郷で唯一、幸世に好意を寄せてくれたが容姿端麗ではなかったので無視していたブル子から電話があり・・・ひょっとしたらものすごくいい女に成長しているという妄想に期待が膨らんだ幸世はたちまち現実を忘れて田舎の夜の街へ繰り出すのだった。

しかし・・・ブル子はやはり容姿端麗ではなく、しかも結婚していて・・・娘までいるのだった。

さらに・・・電波関係の宗教に入信しているらしいブル子は勧誘までしてくるのである。

しかし、そこに偶然居合わせたのは同窓生で「リンダリンダ/THE BLUE HEARTS」をこよなく愛すヤンキーの林田尚子(菊地凛子)だったのである。

ヤンキーがこわかった幸世が中学時代には口もろくに聞かなかった尚子(志保)だったが・・・モテキの流れで酒が進む幸世と尚子。

例によって調子にのった幸世はなんとなく・・・最近の出来事を赤裸々に語る・・・要するに愚痴である。

しかし・・・大人しく耳を傾けているように見えた尚子は人生の修羅場をくぐった回数が違うらしく・・・幸世の言動をバッサリなのである。

「みんな・・・いい娘じゃないか・・・そりゃ・・・みんなお前のことそんなにすきじゃないよ・・・」

「・・・」

「そんな・・・娘がお前に優しくしてくれてんだよ・・・」

「・・・」

「なんで・・・お前みたいな奴にそんなことしてくれると思う・・・」

「・・・」

「お前より・・・ずっとずっといい男たちと・・・上手くいってないからに決まってんだろう」

「・・・」

「それなのに・・・お前は・・・自分が好きなのと同じくらいに好きじゃないとだめだとか・・・他の男が好きじゃダメとか・・・ウダウダウジウジメソメソしやがって・・・バカかっ・・・好きの量をはかるメーター持ってんのか」

尚子にのしかかられ・・・なじられるうちに・・・蘇る幸世の男性機能・・・。

「なんでえ・・・なんでえ・・・勃起するのかよ・・・よかったな・・・」

勢いを取り戻した幸世は急に甘えん坊になってキスをおねだりである。

「いいけどなあ・・・」と突然、愛娘の写真を見せる尚子。「あたしだってシングル・マザーっていうそれなりに重い看板背負ってんだよ・・・」

尚子の気持ちを理解したかどうかはともかく・・・幸世は尚子の唇を頂くのだった。

そして・・・再出発を誓うのである。

尚子の気持ちは謎に包まれているが・・・暖かく幸世を送り出す・・・故郷の女なのである。

中学時代の尚子・・・もう少しサービスしてくれてもよかったのに。

次回はいつか(満島ひかり)のドブ(リリー・フランキー)が登場する模様。

関連するキッドのブログ『第4話のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『科捜研の女』『警視庁継続捜査班』(テレビ朝日)『怪談新耳袋』(TBSテレビ)『日本人の知らない日本語』(日本テレビ)『長澤まさみのGOLD』『もやしもん』(フジテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2010年8月17日 (火)

新しい君を見つけたい・・・それだけ(松本潤)一瞬のときめきと永遠の約束の間で心乱れて(竹内結子)

裏では女子高校生が妊娠して流産して恋人に先立たれてそれでも空に恋する話を新垣結衣でやっているわけだが・・・16才で海(小林星蘭)を出産した詩織(新垣)でも充分、成立するし、夏の物語としてはそれでいいのじゃないか・・・と一瞬、思ったりしました。

で、深夜になると日本テレビが「蒲田行進曲」(1982年)で小夏(松坂慶子)である。

と、時は流れるよね。時はどうしようもなくね。小夏・・・かわいすぎる。

しかし、松本潤のファンでバツイチ、一人娘を働きながら子育て中のシングル・マザーが一番、感情移入できるドラマってどうなんだ・・・それでいいのかい。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「エリー」↘6.5%(渡辺えり子すぎる・・・)、「うぬぼれ刑事」↘*6.8%(お盆だな・・・)、「20世紀少年」12.0%(また、おまえか)、「熱海の捜査官」↘*7.7%(とにかく女子生徒である)、「ハンマー」↘*6.0%(とにかく女子高校生である)、「ともに語ろう日韓の未来」*4.7%~*6.0%(売国奴的歴史観を肯定しないと激怒する崔監督は一同大爆笑である)、「美丘」↘*8.9%(とにかく女子大生である)、「帰国」14.7%(英霊よりも外国人に気を使う人々は呪い殺されるがいい)、「GM」↘*8.6%(奇病の連打だがとにかく片桐はいりである)、「龍馬伝」↘13.7%(誰もついてこれないクラスの傑作)、「15歳の志願兵」*7.2%(とにかく、現代では志願兵がものすごく集まらないことは充分に妄想できます)・・・ついでに「夏虹」↘10.2%・・・以上。

で、『夏の恋は虹色に輝く・第5話』(フジテレビ100816PM9~)脚本・大森美香、演出・澤田鎌作を見た。ドラマ「帰国」では英霊が妹を病院に入れたまま見舞いにもこない甥を呪い殺すというほとんど意味不明のドタバタを繰り広げるのだが・・・こちらではシングル・マザーとして幼い娘を育て母親・詩織(竹内結子)の微妙な揺らぎをそれなりに描いている。ここでも個人差という問題は花開くのだが、「Mother」で同じシチュエーションで尾野真千子が悲惨な経過をじっくりと描いた後なので・・・実に微妙な感じがして・・・これは「Mother」経由とそうでない人ではドラマから生じる印象がかなり変るのではないかと妄想します。

とにかく、仁美と怜南ではなく、詩織と海なんだと言い聞かせる必要がキッドの場合、面倒くさい感じがします。

とにかく・・・軽いギャグと、ストーリー上重要なシーンのメリハリは相変わらずバランス悪いのですが・・・演出家も第1話~2話よりも肩の力が抜けた感じはします。

恋愛ドラマの脇役のオーディション。親友の慶太(笠原秀幸)と一緒にオーディションを受けた大雅(松本)は「自分を客観視できる演技が重要なんだ」と例によっていかにも頭でっかちなことを言い出しますが、オーディションに合格したのは緊張でセリフが震えてしまった慶太・・・大雅は一瞬、気が遠くなりかけます。

ついでに・・・役者としての大雅の部分を拾っていくと、母親で元女優の真知子(松坂)は「父親は大雅はいい俳優になると断言してた・・・私はそう思わないけど」と空気を読んでいるのか読まないのか微妙な発言をし、事務所の青木社長(松重豊)はプールの監視員役までさせているくせに「楠航太郎(伊東四朗)の息子に変な仕事はさせられない」とやや意味不明の言動である。

その中で、稽古のために本読みの相手をさせた桜(桐谷美玲)だけが・・・下手な演技をせずに素に近い感じの大雅に魅力を見出す。ただし、それが役者としての魅力なのか、男としての魅力なのかは現在のところ曖昧である。

まあ・・・素の演技が一番ステキという・・・名優の血は争えない・・・ベタな展開のフリとしては充分な感じです。

まあ・・・すでに死んだ航太郎が「自由に演じるのが一番」と予言しているわけですが。

一方、恋愛ドラマとしての大雅と詩織。

「死んだ夫の思い出を守って海と二人で生きていくことが幸せ」と公言する詩織。しかし、夫がいないことで生じる心の空白は泣き癖からも明らか。

エロ男爵というよりも・・・川上くんやかっこよくない浅見光彦モードでいつまでも独身の長男・大貴を演じる沢村一樹や・・・それに合わせる母・真知子の押し付けがましすぎる「再婚のすすめ」モードに辟易した詩織に助け舟を出したり・・・料理の達人モードでパンビ~ノなランチの女王で意気投合する主人公とヒロイン。

人生(運命)ゲームの楽しみ方も含めて・・・もう少し、楽しそうにできるといいのになあ・・・という連打でございます。

たとえば、人生ゲームのコマにはレギュラー用とゲスト用があったりして、ものすごくファンシーな感じだったりとか・・・そういうコネタくさいひと手間が不足してます。

夜中に「蒲田行進曲」を見ていると詩織が女優としての姫島真知子に反応するところなんかは・・・「東映京都物語」とかの嘘のポスターがあって二十代の真知子の神秘的なまでの美しさに詩織がボーッとなるとかのサービスがあってもいいのですな。

もちろん、女優・竹内結子はセリフだけで一瞬でその空気をかもし出すのですが、お茶の間的には伝わりにくい感じ。

この後、大貴が熱烈なのはドラマ的に邪魔と感じたのか、詩織が大貴の恋心に釘を刺すシーンがあって・・・大貴が恋愛レースからこれで退場となるとやや中途半端な感じ。このキャラクターでは詩織の心を揺らすのは難しいし・・・すでに最愛の男がいる詩織という設定に今さら気がついたのか・・・という脚本上のうかつさがあります。

松坂慶子と沢村一樹をしてコントのキャラ扱いはひどいよなあ。

この二人・・・・・・後半ではものすごく「いいヒト」の役割が用意されていないと本当に困ります。おそらく、用意されているとは思いますが・・・。

ここからは・・・お茶の間が素直に感情移入ができるかどうかは別として・・・恋愛ドラマとしてはスムーズ。

母一人娘一人でどちらかと言えばかたくなに生きてきた詩織が・・・大家族のアット・ホームな雰囲気にふれ・・・心が揺らぎ始め・・・つい大雅に「親しい人への甘えた電話」をしてしまう展開です。

「見守るだけ」と心に決めたことで・・・大雅は詩織の心の扉を開くことに成功しかけたわけですが・・・脈ありと判断したために事を急いで・・・シャット・アウトを食らいます。

「甘えてごめんなさい」

「いえ・・・むしろもっと甘えてください」

「それはできません」

ピシャリである。まあ、基本です。

しかし、揺らぎ始めた詩織の心。自分以外の人々との交流を喜ぶ海の態度に・・・どちらかと言えば敬遠していた・・・今は亡き夫の実家の里帰りを決意します。

考えようによってはここでは夫の実家に娘を遺棄する選択肢まであるわけです。

ある意味、深層心理では詩織はその選択肢を含めた女としての葛藤があるわけです。

「まだ一花咲かせたい」は女の基本の手ですから。

ただ・・・そのあたりのことは主人公のポジション的に伏せて・・・里帰りをするために事務所に不在の詩織に対する主人公のリアクションとして描きます。

夕闇迫る街から夜のバスターミナルまでまるで主題歌の「「Løve Rainbow/嵐」をプロモートするために必要だからと言わんばかりの長いランニングです。・・・いやあ、無理があったな。

まあ・・・それがショー・ビジネスといわれればごもっともと言うしかありません。

しかし・・・。夜のバスターミナルで息を切らした大雅を海が発見し、詩織が声をかける。

「事務所で何かあったの・・・」

「いや・・・電話でなんか変なこと言っちゃって・・・だから・・・このまま・・・二度と会えなくなるんじゃないかと・・・」

「それで・・・走ってきたの」

「うん」

「ばかね・・・ただ・・・死んだ夫の実家に里帰りするだけよ・・・夫の親が・・・孫の顔見たいってうるさいから・・・」

「ああ・・・そう」

「・・・」

「・・・」

「私・・・帰ってくる・・・帰ってくるから」

・・・ヒロインにもちょっとその気がありますよ・・・という表現としては中々の名場面に仕上がりました。結果オーライとはこのことです。まあ・・・ヒロインが新垣結衣だったら・・・さらにいい感じだったのではと・・・ちょっと妄想はしましたけれど~。

関連するキッドのブログ『第4話のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日)『ホタルノヒカリ2』(日本テレビ)

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2010年8月16日 (月)

世の中も人の心も騒ぎ乱れて極まればやがて静まり帰り候(坂本龍馬)

龍馬の人生観や大局観を突き詰めれば、それは実にシンプルな処世術に帰結する。

つまり、万物流転である。

戦があればやがて和し、和せばやがて戦となる。

病にかかればやがて癒え、健康であればいつか病気になる。

どのような苦境も必ずや脱することができるという信念で龍馬は動いている。

八方塞でにっちもさっちも行かない状況でも・・・けしてあきらめず・・・嵐の過ぎ去るのを待てばよい。

坂本龍馬はそういう楽天家だった。

海軍操練所の閉鎖、薩摩藩への身売り、内戦による亡国への危機、薩長同盟とめまぐるしく変化する状況を楽しむように龍馬は歴史の舞台へ躍り出る。

で、『龍馬伝・第33回』(NHK総合100815PM8~)脚本・福田靖、演出・大友啓史を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は長崎の黒幕・小曽根乾堂のど迫力描き下ろしイラスト大公開でサービスサービスです。大浦慶、そしてグラバーと倒幕を影で操る大商人たち。貿易という名の商業では海賊と商人はきってもきれない縁ですし、商人と海賊も切っても切れない縁・・・なにしろ、貿易とは基本的に密貿易でございますからーっ。長崎、神戸、下田、横浜と着々と良港を確保する西洋列強・・・しかし、収奪するも植民地化するも現地の生産力との駆け引きがございます。もっとも利益率の高い取引相手を求めて、暗躍するフランスとイギリス。小国オランダと戦火の後のアメリカは静観を決め込み情報戦に・・・。虎視眈々と半島南下を計画するロシア。戦争という巨大な消費を目当てにして群がるハゲタカの群れ。そして列強植民地・上海に流れ込む膨大な数のミニエー銃(仏)、エンフィールド銃(英)、スプリングフィールド銃(米)の前装式ライフルの群れ。その悲しみと苦しみの硝煙の向こうに龍馬やお元の求めた幻の地上の天国は・・・はたしていかなる幻か・・・まさに手に汗握る圧巻の回でございました。

Ryoma186507 で、迫り来る最後の時を惜しむようにゆっくりと流れる慶応元年(1865年)の夏。ゆっくりと傾いていく江戸幕府の支柱を立て直そうと幕府老中がたくらむ長州征伐は幕府倒壊への一里塚である。無能な官僚のやることは理路整然と的外れという典型である。勝海舟はこれを「米国ではどの役にもそれにふさわしい役人がついているが幕府ではそうなるかどうかは運次第だ」と述懐する。旗本中心の高級官僚と、大名中心の政府首脳・・・その齟齬はいたるところで噴出する。幕府連合軍による長州一国攻め・・・幕府首脳の描く戦争計画は絵に描いた餅であった。実際は当事者である各藩はそれぞれの思惑に従い、密かに裏で交渉を重ねていた。幕府では江戸と京・大坂に司令塔が分離したことによる弊害で公儀隠密が機能障害に陥っている。

長崎は水軍忍びのメッカである。勝海舟もこの知で海軍の基礎を学んだ。神戸で龍馬たちが学んだのは最新技術であるが、それも長崎の分校の意味合いがある。豪商・小曽根乾堂は実はその元締めでもあった。簡単に言えば長崎海賊の頭領である。長崎奉行の目付け・服部一三は公儀隠密としてその秘事を把握していたが・・・おいそれと小曽根家に触れることはできなかった。幕府との繋がりも深い小曽根家には様々な保険が賭けられていた。越前公とも深い結びつきがあり、現在は大奥取次ぎという閑職にある勝海舟などは妾の子を小曽根家で養育している。

そうした長崎妾腹の子を持つ幕府要人は多い。その子らの養育を受け持つのは小曽根家のくのいちである墓場鳥と呼ばれる老忍である。

松浦党の離れ島で改装を終えた幕府海軍からの略奪艦は鶴川と名付けられて下関に向かっていた。その船上には子供たちの歓声がわいている。

亀山に続く亀山社中の弐番艦である鶴川だが、グラバーを通じて上海から購入した新型蒸気船が回航されるまで長州に貸し出されることになっていた。鶴川は萩・下関・大島を結ぶ長州の最前線を巡る輸送船となるのである。

墓場鳥は養育する子弟の実地訓練をかねて船上にある。護衛として壱番艦亀山が先行しており、これには龍馬とお元が乗っていた。

鶴川船上には長州の不死身の聞多と伊藤俊輔があって・・・子供たちを集めて腹踊りをして剽げている。傷だらけの聞多の腹はヤクザもののようで子供たちは拍手喝采なのであった。

「毛唐の国には三権分立というものがあるそうな」

「ほう、ほう、そりゃどんなもんじゃ」

「石鹸に真剣に初体験じゃ」

「なるほどのう・・・あわ立てて斬って血がでて・・・ヒゲ剃りかっ」

子供たちは大人のジョークの意味を知ってか知らぬかゲラゲラ笑っている。

殺伐とした抗争に明け暮れる二人の志士たちは無垢な子供たちと集ってつかの間の安らぎを感じていた。

その時、鶴丸の艦長代理である陸奥宗光が叫ぶ。

「海賊船じゃ・・・」

北の水平線に三筋の煙が上がっている。マストに登り、遠眼鏡をとりだした副長代理・池内蔵太が叫ぶ。

「あれは清国の海賊じゃ。張雲海の福星号、福勝号・・・そんで福龍号じゃ・・・」

「お・・・撃ってきおった・・・」

「ばかな・・・」

三隻の清国海賊は先行する亀山に気付かず、鶴川を単船と見て、略奪を仕掛けてきたのである。威嚇射撃をしながら、停船旗を掲げている。

後方で上がる水煙で異変に気がついた亀山の龍馬は回頭を命じつつ、砲撃準備を開始する。亀山に装備された最新カノン砲の射程は長い。

「清国の海賊か・・・なめくさって目にもの見せてくれる」

伴天連海賊姫であるお元の顔に殺気が宿る。キリシタンは異教徒である敵には容赦しないのが信条である。敵とは悪魔サタンそのものだからだ。

「撃て」

戦忍びの操船する亀山はただの軍艦ではない。しのび水軍戦船である。その射撃力は常識を越えた精度を持っている。

油断していた海賊船は側面から攻撃を受けて、先頭の福星号が被弾・炎上。残った二隻はあわてて進路を変えて退避をはじめる。

亀山が福星号のあった海域に到達すると福星号は水没し、周囲には水夫たちが漂っている。

亀山からロープが投げられ救助が始まる。

「清国人にまじって朝鮮の水夫もおるようじゃ」

「清国は自分の国がのっとられそうじゃから・・・朝鮮の民を奴隷にしようとたくらんでおるからの」

「あの者たちをどうするのじゃ・・・」

「洗脳して子分にするがじゃ・・・水夫は何人おっても困らんからの」

龍馬のいつもの手に納得するお元だった。

風雲急を告げる長崎の町。下関に軍艦・鶴川を届けた龍馬たちは疾風怒濤の素早さですでに戻っている。近藤長次郎から伝令が届いたからである。

「どうしたがじゃ・・・」

「坂本様・・・グラバーとの値段の折り合いがつかんのです。長州からは千両箱が五十届きましたが・・・残り五万両が足りません・・・」

「そりゃ・・・困ったの・・・」

そこで沢村惣之丞がつぶやく。

「金がないのは首がないのと同じじゃからの・・・」

長次郎の補佐役の新宮馬之助が応じる。

「金はあるところにはあるんじゃがのう・・・」

龍馬は愁眉を開いた。

「ほんなら・・・押し込み強盗をするかの・・・」

目を輝かす社中のものども・・・。

「どの商人を襲うがじゃ・・・」

「いや・・・長崎奉行所じゃ」

「ご金蔵破りか・・・」

「そいつは豪儀じゃのう」

「そりゃええのう」

盛り上がる社中の人々。

その夜・・・長崎奉行所の屋根にはくのいち春猪が姿を見せた。やがて長崎奉行所を警備する忍びたちはふと目が覚めていつの間にか眠っていたことに気がついた。

蔵からは積まれた千両箱がすべて消えていた。

報告を受けた服部一三こと服部半蔵は・・・歯軋りをする。

「坂本様・・・抜けるだけならまだしも・・・ご公儀の金に手をつけるとは・・・もはや・・・見捨てて置けませぬぞ・・・」

坂本龍馬と愉快な仲間たちはこうして・・・幕府隠密と完全なる敵対関係に陥ったのである。

関連するキッドのブログ『第32話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『ジョーカー許されざる捜査官』『逃亡弁護士』(フジテレビ)『土俵ガール!』(TBSテレビ)

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2010年8月15日 (日)

暗闇でドッキリとかピーター・セラーズとかクルーゾー警部とかケイトーとか(オダギリジョー)ピンク・パンサー2とか3とか(ふせえり)

たとえば・・・くすぐりのコネタが濃いか薄いかという問題がある。

だが・・・星崎剣三(オダギリジョー)と桂東(ふせえり)の不思議な関係について・・・今回まで・・・クルーゾー警部とケイトーを連想しなかった人は多いだろう。

もちろん・・・今回だってまったくスルーの人がほとんどかもしれない。

なにしろ・・・元ネタは「暗闇でドッキリ」(1964年)、「ピンクパンサー2」(1975年)、「ピンクパンサー3」(1976年)などに登場するピーター・セラーズ演じるクルーゾー警部とその使用人で忍者のケイトー(バート・クウォーク)なのである。

ドタバタ映画好きでない限り、70年代後半以後に生れた人はまったく記憶にない可能性が高い。

ケイトーは東洋的格闘技ファンのクルーゾー警部が修行相手にしている使用人で・・・クルーゾー警部が自宅に帰ってくると必ず奇襲を仕掛けてくるというお約束の展開なのである。

クルーゾー警部はケイトーの気配を探り・・・こう言うのだ。「ケイトー・・・ケイトー?」

今回、天井付近に潜み、星崎刑事の背後を狙う桂東はまさに・・・クルーゾーとケイトーなのである。

知らない人はそれがコネタとは感じないし、知っている人は濃すぎると思う。

コネタの濃度なんてそのように儚いものである。

で、『の捜査官・第3回』(テレビ朝日1008PM1145~)脚本・演出・三木聡を見た。南熱海の中心ならミナチューではないのか・・・という問題はさておき・・・それならタイトルも南熱海の捜査官だしな・・・ひょっとしたら、南熱海からやがて熱海全域に捜査範囲は広がるのかもしれないし・・・場合によっては東京の事件も・・・それはないか。

とにかく・・・夕陽がより赤く染まるほどの東京の事件って・・・時限装置による小規模核爆発とかかよっ・・・と妄想が膨らむ今日この頃です。

さて・・・すかすとは期待を裏切ることである。

しかし、別の意味として格好つけることでもある。

この場合、すかしてる奴とはかっこいい奴という意味とかっこよすぎていやな奴という二重の意味が生じてくる。

逆に、裏切られてガッカリの場合と裏切られてむしろさらに好きになる場合があるのだな。

だから・・・スルーというのは諸刃の剣なのである。

その加減の難しさは神秘の領域に達している。

四人の女子生徒を乗せて消失したバスが海の底から発見され、その座席の下から謎の音声録音用カセット・テープが発見される。

一体、何が録音されているのか?

