愛ってよくわからないけど傷つく感じが素敵な笑顔(薬師丸ひろ子)人妻とNaNaNa(長瀬智也)
「シンデレラ・ストーリー」では結婚がゴールだが人生は続いていく。
愛があればあるほど絡み合う幸せと不幸せの連鎖。
揺らぎやすい乙女心と・・・挫けやすい男の魂がもつれあいおりなす葛藤の日々である。
毎日が新鮮な・・・記憶を持たない日々にいたるまで添い遂げるカップルは三組に二組。
30%の男と女は別れ別れになる運命(さだめ)でございます。
そのあたりの心の機微をねっとりさらりと描くクドカン劇場。
裏切った男を殺した女(加藤あい)、結婚サギ師(蒼井優)、夫殺しの未亡人(樋口可南子)、正妻殺しの愛人(戸田恵梨香)に続いて登場するのは愛に彷徨う人妻(薬師丸ひろ子)・・・。
殺したいほど愛している狂おしい優しさにうぬぼれ刑事は心奪われるのです。できればぶっさん(岡田准一)が夫だとよかったのにおぎ(小木博明)だった・・・なんとなく残念です。
おぎもやはぎも・・・悪くはないけれど・・・このドラマではちょっと芸人(素)を捨て切れていないところが残念です。
バナナマンを見習って精進してもらいたい。
で、『うぬぼれ刑事・甘党(第5回)』(TBSテレビ100806PM10~)脚本・宮藤官九郎、演出・金子文紀を見た。クドカンにカネフミある意味、名コンビである。今回は地味めだが実にいい味出しています。いい脚本にいい演出、お互いにいろいろ浮気はするけれど久しぶりに合体すればそれなりに快楽のツボを心得ている・・・ああ、怪しいゲイのカップルみたいな・・・もうたとえとして成立してないぞ・・・。
一番綺麗な私を抱いたのはあなたでしょう
愛しい季節は流れて 運命と今は想うだけ
中島美嘉の挿入歌はまだまだ効いているのに・・・TOKIOの主題歌がややくすんでいる感じがするのは楽曲提供者が玉置浩二だからか・・・。二番目の妻、薬師丸ひろ子は何を想うのか・・・まあ、失敗を繰り返すのも男の花道ですけれど・・・。どうせなら、人妻役で四番目の妻・青田典子が出てくるくらいのキャスティングが一同爆笑だったな。
まあ、とにかく、薬師丸ひろ子と結婚したり、石原真理と不倫したり、青田典子と何度目かの結婚をしたりする男の人生は・・・うぬぼれ5にとっては「ウェイウェイウェイ(NO!NO!NO!)」扱い間違いなしである。
メンバーの一人、ホームレス・アクターのサダメ(生田斗真)はドラマ版「うぬぼれ刑事」の監督・田代(橋本じゅん)にハード・ゲイ的に認められ、衣装はどんどんタンクトップになっていくのであった。
「もう抱かれる覚悟はできている」のだった。
そんな悲壮な覚悟を他所にパティシエの松岡征士郎(要潤)は主婦のためのスイーツ教室で人妻たちに囲まれ激しくうぬぼれるのである。
一番手は村上夫人(原史奈・・・中西哲生の妻)、二番手は大橋夫人(山口もえ・・・IT関連企業社長夫人)、三番手はおっぱい夫人(手島優・・・愛がいっぱいIカップ・・・ぷるるん選手権1位・・・最も美しい理想的なバスト賞受賞・・・独身)である。
関係ないが・・・「東京DOGS」「泣かないと決めた日」「ヤンキー君とメガネちゃん」と三期連続で妹キャラを押し出して今季ドラマお休みの川口春奈は「リスモ・フェス」のCMで爆発である。とくに揺れるおっぱいがいい・・・関係ないにもほどがあるだろう。
ともかく・・・原史奈や山口もえをさしおいておっぱいしか記憶に残らない穴井(矢作兼)とサダメだった。
二人はおっぱいの存在が過去にあった空間に身を置くだけでそこはかとない幸せを感じるのである。
幸福感の個人差は涙ぐましいものである。
その頃、うぬぼれは元のフィアンセで、相棒の冴木刑事(荒川良々)の新妻・里恵(中島美嘉)からそれとなく誘惑される。
どんなに愛し合っていも・・・妻が浮気するのではという脚本家の疑心暗鬼が花開くのである。
もちろん、浮気などしてほしくはないが、浮気されたらされたでよくて、むしろ浮気の一つもして欲しいという複雑な夫の気持ちの反映なのである。もちろん、一般的には変態的心情と認定されます。
あれよあれよと言う間にうぬぼれをラブホテルに誘い込む里恵にうぬぼれの血液は下半身に急速集中するのだが・・・お約束で冴木刑事から連絡が入るのである。
うぬぼれとの関係を疑われているといろいろとあることないこと言う心乱す里恵。
もちろん・・・単にうぬぼれを弄んでいるのだ。
人妻というものは独身男を弄ぶのが使命だからである。
やがて・・・連続不審死事件が発生。
被害者は村上夫人の夫と・・・大橋夫人の夫だった。
