強くなければ送れない優しくなければ送る資格がない~最高の人生の送り方(山下智久)
どんなドラマでも楽しめる。そのためには強くなければならないし、優しくなければならない。
終わってみれば素晴らしいドラマだったのですが、ある程度ハードボイルドタッチで鑑賞しなければならないという・・・高いハードルもございましたな。
しかし、ここまでたどり着けば・・・もう安心。ゴールまでは翔ぶがごときスピードで駆け抜けるわけです。
まあ・・・へとへとでゴールと同時にぶっ倒れる方もいるかもしれませんが・・・給水に失敗したのかもしれませんな。
いろいろな要素をつめこみすぎ・・・とか、主役が誰だかわからない・・・とか・・・様々なご意見もあるでしょうが、いろいろな要素があるからこそ面白く、主役は山Pに決まっていると申し上げる他はないのですな。
家業を嫌って家を出た青年が・・・運命によって一生の仕事を再発見する・・・そして運命によってゴーストと出会い、運命によって愛する人とめぐりあう。
気がつくと・・・冬が終わり春が来ていた。
ひとときの夢というフイクションとしてはなかなかの出来栄えでございました。
ゴーストの岩田さんと真人が育てるイチゴは漢字で書けば草冠に母である。ついに登場しなかった井原四兄弟の実母のシンボルと考えることもできるし、良い血の子で・・・子孫繁栄を暗示するいちごという和名は・・・真人と坂巻刑事の子沢山ぶりの暗示でもあるだろう。
そして「甘い」と言われてたべてみて「酸っぱい」としても・・・それを楽しめる真人というキャラクターの素晴らしさを示していることは間違いない。
たまにはこういうあなどれないドラマがなくては人生の醍醐味は味わえないのでございますよ。
そして・・・岩田さん殺しの犯人の好人物すぎるキャラクターと冷酷で残忍な犯行というアクションの落差・・・これこそがドラマを通じて首尾一貫した・・・人間なんて単純じゃなくて複雑なものだろうという反骨のテーマでございます。
つまり、良い子ほどの良い子はなく、悪い子ほどの悪い子もない・・・という哲学です。
キッドも時にはそう思いますぞ。ま、時には単純明快でもいいと思いますけどね。
なにしろお茶の間の目というのは基本的に節穴ですからな。
で、『最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜・最終回』(TBSテレビ20120315PM9~)脚本・渡辺千穂、演出・石井康晴を見た。本当にお化けがこの世にいるとは思わなかったな・・・。俺(真人=山下智久)は心からそう思う。で、そのお化けは俺にしか見えないのだから始末が悪い。あなただけ今晩は・・・って言われてもな。で、その岩田さん(山崎努)の存在を信じることができず、坂巻刑事(榮倉奈々)は怒って庭を飛び出していった。ここで俺が追いかけるのはラブ・コメならフラグであるが・・・「孫に伝えて欲しいことがある」と生前は坂巻刑事の祖父だった岩田さんから頼まれて伝言を届けにいくのだから・・・これは別のフラグなのである。
伝言内容は「かっての部下だった木野原刑事(塩見三省)を頼れ・・・あれはいい刑事だから」というものだった。お茶の間の重要参考人に頼れっていうことは岩田さんのゴーストとしての記憶障害がかなりのものであることを意味するし、たったフラグは坂巻刑事の死亡フラグなのである。
まあ、人生なんて恋愛フラグと死亡フラグの追いかけっこみたいなものなんだけどね。
思えば・・・親父の死に始まって、店長の実の子とめぐりあったり、生きている嫁と姑を和解させたり、死んだ姑のダイイング・メッセージを解読したり、ヤクザの組長のタイムカプセル掘り出したり、ストーカーの妹の心臓の行方を追いかけたり・・・尋常でない展開もすべて心霊現象だったと言われればゾッとする他ないんだな。
まさに・・・出たよっである。
だけど・・・岩田さんのおかげで俺は随分、救われたよな。
こうなると、行方不明の健人兄貴(反町隆史)が帰ってきたのだってけして偶然じゃなかったわけだしね。
妹の桃子(大野いと)の愛人だった不倫教師(黄川田将也)の耳元で岩田さんが不倫旅行の行き先を囁いている姿を想像するとちょっと笑いを禁じえない。
それから健人兄貴が港で手伝いをする羽目になるために漁師の息子に呪いをかけて体調不良にしたりと・・・岩田さんは大活躍してたんだな、これが。
