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2012年1月31日 (火)

氷の天使のような愛おしい骨のある娘(松本潤)

まあ・・・元ネタはキャロル・オコンネルである。このミステリーがすごい!的なベスト10で・・・何故か、冷遇されるマロリー・シリーズ。なにしろ・・・一部愛好家を絶対に許さないヒロインだからな・・・ミステリ界にはかなりの一部愛好家が潜在しているので・・・そういうことかもしれないな。

とにかく・・・2011年の「このミステリーがすごい!」は「愛おしい骨」(キャロル・オコンネル)・・・マロリー・シリーズに非ず・・・でした。

「氷の天使」は幼児虐待・人身売買の被害者でありながら・・・美貌の女刑事となったキャシー・マロリーのデビュー作であることは言うまでもない。

探偵ものには美少女がつきものだが・・・多くの場合は被害者で・・・そうでない場合は「小さな依頼人」となり、探偵がなすすべもなくプラトニックな恋の奴隷となるのはもはやお約束なのである。

で、『ラッキーセブン・第3回』(フジテレビ20120130PM9~)脚本・野木亜紀子、演出・平野眞を見た。犬も歩けば棒にあたるというが・・・愛犬捜索の任にあたっていた駿太郎(松本潤)がたまたま・・・ラッキー探偵社が別件で追っていた結婚詐欺師・岡本紗江(紺野まひる)の娘・弥生(畠山紬)に出会ってしまうのは・・・その他の様々な偶然と同じように・・・東京の街が狭いっていうことだ。けしてご都合主義などを疑ってはいけません。すべては可能性の問題なのだな。

関東大震災の震源地に住んでいるキッドが今度は少しずれるはずだと希望的観測を抱くかの如くである。

この世には「楽しいことしかない」と考えていた駿太郎が・・・「悲しいこともあるんだな」と少し大人になる事件である。

子供は親に似るのが普通で子供っぽい親の子供は子供っぽいのだが・・・世の中というものは常にバランスをとる傾向にあるので・・・時には子供っぽい親の子供が大人びることがある。

そういう場合は「子供の苦労、親知らず」であり、「若い時から子供に従う」親となり、「トンビが鷹を生む」ことわざを生むのである。

基本的に子供は無力であるから・・・大人にならざるをえない子供の困難は想像に難くない。つまり「悲しさ」をもっとも描きやすい題材なのだな。

「ごめん」で済んだら警察はいらないのだが・・・親の犯罪を子供にわびられたらいい大人は許すしかなく・・・そこにつけこんで・・・女詐欺師は無罪放免を勝ち取るのだった。

まあ・・・杉下右京に介入されたら激昂で説教されたあげく確実に立件・起訴されますけどねえ。

北品川警察署の桐原警部補(吹石一恵)は「警察にはできない事件解決ですね」と賛意を表すという・・・これはもうご都合主義という他ありませんがーーーーっ。

母親に「昔住んでいた家の桜が見たい」とせがんだために母親を詐欺行為に走らせてしまったと自責の念に悩む少女・弥生と一日デートした駿太郎は・・・優秀な探偵として事件をうやむやにする。

もちろん・・・一番大人なのが被害者の箕輪(東根作寿英)であることは言うまでもない。

前節はエリカ(栗山千明)に騙されっぱなしだったが・・・今回もやさしくってちょっとバカな男として存在感を醸し出しているよねえ。

なお・・・紗江を演じる畠山紬(はたけやま・つむぎ)は実年齢8歳・・・「夏の恋は虹色に輝く」の桐谷美玲の子役時代を演じた子役であることも言うまでもない。

基本的に子役はみな・・・大人びている。

詐欺師として・・・母親が収監されれば・・・紗江は施設行きである。そこで悪趣味な施設長に凌辱され、転落の人生を歩むことは「白夜行」ほどに確実なので・・・その窮地を救った駿太郎は名探偵の階段を昇ったわけだが・・・それを想像で補完しなければならないお茶の間はまたしても・・・娯楽としてのドラマに奉仕しなければならないのか。

何もかも忘れて楽しい気分にさせてくれる大人の脚本家のドラマをお願いします。

今回の教訓・探偵は依頼者の老若男女を問うてはいけない

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2012年1月30日 (月)

愛されているとは思いもよらず黒髪乱して父に恋する私(松山ケンイチ)

百人一首80番は堀河局(りょう)の「長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れて今朝は ものをこそ思へ」である。直訳すれば「相手が本気で愛してくれていたとは知らずその心を疑って昨夜の情事を念入りに回想する朝もあったなあ」という意味である。

後に西行法師となる佐藤義清(藤木直人)と和歌で語らう二人だが、もちろん・・・西行の和歌も百人一首になっている。「嘆けとて 月やはものを 思はする かこち顔なる わが涙かな」(月が泣かせるのだと言いたいが涙の理由はもちろん違う)である。

二人の雅な魂の触れ合いは・・・ともかく・・・堀河局の和歌は・・・まさしく、平清盛の父への心情を忠実に表現したものだ。

実父でないがゆえに素直に父を愛おしく思えなかった清盛は父の偽りなき愛を感じてついに心開くのである。

で、『平清盛・第4回』(NHK総合20120122PM8~)脚本・藤本有紀、演出・渡辺一貴を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は平為義描き下ろしイラストに魔都・平安京を血で紡ぐ藤原摂関家と大王家の婚姻系譜付でお得でございます。系図をみれば藤原忠実の憤懣、一目瞭然。

Tairakiyomori02厳密に言えば、平忠盛昇殿を許されたのは春なのでまだ天承2年(1132年)なのである。長承元年(1132年)になるのは秋なのだ。一応・・・念のため。さて・・・このブログの古い読者ならお気付きと思うが・・・ここからは妄想中の妄想なのでご容赦ください。もちろん・・・しのびの話である。古人の妄想によれば・・・正史に登場する最初の忍者は聖徳太子が重宝した大伴細人ということになっている。しかし、妖術で物部一族を撃破した聖徳太子自身が相当な忍者であることは言うまでもない。さらにはクマソを女装で討ったヤマトタケルはくのいちだし、スサノオにいたってはキングギドラより首五本多いヤマタノオロチを毒殺しているのだな。・・・まあ、とにかく・・・忍者は売春婦と同じくらい最古の職業であることを認知してもらいたいのである。だって本当の事ですからーーーーっ。で、この時代・・・平安京にはいたるところに忍者が潜伏しているわけです。大河ドラマがそれを表沙汰にしないのは・・・暗殺される恐れがあるからなのでございます。

さて・・・史実ではすっかり影をひそめた大伴忍者は・・・この平安末期にあっても大王家の忍びとして御所周辺に巣くっています。故・白河法皇は自ら上忍としてこれを指揮していたのです。藤原氏や平氏や源氏が白河独裁にまったをかけられないのは・・・この影の軍団に畏怖を感じるからなのですな。

マッカーサーとて・・・危険なのでこれ以上の記述は自主規制します・・・なのです。

しかし・・・魔都の実質上の支配者・藤原一族にも忍びがおります。本来、藤原氏は死霊使いの末裔ですから・・・基本は妖術使いです。

もちろん・・・大陸伝来の古き吸血鬼の主流はここが押さえてます。

一方で・・・白河法皇や・・・藤原一族の天敵とも言えるのが・・・比叡山などにこもる土着の神霊であることは言うまでもありません。犬神だの天狗だの土蜘蛛だの熊神だの・・・神通力を備えた神仏忍軍は独立した結界を張って・・・ある意味、自由を謳歌しているのですな。彼らの神輿が繰り出されると大王家もたじたじなのですな。

さて・・・そうなると自明のことですが・・・平氏も源氏もすべて忍者です。

そもそも・・・白河法皇が平氏一族をとりたてたのは・・・比叡山の山神がいろいろと皇室に悪戯を仕掛けてくるので・・・その自衛処置なのです。北面の武士とは・・・大伴の忍びが行う攻撃的な側面を補う・・・防衛軍なのでございます。

さて・・・忍びの連鎖はさらに続いてまいります。源為義は河内忍軍を率いていますが・・・いつも伊勢平氏(平家)に遅れをとるわけです。それというのも伊勢平氏には伊賀平氏という直属の忍び集団があるからです。この時代は乱世ですから・・・実力で土地は奪取し放題(私的荘園化)になっていますが・・・伊勢平氏は伊賀の新開地を白河法皇に寄進したり・・・優秀な下忍を供給したりして・・・出世街道を歩んでいるのです。

もちろん・・・伊賀平氏の棟梁は昔も今も服部半蔵であることは言うまでもありませんぞ。

今回、昇殿中の平忠盛の元へ・・・警護をかいくぐって清盛が忍んでいけるのは・・・清盛もまた・・・伊賀平氏服部家で鍛え上げられた忍びの中の忍びだから・・・なのでございます。

ゆめゆめ疑うことなかれ・・・。

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2012年1月29日 (日)

ラインを超えてクラクララ(三吉彩花)胃もたれするほど生ハムを(鈴木杏樹)

だから・・・W主演の二人は?

いや・・・小林家の朝食に生ハムが出たことの衝撃で記憶が曖昧になりまして。

お前・・・東雲麻衣ごっこを始めるわけじゃあるまいな。

サイド・ブレーキを引いてバスを発進させたのは私です・・・気がつくと丹波厳(脇知弘)の妹・丹波さやか(三好彩花)になっていたのです。

「大切なことはすべて君が教えてくれた」とか「高校生レストラン」の記憶はないのかよっ。

ふっ・・・。

で、『理想の息子・第2回~第3回』(日本テレビ20120121PM9~)脚本・野島伸司、演出・佐久間紀佳人~森雅弘を見た。フォーマットにそったバラエティー・ショーのような構成のお約束の連打である。スケジュールの都合で・・・二週連続レビューになるのだが・・まったく問題がないというのもちょっと面白いな。

クラスメートの小林(中島裕翔)と友達になった鈴木大地(山田涼介)は小林のボデイ・ガードである同級生のアリゲータ鰐川(入江甚儀)を知る。キングの短編小説「道路ウイルスは北へむかう」の絵の中の凶悪な男と同じように前歯も犬歯なタフガイである。

翌週、鰐皮はコアラパンチで凶器を破壊された後、何者かに骨抜きにされてしまう。一転して疎外される鰐皮だが・・・大地は「優しさ」で彼を包み込み、子分にしてしまう。その頃、ポスト三船(藤ヶ谷太輔)候補として世界一影の薄い男スネーク羽生(柄本時生)が名乗りをあげる。

一方、大地の母親・海(鈴木京香)は食堂パート軍団の「ウチの子に限って」包囲陣によって「ひょっとしたら・・・大地は女の子に興味がない性同一性障害者ではないか」という疑念に心を染めてしまう。

翌週、大地の母親・海(鈴木京香)は食堂パート軍団の「ウチの子に限って」包囲陣によって「ひょっとしたら・・・大地はいい子すぎてストレスをためいつかキレて母親を刺殺するのではないか」という疑念に心を染めてしまう。

海は妻に家出された男・倉橋(沢村一樹)に相談するが・・・たいしたアドバイスは得られない。

翌週、海はまたもや倉橋に・・・以下同文。

大地は母親にだまされて赤い手編みの手袋(実は100円グッズ)を手に入れる。

翌週、大地は息子をうざがらせたい母親と遊園地デートをして思い出の赤い風船を手にいれる。

丹波が大地に女装を強要する。

翌週、丹波の妹が大地にハイジを強要する。

小林は大地に影響されて・・・カツアゲをする鰐川に反逆し・・・ひどい目に逢う。

翌週、小林は大地のフリをして羽生に・・・ひどい目にあう。

海は大地の父親にそっくりの美術教師・池田(金子ノブアキ)に「おねえ系は芸術家気質なんですよ」と諭され・・・なんとなく慰められる。

翌週、海は池田に「すべてを受け入れてあげればいい」と諭され・・・なんとなく慰められる。

ついに大地は鰐川と対決し、母との思い出を歌いながら必殺コアラパンチで鰐川を半殺しにする。

翌週、大地は羽生と対決し、母との思い出を歌いながら必殺コアラパンチで羽生を半殺しにする。

母は息子の部屋で「男らしい本」を発見し・・・マザコンでも男らしいと安堵する。

翌週、母は息子と親子げんかごっこをして・・・マザコンでもストレスはたまらないらしいと安堵する。

・・・この調子で・・・最終回までやるつもりなのか・・・。

まあ・・・心底、母親が好きな男の子はけして異常ではありませんということを余すところなく伝えているとは思いますがね。

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2012年1月28日 (土)

兄貴ィ・・・(横山裕)ちぇっ、結局、翔ばないの?(沢木リカ)お母さんみたいにはならない(工藤綾乃)

時代が違うからなんとも言えないが・・・過去にチンピラ役の似合う俳優といえば・・・。

なんといっても水谷豊がいた。

もちろん…16歳で「パンパイヤ」(1968年)の主役を務めたキャリアがあるのだが・・・「太陽にほえろ!」(1972年)の第一話にゲスト出演した時はマカロニ刑事(萩原健一)に逮捕されるチンピラだったのである。そして、ついにチンピラの頂点を極める「傷だらけの天使」(1974年)の乾亨(いぬい・あきら)という役にめぐりあう。この時、水谷豊は22歳だった。

この後は「男たちの旅路」(1976年)、「熱中時代」(1978年)と徐々に一般人になっていき、「あんちゃん」(1980年)でほぼチンピラを卒業するのである。この時、水谷豊は30歳だった。

現在は杉下右京役で知られる「相棒」の名優は最高の「チンピラ」だったのである。

横山裕も気がつけば30歳なのである。それなりのキャリアを積み上げているわけだが・・・せっかく・・・チンピラが似合うのに・・・まだ極めてないのである。

今回は組み合わせで言えば・・・兄貴(松岡昌宏)に対する弟分である。年齢的にかなり・・・遅いが・・・ある意味では「傷だらけの天使」のパターンなのだな。

「P.S.元気です、俊平」(1999年)の下川啓介や、「白線流し~二十五歳」(2003年)の高坂聖など・・・ヒット作に恵まれなかったという点はあるが・・・実は化けるチャンスは何回かあったと思う。

しかし・・・20代では「チンピラ」として完全燃焼しきれなかったわけである。

だから・・・「有閑倶楽部」とか、「ザ・クイズショウ」とか・・・それなりの配役を得ても実に惜しい感じになっている。

逆に「拝啓、父上様」の板前・時夫とか「恋して悪魔」の吸血鬼・ハーデスとか、「CONTROL」の寺西刑事とかは・・・完全な脇役で下積みの凄みを要求される役柄だけに少し輝きを秘めるのである。

もちろん・・・神秘めいたもの言いになるが・・・横山裕という俳優が自分の特性と役に真剣に向き合う最高のチャンスが・・・チンピラ高野清文という役なのかもしれない。

実はエリートという設定で・・・例によって帝国色はつきまとうわけだが・・・なんとか・・・このチャンスをものにしてもらいたいと考える。

で、『13歳のハローワーク第3回』(20120127PM1115~テレビ朝日)原作・村上龍、脚本・大石哲也、演出・塚本連平を見た。『時効警察』の中では割と地味な奥菜恵(第5話)と葉月里緒奈(第7話)の回の演出家である。しかし、「イグアナの娘」とか、「ドラゴン桜」とか・・・やる時にはやる男である。今回も・・・物語そのものはどうってことないのだが・・・「娘を打つ母親」とか「若い女の寝顔をいじる刑事」とか「自殺のシャッター・チャンス狙う少女」とか・・・随所に地味だけど妄想ふくらむ場面を作っている。

さらに言えば・・・今回は「ナースマンふたたび」である。松岡昌宏の当り役のひとつと言っていいだろう。「ナースマン」(2002年)から十年なのだな。思えば・・・岸田今日子も逝去し・・・極楽とんぼの山本も今はいないのだなあ・・・おいっ。

さて・・・「新参者」(2010年)の奈々から瑛が「プリンセス・トヨトミ」(2011年)を経てここの仁科佳奈を演じる沢木ルカである。実年齢14歳でまだまだ輝いているわけだが・・・そろそろ・・・こういう使われ方以外を見たいよなあ。このドラマで最終的に何かを演じてもらいたいぞ。どんどん成長しているわけですからーーーーっ。

今回の1990年は若槻葵(工藤綾乃)をピックアップである。とにかく・・・つまみ食い形式なので・・・現代の佳奈や・・・1990年の翔子(桐谷美玲)の伏線が一体、最後にはつながるのかどうか心配なのだが・・・看護婦の母(石田ひかり)に複雑な感情を持つ葵は将来はスチュワーデス(後の世のキャビン・アテンダントである)になろうと考えている。

工藤綾乃は「鈴木先生」(2011年)の同性愛志向の凶悪中学生・神田マリでなかなかの存在感を発揮していたわけだが・・・15歳にして身長168センチメートルである。

1990年になると葵は旅行代理店の社員(遊井亮子)になっているわけだが・・・身長166センチメートルなのである。

縮んでるじゃないかっ。

とにかく・・・「どんな仕事でも・・・人を幸福にできる可能性がある・・・人を幸福にできる仕事は・・・いい仕事なんだぜ」・・・と自分のことは棚にあげて説教する小暮刑事(松岡)なのである。

そして・・・どうやら・・・また他人の人生を変更してしまったらしい。

現代と過去の時間経過など・・・アバウトすぎる展開に・・・いつも説教臭さだけが残るここまでなのだが・・・今回はとにかく・・・大きな中学生が見れて幸せだっな。

どんなドラマでもお前は幸せになれるんだな。

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2012年1月27日 (金)

逝ってらっしゃいませ・・・そして誰もいなくなったらどうしよう?(山下智久)

えーと・・・・「夫よりも息子よりも嫁を愛した女」澄子(草笛光子)でもよかったのだが・・・結局、実は澄子が一番愛していたのは「ロワイヤル」のホスト聖星矢こと「高井良彦」(前川泰之・・・「ブザビ」の三島コーチ)だったんだよね。そういうことなんだよね。

澄子の夫(山谷初男)・・・無残。澄子の息子(小浜正寛)・・・存在感なさすぎーっ。

そして、嫁の夕子(磯野貴理子)は感動より驚愕・・・いや唖然とするべきだよな。

「なに、やってんの・・・お義母さん」・・・だろーーーーーっ。

まあ・・・基本的に長生きした姑の下の世話をするのは何故か・・・まだまだ嫁だったりして・・・いざという時のために姑が嫁を泣かせるほど喜ばしておくのは用意周到というものだがな。

なんだろう・・・この・・・「老いらくの恋」全面肯定しつつスルーという展開。

病気か・・・それともビョーキか・・・脚本家はじめスタッフ一同、おつむのネジがこりゃまたバッチリ狂ってるのか。

とにかく、山Pはそういう「渦中」に飛び込んで行きました。渦中というより、火中だけどな。栗を拾うところだけどな。

これは・・・もう・・・異次元のドラマなんだな・・・きっと。

で、『最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜・第3回』(TBSテレビ20120126PM9~)脚本・渡辺千穂、演出・川島龍太郎を見た。ドラマの中で・・・謎の女だった・・・夕子の正体が近所の花屋だったことが明らかになる。もちろん番組ホームページを見ればすぐに判明することだが・・・テレビの中だけで判断すれば・・・真人(山下智久)の母親の妹・・・つまり、叔母さん・・・でもおかしくないポジションで井原家に堂々と存在していたからな。

まあ、遠くの叔母さんより近くのおばさん・・・的な親密さかもしれませんが・・・。

で、葬儀の井原屋は地域密着型企業として町内会のイベントである「男祭り」に積極的に参加するわけだが・・・高円寺ラッキー商店会はもちろん・・・異次元の彼方に存在する。

君はどこに住んでいたのですか

高円寺じゃないよね

高円寺は東京都杉並区にあり・・・北の妙正寺川、南の神田川に挟まれた市街地である。

Kanda男祭りの会場はどこの河原なんだよ。Myousyouji_3


すぐそこに山があったりして・・・高円寺・・・どんだけ田舎なんだよ~。

なにか・・・町内総出でバスに乗ってどこぞの郊外で祭りをするのか・・・誰が得するんだ。どんな町おこしなんだよ。財政破綻するのじゃないか。もうとりあえずなんでもありなのか。

などと・・・立腹しても始まらない。

明らかに・・・そういう設定では・・・ふざけているのである。

だから・・・いたるところでリアリティーが不在になって・・・人情話がどんどん不人情話になっていくのだが・・・もう・・・これはこの枠の路線なんだ・・・と納得するしかありません。

ふざけるのだって労力がいるわけで・・・それにつきあうのにも労力がいるわけですが・・・。

ふざける時にもまじめにやろうよ・・・ゴールデン・タイムなんだから・・・という気がしないわけではありません。

まあ・・・「北新宿駅」が登場した時から・・・間違った方向へ加速していく気配はあったわけですが・・・もう、誰も共感できない方向へ・・・どんどん向かっているような気がして・・・ゾッとしますな。心の底からゾゾッといたします~。

さて・・・とにかく・・・どこかで聞こえるじいや的な絶叫はさておき・・・他の兄弟が頼りないばかりに老成してしまった晴香(前田敦子)に支えられて・・・俺の葬儀屋人生はつつがなくスタートしたのである。

葬儀というものは宗教的行事だが・・・葬儀そのものの運営・執行は・・・葬祭業者が請け負うわけである。実はこの職業は国家の認可を必要としない。誰でも明日から葬儀屋を始めることができる。だから・・・素人の俺だって社長が務まるのだな。

