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2010年8月16日 (月)

世の中も人の心も騒ぎ乱れて極まればやがて静まり帰り候(坂本龍馬)

龍馬の人生観や大局観を突き詰めれば、それは実にシンプルな処世術に帰結する。

つまり、万物流転である。

戦があればやがて和し、和せばやがて戦となる。

病にかかればやがて癒え、健康であればいつか病気になる。

どのような苦境も必ずや脱することができるという信念で龍馬は動いている。

八方塞でにっちもさっちも行かない状況でも・・・けしてあきらめず・・・嵐の過ぎ去るのを待てばよい。

坂本龍馬はそういう楽天家だった。

海軍操練所の閉鎖、薩摩藩への身売り、内戦による亡国への危機、薩長同盟とめまぐるしく変化する状況を楽しむように龍馬は歴史の舞台へ躍り出る。

で、『龍馬伝・第33回』(NHK総合100815PM8~)脚本・福田靖、演出・大友啓史を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は長崎の黒幕・小曽根乾堂のど迫力描き下ろしイラスト大公開でサービスサービスです。大浦慶、そしてグラバーと倒幕を影で操る大商人たち。貿易という名の商業では海賊と商人はきってもきれない縁ですし、商人と海賊も切っても切れない縁・・・なにしろ、貿易とは基本的に密貿易でございますからーっ。長崎、神戸、下田、横浜と着々と良港を確保する西洋列強・・・しかし、収奪するも植民地化するも現地の生産力との駆け引きがございます。もっとも利益率の高い取引相手を求めて、暗躍するフランスとイギリス。小国オランダと戦火の後のアメリカは静観を決め込み情報戦に・・・。虎視眈々と半島南下を計画するロシア。戦争という巨大な消費を目当てにして群がるハゲタカの群れ。そして列強植民地・上海に流れ込む膨大な数のミニエー銃(仏)、エンフィールド銃(英)、スプリングフィールド銃(米)の前装式ライフルの群れ。その悲しみと苦しみの硝煙の向こうに龍馬やお元の求めた幻の地上の天国は・・・はたしていかなる幻か・・・まさに手に汗握る圧巻の回でございました。

Ryoma186507 で、迫り来る最後の時を惜しむようにゆっくりと流れる慶応元年(1865年)の夏。ゆっくりと傾いていく江戸幕府の支柱を立て直そうと幕府老中がたくらむ長州征伐は幕府倒壊への一里塚である。無能な官僚のやることは理路整然と的外れという典型である。勝海舟はこれを「米国ではどの役にもそれにふさわしい役人がついているが幕府ではそうなるかどうかは運次第だ」と述懐する。旗本中心の高級官僚と、大名中心の政府首脳・・・その齟齬はいたるところで噴出する。幕府連合軍による長州一国攻め・・・幕府首脳の描く戦争計画は絵に描いた餅であった。実際は当事者である各藩はそれぞれの思惑に従い、密かに裏で交渉を重ねていた。幕府では江戸と京・大坂に司令塔が分離したことによる弊害で公儀隠密が機能障害に陥っている。

長崎は水軍忍びのメッカである。勝海舟もこの知で海軍の基礎を学んだ。神戸で龍馬たちが学んだのは最新技術であるが、それも長崎の分校の意味合いがある。豪商・小曽根乾堂は実はその元締めでもあった。簡単に言えば長崎海賊の頭領である。長崎奉行の目付け・服部一三は公儀隠密としてその秘事を把握していたが・・・おいそれと小曽根家に触れることはできなかった。幕府との繋がりも深い小曽根家には様々な保険が賭けられていた。越前公とも深い結びつきがあり、現在は大奥取次ぎという閑職にある勝海舟などは妾の子を小曽根家で養育している。

そうした長崎妾腹の子を持つ幕府要人は多い。その子らの養育を受け持つのは小曽根家のくのいちである墓場鳥と呼ばれる老忍である。

松浦党の離れ島で改装を終えた幕府海軍からの略奪艦は鶴川と名付けられて下関に向かっていた。その船上には子供たちの歓声がわいている。

亀山に続く亀山社中の弐番艦である鶴川だが、グラバーを通じて上海から購入した新型蒸気船が回航されるまで長州に貸し出されることになっていた。鶴川は萩・下関・大島を結ぶ長州の最前線を巡る輸送船となるのである。

墓場鳥は養育する子弟の実地訓練をかねて船上にある。護衛として壱番艦亀山が先行しており、これには龍馬とお元が乗っていた。

鶴川船上には長州の不死身の聞多と伊藤俊輔があって・・・子供たちを集めて腹踊りをして剽げている。傷だらけの聞多の腹はヤクザもののようで子供たちは拍手喝采なのであった。

