第9地区の歩き方
シーズン・オフに突入である。
もっとも、連続レビュー中の2012年冬ドラマはまだ「理想の息子」(本日最終回)「ラッキーセブン」(残り1回)「家族八景」(残り2回)「クワコー」(残り1回)が残っているし、大河ドラマの「平清盛」もある。
ただ気分的には大きな山を越えた気がする。・・・山Pだろ。
ブログの連続更新再開からここまで来たことは一応の成果だし、シーズン・オフに突入することもくすぐったい感じがする。
毎日、記事を更新できることは幸せなことである。なにしろ、生きているのである。
長期休養の後で・・・常連の皆さんの中にはまだ再開を知らない方もいるだろうし、もう少しは更新を続けたい。
アナログテレビの終焉以後は・・・蛇足のようなものだが・・・もうしばらく、おつきあいくださるとうれしいです。
で、『金曜ロードショー・第9地区(2009年アメリカ・南アフリカ・ニュージーランド映画)』(日本テレビ20120316PM9~)脚本・テリー・タッチェル(他)、監督・ニール・プロムカンプを見た。断るまでもないことだがあくまでテレビで放映された映画に関する妄想である。映画は劇場で見るべきものだし・・・そういう環境にある人は特に・・・作品としてはDVDなどのコンテンツの方が完成度が高いだろう。しかし・・・このブログはそういうことにはあまり言及しないのでございます。
南アフリカ共和国出身の監督で、映画の舞台は南ア最大の都市・ヨハネスブルグである。ヨハネスブルグの行政区はA~Gの七つの地区に分類されている。それでは第8の地区とは何かといえば・・・1990年代までこの国に存在したアパルトヘイトと呼ばれる人種隔離政策に妄想を広げなければならない。乱暴に思えば「白色人種」と「それ以外の有色人種」を差別した法律である。二つの人種は隔離され・・・それぞれの地域で優遇・不遇の時を過ごしたのである。ナチス・ドイツのユダヤ人を隔離したゲットー、米国が日系人を隔離した強制収容、ロシアが日本兵を隔離したシベリア抑留と同様にそれは隔離された人々に傷痕を残すのが普通であり、アパルトヘイトその後でも「幻想の8番目の地区」が存在するのだろう。
さらに1982年、突如、出現した巨大宇宙船とその乗員と思われるエビ型地球外生命体を宇宙難民として収容した強制収容施設が第9地区であることは皆さんもよく御存じでしょう。
ヨハネスブルグ上空にはつい最近まで、その巨大宇宙船があったわけです。
30年近い、研究によっても巨大宇宙船のテクノロジーは根本的に解明されておらず、研究者によれば1000年以上のテクノロジー格差が存在するらしい。
また、収容されたエビ人間たちの社会がかなりの階層社会を構成しており、上流階級のエビ人はなんらかの事情で死滅・・・下層エビ民だけが生存していたと推測される。
しかし、エビ人間が言語を有しており、現地の地球語をある程度、解することは下層階級でもある程度の知性を保有している証拠である。
その「知性」に反応した世界の人権団体や環境保護団体が運動し、エビ人の保護が叫ばれた結果・・・第9地区が誕生したのである。現地の人間にとっては不気味なエビ人なんかどこか他の土地へ移転してもらいたいというのが本音だが、難民キャンプや、強制収容所にも利権やビジネスチャンスが存在するのが人類の宿命であり、様々な物議をかもしながら第9地区はより郊外に設営された第10地区が完成する2009年までヨハネスブルグの中心部に存在したのである。現在は再開発が進み、当時の面影は薄れているが・・・世界の注目を集めた「ヴィカス(シャールト・コプリー)事件」にゆかりの場所はいくつか観光ポイントとして残っている。
ヴィカスについてはさまざまな憶測が流れているがはっきりしていることは第10地区への移転事業における現場責任者だったということである。国連から委託され第9地区を管理していたNGO団体MNUについてもさまざまな憶測が流れているが、その一部機関がエビ人の科学的分析と称し、異星のテクノロジー研究・・・主に武装について・・・を独占し、また世にも恐ろしいエビ人の生体解剖を含む非人道的行為を行っていたことは各種人権団体の調査で悪い噂程度には明らかになっている。
私はエビ人研究所の生存者とコンタクトをとり、当時の事情をある程度、理解していると考える。
ヴィカスがMNUの実力者の娘と結婚したことにより大抜擢され、第9地区から第10地区へのエビ移住作戦の指揮官になったことは今となっては不幸な出来事だったと言えるだろう。