しかし・・・顧客はやはり・・・近所の死体と遺族が中心なのである。

つまり・・・近所付き合いは大切なんだ・・・と妹の晴香が言っていた。

本当によくできた妹だが・・・俺は晴香のことがとても心配なんだ。

だって足が不自由なんだから。

普通の幸せをつかむことが普通の人より大変なんじゃないか・・・と思うからさ。

だけど・・・そういうことってどんなに心配しても・・・どうにもできなかったりする。

だって曲がった足を伸ばしてやることはできないんだもの。

俺にできることはそっと見守ってやることくらい。

きっと躓いたら普通の人より痛手を負うかもしれないからさ。

だけど・・・本当は俺自身にも問題がある。

たとえば・・・父親の盆栽仲間の岩田さん(山崎努)なんだけど・・・どうも、俺にしか見えないような気がしてならないんだな。

それから・・・時々、姿を見せる亡くなった長田さん(設楽統)とキャッチボールをしていたともや(藤本哉汰)くん。あの少年も俺にしか見えない「何か」だったりして・・・。

いや・・・ともやくんは・・・坂巻刑事(榮倉奈々)にも見えるんだよな。

これは・・・想像なんだけど・・・俺と坂巻刑事のコンビって・・・何か、因縁で結ばれているような気がするんだ。

北新宿駅で死んだ・・・坂巻刑事の大切な人って・・・誰なんだろう。

俺と坂巻刑事のように・・・死んだ親父(蟹江敬三)も誰か・・・警察関係者とコンビを組んでいたりして。

それって・・・もしかして・・・いや・・・よそう・・・そんな先読みしても何の得にもならないし。

どうせ・・・異次元の話なんだし。

さて・・・今回の死人は・・・近所の花屋の大女将の澄子さんだ。葬儀屋と花屋は腐れ縁みたいなものだから・・・俺にとっても親しいご近所さんなんだよ。若女将の夕子さんにも可愛がってもらってる。20年前は本当にきれいなお姉さんに見えたんだけどね。

花屋の旦那さんは影の薄い人だし、その息子さんも影が薄い。なにしろ・・・サラリーマンだしね。

とにかく・・・香川さんちの花屋と言えば澄子さんと夕子さんの姑嫁コンビが切り盛りしていたわけ。最近はうちの出入りの花屋といえば・・・夕子さんだけど・・・これは澄子さんがゲストだからなんだよな。

で・・・その澄子さんと夕子さんは結構、衝突していた。

まあ・・・結婚していない・・・俺が言うのもなんだけど・・・嫁と姑だからね。いろいろとあるんだろうけど・・・。

「くそ嫁」とか「くたばれババア」とか・・・花屋さんがそんなこと言ったらダメだと思うけど・・・喧嘩するほど仲がいいっていうし・・・そんなところを見せるのは俺が二人の身内みたいなものだからかも・・・と思ったりします。

で・・・その日も二人は大喧嘩して・・・ついに澄子さんは家出してしまったらしい。

俺は晴香が自分のブログのコメント投稿の常連である一之瀬(駿河太郎・・・「カーネーション」の糸子の夫である)さんがデートに誘ってくれたのでうっとりしているので・・・しばらく間をとってから聞いてみた。

「花屋のおばあちゃん・・・家出したみたいだぜ」

「あそこのおばあちゃん・・・時々、家出するのよ・・・いつもすぐに帰ってくるけどね。花屋は儲かっていて結構自由になるお金があるから・・・きっと気分転換の旅行でもしてるんだと思うんだ・・・愛人がいるっていう噂もあるし・・・」

「お前・・・本当に何でも知ってるな」

そう言われて得意げな晴香。本当にかわいい妹だが・・・俺の心は何故か曇るのだ。

そんな・・・もの知りな妹が・・・肝心なことには奥手にならざるを得ないってことがわかってるから。いくらけだものな兄だってそういう心配はするんだな。

俺は偶然出会った夕子さんにそれとなくさぐりをいれる。

「そうなのよ・・・お義母さんたら時々、家出しちゃってね・・・でも帰ってくると上機嫌・・・肌なんかツヤツヤして・・・温泉にでも行ってるんじゃないかと思うのよ・・・それだったら私も連れて行ってくれればいいのに」

「夕子さんて・・・澄子さんと本当は仲いいでしょ」

「そりゃ・・・花屋のいろはをたたきこんでくれたのは・・・お義母さんですからね・・・感謝してるし・・・頭があがらないわよ」

俺は花屋の店頭にある薔薇のドライフラワーのことを思い出した。

夕子さんの実家は・・・園芸家で・・・夕子さんの母親は薔薇を作っていたのだが・・・今は亡き母親の形見が・・・その薔薇なのだ。

澄子さんが・・・そっとそのドライフラワーの手入れをしているのを見たことがある。

なにしろ・・・子供の頃にはよくお年玉をくれた澄子さんなのだが・・・俺はそのしぐさに何ともいえない優しさを感じたのだ。

だから・・・まあ・・・澄子さんは夕子さんにそんなに心配をかけるわけがないので・・・いつものようにすぐに帰ってくるのだろう。

ところが・・・坂巻刑事からはとんでもない知らせが届く。

澄子さんが・・・亡くなったというのだ。

しかも・・・軽井沢のペンションでホストと一緒に一酸化炭素中毒死したという。

まるで・・・軽井沢心中・・・という感じなのだが・・・実際はストーブの不完全燃焼による事故死だったらしい。

どちらにしろ・・・澄子さんが・・・ホストと・・・一夜をともにして・・・浮気をしていたことは間違いのないことで・・・近所の口さがない人々は・・・「うらやましくてうらやましくて」呪詛の言葉で噂するのである。

「もう・・・恥ずかしいったらありゃしない」と夕子さんはぼやくが・・・本当に恥ずかしいのは旦那や息子だよな。

「しかし・・・お義母さん・・・やるもんだわ」

そういう夕子さんの眼には涙が浮かんでいた。

家に戻ると・・・見てはならないものを見てしまう俺。

親父の葬式に来ていた下の妹の桃子(大野いと)の担任教師(黄川田将也)が桃子を車に乗せてイチャイチャしていたのである。

俺の頭の中には仰天援助交際、教え子と教師のただならぬ関係、不倫の個人授業などというアダルトなタイトルが交錯したのだった。

とりあえず・・・兄として・・・事情を聴こうとしたのだが。

あわてた桃子が晴香に矛先を変えてごまかそうとしたために。

「初めてのデートなんて雑誌読んで・・・急に色気づいちゃったわけ・・・ブスのくせに」

「性格ブス」

今日のぶっかけはラーメンでした。エスカレートしていくな。

まあ・・・ケンカするほど仲がいいっていうし・・・っていうか・・・やめなさいっ。

俺はとっくみあう妹二人をもう少し眺めていたいけだもの心を押さえつつ、兄らしく一喝しましたよ。

すると・・・怪しい岩田さんがやってきて言うことには・・・「飛び込みたまえ・・・かちゅうに」だと。

カチュー、カチューシャ、ピカチュー、俺の拙い脳内変換は彷徨ったあげくにようやく渦中にたどりついた。

岩田さんが・・・そう言うからには・・・澄子さんの死には何か隠された謎があるってことなんだな。

いくら葬儀屋としてはほとんど素人の俺でも・・・そういうシステムがあることはなんとなくわかるんだよ。

俺は・・・それが・・・何かとても大切な・・・死者のやり残したことだろうと思うんだ。

なぜ・・・そう思うのかって・・・だってやりのこしたことがない死者なんてきっといないだろう。

そういうのを心残りって言うんだもの。

さっそく・・・坂巻刑事を従えて・・・関係者の事情聴取。

すると・・・軽井沢が・・・澄子さんと一緒に事故死したホストの故郷であるってことがわかった。

そんなことを聞き出すために坂巻刑事は嘔吐するほど飲酒したのだな。

俺は台車に坂巻刑事を乗せると異次元空間を通って軽井沢のフレンチレストランにひとっ飛びなのさ。もう・・・そういうことはこのドラマでは許されてるみたいなのさ。

ひょっとすると北新宿駅の次は軽井沢駅なんじゃないかと思うくらいの深夜ドラマノリなのんだ。ずっとゴールデンを歩いてきたから・・・ある意味新鮮だよ。

そして・・・俺は・・・発見してしまったんだ。

澄子さんの秘密の花園を・・・。

夕子さんは・・・どうやら・・・産地直送の新しい営業形態を模索していたらしいんだけど・・・澄子さんは表面では反対しながら・・・園芸家に渡りをつけていたらしい。

もちろん・・・ホストとの秘め事のついでなんだろうけど・・・そんな時にまで嫁のことを忘れないなんて・・・ある意味、よくできた姑さんと言えるよな。

とにかく・・・従業員の田中さん(大友康平)に夕子さんを連れてきてもらった。なにしろ、軽井沢まではひとっ飛びだから。

少なくとも・・・澄子さんが・・・夕子さんの嫁入り20周年として企画していた薔薇園のお披露目だけは・・・果たしてあげたかったから。

まあ・・・浮気な妻や・・・浮気な母を持った夫や息子の傷心は・・・俺の手には負えないものな。

でも・・・本当に愛しているなら・・・浮気のひとつやふたつ・・・大目に見るのが男の度量ってものだろうしさ。

それから俺は全力でダッシュして・・・晴香の初めてのデートを尾行した。

晴香が「遅刻しそう・・・」ってメールしたら・・・デート相手の一之瀬さんは「大丈夫・・・晴香さんが元気に走ってくる姿が目に浮かびます」なんて返信してきた。

晴香の奴・・・趣味はジョギングなんてプロフィールに書くから・・・。

待ち合わせ場所からそっと引き返す晴香を見て・・・俺は猛ダッシュで家に戻ったよ。

そういうシーンがないのは・・・別のところでダッシュしているからなんだ。

そんなに走ってばかりだと・・・お茶の間も疲れるんじゃないかな。

そして・・・俺は桃子や・・・親父の隠し財産という嘘で呼び寄せられた弟の隼人(知念侑季)と一緒にささやかな晴香のサプライズ・バースディ・パーティーを準備した。

だって・・・そのくらいのことしか・・・できないじゃないか。

生まれてきたことを祝うものがいるってことは・・・少しはなぐさめになるだろう。

特に・・・死にたくなっている人間にはさ。

きっと・・・兄貴(反町隆史)だって・・・そう思ってバースデイ・コールをしてきたんだよね。

今にもほどけそうな兄弟の絆・・・でも人間には先のことなんかわからない。

一瞬一瞬でつなぎとめていくしかないんだよ。

何一つ出来なくなってしまう・・・自分の順番が来るまではね。

関連するキッドのブログ→第2話のレビュー

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山Pをこよなく愛する皆様はこちらへ→エリお嬢様のレビュー 

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2012年1月26日 (木)

生ハム茹でちゃいました(鈴木杏樹)犯人でごめんなさい(大政絢)火水連続出動!(かたせ梨乃)私はピアニスト(池脇千鶴)隙間がないわ(谷村美月)

まあ・・・昨日が七瀬で・・・明日が山Pなので・・・必然的に今夜は谷間である。

以前は数年に渡ってずーっと頂上作戦のような記事を書いていたのだが・・・さすがにそれは控えたい。

人生は山あり谷ありであると昔の人も言っていますからねえ。

大震災後の空白期間に記事にしたドラマに関しない記事として・・・首都直下型巨大地震4年以内に70%の謎・・・とか東京湾放射能汚染の実態の秘密・・・とかのテーマで書いてもいいのだが・・・谷間どころか深淵に迫る恐れもあるので回避します。

で、『本日は大安なり・第1回』(NHK総合20120110PM1055~)原作・辻村深月、脚本・西荻弓絵、演出・渋谷未来を見た。『ケイゾク』『SPEC』でおなじみの脚本家である。結婚式場の新郎新婦とウェディングプランナーをめぐるドタバタ・サスペンスである。登場人物が多すぎる上に・・・ミステリ好きの同僚(黒川智花)、双子の新婦(谷村美月)、花嫁(星野真理)とその友人(平岩紙)、トリハダな新妻(佐津川愛美)の父の秘書(波岡一喜)、清掃係(白石美帆)とオールスター・キャストなので主役(優香)の存在感がほとんどないドラマです。

で、『ストロベリーナイト ・第3回』(フジテレビ20120124PM9~)原作・誉田哲也、脚本・黒岩勉、演出・佐藤祐市を見た。犯人は父親のクレジット・カードを使った大政絢だった。以上・・・おい・・・だってあとトミカのこととか書くのかよ・・・ま、いいか。

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はこちらへ →まこお嬢様のレビュー

で、『 ハングリー!・第3回』(フジテレビ20120124PM10~)脚本・大森美香、演出・白木啓一郎を見た。「le petit chou」のメインのお客様は・・・女優のかたせ梨乃である。主人公の亡き母の友人だったのだ。「まずいけど・・・なんだか・・・味があるの・・・女を泣かせる味がね」と謎の言葉を残して次のドラマへ。

で、『ダーティ・ママ!・第3回』(日本テレビ20120125PM10~)脚本・小林昌、演出・茂山佳則を見た。ひき逃げを隠すためのセクハラ狂言というどうでもいい事件を解決した後で女優のかたせ梨乃が登場。このドラマがここのところの日本テレビの好調をすべてふりだしに戻しているのとは違う意味で一瞬ですべてをゼロにする大物感を漂わせるのだった。かたせ梨乃と永作博美の姑と嫁では最初から勝負にならないだろう。

で、『相棒Season10・第13話』(テレビ朝日20120125PM9~)脚本・高橋悠也、演出・田村孝蔵を見た。花よきれいとおだてられ咲いて見せればすぐ散らされる梶芽衣子のゲスト回だが・・・もったいない感じがしたな・・・どうせなら不正入国者との愛に溺れた老女ぐらいの設定で最後は右京も刺して自分も死ぬぐらいの展開の方が・・・最終回かっ・・・とにかく、「花の里」では二代目女将による恐るべき新メニューが続々完成中なのである。

関連するキッドのブログ→彼女(永作博美)は人間じゃない(香里奈)VSおっちょこちょいな女(鈴木杏樹)

で、『タイトロープの女・第1回』(NHK総合20120124PM10~)脚本・金子ありさ、演出・梛川善郎を見た。「Stand Up!!」(2003年)、「がんばっていきまっしょい」(2005年)で鈴木杏の少女時代を看取った脚本家である。永遠の少女である池脇千鶴とは相性抜群かもしれないな。とにかく・・・おっとりした女の子・・・でも影がある・・・を永遠に書き続けるつもりなのかもしれない。まあ・・・それはそれで貴重な存在であると申せましょう。

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はこちらへ →エリお嬢様のレビュー

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2012年1月25日 (水)

本心の裏側の心象の地平線の向こう側の意識に佇む乙女(木南晴夏)

ついに木南晴夏版火田七瀬がお目見えである。

MBS系では先行1月19日オンエアであり、TBS系は5日も待たされてしまったのだ。

東京が後・・・ってある意味、前衛的だな。

とにかく・・・原作誕生の1970年から・・・42年・・・待ちわびた・・・「家族八景・無風地帯」のほぼ完全な映像化に接することができた喜びに震えたい。なにしろ・・・この日を待たずに旅立ったものも数多いのである。

イメージ通りに木南晴夏は火田七瀬100%だったな。

ただし・・・スタッフにはいくつかの問題点があることは言うまでもない。

まず・・・これは演出家の責任であると思うが・・・七瀬の年齢設定を20歳にしてしまったことである。これは手痛いミスだったな。木南晴夏の実年齢26歳に慮ったのであろうが・・・できますよ~、なんちゃって18歳くらい・・・かしこさんにはお茶の子でしょう。だが、入浴シーンのサービスがあるから責められないな。

次に脚本の責任として・・・原作の「キーワード」が欠落しているところがある・・・ということだ。

「無風地帯」の「骨子」は「そういう能力を持っている者は必ず、自分同様にそれを隠すだろう」という読心能力者の七瀬ならではの独白にあるのだな。

これを省略してしまっては根本が崩れるのである。

ま、しかし・・・佐藤二朗は原作初出時にまだ数えで二歳の赤ちゃんだから・・・あまり責めてもしょうがないな。

もちろん、ドラマ化なので・・・オチの強調や現代との整合性などいろいろと脚色の工夫も必要でそういう意味ではなかなかよくアレンジできていたとも言えるのだ。

そういうわけで・・・レビューは一部妄想補完でお届けすることにする。

で、『家族八景 Nanase,Telepathy Girl's Ballad・第一話・無風地帯』(TBSテレビ20120120AM0055~)原作・筒井康隆、脚本・佐藤二朗、演出・堤幸彦を見た。原作では火田七瀬が最初に登場する尾形家には前庭の赤い花が満開なのである。この赤い花は処女でありながら、擬似処女喪失体験を繰り返している七瀬の心象風景の象徴である。

七瀬はテレパス(精神感応者)であるから・・・他人の処女喪失体験を何度も心で経験しているのである。

それはいたるところで繰り広げられる破瓜の連鎖だ。

ふと・・・通り過ぎるアパートの一室で≪いたい・・・いたい・・・いたい・・・いたい・・・≫と女子高生が叫び、乗り合わせた電車の中で初体験をすませたばかりの女子大生がややガニ股になりながら≪こんなに・・・痛いなんて・・・でも・・・カレは・・・優しかった・・・この痛みはいつまで続くのか・・・まだヒリヒリ≫と回想し、夜更けの公園で女子専門学校生が≪やだ・・・こんなところで・・・触るだけだと・・・いったくせに・・・いや・・・こわい・・・あ・・・やめて・・・あ・・・ママ≫などと日常茶飯事に心の声が届くのだ。毎日がロスト・バージンなのである。

もちろん・・・七瀬は心の掛け金をおろして・・・他人の心をシャットアウトすることもできるのだが・・・年頃の好奇心は危うく・・・掛け金をはずしてしまうのだった。

そういう年齢にふさわしいのは20歳ではなくて18歳なのである。原作では最終話「亡母渇仰」で七瀬はようやく二十歳の誕生日を迎えるのである。

連作でありながら・・・この間の七瀬の人格形成が物語の深みを増していることは言うまでもない。

18歳だからこそ・・・「無風地帯」の尾形家の欺瞞が「許せない」のである。

だから・・・20歳という年齢設定変更はある意味致命的なのだが・・・今の20歳の精神年齢は40年前なら10歳くらいだという考え方もあるので許容範囲としたい。

ついでに・・・もう一点・・・原作から・・・『家族八景』が恐怖小説のカテゴリーにも属するという所以である部分を引用しておきたい。

(前略)・・・七瀬はそれが特に珍しい才能であると思ったことは一度もなかった。おそらく、多くの人間がそういう能力を持っているに違いないと思っていた・・・(後略)

この後に冒頭の引用部分が続くのだ。

つまり・・・世界にはテレパスがうじゃうじゃいるということである。

そういう人々にはキッドが考えている恐ろしく変態的で恥ずかしいあれやこれやが筒抜けなのである。

こんなに背筋が凍りつく話を当時は聞いたことがなかったのである。もちろん・・・超能力者ものというものはこれ以前にもあったのだが・・・とにかく・・・それをするのが・・・清潔で潔白な美少女の七瀬であるのだからこわいじゃないか。

キッドはそれ以来、美しい人に逢うたびに「こいつはテレパスじゃないだろうな」という疑心暗鬼にとらわれ続けています。

ともかく・・・赤い花がそれほど目立たない、郊外電車の警笛がかすかに響いているようないないような、ヴェランダが広いような狭いような明るいような暗いような・・・少し頼りない尾形家に・・・高校を卒業した後で・・・天涯孤独の上に特殊な能力を持っているために・・・他人の家を渡り歩く家政婦になってしまった火田七瀬が・・・前の奉公先である秋山家からの紹介状を携えてやってきたのだった。

出迎えたのは主婦である尾形咲子(葉山レイコ)である。

ここで・・・演出のオリジナル・アイディアが披露される。掛け金をはずし、精神感応状態になった七瀬の視覚が変調するという趣向である。しかも・・・家風によるものなのか・・・その変調は家政婦先の各家庭によって変化するらしい。

原作では登場する他人によって七瀬が想像で裸にされてしまい、相手の心象風景を読み取った七瀬が自分の空想的な裸体を見ることになるのだが・・・今回は盗精神した相手が裸になってしまうのだった。

テレパシーの映像表現としてはいいアイディアだと考える。もう少し編集時間が欲しかったかな・・・。

とにかく、そのために・・・AV女優もこなしている葉山レイコがキャスティングされているし、キューティーハニー・ブルーことシスター・ミキで「宿命 1969-2010 -ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京-」(2010年テレビ朝日)にて美しい裸身を披露した水崎綾女が長女の女子大生・叡子がキャスティングされているのである。

さらに・・・咲子の夫である久国(西岡徳馬)と息子の大学生・潤一(木村了)の共通の愛人・・・逆親子どんぶりである・・・節子(星野あかり)はストリッパーもこなしているのである。

ちなみに彼女は台本を読んでクスッと笑ってしまう程、魅力的な内容だったと自らのブログで語っておられます。

しかし、性的描写はあくまでお茶の間レベルの匙加減になっています。

とにかく・・・和服で五十歳前なのに老けた印象がある咲子は・・・ある秘密を持っている気配があり・・・この一篇の影の主役であり・・・葉山レイコは見事なキャスティングだったと言わざるを得ない。

