氷の天使のような愛おしい骨のある娘(松本潤)
まあ・・・元ネタはキャロル・オコンネルである。このミステリーがすごい!的なベスト10で・・・何故か、冷遇されるマロリー・シリーズ。なにしろ・・・一部愛好家を絶対に許さないヒロインだからな・・・ミステリ界にはかなりの一部愛好家が潜在しているので・・・そういうことかもしれないな。
とにかく・・・2011年の「このミステリーがすごい!」は「愛おしい骨」(キャロル・オコンネル)・・・マロリー・シリーズに非ず・・・でした。
「氷の天使」は幼児虐待・人身売買の被害者でありながら・・・美貌の女刑事となったキャシー・マロリーのデビュー作であることは言うまでもない。
探偵ものには美少女がつきものだが・・・多くの場合は被害者で・・・そうでない場合は「小さな依頼人」となり、探偵がなすすべもなくプラトニックな恋の奴隷となるのはもはやお約束なのである。
で、『ラッキーセブン・第3回』(フジテレビ20120130PM9~)脚本・野木亜紀子、演出・平野眞を見た。犬も歩けば棒にあたるというが・・・愛犬捜索の任にあたっていた駿太郎(松本潤)がたまたま・・・ラッキー探偵社が別件で追っていた結婚詐欺師・岡本紗江(紺野まひる)の娘・弥生(畠山紬)に出会ってしまうのは・・・その他の様々な偶然と同じように・・・東京の街が狭いっていうことだ。けしてご都合主義などを疑ってはいけません。すべては可能性の問題なのだな。
関東大震災の震源地に住んでいるキッドが今度は少しずれるはずだと希望的観測を抱くかの如くである。
この世には「楽しいことしかない」と考えていた駿太郎が・・・「悲しいこともあるんだな」と少し大人になる事件である。
子供は親に似るのが普通で子供っぽい親の子供は子供っぽいのだが・・・世の中というものは常にバランスをとる傾向にあるので・・・時には子供っぽい親の子供が大人びることがある。
そういう場合は「子供の苦労、親知らず」であり、「若い時から子供に従う」親となり、「トンビが鷹を生む」ことわざを生むのである。
基本的に子供は無力であるから・・・大人にならざるをえない子供の困難は想像に難くない。つまり「悲しさ」をもっとも描きやすい題材なのだな。
「ごめん」で済んだら警察はいらないのだが・・・親の犯罪を子供にわびられたらいい大人は許すしかなく・・・そこにつけこんで・・・女詐欺師は無罪放免を勝ち取るのだった。
まあ・・・杉下右京に介入されたら激昂で説教されたあげく確実に立件・起訴されますけどねえ。
北品川警察署の桐原警部補(吹石一恵)は「警察にはできない事件解決ですね」と賛意を表すという・・・これはもうご都合主義という他ありませんがーーーーっ。
母親に「昔住んでいた家の桜が見たい」とせがんだために母親を詐欺行為に走らせてしまったと自責の念に悩む少女・弥生と一日デートした駿太郎は・・・優秀な探偵として事件をうやむやにする。
もちろん・・・一番大人なのが被害者の箕輪(東根作寿英)であることは言うまでもない。
前節はエリカ(栗山千明)に騙されっぱなしだったが・・・今回もやさしくってちょっとバカな男として存在感を醸し出しているよねえ。
なお・・・紗江を演じる畠山紬(はたけやま・つむぎ)は実年齢8歳・・・「夏の恋は虹色に輝く」の桐谷美玲の子役時代を演じた子役であることも言うまでもない。
基本的に子役はみな・・・大人びている。
詐欺師として・・・母親が収監されれば・・・紗江は施設行きである。そこで悪趣味な施設長に凌辱され、転落の人生を歩むことは「白夜行」ほどに確実なので・・・その窮地を救った駿太郎は名探偵の階段を昇ったわけだが・・・それを想像で補完しなければならないお茶の間はまたしても・・・娯楽としてのドラマに奉仕しなければならないのか。
何もかも忘れて楽しい気分にさせてくれる大人の脚本家のドラマをお願いします。
今回の教訓・探偵は依頼者の老若男女を問うてはいけない
関連するキッドのブログ→『第2話のレビュー』
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コメント
1話目は、こいつは勢いのあるドラマが始まったなぁ、と思ってたんですけどねぇ… (´・ω・`)
何か、回を追うごとに私が危惧していたあらぬ事態が…
えー、もう、私としては、娯楽としての月9で構わないのですが、
ありふれたつまらん月9はガッカリなのですわ。
どこかで見たようなネタにはうんざりさせられます。
もう、アクション中心でいいじゃないか、瑛太が主役だっていいじゃないか。
松じゅんファンとして、そこは譲ります。
(いや、瑛太のファンでもあるわけだから両得なわけですが^^;)
カッコいい面白いドラマ目指そうぜ…と、ぶつぶつ言ってしまうのでありました。
頑張れ、月9。
投稿: くう | 2012年1月31日 (火) 11時55分
❀❀❀☥❀❀❀~くう様、いらっしゃいませ~❀❀❀☥❀❀❀
やはり、一回目の佐藤信介と
それ以外のいつもの演出家との間に
明らかに乖離があるのですな。
テレビドラマはこのくらいがちょうどいい・・・的な
ある意味オーソドックスな
ある意味手抜きの演出。
そこに「ハッピーエンド」しか許さないドラマの潮流が
押し寄せて
名もない脚本家は濁流に押し流されていく・・・。
こうして・・・この世に悪事なんてない
ただ悪人だけがいるのだ・・・という
とんでもない結論が残る。
人を憎んで罪を憎まずかよっ・・・でございます。
ショーケンが
「たまらん、たまらん、たまらんぜ~」
と嘆く幼い少女ナツメ(瀬島充貴)の
惨い「死」はなく・・・(「傷だらけの天使・第6話・草原に黒い十字架を」)
「俺っていいことしちゃったぜ」という
松潤の軽薄さだけが後味悪く残る・・・。
まあ・・・それをかっこ悪いと
とらないのが「現代」というものなのかもしれませんがーーーっ。
時代的にずっと洗練された子役・畠山紬に頼るだけって・・・。
大人のスタッフ・・・情けないことこの上なしでございます。
来週の瑛太回での巻き返しを祈る今日この頃です。
くう様も・・・こらえてくだされ~。
投稿: キッド | 2012年1月31日 (火) 16時11分