俺が岩田さんからの伝言を伝えると早速、坂巻刑事は木野原刑事にコンタクトをとった。
坂巻刑事の話では「祖父は手帳の岩田と呼ばれるほど、不屈の刑事でささいなことでもメモをとり、犯人を追及していた」らしい。
「二人でよく、喫茶店でコーヒー飲みながら捜査について夜更けまで話し込んでいたんだって」
「ふうん」
「でも・・・木野原刑事、今はハーブティー派なのよね」
「健康志向なんだね」
「でも・・・おじいちゃんを疑っているのかと聞いたら・・・真相なんてわからない方がいいこともあるなんてお茶を濁してた・・・やはり、おじいちゃんは容疑者みたい・・・それに・・・私には言わなかったけど・・・捜査会議を立ち聞きしていたら・・・おじいちゃんは木野原さんに借金してたみたいだし・・・違法カジノに客としてきていた形跡があるらしいの・・・もう・・・信じられない・・・私の思っていたおじいちゃんはそんな人じゃなかったのに・・・」
オンエアでは省略されているけど、酔いつぶれた坂巻刑事を台車で宅配した後で、俺は岩田さんを問いただした。
「どうなんです・・・やはり岩田さんが犯人なんですか」
「わからない・・・肝心なことの記憶がないってのはつらいな・・・」
ゴーストにそんなこと言われてもこっちが困るよね。
そういう岩田さんというか坂巻刑事がらみのゴタゴタが続いている間にも不治の病に冒された兄貴はどんどんと衰弱して行った。
そろそろ・・・遺影をどれにするかとかも考えなきゃいけない。
最後の写真ということになれば・・・みんなと撮ったバーベキューの写真。
半分泣きそうな兄貴が精一杯に微笑んでいて・・・俺はそれを引き延ばす日が来ることを想像するだけで苦しくなってくる。
兄貴はもうほとんど口もきけなくなっているんだ。
在宅看護専門の看護士さん(入山法子)の説明では・・・「呼吸困難になってあごがあがってきたら・・・そろそろ」らしい。そろそろってなんだよっ。
俺は哀しくて哀しくて坂巻刑事に電話をかけました。哀しくて哀しくて電話をかけちゃう相手が坂巻刑事なのは恋愛フラグそのものだけどね。
そして・・・兄貴の知り合いみんなに集まってもらった。
一種のお別れ会だよ。でも部屋がいっぱいになるくらいたくさんの人がやってきて・・・俺は健人兄貴がいかにみんなに愛されているかを知り、ちょっと嬉しくなったんだ。
「まさぴょん、大丈夫?」
坂巻刑事に心配されたのもちょっと嬉しかった。
「またくるよ・・・兄貴に会いに・・・」
「一人で帰れる?」
「これでも刑事ですから・・・」
これは死亡フラグだが・・・どうやら坂巻刑事の寿命はまだまだあるらしい。
一方・・・兄貴の命は風前の灯だ。
妹の晴香(前田敦子)や桃子、弟の隼人(知念侑李)の顔も記憶が定かではなくなってしまったらしい。
「兄貴・・・わかるかい、弟の健人だよ・・・大丈夫だよ・・・みんないるよ・・・だから・・・心配しないでいいよ・・・」
兄貴は俺の手を握った。
なんだ・・・兄貴・・・何か言いたいのかい。俺にできることならなんでもするから・・・言ってくれ。
兄貴の視線の先にあるのは富士山だった。
「そうか・・・富士山に行きたいのか・・・わかった・・・みんなで富士山に行こう」
「何言ってるの、真人兄ちゃん」
「そんなの無理よ」
と反対する弟妹たち。
しかし、さすがは実の母である美奈子さん(長山藍子)には兄貴の最後の願いを察することができたらしい。
「いいじゃない・・・富士山・・・健人・・・きっと・・・よろこぶよ・・・」
兄貴は俺の手を強く握った。
実の母親と自分の家との間で・・・最後に兄貴が愛したのは富士山だったんだな。
そして・・・俺たちは・・・兄貴にとっての母親のシンボルである富士山の見える場所にやってきた。
「うわあ・・・俺、こんなに近くで富士山見たのはじめて」
「私も・・・」
とはしゃぐ隼人と晴香。しかし、桃子だけはお腹が鳴るのである。
それで美奈子さんはドライブインにお弁当を買いに行った。
「今度は夏に来てバーベキューをしようね」
「それから花火だよな・・・」なんて言っている間に健人兄貴はあごがあがって息をひきとった。
「兄貴・・・逝くなよ・・・」
俺は兄貴をひきとめたかった・・・でもそれは無理だったんだ。
美奈子さんは息子の死に目に会えなかったんだな。美奈子さんはお弁当をかかえて・・・俺たちの様子を見て・・・すべてを悟ったようだった。
