おかえりと言ったらただいまと言われた(松本潤)いってきますと言うのでいってらっしゃいと言った(竹内結子)
挨拶の言葉に意味があるのかどうか人はあまり問わない。
言語によるコミュニケーションが何を伝えているのかはよくわからない。
家で親が子供に何かを教えるように。
学校で先生が生徒に何かを教えるように。
誰かが何かを誰かに伝えたとして・・・それが本当に伝わったのかどうかはよくわからない。
それでも人は他人を求めている。
自分ではない誰かを求めている。
そして、挨拶をする。
本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。
本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「20世紀少年最後の希望」13.3%(木南晴夏とったな)、「崖っぷちのエリー」↘*5.5%(なぜみのもんたと勝負なのかよくわからん・・・サイバラの生き様が面白いだけなのに)、「うぬぼれ刑事」↗*8.0%(小泉今日子とったな)、「熱海の捜査官」↘*6.8%(どこまでついてこさせない気か楽しみだ)、「ハンマーセッション」↗*7.0%(エロダンサーとったな)、「美丘」↗*9.7%(さあ倒れて倒れて倒れて)、「龍馬伝」16.3%(みんな帰ってきたな)、「GM」(小動物ヒガシをあつかう多部未華子とったな)・・・ついでに「ハンチョウ」↘11.2%、「夏虹」↗11.8%・・・以上。
で、『夏の恋は虹色に輝く・第6回』(フジテレビ100823PM9~)脚本・大森美香、演出・星野和成を見た。このドラマを見ていると『カバチタレ!』(2001年)を連想することがある。脚本家が同じだから不思議ではないのだが・・・それはキャラクター造形が類似しているような部分があるからだと思う。
原作の「カバチタレ」とは違いドラマ版では主人公の田村を常盤貴子が、栄田を深津絵里が演じている。原作では男性であるキャラクターを女性に置換しているのである。そしてドラマでは有能だがやや頭が固いところがある栄田と弟(山下智久)を養うお人好しすぎる田村の女の友情物語が展開する。さらに言えば二人は擬似恋愛というか、プラトニックなレズビアンというムードをかもし出している。
いわばヒロインの田村のピンチをヒーローの栄田が救うというスタイルである。
また、頭が固すぎる栄田を田村の柔軟さが癒すという場面もある。
こうして二人は女同志の友情を育んでいくのだ。
これを原型と考えると、頭の固すぎる二世俳優である大雅(松本)と娘の海(小林星蘭)を養う夫に死別した詩織(竹内)はややアクロバットを演じることになる。つまり、本来は同性同志の友情から擬似同性愛と移っていく過程がいきなり恋愛関係に発展することになるからである。
それが唐突な大雅の一目惚れと一方的な告白に始まることによって二人の関係はギクシャクするのだが、それがそのままドラマ全体をギクシャクさせてしまったような気がするのである。
もちろん、恋愛ドラマだからそういう手があってもよかったのだが・・・「大雅の人間的成長」と「詩織の死者による拘束からの解放あるいは昇華」というキャラクターの宿命を考えるとあまりいい「手」ではなかった気がするのである。
特に、アクロバットだけにかなり繊細な演出力が要求される序盤で演出が不調であったために「つかみ」が失敗している印象がある。
繰り返すが、脚本的にはこの「手」もありなのである。だが、オーソドックスな「手」としては大雅が一目惚れしてもそれを告白することはできずに・・・お互いがより深く知り合っていくという・・・友情先行の方がスムーズだったように思える。あるいは・・・詩織がそうであるようにお互いに魅かれあっていながら無自覚・・・知らぬは本人ばかりなりという「手」もあったはずだ。
そのスタイルでもここまで充分に持たせることができたと妄想できるのである。
まあ・・・それはそれとして、かなりの時間を使って、大雅の片思いと詩織の葛藤は描いてきたので・・・今回はそれなりの新展開・・・両思いの始まりがある程度は胸に落ちる形になっている。今回だけを考えると快調と言える出来ばえなのである。
しかし、要するに若さゆえの浅い考えで道を見失っていた大雅が素人の詩織の率直な言葉「父親は名優だったが息子は大根役者」に目を開かれ・・・向かうべき道を見出していくという部分が「恋愛要素」で散漫になってしまった印象は否めない。
何度も言うが「仕事」と「恋愛」を両立させるためにはかなり繊細な演出力が要求されるのである。
「恋愛にかまけていたらいい仕事はできない」し、「仕事に熱中していたら恋愛は二の次」という展開の方が要素として容易だからである。
とにかく・・・難しい道を歩いてきたのでお茶の間受けはもう一つだが・・・大雅は上手くいかない恋愛と平行して・・・人間として深みを感じ始めるところまでやってきたのだ。
子役あがりの年下の女としか見ていなかった桜(桐谷美玲)が自分の力量をはるかに上回る演技力を持っていることを思い知る。
いやな成りあがり男だと思っていた俳優の伊良部(永山絢斗)が自分よりもっといやな思いをしていたことを聞き出す。