と期待させておいて・・・無音というのはいかにもスルーなのだが、ネタとしては常識としてのカセット・テープのA面B面を・・・主張する星崎に対して・・・局地的な多数派が発生して「ウラ・オモテ」を主張する北島(栗山千明)が主導権を握るという件なのである。

しかし・・・スルーとみせかけて・・・犬塚(少路勇介)は「1980年代のパソコンはプログラムやデータをオーディオ用のカセットテープに記録していた」とある年代の人間にはひどく懐かしいことを言い出すのである。

幽かに聴こえるノイズはなんらかの記録されたデータによるものではないかと主張するのだ。

もちろん、ある種の愛好家にとっては数々の元祖エロゲのプログラムをテープ・レコーダで読み込んだ遠い記憶が疼くのである。

「幼女をお医者さんになって手術したり・・・」と誰かが語り出せばコネタとしてはどす黒い濃さになるが・・・もちろん、そこはスルーである。

謎のカセット・テープ・・・無音でスルー、パソコンデータの記録の可能性の示唆・・・その解析の可能性スルーでダブルすかしである。

こういう重ね方が実に大人気ない。

星崎はふとロープウエイの存在に気がつく。

「バスが消えた方に行くことが出来る」ロープウエイである。

翌日、北島はつまらないが重要なことを調査する。

テープが発見されたバスの座席が簡単に外れるのか・・・運転手の新宮寺に確認したのである。

その様子を怪しげに窺う担任教師・敷島(藤谷文子)・・・。

とにかく・・・新宮寺はバスの座席を簡単にはずすのだった。

ここで拾坂(松重豊)は新たな仮説を披露するために第二の現場再現にチャレンジする。

事件当時に発生した霧は人工的なものではなかったのか・・・。

そこで現場にいた老人・蛇川(小野栄一)の主催する南熱海天然劇場から舞台演出用のスモークマシンを借り出し・・・人工的な霧発生実験を行う。

しかし・・・とてもバスを覆い隠すような霧は発生しないことが判明しただけであった。

拾坂は「何者かがバスに乗りこみ・・・サイドブレーキを解除して・・・さらにバスを運転し、少女たちを連れ去った可能性」についても言及するが・・・とにかく、霧発生の「非常にダメな感じ」におされてその点についてはうやむやになってしまう。

さらに・・・蛇川が事件に関与していたかどうかを追及したいところなのに・・・北島がマジックで蛇川を消して以来・・・蛇川は消息不明となっていた。

ある種の愛好家にとっては非常に貴重なグリーンのランニング・ショート・パンツで永遠の森学園のグランドを走る東雲麻衣(三吉彩花)・・・仰向けに寝て非常に扇情的な表情を示す。その表情に誘われるようにやってくるヌードモデルの新也(山崎賢人)・・・。

「筋肉がかなり衰えているみたい・・・」

「ずっと寝ていたから・・・仕方ないさ・・・走ることができるのが奇跡みたいだよ」

二人は思わせぶりな会話をしながら・・・ゴーギャンの絵のところまでやってくる。

絵のタイトルを思わせぶりに口にする東雲。

その二人を思わせぶりに監視する敷島先生・・・。

おそらく、ただ思わせぶりなだけだと思わせぶりである。

夜のロープウエイで落ち込む拾坂だが・・・星崎は新たな着想を得る。

「南熱海の中心に住んでいる人は南熱海のことに詳しい・・・」

「南熱海の中心・・・アタチューかっ」

思わず叫んでしまった拾坂がさらに落ち込むことは言うまでもない。

ちなみに「熱海の中心で真実を掴もう」と「熱海の真実を中心で掴もう」は同じ意味のようで違うことを言っている気がする言葉入れ替えである。お好みで。

落ち込んだ拾坂を指鉄砲で射殺し、気を休ませる北島。

一方、ピンクパンサーのテーマもどきのジャズナンバーをBGMにケイトーと対決する星崎。余計なことをしたために北島は軽く足を捻ってしまう。

やがて・・・星崎は南熱海市の適当な点から錘を垂らし、南熱海市の中心を適当な重心で推定する。そこにあるのは分杭ビルだった。

犬塚は星崎の適当さを嘲笑するが・・・北島は「事件を展開させるためにはきっかけが大切なのよ・・・彼は彼独自の方法論で核心をついているの」と嗜めるのだった。もちろん、真剣にとりあってはいけません。

ここは妙に決める北島を楽しむパートです。

妙に怪しいレストラン「ボリューム」のウエイトレス奈々子(小島聖)は朱印組長(松尾スズキ)から預った大金を新宮寺に渡す。

ジューク・ボックスにはサテイが入っている。

「そのお金で二人で街を出ない・・・?」

二人だけが「アメリカン・グラフィティー」なのである。

一方、星崎と北島は奇妙な形の分杭ビルに到着する。

江の島の頂上まではむ300段くらい、パリの凱旋門の屋上までは270段くらい階段を登るのだが、分杭ビルの5Fまではそんなに階段を登らないだろう。

しかし、足に負傷した北島には苦痛である。それとなく労わる星崎。

二人にとって捜査とは一種のデートなのである。

恋人のような相棒と事件を捜査するなんて誰もが憧れることなのである。

そして、そこで待っているのが占い師であることは当然の帰結なのだった。

癒しの魔法も使える占い師・占部日美子(銀粉蝶)は当然の如く、二人を待ち構えていて、たちどころに北島の傷を回復させ・・・星崎に犬の守護人形、北島にウサギの守護人形を贈る。

そして・・・「まだぼんやりしているけど・・・マークに注意することね・・・順番は別にかまわないけど・・・数字とか人間とかのマークを直感で見抜くこと・・・現象に惑わされないで・・・」

「大体わかりましたよ」と占い師のアドバイスをそれとなく受け止める星崎。

ここはあくまで北島の脚線美とかわいいウサギさんとウサギさんのポーズを楽しむ場面です。

消息不明の蛇川の自宅である大名荘2号室を訪れる星崎・北島・拾坂。

いかにも死体が発見されそうな異臭が漂うが・・・くさやの干物だった。

蛇川のパスポートからは多数のタイへの渡航歴と最後に訪れたのが天国に一番近い島ニューカレドニアであることが判明する。映画の主演は原田知世である。ちなみにゴーギャンの住んだタヒチは南太平洋フランス領ポリネシア。ニューカレドニアはフランス領メラネシアでポリネシアよりもオーストラリア寄りである。まあ・・・どちらにしろ南の楽園である。

天国かもしれない南熱海と・・・天国に一番近い島・・・おそらく無意味な共通点である。

しかし、星崎のダウジングにより、畳の下から謎のビデオ・テープを入手する一行。

時間を操る謎の老人、ヒーリングのできる占い師、ダウジング探偵・・・やりたい放題だな。

そして、南の島のBGMのかかる真昼のレストラン「ボリューム」・・・捜査の内情をそれとなく探る奈々子もまた・・・拾坂のかっての恋人であることが判明する。

松重豊と広田レオナと小島聖の三角関係・・・妄想するだけで濃い目である。

さらに・・・相模(岩松了)と桂東は兄妹・・・姓が違うために様々な妄想が広がっている。

①相模は南海荘の入り婿

②桂東は桂東夫人

③父親もしくは母親が違う

④二人とも偽名

・・・まあ、きっとどうでもいいことである。

そして・・・行方不明の虻川は戸籍上は三年前に死亡していたことが判明する。

もはや謎が謎を呼んでいるのでいつ夢オチになってもおかしくない状態です。

テイクアウトしたらしい軽食を食べながら発見されたビデオテープを視聴する捜査員一同。

映っていたのは東雲麻衣と・・・行方不明の少女の一人で援助交際の疑惑がある椹木みこ(山田彩)の仲良くはしゃぐ姿だった。

永遠の森学園の授業。

さよなら、さよなら!

いろいろお世話になりました

いろいろお世話になりましたねえ

いろいろお世話になりました

さよなら、さよなら!

こんなに良いお天気の日に

お別れしてゆくのかと思ふとほんとに辛い

こんなに良いお天気の日に

さよなら、さよなら!

僕、午睡の夢から覚めてみると

みなさん家を空けておいでだった

あの時を妙に思ひ出します(後略)

(別離/中原中也未完詩篇)を朗読する東雲。

放課後、相変わらず、東雲につきまとう新也を甘利レミー(二階堂ふみ)は自転車で轢く。

レミー「あんた・・・あの刑事に何を聞かれたの?」

東雲「あなたは何をあせっているの・・・」

レミー「私は怒っているだけよ・・・あんたも親父も警察も先生も・・・誰も私の話を聞かないから・・・生れてからずっとね」

そこへ登場する星崎刑事。精一杯の可愛さで敬礼するレミーだが・・・星崎は・・・。

「ちょっと東雲くんに話を聞きたいのだ」と言ってレミーを置き去りにするのだった。

星崎は「ひみつのしゃせいクラブ」についての記憶がない東雲に何かを思い出させようとする。それをやんわりと妨害しようとする敷島。しかし、東雲は「何も思い出さない」と告げる。

突然、星崎は「今回のことはなかったことにしてください・・・アタチュー的には現象に惑わされてしまったようです」と東雲や敷島にはほとんど意味不明のことをつぶやきつつ退散する。

その頃・・・NPO「空と海と虹の会」の「建設しますか人間やめますか」の不法占拠施設に北島を送り届けた犬塚は何かを言いかけて言葉を濁す。

北島に猫のミャアを与えて、和ませる平坂(萩原聖人)は明らかにテロリストの臭いを漂わせながら北島のさりげない追及をそれとなくかわしていく。

「戦争や災害が散布する塵のために夕陽はより赤く染まります・・・東京の方はよほどひどいですか・・・?」

「環境破壊ですか・・・」

「いえ・・・それは理由付けです・・・私は欲望の赴くままに反対するのです・・・」

「一体何故・・・」

「それを説明するのは時期尚早です・・・最終回までもうすこし時間をください・・・」

「ゲストじゃないんですものね・・・」

追うものと追われるもののスリリングな応酬はお茶の間にはまったく気付かれないまま推移していくのである。

その頃・・・星崎は例によって一方的に事件解決を確信しているのだった。

「四人にはなんらかの別の繋がりがあり・・・何らかの犯人は必ずここにいる」

確かに何らかの正しさがあるのである。その犯人とは東京で起きているなんらかの事件の犯人の可能性まで含まれているのだ。一体、素子さんは誰なのか。どうせスルーする気だろうけどな。

しかし、事件を面白おかしくするために星崎の車のトランクにはレミーが潜んでいて、優秀なアシスタントとして売り込みをかける。

星崎は「それでかわいいつもりかよまあまあかわいいけど」となんらかのいまいましさを感じてトランクを閉めるのだった。

夜のレストラン「ボリューム」・・・市長に何らかの借金があるらしい奈々子は・・・なんらか禁止な・・・星崎とレミーを注意深く監視する。

「星崎さんてどんな中学生でしたか・・・」

「授業中、窓の外を見ていて、地震で屋根の上の人がアンテナにつかまってゆらゆらしているのを発見するような子供だったよ」

「私はどんな風に見えます?」

「君は自分で言うほどわがままじゃない・・・どっちかというと地味な子で・・・ちょっと無理をしている」

「そうなんです・・・だから陶芸クラブにも入れなくて・・・」

「陶芸クラブ・・・」

「あそこは本当は援助交際の斡旋所なんです・・・お金持ちのお客が女の子の顔とか手つきを見て気に入ったらお持ち帰り・・・みたいな・・・」

「なんで陶芸クラブなんだろう・・・」

「まあ・・・大体わかってるくせに・・・私にシコシコのテクニックとか言わせようとするなんて・・・星崎さんてムッツリスケベなんですね」

「うわあ・・・」

「まあ・・・父の考えることなんで・・・しょうもないんですよ」

「お父さんが・・・」

「オモテには顔を出さないんですがヤクザの朱印組とウラでつながっているんです」

「娘にそこまで見抜かれてるなんて・・・ものすごくちゃっちいからくりだなぁ・・・」

レミーの口の軽さに顔を曇らせる奈々子だった。

その頃、北島は星崎の帰りを待ちながら小さいラーメンを食べていた。

謎の兄妹、相模と桂東の語る謎の儀式「ねこずらし」に疑問を感じる北島はラーメンに鰹節はかけない方だった。

帰路にあった星崎は再び、レミーに呼び出される。

レミーは極私的な移動放送局の電波を飛ばしながら、レプス陶芸クラブの一人潜入捜査を強行するのである。

仕方なく付き合う星崎。

やがてレミーの実況放送により、常連客の一人が南熱海市役所の土木課長・藁久保(光生)であることが判明する。

「うぬぼれ刑事」と連動して・・・洲崎(広田)が生意気盛りのレミーを「・・・ブスっ」呼ばわりである。

しかし、レミーはキス顔を残して朱印組に拉致されてしまう。

朱印「お前・・・自分が安全だと思ってるのか?」

レミー「私はちょっと父を強請ろうかと思って・・・」

朱印「それ一口かませてもらおうか・・・」

星崎はレミーが窮地に立たされたと判断し、北島と拾坂の応援を請う。

場末のスナック「マッドピエロ」に踏み込んだ星崎は・・・朱印や組員の鮫島(緋田康人)と楽しくカラオケでデュエットをするレミーに唖然とするのだった・・・。

結局・・・レミーの証言で確認されたのはみこが陶芸クラブで援助交際をしていたという憶測である。

その頃・・・永遠の森学園・旧寮(公式サイト用語辞典参照)では新也は自分の全裸画を燃やしていた。それに立ち会う敷島。

「燃やしてしまっていいの?」

「これを残しておくのは間違いでした」

「どうして・・・」

「この絵からは何もわからない・・・」

そして・・・炎を見て興奮した生徒と教師はただならぬ関係の前戯に突入するのであった。

こうしてすかしまくる南熱海の夜はけだるく更けていくのだ。

関連するキッドのブログ『第2話のレビュー

月曜日に見る予定のテレビ『ハンチョウ』(TBSテレビ)『夏の恋は虹色に輝く』(フジテレビ)

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2010年8月14日 (土)

あなたがいてもいなくても陽はまたのぼるうぬぼれ刑事(長瀬智也)東京砂漠の片隅で(生田斗真)

ゲストは小雪である。クドカンだけが引き出すことの出来る魅力的な小雪がここにある。

ヤクザの組長の愛人・松井加奈(「池袋ウエストゲートパーク)でも圧倒的な美しさで空気を変える感じだったわけだが・・・その魅力はそのままである。

美しすぎて・・・どこか淋しい女をさらりと演じているのである。

美しいというだけで嫌われる日本という社会では生き残るためには圧倒的に美しくなければならない。

そのあたりの機微をクドカンは描きまくるわけである。

ちなみに今回のネタはいかにもオグシオを思わせるが・・・ブスじゃない方の小雪に対してブスを演じるのはクワバタオハラのブスじゃない方の小原正子である。美の相対性を強くアピールしているな。

作中にWinkの鈴木早智子と相田翔子をブスとブスじゃない方にわける件があったりしてさっちんファンの臓腑をえぐったりして今回は実に毒々しい。

もちろん、ママさんタレントとして生き残るとかセミヌードとかW(ダブルユー)の辻希美と加護亜依もかなりかぶってきます。

もう・・・やりたい放題でシビレル~。

で、『うぬぼれ刑事・くされ縁(第6回)』(TBSテレビ100813PM10~)脚本・宮藤官九郎、演出・吉田健を見た。袖振り合うも他生の縁と申しまして、袖を振り合うのは別れの挨拶である。他生というのは前世のことであり、因果応報の話である。そういう意味で腐れ縁とは縁としていいのかどうかはわからないが腐るほど因縁があるということなのである。まあ、バカにはわからないかもしれないがそういうことなのですな。

萩尾ゆみ(小雪)は大阪から秋田に転校してきた田尻えみ(小原)とバドミントンの女子ダブルスペアを組み、ハギシリペアとしてやがて五輪選手として活躍するようになる。

しかし、容姿に恵まれた上にバドミントンバカだった萩尾に対し、いろいろと限界を感じた田尻はコンビ解消、現役引退を表明・・・やがて萩尾はいつしか消え去り、タレント活動、セミヌード、青年実業家と結婚、ママさんタレント、セミヌード、離婚、セミヌードと成り行きで成功した田尻は今もそれなりに脚光を浴びていた。

そんなある日、田尻は何者かに襲撃され、被害届を警察に提出する。

資料に目を通したうぬぼれ(長瀬)は萩尾の写真に魅かれる。

その頃、ドラマ中ドラマ『うぬぼれ刑事』の主演であるサダメ(生田)は監督の田代から餓死で殉職寸前のシーンの撮影のためにオレンジ・ダイエットを命じられていた。

ここで「いつも死体役ばかりだったオレがやっと主演になれたのに・・・やはり死ぬんですか」とサダメが泣くと田代は「バカだな・・・死んでも生き返ればいいじゃないか・・・」と殉職から殉職変更に脚本をチェンジする。

そこで、素人の松岡(要潤)にまで「ダメ」呼ばわりされる田代だが・・・。

ここでの正解は「バカだな・・・ただの死体役は誰の記憶にも残らないけど・・・主役の死はみんなの記憶に残るんだ・・・ショーケンや優作のようなスターへの第一歩だよ」である。

つまり、殉職しそうでしないということはみんなの記憶に残らないということである。

それはともかく・・・オレンジを大量に買い込んだサダメは街角で萩尾と衝突して・・・100を数える間、見つめあうのだった。

ちなみにサダメはハギシリコンビの存在さえ知らないくせにテレビ局で田尻ともすれちがっていた。

サダメもまた運命に翻弄される男なのだ。

やがて、田尻のストーカーとして疑われる萩尾とネットカフェで再会したサダメはお互いの共通点の多さに驚くのだった。

①「殉職」も読めないバカ

②だまっていれば美しい

③夏は公園で寝るホームレス

運命を感じるサダメの愛の告白にとまどう萩尾。

「私のどこが好きなの?」

「ピュアなところです」

しかし・・・中学時代から遠征試合に明け暮れた萩尾はピュアの意味を知らなかったのだった。もちろん、pureとは純粋で汚れを知らないことで意訳すればバカということだ。

今回は様々な恋が交錯していくわけである。

ここは手広く「誰かが誰かを好きになったら恋」という視点で見て行く。

このドラマは大人のドラマなので「本当のところ」は限りなく隠し気味である。

その中でうぬぼれの父・葉造(西田敏行)だけは別格で・・・人の心を読む達人なのである。

葉造が「萩尾はうぬぼれに惚れている」と断言しているので・・・今回は萩尾とうぬぼれは両思いだったのである。

それがなぜ・・・結ばれなかったのかを分析しておきたい。

冒頭で・・・萩尾が片思いしているのは12年間コンビを組み、その後7年間、一人で幸せを掴んだ田尻である。萩尾→田尻+20

被害者の資料で萩尾を知って一目惚れしたうぬぼれ・・・。うぬぼれ→萩尾+100

萩尾はサダメと運命的な出会いをしてそのバカさに激しく共感し、弟のような可愛さを感じてルーム・シェアをする。萩尾→田尻+20、サダメ+1

うぬぼれは萩尾とサダメが交際中と知り、沢尻エリカのように激しく嫉妬し、モー娘を卒業したようにうぬぼれ5を脱退し現実刑事・冴木(荒川良々)とUとUとでW(ダブルユー)のようなゲンジツーを結成する。しかし、冴木刑事のかしこまり冷酷な指摘でサダメが萩尾に騙されている事実に直面すると・・・弟のようなサダメが憐れになり、気持ちが揺らぐ。うぬぼれ→萩尾+99、サダメ+1

サダメから情報を聞き出し、インストラクターをしている萩尾を訪ねるうぬぼれは萩尾の姿を見て・・・。うぬぼれ→萩尾+199

この時、アクシデントにより冴木刑事は負傷。冴木夫人の里恵(中島美嘉)が登場し、萩尾に「ふん」を飛ばす。里恵→萩尾-100

うぬぼれは田尻に対する暴行の容疑で萩尾を追及する。そこで「美人なのにバカ」というある意味、可愛さの最高峰に接し・・・うっとりする。うぬぼれ→萩尾+299

萩尾はうぬぼれから「バドミントンを20年間バトミントンだと思っていたバカ」を指摘され、厳しいけれど優しい人生のコーチとしてうぬぼれに惚れる。萩尾→うぬぼれ+20、田尻+20、サダメ+1

うぬぼれは刑事としての立場を利用し、萩尾に文通を申し込む。

それを聞いた里恵は昔の男に裏切られたような気分になる。里恵→萩尾-200

里恵はオチのくりかえしのギャグをふるために回想シーンでうぬぼれとの別離を再確認する。

「あなたは女の愛を疑わない・・・女は少しは疑ってほしいのよ・・・でないと疲れちゃうの」

「・・・よくわからないけど・・・君の疲れは癒えたのですか」

それには答えない里恵だった。

うぬぼれは里恵の態度に未練を感じる。うぬぼれ→萩尾+399、里恵+55、サダメ+1

まあ、バカにはよくわからないかもしれないがここでは男たちには「僕よりバカな君が好き」の方程式が働いています。

尋問という名のデートを重ね、愛を深めるうぬぼれと萩尾。

しかし、運命の悪戯で・・・葉造に人生相談をしているサダメの元へ・・・萩尾を連れ帰ってしまううぬぼれ。

葉造は一瞬で危機を察知し、なんとか衝突を回避しようとしますが・・・時すでに遅し。

サダメに気を使ったうぬぼれは「萩尾さんがサダメの運命の人かどうか父に鑑定してもらおうと思って・・・」と心にもないことを言ってしまいます。→萩尾+499、里恵+55、サダメ+1

萩尾は一瞬でうぬぼれの心を悟り話をあわせますが・・・女より男をとったうぬぼれの心に危惧を感じます。萩尾→うぬぼれ+19、田尻+20、サダメ+1

そこで萩尾は田尻の息子を誘拐して、サダメの部屋に隠し、ちょっとした復讐を果たした後でうぬぼれに逮捕してもらうために脅迫状のようなラブ・レターを書くのでした。

しかし、もはや萩尾への恋に焦がれるうぬぼれは・・・恋のバドミントン・ワンポイント・マッチを企画します。

萩尾が勝ったら逮捕

うぬぼれが勝ったら結婚

という一方的なルールですが・・・。

萩尾はバカなので・・・そんなうぬぼれと結婚してもいいと思っているのです。

なぜなら・・・引退したとはいえ、五輪級の選手とただの刑事がいい勝負になっているのがその証拠です。

つまり・・・萩尾→うぬぼれ+21、田尻+20、サダメ+1

しかし・・・ここで・・・田尻が乱入・・・二人の恋に終止符を打つのです。

田尻が拾って萩尾が決める・・・20年間の腐れ縁はもはや愛の領域ですから。

この瞬間・・・萩尾→うぬぼれ+21、田尻+22、サダメ+1

泣き崩れるうぬぼれとパトカーに乗せられる萩尾の共通項は「サダメ+1」のみ。

「萩尾さん・・・」

「サダメくんに・・・よろしく・・・」

一方・・・くりかえしのギャグのために・・・萩尾を護送中のパトカーの前に立ちふさがるサダメ。

「あなたを失うくらいなら死んだ方がましだ・・・」

「ごめんね・・・」

お約束で急速にバックして走り去るパトカー。

一人取り残されたサダメをなぐさめるうぬぼれ軍団のヘイヘイヘイの歌が響くのだった。

サダメ→萩尾+50、うぬぼれ軍団+1×5

次回のクドカンオールスターズからのゲストは「マンハッタンラブストーリー」(2003年)のデビル赤羽こと小泉今日子です。

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日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)『多部未華子のGM・踊れドクター』(TBSテレビ)

