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2010年8月14日 (土)

あなたがいてもいなくても陽はまたのぼるうぬぼれ刑事(長瀬智也)東京砂漠の片隅で(生田斗真)

ゲストは小雪である。クドカンだけが引き出すことの出来る魅力的な小雪がここにある。

ヤクザの組長の愛人・松井加奈(「池袋ウエストゲートパーク)でも圧倒的な美しさで空気を変える感じだったわけだが・・・その魅力はそのままである。

美しすぎて・・・どこか淋しい女をさらりと演じているのである。

美しいというだけで嫌われる日本という社会では生き残るためには圧倒的に美しくなければならない。

そのあたりの機微をクドカンは描きまくるわけである。

ちなみに今回のネタはいかにもオグシオを思わせるが・・・ブスじゃない方の小雪に対してブスを演じるのはクワバタオハラのブスじゃない方の小原正子である。美の相対性を強くアピールしているな。

作中にWinkの鈴木早智子と相田翔子をブスとブスじゃない方にわける件があったりしてさっちんファンの臓腑をえぐったりして今回は実に毒々しい。

もちろん、ママさんタレントとして生き残るとかセミヌードとかW(ダブルユー)の辻希美と加護亜依もかなりかぶってきます。

もう・・・やりたい放題でシビレル~。

で、『うぬぼれ刑事・くされ縁(第6回)』(TBSテレビ100813PM10~)脚本・宮藤官九郎、演出・吉田健を見た。袖振り合うも他生の縁と申しまして、袖を振り合うのは別れの挨拶である。他生というのは前世のことであり、因果応報の話である。そういう意味で腐れ縁とは縁としていいのかどうかはわからないが腐るほど因縁があるということなのである。まあ、バカにはわからないかもしれないがそういうことなのですな。

萩尾ゆみ(小雪)は大阪から秋田に転校してきた田尻えみ(小原)とバドミントンの女子ダブルスペアを組み、ハギシリペアとしてやがて五輪選手として活躍するようになる。

しかし、容姿に恵まれた上にバドミントンバカだった萩尾に対し、いろいろと限界を感じた田尻はコンビ解消、現役引退を表明・・・やがて萩尾はいつしか消え去り、タレント活動、セミヌード、青年実業家と結婚、ママさんタレント、セミヌード、離婚、セミヌードと成り行きで成功した田尻は今もそれなりに脚光を浴びていた。

そんなある日、田尻は何者かに襲撃され、被害届を警察に提出する。

資料に目を通したうぬぼれ(長瀬)は萩尾の写真に魅かれる。

その頃、ドラマ中ドラマ『うぬぼれ刑事』の主演であるサダメ(生田)は監督の田代から餓死で殉職寸前のシーンの撮影のためにオレンジ・ダイエットを命じられていた。

ここで「いつも死体役ばかりだったオレがやっと主演になれたのに・・・やはり死ぬんですか」とサダメが泣くと田代は「バカだな・・・死んでも生き返ればいいじゃないか・・・」と殉職から殉職変更に脚本をチェンジする。

そこで、素人の松岡(要潤)にまで「ダメ」呼ばわりされる田代だが・・・。

ここでの正解は「バカだな・・・ただの死体役は誰の記憶にも残らないけど・・・主役の死はみんなの記憶に残るんだ・・・ショーケンや優作のようなスターへの第一歩だよ」である。

つまり、殉職しそうでしないということはみんなの記憶に残らないということである。

それはともかく・・・オレンジを大量に買い込んだサダメは街角で萩尾と衝突して・・・100を数える間、見つめあうのだった。

ちなみにサダメはハギシリコンビの存在さえ知らないくせにテレビ局で田尻ともすれちがっていた。

サダメもまた運命に翻弄される男なのだ。

やがて、田尻のストーカーとして疑われる萩尾とネットカフェで再会したサダメはお互いの共通点の多さに驚くのだった。

①「殉職」も読めないバカ

②だまっていれば美しい

③夏は公園で寝るホームレス

運命を感じるサダメの愛の告白にとまどう萩尾。

「私のどこが好きなの?」

「ピュアなところです」

しかし・・・中学時代から遠征試合に明け暮れた萩尾はピュアの意味を知らなかったのだった。もちろん、pureとは純粋で汚れを知らないことで意訳すればバカということだ。