結果として新妻は愛する夫を失ってしまったのである。それはヴィカスが指揮官として第9地区に実際に足を踏み入れ、実は生存していたエビ人の支配階級所属者と接触したことによって起こった出来事である。
エビ人のテクノロジーはエビ人のDNAと非常に関係が深いことは周知の事実である。エビ人なら誰でも使えるエビ武器が・・・地球人には誰にも使えないこともよく知られている。上級エビ人はひそかに宇宙船を再起動するためのエビエキスを抽出していたのである。しかし、その採取は困難を極めたらしく、ヴィカスの残した手記によれば・・・知人あてにメールされたものだ・・・20年以上の歳月がかかったらしい。ともかく、エビテクノロジーによって抽出されたエビエキスが人類にとって恐ろしい副作用を持っていたのだ。
事故によってエビエキスを顔面から吸収したヴィカスは体内でDNAを変換され、エビ化症に感染してしまったのである。恐怖!エビ人間の誕生である。
しかし、このことはエビ軍事テクノロジーを研究するための千載一遇のチャンスであった。
ヴィカスはエビ研究所に隔離され、生体解剖されることになったのだ。
しかし、研究員の不手際により、ヴィカスは逃走に成功し、そのおりにも彼だけに使用可能となったエビ兵器の使用によって、多数の死傷者が発生したのである。
このことはヴィカスに犯罪者の烙印を押すに充分だとする一部識者の意見もあるが、あの研究にかかわったような人間の屑はどれだけ死亡しても人類に益するのみだという識者もいる。筆者はどちらかといえば後者の意見に賛同する。
脱走したヴィカスはエビ上級者のクリス(地球名)を訪ね・・・地下に隠匿されていた巨大宇宙船の指揮艇の存在を知る。
「エビエキスを取り戻し母星に戻れば体内からエビエキスを除去する復旧施術が可能だ」
「人間に戻れるのか」
希望を取り戻したヴィカスは第9地区のブラックマーケットを支配するナイジェリア・ギャングが隠匿していたエビ武器を奪取し・・・エビエキスを保管しているエビ研究所に殴りこみをかけるのだった。
ヴィカスに関する人物評は妻の「とても優しい人でした」以外は「ダメ人間」「優柔不断」「底の浅いゲス野郎」「小心者」「ドジでノロマなカメ」「ブタ野郎」と散々なのであるが・・・人間の尊厳をかけて彼のとった行動を非難することは何人にもできないだろう。
しかし、ナイジェリア・ギャングの生存者によれば・・・「わしらのボスのオビサンジョ(ユージーン・クンバニア)は心底・・・エビ人間になりたがってたよ。あのアバターのゲスな主人公と同様に五体不満足な身体だったからね」という例外もあったようだ。
エビ研究所を爆破して300人ほどの研究者を殺害したヴィカスとクリスはエビエキスを入手し追撃をふりきって第9地区に戻ってきたが、冷酷非情のクーバス大佐(デヴィッド・ジェームズ)が率いるMNUの軍事部隊とナイジェリアギャングがヴィカスの身体を入手しようと急襲をかける。
クリスのエビ子であるリトルクリスの活躍で・・・エビガンダムに乗り込んだ「はやく人間に戻りたい一心」のヴィカスは彼としては精一杯果敢に戦ったと何人かの生存者が証言している。
その結果、巨大宇宙船はコントロールを取り戻し、エビ父子は母星に去って行ったらしい。
ヴィカスの手記によれば「彼らは3年後に帰還すると約束した」という。
クーバス大佐をはじめとするMNU軍やナイジェリアギャングがほとんど全員死亡した第9地区戦争の後・・・ヴィカスの行方は不明である。
ただ・・・戦地には今もクーバス大佐がバラバラに引き裂かれエビに食われた血痕が生々しく残っている。
事件後・・・ヴィカスの妻の元へ・・・エビ人間の工芸品である一輪の造花が届いたという。
第9地区よりさらに過酷な環境と噂される第10地区でエビ人間はさらに繁殖を続けている。その中に造花作りが得意なちょっと変わったエビ人間がいるらしい。
撮影された彼の写真は日本のとあるアニメの1シーンを彷彿とさせる。
そのアニメは日本ではまもなく放映されるそうだ。
どこかで誰かが「なんどめだ」と叫んでいるにちがいない。
関連するキッドのブログ→ヤッターマン(櫻井翔)正妻(深田恭子)二号さん(福田沙紀)恋人(岡本杏理)
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コメント
昨晩のモヤモヤをどうにかしたくて読んでると…
>どこかで誰かが「なんどめだ」と叫んでいるにちがいない。
(≧∇≦)ノ彡バンバン!