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2010年8月13日 (金)

ここは異次元世界なので四親等同志の婚姻は認められないというそんなあ(長澤まさみ)

民法第725条では「親族」を①六親等内の血族 ②配偶者 ③三親等内の姻族と定めている。

親族という概念が配偶者よりも血族を上位においているニュアンスがある。

これは夫婦主義ともいえる現代の家族形態とはややズレていると考えることもできる。

それは根本である日本国憲法の成立時期と背景の影が微妙に落ちているからである。

ともかく、そこで取り上げられる親等という言葉を確認しておきたい。

日本国憲法は第24条で「婚姻の自由」を保障しているわけだが、法令により近親者の婚姻届けは受理されないと定められている。

民法第734条ではこの場合の近親者とは①直系血族 ②三親等内の傍系血族に定められている。

このドラマでは早乙女晶(武井咲)と晶の伯父・修一(水上剣星)の子である宇津木洋介(綾野剛)が禁断の関係として描かれるのだが二人は従兄妹同志なので四親等にあたり、結婚に何の問題もないのである。

このドラマの登場人物で晶が結婚できないのは一親等の父親、二親等の兄弟と祖父、三親等の伯父までなのである。

もちろん、このドラマは日本ではないどこか架空の世界を舞台にしているということで問題はない。

なにしろ、近親相姦ネタが大好きなこの脚本家がそれを知らないはずはないからである。

もちろん、早乙女ファミリーが全員、無知という設定という可能性もあります。

で、『GOLD・第6話』(フジテレビ100812PM10~)脚本・野島伸司、演出・石井祐介を見た。このドラマ、コメディーあるいはファンタスティックなホラーとしてはかなり秀逸な作品なのだが、お茶の間がそのような視点で見ていないらしく、12.3%↘11.5%↘10.1%↘*9.6%↘*8.6%↘*7.2%と見事な降下を続けている。一方で怪奇マンガ家の巨匠の実録的ホームドラマは大好評なわけで・・・その落差がなんとなくおかしいわけである。

第30回夏季五輪であるロンドン大会は2012年開催である。「五輪で金を狙う若者たち」のシリアスなドラマを描くには時期尚早であるのは明らかである。

それでは・・・このドラマはどんなドラマなのか・・・それはお嬢様育ちのスーパー・ウーマンのドタバタ・コメディーなのである。

それが明らかになった今回・・・。キッドとしてはなぜ、忠実な執事長を配置しておかなかったのか・・・と残念な感じがする。ツッコミどころがみえにくいからである。

早乙女家に舞い込む刑務所慰問演奏のお誘い。

犯罪者に対して強烈な怨みを秘めているお嬢様・悠里(天海祐希)は罵詈雑言で受刑者を凌辱しようと計画を練るのである。

犯罪加害者としている受刑者の中には冤罪で受刑しているものを含めて個人差があるわけだが、そんなことには全く頓着しないのがお嬢様気質というものである。

凌辱こそが慈悲であるという信念があるからである。

挑発的な言葉の暴力で受刑者を挑発する悠里。当然の如く、暴動寸前となる受刑者たち。

そこへ早乙女家・執事長の指揮する親衛隊が登場し、麻酔銃の水平撃ちで暴動を鎮圧するくらいでよかったと思うぞ。

そして・・・颯爽と悠里はその場を去るくらいの方が楽しいのに。

まあ・・・そうはせず・・・現実と虚構の中間くらいの場所という感じで脚本家は犯罪加害者と犯罪被害者の心の壁の突破を試みるわけである。1億総犯罪者の我が国ではなかなかに成立しにくい展開です。

早乙女家の使用人夫婦と悠里の関係が明らかになる今回。

寡黙な運転手・保坂(志賀廣太郎)の妻はかって早乙女家のメイドだったのである。

保坂と新婚まもないそのメイドは早乙女家に入った強盗によって殺害されたのである。

メイドによって秘密の小部屋に隠された幼い悠里はその殺害現場を見ていたのだった。

お嬢様として即座に強盗犯を確保、庭の木に吊るし上げ、復讐を果たせなかった悠里の怨みは深いのである。法律によって自分のやりたいことができないことほどお嬢様の機嫌を損ねるものはないからだ。

もしもキッドが早乙女家の執事ならそんなお嬢様の忍従などは耐えがたいことである。

すでに・・・幽霊少年である早乙女朋(大江駿輔)が堂々と登場しているのだから・・・保坂の殺された嫁であるメイドの幽霊も出せばいいのになあ。

もちろん、殺害現場も忠実に再現するべきだ。

ここは美人女優投入のチャンスじゃないか。久しぶりに幽霊の岡元夕紀子とか見たいぞ・・・彼女がもう三十路を越えたか・・・。

それなら、香里奈とか、貫地谷しほりとか、本仮屋ユイカとか・・・幽霊役でワンポイント豪華ゲストで・・・。

当然、殺される前に犯されている方が凶悪感や悲壮感も高まるしな・・・。

まあ・・・そこまでやるとやりすぎだ・・・というのかもしれないが・・・。

個人差のある受刑者に「あなた方はもう心のハープの絃が切れてるから人間とは言えない」と叫んじゃうわけですから・・・ある意味、一緒だと考えます。

その後の・・・刑務所。刺激的な悠里でこっそり自慰した受刑者75人。その他の家族で自慰した受刑者89人。最後まで悠里が何を言っていたか難解すぎて理解できなかった受刑者10人。混乱のために負傷して後遺症の残った受刑者3人。悠里の言葉で鬱になり自殺した受刑者一人。出所後、悠里一家を皆殺しにしようと決意した受刑者4人。

悠里家の廊下に佇むメイドの幽霊。ステキだな・・・釈由美子でもいいのになあ。

関連するキッドのブログ『第5話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『志田未来のハンマー・セッション!』『堀北真希の歸國』(TBSテレビ)『吉高由里子の美丘・君がいた日々』(日本テレビ)

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2010年8月12日 (木)

大人のお子様ランチには干物がありますか(藤木直人)子供の大人ランチには旗が立ってますか(綾瀬はるか)

「ホタルノヒカリ」というタイトルを考えると、主人公のアホ宮こと雨宮蛍(綾瀬)がかかっていることはすぐにわかる。

蛍は結婚適齢期を少し過ぎた干物女で独身女性だ。もちろん、結婚適齢期などという怪しげな期間がどうなのかは別問題である。

その蛍の光(魅力)を愛おしく思った男がぶちょおこと高野部長(藤木直人)である。

そのようなことは大前提だが・・・今回は蛍と部長の関係について説明をしなおす冒頭になっている。

もちろん、それは部長のセリフなので部長が二人の関係をどう考えているかの心情の説明であって、蛍から見ればまた違う心情がある。しかし、蛍の心情は言葉にしては説明できないもの・・・というこころみが行われている。あるいは女心は男には口でいってもわからないでしょう・・・という脚本家のメッセージと考えることもできる。

まあ、ものかきがそれを云ったらおしまいだという考え方もありますが、女のすることだからな。・・・おいっ。

一方、蛍にとって部長は・・・上司であり、人生の先輩であり、大家であり、愛しい男でもある・・・それを「光」と考えればホタルノヒカリとは部長その人のことである。

「ホタルノヒカリ」とは蛍でもあり部長でもあるわけだ。

さらに「ホタルノヒカリ」といえば別れの歌である。

ストレートに解釈すれば・・・それは蛍と部長の別離を暗示させており・・・それは蛍と部長のカップルとしての幸せを願うお茶の間の人々を不安にさせる仕掛けになっている。

逆に、蛍の独身生活からの卒業・・・つまり、蛍と部長の結婚を意味すれば安堵できるのである。

人間はみな先行きの見えない闇を生きている。予定とか、未来設計とか、将来への希望的観測などをしてもすべては一寸先は闇ということなのである。

その闇に灯るホタルノヒカリ。その儚さ・・・この物語は人の心に潜む・・・そのあたりに触れていく。

水曜日のダンスは・・・。

9係・・・16.2%↘15.6%↘15.1%↘14.0%↘13.7%↗15.2%↘13.3%

ホ2・・・・・・・・・16.2%↗17.4%↘15.1%↘14.9%↗15.3%↘15.0%

久しぶりに優雅で気持ちのこもったダンスである。

で、『ホタルノヒカリ・第6回』(日本テレビ100811PM10~)原作・ひうらさとる、脚本・水橋文美江、演出・石尾純を見た。なぜか・・・映画「エマニエル夫人」(1974年)を連想するこのドラマである。干物女の物語が何故、内に秘めていた性的欲望を開花させるフランス映画を思い出させるのか・・・。その秘密を今回は部長が赤裸々に語るのである。

・・・三年前のあの夏を覚えているかい・・・君は恋をしていた・・・彼の名前を覚えてる?

・・・マコトくん・・・。

部長と蛍は結婚していないが、同居中の恋人同士である。男が女に昔の恋人の話を聞きだす。これがある種の淫靡なプレイであることは一部愛好家には一目瞭然なのでございます。

・・・恋をしていろいろ、悩んでいる君は実に魅力的だった・・・そんな君を僕は愛おしく思ったのだ。恋愛は君を悩ませるが・・・結婚なら君を安心させられる・・・そこで僕は君と結婚しようと思った。

部長の変態性が際立つ一言です。恋愛と結婚は別物・・・こうおっしゃっています。

・・・しかし、そのことで君に無理をさせてしまったようだ。僕は君にはありのままの君でいてもらいたい・・・だから・・・君のために結婚はやめようと思う。

・・・えっ?

部長の変態性についていけず・・・蛍は戸惑います。

・・・でも、私のこと・・・好きなんですよね。

・・・好きさ・・・だから結婚はやめるんだ・・・君のために・・・。

・・・ええーっ?

実はこの後で・・・部長の内心はこう続くのです。

・・・君は僕の女だ・・・しかし、僕はもう年で君に性の悦びを与えることはそれほど多くはできない。だから・・・君はあの夏のように誰か別の男と恋をして・・・いろいろと思い悩んでほしい。そういう「僕の女の性的な悩みのあれこれ」は刺激的できっと僕はますます君を愛おしく思うだろう。

そうです・・・この辺りが「エマニエル夫人」の奔放さを楽しむあまり存在感のない夫の心情を想起させるのです。・・・妄想的にはな・・・蛍の性的アタックを必ずはぐらかす部長の妖しさは・・・つまり、放置プレーということです。キャッチ&リリースです。・・・なんのこっちゃ。

しかし、干物女でありながら、性的にはまだまだノーマルの蛍には部長のこの変態的心情は理解の範疇を越えています。

けれど、「結婚をやめても・・・君はこのまま暮らしてもいいし、君が僕の女であることに変りはない」と部長が言うので一安心です。

だが・・・心にひっかかるものがあるわけです。

「部長は私のものだし・・・って、私、まだ部長を私のものにしていない」

男女がお互いを所有するためには肉体的な結合が不可欠と考える蛍は・・・プラトニックに蛍を支配していれば満足の枯れた変態部長とは違う生身の女なのです。

そこで・・・果敢に部長に夜這いをかける蛍・・・。決死の覚悟で部長のベッドに潜り込みますが・・・部長は蛍の温もりを感じてもおいそれと抱いてはくれません。

仕方なく、蛍はエグザイル、ピンクレディー、キョンシー、ウサギのものまね大会でお茶を濁します。

小芝居の連打でオブラートに包まれていますが、実は変態的な「エマニエル夫人」の世界・・・それが「ホタルノヒカリ」がなんとなく大人味なところです。

いわば・・・高野部長という一人の紳士的な変態に周囲のノーマルな人々が右往左往する。それが「ホタルノヒカリ」なのです。

蛍はノーマルなので戸惑いますが、その波紋は次々と広がっていきます。

第一に、高野部長の元の彼女で・・・人妻だった小夏(木村多江)・・・現在は未亡人ですが、高野とは燃える夜を幾夜も過ごした仲。特に言及されませんが・・・高野には三年前に離婚した妻・深雪(黒谷友香)がいて・・・ダブル不倫だった可能性があります。そういう意味でとりすました小夏は実は性的には大胆な女なのです。

「高野さんと蛍さんが結婚しないなんて・・・そんなの困る」という小夏の言葉は文字通りに受け取れば、まだまだ高野のことが好きなのにフリーになったら気持ちが抑えきれない・・・という意味になりますが、変態的には・・・高野・蛍夫婦が成立しないと、未亡人として再婚夫となった高野を盗む悦びが味わえない困惑と考えることができるのです。

そういう意味で、いつの間にか、蛍を好きになった瀬乃が困るのは・・・「高野さんのものだから欲しくなったのに・・・誰かのものじゃなかったら手に余る」困惑とも言えます。

この辺りには干物男と干物女の交際という特殊な事情が混入してきます。

蛍は蛍で瀬乃に「好きだ」と告白されて・・・ドキドキするわけですが・・・本能的に干物カップルは危険と察知しています。恋はしてもいいが結婚はできないと感じるわけで・・・蛍はなかなかに女としてはしたたかなのです。

とにかく・・・そのノーマルではないドラマの世界観を体現しているのが・・・桜木(臼田あさ美)です。桜木は瀬乃に好意を寄せているわけですが・・・瀬乃が蛍に好意を寄せていると知るや・・・嫉妬するのではなく、静観するのです。つまり・・・高野部長と同じポジションの選択です。宴会芸では蛍には遠く及ばない桜木ですが、性的プレーに関してはかなり懐の深さを感じさせます。つまり、ものすごく遊んでいるのですな・・・おいっ。

一方、通俗的な登場人物を代表する山田姐さん(板谷由夏)と二ツ木(安田顕)の職場恋愛カップル。山田は専業主婦を目指して小夏のおはぎを目指して特訓の日々。そのために放置された二ツ木は知的障害者プレーに逃避します。単に山下清のものまねと言えば角が立たないのですが・・・あえてこのドラマの変態性を強調しておきます。

幼児逆行という精神障害があるように・・・大人の知的水準から見れば子供の知的水準は劣悪であると考えるのがノーマルです。

しかし、多くの人間はそこに性的な開放感を感じることがあります。

社会では立派な大人も家庭に入れば赤ちゃんプレーというのはよくあることです。

部長にその傾向があることは明白なのですな。「~だもん」とか「ゴロゴロで迎えに来て~」というのは蛍の幼児退行癖を真似しているよあでもあり、率先して部長が蛍をプレーに引きこんでいるようでもあります。

もちろん、コスプレーヤーである蛍は潜在的な部長の変態性に非常にマッチしているわけです。

今回はネコの糞という「お笑い」でごまかしていますが・・・スカトロさえも暗示していますし、その時に蛍がどう考えても中学生時代から愛用している体操着を着用している以上、ロリコンも視野に入っているのです。

もちろん・・・どんな夫婦も必ず一度は夫が妻に「お願いだから一度、女子高校生時代の制服着てくれないか」とせがむとは断言しませんが・・・倦怠期になったら一度はためしてみたいところなのですな・・・かなり脱線しているぞ。

ともかく・・・二ツ木は瀬乃と高野の蛍をめぐるライバル関係を「年齢差」に置換していきます。

しかし、そのために瀬乃の若い肌にさりげなく触れるのはもちろん、同性愛の暗示です。

このドラマではレギュラーとして部長を男として慕うたまたまのある井崎(高橋努)を同性愛者として配置していますが・・・今回は愛人のために花柄のワンピースの部屋着を買う同性愛者が登場します。

干物人間の絆で安物買いに参加した蛍に瀬乃は「まちがいがあったら大変だ」と言うのですが・・・最後は「まあいいか」と現状肯定をします。

そこで・・・蛍が買い与えたものを試着する部長は・・・女装状態に突入。

露出した部長の変態性に・・・蛍はかすかに恐怖します。

「これはどういうことだ・・・」と詰め寄る部長ですが・・・もちろん、蛍が恐怖することに密かな愉悦を感じていることは間違いないのです。

大人味のお子様ランチと・・・子供向けの大人のディナー・・・その味わいが微妙であることはノーマルと変態のせめぎ合うこのドラマのなんともいえない味に似ています。

キスひとつしないのに妙にセクシー・・・そう感じるあなたもまた変態なのです。

結婚とはなにか・・・いろいろと分析していったあげく・・・蛍は一つの結論に達する。

「男が結婚したいと思い、女が結婚したいと思う・・・それが結婚・・・」

高野部長の会員数限定二名の「結婚してやる会」に入会した蛍は・・・また一歩、大人の階段を登って・・・変態の森への小路に近付いたのである。

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Hcinhawaii0660 ごっこガーデン。にゃんこと干物の愛の縁側セット。まこなぜに~、なぜに~、部長のチュウはおあずけなのでしゅか~。激しく熱いむさぼりあうよなキスのために目隠しして指の隙間から見ていたのにスルーとはこれいかに~。アイ・ウォン・チューでございましゅ~。はたして瀬乃の広島弁はいつ解禁でしょうか~。体操服に着替えたら、パン喰い競争がしたくなりました・・・じいや、あんパン用意して~。その後は流しそうめん大会で、それから、七輪でとうもろこし焼いて、そんでもって冷やし中華を食べて、最後はバーベキューでしめますジョ~。宿題?・・・まだまだ夏は長いでしゅから~全然平気でしゅ~お気楽最終回までにキスできるのかな~?・・・きたよ・・・めくるよ~はいるよ~ねむるよ・・・それにしても蛍をスルーできる部長って・・・どんだけ枯れてるのか・・・そっちの方が心配になるよねみのむしとにかく夏休み中でするるるエリ部長は最近すっかりコスプレイヤーになってますね~。あえて、安売りの店で甚平を蛍に買ってもらおうとする部長・・・密かに主婦力向上を目指しているのではないかしら。蛍と部長がどんどんすれ違っていくように見せつつ、絆はしっかりと保持でスー。このあたりはモヤモヤハラハラでじらすテクニックですyon!・・・笑わせておいてちょっぴりせつなくさせる・・・なかなかに大人味なので勉強になりまスーくう思いの相手の幸せを願う小夏と瀬乃・・・王道ですよね~。今回は瀬乃くんでもいいか~とお茶の間を誘い込むほどのヒロインの相談にのっておいてナイスアドバイスしておきながら告白・・・もう純情なんだか、小ずるいんだか区別がつかないわ~ikasama4まだ、私のものじゃないがぜよ・・・突然、龍馬化した蛍・・・土佐弁が出たら無敵ですね・・・一人でボケて、一人でつっこんで・・・まさに綾瀬はるか劇場です。アンコのハナクソがこんなに似合う女優がかってあったでしょうか。そして・・・結婚とは自分が結婚したいかどうかと言う気持ち・・・ただの結婚してください・・・はい・・・ではすまないところにこのドラマの旨みがあるようです・・・しかし、何も事件が起きなくてこれだけ持たすって・・・凄いですよねmari私以外の女とは結婚できない体にしてやろう・・・ざま~みそ汁!・・・突撃隣の晩ごはんだっ・・・てもう、普通の人なら頭おかしくなったとしか思えないセリフの連打をさりげなくこなす蛍・・・すごいですよね~。大人の恋愛のようで・・・少年と少女の恋のようで・・・なかなかに複雑な二人・・・でも縁側で交わす会話の積み重ねは・・・やがて実りの秋をきっと迎えるんですよね・・・テンメイおっとランニングしてたらまた・・・変な場所に出てしまった・・・実に不可思議~。藤木直人主演ドラマの視聴率推移とか・・・マニアックな研究をしています。蛍は縁側と結ばれる会の会長です。部長と蛍の結婚には断固反対です・・・蛍は縁側にキスするべきなのです

尚、テンメイ様の登場は無断なのですべての責任はキッドの妄想が転嫁します。

金曜日に見る予定のテレビ『崖っぷちのエリー』『熱海の捜査官』(テレビ朝日)『うぬぼれ刑事』(TBSテレビ)『モテキ』『大魔神カノン』(テレビ東京)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

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2010年8月11日 (水)

あなたはとてもいい人、でも初体験の相手としてはドブ(森山未來)知るかボケ(信川清順)

「帰ってきた時効警察・第7話」(2007年)でママさんバレーのコーチ・ミッシェル(加勢大周)と不倫している人妻・ヨシ子を演じていた信川清順が、幸世(森山)の人生で一番好きな女・小宮山夏樹(松本莉緒)の姉・基樹を演じている。

美人とか、美少女とか、美女とか人は軽々しく口にするわけであるが・・・人の好みは十人十色とか、蓼食う虫も好き好きとか、美は相対的なものとか・・・いろいろとお茶を濁す言葉も準備しているわけである。

人はないものねだりであるから・・・「ブサイクのくせにメンクイ」だったりしても何の問題もないわけだが・・・その点はオブラートに包むのがお茶の間に対する礼儀である。

しかし、深夜ドラマとなればその掟を軽々と踏み越えてナンボである。

王様がハダカだったり、王様の耳がロバの耳だったりしたら絶対に黙っていられない性格の人間にとっては・・・やってくれたね、やってくれたわねーと万歳三唱せざるをえない展開だった。

火曜日のドラマ対決は①「ジョーカー」↗13.8% ②「逃亡弁護士」↗*8.7%

中盤を過ぎて二つのドラマともフリにあたる説明部分がようやく終わり、「拉致監禁をする刑事」と「濡れ衣で指名手配の弁護士」という横軸と「一話完結の事件」という縦軸がようやくかみ合ってきた感じ。この手は難しいけれどそれほどはずさないということである。

「ジョーカー」の今回のターゲット・氷川弁護士(鈴木砂羽)は「直接的には誰も殺さないけれど他人の死を重大に受け止めないタイプ」である。こういうタイプを知力ではかなわないから実力行使というのはある意味逸脱であるが・・・知的弱者の味方をお茶の間は喝采で迎えるわけである。法治国家の完全な否定である意味、恐ろしいことだ。なにしろ、坂本弁護士一家を殺害したオウム真理教と同じ論理なのだ・・・主人公側がである。

一方、「なにか辛いものでも食べましたか」とうっかり聞いてしまい顰蹙を買うことまちがいなしのヒロインが本格的にドラマにからんできて、ファンとしてはうれしい感じの「逃亡弁護士」・・・少女売春婦・望を演じた波瑠もなかなかに清々しい。援助交際ギャルと売春少女は区別するべきという考え方もあるが・・・ここは目くそ鼻くそでいいと思う。

まあ、「ジョーカー」はともかく、「逃亡弁護士」は逃亡中に扱う案件に無理がある・・・たとえば今回、売春の裏づけとるのにどれだけ日時を費やすか・・・のは明瞭ですが・・・脚本監修者が秦健日子なのでいつものことである・・・う、撃たないで。

で、『モテキ・第4回』(テレビ東京100807AM0012~)原作・久保ミツロウ(女子)、脚本・演出・大根仁(男子)を見た。29才にして彼女イナイ歴29年の幸世は実質童貞である。ただし、本人としては忘れたい初体験がないこともなく・・・相手は幸世が一番好きな女性のあまり似ていないお姉さんだった・・・という過去が明らかになる今回。仕事仲間の亜紀(野波麻帆)や最高の女友達・いつかちゃん(満島ひかり)との恋のニアミス体験をブログに書いた幸世は幸世にとって最高にエロい女である夏樹に呼び出されるのだった。