また・・・節子は原作では潤一の同級生でホステスになった女であり・・・そのニュアンスはかなり伝わっていると考えます。

また・・・潤一のセリフ回しはほぼ・・・佐藤二朗のオリジナルであり・・・黒柳節子とか・・・吐きそうとか・・・ムムム・・・とか・・・佐藤二朗のコピーみたいな感じになっていますが・・・原作ファンの皆さんはこらえてやってください。精一杯なわけですから。

尾形咲子に挨拶をした七瀬はさっそく掛け金をはずして能力を解放した。

そこには漠然とした意識野に些細な事物がごろごろとところがった「意識のがらくた」があった。

≪夕食・・・ピーマンがあった・・・ピーマンと牛肉・・・味噌炒め・・・細切りにして・・・細切りにして・・・風呂場・・・みっともない・・・タイルがはがれかけている・・・テレビの調子も悪い・・・炊飯器も壊れている・・・電気屋が新製品を・・・明日・・・新製品を・・・炊飯器の新製品・・・配達・・・支払いは現金で・・・そのことは・・・家政婦に言っておく・・・タイルのことは・・・この子になおさせる・・・いや・・・内装の職人に電話・・・テレビは・・・電気屋に相談・・・新製品の炊飯器を持って来たら・・・牛肉は冷蔵庫に・・・なかったら買い物に・・・家政婦に近所の店を教え込む・・・ピーマン・・・スーパーマーケット・・・電気屋・・・お茶・・・煎茶・・・家政婦・・・牛肉も細切りに・・・≫七瀬は咲子に自意識というものが欠如していることに驚く。

家族から軽蔑され疎外された精神力の弱い初老の女性に見られるタイプなのか・・・七瀬は備わった特殊能力から知りえた過去の経験から咲子をそのように分類した。

しかし・・・それが咲子の心の真の姿とは限らなかった。

七瀬は人の心が複雑怪奇なものであることをそれなりに知っていたのである。

荒涼とした咲子の心象風景の向こうに何が潜んでいるか知れたものではないのだ。

やがて・・・造船会社の総務部長を務める夫の久国が帰宅する。

火田七瀬は時に清教徒(ピューリタン)的であると原作では描写されるのであるが・・・それを高潔なものと考えると・・・それに応じた七瀬にとっての邪悪が存在することになる。

これは連作の続きを追えば明らかになるのだが・・・キリスト教における「七つの大罪」にある程度、関連していく。

七瀬は久国や・・・娘の叡子、そして息子の潤一に享楽的な性格を見出していく。

もちろん・・・ある意味ではそれらは七瀬の潔癖さによって強調された人格ということになるわけだが・・・物語ではその点には言及しない。

「暴食」、「色欲」、「強欲」、「嫉妬」、「憤怒」、「怠惰」、「傲慢」が七つの大罪だが・・・傲慢には虚飾の要素もあり、怠惰には憂鬱も含まれる。

久国、叡子、潤一たちに見出される七瀬にとっての「悪」は「色欲」を中心にしているが、それに「嫉妬」や「傲慢」が絡んでくるのである。

処女である七瀬はその精神的な汚辱にイラッとするのだな。

久国はたちまち・・・七瀬を裸にして・・・想像上の七瀬の裸体と愛人のホステスの裸体を比較する。久国は残業ではなく浮気をしてきたのである。

原作では七瀬が18歳であるとと同時に・・・大学1年生である潤一とそのかっての同級生の節子が年齢的にもからみあい・・・同世代の精神的格差も漂わせるのだが・・・ドラマでは残念ながらそのニュアンスはカットされている。

続いて、長女で大学4年生の叡子が帰宅する。原作ではただの夜遊びだが・・・ドラマではただ「太いギター」という姑息なギャグを入れたいための軽音楽部というサークル活動の要素が加わっている。

しかし、実際には叡子の心は性交したばかりの男友達・木田(栗城秀・・・双子のモデル・・・ドラマとは無関係だが『ウェルカムTV』(テレビ東京)のアイドル候補生・今野朱莉のブログに登場している)・・・原作では木谷・高田という男性が登場するので合成したものと思われる・・・との行為の反芻的回想で占められている。

久国は叡子に対しても性的欲望を抱いており・・・父親なら当然のことである・・・叡子の男友達との行為を想像して激しく嫉妬しているが・・・食卓では父親としての威厳を保持する。

≪娘・・・俺の娘・・・俺のものなのに・・・ろくでもない男と寝たのか・・・今、寝て来たのか≫

「仲良しの良江さんがこなかったから・・・帰りは木田くんに車で送ってもらうしかなかったのよ」

≪木田くん。木田くんの激しいピストン運動。太いものが貫く。何度も何度も絶頂。太いもので絶頂。パパが私をいやらしい眼で見ている。私に対して欲情を・・・もうすっかり男性的魅力を感じさせないくせに・・・それにくらべて・・・木田くんの太くて固いアレ≫

≪こいつ・・・俺の娘なのに・・他の男と寝たのか。寝やがったのか≫

≪木田くんの太いアレ≫

≪ふん・・・俺には節子がいる。節子の若い肌。俺の下でピチピチと跳ねる≫

≪≪木田くんの固い・・・節子のぴちぴちな・・・≫≫

≪≪≪みだらな快感≫≫≫

「今度から・・・早く帰ってきなさい・・・」

「はい・・・すみません」

七瀬は父と娘の外面と内面の乖離に半ばあきれながら・・・咲子の心を観る。

≪夕飯の片づけ。洗剤。タワシ。お風呂のタイルがはがれかけている・・・朝食は魚を焼いて・・・味噌汁の具は・・・明日は電気屋が≫

七瀬は咲子が現実から目をそむけ何かから逃避しているのではないかと疑惑を持つ。

翌朝・・・深夜に帰宅した・・・潤一の寝言を耳にする七瀬。

原作では同時に寝言を聞いた姉の叡子が七瀬の言動に不審を感じるのだがそこは省略されている。

「脱がないでいいから・・・舐めてくれよ~」などと性的な寝言を叫ぶ潤一だった。

起床した潤一はさっそく七瀬を口説き始める。

しかし・・・潤一の記憶から潤一のセックス・フレンドである女性を知覚した七瀬はショックを感じる。

潤一の恋人・節子は久国の愛人でもあったのである。

ここにはある程度・・・時代背景が影響する。この頃はまだ「怒れる若者たち」が流行中だったのである。権威に反抗することはかなり「かっこいいこと」であった。

しかし、久国の場合は単に父親を侮蔑したい気持ちが勝っていた。それは古典的なエディプス・コンプレックスを礎とする父親畏怖の裏返しにすぎなかった。

≪家政婦か・・・こいつもなかなか・・・きれいだな・・・胸はないが・・・たまには別の味見がしたい・・・所詮は・・・節子も遊び・・・オヤジの女を寝とってやって・・・オヤジの間抜け面を眺める楽しみ・・・いい年して・・・若い女と対等につきあえると思ってやがる・・・バカだ・・・バカオヤジだ≫

やがて・・・お茶の間を囲んだ尾形家の家族たちは心にどす黒い本心を隠したまま、平穏無事な家族を演じ始める。

その愚劣さに・・・七瀬の潔癖な心は反発を感じ・・・一石を投じるのだった。

「潤一さんは寝言で・・・節子・・・脱げっておっしゃってました・・・」

≪なんだと・・・節子だと≫

≪何、言ってんだ、このおしゃべり女≫

≪節子・・・まさかな・・・節子なんてよくある名前だ≫

≪そんなことでバレやしない。でも、もし、節子と寝ているのをオヤジが知ったら≫

≪こいつ・・・まさか・・・わざと俺の女に手を出してるわけじゃあるまいな≫

≪オヤジが怒ったら。オヤジが怒る。オヤジが怒ったらこわいよ≫

≪俺の女に・・・俺の女のアソコに息子のアレが・・・すねかじりのくせに・・・≫

≪こわいパパこわいよ≫

≪しかし、本気で潤一が俺にさからったら・・・暴力革命。ゲバルト。角材≫

≪こわいよ≫

≪おそろしい≫

≪こわいこわいこわい≫

逃げ場を模索した潤一は矛先を七瀬に転じる。

≪この女の口をふさがなくちゃ・・・いや・・・家から追い出した方が・・・≫

ここで七瀬の入浴シーンが挿入される。

潤一は母親の財布から札を抜き・・・七瀬の犯行を目撃したと母親に密告する。

しかし・・・母親は七瀬に真偽を問うことはしなかった・・・ただ数日後・・・別の家への家政婦の紹介状を用意したのである。

ついに・・・七瀬は恐ろしい可能性に気がつく。

すべてを知っている咲子。彼女は・・・七瀬と同じような能力者ではないのだろうか。

彼女の表層意識が雑事で満ちているのは意識を隠ぺいするカモフラージュであるかもしれない。

もしそうなら心で返事をして・・・。

しかし、咲子はただ笑顔で・・・心なく・・・七瀬の苦労をねぎらうのだった。

「あなたも・・・大変だったでしょう」

七瀬は他人の心を読むことができるばかりに・・・心を空にするしかなくなった自分の将来の姿を・・・咲子に垣間見た。

しかし・・・七瀬はまだ若い。

私はあんな空虚な人々にはならない・・・ひそかな決意を秘めて・・・七瀬は尾形家を去るのだった。赤い花が彼女を見送っている。

関連するキッドのブログ→火田七瀬(木南晴夏)を待ちながら。

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はこちらへ→くう様のレビュー

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2012年1月24日 (火)

甘いグリシンのために美しいユーグレナを(瑛太)

このブログのタイトルの中でもかなり意味不明に近い・・・タイトルになってしまいました。

ただ、「・・・のために・・・を」という言い回しは結構好きなので・・・個人的にはすごく気に入っている。

「時の娘」で知られるジョセフィン・テイ(イギリスの推理作家)のグラント警部シリーズの「ロウソクのために一シリングを」のもじりである。

ついでに言えば元ネタは・・・重要参考人の無実を晴らす・・・という筋立てである。

探偵が・・・壊れかけた友情を修復するという・・・この甘ったるいドラマにふさわしいもじりかどうかは・・・皆様の判断に委ねたい。

まあ・・・世知辛い世の中である・・・冤罪被害者が無実の罪を晴らすという夢物語が現実のものになるのは真犯人が気まぐれで白状した時だけという考え方があります。

ちなみに潜入捜査した輝(瑛太)は女性研究員に「ユーグレナ」から生成するアミノ酸について問われ「グリシン」と答える。ユーグレナとはミドリムシの別名で、グリシンとはタンパク質を構成するアミノ酸の一種、グルコースに転換され、それが結合した高分子がグリコーゲンだ。

世界のどこかには今もそういう研究をしている誰かがいるわけだが・・・もちろん・・・事件との関係は白紙である。

実は、この線で深読みすればできるのだが・・・「なんだかむずかしい研究している人」になりすましている探偵という程度の「話」なのである・・・結果、このあたりでちんぷんかんぷんな人にはものすごいバリアになっている。本当はここで「わかりやすく、ちょっと頭がよさそうな話」に持っていくのも脚本の腕の見せ所なんですけどねーーーーっ。

で、『ラッキーセブン・第2回』(フジテレビ20120123PM9~)脚本・金沢達也、演出・成田岳を見た。駿太郎(松本潤)の甥・翔太(後藤奏佑人)を見て母親の百合子(岡江久美子)が「駿太郎にそっくりになってきたねえ」と直感的結論を下す。つまり・・・駿太郎は弟の孝次郎(小山慶一郎)の嫁(人妻)も毒牙に・・・。

さて・・・今回はどちらかといえば・・・輝の活躍する・・・輝が主役の回である。天才的な科学者・佐々岡(リリー・フランキー)の素行調査を依頼された輝は佐々岡が研究員を勤める「ステラバイオ社」に潜入する。輝はフィクション界の東大と言われる東都大学中退者だったのだ。輝は頭も切れて体力にも自信あり・・・しかし、駿太郎だって逃げ足とか第三の足には自信があるらしい。まあ・・・こういう場合・・・主役に残るのは「勇気」とか「真心」とか「優しさ」とか・・・軽量できない「何か」にするのが王道である。

たちまち・・・佐々岡は研究成果を盗んでライバル企業に転職しようとしていることが発覚する。

調査を依頼した・・・ステラバイオ社の人事部長・峰岸(鶴見辰吾)は複雑な表情を見せる。

その表情に直感で「隠された何か」を嗅ぎ取った輝は・・・その変人ぶりに、いつの間にか、好意を持った・・・つまりそういう設定なのだな・・・輝は妄想上は駿太郎のことも・・・あーっ・・・なのである・・・佐々岡に真意を尋ねる。

「俺の開発した・・・穀物の種は・・・世界の食料事情を一変させる・・・世界から飢餓を一掃する可能性があるのに・・・研究途上で・・・研究所の経営者は損失補てんのために俺の発明品を売り払おうとしているんだ・・・俺でなきゃ・・・完成できないって言うのにさ・・・」

「まあ・・・世界の飢餓克服は・・・食物生産量の問題ではなくて・・・分配のシステムの問題だけどな」

しかし・・・惚れた男のために・・・輝は・・・直感的に同好の士であると見抜いた峰岸に真相を伝える。

峰岸は複雑な心情を吐露するのである。「ふふふ・・・そうなんだ・・・あいつは昔から天才肌で・・・同じ研究仲間として愛さずにはいられなかったものさ・・・君ならわかるだろう・・・しかし、ご存じの通り・・・彼はノーマルな結婚をした・・・奇人のくせに性的にノーマルなんだぜ・・・まさに天は二物をあたえずさ・・・でも仕方ないよな・・・本当に素晴らしい奴なんだから」

峰岸は社内の派閥争いを利用して佐々岡が研究を続けられるように手配し、自らは不祥事の責任をとって社を去っていくのだった。

「めでたし、めでたし」と浮かれる駿太郎を横目に・・・「幸せだよな・・・学者バカも・・・単細胞的バカも」と心の奥でつぶやく輝だった。

豪華キャスティングのために・・・松嶋菜々子も吹石一恵も出番待ちの時間の方が確実に長いと思われる。

とにかく・・・探偵・飛鳥(仲里依紗)は今回はムムマッハ専用の谷間をサービスしてくれました。・・・膝枕なんだろう?・・・馬鹿だなあ・・・膝枕されて見上げる醍醐味だよ・・・主役回では全開で頼むぞ!

今回の教訓・探偵は文武両道が必修であるがダンスより柔道だな。

関連するキッドのブログ→『第1話』のレビュー

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2012年1月23日 (月)

僕の愛馬を知りませんか?行方不明になりました(松山ケンイチ)

今、すぐ探しに行かないと、さあ、早く見つけないとまだ滅びていないニホンオオカミに食べられちゃう。

見たこともないような戦術で聞いたこともないような戦争をしたい・・・だから・・・今日も明日もあさっても愛馬を捜すでしょう。

・・・なんていうか・・・そういう感じ?

で、『平清盛・第3回』(NHK総合20120122PM8~)脚本・藤本有紀、演出・渡辺一貴を見た。

例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。

映画『リンダ リンダ リンダ』(2005年)で高校生の裕作(松山ケンイチ)は留学生のソン(ペ・ドゥナ)に告白して即刻玉砕である。言うなれば現在の清盛はこんな感じなのかな。瞳の奥に眠りかけていたくじけない心が・・・年下の少年にノックアウトされて・・・覚醒したっていうか・・・人間はみんな弱いけど夢は必ず叶うんだってことに気がついたっていうか・・・タテノリでピョンピョン跳び始めたっていうか・・・もういいか。・・・青春なんだよね、青春。

Tairakiyomori01時は天承2年(1132年)頃だと思われる。この年は疫病の流行、大火発生などがあり、秋には長承元年に改元されるのだった。白河院の崩御から3年。世は白河院の子ともひ孫とも噂される崇徳天皇の代。朝廷の実権を握るのは白河院の子である鳥羽院(前天皇)である。さきのすめらみことはさきのさきのさきのすめらみこととの間に愛人藤原璋子をめぐる確執があり・・・悶々とした日々を送っていたので・・・白河院の去った後には鬱屈が爆発寸前なのである。まあ・・・そういう性的奔放さには個人差があるわけだが・・・魔族・藤原一族と大王家の間の500年の交流はもうくんずぼぐれつなのである。璋子の叔母にあたる苡子は白河院の第二皇子の堀河天皇の女御となり、鳥羽院を生んでいるのである。誰と誰が血縁で誰が誰とどのくらいの血の濃さを共有しているのかもう・・・眩暈を感じるややこしさなのだ。「誰が誰の子で誰が誰の女などと・・・お戯れを・・・」「ふ、不純だーっ」という女と男なのだった。まあ・・・性的に清廉なものと奔放なものとの暗くて深い河は今も脈々と流れていたりいたしますがーっ。

まあ・・・そういう上々のあれやこれやは下々の方にも波及して・・・天皇家の分家の分家の分家の分家の・・・分家である平氏一族にも影を落とすのである。

しかし・・・武家となっている平氏一族にとって実力は何にも代えがたいのだった。白河院の落胤を後継者とした平忠盛は・・・予想外の武者に育った清盛に怪物力を見出しているのである。

「この者は・・・やがて・・・歴史を変えるかもしれん・・・」

平忠盛の胸に眠る野望・・・「やがて・・・武家の世が来るやもしれぬ」に・・・清盛は火を注ぐような素質を見せるのだった。

しかし、そんな夫に正妻である・・・藤原宗子は賢女であればあるほど鬱屈を感じるわけである。

宗子もまた・・・下流とはいえ藤原の一門の娘である。武家の家に嫁がされた上にわが子に相続権が与えられないとは何事か・・・という思いは深い。

なにしろ・・・宗子は藤原北家のくのいちである。それなりの深謀遠慮は心得ている。

やがて・・・宗子は・・・池禅尼と呼ばれることになる。血縁のない・・・わが子である平清盛が源氏を討伐した時に・・・生き残った源氏の公達・・・源頼朝の助命嘆願を行う張本人となるのだな。

もちろん・・・源氏が平家を滅ぼすことは歴史の示す通りである。

そして・・・平氏一族の中で宗子の息子・平頼盛(清盛・家盛の弟) だけは生きながらえ・・・その血脈は鎌倉時代を生き抜いていくのだった。

関連するキッドのブログ→第2話のレビュー

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2012年1月22日 (日)

モテキでセカンド・ヴァージンな恋愛ニートなんだって?(仲間由紀恵)

劇中に「モテキ」、「セカンド・ヴァージン」という最近ヒットした恋愛ドラマのキーワードがセリフとして登場する。

第13回フジテレビヤングシナリオ大賞(2000年)を受賞してから12年を経過した脚本家である。

ヒミツの花園」(フジテレビ系)、「歌のおにいさん」(テレビ朝日)、「ヤンキー君とメガネちゃん」(TBS)とそれなりの秀作はものにしているのだが・・・これと言ってヒット作がなく・・・ここである。

いろいろな悩みが脚本に滲み出てしまって・・・哀れな感じがします・・・あくまで妄想です。

で、『恋愛ニート~忘れた恋のはじめ方・第1回』(TBSテレビ20120120PM10~)脚本・永田優子、演出・高成麻畝子を見た。仲間は「美しい隣人」で死亡した後、「南極大陸」でずっと死んでいてここである。まあ、大女優なので・・・何をやっててもいいのだが・・・今回は普通の人生を送る山田奈緒子といったキャラで・・・まあ、なんだかなあ・・・なのである。

両親の死後、幼い妹と弟を扶養しているうちに婚期を逃す・・・というのは昔はよくあった話だが、「聖なる怪物たち」の姉妹とかぶっている。さらに言えば「最高の人生の終わり方」もこのパターンで同じ局でかっ・・・とやや唖然とするわけである。

さらに言えば「ステップファザー・ステップ」だってこの手と言える。

なんていうか・・・両親不在にすればドラマになるよキャンペーン展開中かっ。

とにかく・・・すっかり冷えた女になっている木下凛(仲間由紀恵)は32歳にして8年間挿入なしらしい。・・・おい、もう少し穏便にな。・・・いや、シラフではとてもレビューできませんよ。・・・それもそうか。

そのために周囲が見えなくなり、自己中心的な性格になっているらしい。挿入しないくらいでそうなるとは限らんけどな・・・だあかあらあ。

それを心配した上司(室井滋)が一計を案じ、偶然、再会した旧知の松本(佐々木蔵之介)が・・・偶然、凛と出会っていたのをいいことに・・・松本のスイーツ友達である多田(田中裕二)や槙野(永山絢斗)をまきこんで・・・凛に対して挿入包囲網を結成させる・・・おい・・・ちょっかいださせるお節介をやくのだった。

最近・・・「月9」でやってたし、この枠では「ラブ♥シャッフル」で数字的には失敗だった記憶が新しいのに・・・「男女七人夏物語」の夢よ、もう一度である。眠ってればいいと思うよ。

とりあえず・・・豪華なキャスティングでにぎわう冬ドラマの中で・・・男三人がこのキャスティングである。地味じゃねえか。そして・・・凛の女友達が・・・美帆(市川実日子)、菜々子(りょう)である。・・・こ、これは・・・勝負にならないのでは~。