今回は様々な恋が交錯していくわけである。

ここは手広く「誰かが誰かを好きになったら恋」という視点で見て行く。

このドラマは大人のドラマなので「本当のところ」は限りなく隠し気味である。

その中でうぬぼれの父・葉造(西田敏行)だけは別格で・・・人の心を読む達人なのである。

葉造が「萩尾はうぬぼれに惚れている」と断言しているので・・・今回は萩尾とうぬぼれは両思いだったのである。

それがなぜ・・・結ばれなかったのかを分析しておきたい。

冒頭で・・・萩尾が片思いしているのは12年間コンビを組み、その後7年間、一人で幸せを掴んだ田尻である。萩尾→田尻+20

被害者の資料で萩尾を知って一目惚れしたうぬぼれ・・・。うぬぼれ→萩尾+100

萩尾はサダメと運命的な出会いをしてそのバカさに激しく共感し、弟のような可愛さを感じてルーム・シェアをする。萩尾→田尻+20、サダメ+1

うぬぼれは萩尾とサダメが交際中と知り、沢尻エリカのように激しく嫉妬し、モー娘を卒業したようにうぬぼれ5を脱退し現実刑事・冴木(荒川良々)とUとUとでW(ダブルユー)のようなゲンジツーを結成する。しかし、冴木刑事のかしこまり冷酷な指摘でサダメが萩尾に騙されている事実に直面すると・・・弟のようなサダメが憐れになり、気持ちが揺らぐ。うぬぼれ→萩尾+99、サダメ+1

サダメから情報を聞き出し、インストラクターをしている萩尾を訪ねるうぬぼれは萩尾の姿を見て・・・。うぬぼれ→萩尾+199

この時、アクシデントにより冴木刑事は負傷。冴木夫人の里恵(中島美嘉)が登場し、萩尾に「ふん」を飛ばす。里恵→萩尾-100

うぬぼれは田尻に対する暴行の容疑で萩尾を追及する。そこで「美人なのにバカ」というある意味、可愛さの最高峰に接し・・・うっとりする。うぬぼれ→萩尾+299

萩尾はうぬぼれから「バドミントンを20年間バトミントンだと思っていたバカ」を指摘され、厳しいけれど優しい人生のコーチとしてうぬぼれに惚れる。萩尾→うぬぼれ+20、田尻+20、サダメ+1

うぬぼれは刑事としての立場を利用し、萩尾に文通を申し込む。

それを聞いた里恵は昔の男に裏切られたような気分になる。里恵→萩尾-200

里恵はオチのくりかえしのギャグをふるために回想シーンでうぬぼれとの別離を再確認する。

「あなたは女の愛を疑わない・・・女は少しは疑ってほしいのよ・・・でないと疲れちゃうの」

「・・・よくわからないけど・・・君の疲れは癒えたのですか」

それには答えない里恵だった。

うぬぼれは里恵の態度に未練を感じる。うぬぼれ→萩尾+399、里恵+55、サダメ+1

まあ、バカにはよくわからないかもしれないがここでは男たちには「僕よりバカな君が好き」の方程式が働いています。

尋問という名のデートを重ね、愛を深めるうぬぼれと萩尾。

しかし、運命の悪戯で・・・葉造に人生相談をしているサダメの元へ・・・萩尾を連れ帰ってしまううぬぼれ。

葉造は一瞬で危機を察知し、なんとか衝突を回避しようとしますが・・・時すでに遅し。

サダメに気を使ったうぬぼれは「萩尾さんがサダメの運命の人かどうか父に鑑定してもらおうと思って・・・」と心にもないことを言ってしまいます。→萩尾+499、里恵+55、サダメ+1