「最近・・・いい感じみたいじゃない・・・誰かとつきあっちゃえば?」という夏樹。

「そんなこと・・・オレをふったアナタに言われたくない」と激昂する幸世。

しかし、「でも・・・あの時のあなたは私が好きになるの待ちみたいで・・・重かったのよ」と耳に痛い事実を指摘され、過去の世界へ逃亡する幸世だった。

その過去とは・・・。

酔った夏樹からラブホテルに誘われた幸世は・・・童貞という経験値のなさと本来の消極性から・・・初体験に恐怖して・・・入室を拒絶するのだった。

幸世の中に眠る多重人格、中学時代のチビメガネ幸世(泉澤祐希)と過食症時代のデブメガネ幸世(森田完)は未来の自分のあまりの根性のなさに絶望する。

しかし、自宅アパートに夏樹を連れ込んだ幸世。そして無防備にベッドに横たわる・・・明らかに誘惑モードの夏樹。

今度こそは・・・と息ごむ・・・チビメガネ・・・デブメガネだが・・・。

あろうことか・・・夏樹の寝顔を撮影する幸世。

「どうした・・・キスしろよ・・・」とデブメガネ。

「うるさい、お前がひきこもり時代に二次元中毒になったから・・・一度二次元に変換する必要があるんだよ・・・」と自己弁護する幸世。

その上・・・夏樹の携帯電話のチェック開始である。

そこで・・・夏樹の元カレの画像を発見した幸世は・・・ふさぎこんでしまう。

初体験は好きな人と結ばれたい・・・初体験での失敗を極度に怖れる幸世は逃げ道を発見したのである。

「こりゃ・・・だめだ・・・」とうなだれるチビメガネ。

翌朝・・・なにごともなかった二人は別れたのである。まさに据え膳くわぬは男の恥、女の屈辱である。こんなにわかりやすい例は初めて見たぞ。

そんな展開で鬱になった幸世を励ます会を催したのが、夏樹の姉・基樹と幸世の親友・島田(新井浩文)だった。

しかし、その席で酔った夏樹と島田とのただならぬ関係が暴露されてしまう。

居辛くなった島田は脱出。幸世は痛飲して酒に溺れるのである。

そして・・・そんな幸世を介抱した基樹と夢のような一夜を過ごすのだが・・・覚醒した幸世にとってそれは悪夢そのものだったのである。

しかし・・・基樹によって童貞喪失したことでものすごく不機嫌で傷心感まるだしになる幸世。

童貞である前に人間としてダメなのであるが・・・まあ・・・本音だっていわれればそれまでです。

そんな幸世を叱咤する基樹。

「なによ・・・私だってあんたに抱かれるなんて交通事故にあったようなものだわよ・・・犬にかまれたと思って忘れちゃうわよ・・・だから、あんたもなかったことにしなさい・・・」

幸世はようやく素直さが他人を傷つけることがあることに気がつくのだった。

基樹はすごくいい女なのだが・・・だからといってブスには惚れない基本メンクイの幸世・・・お前って奴は・・・。「顔/コンセントピックス」(1984年)かっ。

ごめんね キミはとてもいい人

だけど顔がキライなの

顔がキライ 顔がキライ

あなたはとってもいい人よ

性格だって悪くない

だけど顔がキライ

顔がキライ 顔がキライ

カラオケに行くと名曲なので時々、歌いたくなる歌だが・・・「その歌はあまり唄わない方がいいと思う」と・・・昔、美人の女友達に忠告されたことがある。「自虐的な人ぱかりじゃないから」ということである。それ以来、こっそりと唄っています。まあ、心ない男ですから~。

ともかく・・・童貞ではなくなったのに童貞と同じという幸世の心情はそういうことだったのだ。

とにかく、時間の螺旋をひとっとびで現在の幸世と夏樹。

「私さあ・・・人を好きになったことないから、告白したこともないし・・・そりゃ・・・好きになってくれる人は一杯いたけど・・・お酒を飲まないとセックスしたくならないから・・・なるべくお酒を飲まないようにしているし・・・」

「オレ・・・帰る」

雑居ビルのらせん階段を降りる幸世を追いかける夏樹。

「どうしたのよ・・・」

「オレ・・・わかんない・・・好きだから・・・相手にも好きになってもらうの期待しちゃうし・・・今でも夏樹さんのこと好きだし・・・」

「・・・それが聞きたかったの・・・」

はっきりもっと言い出すんだぜ

ふざけるのはやめて

はっきりもっと勇敢になって

ふざけるのはやめて

突然、「はっきりもっと勇敢になって/岡村靖幸」(2007年)となる幸世。熱烈キスである。モテキか・・・これがモテキの威力なのか・・・。

姉妹どんぶりしちゃうのかぁぁぁぁぁぁ。

関連するキッドのブログ『第3話のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『科捜研の女』『警視庁継続捜査班』(テレビ朝日)『怪談新耳袋』(TBSテレビ)『日本人の知らない日本語』(日本テレビ)『長澤まさみのGOLD』『もやしもん』(フジテレビ)

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2010年8月10日 (火)

ニュースが耳に痛くて(竹内結子)忘れたいけど忘れられない人(松本潤)

恋の終わりに愛が始まるのがハッピーエンドだ・・・という考え方がある。

恋愛結婚というのはつまり、恋をして結婚して結婚三年目くらいでなんとなく恋が終るのがスムーズなのである。

すでに長男とか長女が生れていて恋愛ではなくて家族生活が始まっているとよりスムーズなのだ。

逆に恋愛というのはそれ以外はろくなものじゃないのである。

だが・・・そうしたつかのまのときめきに病み付きになる人々もいる。

現実の恋愛を知っているものもまだ知らないものも・・・現実には存在しない恋愛に憧れるから・・・恋愛はエンターティメントの素材として成立するのである。

ミステリの登場人物の恋愛がなんとなく好まれるのはその「非現実性」に触れているからだ。

たとえば・・・「ケイゾク」の真山刑事と柴田刑事。彼らは二人ともおかしな人間だがいつのまにかよりそう。

「踊る大捜査線」の青島刑事と恩田刑事。二人はまともすぎる人間としてなんとなくお互いを好ましく感じている。

「トリック」の上田教授とマジシャン山田。腐れ縁でありダメ男とダメ女でありながら別れ難い。

これらは恋愛ドラマではないのに何故か魅力的な恋愛を描いているのである。

つまり、そういう「手」なのである。

もう一つ、簡単な手としては難病ものがある。

恋愛を描くのではなく・・・あくまで主題は「病死」である。その患者がたまたま恋愛をするだけなのだ。

恋は必ず終るものだが愛は終らないという定石をふまえれば、「難病」はいかにも恋との相性がいいのである。

その一つの原点は映画「ある愛の詩」(1970年)である。恋人の病名は白血病で今ではある意味コントの世界である。しかし、それでも「美丘」が示すようにこの主題は定番である。

これは和のテイストで言えば「竹取物語」だが、洋では究極の「ロミオとジュリエット」である。恋人たちは相容れない世界である「生」と「死」に別たれるのだから。

新しい恋愛ドラマを探す作り手たちはこうした古い恋愛ドラマの呪縛から逃れようとあがく。

しかし・・・なかなかどうして難しい。

たとえば・・・「夏の恋は虹色に輝く」のヒロインは夫と死別した妻である。それはつまり、死に損なったジュリエットという恋の残骸なのである。一方で主人公は国を失った王子という特殊な設定になっている。言うならばそれは英雄物語のプロットである。彼は試練を乗り越えて王座にたどり着くのが宿命だ。

彼は「シンデレラ」の王子や「白雪姫」の王子ではなく、呪われた王子なのである。

こう書くとこの物語の原型が「美女と野獣」であることにたどりつくのは簡単だろう。

実はこの物語の主人公は醜い怪物なのである。しかし、アイドルが演じる以上、それは見た目ではなく境遇で表現するしかない。ここがこのドラマの難点であることは明確なのだな。

そういう点からドラマは設定を複雑にしていく。

そこで主人公の「スターの子供からスターへの脱皮」という物語とヒロインの「若い未亡人の子育て」という物語のミックスが試みられている。

うまく料理されればかなり奥行きのあるドラマだ。・・・しかし、そうは簡単にはいかないのだ。要素を増やせば増やすほど散漫になりやすいものだからである。

そして、実際、散漫ですよね。

場面によって・・・恥ずかしいほどに稚拙だったり、それなりに名場面だったり落差の激しいこのドラマ。

今のところ・・・お茶の間はなんだかよくわからない・・・と思いながら見ている気がします。

できれば・・・主人公の役者としての成功を軸にして・・・気がついたらスタッフであるヒロインが欠かせない存在になっている。そういう方向にするといいのではないか・・・と思うのです。

「うぬぼれ刑事」や「熱海の捜査官」とは違いストレートな恋愛ドラマを要求されている以上・・・チャレンジはほどほどにするといいかなあ・・・と。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「エリー」↗*6.7%(無理矢理な対決ネタだったな・・・)、「うぬぼれ刑事」↘*8.3%(薬師丸プラスおっぱいか)、「熱海の捜査官」↘*8.5%(みんなふりおとされていく)、「ハンマー」→*7.3%(→キター)、「美丘」↗10.4%(お涙頂戴ありがとう)、「ドラマサザエさん」16.5%(観月ありさでございま~す)、「龍馬伝」↗16.7%(とりあえずきれいどころは大切なんだな)、「GM」↘*8.7%(二週連続患者が弱いな)・・・ついでに「夏虹」↘12.1%・・・以上。

で、『夏の恋は虹色に輝く・第4回』(フジテレビ100809PM9~)脚本・大森美香、演出・小原一隆を見た。主役の松本潤もヒロインの竹内結子も手がけている脚本家である。その特性は充分に把握しているわけだが・・・それだけにはずしているというのが正直な感想だ。つまり、現在のところは両雄並び立たずなのである。男と女で恋愛は成立するものだから両者を描いていくというものではないのだな。基本、女流はあくまで女心を描くしかないのであるが、この場合は主人公をたてるのが第一義。結構・・・難航してますな。

二世タレントの乱舞。まあ、実際にはいてすてるほどいるのであるが、お茶の間的には「そんなにいるのかよ」という笑いどころである。

基本的に二世タレントが主人公である以上、作家の視線は暖かく見守るのがベースだが、どうしてもおちょくりたい気持ちになる。このあたりの加減がちょっと躊躇を感じるのだな。馬鹿馬鹿しいと思うなら攻めるところは徹底して攻めないと。

ものすごく古い話になるが、昔、柳家金語楼(1972年没)という落語家がいて、その本名は山下敬太郎でその子息がロカビリー歌手の山下敬二郎である。金語楼の死後10年ほど後に若い作家が二人の関係を知らずに敬二郎に「父親の職業」を尋ねたことがある。「ふうん・・・そういう時代になったんだなあ」と敬二郎はつぶやいた。

その頃から・・・親がスターである子供の複雑な気持ちは存在するし・・・ある意味、永遠に続くだろう。落語家の息子がロカビリー歌手になるという時点でそうなのである。

たとえば2時間ドラマの帝王と呼ばれる船越英一郎は俳優・船越英二の息子である。母親は女優の長谷川裕見子である。長谷川裕見子は長谷川一夫の姪だ。英一郎の妻は女優の松居一代だが、彼女は再婚で連れ子もいたのである。

彷彿とさせます。

つまり、このまま大雅(松本潤)と詩織(竹内結子)が結ばれることになってもよくある話ということです。

父母が有名人であるタレントの集うパーティー。そこである意味「~の息子」「~の娘」として差別されて育ってきた人々は仲間意識で結ばれ心安らかに過ごす・・・その閉塞性でもう少し遊んでもいいのにな。

「ストレスたまるよな~」「でもヤバイクスリには手をだすなよ~」とかあってしかるべきですよね。どうせ、そこで笑いをとる気なら~。

「なりあがりには困るよな」「親の貧乏ネタとかな」「笑いものが笑いものになったんだから二世タレントだよな~」とか。

「総理大臣の息子とか、孫とか・・・どうよ」「一緒にされてもな~」「いや、政治家だってタレントだろう・・・差別はよくない」とかさ~。

とにかく・・・このパーティーはフリとしてネタを展開していきます。

まずは例によってなぜか大雅にからむ成上がり俳優の伊良部(永山絢斗)がスキャンダル写真誌を持って登場。例によって大雅を小馬鹿にする態度をとります。

おそらく何か仕掛けがあると思うのだが・・・伊良部は大雅の父親の生前からこの態度なのでやや正体が読めないのですな。落ち目になってからたたくという方がわかりやすかったのに。

さらにその雑誌で大雅は激怒するのですが・・・その理由は・・・他人のスキャンダルの写真に第三者として写りこんだ自分の顔に目隠しがされていたこと。

「オレは一般人じゃない・・・芸能人だ」

実に物悲しい展開ですが・・・そこに絞り込まないので散漫なのです。

もっと・・・芸能人でありながら・・・無名であることの悲哀を点描するべきなのです。無用のサングラスかけてるわけですから。

さて、今回もっとも散漫さを感じさせるのが・・・殺される女役の桜(桐谷美玲)のバーターで大雅がプールの監視員というチョイ役をもらった『赤眼鏡探偵シリーズ』のシーン・カット事件。連続ドラマだからと言って、先週、収録(フリ)して今週オンエア(オチ)では間延びするのである。

前回、大雅はかすかな成長を見せた。年下と言うだけで見下していた桜の子役上がりの演技力に圧倒され・・・桜を「尊敬する」とまで言ったのである。

今週は「師匠」と呼ぶくらいの展開でよかったはずだ。

もちろん・・・らせん階段的展開でもよかったのだが・・・「俳優は部品だから作品全体の出来が大切でシーンカットなんて気にならない・・・」というセリフは先週言っておいた方がよかったのである。

たった一言の芝居ではりきる。桜の実力を感じて奮起。たった一言を噛む。落ち込む。その上シーンカット。さらに落ち込む・・・しかし、桜の実力を感じている分だけ立ち直ることができる・・・この方が見やすいです。

しかし・・・恋愛ドラマである以上・・・そこを二の次にして・・・詩織との関係を発展させていかなければならない。

そのために・・・たまたま、詩織の娘の海(小林星蘭)の担任教師となった大雅の兄・大貴(沢村一樹)を絡めることがかなり無理矢理な感じになっているわけです。

副担任の野崎(小松彩夏)の露出もプールサイドとしては控え目すぎます。

「母子水泳教室」なのに母がプールサイドで見守るだけっていうのはどうなのかという問題もありますしねえ。

ともかく・・・「水がこわい海が主人公の激励で困難を克服」という将(母)を射んとすれば馬(娘)を射よ・・・しかも成り行きで作戦成功です。

ここでも・・・プールの監視員役とプールの監視員の手伝いというとってつけた感じがあるのですが・・・何しろ収録済み後の話なのでとってつけた感じは深まるのです。

ここで兄は弟が恋のライバルであることに気がつくのですが・・・弟が「オレは恋なんてしない・・・あの女が特別なんで気になるだけ・・・」と言うのを聞いて「それを世間では恋って言うだろう」と言うのですが・・・すでに大雅が詩織に二度も「愛を告白している」のでものすごくとってつけた感じになります。

まあ、今回は序盤で傍観者の桜さえもががどう見ても詩織のことを引きずっているようにしか見えない恋する大雅が「あなたのことはなんとも思っていない」と詩織に告げ・・・終盤でめげている大雅を詩織が「俳優やめないで」と励ますので「忘れられないけど忘れようあなたを・・・なんて無理」という大雅の自制心のなさを強調する展開になっているわけです。

しかし・・・そこになぜか小出しにする詩織の夫の死因判明ネタを持ってくるので物語は散漫になるのです。

外国への出張中、現地の地震に巻き込まれて死亡・・・そんなの第1回で明らかにしておく話じゃないのか・・・。

今回の場合・・・地震の回想ネタがテレビから流れた途端・・・「あ・・・これは詩織さんが泣いてしまう」と大雅を含めた事務所全員が思い、それぞれに気をつかうというくりかえしのギャグとして処理するぐらいのスタンスでいいはずである。

そこは泣かせどころではなく、笑わせどころにしないと・・・主役が誰だかわからなくなりますよ・・・。

まあねえ・・・主人公と同じくらい・・・ヒロインもスターだからねえ・・・難しいところだよね。

しかし、あすなろ抱きはその笑いの後で・・・しっとりと実行。三回目の告白。

「君の涙をとめてあげたい」

「ごめんなさい」

・・・という落胆の後で「でも・・・俳優はがんばって続けてください」に対して(わ、忘れられない・・・)という流れでまとめるべき・・・じゃないでしょうかあ。

最後に・・・まあ・・・知らない人は多くないと思うが赤眼鏡探偵を演じる山村紅葉は推理作家・山村美紗の娘で母親の書いたミステリ原作ドラマには必ず出るという典型的な親の七光女優である。もう少しそういう点を押してもいいよな。隠しあじにしないで。

関連するキッドのブログ『第3話のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日)『ホタルノヒカリ2』(日本テレビ)

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2010年8月 9日 (月)

長州兵は春より日々訓練を重ねその士気盛んなり(坂本龍馬)

日本が軍国となり、国民皆兵となっていくのは世界的な流行とも言えるが、やはり、長州人がその指導力を発揮したことも原因の一つと言えるだろう。

龍馬たち剣士も日々の鍛錬を欠かさないわけだが、江戸幕府の平和のうちに軍単位の訓練というものが疎かになっていた。

ゲームである鷹狩りというチームプレイは実戦をよく知る徳川家康が行えば軍事訓練足りえたが平和になれた名ばかりの将の下では単なる遊戯に過ぎない。

奇兵隊という革命軍を組織した高杉晋作は近代戦について天才的な先見の明を持っていたらしい。

長州に入って、奇兵隊の日々の訓練を見た坂本龍馬は歩兵を中心とした実戦的軍隊の出現に感銘を受けたのである。

それは同時に人を剣として使う、現代の平和主義者の目から見れば非人道的な近代戦の日本における幕開けでもあった。

士農工商の身分制度を越えて肉弾戦を挑む長州軍は幕府軍を恐怖のどん底に叩き落す。

侍たちはゲームを仕掛けたつもりで、近代的戦争という恐るべき修羅場に遭遇するのである。

で、『龍馬伝・第32回』(NHK総合100808PM8~)脚本・福田靖、演出・梶原登城を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。いつの間にかゆっくりと流れていく時。幕末も最後の元号・慶応に突入し、時の流れが濃厚になってまいりました。なにしろ、明治時代には坂本龍馬はいないのですからねえ。ということは坂本龍馬がその死を悼んだ人々の死も間近です。そういう意味でそろそろ死相の浮かびだした饅頭屋こと近藤長次郎の新作・描き下ろしイラスト大公開はまさに・・・予言的な性格がございます。身分を越えて才能を花開くことができる時代を目前にして散っていく志士たち。幕末の物語が魅力的でありながら爆発的な人気を得られないのは華麗よりも無惨の成分が多いからなのでございましょうね。まあ、悪魔しては悲惨であればあるほど壮絶であればあるほど萌えるわけなのですが~。時代の生贄となって燃え尽きていく命の輝き。その人々の生きた時を燦燦と輝かせてくれればそれでいい・・・今回はかなり眩しい感じでございました。

Ryoma186506 で、慶応元年(1865年)の長い夏は続く。幕府歩兵隊と出身藩である紀州藩の精鋭を集結させた第14代将軍・徳川家茂は江戸幕府の意向を受けて京都朝廷に対して「長州征伐の詔」を求めていた。一方、かって家茂と将軍の座を争った将軍後見人・一橋慶喜の立場は複雑なものになっていた。長い上方生活により、朝廷や西方諸藩との親交を深めた慶喜には事態が江戸幕府の考えるような単純なものでないことは予測できたのである。将軍が陣頭に立ち、大坂に集結した六万の幕府軍が長州に進発すれば長州は再び降伏するという楽観論が江戸方を支配していた。「しかし・・・」と慶喜は考える。「そんな簡単なものではない・・・」その証拠として、将軍位争奪戦の折から慶喜を支持してきた薩摩藩でさえもその動向は定かではないのである。江戸では表方と大奥が分裂の兆しを見せ、京都では家茂系と慶喜系の幕臣が官僚独特の駆け引きを続ける。そのために公儀隠密の活動も分断され、情報収集に齟齬が生じている。さらに、イギリスとフランスは不気味な覇権争いをしつつ、オランダ・アメリカを加えた四国連合艦隊を結集。大坂と長州の戦の推移を見守るかのように神戸沖合いの瀬戸内海海上に停泊していた。「行き先が見えぬ・・・」と慶喜は連日のように二条城で行われる長州攻め軍議の席に向かいながら呟くのであった。

軍議は個別の分科会の形式で行われていた。いわば根回しである。将軍が参加した最終的な軍議では異論があることは許されない。そこで行われるのは決定されたことの承認でなければならない。そうでなければ将軍が号令をかけられないからである。徳川家が作り上げた完全な軍事独裁政権はまさに形骸化していたのだ。

慶喜は徳川軍の薩摩藩担当者として・・・薩摩藩の代表と密議を重ねている。しかし、薩摩藩はなぜか出兵に同意しないのである。その発信源が軍監・西郷吉之助にあるらしいと察した慶喜は・・・西郷との直接会見を申しいれ、ようやく実現したのだった。

「いざとなれば・・・」と慶喜は覚悟を決めていた。西郷に噛み付き闇の血を注いで支配下に置くことをである。ブーランジェという闇の父を失った慶喜は・・・フランスから急行中の新たなる闇の父が現れるまで日の本の闇を支配する闇の王であったが・・・新たなる闇の父となる権利はまだ付与されていなかった。西郷を吸血してもそれを支配することが許されるかどうかは新たなる闇の父の決定に従うしかない。闇の掟の面倒くささに辟易しつつ、慶喜は臨機応変に事を進めようと考えている。闇の一族に謀反と陰謀はつきものだからである。

「しかし・・・」と慶喜は西吉と渾名される西郷の顔を思い浮かべる。その野生的な顔立ちは水戸の貴族出身である慶喜の好みではなかった。「あんなものの血を吸うのは気色悪い」と慶喜は感じるのだ。

その時、小姓が西郷の到着を告げる。慶喜は正二位大納言であり、薩摩藩大番頭でありながらも無官の陪臣である西郷などとは目通りも叶わぬ身分の差があったが、ここは密議の場である。慶喜は直答の許可を出した。