周辺にいるのが・・・菜々子の元カレ(岡田浩暉)、美帆の別れた夫(竹財輝之助)、凛の部下(夕輝壽太)である。

これで恋愛もの・・・ってどうすればいいのか・・・皆目見当もつかないね。

なんていうか・・・挿入を待ちながら・・・貧乳パーティーか・・・もう、止めても無駄だな。

そして・・・若者はひたすら・・・軽い。

ついでに・・・仲間と永山の衝撃のキス・シーン・・・ちっとも衝撃がないぞ。

しかも・・・このコンセプトは「最後から二番目の恋」の小泉今日子と坂口憲二からスライドしているのだった。

まあ・・・ギャンブルとしては成立するか・・・冬ドラマで先に挿入達成するのは・・・凛か・・・千明か・・・。

素敵な冬の恋の物語が展開することを心から祈っています。

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『最後から二番目の恋』についての真摯なレビューは→ちーず様のどらま・のーと

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2012年1月21日 (土)

欲しがりで甘えん坊な妹(加藤あい)と優しすぎる姉(中谷美紀)の聖なる歌

原作者は・・・東女中高から上智大という・・・そこそこお嬢様を連想させる学歴である。

世代は違うが、同じ上智出身の野田聖子議員の「何が何でも実子が欲しい」的不妊治療騒動を連想させるキャラクターが登場することがなんとなく気になったのである。

そういうことを「あさましい」と感じるかどうかは・・・性差に始まる個人差にもよるだろうが・・・キッドはなんとなく・・・「哀れ」を感じるのである。

「血縁」もフィクションにすぎない・・・と思考することは逆に「哀れ」なことなのかもしれないが・・・理性的ではあると考える。

「臓器移植」の物語の裏で「代理出産」の物語である。

親のない子のあふれる世の中で「わが子」にこだわることを「あさましい」と感じないことは美しいとは言えないのではないか・・・もってまわった言い方で眉をしかめています。

科学が進歩し、不可能が可能になる。だが・・・それが誰かの幸福を他の誰かが奪取する方向に進捗しないことを悪魔は全く保証できないものですから。

で、『聖なる怪物たち・第1回』(テレビ朝日20120119PM9~)原作・河原れん、脚本・荒井修子、演出・藤田明二を見た。脚本は『モップガール』で頂点を極めたのか・・・その後は変態が過ぎて結構、苦労しています。演出は『黒革の手帳』で一発あてた大ヴェテランだが、そのあと、けものみちだのわるいやつらだの夜行の階段だの柳の下の泥鰌を求めてドロドロになっている果てに『 ジウ 警視庁特殊犯捜査係(2011年)で少し我を取り戻してここである。しかし、もう、演出のタッチがドロドロしなければにっちもさっちもブルドッグな体質になっているらしい。

キャスティングは豪華なのだが・・・どのドラマだってもはや豪華な時代だから・・・なんともはやである。

とにかく・・・若くて有能な看護師長の優佳(中谷)が路上で飲食していると思わず「しぃばぁたーっ」と誰かが心の中で叫ぶ楽しみがあります。

そういう意味では優佳の妹・圭子(加藤あい)が「私の赤ちゃんを返してっ」と叫ぶと・・・こけしか、まだこけしなのか・・・とうっとりすることもできますし・・・。

優佳の同僚の看護師・瑶子(大政絢)はまだ20歳なのに25歳でキャスティングされてて「正義の海は泳がせない、私の錨で沈みなさい!」と叫びたいんじゃなかと思ったりして。

もう・・・いいか。

いゃ・・・やはり、どうやら、代理出産の母となり・・・出産死亡することになるような気配が濃厚の幼稚園教諭・三恵(鈴木杏)はまだ24歳なのに昔の・・・輝かしい過去の栄光についに終止符がうたれたのだと実感するとともに・・・減量しないですむ役柄かよっとつっこむことだけは許してほしい。

さて・・・嵐の夜。一人の妊婦が診療予約なしのとびこみで大久保病院前の路上で発見される。若き医師・司馬(岡田将生)は看護師長の優佳に励まされ初めての帝王切開で胎児を救うが…母体は周産期死亡率47/10000の分子を引き上げる結果に終わる。

母のない子の誕生である。

実は司馬もまた・・・産褥死により母を失った子供だった。

しかし・・・その子供には出生の秘密があったのだ。

そして・・・物語は1年前にさかのぼる。

日本には別格の上流社会である皇室家族がいるわけだが・・・一般人も上昇志向の強い世代交代が続けばそれなりのエスタブリッシュメント(特権階級)に位置することができる。

基本的に成り上がりなので・・・その言動は下賤なものになるわけだが・・・もちろん・・・それはテレビドラマが大衆娯楽である以上、さらに強調されるのである。

そのはしくれであるらしい慶林大学医学部教授の塩野(山田明郷)に疎まれた司馬は系列の大久保病院に左遷される。父(平田満)は理容師であり、後ろ盾のない庶民としての司馬には抵抗の術はないのだった。

しかし、司馬はそれを恨みに思うこともなく・・・貧乏病院と揶揄され、経営能力がないと批判される二代目が院長(小日向文世)を務める大久保病院で職務に励むのである。

そんな司馬を厳しく叱咤するのが両親死亡後、施設で育った上に年の離れた妹を大学進学させた賢女である看護師長・優佳だった。

そんな姉に育てられた才色兼備の妹・圭子は慶林大学とも関係がある日向財閥の会長の息子・敏雄(長谷川博己)に見初められ・・・できちゃった結婚で玉の輿に乗るのだった。

敏雄は幼稚園などを経営する聖応育英会の理事長であり、圭子は副理事長におさまっていた。

敏雄には前妻があり、実子もいて・・・圭子は前妻の憎悪の対象になっているのは明らかだが・・・自分も妊娠しているので一安心していた「略奪愛の女」圭子だったが・・・結婚式当日に流産、しかも子宮を摘出し・・・子供の産めない女になってしまう。

圭子の張りつめた精神は崩壊しかかるが・・・そこに「カッコーの子育て」の啓示があるのだな。

つきつめていえば・・・男性というものは自分では出産できないから・・・女性の身体を利用しているという考え方もあり・・・それが男尊女卑の時代には「女の腹は借り腹」などという表現に結実するわけである。

いくら・・・言い繕う者がいても「代理出産」にはそうした陰惨な差別状況が付きまとうのである。

だからといって利害関係が一致して・・・それが行われる場合、売春と同様に絶対的な悪とは言い切れない側面ももちろんあるだろう。

ともかく・・・妹から「代理母になってくれ」と懇願されても「日本では適法ではないから」と一度は否定した姉が・・・妹の置かれた状況を感じ取るとただちに方針転換するのは・・・所詮、人間はやりたいようにやるものと相場が決まっているからなのだな。

圭子の卵子と敏雄の精子は様々な困難を越えて巡り合う運命にあるらしい。

そういう因果な物語が開幕しました。まあ・・・もう・・・ドロドロするよね。

ともかく息子の治療費を払わずパチンコに興ずる母親(西慶子)を張り倒して鬱憤を晴らす優佳は・・・世界を敵に回しても妹を守る覚悟なのだな。

美しい・・・美しいぞ・・・春日井姉妹。

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2012年1月20日 (金)

欲望と死亡のはざまで愛をみつけたけだもの(山下智久)

どうやら・・・今回の山Pはけだものらしい。

それはおそらく・・・脚本家が榮倉奈々・主演の「泣かないと決めた日」(2010年フジテレビ)の職場におけるいじめや、杏・主演の「名前をなくした女神」(2011年フジテレビ)のママ友たちの軋轢で「この世の生き地獄」を描きすぎて・・・まあ、元々の資質かもしれませんが・・・現世をネガティブに見る傾向に偏重してしまったことに原因があると思う。

つまり・・・男は狼なのよ、気をつけなさい・・・が出発点なのである。

前回のなにがなにやら「絶対許さない」と叫ぶ屋上の少年が・・・「名前をなくした女神」の秋山家の息子・健太(藤本哉汰)でキャスティングされていたと思ったら、今回はその母親である侑子(杏)がゲスト・ヒロインとして登場である。

「この世の生き地獄」に敢然と立ち不可った「地獄の天使」の榮倉奈々と杏が揃い踏みである。

もう・・・ダブル・ヒロインに責めたてられて・・・山Pはふんだりけったりの三枚目を演じることになるのだ。

こんなことが・・・許されていいものだろうか・・・いや・・・ここまでくると逆に気持ちいいという考え方もあります。

そして・・・もう一人のヒロインである紙魚子でぱふっでマジすかな妹(前田敦子)はやぶにらみで兄をねめつけるのである。

前田敦子の表情の演技は時として凄いな。

すごく・・・ソフトな表現だが・・・このドラマでは山Pがじわじわと迫害されています。これは一部愛好家うっとりの展開と申せましょう。

まあ、それはそれとして・・・前回の「死亡していないのに死亡推定時刻」に続いて今回も脚本家は致命的なミスを犯している。「富士山の写真を撮ったカメラマンを探して電話をかけまくり徹夜してしまった刑事」である。

真夜中の2時に電話して「すみません・・・富士山の写真の件なんですが」と一般市民に尋ねる刑事なんかいない。

もちろん・・・構成全体としても・・・身元不明の男の身元判明の手順に明らかに曖昧にしてごまかしている部分があり・・・そこがものすごく興醒めを誘うポイントになっていることは言うまでもない。

お茶の間では・・・どうして身元が判明したのか判然としないまま・・・無理矢理、感動させられることになる。

それなのに・・・ヒロインが一生懸命働いたシーンには悠然と時間を割いているのである。

脚本家・・・ヒロイン側に肩入れしすぎているぞ・・・気をつけろっ。

もう、身悶えするよ。本当に。

で、『最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜・第2回』(TBSテレビ20120119PM9~)脚本・渡辺千穂、演出・石井康晴を見た。あまりにも身悶えたのでちょっと癒されたい。

Kotarou01井原家の愛犬・コタローである。・・・かわいい・・・かわいいよコタローなのである。人間より犬がいいよな・・・みんなそう思うよな~などと現実逃避している場合ではない。犬だって所詮けだものだからな。

ちなみに井原家の長女・晴香(前田敦子)が番組内でログインしていた「Haruka Ihara 四葉のクローバーの日々徒然」 は実在するGoogle+である。

井原家は放浪癖のある長男、けだものの次男、禁じられた泥棒猫の次女、恋奴隷で泥棒の三男とろくでもない家族なのであるが・・・長女だけは足が不自由な分・・・泥沼に咲く蓮の花として設定されているようだ。井原家の二人の母親(長男だけ別腹)についてはまだいやらしく存在が隠匿されているのだが・・・長女の事故と母親不在にはなんらかの関係があると考えるのが妥当であろう。比較的良好な兄弟関係に対して熾烈な肉弾戦に突入する姉妹の確執もそのあたりに原因があるのではないだろうか。まあ・・・そういう先々のことを考えるとちっとも癒されなくなってくるけどねーっ。

俺が・・・転落して生死の境をさまよっている居酒屋コロンブスの善福寺店々長(設楽統)に代わって店長代理をしていた夜。就職の面接にやってきた若い男(玉森裕太)。彼は今、目の前に死体となって横たわっている。俺が葬儀社を継いでからというもの不慮の死を遂げる人間・・・続出である。

これは天性の素質ではないか・・・などと浮かれている場合ではなかった。

妹の説明によると我が家には三年前に導入したローンがだいぶ残っている遺体安置用冷蔵庫があるのだった。

そのために警察から身元不明死体の保管を委託されることがあるらしい。

公費の支出による貴重な収入である。世慣れた妹は委託を確実にするために「おきよめ」と称する袖の下・・・相場はビール券数枚・・・を所轄の担当刑事・長峰(水上剣星)にご贈答する手配に抜かりはない。兄があたふたしているのでよくできた妹になってしまった。実にふがいない思いである。

ともかく・・・謎の若者の死体はそのような事情で我が家にやってきた。

あの時、せめて履歴書だけでも受け取っておけば身元なんてすぐ判明したのに・・・俺は時間を惜しんで・・・彼を門前払いにしたのである。応募を受けた店長なら何か知っていたかもしれないが店長もまたこの世の人ではなくなってしまった。

まさに・・・死人に口なしだ。

検視官なら遺体の最後の言葉を聞こうとしたりできるのかもしれないが・・・駆け出しの葬儀屋に死体は極端に無口なのである。

そんな俺に口の軽い刑事たちは「死体の事情」をそれとなく教えてくれる。

彼は暴漢に襲われた女性を助けようとして暴漢の一人に刺殺されたらしい。

北新宿は架空の町なのでどんな暴漢も存在しうるのである。

暴漢たちが彼の所持品を盗んでいったため・・・彼は正体不明の男になってしまったのである。

助けられた女性が警官を連れて戻ってきた時には暴漢の姿はなく・・・ただ死体がひとつころがっていたのだと言う。

しかし・・・そんなことはどうでもいいと思える俺だった。なにしろ・・・命の恩人の死体を拝みにきた・・・路上サックス・プレイヤーの谷沢怜奈 (杏)が妖怪人間ベラなみに好みのタイプだったからである。思わず「れいな」と呼ぼうとして「ベラ」と言ってしまいそうなほどのそっくりさんだ。

たちまちいきりたつ・・・俺のリビドー。聞けば・・・事件の発端は怜奈に暴漢たちがからみだしたことにあったそうだが・・・何のことはない・・・俺もまた暴漢と同じような邪な欲望を持つけだものだったのである。

怜奈は困ったような顔をして・・・謎の若者と自分との関係を問わず語りしてくれた。

「最初に気がついたのは路上ライブのお客様としての彼でした。夏なのに「ジングルベル」をリクエストなさったので印象深かったのです。ただ・・・それ以来、ライブの他の場所でも彼を見かけるようになって・・・私・・・彼のことを少し恐ろしい人ではないかと疑っていたのです」

「つまり・・・ストーカーじゃないか・・・と」

「そういうことです・・・そんな彼が私を助けてくれてこんなことになったので・・・私は正直、困惑しています」

それは・・・お困りでしょう。俺が相談にのりましょうとかなんとかいって彼女とお近づきになりたいと俺の下半身は電光石火で命ずるのである。

「彼はどうなるのでしょうか・・・」

葬儀屋として駆け出しの俺が答えに困ると・・・よくできた妹が助け舟をだしてくれる。

「ご遺体は・・・身元不明のままですと行旅病人及行旅死亡人取扱法によって行旅死亡人となって地方自治体が遺体を火葬し遺骨として保存、官報の公告で引き取り手を待つ事となります。ちなみに北朝鮮の工作員が不審船に乗ってやってきて日本の巡視船と交戦し自爆自沈した十年前のあの事件では8人の工作員の死体が行旅死亡人として処理されたそうです。豆知識です。ぱふっ」

「・・・でお葬式とかは・・・」

すかさず、従業員の田中さん(大友康平)が角の立たないように率直に答える。

「残念ですができません・・・葬儀代がでないもんですから・・・日本では一年に三万人くらい孤独死する人がいて・・・お葬式をしない方も多いのでございますよ」

三万人か・・・日本にざっと1億人超の人がいて・・・ざっと100才まで生きるとすると・・・毎年、ざっと100万人が死ぬわけで・・・100人に3人は孤独死することになるのだなあ。学校でいえばクラスに一人は孤独死する奴がいることになる計算なのだ。惨いことだなあ。

などと感慨にふける俺がいる一方で・・・困惑している怜奈をどのように誘惑しようかときっかけをさがしている俺もいるのだった。

しょうがないだろう・・・さかりのついた人間(けだもの)だもの。

そんな葛藤をかかえる俺はさておき・・・よくできた晴香と違い高校生の桃子(大野いと)はなんだか・・・荒れている。先週は俺の胸で泣きじゃくったくせに・・・今週はいきなりふてくされた状態である。いきなりふてくされたら対応に困るよな。

さらに大学生の弟・隼人(知念侑李)と来たら、朝っぱらから井原家の金庫の金を持ち逃げする始末。そんなことじゃ、「それでも、生きていく」(2011年フジテレビ)の三崎文哉(風間俊介)みたいになっちゃうぞ。

だが、そんな兄の老婆心が弟に通じるはずもなく・・・桃子に牛乳をあびせかけながら・・・隼人は金品の強奪に成功し逃走するのだった。

桃子は毎週、なにかをぶっかけられているな。脚本家に袖の下を渡した方がいいかもな。

いや・・・袖の下を渡してぶっかけられるシーンを作っているのかも・・・まあ、それはそれとして。

思い悩んでいる俺の前に亡き父(蟹江敬三)の盆栽仲間である岩田さん(山崎努)がやってきて・・・あれこれアドバイスをしてくれるのだった。

「この家の家族はバラバラだな・・・お前さんは・・・身を惜しんではいけないよ・・・人間関係なんてちょっとおせっかいなぐらいがちょうどいいんだ・・・後悔しない秘訣だよ」

なるほど・・・積極的にアタックした方が・・・しないよりもやれる・・・ってことですね。

一人合点した俺は・・・ベラじゃなくて怜奈の困惑を解決してやろうとひと肌脱ぐことにした。

実際に脱がないのは大陸横断旅行でホットドッグを食べ過ぎてお腹がでちゃったからではないことを申し上げておく。

謎の若者はいい人だったのか・・・それとも単なるストーカーだったのか。もちろん、いい人だけどストーカーという場合もあるが・・・世間ではストーカーに人権はないので二者択一である。

俺は怜奈の歓心を買うために彼氏がいるのでターゲット外の警視庁高円寺署の坂巻刑事(榮倉奈々)に「警察は庶民の味方でしょ」と発破をかけて利用することにしたのである。

本当はちょっと俺に関心があるのかもしれない坂巻刑事はたちまち調子に乗って遺体の身元割り出しに乗り出すのだった。

手掛かりは遺体が握っていた写真の切れ端だった。

子供がSの文字を掲げている。背景には山が映っている。裏には撮影者・佐・・・の文字。

「科捜研の分析によると山の稜線はどうやら富士山らしいのよ・・・」

地道な調査の結果・・・特に成果はあがらなかったが・・・俺はやたらと死体にぶつかるつきにまかせて・・・現地に跳んでみることにした。

「富士宮やきそば食べにいかないか」

俺は妄想上の「One Night Carnival/氣志團」をB.G.M.に坂巻刑事をドライブに連れ出した。自称彼氏がいる彼女だが勢いで一回くらいやれたらしめたものなのである。

しかし・・・俺は死体にはついているが女にはついていないようだった。

確率的にありえないことであるが何千何万いるかわからない・・・富士山の写真を撮った男の中から正解を引いてしまうのである。本当に困ったもんだな。

そして・・・案の定・・・俺は最終的にはひとつの死体に行き当たるのだ。もちろん・・・その死体はもう・・・とっくに灰となり地球という星の一部になった昔の死体なのである。

写真は佐藤という写真家が地元のコンクールに応募するために撮ったものであった。そして入賞した作品はクリスマスカードとして・・・限定300枚販売されたものだというのだ。

「そういえば・・・前にも写真のことを尋ねてきた人がいたな・・・誰に売ったか、わからないかと・・・なんでも差出人のわからないクリスマスカードがおくられてきたとかで・・・まあ・・・そんなこと言われても答えようがなくて・・・困りましたけど・・・そしたら彼・・・近所に大きな病院はないかって言ってきてね・・・」

俺たちは・・・その病院を訪問した。事情を話すと・・・病院の医師は「五年前のことなら・・・よく覚えていますよ・・・ここで心臓移植手術を受けた患者がいないかって・・・しつこく尋ねられて・・・困ったものです。もちろん・・・教えられませんからね。それは臓器の移植に関する法律に定められていますから。摘出患者(提供者・・・ドナー)と移植患者(受給者・・・レシピエント)の間に利害関係が生じないことは非常に重大な前提ですから」

「しかし・・・人の口に戸はたてられませんよね」

「そうですねえ・・・移植手術は成功したし・・・めでたいことだから・・・それなりにお祝いもしたし・・・誰がその患者かを知ることは不可能ではないでしょう」

「その手術にかかわった移植コーディネーターをご教授いただきたい」

坂巻刑事はごり押しで・・・移植手術をめぐる情報提供者を確保した。

病院のレシピエント・コーデネーターである看護師は事情を知ると沈黙の誓いを破り・・・ドナー・コーディネーターのいる病院を明かしたのである。

俺たちは第二の病院に向かった。そこには謎の男の関係者の遺体がかってあったはずである。俺はそう確信していた。

その病院は都内にあったのだ。ドナー・コーディネーターである看護師は・・・謎の遺体写真を見ると表情を曇らせた。

「この人をご存じですか・・・」

「患者だった倉木さんのお兄さんですね・・・おそらく・・・」

「身元を確認したいのですが・・・」

「そういう事情ならば・・・」

病院には提供者の家族として・・・倉木陽一郎のデータが残っていた。

提供者は・・・彼の妹だった。

データに記された当時の勤め先から・・・彼ら兄妹の事情が明らかになった。

勤め先は廃業していたが経営者が二人のことを記憶していた。

「他に身寄りがなくてな・・・仲のいい兄妹だったよ・・・妹さんが事故であんなことになって・・・もう・・・かける言葉もなかったね」

脳死判定をされた倉木の妹はドナーとなり・・・倉木は移植された妹の心臓を求めて・・・レシピエントから届いた差出人無記名のクリスマスカードを手掛かりに・・・あそこまでやってきたんだ。