萩尾は一瞬でうぬぼれの心を悟り話をあわせますが・・・女より男をとったうぬぼれの心に危惧を感じます。萩尾→うぬぼれ+19、田尻+20、サダメ+1

そこで萩尾は田尻の息子を誘拐して、サダメの部屋に隠し、ちょっとした復讐を果たした後でうぬぼれに逮捕してもらうために脅迫状のようなラブ・レターを書くのでした。

しかし、もはや萩尾への恋に焦がれるうぬぼれは・・・恋のバドミントン・ワンポイント・マッチを企画します。

萩尾が勝ったら逮捕

うぬぼれが勝ったら結婚

という一方的なルールですが・・・。

萩尾はバカなので・・・そんなうぬぼれと結婚してもいいと思っているのです。

なぜなら・・・引退したとはいえ、五輪級の選手とただの刑事がいい勝負になっているのがその証拠です。

つまり・・・萩尾→うぬぼれ+21、田尻+20、サダメ+1

しかし・・・ここで・・・田尻が乱入・・・二人の恋に終止符を打つのです。

田尻が拾って萩尾が決める・・・20年間の腐れ縁はもはや愛の領域ですから。

この瞬間・・・萩尾→うぬぼれ+21、田尻+22、サダメ+1

泣き崩れるうぬぼれとパトカーに乗せられる萩尾の共通項は「サダメ+1」のみ。

「萩尾さん・・・」

「サダメくんに・・・よろしく・・・」

一方・・・くりかえしのギャグのために・・・萩尾を護送中のパトカーの前に立ちふさがるサダメ。

「あなたを失うくらいなら死んだ方がましだ・・・」

「ごめんね・・・」

お約束で急速にバックして走り去るパトカー。

一人取り残されたサダメをなぐさめるうぬぼれ軍団のヘイヘイヘイの歌が響くのだった。

サダメ→萩尾+50、うぬぼれ軍団+1×5

次回のクドカンオールスターズからのゲストは「マンハッタンラブストーリー」(2003年)のデビル赤羽こと小泉今日子です。

関連するキッドのブログ『第5話のレビュー

日曜日に見る予定のテレビ『龍馬伝』(NHK総合)『多部未華子のGM・踊れドクター』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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コメント

美人でバカが可愛さの最高峰・・・
そうですねえ。クドカン作品では「舞子haaaaan!!」で柴咲コウがそんな役柄でしたね。
もっとも、キッドさんの分類では
柴咲は美人系・カワイイ系の中間だった気が
しなくもないですが^^;。

話は変わりまして。
うぬぼれは毎回ヒロインを見る度に頬が緩みますが、
あの表情はアホらしい一方で、愛らしくもあり・・・。
そのあたりの妙なバランスがクドカンの魅力ですね。
終盤ヘイヘイヘイと励ますシーンも
どことなくホッとなりますしねー。

酷暑の折、お体にはご自愛ください。

投稿: inno-can | 2010年8月15日 (日) 00時06分

♬♬♬のだめデスヨ♬♬♬inno-can 様いらっしゃいませ♬♬♬のだめデスヨ♬♬♬

お笑いというのは「攻撃性」と「守備性」を
持っているわけです。
しかも、攻めているのか守っているのかを隠す
スティルス性も保持しています。

たとえば、普通なら言葉を濁すところを
はっきり言う・・・というお笑い。

今回ならくりかえされる「うるせえ・・・ブス」が
あります。
これは大人計画の決めセリフのようなもので
松尾スズキが一番得意。

それを萩尾から田尻に
田尻から萩尾に
と相互に言わせる。

ブスにむかってブスというのも凄いですが
ブスが美人にむかってブスっていうのは
もっと凄い。
シナリオ的には
ブス「うるせえ!ブス!!」ですからね。

美人がバカというのは
見上げていたものを見下ろすという
視線の移動が刺激的なのですな。

一方で今回は
異性愛と同性愛と友情の微妙なもつれを
匂わせています。

うぬぼれは萩尾への胸のときめきを感じますが
それをうぬぼれ4と共感したいと考える。
どっちをより深く愛しているのか
曖昧にしていくわけです。

男なんてつかのまのものだけど女友達は永遠・・・
というような神話もありますしね。
そういう友情と同性愛の境界線みたいなところへも
玉を投げていて・・・ものすごくスリリングなのですな。

いよいよ・・・八月も半分終了・・・。
秋風が待ち遠しいですな・・・。
まあ、秋になったらなったで
去って行った夏が惜しいわけですけど・・・。

投稿: キッド | 2010年8月15日 (日) 01時35分

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