「薩摩藩はなぜ・・・出兵に同意せぬのじゃ・・・」

「長州征伐の詔が発せられぬ以上・・・大義がありもはんと我殿が申しておりまする」

「しかし、将軍が号令を下せば従うのが大名の務めであろう・・・幕府はそのために生麦事件の賠償も肩代わりしておる・・・」

「けれどそれは異国打ち払いの命に服したまでのこと・・・薩摩に落ち度はありませぬ」

「この戦、薩摩には損はさせぬ・・・幕府の必勝は動かぬものだ。その上で・・・薩摩には萩攻めという栄誉を用意しておる」

「作戦は誠に緻密なり・・・と殿も申しておりました。五軍による長州攻めは理にかなっておりまする。一の軍は本軍として安芸国より、山陽道を攻め、二の軍は石見より山陰道を攻める。三の軍は松山藩を中心に四国より大島の長州水軍をたたき、四の軍は九州諸藩連合が小倉より下関を襲う。そして薩摩水軍による長州の根拠地・萩攻めと計画通りなら長州の敗北は必至でござろう・・・」

「作戦通りなら・・・と申すか」

「いかにも・・・戦には不測の事態がつきものですからな・・・たとえば・・・四国諸藩・・・各藩に謀反の兆しありとの噂がございます・・・」

「なんと・・・」

「また・・・九州諸藩もまた幕府の貿易独占に不満を抱えるものありとも聞いておりまする」

「よもや・・・その旗を振っているのは薩摩ではなかろうな」

「滅相もありませぬ・・・もし・・・そのようなことあれば・・・長州攻めなど愚かなふるまいとしか申せぬもの・・・そもそも・・・長州攻めは薩摩の軍備があってこそ成立するものでござる」

「ふ・・・西郷、もう少し腹を割って話そうではないか・・・長州と薩摩は犬猿の仲・・・薩摩が幕府の意向に沿わぬ真の理由はなんじゃ・・・」

「薩摩には裏表はございませぬ・・・単に幕府の必勝を期するためのもの・・・幕府が完全なる勝利を治めるためには未だ準備が不足である・・・ということに過ぎませぬ・・・」

「いつじゃ・・・いつなら・・・それが叶うのじゃ・・・」

「九州諸藩、四国諸藩の万全な整備のために来年の春まではご猶予願いたい」

「大坂に五万の兵を集めたまま、年を越せと申すか・・・」

「すべては徳川家の安泰の為でござる・・・」

慶喜はむき出しかけた牙を治めた。西郷の体から熱気がほとばしりはじめたからだ。

西郷を襲えば焼かれる・・・そういう予感が慶喜の体を走りぬけた。

「わかった・・・至急速やかに事を進めてもらいたい」

「御意」

慶喜は西郷の気迫に飲まれた。

その頃、薩摩はすでに長州藩に対する軍事援助の準備を着々と進めていた。

幕府と諸藩の思惑を他所に新撰組はこの世の春を迎えていた。

京都守護役の会津藩の下部組織を逸脱し、江戸幕府との関係も深まり、隊士は200名を越え壬生から西本願寺に屯所を移転した後は京都市内の治安維持を一手に引き受けていた。同時に山南敬助の切腹に始まる内訌も開始されていた。近藤勇は正式な幕臣として取り立てられることを目指し「完全なる佐幕派体制」を目指していたのである。

尊王攘夷は一種の知的流行であるが、その成分を排除していくことは新撰組の知性を喪失させていくことにつながっていく。それによって新撰組は治安維持組織としてはより強く機能していくが、軍事組織としての柔軟性を失ってていくのだ。つまり、外部組織との情報交流が弱体化するからである。

京都では無敵だった新撰組が、転戦後は実に無能極まる烏合の衆と化すのはそれが原因と言える。

しかし、慶応元年夏、新撰組は京で最も金回りのいい集団だった。

京の花街で新撰組隊士が座を設けなかった日はないと言われるほどである。

同時に市中見回りと称して隊士は京都の商家を巡回し、みかじめ料を徴収し始めていた。

中には酔って乱暴狼藉を働く隊士も現れ、京都市民は半ばあきれ、半ばおそれつつ、この田舎ものの集団を見つめていた。

近藤勇は新撰組総長を名乗り、夜毎に芸妓をあげていた。女と見れば必ず抱くと噂されるほどだった。副長・土方歳三は組織内の近藤勇の独裁制を強化するために「英雄色を好む」ということで平隊士の女色は禁じつつ・・・近藤勇の振る舞いは特別扱いしたのである。

新撰組の威光に魅かれた全国の浪人は続々と京都に集まり、隊士をどれほど切腹させても補充にはことかかないという状況だった。

一人・・・沖田総司だけが戦っていた。

京都にはブーランジュの残した負の遺産であるゾンビと化した闇の一族が彷徨していたからである。

鬼天狗と怖れられた怪物たちが出現するたびに出動を命じられる沖田は寝不足で疲労困憊していた。

その名の示す通りに犬神一族である藤堂平助とコンビを組んだ沖田は夜の闇を斬る。

比叡山の南、下鴨神社周辺に多数の鬼天狗出現の報を受け、二人は数人の隊士ともに夜の京を走るのだ。

「まったく・・・斬っても斬ってもキリがないなあ」

「やつらは昼は死体として潜んでおりますからな・・・しかし、京の都の墓という墓を暴くわけにもいきませんし」

ぼやきあう二人に緊張が走る。敵の数が多いのである。

神社の境内には五十を越える屍の鬼天狗が集っていた。

斬りこんだ隊士の一人がたちまち鬼天狗の群れに飲み込まれる。

「いかん、丸くなれ・・・」と藤堂が叫ぶ。今宵は満月である。すでに獣化しはじめた体は灰色の体毛で覆われている。総司はすでに愛刀・菊一文字則宗に己の血を吸わせている。総司の対吸血鬼血液は強化タイプで一滴で必殺の効果があると言われる。

殺到する鬼天狗たちを一撃で撃破消滅させる総司。しかし、多勢に無勢である。新撰組隊士たちは一人、また一人と倒れていく。

「うおう・・・こりゃ・・・ダメかもしれん」藤堂平助がひるんだ声をあげた瞬間、吸血鬼たちが方向を変えた。

現れたのは黒い忍び装束に身を固めた集団である。

彼らは鬼天狗たちにむしゃぶりついてその足を止める。吸血鬼に咬まれても頓着しないのである。

戦力が分散することで・・・総司に余裕が生れた。各所で身動きが出来なくなった鬼天狗を順番に仕留めていく。

やがて・・・鬼天狗たちはすべて消滅した。

「かたじけない・・・」と沖田は黒装束の頭領らしき男に会釈した。

「なに・・・我ら屍党は慶喜公配下のもの・・・いい訓練になったというもの」

「屍党・・・」

「ふふふ・・・いかにも・・・これらのものはみな・・・一度は死んだ身でござる・・・新撰組の沖田殿・・・そなたがかって殺したものもまじっておるかもしれませんぞ・・・」

「え・・・」

「しかし・・・心配ご無用・・・このものたちにうらみつらみはございませぬ・・・ただ命じるがままに動くのです・・・なにしろ・・・生ける屍ですからな・・・運が良ければ拙者のように語る言葉を思い出すものもあるのじゃが・・・」

沖田総司は黒覆面から腐臭が漂い出すのを感じた。

かって望月亀弥太だったものは覆面の下でニヤリと笑った。

関連するキッドのブログ『第31話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『ジョーカー許されざる捜査官』『逃亡弁護士』(フジテレビ)『天使のわけまえ』(NHK総合)『土俵ガール!』(TBSテレビ)

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2010年8月 8日 (日)

南熱海は死後の世界かもしれないんですよ素子さん(オダギリジョー)

「モテキ」で失意の主人公が読むマンガは「あしたのジョー」であるが、「熱海の捜査官」で宮崎あおい似の登場人物が主演するはずだった映画は「あしかのショー」である。

今、コネタ業界の人々は映画「あしたのジョー」(2011年公開予定・主演・山下智久)をさけては通れないらしい。

ちなみに「あしかのショー」で甘利レミー(二階堂ふみ)はショーの恋人・ヨーコを演じる予定だったらしい。

「熱海の捜査官」の用語辞典は驚くべき充実度である。

ついでに熱海の捜査官マップで「壁紙」を獲得しようと思うと手がだるくなるので注意が必要だ。クリック、クリックである。揺れるネズミ大将は萌え~だし、SAPくんやスケキヨの東雲麻衣(三吉彩花)がどんどん好きになる洗脳効果があります。ロープウェイの3ポイントのタイミングが不明だし~。「人引き」のエサはお早めに交換推奨です。イエスノーランプは触らぬ神に祟りなしです。

車はチェックしたかどうか・・・すぐ忘れる。南熱海天然劇場は座長(小野栄一)以外の座員も早く紹介して欲しい。

まあ・・・とにかく・・・「熱海の捜査官」は公式サイトも楽しいのである。

素子(もとこ)さんは絶対最後には登場してもらいたい。三日月くん(麻生久美子)だといいなあ。

で、『熱海の捜査・第2回』(テレビ朝日100806PM1115~)脚本・演出・三木聡を見た。東京では大事件が起きているという。それがどんな事件なのか気になるところだが・・・広域捜査官は総動員されているらしい。それなのになぜか、広域捜査庁鑑識課のチーフである坂善(さかぜん)正道(田中哲司)は南熱海の小さな事件に出張してくるのである。しかも鑑識課は総動員体制のように見える。もちろん・・・東京の大事件が今後、南熱海の事件に絡んでくる可能性は限りなくゼロに近いと思うが・・・油断はできない。

南熱海の港に釣り上げられたスクールバスは三年の月日の経過に無惨な姿をさらしていた。とくにバスに迷い込んで出られなくなった巨大魚「人引き」は強烈な腐敗臭で臭いの出るテレビでなくてよかったとお茶の間を安堵させるのである。

南熱海警察署のホワイトボードは生きていて、婦人警官・桂東(ふせえり)の引いた矢印を常に「人引き」に向かわせる。人引き←・・・→人引きである。時には桂東↩人引きとふざけたりもするのだ。

南熱海のトンネルのこちら側は死後の世界である可能性を暗示するのだな。

朝のコーヒーがものすごく美味しかったので坂善は拾坂署長に全幅の信頼を寄せる。

美人だが性格が悪いのでもてないと断定された北島捜査官(栗山千明)は照れて星崎捜査官(オダギリジョー)に肘鉄からアッパーの二段攻撃を食らわす。

とにかく、バスには吊り下げられた古い傷跡があり・・・転落事故ではなく、何者かによって故意に港内に沈められたらしい。

坂善「犯人は誰だ」

星崎「それはまだ・・・」

坂善「なんだ・・・誰かを庇っているのか・・・犯人に惚れたか・・・」

切れすぎて痛い感じの坂善だった。

再び、バスの運転手・新宮寺(山中聡)に事情聴取をする星崎。

星崎「サイドブレーキは解除されていたそうです」

新宮寺「私はサイドブレーキをかけました・・・まだ手に感触が残っています」

星崎「まあ・・・あの坂道に車を停車させる以上・・・それは当然ですよね」

繰り返される・・・サイドブレーキの手の感触のやりとり・・・別の感触の話ですね。

北島捜査官は事件に関るもう一人の人物に関心を持っていた。

北島「現場に倒れていた老人と面識はなかったのですね・・・彼は役者だったそうですが・・・」

新宮寺「あったことのない人でした・・・ただ・・・」

北島「天本英世(2003年・没)が生き返ったのかと思ったとか・・・」

新宮寺「いえ・・・誰ですか・・・その人・・・」

北島「けっ・・・これだから田舎者は・・・で・・・ただ・・・なんです?」

新宮寺「あの人はなんだかおそろしい顔をしていました・・・」

北島「つまり、仮面ライダーシリーズの死神博士(故・天本英世)みたいな・・・?」

新宮寺「だから・・・どなたですか・・・その方・・・」

ともかく、二人の捜査官はそれぞれに事件の手がかりを求めて手分けをして「悪い話」を聞き込みに行くのだった。

・・・コネタ拾いながら脱線もするのか・・・このペースはやめろとあれほど言っているのに。

その頃、東雲麻衣の入院する南熱海総合病院では・・・。

東雲麻衣のパソコンに壜をクリックして拾うとメッセージが開くボトルメールが漂着していた。

そのメッセージは・・・

もうすぐ皆さんのところへ帰ります

である。

そこへお見舞いに現れたヌードモデルの新也(山崎賢人)は「秘密」を持っているらしい。

新也「東雲麻衣さん・・・あなたは何もかも思い出しているのではないのですか・・・ボクはどうすればいいんですか・・・」

しかし、東雲麻衣は包帯の下で無言を保つのだった。

エレベーターを満載にするほどのナースの群れを代表する看護師・走水弥生(藤井沙央理)だが、要するに栗山千明と同じ事務所である。できれば岩田さゆりもお願いします。

南熱海の地図によると総合病院の最寄に市役所がある。

星崎は甘利市長(団時朗)に呼び出され、市役所を訪れていた。

市長の娘の宮崎あおい似の・・・もういいだろう・・・二階堂ふみ演じる甘利レミーは市長秘書の亀岡(村松利史)の家庭を崩壊するほどの秘密を握っているらしく、星崎に重大な関心も寄せているらしい。

ここまで甘利レミーと東雲麻衣は敵対関係を示しているが・・・少女たちの関係なのであてにはならない。

なにしろきらいきらいはすきのうちの王国である。

一方、「情報が少ない方が本質を示す場合がある」という星崎に・・・市長たちはあからさまに口を閉ざす。

星崎「行方不明の少女たちと市長の面識はないのですか」

市長「ない・・・と思うなあ・・・ははは」

ところが、レミーは星崎の手を握りながら「父の知り合いの陶芸教室に椹木みこ(山田彩)が通っていた」と告げるのだった。

市長のあからさまに怪しい態度をあからさまに見て見ぬフリをしてやり過ごす星崎。

その頃、南熱海の辺境に位置する怪しい界隈に北島はやってきていた。

謎の老人・蛇川方庵(小野栄一)の主催する南熱海天然劇場を探訪するためである。

そこは売春婦や外国人売春婦や無国籍売春婦らしい女たちなどが屯する一角だった。

お化け屋敷や秘宝館にストリップ劇場という熱海の文化地域である。・・・いい加減にしておけよ。

そこにはチンドン屋風のサックスを吹くストリッパーや金粉ショーもどきの男がいて・・・北島を時空の彼方に誘い込むのだった。

蛇川「あなたは何を聞きたいのです?」

北島「事件のことを・・・」

蛇川「あなたは本当はすべてを知っているのでしょう?」

北島「そんなことは・・・」

しかし、すでに「バス・ストップ/平浩二」の魔法は発動していたのだった。

バスを待つ間に涙を拭くわ

知ってる誰かに見られたら

あなたが傷つく

何をとり上げても私が悪い

過ちつぐなうその前に・・・

「さあ、前に」と飛び入りで串刺しマジックの助手を務める北島。

しかし、悪趣味なバスを模した箱の中で・・・蛇川は消失してしまうのである。

しかも・・・唖然として劇場を出た北島は・・・ほんの数分の出来事が数時間にあたっているという浦島太郎気分を味わうのだった。

すでに深夜2時・・・怪しい界隈は廃墟のように人影が絶えていたのだ。

そして・・・北島の身を案じた星崎からは87件のメールが着信していたのだ。

もちろん、星崎が北島を愛している証拠である。

午後8時には旅館に戻る予定だった北島が旅館に帰着したのは午前3時だった。

しかし、旅館「熱海南海荘」の主人・相模(岩松了)は甲斐甲斐しく、海老のチリソース煮や春巻などの中華料理を食膳に並べるのだった。

空腹だった北島は星崎を挑発しつつ美味しくいただくのだった。こんな風にコンビニ化した旅館あるといいのにな。

コーヒーもダメな胃弱の星崎の前でこれみよがしに草木も眠る丑三つ時の春巻ラー油べったりサクサクを決める北島。

相模「時間の流れがはやい場所だったのでしょうか・・・」

星崎「七時間もかけて・・・結局、ケムに巻かれるなんて・・・」

星崎の皮肉を思わずおサルさんですよのポーズでかわす北島だった。

ちなみに二人は官給品らしいジャージで何気にペアルックである。グッズの宣伝かっ。

その頃、甘利レミーは星崎をオカズに生々しいことをしていたらしい。

そのような生々しさを払拭するような快晴の空の下に佇む風車たち。

広域捜査官は東雲とともに現場検証に向かうのだった。

星崎「君は・・・事件の前日に四十万新也といたことは憶えているかな」

東雲「わかりません」

事件前後の記憶がないことを主張する東雲。

しかし、回収されたバスの中で東雲は「ライン」という言葉を思い出す。

その頃、ソファーのクッションの隙間に落ちたコインを探していた桂東は坂善に遣り残していた作業を想起させ、お駄賃に100円を貰うのだった。

坂善とディック・トレイシーのブル巡査部長の部下たちを想起させる鑑識チームは再びバスへと戻っていく。座席の隙間を見落としていたのである。

バスの座席からは謎のカセットテープが発見されるのだった。

永遠の森学園の学園寮を教師の敷島(藤谷文子)が訪れていた。

お香を焚き、油紙でつつんだ黒い液体入りの広口ビンから寮長の阿久根(宮田早苗)はバスのミニチュアを取り出す。

「黒魔術の呪いが解けたみたいね・・・これはバスが見つからないようにするおまじないだったのに・・・私の魔力もまだまだだわ・・・どうして・・・見つからないほうがいいか・・・あなたにはわかるでしょう?」

それには答えない敷島だった。用件は「東雲が退院後、寮に戻る」という東雲の養父からの伝言である。東雲の実父について情報は何もないらしい。

ここまでの情報を整理しておく。

東雲麻衣・・・ライン

レミー・・・生々しい夜を過ごす

運転手・・・サイドブレーキは引いた

寮長・・・黒魔術使い

担任教師・・・何か隠している

市長・・・女子生徒といかがわしい感じな感じのことを隠している感じ

・・・まあ、大体わかってきましたな・・・何がだ。

そこで鉄人28号のどうやって操縦するのか謎の操縦器にそっくりのイエスノーランプの出番である。

すると、いかにも事件の鍵を握るような出来事「事件前日に四人が新也のヌードを写生していたこと」が事件とは関係ないことを示す赤ランプが点灯する。

北島「すると四人には別の共通点があるっていうこと・・・それって操作がフリダシに戻ったということじゃないの・・・」

星崎「いや・・・事件は解決に向かって進展しているさ・・・だって①バスが見つかる・・・②東雲くんの意識が戻る・・・そして③謎のカセットテープが見つかると・・・そこはかとなく事件が動いているからね・・・解決は時間の問題なんだ」

北島「最終回までは引き伸ばすっていう意味ではそうね」

星崎「だめだな・・・それを言っちゃ」

一方、レミーは体育館でクラスメートとともに体操着を披露する。

宮崎あおいよりグラマーかもしれない・・・だからもういいだろうって。

レミーの交友関係は広く・・・暴力団の組長・朱印(松尾スズキ)とも関係があるらしい。

そして、インディアン・スパゲティーが最高に美味いレストラン「ボリューム」のウエイトレス奈々子(小島聖)もなにやら怪しげである。まあ・・・最初から怪しいのだが。

一方、謎のNPO「空と海と虹の会」代表の平坂(萩原聖人)も怪しい。基本的にNPOというのはテロリストの隠れ蓑だからな・・・おいおい。

そして市役所と朱印組は共謀して「空と海と虹の会」施設の撤去を画策しているのである。

まあ、役人とヤクザがつながっているのは地方では常識だからな・・・おいっ。

そういうこの世の闇を具現化するのか・・・。

情操教育の一環として市長も推奨する陶芸教室「レプス陶芸クラブ」はどう見ても売春宿の経営者にしか見えない陶芸家・州崎(広田レオナ)によって経営される陶芸プレー専門の風俗店にしか見えないのだった。

しかも・・・州崎は拾坂署長の元の交際相手だったのである。

「この店は麻薬とか火薬とか血液とか体液とか手コキで噴出する白濁液とか愛液とか犯罪の臭いがします」と断言する星崎だった。・・・妙なものを混ぜるなよ。・・・だってあからさまにそういう感じだろう!