でも・・・彼はレシピエントにあって・・・どうするつもりだったんだろう。

そして・・・彼はレシピエントに逢えたのだろうか。

しかし・・・とにかく収穫を口実に下心を忍ばせて俺が逢った怜奈の眼からは涙が流れだすのである。そして俺は真相を知ることになったのだ。

「そのクリスマスカードを書いたのは私です。私はただありがとうと書きました。それしか許されていませんでしたから・・・私が・・・彼の妹さんの心臓をいただいたレシピエントなのです・・・私・・・私に彼のお葬式をさせて・・・ください・・・」

そうだな。もう・・・彼女が彼にしてあげることはそれしかないものな。

そして、妹の晴香は商売人として瞳がギラギラと輝くのだった。

「事情が事情ですからお安くしておきますよ・・・」

やがて・・・葬式では彼が彼女に贈ったサンクス・レターが披露される。

与えられたものと与えたものの遺族との間に交わされる社交辞令であるが、命を至上のものと考えればそれは一種の崇高な文通であろう。

「元気ですか・・・去年のクリスマスに妹は天国に旅立ちました。たった一人の家族を私は失いました。妹はもう・・・この世にいない。けれど・・・妹の命の炎があなたの中で生きていると信じること。それは僕の救いです。それは僕がこの世を生きていく希望の道しるべです。どうか・・・あなたは頑張って生きてください。あなたがあなたの夢をかなえ、幸せに生きていくこと。それこそが僕の心のともしびなのです。メリークリスマス。新しく生まれた僕の家族へ」

結局・・・彼は彼女を発見したのだな。そして・・・妹の身変わりとして・・・こっそり見守っていたのだ。彼女を・・・そして彼女の心臓を。

彼はストーカーでそしていい人だったのだ。

こうして・・・彼女の困惑を見事に晴らした俺だったが・・・感謝の言葉もそこそこに彼女の結婚式に招待されるのだった。

ええーっ・・・俺のリビドーをどうしてくれるのーっ。

そんな、俺をうっひっひと眺める坂巻刑事・・・あれ・・・やっぱり・・・ひょっとしてこの女、俺に気があるんじゃ・・・。

まあ・・・とにかく報われようと報われまいと愛はそこにあるだろう。

坂巻刑事はとにかく・・・彼と彼の愛に身も心も振るわされて・・・その愛が喪失してしまったことへの怒りを犯人逮捕のついでに顔面パンチで晴らすのだった。

確かに・・・妹の心臓を命がけで守った兄は美しい。

俺がそういう美しい兄弟愛を持っているのかどうかは疑わしいが・・・とにかく、身を惜しまずに誰かに尽くすことは・・・気持ひとつで可能だと思うのさ。

おそらく・・・犬にだってできるんじゃないのかな。

関連するキッドのブログ→第1話のレビュー

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2012年1月19日 (木)

彼女(永作博美)は人間じゃない(香里奈)VSおっちょこちょいな女(鈴木杏樹)

水曜日と言えばダンスの日だったが・・・前回は「相棒」16.3%、「ダーティー・ママ」12.7%だった。

おそらく・・・そこそこのステップを踏んでいくと思うが・・・とにかく・・・作品の出来があまりにも落差が激しくて眺めているのも心苦しく・・・今回はそっとしておくことにする。・・・撃ってもいいよ。

しつこいようだが・・・「相棒」はレビューしない方針なのだが・・・今回はまさに想定外の連続だったので・・・一言触れておくことにする。

で、『相棒・Season10・第12話』(テレビ朝日20120118PM9~)脚本・古沢良太、演出・近藤俊明を見た。「ついてない女」「ついている女」に続いて、「つきすぎている女」として月本幸子(鈴木杏樹)が再々登場である。今月は鈴木杏樹月間なのか。加藤あいが落ち着いてきたので・・・勝負にでたのか。そんなことはないか。

数奇な運命を経て・・・模範囚として早めに出所した月本幸子(鈴木杏樹)。

「希望する職種はありません・・・」とハローワークで殊勝に語り、清掃業に就いた幸子である。地道に仕事をするうちに優良企業の社長のお屋敷の家政婦として抜擢されるのだった。

そこで月給が手取り53万2500円である・・・おや・・・何気なく作ったメニューが気に入られ商品開発のボーナスとして62万5631円が振り込まれたりする・・・おやおや・・・安くて豪華なマンションへの引っ越しを勧められ、ついには事業を引退した父親から継承したばかりのイケメン若社長からプロポーズされるに至るのである。

「私がこんなについているわけがない・・・これには裏がある」・・・月本幸子・・・悲しい女である。幸子の幸はどこにある・・・なのである。

思い余って・・・杉下右京(水谷豊)に相談する幸子。しかし・・・右京はなぜかスランプである。幸子の疑惑の物語に一向にピンとくるものがないのであった。

相棒の神戸尊(及川光博)は「習慣になっていたものが突然喪失されると調子が狂うことがありますよ」と分析し・・・右京の元妻の旅路を暗に匂わすが・・・右京はポーカーフェイスで凌ぐのだった。

やがて・・・事件は大量殺人事件を起こしたカルト教団「太陽のしもべ」やその後継団体「天体構造学研究会」を巻き込んで、幸子の前任の家政婦の失踪事件へと発展していく。

そして・・・カルト教団の信者となっていた若社長と対峙する幸子。

ナイフを振りかざし・・・「私はヤクザの情婦だった女よ・・・なめないで」と啖呵をきるのだった。

しかし・・・すべては幸子の思いすごしだったのだ。その詳細について・・・ここで語るのは野暮なのでやめておきます。今回は上質な大人のサスペンス・コメディーだったので。

ただ・・・女将不在だった「花の里」に新しい女将が誕生し・・・右京がスランプを脱したことは特筆しておく必要があるだろう。

右京と幸子に夜の生活があるのかどうかも・・・言及は控えたい。

とにかく・・・「花の里」は注文をすぐに取り違えるおっちょこちょいな女将・幸子を迎え、営業を再開したのである。事件解決後の時間調整が計算できるエンディング・シーンが作りやすくなってめでたしめでたしなのだった。

関連するキッドのブログ→脱獄したくはなかったのに・・・(鈴木杏樹)VS叱らずにはいられない私。(観月ありさ)

で、『ダーティ・ママ!・第2話』(日本テレビ20120118PM10~)原作・秦健日子、脚本・白木朋子、演出・南雲聖一を見た。ガールズ・バー「百蘭」の店長・ムツミは丸岡刑事(永作博美)に翻弄される長嶋刑事(香里奈)にこう語る。「ある人が言ってたわ・・・彼女は人間じゃない・・・だから彼女の産んだ子供も人間じゃないって」・・・つまり、丸岡刑事は・・・妖怪人間・・・違うと思うぞ。

先週の続きである「怪しい経理の女」幸代(西田尚美)の「守ってもらいたいタイプ」の話は・・・愛人の自殺未遂、幼い息子の誘拐事件へと発生する。

人質を無事に取り戻すために支離滅裂な作戦を実行し、人混みの中で発砲する丸岡刑事。大群衆は逃げまどい、おしあいへしあい転倒者が続出。死亡三人、重軽症者百人超の大惨事を引き起こすが、関係者の戒告と処分は案外軽いのであった・・・久しぶりなので一言申し上げておきますがこのレビューはあくまで妄想です。

それにしても・・・長嶋刑事と佐々木巡査(上地雄輔)のカップルって魅力を感じないなあ。

ヤクザ関係芸人の余波ってこわいし、関係者かわいそうだな。

どうしても汚れた感じがするものなあ。

とばっちりってこういうことなんだなあ。

ともかく・・・屋台の焼きそば鉄板台を押し出して犯人を逮捕した長嶋刑事のニックネームは「ラッセル」になりました。

こりゃ、来週はNHKスペシャル「シリーズ原発危機知られざる放射能汚染~海からの緊急報告~」の記事でも書くしかないかもね。

関連するキッドのレビュー→先週の水曜日のレビュー

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2012年1月18日 (水)

父(北見敏之)より怪しい娘(大政綾)って言うか、家族八景(水崎綾女)を待ちながら。

さて・・・真のアナログ時代から・・・火曜日といえば何をレビューしていいか・・・迷う曜日だったのだが。

裏のアナログ時代に突入したからには・・・そういう悪しき慣例はやめたい・・・特に今シーズンに関しては。

一応・・・このブログのサブタイトルについて・・・説明しておく。

現在・・・世界は裏のアナログ時代に入っているということです。

これについての質問は一切受け付けませんので悪しからず。

・・・というわけで、「ストロベリーナイト」も「ハングリー!」もそれなりに面白いわけだが、残念なことに関東では火曜深夜といえば「家族八景」なのである。

そして「キューティー・ハニーTHE LIVE」の放送中も短いレビューをしていたゴールデンの火曜日のドラマなのだが・・・今回はレビューしない方針である。ま、猟奇的な竹内結子も空腹の瀧本美織も特にレビューの必要を感じないことですしーーーーっ。

ところで「ティーンコート」(日本テレビ)はいいのか・・・いやあ・・・いいだろう。剛力彩芽っていう本名・・・なんとかした方がよかったかもね。「祝女」の「恋侍」はよかったけどね。

で、『ドクロゲキ~後味の悪いサスペンス』(フジテレビ20120115AM0155~)脚本・井村光明、脚本・監督・三木康一郎を見た。『カクセイ』(2011年3月フジテレビ)に続く『トリハダ』のシリーズ進化系である。基本的に妖怪変化や悪霊の跋扈するスーパー・ナチュラル・ホラーに対して単なるナチュラル・ホラーなので単にホラーでも良いのだが、超自然的恐怖ものと一線を画する意図が明確なのであえて、キッドはナチュラル・ホラーと呼称したいと思う。要するに「自然の脅威」というか「お化けより人間の方がこわい」というアレである。

なんてったって「呪怨」や「リング」より「津波」や「通り魔」の方が実際に恐ろしいわけである。

本題に入る前にタイトルを処理しておきたい。

予想通りというか、期待通りに・・・「家族八景」を真正面からドラマ化である。

第一話は原作通りに「無風地帯」から入るようだ。脚本・佐藤二朗、演出・堤幸彦で・・・尾形家は・・・夫・久国(西岡徳馬)、妻・咲子(葉山レイコ)、長女・叡子(水崎綾女)、長男・潤一(木村了)と実に申し分ない感じである。

時代設定は1970年代になるようで・・・ここも文句がないところ。

ああ・・・いよいよ・・・来週かあ・・・。楽しみだなあ。

「入浴シーンもあるので家族八景、絶対絶対観てください」(木南晴夏)

絶対絶対観ますとも。

さて・・・「ドクロゲキ」である。髑髏劇ですかね。

トリハダと同様に連続した挿話と各話で構成されている。各話もじわじわだが・・・挿話もじわじわである。

挿話① 盲目の男(黄川田将也)が一人、美しい風景の中を散歩している。どんな美しい光景も彼には無意味であることは言うまでもないだろう。見える幸せを失う恐怖がそこにあります。

第1話 鮫島由紀恵(高梨臨)

鮫島は若手のイラストレーターらしい。小金ができて住居をグレードアップし・・・バタバタしているが作品の締め切りにも追われている。徹夜で原稿を仕上げ・・・朝一のバイク便で作品を送り出す。そして昼下がり・・・鮫島はまどろむ。

そこに隣室の幼女の声がノックの音とともに響く。

トントントン・・・ママ・・・あけて。

ママ、あけてよ。

「ここじゃないよ・・・となりだよ」

ママ、あけて。

「まちがってるよ」

ママ、ママ、ママ~。

「うるさいっ」

・・・。

ほどなく・・・警官が訪ねてくる。隣室の子供が道路で車にぶつけられ、動転して現場から逃げ出し、鮫島の部屋の前で死亡していたと言うのだ。

鮫島の部屋の前の通路は幼女の血であふれていた。

泣き叫ぶ隣室の母親。警官に愛想笑いするしかない・・・鮫島だった。

小さく丸めた体はその時、痛みをこらえて・・・。

挿話② 赤ん坊をあやす盲目の男。母親のレイコ(小飯塚 貴世江)は「私に似てブスだったらどうしよう・・・」とつぶやく。微笑む盲目の男。どんな美女も醜女も男には違いがないのである。

第2話 横山幾三(品川徹)

幾三は病室で臨終の時を迎えようとしていた。病床に集う家族たち。幾三の妻・・・幾三の息子、その嫁、そして孫である。

「おじいちゃん・・・危篤って何・・・」幼い孫のいたいけない言葉が涙を誘う。

しかし・・・ここで突然、幾三は罪の告白を始めるのだった。

その内容は「華麗なる一族」のネタバレになるので書きません。

やがて・・・臨終の時、唖然とする妻と息子を押しのけるように遺体にすがるのは嫁だった。

不倫というものは本当に恐ろしいものなのである。

挿話③ 病院から帰ってきたレイコは盲目の男に「女の子だって・・・私に似てブスだったらどうしよう」と告げる。つまり・・・この挿話は徐々に時間を遡上しているのである。

第3話 村上哲也(田中要次)

寂しい街の安アパートを訪ねる哲也。声をかけるが返事がない・・・周囲を探すと置き鍵が見つかる。1Kの間どりでくもりガラスの戸の向こうに人の気配がある。

哲也は昔、不祥事を起こした老父を久しぶりに訪ねてきたのだ。ささやかな幸せを手にした自分の家に別れた父を呼び寄せるために・・・。

しかし・・・補聴器を外していた父親には息子の温かい言葉は届いていない。

その手に握っているのは息子が昔愛用していた野球のバットである。周囲は空き巣・強盗が多発していたのである。

扉が開かれた時・・・惨劇の幕開けである。息子殺しです。

耳が不自由なことは本当に不自由なことだ。

挿話④ マンションのエレベーター・・・盲目の男とレイコのささやかな出会いがあったらしい。

第4話 畑野のぞみ(藤原梨名)

母親たちの授業参観。2年3組の子供たちは「母親」をテーマの作文を披露する。

「いびき・・・お母さんのいびきは大きい。目ざまし時計のアラームより大きい・・・(なごやかな笑い)・・・でもお母さんは必ず目をさます・・・仕事があるからだ・・・お父さんが失業してからは・・・病院の仕事の他にコンビニで仕事をしているから大変だ。失業したのだからお父さんがコンビニに行けばいいのに。お父さんはお酒ばかりのんで私をなぐったりけったりする(どよめき)・・・お父さんはお母さんもなぐったりけったりする・・・けれどお父さんは病気になってなぐったりけったりしなくなりました・・・そんなお父さんにお母さんは一生懸命薬を飲ましたり看病したりして・・・ますます眠る時間がなくなりました(静寂)・・・でも去年の暮にようやくお父さんが死んだのでようやくお母さんはぐっすり眠れるようになりました。もうすぐ家は新しいおうちにひっこします。新しいお父さんもできるみたい・・・今度のお父さんは優しいといいな。ねえ、お母さん(子供たちの明るい笑い)・・・」

のぞみの母親(寺田千穂)は母親たちの疑惑の眼差しを逃れるようにそっと教室を抜け出し・・・微笑むのだった。夫殺しです。

挿話⑤ 盲目の男と昔の恋人ユキとの別れ。ユキは男と別れた後、「誰が好き好んで苦労するかっ」と吐き捨てる。男は一人、慟哭する。

第5話 内田誠(弓削智久)

アパートの一室。誠は妊娠した妻(松岡恵望子)とささやかな幸せをつかんでいる。そこへスナックを経営する誠の母親が金の無心にくる。手荒く追い返す誠。しかし・・・今度は病院から連絡があり・・・母親が生体腎移植の必要な腎臓病にかかっていると聞かされ・・・誠はドナーになる決意をする。しかし・・・母親は「何もしてあげられなかったが健康でいてもらいたい」と移植を拒絶する。いい話である。

しかし・・・誠を検査した医師は表情が曇る。

「息子さんにはすでに腎臓がひとつしかありません・・・」

「お店を出す時にお金がかかったんですよ・・・息子には黙っておいてください」

誠くんは臓器売買の犠牲者だったらしい。

そんなこととは知らずに「母の愛」をかみしめる誠。知らぬが仏である。

挿話⑥ 最終話

エレベーターを待つ盲目になる前の男。ひっそりと近づく怪しい人影。ふりかえった男は両眼に硫酸を浴び、阿鼻叫喚する。もちろん・・・人影の正体は・・・。

まあ・・・すっきりとした後味の悪さでございました。

関連するキッドのブログ→死体の処理に困っています(谷村美月)トリハダ6的に・・・(足立梨花)

 

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2012年1月17日 (火)

フリーターには向かない職業(松本潤)

松本潤主演なのだが・・・瑛太とのダブル主演といってもいいような感じで・・・これが刑事ものなら「相棒」と言うか「噂の刑事トミーとマツ」である。

「探偵もの」というジャンルは古くからあるわけだが・・・ストレートに探偵が主人公の連続ドラマとなると・・・記憶に残るドラマはかなり時間を遡上しないと該当作がない。

変化球なら前クールにも深田恭子の「専業主婦探偵~私はシャドウ」とか、栗山千明の「秘密諜報員エリカ」の二本立てがあったわけだが・・・なにしろ「女には向かない職業」なのである。前者は主婦が夫の浮気調査のために「探偵」になってしまうし、後者は元シークレット・エージェントの主婦が探偵社でパートするという設定で・・・素人探偵とプロフェッショナルすぎる探偵の差があるものの「探偵もの」としてはかなりの変化球なのである。

もちろん・・・数多くの刑事ものも「探偵もの」のバリエーションと考えることができるが・・・やはり公務と私企業の仕事では越えられない一線があるのだな。

そう考えると「私立探偵 濱マイク」(日本テレビ系2002年)は「探偵もの」のひとつの基準である。「私立」というところがポイントなのだな。公立の探偵なんていないのに私立というところがいかがわしいのである。視聴率的には大惨敗したドラマだが・・・「探偵もの」としては貴重な一品で・・・回によってはかなり面白かったりしたのである。

もちろん・・・松潤には「金田一少年の事件簿」(日本テレビ2001年)があるわけだが・・・この少年探偵は「職業探偵」ではない・・・やはり、変化球なのである。

だから・・・先行作としては松田優作の「探偵物語」(日本テレビ系1979年)に触れないわけにはいかないだろう。ここで登場する探偵は「明智小五郎」と同様の職種についている・・・純然たる探偵である。だが・・・「ラッキーセブン」の先行形としてはやや異質なのである。「探偵物語」は個人プレーの物語だからだ。

そうなると時計の針はさらに逆回転して・・・ついに萩原健一と水谷豊が修(おさむ)と亨(あきら)の名コンビを組む・・・「傷だらけの天使」(日本テレビ1974年)に到着する。

ここでは探偵事務所がチームとして機能していたのである。経営者(岸田今日子)や上司(岸田森)、さらには受付嬢(ホーン・ユキ)もいて・・・事件に対応していくというスタイルである。

「ラッキーセブン」は実はこのタイプで・・・松潤と瑛太はおさむとあきらのバリエーションなのである。上司や受付嬢は分化したり増殖したりして増員しているがその他の人々として処理できる。そして経営者である松嶋菜々子は岸田今日子なのである。まあ・・・まだまだ若いのでドス黒いともいえる怪しさは不足しているのだが・・・「家政婦のミタ」からここなので・・・余計にノーマルな感じに仕上がっているのかもしれない。

そこがものたりない感じがしないでもない・・・たとえば今回なら・・・単に警察に通報して人助けではあまりに甘口で・・・裏ではこっそり儲けを追求している菜々子の油断のなさのテイストも欲しくなるのだな・・・けれど、まあ・・・キッドは松嶋菜々子と松潤と言えば「花より男子」の道明寺姉弟だから・・・松潤が菜々子を口説くと擬似近親相姦のムードになるわけで・・・そこで怪しさを補完しています。・・・それは必要不可欠なのか?