被害者の体内からは禁断の薬「ブタミール」が発見される。
そして、二人の人妻と不適正な関係にあったパティシエ松岡の料理教室から「ブタミール」が発見され、松岡は重要参考人となってしまう。
捜査に乗り出したうぬぼれは葬儀場で場違いな天使のエヘヘ笑顔を見せる前原夫人(薬師丸ひろ子)に出会い、案の定、恋に落ちるのだった。
天使のように心優しい前原夫人は・・・元看護師・・・そのやさしさはやがて狂気と化していくのである。
かって難病に苦しんだ過去がある前原夫人は・・・お決まりで看護師に・・・やがて難病の特効薬「ブタミール」と出会い、難病が克服されることに喜びを見出す・・・。
しかし、処方によって副作用が発生することで医療事故が発生。
「ブタミール」は生産中止に追い込まれる。
適正な使用をすれば問題ない医薬品に対してクソミソで過剰な反応を示す医療行政に怒りを感じた前原夫人は「ブタミール」をこっそり確保することを決意する。
そうこうしているうちに・・・前原夫人は再び・・・不幸な人々と知り合うのである。
どんな不幸も日常になってしまえば笑い事になってしまう。
病院勤務で・・・患者たちの会話を知っている前原夫人。
重たいこと(病状や死期)について語っていてもすごく軽くて楽しそうな人々のリアリティーの欠如。
それは公園で語る人妻たちの夫への憎悪に通じるものであった。
「まったくわがままで手におえないの・・・」
「バカで困っちゃうの・・・」
「死ねばいいのに・・・ってつい思っちゃうわ」
「殺してやりたいくらいだわ・・・」
「そうしたら・・・もっと輝けるのにねえ」
自分には彼女たちの望みをかなえる力がある・・・前原夫人は白衣の天使として「ブタミール」を使用することを決意するのである。
論理的におかしいだろうと想うあなたは美しい人妻のもっと美しくなりたい気持ちが分からない部外者ということです。
ブタミールによる致死の行程表。
スイーツにブタミールを混入。
食したものは「食あたり」の症状を示す。
病院では一般的な栄養剤を点滴。
栄養剤に含まれる成分とブタミールが結合し、心臓麻痺を発生。
病院は痛くもない腹を探られたくないので突然死として処理する。
しかし・・・すでに常軌を逸した前原夫人はドラマ「うぬぼれ刑事」を見て・・・うぬぼれに逮捕される甘美な夢を見始めるのである。
だが・・・前原夫人が恋をしていたのはサダメであってうぬぼれ本人ではなかったらしい。
リアルなうぬぼれ刑事にちょっとガッカリする前原夫人だったが・・・そこは天使の優しさが発動する・・・うぬぼれのプロポーズを受け入れるのである。
ちなみにここまで前原夫人が長い話を語る間・・・前世で公平くん(「木更津キャッツアイ」より)の担任教師あさだ美礼だった前原夫人と前世で公平くんの義理の母のローズだった筆談ママ・玲子(森下愛子)をめぐる激しいオーダー・バトルが繰り広げられるが「焼きうどん」で決着が着くのである。ここは実に順当な注文と言える。拓郎にもしものことがあれば愛子ももっとしなやかに、もっとしたたかに美しくなるのだろうか。
40代のひろ子、50代の愛子・・・銀幕のアイドルは永遠に・・・なのである。
薬師丸ひろ子、次回は「外科医 須磨久善」で水谷豊の妻役です。
ともかく・・・ドラマ版うぬぼれ刑事に激しく嫉妬しながらも・・・前原夫人の中に愛ではなく憐憫を見出したうぬぼれは・・・前原夫人のプロポーズ承諾を拒絶するのだった。
基本的に・・・うぬぼれはみみっちい性格なのである。
愛されない男にはそれなりの理由があるのです。
・・・ちなみに第三のターゲットが冴木夫人の夫であったことは藪の中になっています。
ま・・・いつの時代も知らぬは亭主ばかりなりが定石でございますから~。
関連するキッドのブログ『第4話のレビュー』
日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)『多部未華子のGM・踊れドクター』(TBSテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
キッドさん 残暑お見舞い申し上げます。
夏クールは今ひとつ盛り上がりにかけ 秋ドラマの情報にちょっとときめいたりしていますが、今回のうぬぼれ
私的には大満足だったのです。見ごたえありました。
薬師丸さんの熱演(wikiで年齢を調べてしまいましたが・・)も素晴らしかったです。視聴率はもうあきらめていますが、この回 クドカンファンの間でも評価がわかれている感じで、ちょっと意外です。地味すぎたのでしょうか?