まあ・・・とにかく・・・どこまでも怪しく、登場人物は増加中です。

それぞれの出番はどんどん減っていくよなきっと。

ちなみに南熱海の地図によると・・・南熱海興行(朱印組)、天然組、レプスと固まっていて、この辺りの治安は最悪な感じです。

まあ、田舎の温泉街なんてみんなヤクザでみんな芸人でみんな風俗関係者だという考え方もあります・・・それはないと思うぞ。

ああ・・・本当に熱海に行きたくなるドラマだなーっ。今からいくかーっ。

関連するキッドのブログ『第1回のレビュー

月曜日に見る予定のテレビ『ハンチョウ』(TBSテレビ)『夏の恋は虹色に輝く』(フジテレビ)

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2010年8月 7日 (土)

愛ってよくわからないけど傷つく感じが素敵な笑顔(薬師丸ひろ子)人妻とNaNaNa(長瀬智也)

「シンデレラ・ストーリー」では結婚がゴールだが人生は続いていく。

愛があればあるほど絡み合う幸せと不幸せの連鎖。

揺らぎやすい乙女心と・・・挫けやすい男の魂がもつれあいおりなす葛藤の日々である。

毎日が新鮮な・・・記憶を持たない日々にいたるまで添い遂げるカップルは三組に二組。

30%の男と女は別れ別れになる運命(さだめ)でございます。

そのあたりの心の機微をねっとりさらりと描くクドカン劇場。

裏切った男を殺した女(加藤あい)、結婚サギ師(蒼井優)、夫殺しの未亡人(樋口可南子)、正妻殺しの愛人(戸田恵梨香)に続いて登場するのは愛に彷徨う人妻(薬師丸ひろ子)・・・。

殺したいほど愛している狂おしい優しさにうぬぼれ刑事は心奪われるのです。できればぶっさん(岡田准一)が夫だとよかったのにおぎ(小木博明)だった・・・なんとなく残念です。

おぎもやはぎも・・・悪くはないけれど・・・このドラマではちょっと芸人(素)を捨て切れていないところが残念です。

バナナマンを見習って精進してもらいたい。

で、『うぬぼれ刑事・甘党(第5回)』(TBSテレビ100806PM10~)脚本・宮藤官九郎、演出・金子文紀を見た。クドカンにカネフミある意味、名コンビである。今回は地味めだが実にいい味出しています。いい脚本にいい演出、お互いにいろいろ浮気はするけれど久しぶりに合体すればそれなりに快楽のツボを心得ている・・・ああ、怪しいゲイのカップルみたいな・・・もうたとえとして成立してないぞ・・・。

一番綺麗な私を抱いたのはあなたでしょう

愛しい季節は流れて 運命と今は想うだけ

中島美嘉の挿入歌はまだまだ効いているのに・・・TOKIOの主題歌がややくすんでいる感じがするのは楽曲提供者が玉置浩二だからか・・・。二番目の妻、薬師丸ひろ子は何を想うのか・・・まあ、失敗を繰り返すのも男の花道ですけれど・・・。どうせなら、人妻役で四番目の妻・青田典子が出てくるくらいのキャスティングが一同爆笑だったな。

まあ、とにかく、薬師丸ひろ子と結婚したり、石原真理と不倫したり、青田典子と何度目かの結婚をしたりする男の人生は・・・うぬぼれ5にとっては「ウェイウェイウェイ(NO!NO!NO!)」扱い間違いなしである。

メンバーの一人、ホームレス・アクターのサダメ(生田斗真)はドラマ版「うぬぼれ刑事」の監督・田代(橋本じゅん)にハード・ゲイ的に認められ、衣装はどんどんタンクトップになっていくのであった。

「もう抱かれる覚悟はできている」のだった。

そんな悲壮な覚悟を他所にパティシエの松岡征士郎(要潤)は主婦のためのスイーツ教室で人妻たちに囲まれ激しくうぬぼれるのである。

一番手は村上夫人(原史奈・・・中西哲生の妻)、二番手は大橋夫人(山口もえ・・・IT関連企業社長夫人)、三番手はおっぱい夫人(手島優・・・愛がいっぱいIカップ・・・ぷるるん選手権1位・・・最も美しい理想的なバスト賞受賞・・・独身)である。

関係ないが・・・「東京DOGS」「泣かないと決めた日」「ヤンキー君とメガネちゃん」と三期連続で妹キャラを押し出して今季ドラマお休みの川口春奈は「リスモ・フェス」のCMで爆発である。とくに揺れるおっぱいがいい・・・関係ないにもほどがあるだろう。

ともかく・・・原史奈や山口もえをさしおいておっぱいしか記憶に残らない穴井(矢作兼)とサダメだった。

二人はおっぱいの存在が過去にあった空間に身を置くだけでそこはかとない幸せを感じるのである。

幸福感の個人差は涙ぐましいものである。

その頃、うぬぼれは元のフィアンセで、相棒の冴木刑事(荒川良々)の新妻・里恵(中島美嘉)からそれとなく誘惑される。

どんなに愛し合っていも・・・妻が浮気するのではという脚本家の疑心暗鬼が花開くのである。

もちろん、浮気などしてほしくはないが、浮気されたらされたでよくて、むしろ浮気の一つもして欲しいという複雑な夫の気持ちの反映なのである。もちろん、一般的には変態的心情と認定されます。

あれよあれよと言う間にうぬぼれをラブホテルに誘い込む里恵にうぬぼれの血液は下半身に急速集中するのだが・・・お約束で冴木刑事から連絡が入るのである。

うぬぼれとの関係を疑われているといろいろとあることないこと言う心乱す里恵。

もちろん・・・単にうぬぼれを弄んでいるのだ。

人妻というものは独身男を弄ぶのが使命だからである。

やがて・・・連続不審死事件が発生。

被害者は村上夫人の夫と・・・大橋夫人の夫だった。

被害者の体内からは禁断の薬「ブタミール」が発見される。

そして、二人の人妻と不適正な関係にあったパティシエ松岡の料理教室から「ブタミール」が発見され、松岡は重要参考人となってしまう。

捜査に乗り出したうぬぼれは葬儀場で場違いな天使のエヘヘ笑顔を見せる前原夫人(薬師丸ひろ子)に出会い、案の定、恋に落ちるのだった。

天使のように心優しい前原夫人は・・・元看護師・・・そのやさしさはやがて狂気と化していくのである。

かって難病に苦しんだ過去がある前原夫人は・・・お決まりで看護師に・・・やがて難病の特効薬「ブタミール」と出会い、難病が克服されることに喜びを見出す・・・。

しかし、処方によって副作用が発生することで医療事故が発生。

「ブタミール」は生産中止に追い込まれる。

適正な使用をすれば問題ない医薬品に対してクソミソで過剰な反応を示す医療行政に怒りを感じた前原夫人は「ブタミール」をこっそり確保することを決意する。

そうこうしているうちに・・・前原夫人は再び・・・不幸な人々と知り合うのである。

どんな不幸も日常になってしまえば笑い事になってしまう。

病院勤務で・・・患者たちの会話を知っている前原夫人。

重たいこと(病状や死期)について語っていてもすごく軽くて楽しそうな人々のリアリティーの欠如。

それは公園で語る人妻たちの夫への憎悪に通じるものであった。

「まったくわがままで手におえないの・・・」

「バカで困っちゃうの・・・」

「死ねばいいのに・・・ってつい思っちゃうわ」

「殺してやりたいくらいだわ・・・」

「そうしたら・・・もっと輝けるのにねえ」

自分には彼女たちの望みをかなえる力がある・・・前原夫人は白衣の天使として「ブタミール」を使用することを決意するのである。

論理的におかしいだろうと想うあなたは美しい人妻のもっと美しくなりたい気持ちが分からない部外者ということです。

ブタミールによる致死の行程表。

スイーツにブタミールを混入。

食したものは「食あたり」の症状を示す。

病院では一般的な栄養剤を点滴。

栄養剤に含まれる成分とブタミールが結合し、心臓麻痺を発生。

病院は痛くもない腹を探られたくないので突然死として処理する。

しかし・・・すでに常軌を逸した前原夫人はドラマ「うぬぼれ刑事」を見て・・・うぬぼれに逮捕される甘美な夢を見始めるのである。

だが・・・前原夫人が恋をしていたのはサダメであってうぬぼれ本人ではなかったらしい。

リアルなうぬぼれ刑事にちょっとガッカリする前原夫人だったが・・・そこは天使の優しさが発動する・・・うぬぼれのプロポーズを受け入れるのである。

ちなみにここまで前原夫人が長い話を語る間・・・前世で公平くん(「木更津キャッツアイ」より)の担任教師あさだ美礼だった前原夫人と前世で公平くんの義理の母のローズだった筆談ママ・玲子(森下愛子)をめぐる激しいオーダー・バトルが繰り広げられるが「焼きうどん」で決着が着くのである。ここは実に順当な注文と言える。拓郎にもしものことがあれば愛子ももっとしなやかに、もっとしたたかに美しくなるのだろうか。

40代のひろ子、50代の愛子・・・銀幕のアイドルは永遠に・・・なのである。

薬師丸ひろ子、次回は「外科医 須磨久善」で水谷豊の妻役です。

ともかく・・・ドラマ版うぬぼれ刑事に激しく嫉妬しながらも・・・前原夫人の中に愛ではなく憐憫を見出したうぬぼれは・・・前原夫人のプロポーズ承諾を拒絶するのだった。

基本的に・・・うぬぼれはみみっちい性格なのである。

愛されない男にはそれなりの理由があるのです。

・・・ちなみに第三のターゲットが冴木夫人の夫であったことは藪の中になっています。

ま・・・いつの時代も知らぬは亭主ばかりなりが定石でございますから~。

関連するキッドのブログ『第4話のレビュー

日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)『多部未華子のGM・踊れドクター』(TBSテレビ)

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2010年8月 6日 (金)

男を戦場に送り出した後でキラキラしたものをカードで購入するのが女だっていうそんなあ(長澤まさみ)

女は強く、男は弱い・・・それで許してもらいたいという作家の願望そのまんまである。

言いたいことはそれだけなんだよな・・・いつもいつもいつも。

それで理想の女を描いていくと・・・女からも男からも受け入れられない超人になっていくわけであるが。

まあ・・・それはそれで面白い・・・と思う他はないのである。

「警視庁継続捜査班」は乳幼児とりちがえと両親殺害生き残り少女のミックスなのである。生き残ってヴァイオリニストになった音大生(芦名星)で、そのライバルで殺人狂(上野なつひ)である。所属事務所の大きさが違うというキャスティングのなせるワザなのだが・・・どう考えても、配役逆だろう。

まあ、上野なつひは凶悪犯を熱演しているが・・・芦名星は薄倖の美少女にはまったく見えないわけで・・・。

もう・・・物語そのものが崩壊していくのである。

運命ってアレだよね。

ついでに言っておけば「相棒ワールド」がある以上、木村佳乃はどうしたって片山雛子にしか見えないわけで・・・刑事ドラマを演じるのは無理があると思う。

そういうあたり・・・もう少し考えてもらいたいよな・・・プロの皆様には~。

で、『GOLD・第5話』(フジテレビ100805PM10~)脚本・野島伸司、演出・河毛俊作を見た。21世紀初頭悪魔くん大戦女王版であるこのドラマ。わかりにくいのでキャストを妄想しておきたい。

早乙女悠里(天海祐希)・・・悪魔様と呼ばれるカリスマ経営者だが、実際は魂の千年王国を築くために行動している東方の神女である。類稀な洗脳力で女性の魔女化を得意とする。悪魔様に洗脳された女子大生は割り勘に応じなくなるので注意が必要だ。

新倉リカ(長澤まさみ)・・・第一の使徒。生れた時にリカと命名された時から悠里の使徒として生身のリカちゃん人形になることが宿命付けられた霊感少女。霊視によって一般人には見えない霊体を見ることができる。悠里の側仕えでありながら、裏切り者気質のために監視役としての金ちゃんと呼ばれる使い魔犬に見張られている。しかし、悠里のお気に入りの玩具なので特別待遇を受けている。

保坂次郎(志賀廣太郎)・・・第二の使徒。忠実な運転手。すでに死亡しているが悠里の霊能力で仮の生命を与えられている。車と半ば一体化しているために車から離れてはあまり長時間活動できない。

早乙女朋(大江駿輔)・・・第三の使徒。幽霊少年。悠里の守護霊であるが、リカは実体としてみることができる。当然、第三者には見えない。悠里やリカの指導霊として道を示す機能を果たしている気配がある。

蓮見丈治(反町隆史)・・・第四の使徒。悪魔女王の花婿候補として養育されたが、その座を明石辰也(寺島進)に奪われたために明石を激しく憎悪している。

明石辰也・・・第五の使徒。金メダルの遺伝子を持つ五輪戦士。ヘリコプターの名パイロットでもあり、狙撃手としても超一流だが、女癖が悪いために悪魔女王の逆鱗にふれ軟禁状態におかれるニュータイプ。しかし、心の底では悪魔女王を崇拝している。

早乙女修一(水上剣星)・・・悠里を覚醒させるために自ら十字架に身を捧げた20世紀末の悪魔くん。魔界の使者であるシェパードとの対決に敗北した。

早乙女洸(松坂桃李)・・・第六の使徒。悪魔女王の息子としての悪魔くん候補筆頭。しかし、父親に似て女癖が悪い。

早乙女廉(矢野聖人)・・・第七の使徒。天才肌だが魔王サタンの呪いにより心臓がドキドキする。アイスクリームで当りを引く超能力を持っている。

早乙女晶(武井咲)・・・第八の使徒。悪魔王女だが父親に似て男癖が悪い。そして飛び込みの五輪候補としては入水時に水しぶきをあげすぎである。

相馬幸恵(賀来千賀子)・・・第九の使徒。愛児殺害の罪で地獄に堕ちたが、悠里によって復活する。しかし、過去の罪状が発覚して現在は消息不明。

早乙女惣一(夏八木勲)・・・悪魔女王の父親だが、お約束ですでに悪魔に魂を売り渡している。

丹波聖子(エド・はるみ)・・・第十の使徒。子育てに失敗した清掃人。魂の救済を悪魔女王に求めるが機会を逃し続ける。名演技だが芸人出身の色眼鏡で見られるために報われない。

丹波勝(水野真典)・・・聖子の息子。すでに悪魔ベルゼブブの支配下にある。

宇津木洋介(綾野剛)・・・第十一使徒。闇の王子。出生の秘密があるために早乙女家を激しく憎悪している。金銭的に恵まれた従兄弟たちを貶める誘惑に揺れる。

早乙女修一が自殺だったのか事故死だったのかで揺れる早乙女家。

「そんな馬鹿なことはありえない」とシラをきる悠里だったが・・・早乙女修一に優しく接したのがあやまりだったのではと疑いを抱いている。

しかし、「優しくしようが厳しくしようがダメなものはダメ」という聖子の決定論的進言によって己を取り戻す。

洸は母親が「伯父の自殺を知っていたのでは・・・」と動揺していると知ると「全く知らなかった」と真実を覆い隠すのだった。

まあ、自殺は一種の事故死だし、事故死は一種の自殺にすぎないという考え方もある。

宇津木はDNA鑑定を求めるが、血縁関係の有無なら、兄の臍帯を持ち出さなくても悠里だろうが、惣一だろうが・・・でも可能であるが・・・実は全員に出生の秘密があり、実証不可能だったりして・・・。

まあ・・・とりあえず・・・なんだかんだで話がすすまないために・・・視聴率は↘*8.6%まで落ちています。

世界を救う前にそのあたりを救わないことにはどうにもこうにもね。

なんていうか・・・あくびをした君の口の中には・・・奥歯、奥歯、奥歯とか、ススキノとナカスのきれいどころにアフターはいけないのとか、安くても清原で落とすとか・・・しないとね・・・意味不明だぞ。「した」ネタはともかく「ゴッドタン」ネタはやめておけ。

関連するキッドのブログ『第4話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『志田未来のハンマー・セッション!』(TBSテレビ)『吉高由里子の美丘・君がいた日々』(日本テレビ)『映画・ハゲタカ』(NHK総合)・・・だから公共放送が公共の電波を使って営業する・・・そんな事業をして整合性あるのかよっ。面白いからいいけどな。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2010年8月 5日 (木)

ニボシのおダシでガックシ(綾瀬はるか)迷いの夜のホタルノヒカリ(藤木直人)

紆余曲折あって結果である。

成功とか失敗とかいろいろあるのだな。

人生の入り口で親に餓死させられる子供やミイラになって111才まで生きる親。

人の個人差は驚くばかりであるが・・・こうなるとDNA登録法だの、生存確認捜査官だの、未来警察が目指す超管理社会の足音が聞こえるのである。

キッドとしては安楽死法も視野にいれて検討してもらいたい。

まあ・・・そういう背筋も凍り肩も凝る社会制度設計や人生計画設計とは別に・・・気の合った人間と仲良く暮らしていく・・・そういう男女の同居生活があってもいいわけである。

たとえ・・・それが・・・はかない夢幻のごとくなりだとしても・・・。

水曜日のダンスは・・・。

9係・・・16.2%↘15.6%↘15.1%↘14.0%↘13.7%↗15.2%

ホ2・・・・・・・・・16.2%↗17.4%↘15.1%↘14.9%↗15.3%

ナイス・ステップである。

で、『ホタルノヒカリ2・第5回』(日本テレビ100804PM10~)原作・ひうらさとる、脚本・水橋文美江、演出・吉野洋を見た。朝食が和食と洋食に分岐してから半世紀くらい立っていると思う。朝はトーストか・・・みそ汁かという問題である。もちろん、トーストでみそ汁という和洋折衷でもいいわけである。キッドは献立を考えるのが趣味なのだが、これが大の苦手という人は多い。たとえばキッドの母親は生れて死ぬまで献立なんて必要ないと断言していた。第一「面倒くさいじゃない」と言うわけだ。蛍(綾瀬はるか)を見ていると母親を思い出し懐かしく感じる人々は意外に多いと思う。

もちろん、普通の母親たちは献立なんて考えなくても「食事の支度はできる」と考えるのである。

幼くして難病を擁し食事制限のある子供でも持たない限り、彼女たちは献立なんて無用の長物と考えるのが普通である。

幼い頃のことを思い出すと・・・こんな朝食が思い浮かぶ。

洋食の場合。

トースト。バターとジャム。

ベーコン・エッグもしくはソーセージとゆで卵。

トマトとレタスのサラダ。マヨネーズ添え。

カップスープ。

コーヒーもしくはミルク。

季節のフルーツ。

で・・・・和食の場合。

ごはん。

みそ汁。

目玉焼きもしくは炒り卵あるいは生卵。

納豆。

刻んだオクラもしくは山芋。

焼いた鮭もしくはあじの開き。

炒めたピーマン。

御新香。

海苔。

食後のお茶。

まあ、ざっとこのぐらいの朝食を用意された子供は幸せと考えなければならないだろう。

で、和食の場合、毎日に変化を持たせるのは一点に絞られてくるのである。

それが・・・みそ汁の具であることはいうまでもない。もちろん、それにともなって御新香も変化するのが普通である。

なすのみそ汁になすも漬物で構わないが、なすが大好きであっても趣向というものは尽くすよりはかぶりを嫌うのが基本である。

なすのみそ汁なら御新香は胡瓜と蕪の一夜漬けなどが無難だ。

で、とにかく・・・そういうメニューを献立抜きでちゃっちゃっと作るのが専業主婦というものなのである。

しかし、やがて・・・老化の波は容赦なくやってくるのである。

母親が「お豆腐と油揚げとわかめのみそ汁しか作らない」と父親がこぼすようになったのである。

近所に別居している母親に「今日のみそ汁は何を作ったか・・・憶えている?」と電話で聞いて「そんなものいつもの通りよ・・・」と答えが返ってきたら、その時は来たのだということだ。

しばらくして、母と相談して「一週間のみそ汁の献立」というのを作ってみた。

そんなものは必要ないと拒絶する母だったが・・・ものはためしでたとえば・・・どんなみそ汁がいいと思うかと聞くと・・・。

「お豆腐と油揚げとワカメ」と答えた母親は次の一品がどうしても思い出せなくて絶句したのである。

そして・・・。

(月)お豆腐と油揚げとワカメ

(火)じゃがいもとワカメ

(水)あさり

(木)大根と油揚げ

(金)茄子

(土)ほうれん草

(日)ニラとお豆腐

というようなみそ汁の献立を作ったのである。しかし・・・それがあまり用をなさないということを認知症の素人は知らないのだ。なにしろ・・・翌日になればその人はそんな献立を作ったことさえ忘れてしまうからである。

そして、母は今日も明日も明後日も「豆腐と油揚げとワカメのみそ汁」を作るのである。

父親は言う。「まあ、何にも作れないという状況よりマシだ」・・・。

父親が食べる「トーストに納豆を挟んだ不気味でヘルシーなパパの好物」を見つめながら頷くしかない様子を見に来た息子なのである。

母親は何事もなかったように言う。

「こんなに朝早く来るなんて珍しいわね・・・みそ汁でも飲んでいく」・・・。

まあ、自分の時間が欲しくて育児を放棄しない親でも、親の年金欲しさに死体と30年暮らさない子供でも・・・そこはかとなく物悲しい時の流れというものはありますな。

27才の蛍と40才の高野部長の同棲カップルにはまだそういう気配はない。

13才の年齢差はあるけれど・・・まだまだ呆けるには早いと思われる二人なのである。

ただし・・・「映画を見たいというから何が見たいか考えろ」というと「それは面倒くさい」という蛍はある意味、すでにボケているのである。

しかし、そんな蛍にも人生の岐路はやってくるのだ。

気がつけば蛍は入社5年目のベテランの域に足を踏み入れていたのである。

「あなたは桜木(臼田あさ美)と同じことをしていは誉められない」と山田姐さん(板谷由夏)に注意される蛍。

「すると・・・私もそろそろ引退・・・」とボケる蛍だが入社10年目で32才の山田は「いや・・・それはむしろ私」と意味深発言なのである。

これからの自分はどうあるべきかと悩む蛍。

そこで干物男である瀬乃(向井理)が「ゲゲゲの専業主婦という手がある」とつぶやく。

「一日中テレビを見てゴロゴロしていても苦にならないので専業主婦に向いている」と全国の専業主婦を敵に回した蛍は「専業主婦宣言」を部長に伝える。

そこで部長は「出張のために早朝出勤をするので朝食作り担当」を命じるのである。

二人は同棲しているがあくまで上司と部下なのである。

まあ・・・いよいよ、アナログテレビも最後の一年に突入である。総務省が思惑通りにことを運べばアナログテレビの最後の七月は過ぎ去り、もはや最後の八月に入っている。

そういう意味ではこのブログも最後の一年に入っているわけである。

地上から「アナログテレビが消え去る日」が「みそ汁のおダシをニボシからとる人がいなくなる日」より先に来るとは半世紀前には予想もしなかったことである。

しかし、ある意味、最近、あまりいない「アミノ酸とカルシウムのニボシでだしをとるみそ汁を午前4時に作る女」を目指すことになった蛍だった。

初日・・・寝坊のため・・・部長朝食抜き。

二日目・・・レシピを探してネット・サーフィン中に時間切れ。

三日目・・・ニボシを加えたニャンコを追いかけて消息不明。

「ビバ!専業主婦」の第一歩を踏み出せない蛍だった。部長は三日連続朝食抜きで出勤なのである。まあ、部長なので出張電車できっと駅弁を食べたのである。

その頃、部長の元カノである小夏(木村多江)の死んだ夫の残した生命保険で始める「飲食店」の開店計画は佳境に突入していた。

そのために店舗を提供する不動産屋と契約の詰めに入るプランナー・チーム。

しかし、山田の思わぬ失言・・・知らぬこととは言うものの取引先の経営者をエロ親父呼ばわり・・・でヘソを曲げた江古田社長(六角精児)のために店舗契約は暗礁にのりあげるのである。

その頃、仕事先で「みそ汁ノイローゼ」にかかった蛍を見た小夏と・・・蛍に惚れたと部長に直言する瀬乃の両者から「あまり・・・蛍に無理をさせないで・・・」と責められた部長はふと悩んでしまうのだった。

「もう・・・無理はするな」

「いいえ・・・絶対にやり遂げてみせます」

二人で仲良くゴロゴロしながら口論するバカップルなのだ。

しかし・・・今度こそは・・・と臨んだ出張出勤最終日前夜。

接待中の山田姐さんのピンチに蛍は・・・。

「あれが伝説の泥鰌掬い・・・」(桜木・談)

「とても・・・真似できない・・・」(杉下(中別府葵)・談)