「毛唐の国には三権分立というものがあるそうな」

「ほう、ほう、そりゃどんなもんじゃ」

「石鹸に真剣に初体験じゃ」

「なるほどのう・・・あわ立てて斬って血がでて・・・ヒゲ剃りかっ」

子供たちは大人のジョークの意味を知ってか知らぬかゲラゲラ笑っている。

殺伐とした抗争に明け暮れる二人の志士たちは無垢な子供たちと集ってつかの間の安らぎを感じていた。

その時、鶴丸の艦長代理である陸奥宗光が叫ぶ。

「海賊船じゃ・・・」

北の水平線に三筋の煙が上がっている。マストに登り、遠眼鏡をとりだした副長代理・池内蔵太が叫ぶ。

「あれは清国の海賊じゃ。張雲海の福星号、福勝号・・・そんで福龍号じゃ・・・」

「お・・・撃ってきおった・・・」

「ばかな・・・」

三隻の清国海賊は先行する亀山に気付かず、鶴川を単船と見て、略奪を仕掛けてきたのである。威嚇射撃をしながら、停船旗を掲げている。

後方で上がる水煙で異変に気がついた亀山の龍馬は回頭を命じつつ、砲撃準備を開始する。亀山に装備された最新カノン砲の射程は長い。

「清国の海賊か・・・なめくさって目にもの見せてくれる」

伴天連海賊姫であるお元の顔に殺気が宿る。キリシタンは異教徒である敵には容赦しないのが信条である。敵とは悪魔サタンそのものだからだ。

「撃て」

戦忍びの操船する亀山はただの軍艦ではない。しのび水軍戦船である。その射撃力は常識を越えた精度を持っている。

油断していた海賊船は側面から攻撃を受けて、先頭の福星号が被弾・炎上。残った二隻はあわてて進路を変えて退避をはじめる。

亀山が福星号のあった海域に到達すると福星号は水没し、周囲には水夫たちが漂っている。

亀山からロープが投げられ救助が始まる。

「清国人にまじって朝鮮の水夫もおるようじゃ」

「清国は自分の国がのっとられそうじゃから・・・朝鮮の民を奴隷にしようとたくらんでおるからの」

「あの者たちをどうするのじゃ・・・」

「洗脳して子分にするがじゃ・・・水夫は何人おっても困らんからの」

龍馬のいつもの手に納得するお元だった。

風雲急を告げる長崎の町。下関に軍艦・鶴川を届けた龍馬たちは疾風怒濤の素早さですでに戻っている。近藤長次郎から伝令が届いたからである。

「どうしたがじゃ・・・」

「坂本様・・・グラバーとの値段の折り合いがつかんのです。長州からは千両箱が五十届きましたが・・・残り五万両が足りません・・・」

「そりゃ・・・困ったの・・・」

そこで沢村惣之丞がつぶやく。

「金がないのは首がないのと同じじゃからの・・・」

長次郎の補佐役の新宮馬之助が応じる。

「金はあるところにはあるんじゃがのう・・・」

龍馬は愁眉を開いた。

「ほんなら・・・押し込み強盗をするかの・・・」

目を輝かす社中のものども・・・。

「どの商人を襲うがじゃ・・・」

「いや・・・長崎奉行所じゃ」

「ご金蔵破りか・・・」

「そいつは豪儀じゃのう」

「そりゃええのう」

盛り上がる社中の人々。

その夜・・・長崎奉行所の屋根にはくのいち春猪が姿を見せた。やがて長崎奉行所を警備する忍びたちはふと目が覚めていつの間にか眠っていたことに気がついた。

蔵からは積まれた千両箱がすべて消えていた。

報告を受けた服部一三こと服部半蔵は・・・歯軋りをする。

「坂本様・・・抜けるだけならまだしも・・・ご公儀の金に手をつけるとは・・・もはや・・・見捨てて置けませぬぞ・・・」

坂本龍馬と愉快な仲間たちはこうして・・・幕府隠密と完全なる敵対関係に陥ったのである。

関連するキッドのブログ『第32話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『ジョーカー許されざる捜査官』『逃亡弁護士』(フジテレビ)『土俵ガール!』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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コメント

今回は龍馬の話術によってあのグラバーが翻弄され
そして龍馬の思惑通りの展開に事が進んでいくと共に

龍馬・長次郎・グラバー・大浦・お元
それぞれの「利」を巡っての駆け引き

特に長州と薩摩の暗躍を探ろうとする
幕府の密偵・お元が己の秘密と引き換えに口を塞ぐ

このお元の存在感たるや
今回の一番の見せ場になってたかのようです。

どんなに志があろうとも人間相手には
やはりこの「利」がなんとも外せないものですねぇ。


それから長次郎は完全に前フリになってましたねぇ。

ドラマでは長次郎の「志」という部分で
キレイに見せるような雰囲気が感じられますが

個人的には
商人あがりの長次郎が活躍したことで
郷士たちが長次郎をよってたかっていじめ
そうして長次郎は追い詰められて、切腹させられてしまう

どこまで言っても利が理よりも前にくる

そして、自分より身分が低い者をいじめ
そのいじめられた者は更に自分より低い者をいじめる

この構図は今も昔も変わらんという事で見せて欲しいもんです。

投稿: ikasama4 | 2010年8月17日 (火) 22時27分

pencil✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥pencil

戦争という巨大な事業に
つぎ込まれる巨大な資産。
商人たちは常に利を貪り
そして勝者に賭ける。

ところが・・・勝負は時の運。

ここが人生と歴史の醍醐味ですな。

終ったことにあれこれ言っても始まらないと
わかっていながら
あれこれいって楽しむのもまた
人の性でございます。

弱肉強食を笑うものは弱肉強食に泣く・・・
理でございます。

しかし、御身大切の情は
按摩上下十八文・・・。
身体障害者もそれなりに暮らせるこの世を作り出す。
貧しきものも娘を売ればなんとか永らえる。
そして娘たちは春を売って永らえる。

この世の地獄だからこそ
あの世に望みをつなぐ
信仰の灯は消えない・・・。

武士に支配される農民が
下人を蔑むように
平民が元朝鮮人を蔑む。
心あるものは痛ましく思いつつ
それを是としなければ
生き残れない。

そして、それを革命で
克服しようとすけば
また流血はさけられない。

神というか・・・悪魔というか
そういうものがあるとすれば
その手際のよさは
眩暈を感じるお手並みなのですな。

その辺りを実に描ききった今回。
ものすごい低視聴率が天晴れでございます。
ちょっとレベルあげすぎで
無敵になってしまったロールプレイングゲームの
主人公みたいでした。

投稿: キッド | 2010年8月18日 (水) 02時47分

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