同じ境遇の仲間だと思っていた植野(笠原秀幸)が恋多き女であるメアリー植野が母親であることにより、自分よりもっと困惑していることを感じる。
そういう他人を見る目が・・・役者として大切だということを大雅は気付く。
そのためにただのおばかさんだと思っていた母親の真知子(松坂慶子)が「夫と父親を偲ぶ妻と息子の旅」というツアー企画にエンターティメント性を持たせるために「そういう妻であり、母親を演じることができる大女優であること」を大雅は体得していくのである。
最初はギクシャクしていた大雅がやがて演出家を満足させる笑顔を演じることができたというのは松本潤の演技力の成果であるが、それを抱擁しつつ、教育的指導をする松坂慶子の演技もまた見事だったのである。
プライベートで「父親が大雅が役者になったことをどけだけ喜んだか」ということをさりげなく悟らせておき、ロケ現場で「こんなにおいしいものを食べて天国のお父さんに申し訳ない」とふって大雅に「最近の母の口癖なんですよ・・・」と自然なリアクションを演じさせる。
このシーンはかなり技巧的なもので・・・母子はそれをそつなく演じきっているのだ。
一方、死んだ夫の実家に娘を連れて里帰りした詩織は血のつながった娘と同じようにはその場を楽しめず、死んだ夫にそっくりの声を持つ義弟(塚本高史)によってお約束の思い出したらすぐ涙でやるせない気持ちになる。
さらにやや唐突だが桜による恋のライバル宣言で追い込みである。
機は熟したと言わんばかりに天国の父と夫合作かと思える「なんでそんな落ちやすいところに貴重なトロフィーが・・・作戦」展開である。
大雅「付き合うのが無理なら・・・ボクはなんとか君の役に立ちたいと思うんだ」
詩織「娘と二人、楽しく暮らしてきたのに・・・あなたのせいで困ったことに・・・できれば消えてほしい」
大雅「・・・なるべく顔をあわせないようにする」
詩織「それはもっと困るの」
大雅「えーっ」
詩織「・・・」
ある日突然、二人黙るの・・・あんなにおしゃべりしていたけれど・・・こんな日がくるとはお茶の間は思っていたけれど・・・優しい口付けを交わす二人・・・。
関連するキッドのブログ『第5話のレビュー』
水曜日に見る予定のテレビ『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日)『ホタルノヒカリ2』(日本テレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
最近、月9でごっこガーデンが開かれないのが少々残念ですが、みなさん今作を見放された?のですかね(^_^;)
今一つ物足りず…おかずがもう一品欲しい、強いて言うなら視聴者をもっとどぎまぎさせて欲しい感じですね。題材が散漫してるからか、松潤&竹内結子が惹かれあう描写が足りなかったからか…。
まぁ、演出が調子良さそうなので、残り数話が楽しみです。最終話はヒーロー&ヒロインのラブラブっぷりで締めるのでしょうが(笑)。
投稿: inno-can | 2010年8月24日 (火) 21時35分
爺や、お久しぶりです。
記事と関係ないことでごめんなさい。
さっきアンナさんの所を訪ねたら、明日から入院との記事にびっくり!
記事に載せているくらいなので、知らせてもOKかなと思い、とりあえず爺やにお知らせしておきます。
デリケートな問題なのでどうして良いか分からないので、とりあえずのお知らせです。
すでにご存知でしたら失礼しました。
投稿: 芯 | 2010年8月24日 (火) 23時45分
ふふふ、ごっこガーデンは基本的には
三人のお嬢様とそのオトモダチの方たちが
ダーロイドで遊ぶための施設ですので
それぞれの本命ロイドをお持ちの方が
匙を投げてしまうドラマは
遊んでもらえなくなる宿命なのでございます。
腐っても月9なので
ドラマブロガーの皆さんは
細々とレビューを続けている感じでしょうかねえ。
脚本よりも演出的な
好不調の波が激しい今夏の月9。
今回はかなり見やすい感じでしたし
主人公とヒロインがようやく両思いになったので
ここからは恋人たちの恋愛を楽しめるのでは
ないかと思います。
片思いで五話を消化というのは
帝国アイドル主役のドラマだから
許されるのであって
かなり展開としては辛いですからな。
だってその間、恋愛は成立していないわけですから。
それは恋愛ドラマとしては致命的。
とにかく・・・ここからは
恋人たちの物語・・・
二人で幸せにむかって愛の試練に
立ち向かってもらいたいと考えます。
投稿: キッド | 2010年8月25日 (水) 08時23分
そうなんですよねえ・・・
最近、みのむし様もずっと更新しておられず
今度はアンナお嬢様の突然のご発病・・・。
今年はドラマとライブそして年末は映画と
アンナ様のダーリンが大活躍なさったので
ご無理がたたったのかもしれません。
とにかく・・・静かにご回復を祈るばかりの
じいやでございます。
酷暑が続いておりますれば芯様もどうかご自愛くださりますように。
投稿: キッド | 2010年8月25日 (水) 08時31分