という必殺の宴会芸を繰り出して江古田のハートを射止めるのだった。

そして自分の失策を部下にカバーしてもらった山田は結婚引退を決意するのだった。

その決意にうろたえる二ツ木(安田顕)だった。もちろん、女房を夫が扶養するのは辛い時代だからである。

一方、「結婚しても仕事を続ける覚悟」をした蛍。

そんな蛍に・・・部長は「結婚はやめよう・・・」と切り出す。

「どうして・・・好きだズキューン、大好きだドキューンの二連発の後で・・・そのようなお戯れを・・・」と呆然とする蛍。

日本全国の「アホ宮とぶちょおには幸せになってもらいたい会」会員が固唾を呑んで見守る次週である。

関連するキッドのブログ『第4回のレビュー

Hcinhawaii0659 ごっこガーデン。煮干と鰹節と昆布のどぜう汁縁側パーティー会場セット。まこどぜうすくいの練習をしながらパソコンをいじっていたら泥鰌が平成財閥マザー・コンピューターに逃げ込んだじょ~。そしたら、停電になったのでしゅ~。まこではなくてすべては泥鰌が悪いのでしゅ~。じいやはガックシ貯金がかなりたまったみたいでしゅね~。ゲキマズ、超マズ、ゲロマズの事態でも動じない精神力が大切でしゅよ~。なになに・・・昨日の停電で世界同時株安で世界経済崩壊の危機があったのでしゅか~。ここはまこのどぜうすくいの芸で世界を元気付けることにしましゅので許しておくんなさいまし~お気楽干物女と干物男のカップル・・・ニボシ男とニボシ女のカップル・・・似た者夫婦がいいか?・・・それとも干物女とニボシ男のないものねだり夫婦がいいか?・・・微妙だよね・・・子供として生れるなら・・・あなたならどっち?・・・鼻にものをつっこむのは危険だから良い子は真似しちゃダメだよねくう結婚して専業主婦になれば働かなくてもビールが飲めたという伝説の昭和も今は昔だよね~。だしのもとでいいじゃないかーっ・・・きっといいーっ・・・きっといいーっとこわい手抜きオバケが来ますよ~。そして無理、絶対無理、死んで生き返っても無理という未婚夫婦喧嘩の果てに・・・結婚はやめよう宣言・・・ちょっとショックなんですけど~・・・仕事してない山田姐さんもなんだかやだな~ikasama4衝撃のゴルゴ13を読みながらお尻をポリポリかく女に惚れている男は・・・数万人いる・・・と想定します・・・ここにもいるし・・・とにかく部長殿と家臣のアホ宮のようにも見える高野縁側城の一幕・・・本当のおふくろの味を作るおふくろって・・・もう天然記念物だったりして・・・まあ・・・ゲゲゲの女房のように・・・出来加減を味見することも・・・もはや憧れの領域なのかもしれませんな・・・さてさて・・・不似合いに見える二人の幸せを全国が祈るこの夏・・・はたしていかがなるのでしょうかねエリ連日、東京・仙台を往復するのは大変だけど人によっては毎日往復で四時間の遠距離出勤してたりして・・・庶民の皆様ご苦労様でスー。愛のカタチは様々でしょうけど・・・結婚しないことがゴールというのもなかなかに高尚ですからねえ・・・お茶の間の共感を得られるのかしら・・・蛍ちゃんの泥鰌すくいのお尻ヒョコヒョコは芸ですねえ・・・さすがですyon!・・・次週、はたして深い絆の二人はどうなるのかしら・・・手に汗握って見守りまスーみのむしまだまだ夏休みるるるmari蛍みたいに寝坊しましたよ~・・・でもニボシはおみやげにもらっていきますよ~

金曜日に見る予定のテレビ『崖っぷちのエリー』『熱海の捜査官』(テレビ朝日)『うぬぼれ刑事』(TBSテレビ)『モテキ』『大魔神カノン』(テレビ東京)

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2010年8月 4日 (水)

時々だらしのない女(松本莉緒)豚骨くんとメガネくんとオレ(森山未來)

今週の火曜日のドラマ対決は・・・。

①「ジョーカー」↗13.7% ②「逃亡弁護士」↘*8.4% ③「天使のわけまえ」↗*6.8%

まあ・・・いろいろあるけど・・・フジテレビは少年漫画雑誌を読んでいる感じだし、NHKは最後は「主婦の友」みたいな感じでした。

最後は高校生の気持ちの揺らぎが・・・本当はしばらく同棲していた観月ありさへの失恋だよなあ・・・とグローイング・アップ的には思うわけです。

毎回、パートナーチェンジをするベスト・キッドのような妙な二枚目ぶりが微妙に面白いわけで・・・もうテレビ東京のお昼のロード・ショーネタはいいだろう・・・全国的には意味不明の人多数だし・・・でもこの夏はこの後「リング」特集があるんだよ~。・・・ううん・・・夏休みのお昼のロードショーはやってくれるよなあ。

で、『モテキ・第3回』(テレビ東京100731AM0012~)原作・久保ミツロウ、脚本・演出・大根仁を見た。ここかよっ。・・・だって面白いんだもん。・・・ま、いいか。実は本命ヒロインは土井亜紀(野波麻帆)なのである。しかし、爆発的に魅力があるのはいつか(満島ひかり)なのだ・・・それはお前的にな・・・しかし、小宮山夏樹(松本莉緒)も捨てがたいんだよな・・・。もちろん、第4の女である林田尚子(菊地凛子)がせっかくのハリウッド的存在感をオセロの白い方に似ているというだけで微妙にネグレクトされている現状をどう払拭するかというのも興味深いしな・・・だからお前的にだろっ。

とにかく・・・超絶かわいこちゃんでありながら・・・酒に酔うともろもろだらしないというある意味、理想の女だか最低だかわからない夏樹の巻である。しかも、前・後編なのである。このバランスがいいよな・・・野波1話、満島2話で、莉緒3~4話なのである。

松本莉緒といえばかっての松本恵である。11才でスカウトされて16年・・・だからまだ27才なのだ・・・なんと長い間美少女をやっていることか・・・。

デビューは盗作騒ぎのあった「終らない夏」(1995)である。脚本家は梅田みかで今は「美丘」を書いている。コミック「ホットロード/紡木たく」に似ちゃっているのはきっと影響を受けちゃったという話だと思うが・・・とにかく・・・美少女は躓くということだ。

だが、二年後、15才にして「ガラスの仮面」(1997)がスタートする。北島マヤ(安達祐実)、月影千草(野際陽子)も鉄壁だが・・・姫川亜弓(松本恵)もこれ以上なくはまり役だった。ついでに水城冴子(故・戸川京子)もなあ・・・。さらにいえば乙部のりえ(佐伯日菜子)もだ・・・もうキリがないのでおやめなさい。本当の最終章が見たいよ・・・。

それから「聖者の行進」「世紀末の詩」「ゴールデンボウル」と野島伸司ドラマの連投である。いかに美少女だったか・・・ということだ。

成人すると・・・今度は「エースをねらえ」(2004)である。岡ひろみ(上戸彩)だが、お蝶夫人こと竜崎麗香(松本莉緒)なのである。姫川亜弓とお蝶夫人・・・どちらもジャストなキャスティングってどれだけ美少女なんだ・・・ということである。

そして・・・映画「富江BEGINNING」(2005)で川上富江だ。菅野美穂(ヒロイン中村麻美)→宝生舞(山口紗弥加)→酒井美紀(遠藤久美子)→安藤希(宮崎あおい)→松本莉緒の富江リレーである。菅野美穂富江の母体となる松本莉緒富江はある意味、究極の富江だと思う。っていうか・・・そろそろ新・富江が見たいな。

まあ・・・とにかく・・・美少女すぎて・・・主役になれない典型が松本莉緒であることは明瞭なのです。

さて・・・前回・・・童貞をドブに捨てたことを告白してしまったために・・・いつかとの肉体関係を結べなかった幸世(森山)・・・そのことを悔やむ日々で思い出すのは・・・「ドブに捨てた初体験」のことなのである。

その件には幸世が人生で一番好きだった人・夏樹が絡んでくるのだ。

少年時代の幸世メガネくん(泉沢祐希)が絶世の美女と感じる夏樹。

二人の出会いは・・・幸世が豚骨くん(森田完)と呼ばれていた数年前に遡る。

ちなみに幸世の押入れはタイムマシンになっていて妄想上の幸世メガネ(15才)、豚骨くん(20代前半のデブ時代)、現在の幸世が回想シーンで入り乱れ自問自答する演出になっている。

過食によりブタ人間となった幸世は鬱屈と性欲を昇華させるために深夜の坂道で自転車の直滑降を趣味としていた。

ある雨の夜・・・そのコース上に夏樹が佇んでいたのである。

夏樹を避けてゴミ箱に突入した幸世を夏樹は助けおこし・・・あろうことか自転車で病院に搬送してくれたのだった。

たちまち・・・一目惚れをする幸世だったが・・・なにしろ・・・汚物のようなデブなのである。

だが・・・夏樹がブロガーだった縁で二人は・・・食事をすることになる。

そこで・・・己を知らない幸世は無謀にも交際を申し込むのだった。

しかし・・・。「私・・・婚約していたんだけど・・・私があやまちをして婚約解消になっちゃったの・・・だから今、男性とおつきあいする気はないのよ・・・」

もちろん・・・やわらかな拒絶である。

しかし・・・恋心をふりきれない幸世は「30キロやせるから・・・そうしたらご褒美にあってください・・・」とすがるのだ。

夏樹は幸世の腹の脂肪をまさぐり「じゃあ・・・次に会うのは来年の春ごろかな」

「さ、最後に抱きついちゃっていいですか・・・」という幸世に優しく両手を広げる夏樹。

押しつぶされそうになり・・・その顔には苦笑が浮かぶのだった。

しかし・・・奮起した幸世は奇跡の30キロ減量を果たすのだった。

再会の時・・・しかし、ちょっとした用心からか姉を同伴してくるという夏樹。

そこで・・・幸世は親友の島田(新井浩文)を連れていくのである。

この時点で島田はユリエ(堀まゆみ)とは婚約中である。そしていつかは島田に片思い中。

実は・・・島田こそが・・・幸世のセックスライフの阻害要因なのだが・・・幸世は全く気がついていないし、島田も悪気はないのである。

だが・・・酒席で盛り上がった四人だが・・・たまたまトイレで遭遇した島田と夏樹はその場で肉体関係を結んでしまうのだった。

夏樹は酒に酔うと下半身がゆるふわになる体質で、島田は誘われたら断れない性格だったのである。

客席に戻った島田の様子から事を察した夏樹の姉・・・。

知らぬは幸世だけなのだった。

「私はもう禁酒する・・・」と誓う夏樹だった。

事情を知らない幸世は再チャレンジを期してメール攻勢をかける。

ついに応じる・・・夏樹。幸世は「Baby cruising Love/Perfume」を踊り狂うのだった。

そして・・・夏樹は幸世をラブホテル「白ばら」に誘うのである。

一部愛好家が「ら、来週は見逃せない」と思う気持ちではこの夏一番です。

関連するキッドのブログ『第2回のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『科捜研の女』『警視庁継続捜査班』(テレビ朝日)『怪談新耳袋』(TBSテレビ)『日本人の知らない日本語』(日本テレビ)『長澤まさみのGOLD』『もやしもん』(フジテレビ)

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2010年8月 3日 (火)

お酢が目にしみて(竹内結子)泣き虫ママに胸きゅん(松本潤)

涙もろすぎる女なのである。女も三十路なら・・・もう少し情緒が安定してもらいたい。

恋がゲームなら・・・敵キャラとしてはハードな設定である。

これを攻略していくことは純情キャラを崩していくことで・・・一歩間違えれば非情に生臭い。

そういういろいろな冒険が・・・ナイーヴなファン層には色々と痛いのではないか・・・と考える。

今回も・・・たとえば・・・詩織(竹内)は率直に大雅(松本)の欠点を数え上げる「お坊ちゃまの世間知らずで自分がわがままであることに気付いていないほどわがまま・・・素晴らしいお父様と比べたら役者としてもちっともいいところがない」・・・散々である。実は、これは「くさしておいてもちあげる」というよくあるセリフのパターンである。「でも、知り合ってみたら真面目で努力家だし何より優しい」と今度は美点を数えるのである。

しかし・・・多くのアイドル・ファンは最初の時点で頭に血がのぼり、後半が耳に入らないおそれがある。

そういう冒険である。

キッドは学生時代に習作として書いた脚本に「これが現実ならば夢であればいいと願うだろう・・・しかし、もしも夢ならば醒めてほしくなかった」というモノローグを書いたことがある。今でもかなり気に入っているフレーズで若き日の自分の天才ぶりに時々、自己陶酔するわけだが、そういうセリフは生涯にいくつも書けないものだ。

ところが「ベストキッド2」では老い先短い病床の父親が老いた息子が放浪の果てに帰ってきたのを喜び「これが夢ならば目覚めたくない・・・もしも現実なら眠らせないでくれ」などと言うのである。

なんとなく・・・似ているのである。

突然の台風の最中になぜか少女が櫓に登っていたり、盆踊りの参加者が全員デンデン太鼓持参というとんでもなくシュールな映画に似つかわしくない名セリフなのである。

もちろん、そうなるのには理由がある。

「夢なら醒めてくれ」という前提があるのだ。

悲しいことがあって・・・そういうのはありふれた言葉と言える。

逆にうれしいことがあって「夢なら醒めないで」はその裏なのである。

「夢か現か幻か」・・・という場合は「ここはどこ・・・わたしはだれ」という茫然自失感が介入する。

そういう言葉たちを前提に・・・うれしくもあり、かなしくもある・・・そういう複雑な気持ちを「夢」をからめて表現することを目指してああでもないこうでもないと呻吟するうちにたどりついた「セリフ」が若き日のキッドの一種の成果なのである。そのヴァリエーションとして「ベストキッド2」のセリフを感じ、見知らぬ脚本家にシンパシーを感じるわけだ。創作の実体験に基づいてそういうセリフにめぐり合うことはキッドにとってドラマを楽しむポイントの一つなのだな。

つまり、脚本家の涙の跡を感じたいのである。

「夏の恋は虹色に輝く」はかなり、言葉のあふれたドラマだと思う。

主人公の大雅は理屈っぽく悩み深い設定でくどくどと言葉を重ねるし、ヒロインの詩織は言いたいことをものすごい速度でまくしたてる性分である。

時には・・・そういうあふれ出る言葉の中から神秘の言葉が生れることもある。

しかし・・・ここまでのところ・・・どうもそうではないのである。

「愉快、愉快」と劇中劇の死んだ俳優のセリフを詩織の娘・・・海(小林星蘭)が口にする。

それが唯一・・・惜しい感じのする部分で・・・そしてそれはラブ・ロマンスからは遠い。

最終回までに凄いセリフが用意されているのか・・・どうか・・・それがこのドラマの気がかりな部分なのである。

キャスティングの段階ですでに辛い部分はさておき・・・キッドの興味はもはやその一点に絞られている。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「崖っぷちのエリー」↘*5.4%(ふふふ・・・理恵子にしておけばよいものを)、「うぬぼれ刑事」↗*8.5%(戸田恵梨香の底力)、「熱海の捜査官」*9.9%(かわいい視聴率キター)、「踊る真下」14.7%(地下鉄万歳)、「踊る室井」14.1%(木内晶子玉砕・・・Motherに出ていたのに気付かなかったほどに・・・)、「ハンマーセッション」↗*7.3%(Sの比嘉愛未の底力)、「美丘」↗*9.5%(親に許されない恋人気)、「鉄の骨」↘*4.4%(これがお茶の間の理解力の限界である)、「GM」↗12.2%(不幸すぎるおタク万歳)、「龍馬伝」↘16.0%(面白くなればなるほど下がる視聴率・・・これが大河の神髄)・・・ついでに「夏の恋は虹色に輝く」↗12.9%・・・以上。

で、『夏の恋は虹色に輝く・第3回』(フジテレビ100802PM9~)脚本・大森美香、演出・小原一隆を見た。演出家チェンジでぐっと見やすくなったはずである。特に最後に挿入された挿入歌の「Please Stay With Me/YUI」は同じ歌とは思えないほど、前二回とは違い場面にマッチしていたと考える。しかし、さすがに2回連続のハズレは大きくて立ち直ったことに気付かないお茶の間も多数あると予想され・・・ツカミって大切だなあと思ったりします。

育ちがいいとは恐ろしいもので育ちがいいという自覚がない場合が多い。乗馬のたしなみもピンからキリまであるが・・・田舎の牧場で駄馬に乗るのとは違い、都内の乗馬クラブでそれなりのレッスンを受けるためにはそれなりの資金が必要となるのである。

スターであった父親の現金収入を失った大雅には持ち馬での乗馬はもはや贅沢なのである。餌代停止の愛馬ナターシャ号は桜肉になる運命なのだ。

意を決して積極的に出演を決めたバラエティー・ショーもキャンセルされ、早くも消えつつある親の威光なのである。

しかし、育ちがいいためにまったく危機感のない大雅なのだ。なにしろ・・・このピンチに彼は恋をしてもやもやしているのである。

もう26才ではなくて・・・まだ26才・・・この辺りが育ちの良さの恐ろしさなのだな。

恋の相手・・・詩織は・・・全く、大雅が眼中にない状態である。主役として潜在能力のある大雅は洞察力には優れていて、詩織に全くその気がないことに気がついている。気がついていながら、自分が告白さえすればなんとかなるかもしれない・・・と考えるところが育ちの良さなのであった。

それではただの嫌な奴なので・・・兄がそれを上回る嫌な奴設定になっているのがミソなのである。

教え子の母親である詩織に一目惚れした大雅の兄・大貴(沢村一樹)は「彼女と結婚したい」と口走りつつナースとの合コンに向かう腰の軽い男なのである。しかも副担任は野崎(小松彩夏)である。今週は桜(桐谷美玲)のこれみよがしの男性向け水着サービスがあったのだが、来週の夏休み水泳教室は二週連続でサービスする気満々なのだな。まあ、水着でサービスする女性軍に対して入浴シーンの大雅は乳首・腋毛丸出しで対抗します。

まあ・・・体を張ったサービスはサービスとして・・・恋愛ドラマとしてはジャブの応酬と言う感じである。

一方、夫の遺品の中から詩織と海の母子スナップ写真を発見した大雅の母・真知子(松坂慶子)は隠し子疑惑の虜になる。相談を受けた大雅は「恋の相手が父親の愛人」という疑念に心乱れるのだった。

そのために詩織に対する態度がギクシャクし、詩織に何か悪意を持っているのではと誤解される始末。

「私のことお嫌いですか・・・」という詩織に「いえ、ラブです」と成り行きで告白する大雅。

驚愕した詩織は「ごめんなさい」と一瞬でお断りである。

しかし、告白された以上、詩織が大雅を見る目はそれなりに変化する。

だが・・・目下のところ・・・大雅を覚醒させるのは子役上がりで年下だが役者としてのキャリアも実力も上の桜(桐谷)の役割である。

桜に付き人を命じられた大雅はチョイ役をもらえるかもしれない可能性にすがってその役割を引き受ける。

しかし、「プールで殺される被害者役」を精一杯に演じる桜の姿を見て・・・大雅は己の甘さの実態を垣間見るのである。育ちのよさによって目隠しされていた現実こそが大雅に必要なものだったのだ。

「役者なら役者がどうしてもらいたいのか考えなさい」

そんな当然のことも大雅には新鮮な教えとして感じられるのだった。

いつもはイヤミを言われるだけのなりあがりのライバル・伊良部(永山絢斗)が桜のファンだったことも手伝い・・・初めて優越感を感じることができた大雅はついに桜に尊敬の念を憶えるまでに成長する。

しかし、育ちの良さで失われた大雅の本来の魅力はそう簡単には復元されないのだ。

ようやくありついたプールの監視員役のたった一つのセリフをかんでしまう大雅だった。

この場面を描かないことには賛否両論あるだろうが・・・ある意味、大根ぞろいのこのメンバーなので演出としては最良の選択だったとキッドは考えます。

下手にかんでる場面を見せるよりは・・・ああ・・・せっかくがんばったのにかんじゃったんだとお茶の間に思わせた方が無難なのである。まあ、キャスティング的にはそこまで追い込まれているという見方もできます。

一方、小学一年生の海は前回は達者な滑舌を披露したが、今回はそれこそ、バーターで配役されているジャニーズJr.の年上の男の子である小学五年生の蒼空(井上瑞稀)によせる仄かな恋心を表情だけで演じるという芸達者を見せるのである。

もちろん、唐揚げに酢をかけて食べるのが好きな海の死んだ父親を死後も七年間愛し続け、今でも「彼」を思い出すと涙が止まらないちょっとメルヘンな母親・詩織も演ずるのは難しいのでいつもの竹内結子なわけで・・・やはり、大雅というよりは松潤でしかない主人公とヒロインよりも子役が上手いのは困った感じはあるのだな。

そこは気がつかないフリをして通り過ぎるしかない。

演出陣も気をつけないと引きずられますからご用心だ。

とにかく・・・役者としての階段を一段登った大雅はあらためて詩織に真摯に告白する。

「はじめて会った時から・・・好きでした」

「ごめんなさい・・・私、好きな人がいるの・・・海の死んだ父親を今でも愛しているので・・・もう恋なんかしないのです」

かくて・・・すべての実情の説明は終了し・・・子持ちのステキな年上の未亡人に恋をした・・・男としても役者としても未熟な主人公の物語はようやく始まったのである。

それは・・・心の痛手を癒す湿布薬(例・サロンパス・・・いやここはメンソレータムで)の味がする薄荷のキャンデイで示される。

苦いのではなくスースーする恋の始まりなのである。

その心情を率直に語る大雅のモノローグに挿入曲である。やはり詩織でなくて大雅の主題として似合う曲なのだということがわかります。このセンスが前回までの演出家には欠けていたのである。ベテランなのでついうっかりしてたということなのである。

あくまで妄想なのでお気遣いなく。

ミント・・・ミント・・・メントール・・・ジンジャーである。何の暗号だよ。いや、単に薄荷味より生姜味だな・・・と思って。誰がお前の好みを言えと・・・。暑い・・・暑いのであります。

関連するキッドのブログ『第2回のレビュー

Hcinhawaii0658 ごっこガーデン。いつでもどこでもレインボーの憂鬱セット。くう機密事項なのですが、暗黙の了解で我慢の限界領域突入なのですぅ~。ここはかわいい感じでしのぐのですぅ~。ああ~、ヒロインの人を主人公が好きになる理由がわからないともうにっちもさっちも困りますぅ~・・・いやあ・・・ヒロインの人がそんなに破壊力あると思ってなかったのであのその・・・ええ・・・一部男性陣がメロメロなのはわかるし、腐ってもランチの女王だし~・・・ただ主人公と年代別に住む世界が違うような気がしちゃってるだけなのかしら~。まあ・・・本当に躓いてるのはB太くんの役とその演技力だけなのかもしれないんですが・・・ポーカーなら全部捨てて福士松田山田石黒佐藤・・・この辺とチェンジしてストレートフラッシュの夢を見ますぅ・・・・でもじいやは水着サービスがあればOKなのね~不潔ですぅっ・・・お気楽主人公の乳首は自粛して・・・桜の谷間は二枚サービスしといた・・・あのぼんやりした回想の夫は誰なのかな~・・・大雅と桜でお似合いじゃないの?つきあっちゃえばいいのにエリおお~、上空を北海道帰りのアンナちゃんが通過中でスー。新型専用機は宇宙も飛ぶ気でしゅね。軽い気持ちで見ると、ピュアでミントな大人の初恋ドラマだし、エロ男爵も爆笑キャラだし、竹内先輩もいつも通りに魅力的・・・言葉責めも参考になりますyon!・・・スースーから始まるひと夏の恋・・・いい感じになってきたんじゃないでしょうかーっ・・・肩の力を抜いて愉快愉快な仲間たち感覚で見てあげるといいと思いまスーikasama4ますます・・・細野不二彦先生の「ママ」に見えてくるこのドラマ・・・少し、年齢が上にスライドしている分だけ違和感がある方もいるかも・・・最後は虹の中をスカイダイビングで突き抜けていくように終るかもしれませんな・・・エロ男爵VS松潤という恋のライバル関係が冗談にしか見えないところが弱点かな・・・あのワクでセクスィー先生とかやりだしそうだし・・・あんぱんち恋のみ・・・伝説なのね。白馬と言えば暴れん坊将軍よね。役者としては二流だけれど付き人としては一流感の漂う大雅・・・お肌のお手入れグッズもお店の人より詳しくなっている風・・・結局・・・どこまでも美談で通す伊東さんだけど・・・松重社長もグルで口裏あわせているだけだったりして・・・芸能界ですものね~わからないわよね~

水曜日に見る予定のテレビ『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日)『ホタルノヒカリ2』(日本テレビ)