叫んじまったぜぇ。
ワイルドだろぉ(笑) ←マイブームなの
あ~こんなスッキリもありですわん
投稿: mana | 2012年3月17日 (土) 09時56分
|||-_||シャンプーブロー~mana様、いらっしゃいませ~トリートメント|||-_||
放映編集ではかなり刺激的な部分が
カットされていましたからな。
キッドなどはカットのカットにカッとなりましたぞ。
まあ、基本的には主人公もクズだし
敵役もクズ
主人公の助ける親子もクズというかエビなので
なんじやこりゃ~な作品でもあり
ものすごいリアルタッチだとも言えます。
なにしろ、実際の世界はそういうろくでもない輩で構成され
そう断ずるキッド自身が最高レベルのろくでなしですからねえ。
冴えない自分を鏡で発見しては鬱になる必然ですな。
ま、そういう時は顔を洗ったり髭をそったり
ヘアサロンに行きmana様、商売繁盛で結構でございます。
あの宇宙船が
北朝鮮上空にあれば
金坊がテポドン発射しちゃったぜ、ワイルドだろぉ!
・・・でピョンヤン壊滅ですな。
まあ、そうなれば世界的にはかなりスッキリいたしますけれども~!
投稿: キッド | 2012年3月17日 (土) 16時09分
キッドさん、こんにちは~♪♪
この映画ねえ。
ヤマトはDVDでみたけど、
結構楽しめた半面、
監督・キャスト一同、ふざけてんのか?
とも思いました。
もんのすごく頑張って資金集めして、
当たらなかったら自己破産レベルだったろうに、
その苦労よりも、
「こいつら皆ふざけてんのか?」みたいな
印象が強かった。
それだけインパクトあったし面白かった、
という誉め言葉なんですけど。
愛情の裏返しっつーか。
やだー、ルパンのこれ、
マジックで旗たくさん出した後のあれでしょ?
やだー、ちょっとー、ときめく!
銭型警部のあの名台詞の次に良いシーンが、
ここだよなあ。
まてよ・・・
次元のまるぼうずタイヤ交換のときの
立ち居振る舞いも捨てがたい。
五ェ門の「・・・可憐だ・・・」も捨てがたい。
不二子の「恋人だっとときもあったかな?」
も・・・あの美しい迷彩服!
ていうか、捨てがたい名シーンと名台詞特集だよ。
エビ人間なあ。
でも最後よかったなー。
こんだけドタバタしても、
なんかいろいろアホ行動多くても、
「愛情」を失わなかったヒーロー。
投稿: ヤマト | 2012年3月24日 (土) 09時47分
☆*⋄◊✧◇✧◊⋄*ヤマト様、いらっしゃいませ*⋄◊✧◇✧◊⋄*☆
まあ、南ア出身の監督ですからな。
これだけはたとえふざけていると思われようとも
とっときたい・・・
出演者全員素人でもやりぬきたい・・・
台本なんかいらない・・・
そういうバカ魂があったと思われまする。
結果、そこそこふざけたみたいな映画になっているようですな。
まあ、我が国では
大陸、半島、列島のそれぞれの差別感情を
なんだかんだして推察するしかないのですがねーーーっ。
チープだけどかっこいいレベルには
達していたようですな。
キッドはアバターをまったく評価しないので
同じような内容なら断然こっちでございます。
まあ、監督がかなりのおタクであることは
間違いないと断言できますな。
しかも、ちょっとフダツキのおタクでございます。
キッドの書斎の発掘作業は遅々として進まないのですが
仮書斎のディスプレー横には
ガチャポンで取得した
峰不二子迷彩服着用マシンガン付フイギュアが
配置されていますぞ。
先月発掘されたものでもう一体のちょっとお高い奴は
まだ発見されておりませんーーーーっ。(´・Д・`)
声優のベンジャミン(仮名)から
「絶対面白いから見た方がいい・・・特にアニメは
雨ふらないうちに見るべきだ」
と言われて新宿の映画館で見てから
30年以上の歳月がたちましたな。
時々、お城の屋根をかけおりる夢をみたり
美少女に
「おじさま~」と呼ばれる夢をみたり
くも人間に囲まれる夢をみたりいたしますぞ。
映画館、ガラガラでしたな。
「こりゃ、だめだ・・・」
と思いましたが・・・
いいものはたとえ、初期評価が
低くても生き残るのですな。
それだけが救いですなーーーっ。
まあ、それには遠くおよばないにしろ・・・
第9地区は
グダグダな主人公設定でありながら
不朽の名作という離れ業をやってのけていると考えます。
まあ、エビ人間が帰ってきても
遺伝子分離手術が失敗すると悪魔は
妄想しておりますがーーーっ。
なにしろ・・・司令船脱落しちゃうような
システムの文明ですからなーーーっ。
投稿: キッド | 2012年3月24日 (土) 15時57分