で、『ラッキーセブン・第1回』(フジテレビ20120116PM9~)脚本・早船歌江子・野木亜紀子、構成・演出・佐藤信介を見た。演出は映画「砂時計」(2008年)や「GANTZ」(2011年)の監督で、シリーズ構成という任も担っている。作品全体に漂う「軽い感じ」はこの指揮者の「エンターティメントに徹した姿勢」によるものなのだろう。そういう意味では「その他のなにか」を求めるような高望みはできないのだな・・・もう、「見て楽しむ・・・それでいいじゃないか」・・・これにつきるドラマなのだ。それも職人技で・・・もちろん、たまにはこういう作品もなくてはならないよな。なんてったって娯楽なんだから。

「やさしくってちょっとバカ」な時多俊太郎(松本潤)はフリーターで将来のことよりも人妻(松本若菜)との情事に夢中なプレイボーイ気取りの・・・ある意味・・・社会的なゴミ人間である。まあ、でも若いのだからしょうがない。不倫が時には殺人と同じくらい深刻な罪であるなんて誰も考えたりはしない世界の人間なのである。一流商社に勤務する妻子のある弟(小山慶一郎)がいて俊太郎の母親(岡江久美子)は一安心なのだが・・・長男を見る目にはバカな子ほどかわいいニュアンスとかなりの不安が浮かんでいる。

そんな俊太郎の刹那の「お楽しみ」を粉砕するのが・・・北品川ラッキー探偵社のみなさんである。

夫からの依頼を受けた「浮気調査」でベテラン探偵・旭(大泉洋)、エース的存在の輝(瑛太)、探偵ピンクの飛鳥(仲里依紗)が包囲網を形成し・・・「浮気現場」を押さえられた人妻は「もう電話してこないで・・・主人にばれて大変なのよ」状態に突入である。俊太郎は欲望の捌け口を失って怒髪天をつくのである。

しかし、縁は異なもの味なものの法則に従い、トーストを咥えた俊太郎は通学途中で輝に遭遇・・・独特の追跡力を見せて・・・ついに北品川ラッキー探偵社にたどりつく。

社長の瞳子(松嶋菜々子)はキャリア8年で肉体派の輝を逃がさない脚力と・・・他人の妻を寝とって良心の呵責を感じない無法者気質、そしてそれなりに達者な口など・・・俊太郎の素質を一瞬で見抜き・・・即時、採用に踏み切るのである。

犬(松潤)と猿(瑛太)の犬猿コンビ誕生の瞬間である。

犬の初仕事は「消防士の兄(水橋研二)が同僚を殉職させてしまい退職・・・以後行方不明なので家出人捜索してください」という松浦茉菜(緑 友利恵)の依頼による失踪人捜索である。

探偵としては・・・地道な捜索手順があるのだが・・・自由人である俊太郎は張り込みひとつとっても耐えられず待機命令中に「おしるこドリンク」を買いに行っちゃう不始末なのである。

しかし、「新人くん」のやることなので大目に見る先輩たちだった。今年もたくさんのゆとりの社会人が入社してきます。サラリーマンの皆さん、心の準備はいいですかモードなのだな。

さて・・・複雑な手順は省いて・・・松浦兄を発見する探偵チーム。

彼は自暴自棄になり、自殺も考えたがそれもできずに・・・地下格闘技の世界で殴られ屋になり・・・誰かに殺してもらおうと決意していることが判明する。

探偵業務はここで終了である。

しかし・・・素人の俊太郎は松浦妹を口説こうと考えているので・・・もやもやするのである。

「このままじゃ・・・彼女に感謝されないじゃないですか」

気のいい探偵たちは・・・新人のわがままを受け入れるしかないのであった。

ただ一人・・・旭だけは警視庁北品川警察署の桐原警部補(吹石一恵)に地下格闘技場での賭博行為を通報してお手柄にしてもらい高感度をあげようという下心があります。

早速・・・いかにもな現場に潜入する探偵たち。

ここで、飛鳥は探偵ピンクとしてVIPルームに入るためのお色気作戦を展開するのだが胸元のアップさえなし・・・である。ゼブラークイーン・・・出し惜しみかよっ。

まあ、サービス、サービスするのは男性客にではなく女性客なのですな。

なにしろ・・・「殴られ屋の松浦兄の命を救うために通報を受けた警察が突入するまでの時間稼ぎとして犬と猿が半裸で肉弾戦」に突入である。

もう、男の裸に目がない一部愛好者は釘付けなのだな。

試合の結果は格闘技経験者の猿によるKO勝ちだったが・・・犬もそれなりの根性をみせて・・・犬と猿にはほのかな友情の兆しが芽生えるのである。警察が突入して地下格闘技場は摘発され・・・職を失った松浦兄には・・・精神的な回復の色が見えるのだった。

俊太郎の甥である翔太(後藤奏佑人)はドラマ中ドラマ「私立探偵・真壁リュウ」(主演・谷原章介)に夢中である。探偵になったおじを尊敬の眼差しでみつめるのだった。

もちろん・・・俊太郎が松原の妹を食べちゃったことは言うまでもないのだな。

今回の教訓・探偵は質問に素直に答えてはいけない。

関連するキッドのブログ→雪山遭難スペシャル第一夜、井上真央はありえないつーの連発で怒涛のハッピーエンドに到達するのです。

こうして私は欲しいものを手にいれた。(上野樹里)

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2012年1月16日 (月)

平清盛の自分探しが止まらない件(松山ケンイチ)

時代というものは恐ろしいものなのだな。

平安時代の末期に「自分探し」なんて・・・と思うのは教養のない証拠である。

人々がみんな貴族のように生きたいと願って到達したのが現代なのである。

現代の人々が一般的に自分探しをしているなら・・・血縁的には天皇の血筋であり、実質的に11才で従五位下の位階についた平清盛は貴族のはしくれである・・・当然、自分探しはおてのものなのである。

キッドにしてみれば庶民が「自分探し」などという高貴な振る舞いをしている現代の方がにわかに信じがたいのである。

そんな身分なのか・・・みんな・・・と唖然とするのであった。

で、『平清盛・第2回』(NHK総合20120115PM8~)脚本・藤本有紀、演出・柴田岳志を見た。実の父・白河法皇も育ての父・平忠盛も悪平太・清盛を猫可愛がりしているわけだが・・・愛人を無慈悲に殺したり、罪人の子を跡取りにしたりする殺伐さと整合性がないと感じる人もいるかもしれないが・・・白河法皇は最高権力者で、平忠盛も親衛隊長なのである。たとえ・・・女狐に産ませた子供でも見どころありと思えば面白がるし、器があると思えば目をかけるのである。

ただの駄々っ子に見える平清盛は11才にしてすでに青年男子のような異相の持ち主なのだから白河法皇は目の中にいれても痛くないと感じるし、平忠盛はこの男に賭けてみるかという気分なのである。

実に微笑ましい雅な男たちなのである。

その掌で華麗に暴れ、優雅に舞う清盛。この子供を自由に遊ばせ、戯れさせることこそ・・・大人の醍醐味なのである。

その世界観・・・その哲学・・・まさに平家物語の世界に酔いしれる日曜日なのである。

君よ君こそが日曜日よりの使者なのか。

このまま、ずっと遠くまで連れていってくだせ~。

さて・・・清盛が位階についた1129年は元号では大治(だいじ)四年である。この年の夏に白河法皇こと貞仁は逝去する。1086年に堀河天皇に譲位して以来、元号で言えば応徳、寛治、嘉保、永長、承徳、康和、長治、嘉承(ここまで堀河天皇在位)、天仁、天永、永久、保安(ここまで鳥羽天皇在位)、天治、大治(崇徳天皇在位)と43年間も権力の座についていたのである。元号が変転するのは天変地異や疫病の流行ごとに世直しを迫られるからだ。大治も天然痘の流行によって天治3年に改元されたのである。

毎年、首相の変わる現代の我が国とは違うのだ・・・ということを一考されたい。

しかし、最高権力者の地位というのは諸々のしがらみによって拘束されている。

衰えつつあるとはいえ・・・王家のバックには藤原氏という影の実力者が控えているのである。藤原鎌足の死後500年を経て脈々と生き続ける魔族藤原氏もすごいものなのだ。

おい・・・そろそろ、妄想に突入しているのか。

さらに・・・清盛を不吉の子と予言した陰陽師などの貴族にとりついた魑魅魍魎も跋扈しているわけである。過去には安倍晴明などの真の実力者もいたが・・・この時代には妖術も満足に使えないものが陰陽師面をしているのである。真の実力者なら天然痘など種痘で治療できるのだが・・・この時代にはなぜ牛車があるのか・・・その意味さえ忘却されているのだ。・・・もう完全に妄想文脈なのだな。

そういうこみいった権力構造の中・・・王家の血を持ちながら・・・下賤となったわが子を法皇は憐れむのである。

そして・・・愛人を殺させずにはおかないしがらみをもった主を平忠盛は憐れむのである。

そういう大人の世界なのだな・・・清盛を愛する男たちの世界は。

そうした大人たちの一種のせつなさを受けて・・・清盛は世直し大明神の一人として成長していくのだ。

源頼朝が物語るのは・・・そういう英雄神の物語なのである。

そもそも頼朝が祈る八幡神にしても・・・英雄神の神なのである。本当にたわけだった応神天皇、妻としてのアマテラス、母としての神功皇后の三身合体神である。ものすごい神霊パワーなのであるな。

頼朝にとってそういう古の神よりも・・・平清盛という生き神がいかにインパクトがあったか・・・恒例のイントロダクションにはそういう神語りが秘められているのだな。

できれば・・・あやかって・・・キッドも妄想全開のタマ(善なる神仏)とモノ(悪しき邪神)の源平忍者妄想を繰り広げたいものだなあ・・・機会があれば。

例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。

関連するキッドのブログ→平清盛(松山ケンイチ)を待ちながら。

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2012年1月15日 (日)

Happy Birthday My Mother・・・(山田涼介)

一回休んで「Q10」「デカワンコ」、一回休んで「ドン☆キホーテ」「妖怪人間ベム」とキワモノドラマの秀作を連打で生み出しているこの枠である。今回はお休みシーズンなのだが・・・なかなかどうして・・・三連打を放ってきたのだな。

主演はあらあらの「左目探偵EYE」のリベンジ、脚本家はおやおやの「ゴールデンボウル」のリベンジであるのだが・・・ヒットの要因は男二人よりも・・・W鈴木(京香&杏樹)の女優陣にあると思う。

図太いけれどちょっとバカな京香とちょっとバカだけどモンスターな杏樹・・・この組み合わせはタッグ・チームとして絶妙なのではないか。

心配して見守っていると・・・うふふ・・えへへ・・・あっはっはっはの展開なのである。おそるべし日テレ土曜ドラマ枠。

で、『理想の息子・第1回』(日本テレビ20120114PM9~)脚本・野島伸司、演出・佐久間紀佳を見た。どこぞの役人に「離婚して嫌がらせで赤ん坊の親権を獲得した」と嫌味を言われつつ、「母性本能なんて迷信だ」と断言するも・・・テレビで見た親孝行な新人プロ野球選手の発言に希望を見出した無芸大食の女・鈴木海(鈴木京香)・・・「わが子に家を買ってもらう」・・・明確な目標を持って母子家庭生活のスタートを切ったのである。

大前提が邪(よこしま)なのである。

それから16年。

母親の期待を上回る理想の息子に成長したのが鈴木大地(山田涼介)だ。脚本家の前作は「理想の母親」を追求した「GOLD」(2010フジテレビ)だったのだが・・・「理想の母親」よりも「理想の息子」を求めるあまり理想的でない母親の方が面白い・・・ということだな。

大地にとって母親は「ナンバー・ワン」の存在である。

なにしろ・・・彼女とのデートよりも母親の誕生日の方が絶対、大切なのである。

とにかく・・・ここまでは理想の母親に手玉にとられる・・・強化人間の物語なのだが・・・高校生になった息子は強化が過ぎて・・・少しずつ母親の手に負えなくなりつつあるらしい。それどころか・・・母親が息子にときめいてしまう事態にまで発展しかかっているのである。

ちょっとバカだがそれなりの美貌を持つ母親はパート先の店長に誘惑されかかっても・・・息子が店長の妻に密告・・・不倫どころか・・・パートをクビになる始末である。

店長はそのあおりをくらってジャガーに襲われた探検家と化してしまうのである。

その店長の妻というのが・・・大手建設会社「マルコバ」の創始者の娘であり・・・女豹そのものである小林光子(鈴木杏樹)なのである。夫は養子で気性がマルコバ向きではないと判断され系列の弁当チェーンの店長にとばされていたのであった。

息子のために失職した海の次の仕事は悪の巣窟として名高い「海王工業高校」の食堂のパートである。5キロのラーメンを軽々と平らげる海はマカナイ付の職種しか選択の余地がないのであった。

頭脳明晰に育った息子の大地は名門進学校「明風学園」に通っていたのだが・・・母の身を案じて無断で海王高校に転入してしまう。

そんな息子の行動に母親は・・・一抹の不安を感じるのである。

しかし・・・とにかく・・・ウチの子だけは「結婚したら嫁の言いなりで最後は施設行きを推奨する裏切り者」にはならないと信じるしかないのである。

一方、海王工業には母親に捨てられたトラウマを持つ番長・三船(藤ヶ谷太輔)や、その手下・内山(武田航平)が待ち構えていた。

屈折した三船はマザコンに激しい憎悪を抱き、マザコン狩りを慣行していた。その手法は「母親の写真の踏み絵」なのである。

「地獄の苦しみをのりこえてボクを愛でつつんでくれるそんな母ちゃんの面影をふめない」と断固拒否する大地。

そこで・・・やはり、母親の写真を踏めない同級生・小林浩司(中島裕翔・・・野ブタ。の桐谷弟である・・・そこそこ大きくなったな)と運命的な出会いをするのだった。

世間が狭いというご都合主義で浩司は女豹の一人息子なのである。

そして・・・女豹は息子がランボーやターミネーターのようにタフな男に成長していると信じているのだが・・・浩司はマザコンでありながら母親の期待を裏切って実は最弱の男に育っているのである。

金で友情を買おうとする浩司に最初は怒る大地だったが・・・「友達になってくれよう」とすり寄る浩司に子犬に感じる情を抱くのだった。

ふつう・・・こういう描写をしているとかなりキッドの妄想が入っていると思われるところだが・・・今回はほとんどありのままを書いています。

海王高校のボクシング部でマザコンゆえにリンチにあう大地と浩司。

「マザコン」と揶揄された大地はリングの中心で母親への愛を叫ぶのである。

「俺はマザコンじゃない・・・ただ母ちゃんが大好きなだけなんだーっ」

その頃・・・母親は・・・別れた夫そっくりの美術教師(金子ノブアキ)に出会い・・・なぜか動揺中だったのです。

これはやりたい放題のびのび野島伸司だな。

関連するキッドのブログ→ 『スクラップ・ティーチャー・教師再生・最終回』

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2012年1月14日 (土)

横山裕が古田新太で古田新太が横山裕で・・・って(沢木ルカ)

いやあ・・・ピッタリとはまるな・・・横山裕のチンピラ役。

もちろん・・・アクターとしてどんな役を演じでもいいわけだが・・・持って生まれた雰囲気を生かした配役というのはやはりあると思う。

横山裕はチンピラが似合うのである。

それもまた才能のひとつなのだなあ。

拝啓、父上様」(2007年フジテレビ)の板前見習いも似合っていたが・・・やはり・・・社会の底辺にいるものの凄みみたいなものを顔といい、目つきといい、体格といい・・・全身から醸し出すタイプなのである。

そういう意味で・・・横山裕が加齢すると古田新太になる・・・というのはえーっと思うと同時になるほどと思わせる部分があるのだね。

ちょっと・・・しびれたよ。

で、『13歳のハローワーク・第1回』(20120113PM1115~テレビ朝日)原作・村上龍、脚本・大石哲也、演出・高橋伸之を見た。毎度おなじみのタイム・ストリッパー・・・いや、タイム・トリッパー(時の旅人)ものである。原作はドラマの筋立てそのものにはあまり関係しないが・・・管理社会の秩序が維持される以上、職業選択の自由というものがいかに虚構性の高いものであるか・・・を皮肉った原作の精神はドラマにも濃厚に出ているようです。

現代からバブル時代へタイム・ワープ(時間遡行)となればどうしても映画「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」(2006年)を連想するわけだが・・・あの時、三本になったレインボーブリッジが1990年には建設途上だったわけである。

最近のヒットとしては「プロポーズ大作戦」(2007年フジテレビ)もある。タイムトラベラー(時間旅行者)は未来にも過去にも行けるのだが、フィクションの世界では過去への旅行が主流なのだな。

その理由は「過去にもどってやりなおしたい人が多数」だからなのであろう。もっともメジャーな時間旅行者であるネコ型ロボットも妻夫木のび太を更生させるためにレオンになってやってくるのである。時間軸に歪みがあるのか一部記述が乱れているんだもん。

こうした時間の乱れは過去が改編された時に起こりやすく、そのためにスーパージェッターなどのタイム・パトロールが活躍しています。

まもなく始まる「家族八景」の続編「七瀬ふたたび」では過去改変者は別の次元に移行するので現行時間がダイヤ通りに運行されたりもします。

ま、とにかく・・・時間を跳躍すると言いだしたら・・・基本的にはなんでもありということです。

過去も未来も星座も越えるから抱きとめて~って言われても一般の人は困りますがね。

ところで、この脚本家は「君といた未来のために 〜I'll be back〜」(1999年日本テレビ)で「何度か同じ時間をくりかえす」というリフレインものを一度やっているので・・・本作はかなり手慣れた感じがするのですな。ああ、久しぶりに10代だった仲間由紀恵が見たいものだな。

さて・・・2012年の小暮鉄平(松岡昌宏)は警察官だが現状に不満を感じ「怪しいハローワーク」に出向く。

そして「怪しいカラオケ店」を経て1990年に転送されてしまうのだった。

そこで鉄平は当時中学生だった自分自身・鉄平(田中偉登)を見出し・・・未来の地位を向上させるために・・・ヤング鉄平の改造計画に着手するのである。

過去では・・・なぜかやがて警視庁の管理官(古田)になるチンピラ(横山)や、怪しい塾講師(桐谷美玲)、怪しい女社長(風吹ジュン)にも出会うのだった。

しかし、一回目の過去改変ではアイテムとして補導された13歳の少女・仁科佳奈(沢木ルカ)の母親(松永京子)のグラビア・アイドル時代の写真を入手したにとどまるのである。

どうでもいいが・・・グラビア・アイドル相手に「いつもお世話になっています」なんて言ったらぶんなぐられると思うぞ・・・。脚本家は・・・AV女優とグラビアアイドルに一線引いてないのか・・・。ついでに男が思うほど女は男の自慰行為に寛容ではないことを若い人たちに一言申し上げておきますぞ。

関連するキッドのブログ→私は広末涼子・・・時の流れを越えて未来からやってきた・・・泡にまみれてよ~。よし、行くぞっ。

               →長い長い長い長い長い長い・・・長い結婚式になりそうです。(山下智久)

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2012年1月13日 (金)

ストロベリー・ナイトでつかまえて・・・。

ひとつの山をのりきったので・・・山というか山Pというか。

今回は時間調整である。

即日更新から翌日更新にチェンジするための日付としては13日の金曜日というのはなかなかに縁起がいいのだな。なにしろ・・・悪魔でございますからね。

そのための素材としては遅延更新の間に放送された『ストロベリーナイト』(20101113PM9~フジテレビ)とその連続ドラマ化作品である『ストロベリーナイト』(20120110PM9~フジテレビ)がいい塩梅である。

女性刑事が猟奇的な殺人事件に挑むという由緒正しい「羊たちの沈黙」の系列作品のひとつである。

クラリスのポジションは姫川玲子(竹内結子)で、「お譲ちゃん」と揶揄されるが30才の設定である。誉田哲也の原作小説でも年齢設定はほぼ同じであり・・・うってつけのキャスティングと言えるだろう。もちろん・・・活字の中のヒーローやヒロインには読者の数だけ幻想があり、異論は当然あるだろう。

十代において性的暴行を受けた過去を持つのだが・・・ドラマ化において高校時代の姫川を演じるのが岡本あずさである。

キッドはこの部分に抵抗がある。

竹内結子がなんちゃって高校生をやって犯されるべきだったと考えるのだな。

岡本あずさは確かに美少女だが・・・顔立ちがちょっと違うように思うのだね。

Himekawa1 
 

これが現在の姫川玲子警部補・・・捜査一課殺人犯捜査第十係主任。いわゆる姫川班のボスである。独特の「勘」で犯罪者の行動パターンを見抜き、犯人の特定、検挙に尋常ならざる力を発揮するのである。

ノンキャリアでありながら抜群の成績で異例の昇進を遂げているのである。

しかし・・・過去に心に受けた傷痕は深く・・・時にはフラッシュバックに襲われ失神したりもするのだ。

その落差にリアリティーを持たせるのが問題の回想シーンなのである。

実際、ドラマ化における凌辱のシーンはテレビ番組としてはかなりハードにしあがっている。

Himekawa2_2だが、そのシーンを熱演する岡本あずさにそこはかとなく違和感を覚えるのである。

違う娘なんじゃないの・・・という気分になってしまうのだな。

妄想で大抵の違和感修正が可能なキッドにして生じる違和感である。

これはエンターティメントとして大問題なのではないか。

・・・いや、別にそんなに問題じゃないと思うぞ。

とにかく・・・このままでは姫川警部補整形疑惑が浮上してしまうのである。

・・・いや・・・金輪際、浮上しないな。

でも、竹内結子なんちゃって高校生の回想シーンがとにかく見たいんだもん。

Himekawa3それが無理なら・・・キャスティングをもう少し吟味するべきじゃあるまいか。

たとえばこの娘なんてすごくいいと思うだな。

おい・・・。

もう、目元なんか・・・そっくりだし。

おいおい。

口元のほくろなんか瓜二つでしょ。

本人だよ・・・若い頃の・・・。

・・・あっ。

♪時は流れて 時は流れて そしてあたしは変わってしまった(中島みゆき『時は流れて』)

連続ドラマ『ストロベリーナイト・第一回』は「シンメトリーだよアジの開き殺人事件」である・・・殉職した大塚巡査(桐谷健太)の補充として葉山巡査長(小出恵介)が登場。田中圭ほどではないが・・・殉職率の高い配役だと・・・考えます。

関連するキッドのブログ→ハムレットを知っているのか知らないのかどうでもいいのかそれが問題だ(松本潤)

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2012年1月12日 (木)

警視庁より入電中・・・北新宿駅前にて女性警察官による暴行事件発生!(山下智久)

脚本家は「ケータイ刑事銭形泪」、「ケータイ刑事銭形零」、「ケータイ刑事銭形雷」、「ケータイ刑事銭形海」、「ケータイ刑事銭形命」などを経て、「泣かないと決めた日」「名前をなくした女神たち」で一発(二発)当てた後、ここである。