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2010年8月 2日 (月)

国のない主と主のない国を和するが花なりけり(坂本龍馬)

みちのりとは道の理である。

剣の道には剣理があり、人の道には人理がある。

みちのりとは道程である。

君の前に道はなく、君の後ろに道があるのである。

母のない子と子のない母が出会えば仲睦まじく、父のない子と子のない父が出会えばベスト・キッドである。

日本という国に主がなければ国はない。主があっても国がなければ国主にはなれない。

坂本龍馬は国の道の理を極めていた。

日本という国を生み出す母であった。

そして、産褥で龍馬は逝去する。

孤児となった大日本帝国は滅びの道を歩みだすが・・・国家などというものはそれでいいのだ。

永遠に生きる人間も永遠に存続する国家も幻想である。

で、『龍馬伝・第31回』(NHK総合100801PM8~)脚本・福田靖、演出・福岡利武を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はついに来た永遠の脇役・陸奥陽之助と久遠の脇役・中岡慎太郎の二大描き下ろしイラスト大公開。スウィングガールズから六年。今回もそつなく龍馬の助手を務めます。カミソリの切れ味はまだですが、これからの波乱万丈を考えるとただものではない感じは滲み出ておりますな。まあ、ちょっといらちですが。一方、かっては土佐藩初代藩主だった前世をもつ彼は最後はだだっ子に・・・。まあ、連れてこれなかったのはお前だろっなわけですが、ここは主役嫌いの人々の中岡神話もあるので酷評は手控えたいところでございます。まあ、いつだって大衆は天才を愛しますが理解はしないもの。少なくとも中岡は龍馬を理解していたことは間違いないのですな。徒手空拳で巨大企業の合併を進める彼ら・・・脱藩浪士はまさにコンサルタント。おそらく龍馬のインファレンス能力は絶大だったと考えられますが・・・その正しさは必要に迫られた人々に受け入れやすい正しさだったということでございましょう。経済顧問で軍事顧問で政治顧問だった坂本龍馬は的確なアドバイスでその気にさせる達人だったと言えるのですな。

Ryoma186505 慶応元年(1865年)夏・・・。第14代将軍家茂は再び上京した。孝明天皇の妹・和宮を妻とする家持は天皇の義理の弟である。列強の圧力により神戸開港を余儀なくされた幕府の決定に対し、不快を示された孝明天皇に「かくなれば将軍職を辞する他なし」と奏上し、孝明天皇を懐柔するためである。この機を行かし、将軍後見役・一橋慶喜は第二次長州征伐を実行の段に移そうと画策していた。この時点で幕府は江戸の政策実行チームと京都・大阪の軍略実行チームとの分裂の兆しを見せていた。ともかくも武によって長州を圧し、幕府の権威を保とうとする慶喜と、すでに幕府の権威は回復し、参勤交代などの旧制度を復活させ、諸藩を締め付けようとする江戸城の幕府閣僚との間の認識のズレは拡大する一方であった。

すでに雄藩連合なくしては戦ひとつできない幕府が、法によって密貿易を禁ずることができると考えた甘さがやがて幕府の首を絞めていくのであり・・・それはある意味、自業自得なのである。

しかし、慶喜は幕府軍を大坂周辺に結集することには成功し、長州に対する開戦準備は整いつつあった。

長州征伐の後に必ずくる九州弾圧を予見している薩摩首脳部は、九州諸藩連合を画策しつつ、長州征伐開始の遅延工作を始めていた。

公儀隠密はこの動きを部分的にはとらえていたが、江戸幕府と京都守護軍との分裂的傾向がその統括的分析を阻害せしめていた。

つまり・・・「何かがおこっているがそれがどうしたというのだ」という極めて戦略的な無能状態が発生していたのである。

慶喜は「なぜ・・・開戦できないのか」を疑問に感じ、江戸幕府は「なぜ・・・開戦しないのか」を不審に思う・・・戦争準備期間の長期化が続いていた。

二条城に将軍・家茂がいる。

闇の一族の掟は血の掟である。幕府権力の回復を目指す慶喜はその一手として将軍上洛の手を打ったのだが・・・それは同時に慶喜を闇の血で支配する吸血鬼ブーランジェの命令でもあった。江戸城ではヴァンパイアの血を家茂に注ぎ込むことができなかったのである。フランスを支配する闇の一族は家茂の血を求めていた。徳川の理性を残す慶喜は抵抗をしたが・・・ついに家茂を京におびき寄せる陰謀に屈したのである。

熱気に蒸しかえる京の真夏の夜。吸血鬼ブーランジェは琵琶湖に浮かぶ棺桶船から飛翔した。

「ふふふ・・・ついに将軍の血を味わう夜が廻り来る・・・」

巨大な蝙蝠は滑空しながら歓喜の歌を唄う。

やがてその姿は二条城の屋根で西洋紳士の姿に変る。吸血の欲望に燃えてその瞳は赤く染まっている。将軍の寝所の扉は開かれ、小姓たちは皆、闇の妖気に眠らされていた。

ブーランジェは二本の牙を露出し、口元を歪める。

夜具の中で華奢な体つきの将軍は寝息を立てていた。

その東洋人の美しい顔立ちにブーランジェは吸血の欲望とともに激しい情欲を感じる。

「ふふふ・・・東洋の真珠よ・・・まさに貴公子たる若君じゃて・・・闇の血を注ぎし後は、その体をたっぷりと賞味して進ぜよう。汝の菊門はさぞかし・・・かぐわしいじゃろう」

フランス語でささやきかけるブーランジェの耳がピクリと動いた。

吸血鬼の超聴覚が異音を察知したのである。将軍の寝息に交じる別のものの鼓動。

「たわけがっ・・・」

高らかな声が響き渡る。

「なにっ・・・」

将軍の夜具の傍らに突如として白い衣装のくのいちが現れる。

「お前は何者だ・・・」

吸血鬼はその傲慢な自信に満ちた声で邪魔者を誰何する。

「ふふふ・・・西洋のあやかしが・・・おそれをしらず・・・このような不埒な真似をして・・・おこがましいわ」

「おお・・・お前は・・・」

「塵となる者に名乗るのも無意味じゃが・・・冥途の土産に聞くがよい・・・わらわが天璋院篤姫じゃ・・・」

「小癪な・・・女め・・・八つ裂きにしてくれるわ」

とブーランジェが叫んだときには篤姫の指先から発した光が吸血鬼の体を貫いている。

「おお・・・これは・・・」

「ふふふ・・・ロンギヌスの槍じゃ・・・」

「なんと・・・そんなものが・・・」

「この槍先には対吸血鬼素子が塗りこめられておるのじゃわ」

「ば・・・ばかな」

「聖なる槍の味はどうじゃ・・・」

「う・・・我が身が焼きただれていくわ・・・」

「さあ、闇より来たりしものよ・・・闇に帰るのじゃ・・・」

「そ、そんなぁ」

黒い爆発が起こる。一瞬にしてブーランジェは気化した。

その熱によって夜の空気は焦げ、金臭い臭気を残す。

篤姫は槍を下ろすと、何事もなかったように寝息をたてるわが子を見下ろす。

その顔に母としての微笑みが宿る。

その頃、瀬戸内海では幕府の公儀隠密船・不知火丸が不審船の追撃を受けていた。

長崎を出航した不知火丸は薩摩謀反の証拠の品を積み、大坂を目指している。

船長は公儀隠密水軍・渡辺一蔵、報告のために乗船しているのは長崎奉行目付けの服部嘉門である。

「やはり・・・つけられているようじゃ・・・」

「薩摩と長州と長崎商人の行う三角交易によって、薩摩に謀反の兆しありという動かぬ証文を手にいれたのじゃ・・・なんとしても大坂の上様に知らさねばならぬ・・・」

「速度をあげて振り切る・・・」

不知火丸はフランス製の蒸気船である。

夜の闇の中で黒煙がたなびく。

しかし、その闇の中を不審船は急速に迫っていた。

「龍馬・・・どうするがじゃ・・・」

土佐脱藩後、長州に潜伏し、その尊王攘夷活動に貢献してきた藤原の忍び・中岡慎太郎は着物の上にズボンをはいた奇妙な姿の坂本龍馬に問う。

「ふふふ・・・この亀山号には最新鋭のフランス砲が積んであってあのような小船の撃破は簡単じゃ。なにしろ・・・この船には夜目の聞くしのび砲手部隊がおるきに。しかし・・・せっかくの蒸気船を海の藻屑にするのはもったいないからの・・・しかも・・・あの船にはなじみのしのびが乗っておる・・・」

その時、不知火号から花火が打ち上げられた。

不知火号はいつのまにか蒸気機関を停止して浮遊している。

「さあ・・・乗っ取りじゃ・・・」

亀山号は速力をあげ・・・不知火号に追いつく。

次々と亀山号から不知火号に乗り移る龍馬自慢のしのび水夫たち。

不知火号の船員たちは皆、前後不覚に眠り込んでいる。

その中から一人の水夫が立ち上がり、龍馬に飛びつく。

「龍馬おじうえ・・・」

「春猪・・・でかしたぞ・・・」

「春花の術でございまする」

「うむ・・・腕をあげたな・・・」

中岡慎太郎は叔父と姪の邂逅をあきれたように見つめていた。

「で・・・捕虜たちはどうするんじゃ・・・」

「洗脳じゃ・・・腕の立つ忍びはいくらでも使いようがあるきに・・・」

こうして亀山社中は静かに瀬戸内海を幕府の手から解放していた。

いつの間にか、長崎と大坂は通信途絶していたのである。

関連するキッドのブログ『第30話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『ジョーカー許されざる捜査官』『逃亡弁護士』(フジテレビ)『天使のわけまえ』(NHK総合)『土俵ガール!』(TBSテレビ)

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2010年8月 1日 (日)

なんとなくわかっていく交じり合わない世界の熱海の捜査官の?(オダギリジョー)

謎とは何か?

これを助詞を除いて表現すると「なぞなぞ」になる。

なぞなぞといえば「朝は四本足、昼は二本足、晩は三本足。この生き物なあんだ?」ということである。

これをなぞなぞと考えれば謎とは問題のことである。

「人間」という答えを含めれば謎とは問題と答えということになる。

さらに「生れたの赤ん坊は四つんばいで、やがて二足歩行となり、最後は杖をつく老人となる」というもっともらしい説明を加えると謎とは問題と答えと解釈ということになる。

次に出題者のスフィンクスと解答者の人間という謎の世界の出演者の存在や、正解しないと貪り食われるという罰ゲームも含めた前後の時間の流れも生じていく。

やがて、謎は時空間という宇宙に還元されてなんだかわからないものになっていくのである。

人々は分るという。わかるとは分解することである。

「私がママよ・・・わかった?」

「わかった」

人はママとママでない人を区別することから人生をはじめる。

しかし、ママがいなければその区別はできない。

つまり、人にはママがわかる人とそうでない人がいるのである。

「ホストと遊んでいる方が楽しくて幼い子供のことを忘れたママ」を持つ子供たちは多くの場合、餓死する。

餓死しなかった子供は多くの場合、母を呪う。

母を呪わなかった子供は多くの場合、知恵遅れである。

知恵遅れでなかった子供は少ないと思うが・・・やがて聖人と呼ばれる可能性があります。

で、『熱海の捜査官・第1回』(テレビ朝日1007301115~)脚本・演出・三木聡を見た。冒頭、エリック・サティの「三つのグノシエンヌ・第一番・ジャヴァの舞踏」に奏でられ朝霧の中から四つ目のスクールバスが現れる。永遠(とわ)の森学園の送迎バスである。

車内では女子生徒のみこ(山田彩)が「朝、家の前で死んでいたら嫌な動物は何か?」という問題について「目が×になっているサル」という候補を推している。

美波(佐倉絵麻)はみこに控え目な賛意を示す。「そうかもねえ」

メガネ娘の泉(岡野真也)は「カバ」という選択肢を提示し、みこはこれを即座に否定。

みこは運転手の新宮寺(山中聡)に問いかける。

「鶴なんか・・・どうだろう?」

みこは「鶴はいいわね」と肯定してみせる。

みこは新宮寺に好意を寄せているようで、美波にはそれなりに距離を置き、泉は相手にしない・・・ようにも見えるし、泉を愛しているようにも見える。少女の心なんて本人にも謎なのである。ただし、バスのもう一人の乗客である女子生徒・東雲麻衣(三吉彩花?)は容姿も謎めいて影のような存在なのである。

「麻衣はどう思う?」とみこが尋ねたところで異変が起こる。

路上に謎の男が倒れており、下り坂の途中で新宮寺はバスを停車させる。

ウインカーを点灯し、サイドブレーキを引く。

一人、道路に降りて男を救助する新宮寺。

血まみれの男は「俺は死んだのか・・・ここは死後の世界か」と尋ねる。

そして・・・バスは女子生徒四人を乗せてゆっくりと走り始めるのである。

あわてて・・・バスを追いかける新宮寺・・・しかし、バスはなぜか消失するらしい。

恐怖を浮かべるみこと美波と泉と黒い人影の残像を残して・・・。

こうして、事件の幕はあがったのである。こんな調子でレビューしてたら身がもたないぞ。

まあ、再現性を高くする何かがあるドラマなんだよな。

「事件」などというものは本来「おかしなもの」だが、時効警察シリーズがらみのスタッフだけにそれ以外に余計な「おかしなもの」が付随しているのでさらにおかしくなっている。もちろん、そのおかしさをおかしいと感じない人には意味不明なのである。

たとえば・・・永遠の森学園ではボス的存在らしい甘利レミー(二階堂ふみ)たち生徒一同が「入学式」の準備をして寮から来る四人の到着を待っているのだが・・・一体、誰が入学して行われる入学式なのか・・・一切説明がない。なにしろ・・・行方不明になる生徒たちは新入生ではないらしいのである。「入学式」とはどんな儀式なのか・・・実は不気味である。

寮長らしい阿久根(宮田早苗)は管理しているらしい携帯電話を見つめて半狂乱になっている。

「生徒が消えちゃったんです」

何事かに怯える校長(津村鷹志)を横に置いて女教師・敷島(藤谷文子)は南熱海警察署に一報を入れる。

なにしろ・・・スティーブン・セガールの実の娘だからピンチには強いのである。五代目一色紗英の後を受けた六代目リハウスガールも三十路である。もはや美少女とはいえない。13代目川口春菜だっていつかはそうなるのだ。しかし、初代宮沢りえはいつまでもいつまでも美少女で不気味である。

熱海警察署には拾坂(じゅうさか)署長(松重豊)と助手の犬塚署員(少路勇介)・・・そして婦人警官・桂東(けいとう)光子(ふせえり)がいる。

桂東は念力で電話の受話器を空中に固定する超能力者で余計なことをする要員である。

さっそく四輪駆動の警察車輌で捜索に出る捨坂と犬塚だが、寮が移転したばかりでナビに登録されておらず、道に迷う。これみよがしにわかりにくい地図や畑の中の怪しい道筋が伏線のようだが・・・ここは警察官が道に迷うという姑息なギャグなのであろう。

途方に暮れる捨坂を救うかのようにシャツを脱ぎ捨て全裸になりつつ、狂乱した風の新宮寺が登場する。

何か意味ありげだが・・・要するに下半身を隠す黒モザイクを使いたかっただけだと推定しておきたい。

新宮寺の証言は要領を得ず、結局、バスは行方不明となった。

やがて・・・謎の少女・東雲麻衣だけが・・・深夜のバス停で発見され・・・しかも東雲はそのまま意識不明で三年が経過する。

ものすごい・・・展開である。

さらに・・・ものすごいのは麻衣が意識を取り戻したときに・・・新政権は広域捜査官制度を導入しており、南熱海警察には広域捜査庁から広域捜査官が派遣されるといういい加減な成り行きである。

星崎剣三(オダギリジョー)と相棒の北島紗英(栗山千明)は事件解決のために南熱海にやってくるのだった。

そして「あのトンネルをくぐったときになんとなくわかっちゃった」星崎なのだが・・・もちろん、トンネルはでてきません。

星崎は余計なことをする要員だからである。

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という「雪国/川端康成」の小説にあるようにかって県は国の意味を持っていた。いまでも日本は日本県国連邦という国家的性質を保持しており、そういう意味で広域捜査官と言う名の県境越境捜査警察官がいても別におかはくはない。ただし、地元警察官と広域警察官の縄張り争いは熾烈を極め、やがて銃撃戦に発展する危険性があります。

ちなみに「国境」を「こっきょう」と読むべきか「くにざかい」と読むべきかの不毛な論争がありますが教養がないというのは悲しいことですな。川端本人はどちらでもいいと発言していますが、そんなもの「こっきょう」に決まっています。理由は刑事の勘です。

あるいはなんとなくそう思うからです。

ともかく・・・友達と恋人の境を決めたりすることは一種の区別で、当然、謎に対する答えなのですな。

マーブル模様とは墨流しのように白黒が交じり合わないまま、複雑にからみあった模様を差すわけですが、チュッパチャプスさんがなめるマーブル模様の電動回転チュッパチャプスはチョコレートとミルク味だと推定されます。

とにかく・・・「事件」の「本質」をまるで台本を読んでいるように洞察するオダギリジョーは・・・「女子生徒消失事件」の背後に「誰か」ではなく「何か」の気配を感じ取り、「交じり合わないことが問題」という本質に気がつくわけです。

そういうことをいちいち真剣に考えていると面倒なので注意しましょう。

たとえば、北朝鮮と韓国が分断されて交じり合わなかったり、世界中が「朝鮮戦争は北朝鮮の侵略戦争」としている中で中国と北朝鮮だけが「朝鮮戦争はどちらともなく勃発した」と言い張っていたり、この間、一瞬「北朝鮮が始めた」と中国が公式表明したと思ったら一瞬で表明そのものが削除されたりと・・・いろいろと「本当のことが言えない世界がまだある」という不気味さをかもし出すなか・・・「愛国親中」の在中日本大使が赴任したりして、日本と中国のズブズブな部分はますますズブズブになり、ことさら反社会勢力が在日米軍基地問題で沖縄の分離独立問題を煽ったりして交じり合わない悲劇を画策したりすることがあるので警戒しないといけないよということを暗示しているわけです・・・してるかっ。

まあ・・・とにかく・・・頼れる助っ人感をかもし出す桂東や事件を体感することが大切だということを犬塚助手に指導するアレコレや、東雲を嫌うレミーが甘利市長(団時朗)の娘であること・・・。

・・・レミーは新也(山崎賢人)のように何かに気がついて「あ」っていう奴も嫌いなのである。

キッドも声優が「あは」とか「うふ」とか「おふ」とか「へは」とか息遣いだけで進行していく深夜アニメには虫唾が走る。脚本家はきちんとセリフを書かんかっ。

セリフを理解できないバカは捨ておけよっ。・・・少し、意味ちがってるぞ。いいんだよ。ついでだから。教室で他に目立つのは女子生徒に虐げられる風な男子生徒・宙夫(そらお・染谷将太)だ。坊主にしてイメチェンだな。「ヤンメガ」からココである。

クラスに男子は2人で残りの22人は女子である。

「それは男子にとってパラダイス」と断言する星崎捜査官だった。

まあ・・・とにかく・・・地元暴力団の組長(松尾スズキ)とか、宿舎となる熱海南海荘の主人(岩松了)とかお馴染みのメンバーも続々登場します。すでに意味なく東雲に包帯を巻いているらしい樫村医師(山崎一)は不審人物として星崎にマークされている模様である。

まあ、包帯を看護婦まかせにせずに自分で巻いているようだと変態の可能性はあります。

お前が巻きたいのかっ。

三味線で奏でられるサテイを薄いBGMにしている妙にうまいパンを出すレストランのウエイトレス奈々子は小島聖が演じている。登場するだけで星崎にマークされるのである。

天国でも地獄でもなければ中つ国(この世)である。

中高一貫教育で六年間・・・最初から三年経由しているのにレミーは異常なほどに伸び悩んでいる・・・育ち盛りなのに・・・だがそこはツッコムところではないと思う。レミーと敷島はどことなく意地悪そうな雰囲気が似ているのだが・・・これが伏線なら配役の妙だが、単に演出家の好みだといえばそれまでだ。まあ、きっとMだよな。

学園に飾られる星崎にどぎゃんを連想させるゴーギャンはボストン美術館にある「われわれはどこから来たのかわれわれは何者かわれわれはどこへ行くのか」の複製品である。この絵画を描きあげた後・・・ゴーギャンは自殺未遂をはかる。

星崎「あなたは自殺をしたことがありますか・・・」

敷島「え」

星崎「いや・・・したことないですよね・・・生きているんだから」

すでに事件の真相に迫っているような口ぶりのネズミ大将こと星崎。彼は事件の本質は「共有された無意識の彼方にある」と確信しているのである。

もちろん、無意識があらゆる意識外の意識の総体である以上、そこにすべてがあるというのはあながち間違いではない。

もちろん、それは「ほとんど何もわかっていない」のと同意義なのである。

しかし、とにかく無意味な自信に満ちた星崎の発言は・・・敷島にも当然ある人間の本質としての「語りたがる傾向」を揺さぶるのだった。

有力者の子女が集まる永遠の森学園で起きた少女失踪事件。

そこには地域の集合的無意識がごによごにょと関連している可能性は高い。

たとえば・・・公共工事をめぐる無意味な堤防を作る市長と環境を保護するという全体主義者の市民団体との対立軸などである。

そういう怪しい団体に萩原聖人が配置されればそういうありふれた構図は滲み出るのである。

しかし・・・このドラマのスタッフがそういう最初から解明された事件をメインにすえてくるわけはないのである。

だが・・・事件の騒動によって監査を免れた堤防工事計画が進捗し、堤防が完成したために海流に変化が生じ、そのために事件の流れが変るという質問に神秘のイエスノーランプは青ランプを点すのである。いや・・・ただ思わせぶりなだけですけどね。

しかし、世界が不思議に満ちている風な描き方は疲れた人間の心を癒すよな。

まあ、ある不特定多数の人間に限って言えばですがーっ。

黒板消しはよけるが足元両面テープにはひっかかる星崎は余計なことをする対決で桂東と消耗戦を演じつつ・・・事件の核心に迫る。

事件前日、四人の女生徒はある行為で線としてつながっていたのだった。

新也を全裸にして写生していたのである。

とにかく演出家の全裸に対するこだわりはなみなみならぬものがあるのです。

そして彼らが「ひみつのしゃせい」をしていたことをなんとなく仮名で書いてみたくなります。

その頃・・・点である消失したバスをかって自衛隊レンジャー隊員としてヘリから機関銃を連射していた松方と不良番長だった梅宮は老後の楽しみとしての熱海港内での釣行中に発見するのである。

仄暗い水の底から錆び付いて海藻に覆われたバスが今釣り上げられる。

二人の広域捜査官は事件の点(バス)と線(ケーブル)を見守るのだった。

その先にはハンバーガーを咥えた鳶がくるりと舞っている。

関連するキッド『時効警察

          『イン・ザ・プール

           『ぼくの妹

月曜日に見る予定のテレビ『ハンチョウ』(TBSテレビ)『夏の恋は虹色に輝く』(フジテレビ)

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