まだまだ暑い日が続きますので ご自愛くださいませ。
キッドさんの大ファンより
投稿: chiru | 2010年8月 8日 (日) 09時09分
立秋を過ぎましたが東京は
27℃→33℃で一日が経過する連日。
残暑厳しいので体調管理にご注意くださりますように。
ふと気がつくとある日、突然、朝が冷える日も
近いので寝冷えにもご配慮くださりませ。
ふふふ、送り手にくらべて
受け手は基本的に素人ですからな。
自分が面白いかつまらないかの
基準しかないのでそれでよろしいと思います。
目が肥えてきてつまらないものが増えるのか
目が肥えてきて面白さがわかるようになるのか
キッドは記憶力の問題が深く関係していると考えます。
情報過剰な創作物は
ある程度の受け手の器が必要になる。
クドカンファンにも器の大小がありますしね。
もちろん・・・キッドは
見る目もないのに
わかった気になっているバカが
そろそろ「アレ」も終わりだな・・・などと
言うのを聞くと限りなく殺意に近い気持ちになったりいたします。
今回は・・・結婚周辺の
ある程度、美人だったりハンサムである上に
ちょっと感じやすい人々の
心情にしぼったコメディー・・・。
まあ・・・誰もが心底理解できる話ではありません。
その反対側にうぬぼれ5が配置されているわけですが
もてるものともたざるものの
感情移入の方向性が
難しいのだと思いますね・・・。
キッドは全編が
「うんうん、わかるよ」とうなづき5で
首が痛くなるほどですけれど~。
薬師丸ひろ子がローティーンだった頃の輝きを
知っているものは
その残光に燃える落日を見たりしますし。
投稿: キッド | 2010年8月 8日 (日) 15時09分
基本的にクドカンのドラマは情報量がハンパないので
2~3回は見直さないと全ては楽しめない・・・
と思うのですが、どうも知人友人に話すと
「テレビドラマごときに、そこまで時間を投下するのか」
という反論が返ってくる始末・・・。
作り手に結構失礼な発言だと思うのですが。
今回もまたポイントが多くて挙げきれませんが、
脚本・演出ともに無駄がなく、メリハリついているのが素晴らしく。
全てを見逃さないよう、テレビに釘付けにさせる工夫が凝らされてるように思いました。
バトミントンプレーヤー・小雪の次回も見逃せませんね!
投稿: inno-can | 2010年8月 8日 (日) 16時54分
まあ、ドラマは基本的に暇つぶしに見るものですが
そもそも人生とは暇つぶしでございますからね。
どのような快楽も一時。
ゴルゴ13はどんな美女でも
二回続けて抱く気はおこらないし
喉元すぎれば美食もただの栄養物ですし。
その中で何を楽しみ
何をスルーするかは
それぞれの自由というもの。
まあ、こんなに楽しいものを
味わう喜びを知らないものを
見下す暗い喜びの喜悦の悦楽は
芳醇でございますけれど。
人間は所詮、優越感を味わうことができれば
それで充分なのですな。
夢中で見ていて
気がつくと
時が過ぎている・・・
それこそが珠玉の名作というもの。
その間、いつか死ぬことを
忘れさせてくれるもの。
そういうドラマは数えるほどしか
ないものですぞ~。
投稿: キッド | 2010年8月 8日 (日) 22時35分