しょうもない脚本を書き続けた後、ついに開眼したタイプなので・・・ときどき、しょうもない部分もありますが・・・とりあつかい注意の榮倉奈々をそつなく使いこなし・・・「クロサギ」(2006年)以来の山下智久TBSドラマ主演の重圧にもめげず・・・それなりに仕上げた感じでございます。

まあ・・・山崎努を筆頭に蟹江敬三、吉行和子、設楽統(死体)など芸達者も多数投入されているのも手伝っていると思われますけどねーっ。・・・っていうか、キャスト豪華すぎるだろう。山Pだからか。それにしても山Pは「コード・ブルー」以来の連ドラなのか・・・キッドも休んでいたのでまったく空白感がないな。いわばキッドを棺桶から引きずり出したわけで・・・これが光あるものの重力というか・・・やはり、それだけパワーがあるということなのでしょうかーーーーーーーっ。

さて、こうしている間にも天使テンメイ様は第一稿を書きあげているわけだが・・・よく考えるとここ3回ほど、キッドは日付的に即日レビューになっているのだな。何か追い立てられる感じがするのはそのためだった・・・と今、気がついたのである。明けてからレビューを書きだす体制の翌日レビューにしないとものすごく・・・心情的にあせるのです。どこかで切り替えないと心理的圧迫感で窒息しそうだよ。

そのために・・・なかなか本題に入っていけないのだな。ここで死んだりするとものすごく心残りな感じになるわけである。

ある意味、コードブルーは「ひきもどす山P」だが・・・今回は「見送る山P」と言っていい。

山Pに命を救われるのが無理なら・・・せめて見送ってほしい・・・そういう展開なのか・・・いや・・・あくまで妄想上は・・・。

いい加減に本題に入れよ~。

で、『最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜・第1回』(TBSテレビ20120112PM9~)脚本・渡辺千穂、演出・石井康晴を見た。なんと・・・史上最悪にかなり近い出来の「ランナウェイ〜愛する君のために」(平均視聴率9.99%)の後番組である。もうすでに「葬式」の匂いがします。しかも・・・演出家は連投だ。それが・・・とにかくまともなドラマを演出しているわけである。ドラマにおいて脚本家の占めるウエイトがいかに高いかを示す好例だろう。「クロサギ」はもちろんのこと、「白夜行」とか、「流星の絆」も演出したディレクターなのである。前のクールは死亡寸前のストレスだったことは十分に妄想できる。

さて、あまりにもすごい「場」を与えられて・・・脚本はやや盛り込みすぎである。

キッドにしても「葬儀社」と「ミステリ」という観点から即座に『モップガール』(2007年テレビ朝日)を想起してしまった。もちろん、死因究明ものということでは『きらきらひかる』(1998年)という金字塔があるわけだが・・・葬儀社もの・・・といえば『モップガール』は最終形態に近い完成度である。

もちろん・・・マイナーリーグ相手なのでメジャーはごり押しも可だけれどな。

で、一方では「ただいま11人」(1964年TBSテレビ)から続く・・・おいっ、先行形としても60年代はないだろう、ほとんど誰もピンと来ないぞ・・・「ひとつ屋根の下」(1993年フジテレビ)とか「あいくるしい」(2005年TBSテレビ)とか、「11人もいる!」(2011年テレビ朝日)・・・それが言いたかったのか・・・とか・・・大家族もののホームドラマの系譜があるわけである。

それはそれである意味、老舗のリメイクという方向性があるのだな。

さらに言えば謎の男・岩田(山崎努)の登場によって映画『おくりびと』(2008年)の「死をめぐる穢れと浄めの確執」といった哲学的なテーマの気配も感じさせるわけである。

一歩間違えると映画『永遠に美しく』(1992年)まで行ってしまう危険なテーマである。

しかし、まあ、「スカイハイ」(2003年テレビ朝日)方向には発展しないだろうけどねえ。

とにかくテレビ朝日の金曜ドラマナイト枠に絞ってみても「スカイハイ」「モップガール」「11もいる!」といろいな気配が漂うのである。地上波ではど深夜の「ケータイ刑事」シリーズの作家から見れば金曜ドラマナイト枠は憧れの対象だもんなーーーーーっ。そういうことなのかっ。

ひとはかならずしぬのにどうしてうまれてくるんだろうか。

このひらがなで書くしかない・・・無垢な問いかけに答えがでるとは思えないが・・・「「プロポーズ大作戦」(2007年)ではヒロインの親友だった榮倉奈々がのしあがり、ついには山Pを一本背負いするところまで来たということはすごいことだと考える。それよりも紙魚子出身の前田敦子のちょっとSな妹役のさらなる向上に一番期待しています。

「お兄ちゃん、ダメッ」・・・このパターンですよう・・・ぱふっ。

・・・人は皆、「時」という乳母車に乗っている。

なぜ、生まれたのかを知らないように・・・なぜ、死ぬのかを知らない。

しかし、乳母車は突然走りだし・・・ふと止まるのである。

渡英中の恋人あずあず(美馬怜子)・・・が不在なのをよしとしてまさぴょんこと井原真人(山下智久)は合コンの誘いに乗るのだった。

・・・おい、ここから本題かよっ・・・そうですが、何か?

・・・幼い子供が保母さんの手押し車で運ばれるように人は誰も死に向かって運ばれている。

その最終章は一般的に葬儀によって締めくくられる。

もちろん…死後の世界を信じない者にとって葬儀は死者には何の意味もない儀式だ。

どのような葬られ方をしようとどんな棺におさめられようとどんな手向けを受けようとも・・・死者は何も感じないし・・・何も得ることはない。

しかし、人間は葬式が大好きなのである。

だから・・・葬儀社が忌み嫌われる企業であるという前提はキッドには全くわからない。ある意味、憧れの企業ナンバーワンではないか。

だが・・・そうなるとこのドラマの言わんとするところが根底から覆るので・・・葬儀社は不人気という設定に迎合することにする。

けれど・・・「霊にとりつかれた話」ひとつするにしても・・・「実は私、葬儀社につとめてまして・・・ある日、右肩が急に重くなりましてね・・・その日の仕事終わりに読経後の僧侶に呼び止められて・・・あんた・・・仏さんに肩をつかまれてるよ・・・と言われてギョッとしたことがあるんですよ」とリアルに怪談できる魅力があることだけは譲れないのである。

まあ、それはそれとして・・・居酒屋チェーン店の中枢企業に勤務する真人の実家は葬儀社なのであるが・・・真人は家業を嫌い、大学を卒業してフランチャイズ式搾取の手下としてエリア・マネージャーの地位を獲得したのだった。

「黒い居酒屋」と言ってもピンと来ない人がいるかもしれないが・・・要するに儲かればピンはねをして、経営難に陥れば各店舗の経営者に赤字を押しつけるリスク分散型の企業ということである。

まあ、早い話合法的なやくざです。

その日、真人は地下鉄のホームで・・・ちなみに北新宿駅はフィクションである・・・電車に飛び込んで列車の運行と人生を止めようと・・・しているように見える若い女に声をかける。

「あきらめなければ・・・あきらめなくてよかったと思える日がきっとくる」

その慰めの言葉に唖然としたのが・・・警視庁高円寺署勤務の刑事・坂巻優樹(榮倉奈々)だった。

つまり、トーストを咥えて登校中に転校生にぶつかったのである。

やがて・・・真人は合コンで優樹と再開する。

つまり、転校生は同じクラスだったのである。

セオリーですね。

こうして、山PはヨッパッPと化して巡り合った二人はなじむのだった。

街中で優樹を台車に載せ、真人が運搬する仲になるのだ。そういう仲になるのは性交するより難しいと思うがど深夜出身の作家が書くことなので目をつぶってください。

ここで謎なのが・・・優樹が拝んだ死者はだれなのか・・・ということである。

そして、この謎が何かの伏線なのかどうかもまた謎である。

一応の仮説としては故人である優樹の祖父(元・警察官)が捜査線上に浮かぶのであるが・・・そこで殉職したのか、病死したのか、それとも自殺や事故なのか・・・は不明である。

この他にも伏線らしいものは各所にある。

真人の妹の一人、長女・晴香(前田敦子)は足がやや不自由なのだが・・・そうなった事故の詳細はまだ隠されている。

次女の桃子(大野いと)は担任教師(黄川田将也)と不倫関係にあるようだが・・・どの程度の関係かは不明である。

三男の隼人(知念侑李)は大学生なのだがその偏差値は不明である。ちなみに実の父親は日本大学を卒業後、バルセロナ五輪で銅メダルを・・・関係ないだろう。

そして兄である長男・健人(反町隆史)が放浪している理由も謎だ。

ついでに盆栽をこよなく愛するらしい父親・浩太郎(蟹江敬三)が愛煙家なのかも、常用する煙草の銘柄がケント(KENT)なのかも不明だ・・・意味不明だぞ・・・きっと。何よりも井原家の母親不在の理由も霧の彼方なのである。

とにかく・・・どうでもいいような謎がちりばめられていて・・・ケータイ刑事シリーズを一度でも見たことのあるものなら背筋に悪寒を感じるはずである。

家業をなぜか・・・毛嫌いしている真人は大学進学と同時に実家と疎遠となり・・・五人兄弟のうちで親の手伝いをしているのは晴香一人なのだった。

死体にはこよなく優しい浩太郎だが・・・なぜか子供たちとの付合い方には問題があったらしい。

一番の理解者である晴香にも「死ねばいいのに」と言われる始末である。

このように・・・登場人物を紹介するだけでも骨の折れる豪華なキャスティングである。

葬儀社・井原屋の古参の従業員・田中(大友康平)に触れる余力がないほどなのだな。

ところで死者の「死」は死者にとっては何の意味もないが・・・生者にとっては時に重大であるというお約束が展開すると・・・ドラマも真人もようやく転機を迎えるのだった。

真人にとって26年生きてきて最悪の日が訪れるのである。

ここまでドラマ内の時系列が行ったり来たりするのでその日がいつなのか・・・非常にわかりにくいのだが・・・まあ・・・交通整理がいろいろと大変だったということは妄想の範囲内である。

最初の犠牲者が父の浩太郎なのか・・・真人の指導下にある居酒屋店長・長田(設楽)なのかもうっかりすると不明になる構成の悪さなのだが・・・死ぬのは・・・浩太郎→長田なのだな。

最悪なのは病院で心停止する長田の死亡推定時刻を刑事・優樹が手帳を見ながら告げる場面である。

転落したと思われる時間と・・・死亡時刻は・・・違いすぎるのだが・・・刑事ものではないので聞かなかったことにするしかないのだった。

まあ・・・そんなこんなでじっくりとドラマを見ていると落ち着かない気分になる瞬間もあるが・・・真人が人生を見直していく過程はさすがにスムーズに描かれている。

なぜなら・・・やはり、山Pの存在感が抜群だからなのであるよね。

そのこたえはきっとかぜにふかれている。

(ここからは刺激の強い描写を含む可能性があります。過敏な神経の皆さまはボリュームを絞ってお楽しみください)

冬は死の季節だ。木々は枯れている。風は生の証である熱を奪う。

冬の好きな人もいるかもしれないが・・・俺は嫌いだな。

その理由は俺が生まれた家が葬儀屋だったことにある。下手なドラマは自然をうまく取り入れないで時にはかゆいところに手が届かない感じがすることがあるが、俺のちょっと寒そうな顔で感じてもらいたい。その日は冷たい木枯らしが吹いていたのだ。

俺が下請けの雇われ店長に対してマニュアル通りに厳しく指導した時も。

黒猫なみに不吉な黒い霊柩車が窓の外を横ぎった時も。

深夜アニメのようなお安い出会いにつかのまのときめきを感じた時も。

強くて冷たい風が吹いていたのだ。

そして、その風は俺の心の中にも吹いている。

冬は死の季節なのだ。その証拠に秋には万床だった病院のベッドも年を越せばすっかり空きが目立つようになる。ほとんどの患者は生きて退院できなかったのだな。そうなれば・・・我が家は商売繁盛なのである。

いつから・・・自分の家と・・・自分の家の仕事と・・・仕事に励む父親に嫌気がさしたのかははっきりしない。

病死した俺のクラスメートの病室で父親が営業スマイルを浮かべているのを見た時かもしれないし、冬につきものの火事によってこんがり焼けたグロテスクな焼死体をうっかり見てしまった時かもしれない。あるいは死後数日たって発見された腐乱死体の強烈な匂いが夕飯時になっても父親に残り香してどうにも耐えられなくなった時かもしれない。

世の中には二通りの人間がいる。いじめて喜ぶ人間といじめられて喜ぶ人間だ。

俺はどちらかといえばそのどちらにも属さない「いじめ」というものになじめない人間だったように思う。

子供の世界には「死」というものの存在感は希薄である。その中に「死」を強烈にアピールするものがあれば自然に「いじめ」の対象となるわけである。

もちろん、俺も「死神」とあだ名され・・・触れば不潔な存在として疎外され・・・忌み嫌われたのである。

そうしたつらさが俺と俺の家との間に冷たい風を吹かせたのだろう。

俺は大切な何かをどこかに吹き飛ばされ・・・そして寂しいゾンビのような青春を過ごしたのだった。

大人になった俺は鬼になった。

世界が「暗黒面」に支配され・・・生き地獄である以上・・・いじめられる死神よりもいじめる鬼になった方が少しはマシだと思うからだ。

鬼の目から見れば・・・亡者のくせに善人ぶる人間など憎しみの対象でしかない。

「売上のノルマが達成できていないのに・・・サービスの飴を経費に計上するなんて・・・店長、あんた、コロンブスなめてんのかよ・・・金使って客をよろこばせてんじゃねえよ。客からしぼりとってヒーヒー言わせるのがビジネスってもんだろ」

他人に上っ面の感謝を受けたいならボランティアでもしていればいいのに・・・と鬼は本気で思うのだ。なぜそう思うのかは・・・鬼にもよくわからない。

その答えはずっと昔に吹き飛ばされてしまったからだ。

とにかく・・・その日は強くて冷たい風が吹いていたのである。

そして・・・翌日・・・叱り飛ばした店長が高いビルから転落したことが上役によって知らされる。

俺はいじめていたクラスメートに自殺されたいじめっ子の気分がわかったような気がした。心の底から鬼ならば勝利の喜びや達成感があるのかもしれないが・・・単にじゃんけんに負けて鬼になった俺はたちまちいやな気分になるのだった。

「死」から全力で逃げ出したはずなのに「死」はけして逃がしてはくれないのだ。

俺は自分の甘さを思い知ったんだな。

しかし・・・店長はまだ「死」には追いつかれていないようだ。

俺は生と死の境界線で安堵の吐息をつく。

だが・・・それも・・・束の間・・・実家で家業を手伝う妹から・・・父・危篤の知らせが届くのだった。

医者も看護婦も人手不足なのか・・・瀕死の父親は放置されたまま・・・俺の目の前で悪態をつきながら息をひきとった。

俺が確信したのは「霊柩車を見た時に親指を隠さないと親の死に目にあえない」というのは迷信だったということだ。

なにしろ、霊柩車を毎日見て育った俺なんだから。

家出中の兄貴は別として・・・幼い弟妹たちは・・・気持の動揺をかくせない。

お安い携帯ドラマなみに姉妹の暴力の応酬があって南極大陸に行った兄よりも格段レベルの高い兄である俺の胸で下の妹の桃子は泣きじゃくるのだった。

おそらく・・・ツンデレ体質の上の妹はぴりっとしない俺に「葬儀社が家族の葬式を他社に頼んでメンツがたつのかよ」とマジすか・・・の説教をするのである。

その時・・・俺の心の中で凍りついていた何かがゆっくりと溶け始めたのだった。

それが下の妹の胸のふくらみの温もりによってなのか・・・上の妹の厳しい言葉の熱さによるものかは定かではない。

ひょっとしたら・・・昔から家にいる他人の従業員・田中さんのうるんだ瞳のせいかもしれない。

どこからか風にのって囁く声がするのだ。

ことばにならない・・・むねのあついたぎり・・・こぶしをかためろ・・・たたきのめされても

田中さん・・・あんたがささやいているのかそれとも野良犬の遠吠えなのか。

こうして・・・俺は嫌っていた親父の葬式を喪主として行うことになる。

玄人である妹の晴香は素人の俺を手ほどきするために一夜漬けで夜をあかしたのである。久しぶりに妹とすごした時間に俺は胸騒ぎを感じるのだった。

「おれ・・・うまくできたかな・・・」

「うまいとかへたのレベルじゃないわよ・・・ただお手本通りにやっただけって感じ」

ぎこちないながらも葬式を終えた俺の前に謎の男がやってきた。

「あんた・・・まだ心から悲しめていないな・・・」

「なんでそんなことがわかるんだよ」

「いいかい・・・この世は美しくもあるし・・・醜くもある・・・どちらが好みかは人それぞれだが・・・それでおまんまをいただくからには・・・それなりにコツってものがあるんだ。ほら・・・オヤジさんの丹精した盆栽をみてごらん。一日・・・主がいないだけでもう醜くなりつつある。枝先は枯れている・・・死というものが白くむき出しになっているんだ。それをこうしてハサミでちょっと切り取ってやる。こうすれば・・・盆栽はより美しく存在することができるのだ。たとえ・・・枝先は死んでも・・・盆栽は生きているんだからな」

「オヤジの盆栽友達だったんですか・・・」

「・・・」

その夜・・・父親の遺品を整理していた俺は・・・悪態をつきながら死んだ親父が大切にしまってあった俺自身の「過去」を発見し・・・突然、涙がとまらなくなるのだった。

とおくにはなれていてもわかりあえる・・・わずかなぬくもりわかちあったように

どこかで田中さんが歌っているのだった。

鬼と死神の間には仏がいるのである。俺の仏心が覚醒しようとしているのだった。

翌日・・・鬼の上司から・・・業務記録の訂正を求められた俺は転落した店長の危機をたちまち感じ取るのだった。

そして・・・向かった病室では母一人子一人の店長が母親・光江(吉行和子)を残し親に先立つ不孝を実行するのを目撃する。

仏心のついた俺はたちまち・・・罪の意識にさいなまれるのだった。

俺が殺したかもしれない・・・店長。あやまりたくても本人はもうこの世に存在しないのである。

俺は救いを求めて街をさまよった。暴力的な刑事は俺をストーカーしているらしく何度も偶然に出会うのだった。

「だってあなたは私にあきらめるなって言ったでしょ」

そうだ。結局、生きている限り、何かをしてしまうのが人間なのだろう。

そんな俺にできることはもはや・・・葬儀だけなのである。

俺の中に眠っていた葬儀屋魂に火がついたのだった。そんな燃え上がる俺に晴香は冷たくて熱い愛の言葉をなげつける。

「なにやってんの・・・上で行かないで、下で行って」

そして田中さんの幻の声も鳴り響くのだった。

はげしくたかぶるゆめをねむらせるな・・・あふれるおもいをあきらめはしない

せめて傷心の母親を慰めることは何かできないか・・・と俺は思う。

なぜなら・・・こんな時本当に母親をなぐさめたいはずの店長はこの世にいないからである。

俺は心の命じるままに・・・店長の「死」そのものを探り始めるのだった。

木枯らしに吹かれて夜おそくまでビラをまいていた店長。

客の笑顔を大切にしていた店長。

親の死に目に会いたかった店長。

そんな店長を俺は本当にいじめ殺したのか。そして店長はいじめ殺されるような弱い人間だったのか・・・。

知り合ったばかりの刑事・優樹と店長の転落現場を訪ねた俺はついにひとつの可能性を見出す。

独身の店長が父親のいない子供とキャッチボールをした屋上。

柵の外に転がったボール。

他人の笑顔を見ることをこよなく愛した男が陥ったアクシデント。

そうさ・・・その日は風が強かったのだ。

転落場所で店長の指紋のついた新品のボールを発見した俺は・・・転落現場に子供が供えた店長のお気に入りの飴と店長が最後につかんだ愛の記念品を母親に示すのだった。

「あの子は・・・いじめられて死んだのではなくて・・・単におっちょこちょいだったっていうんですか」

「いいえ・・・優しい人だったんだと・・・俺・・・いや・・・私は思います」

「・・・・・そうですか・・・・そう言われるとなんだかうれしいわ・・・そう・・・そうなのよ・・・あの子はやさしい子だった・・・本当に・・・優しい・・・優しい子だったんだよ・・・・・うえーん・・・・・・・葬儀屋さん・・・ありがとう・・・」

人はどこからともなく現れてどこへともしれず消えていく。

それはまちがいのないことだ。

そして愛するものを失った生きている人間の心の痛手が大きいことを俺は知っている。

そんな遺族から感謝の言葉を告げられる父親。そしてそれを誇りに思っていた幼い自分。

父親の遺品に混じっていた幼い日の俺の作文にはそう記されていた。

俺は失っていた過去を取り戻したのだった。

なぜなら・・・風に吹き飛ばされた答えもいつか風に吹き流されて戻ってくる場合があるからだ。そういう奇跡はいつだってどこにだってあるんじゃないのかな。

愛がすべてさ いまこそ誓うよ 愛をこめて 強く強く

田中さんの歌声に励まされて俺は・・・父親の愛した仕事を受け継ぐ決心をしたのだった。

生まれて死ぬまでの人生は結局、愛を探す旅路なのだから。

もう・・・心ないもののささいな誤解なんて気にならないのさ。

だって俺にとって生きることと愛することはまったく同じ意味なんだから。

山Pをこよなく愛する皆様はこちらへ→エリお嬢様のレビュー

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はこちらへ→mari様のレビュー

関連するキッドのブログ→誰かがその奇跡を待っているコード・ブルー(山下智久)

