大体一線を越えたドラマでしたね、熱海の捜査官(オダギリジョー)
地球温暖化の影響があるかどうかは別として、今年は日本近海の海水温が高温化して、日本全国(北海道など一部地域を除く)熱海だったのである。
その熱海に囲まれた史上最高の猛暑の中で・・・春頃にロケしたこのドラマの登場人物たちは大体、春先の装いである。話も永遠の森学園の入学式にまつわる話なので大体、春休み前の話である。
つまり・・・季節に合わせたドラマ作りを基本とすれば・・・最初から一線を画しています。
そして・・・ドラマを大体、現実的に考えるとなると「死後の世界はある!」という前提のドラマは薄々不真面目なものなのである。
もちろん、死後の世界をまじめに考えて何が悪い?という考え方もあるが、永遠に答えのわからないものをまじめに考えるのは時間の無駄という考え方もあるからである。
唯一、死後の世界をまじめに考えないと危ない感じになるのは「宗教の世界」だけなのである。
たとえば、某宗教で・・・「あの方は復活なさったのです」と言うことに「フッ」と笑ったりしてはいけないわけである。
「一度死んで生き返った」ことが奇跡の大前提なのである。
そういう意味でも「ちょっとおかしな人々」が「この世とあの世を行ったりきたりする話」というのはそれだけですでに大体、冒涜的で「お笑い」が醸し出されるわけである。
もうニヤニヤして見守るしかないわけである。
すでに東雲麻衣(三吉彩花)は臨死体験をしている前提なのだが・・・それが死後の世界からの回帰なのか、死に損ないなのかも曖昧にしているのがまた怪しいのである。
最後は完全に死体となった運転手の新宮寺(山中聡)が「この世とあの世の境界線を越えるようなスクールバスの運転手」として復活するわけである。
しかし、すべては広域捜査官・星崎(オダジョー)の幻想の世界かもしれないという姑息なお茶の濁し方も含んでいるのです。
なにしろ、どうやら死者であるらしい謎の女モトコとずっと電話で対話を重ねていた・・・つまり独り言をしていた・・・星崎捜査官なのである。
一方、星崎と親密な交際をしながら、容疑者である平坂(萩原聖人)にも傾斜していく北島捜査官(栗山千明)はある意味生臭いのである。星崎に対しても教え子に対してもなんとなく性的誘惑を醸し出す敷島先生(藤谷文子)もまたなんとなく生臭い。生徒の中ではうそ臭いほど活動的な市長の娘レミー(二階堂ふみ)もまた生臭いのである。大人でも子供でも生臭いものは生臭いのである。
ちなみに「鉄人28号」へのオマージュとして敷島博士のことを指摘しておく。
ともかく、星崎が惹かれるのは・・・生臭い女よりも・・・死者の匂いのする女子生徒であることは大体断定していいだろう。断定は大体でするものなのかどうかは別として。
ひょっとすると死霊の町だったかもしれない南熱海。
そこは生と死の交差点であったようだ。ドラマの冒頭で星崎と北島という二人の捜査官は「ライン」を越え、中間領域とも言うべき南熱海に入る。そしてドラマの末尾はその先の世界へと潜入していく容疑者の東雲と刑事の星崎なのである。
それは椹木みこ(山田彩)たち三人の美少女たちが半分死にながら夢見る世界であり・・・見てはいけないめくるめく世界なのである。
もちろん、これは一種の耽美主義なのですが・・・それを説明することはできないのが仮記事の宿命なのです。
で、『熱海の捜査官』を見た。
(仮記事としてのラインは越えられないのです)
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コメント
キッドさん、こんにちは
「大体、分かりました」最終回でしたが、
逆に言えば、分からない謎もいろいろ残っていて、
ついつい答えの出ないことをあれこれ考えてしまいます。
(時間の無駄だけど、それが楽しい)
オールオアナッシングの考え方だと、
「大体、分かりましたよ」=「さっぱり分からない」ですものね。
ただ、一話の、ゴーギャンの絵の前で、
星崎が敷島先生に「死んだことありますか?」と聞いていたのが、
もう何もかもを表していたとは・・・
他にも、犯人に惚れちゃう刑事とか写生とか、
「熱海」と「うぬぼれ」の微妙なシンクロも面白かったですわ。
(平均視聴率が7.9%で同じって)
「仮記事」と言いつつ、本当に読み応えのある内容ですね。
毎日、楽しませていただいておりますよ。
個人的には、「熱海」と
(こちらではレビューはなかったですが)「GM」が
今期のお気に入りドラマでした。
来期も楽しみにしております
投稿: mi-nuts | 2010年9月21日 (火) 13時18分
✭クイーン・オブ・ザ・ランチ✭mi-nuts様、いらっしゃいませ✭親切百回接吻一回✭
そうですねえ・・・実は「GM」もかなり
お気に入りのドラマだったわけです
特に「生身にさわれない中年ダンサー・・・ドクター」と
まじめでダンスステップを知らない新人女医との
プラトニック・ラブの話としては
多部未華子ファンでなくても
「かわいい恋の物語」としてものすごく楽しめましたからね。
しかし・・・諸々の事情でレビューは見送りました。
この夏の心残りのひとつでございます。
この夏のドラマで本当に面白いのは「ホタルノヒカリ」ですが
そんな誰もがわかる本当の面白さはつまらない・・・
そう考えるが面白さの探求者の性でございますからねえ。
どこが面白いかわからないドラマの面白さがわかる人は
昔は胸にしまうしかなかったのてせすが
今はネットがあって誰にともなく語ることができる。
その点では世界は一線を越えているのだと
キッドは思うのでございます。
投稿: キッド | 2010年9月21日 (火) 17時25分