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2012年1月11日 (水)

相棒(香里奈)からの・・・ダーティー・ママ(永作博美)

水玉模様キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!! (「カーネーション」より)

いきなり別件かよっ。

いや・・・尾野真千子・主演の連続テレビ小説「カーネーション」に一言も触れないで行くのは辛すぎるから。しかも脚本は「火の魚」の渡辺あやである。あの池脇千鶴の濡れ場と江口のりこの濡れ場が同時に楽しめて損だか得だかわからない映画「ジョゼと虎と魚たち」(2003年)の渡辺あやが「ちりとてちん」も「ゲゲゲの女房」も超える連続テレビ小説を紡いでいるというのに賞賛せずにおかれようか。

だからって小文字はよせよ。

だって本題大したことないんだぜ。なにしろ・・・撃たないで関連だからな。

そ、そうなのか。

で、『相棒・Season10・第11話』(テレビ朝日20120111PM9~)脚本・戸田山雅司、演出・近藤敏明を見た。Season5・第10話「名探偵登場」のハードボイルドな探偵(高橋克実)が再登場し、「名探偵再登場」である。「名探偵登場」(1976年)「名探偵再登場」(1978年)は共にピーター・フォークが出演しているミステリーのパロディー映画である。高橋克実のキャラクターはハードボイルドを茶化している「名探偵再登場」により強く影響されている。

リフレインのギャグとして・・・探偵の女が赤裸々な過去を語り始めると探偵(ピーター・フォーク)が「それ以上聞きたくない!」と泣きを入れるのが秀逸な作品である。

『相棒』のレビューは基本的にはスペシャルにとどめたいのだが、去年も今年もできなかったので一応、書いてみた。特にテレ朝の刑事もの→日テレの刑事ものというコンビネーションも久しぶりだしなあ。

「浮気調査」が「遺産相続をめぐる騒動」に発展する由緒正しいハードボイルドな展開である。

今更だが・・・ギムレットへのこだわりはハードボイルドの古典『長いお別れ』(レイモンド・チャンドラー)のセリフ「ギムレットには早すぎる」に由来する。まあ、ミステリ・ファンには言わずもがなですが。

『長いお別れ』の名探偵フィリップ・マーローは富豪に縁のある事件に関わるので・・・今回のように資産家のスキャンダルはお約束の展開なのである。

ただ一つ言いたいのは今回の執事が「お家のためにやった」というのは全く嘘だということである。相続人の本当の父親は明らかに執事であり、私欲に溺れたのである。名家の執事たるもの・・・家の存続のためには正統な養子を迎えるか、主人に人工受精を推奨するべきだろう。

関連するキッドのブログ→1591年京都の旅(水谷豊)新・相棒の昔の恋人どすえ(檀れい)

で、『ダーティー・ママ!第1回』(日本テレビ20120111PM10~)原作・秦健日子、脚本・白木朋子、演出・南雲聖一を見た。言わずと知れた『家政婦のミタ』の後番組である。幸福なのは原作者が脚本を書かなかったことである。今回の脚本家はほぼ連続ドラマデビューの人だが、それでも原作者の書く脚本よりは大分まし・・・う、撃たないで~。

さて・・・目的は果たしたな。

ダーティーな刑事といえば・・・もちろん、「ダーティーハリー」なわけだが、今回は子連れ狼が女刑事に転生したら・・・というアイディアである。

結果、支離滅裂な刑事ドラマになっているわけだが・・・そこが面白い。正統の上の正統の「相棒」の後にすっとこどっこいの「ダーティー・ママ!」は実にひねりがきいているのだな。

「デカワンコ」のようなキュートさはないが・・・いつものようにエキセントリックな永作といつものようにマイペースの香里奈がなかなか絶妙なコンビネーションになっている。

ジンが永作でライムジュースが香里奈である。

シェイクしてカクテルグラスに注げばそこそこおいしいギムレットが出来上がるのだった。

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はこちらへ→mari様のダーティー・ママ

関連するキッドのブログ→ヒロインの出番はありますか?(夏帆)マザコン(岡田将生)ストッキングにコンタクト(香里奈)

               →あなたはとてもいい人、でも初体験の相手としてはドブ(森山未來)知るかボケ(信川清順)

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2012年1月10日 (火)

Heaven?いやNirvanaです・・・瀧本美織のような香り

おい・・・本気なのか・・・ということである。

いや、ドラマのことではなくて四日目に突入した連日更新についてである。

予定では「家族八景」を待ちながら・・・開始まで休眠する予定だったのに・・・つい、火田七瀬だけに火がついてダブルをやったらトリプルという習性で三日連続の更新である。

その上に・・・また更新しやがって。

いや、困ったもんだな。脚本家が自作をアレンジしてリメイクするのはいいとして・・・「ランチの女王」と「デトロイト・メタル・シティ」の合体は相性悪すぎるだろう。しかも薄汚れたロック・ミュージックで20年前に青春回帰かよ。30才の男は20年前、10才だぞ

・・・って、そのパターンもやめなさい。

そんなこと始めると、際限なくなるぞ。今回は軽いノリでやるって約束したでしょ。

で、『ハングリー!』(フジテレビ系20120110PM1015~)脚本・大森美香、演出・本橋圭太を見た。キッドのブログとしては瀧本美織が初登場なのである。ほぼ、落ち度のない顔立ちで「美しい」も「かわいい」もこなせる20才である。映画「食堂かたつむり」とドラマ「てっぱん」があり・・・川口春奈の年上のライバルといえるだろう。その中間に武井咲が位置する。

ドラマとしては彼女をじっくりと鑑賞するのが第一主題だが、可もなく不可もないな。

以上・・・おい。

まあ、脚本家的に・・・ということで「ブザー・ビート」と同様にドラマ内で使用された楽曲についてメモしておくことにしよう。

主人公の山手英介(向井理)の中学生時代、うっかりと自分の世界観を発現して愚昧な女子中学生たちにリンチされた時のことである。

多勢に無勢で圧倒される幼い英介の反抗のきっかけとなるグランジが・・・Nirvanaの「Smells Like Teen Spirit」(1991年)である。

安いガキ向けの香水が匂うじゃねえか

すっげえぶっとぶ奴をしこたまやろうぜ

三人だっていいぜ

この世はゲスで自分は最高だとおもってるんだろ

俺なんかただヘドを吐くだけさ

もしもし もしもし 聞いてんのかよ

大丈夫、誰にも見えやしねえ

ぶっとんじまおうぜ

どいつもこいつもおバカでビョーキなんだぜ

おらおらぶっとんじまうのさ

あいのこもしろんぼも吸血鬼も俺のすっげえアレもな・・・

ま・・・とにかく口汚いってことだ。

さて・・・本来、記憶の女神・ムネモシュネの九人の娘たちはムーサと呼ばれる芸能の女神グループである。それに対してドラマでの麻生時男(稲垣吾郎)がオープンした店の名「ガステレア」とは『美味礼賛』の著者である18世紀のフランスの教養人・ジャン・アンテルム・ブリア・サラバンが食道楽の果てに妄想した10番目のムーサ、味覚芸能の女神である。ある意味ではゴチバトルをつかさどる女神ということだな。

ところで、フランス料理店を舞台にした傑作と言えば佐々木倫子のコミック『Heaven?』(1999年)があるわけである。このコミックに登場するレストランは「ロワンディシー(この世の果て)」なのであった。

まあ、ニルヴァーナ(涅槃)に彩られた「ル・プティシュ」と食道楽の「ガステリア」そしてヘヴン(極楽)の別名「ロワンディシー」・・・どの店に行きたいか・・・と言えば・・・初回を見る限り、キッドは断然「ロワンディシー」なのだった。

関連するキッドのブログ→煙草吸って裏表のあるビッチはじめました(相武紗季)ブ、ブザー・ビート(山下智久)もげっ(北川景子)

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2012年1月 9日 (月)

平清盛(松山ケンイチ)を待ちながら。

いや、平清盛は始まっているのだが・・・今回は「誕生篇」なので松ケン清盛はオアズケ状態である。

久しぶりの平家物語・・・しかもかなりダークサイドの予感あふれる『平清盛』(第1回NHK総合20120108PM8~)を堪能いたしましたよ。

それにしても王家(このドラマにおける皇室)の貞仁(白河法王)はやりたい放題だったな。

「ちりとてちん」の脚本家・藤本有紀である。このやりたい放題はこのまま続くことが十分に予想されるのでウハウハヒヤヒヤである。

この世をどう認識するかは・・・その人の知性のレベルを示すとも言えるのだが・・・平成日本の閉塞感を祇園精舎の鐘の音と考えれば、みちのくの人々の苦境を顧みない・・・国会議事堂の人々はまさに「平家物語」の王家周辺の人々に擬えることが可能である。

そういう序章になっているのです。

これは・・・燃えるね。

燃えあがれ燃えあがれ燃えあがれ清盛なのだね。

「己は犬なのか・・・犬であらねばならぬのか」

深夜なら「いや・・・むしろ・・・あなたの犬になりたい」で自己完結するのであるが、ゴールデンタイムなので「犬であってなるものか」となり「平家でなくば人でなし」にと発展する凄まじいほどの起爆力を感じるのですねえ。

ちなみに平清盛=貞仁のご落胤はほぼ史実と言っていいほどの異説である。

貞仁の愛人の一人・・・祇園女御の血縁者(妹とも言われる)を生母としているのが定説だからである。

だから・・・あまりにもドラマチックな出生の秘密は実は本当の話なのである。

そして平清盛のすごいところは「そういう生まれならこうなってもしかたない」というのをほぼ理想的に展開していくところにあるのだな。

最高権力者である実の父にないがしろにされたらそりゃ、燃えますってば。

そして、清盛は魔王と化していくのです。

今年の大河ドラマは腐りきった貴族の世を地獄の業火に引きずり込む・・・そんな魔王の物語なのです。

銭ずら・・・この世は銭ずら。

銭ゲバから平清盛へ・・・松ケンの転生を1年間楽しめるかと思うと血液沸騰肉体乱舞すでに疲労困憊の今日この頃でございます。

例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。

いよいよ始まる2012年冬ドラマについてはまこお嬢様の記事&くう様の記事をご参照くださりませ。

関連するキッドのブログ→道なき道を16馬力の国産車が進む時泥濘で圧すは人力(吹石一恵)

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2012年1月 8日 (日)

火田七瀬(木南晴夏)を待ちながら。

助走中です。変換を間違えると女装中になるので視線を感じます。

連日で記事を書くのは・・・すごく久しぶりだなぁ。

とにかく・・・レビューでなく・・・未来認知という妄想を始めているのです。

今回の七瀬はきっと面白い。面白いはずだ。面白いに決まっているのだ。

えーと・・・『「湯けむりスナイパーお正月スペシャル2012』(テレビ東京20120107)では演出・脚本の大根仁が大人気なく占い師に「M9予測できなかったのにでかい顔すんな」と鉄槌を下していたわけだが・・・そういう意味で昨日、某番組で美輪様が先陣を切ってのたまっていたのは清々しいというかさすがである・・・まあ・・・占いというのは古典芸能の一種なのであまりいじめないでもらいたいのです・・・とはいえ・・・未来のことを語るのは少し恥ずかしい今日この頃なのである。

それでも木南晴夏が火田七瀬を演じる『家族八景 Nanase,Telepathy Girl's Ballad』(2012年1月よりTBS系列にて放送予定・・・監督・堤幸彦・他)は面白いと断言しておきたい。

最近はなんとなく大根仁>堤幸彦になっているわけだが・・・やはり先駆者の意地でこのあたりでホームランを打ってもらいたのである。まあ、よけいなお世話ですがあああああ。

さて・・・火田七瀬である。

言わずと知れた筒井康隆・原作の「七瀬三部作」の主人公だ。

「家族八景」(1970~)はその第一部なのである。テレパシストを主人公として実験文学とエンターティメントを両立させた凄まじい作品である。なにしろ・・・七瀬に萌えるのである。

連作スタイルをとりながら・・・七瀬が超能力者としてアイデンティティーを確立しているストーリーになっている。これを受けてスリルとサスペンスとセンス・オブ・ワンダーに満ちた「七瀬ふたたび」(1972~)があり、さらに神話的な構造を持ち暗示的な「エディプスの恋人」(1977)へと発展するまさに神がかりな傑作なのだな。

もちろん・・・この原作をAV化するのはかなり至難の予想されるところだが・・・とにかくチャレンジする人々がいて・・・歴代七瀬が誕生するのだ。黒井ミサよりも富江よりも歴代実写版・七瀬なのである・・・なんのことだよ。

01まずは1979年2月に東芝日曜劇場で『芝生は緑』が放送される。「家族八景」は「無風地帯」「澱の呪縛」「青春讃歌」「水蜜桃」「紅蓮菩薩」「芝生は緑」「日曜画家」「亡母渇仰」の八つの短編から成るのだがその一部をアレンジして単発ドラマに仕上げたのであった。

そして最初の七瀬を演じたのが多岐川裕美である。

なにしろ・・・聖獣学園なのである。

セクシーというよりもエロティックな七瀬の方向性はこの時、定まったのだな。

そもそもSF小説なのでありえない世界の話なのだが・・・火田七瀬の存在もまたありえない方向性を持っている。七瀬は美人で賢女なのである。美しく知的であるなんて・・・無理のある話なのだな・・・おい・・・美女は馬鹿で才女はブスだって言ってるぞ・・・いや・・・とにかく七瀬はクール・ビューティーなのです。そういう話ですよお。

2_3で、とにかくあまりにも火田七瀬だったので多岐川裕美は「家族八景」よりもドラマ化が比較的容易に思える「七瀬ふたたび」でも七瀬を演じることになる。

1979年8月からのNHK少年ドラマシリーズ『七瀬ふたたび』なのである。

異端者として社会から迫害される存在となっていく七瀬は超能力者たちから時には信頼され、崇拝され、ついには恋されて生きていくのだが・・・そこには深い悲しみを宿した結末が待っているのである。

このある意味、「わかりやすい展開」のために「家族八景」よりは「七瀬ふたたび」の方がたびたびAV化されていくのだな。

なにしろ「エディプスの恋人」なんてまだ一回も・・・ま、それはそれとして。

とにかく「家族八景」と「七瀬ふたたび」の双方を演じたのはクール・ビューティー多岐川裕美だけだということを申し上げたいのである。

ま、とにかく、これまではだ。そこに今回、新たな期待がかかるのは仕方のないことだ。

まず、深夜で「家族八景」、ゴールデンで「七瀬ふたたび」、そして映画「エディプスの恋人」と木南晴夏で見たいものなのである。見せてよ。

3だがそんな願望未来はさておき・・・続いて登場するのはドジでノロマな亀ではなくて木曜ドラマストリート『家族八景 18歳の家政婦は見た!! すべての秘密は今暴かれる?』(1986年フジテレビ系)である。

20代後半だった多岐川七瀬に対して10代の堀ちえみの火田七瀬なのである。

そして、これはこれで萌えるのである。

こうして・・・七瀬はクール・ビューティーであると同時に永遠の聖少女であるという・・・もう次元の彼方の存在と化していくのだった。まあとにかく困ったもんだよな。こうハードルあげるといろいろとな。

で・・・ここまでで明らかなのは「家族八景」は連続ドラマとしては未開の地だということだ。

「家族八景」を連続ドラマ化する力量はこれまでマス・メディア側になかったのである。

そういう意味では時代が追いついたのだな。

4そういうわけでここからの歴代七瀬は「七瀬ふたたび」の七瀬である。三代目は当時25才の水野真紀。

1995年10月からの「木曜の怪談・七瀬ふたたび」は全6話、ある意味では原作を忠実になぞった作品になっている。

しかし、超常現象をどうとらえるか・・・という視点についてはあまりにもスーパー・ナチュラル・ホラーに傾斜しすぎているとも言える。なにしろ・・・木曜の怪談枠なのである。

「七瀬ふたたび」では未来予知能力者と時間跳躍者の登場によって時間が重要な要素になってくるのだか・・・その斬新な哲学的考察を映像化することの困難さがそこはかとなく匂うのである。

特にタイム・パラドックスとパラレルワールドの融合による・・・全世界を犠牲にする個人の成功の暗喩とそのグロテクスさの表現はまだまだなかなかなのだった。もっとも実在の水野七瀬はその後、身をもって出世の道を歩んでいるところがちょっとくすぐるのだな。

5_290年代にはもう一人、七瀬ふたたびの七瀬が登場する。

『超能力者・完全抹殺・七瀬ふたたび』(テレビ東京1998年4月~)の四代目七瀬は渡辺由紀である。先代が東宝シンデレラ審査員特別賞、NHK朝ドラデビューのきれいなおねえさんであるのに対して、ユニチカ水着キャンペーンガールのモデルである。しかもまもなく三十路の七瀬なので・・・ややアダルトなムードになっている。

特筆すべきなのは七瀬の心の恋人である恒夫役が谷原章介なのだな。

タニショーファンはチェックしなければならない作品なのだ。いや、本題とは無関係ですが・・・悲しいことにテレビ東京系なので「実写ドラマキューティーハニー」なみに世間を騒がせない埋もれた名品なのだな。渡辺七瀬は今でも現役モデル・ユキである。

つまり、七瀬はスタイルも抜群ということなのだな。

6それから10年後・・・記憶に新しい七瀬が・・・『NHKドラマ8・七瀬ふたたび』(2008年10月~)である。ドラマ化に関してはいわば本家なのだが・・・いろいろな意味で残念な仕上がりだったこともみなさんの記憶に新しいと思う。

いや・・・もちろん、それなりに「過去」を乗り越えようとする姿勢は感じるのだが・・・意あまって力及ばすだった気がいたします。

しかし、蓮佛美沙子の演ずる火田七瀬はクール・ビューティーとしての面影はしっかりと宿している。しかも、やや清楚だ。でもね・・・誕生から30年以上経過し・・・いろいろとハードルが高くなっているのでティーンエージャーには荷が重かったと思えるのだな。なんてったって蓮佛七瀬は昨年20才になったばかりだもの。

っていうか・・・キッドのブログに記事があるんだな。→七瀬ふたたび玉砕

7さて・・・ついに映画にもなった『七瀬ふたたび』(2010年10月公開・監督・小中和哉)である。ウルトラシリーズの監督による特撮映画ではある。

しかし・・・歴代七瀬と違い・・・横顔勝負の芦名星は原作者が「実にクール・ビューティー」と評価したとしても・・・ちょっとつらかったのではないか・・・と思う。

なにしろ・・・七瀬のハードルはとてつもなく高くなっちゃってるのである。

なんてったって・・・知的で美女でナイス・ボディーでロリータで萌えでエロチックで・・・しかも神秘的・・・もはや・・・ありえないの女王様のようなキャラクターと化しているのだ。

現代・・・そんな女優がいるだろうか・・・いや、いる。

8_3そうです。七代目襲名。木南晴夏こそ・・・全世界が待ちに待った正真正銘の火田七瀬をきっと見せてくれる。

そうに違いないのです。

ものすごい・・・ハードルの上げ方ですが・・・「貞操問答」のベビーエロ、アキハバラの自虐少女カイラ、銭ゲバの茜、そして20世紀少年の小泉響子と難役を軽々とこなし、知的で清楚な美少女でナイス・バディーで、ロリロリのエロエロでそこはかとなく神秘的・・・ほら・・・木南晴夏はすべての要素をきちんとクリアしているじゃあないですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。

ま、とにかく・・・女装・・・じゃなくて助走なので息切れがするので今回はこの辺で・・・。

関連するキッドのブログ→人は生きるに値しないのが銭ゲバズラ(松山ケンイチ)・・・(木南晴夏)バカね(ミムラ)

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2012年1月 7日 (土)

家族八景(木南晴夏)を待ちながら。

あけましておめでとうございます。

2012年、最初の記事をいつ書くか・・・と考えているうちに今日は七草粥をたべました。

正月早々、初詣に出かけようとした家人が家から五歩進んだところですってんころりんをして、おもわず「骨折とかしないように」と念力をかけて精も根も使い果たしております。

ま、そんな私事はどうでもいいのですな。

家人が留守番していると誰かがお年始に来て、酒だのクッキーだのが増えていくわけですが・・・誰からもらったのか認知しないので・・・お礼のしようがなく困惑しているというようなことも・・・実に世の中とは無関係です・・・ま、些少は関係あるか。

とにかく・・・目標としては『家族八景 Nanase,Telepathy Girl's Ballad』(TBS系1月24日ごろスタート)をレビューいたしたい・・・ということです。

昨年の『勇者ヨシヒコと魔王の城』(テレビ東京系)のムラサキ役でかしこさん健在の「かわいさ」を爆発させていた木南晴夏が火田七瀬を演じる・・・これは期待しないと。

とにかく、周辺では「だれがドラクエの魔法のSEをうまく口真似できるか選手権」がブームでしたからな。

テルテロテルりるれ…こんな感じ?

由緒正しい本記事なので再度更新は100%ありません。

本年もよろしくお願いいたします。

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