俺たちは泣きながら・・・兄貴の亡きがらと一緒に東京に戻ったよ。
親父(蟹江敬三)の葬式に比べたら・・・兄貴の葬式は我ながらうまくできたと思う。
なにしろ・・・お母さんもいるし・・・弟妹たちも立派になった。
恒例の遺言コーナーは兄貴版だ。
おふくろ おれをおぶってくれたひと
ももこ すえっこ くいしんぼう かわいい
はやと ひねくているようにみえてほんとうはまっすぐなやつ
はるか ちょうじょ しっかりもの だけどほんとは なきむし
まさと みんなのにいちゃんだ
おれのかぞく さいこうの
じんせい
兄貴・・・コタローのこと忘れてるぞ。
兄貴・・・兄貴のようにはなれないかもしれないけど、俺もしっかり兄貴をやってみるよ。
こわい夢を見た時、添い寝してくれてありがとう。キャッチボールを教えてくれてありがとう。おいしいごはんを作ってくれて、俺を大学にいかせてくれて、酒の飲み方を教えてくれて、そして、葬儀屋という最高の仕事を残してくれて・・・本当にありがとう。
兄貴がいなくなって俺は心から悲しいよ。
田中さん(大友康平)は葬儀の後で涙をこらえてこう言ってくれた。
「真人さん・・・立派でしたよ・・・健人くんは安心して天国に旅立ちましたよ」
井原家は健人兄貴の法名(戒名)「釈照健」でわかるように浄土真宗だから・・・天国ではなくて極楽浄土に往生したんだけどね。
岩田さんが見えるくらいだから兄貴も見えないかと庭で探したけど見当たらない。
岩田さんがやってきて・・・「目にみえなくてもあると思えばあるし・・・ないと思えばない・・・ゴーストなんて愛みたいなもんだ」って言う。
結局・・・俺が特別なんじゃなくて・・・岩田さんが特別なゴーストなのかもしれないな・・・そんな風に思ったよ。しかし、人間も他人のことはよく見えるっていうけど・・・ゴーストも自分のこととなると途端に見えなくなるらしい。
そこへ・・・坂巻刑事がやってきた。
「私・・・今日・・・幼馴染のえっちゃん・・・木野原絵津子(吉田羊)さんに会ったの・・・オムライス食べながらちょっと話したんだけど・・・あ・・・えっちゃんは木野原刑事の娘さんなのよ・・・で、えっちゃんの旦那さんは・・・養子なんだけど・・・複雑な家庭の事情があるらしくて・・・隠し子だったらしいのね・・・それで・・・その生みの母親っていうのが・・・大林恭子さんだったの・・・」
「じゃ・・・大林恭子さんは・・・」
「木野原刑事の娘の夫のお母さんなのよ・・・」
「ええと・・・つまり・・・木野原刑事と白骨死体の女性は赤の他人じゃないってことだよね」
「そうなのよ・・・でもそのことについて木野原さんは何も話してないの・・・これって変でしょう」
「うん・・・変だね」
「とにかく・・・私、頭が混乱しちゃって・・・」
「それで俺に会いにきたと・・・」
「・・・」
「で、落ち着いた?」
「うん・・・私、もう一度、木野原さんと話してみる」
そう言って坂巻刑事は帰って行った。
もう完全なる死亡フラグだが・・・どっこい、ここにはすでに死んでいる岩田さんがいるのである。
「俺は・・・思い違いをしていたかもしれない」
「・・・」
「胸が重い・・・」
「・・・」
「孫を・・・優樹を一人にしないでくれ・・・危険だ」
つまり、オリコンヒットチャート初登場1位の「愛・テキサス」がかかって俺が走る時間ってことなんだな。
もちろなん、絶対に坂巻刑事・・・優樹が死ぬってことはないと思うけどこの世界は結構、狂っちまった感じがあるから、ちょっとドキドキハラハラしたよ。
そして・・・もちろん、優樹は殺人鬼の影に付きまとわれていたんだ。
でもね、俺はいつもの北新宿駅(フィクション)で優樹を無事に捕まえることができたんだ。
「どうしたのよ・・・」
「一人にしちゃいけないって・・・」
「また・・・おじいちゃんの話?・・・そんなことばっかり言って・・・」
「あのさ・・・岩田さん・・・コートの胸のあたりを押さえて重いって言ってた・・・なんか心当たりないのか・・・」
優樹はとても大切なことを忘れていたらしい。・・・この記憶障害は遺伝なのか・・・。
「あの日・・・おじいちゃん・・・黒いコートを着てた・・・暑いって脱いで私に持たせて・・・私、おじいちゃんとケンカして・・・それでおじいちゃんが事故にあって・・・黒いコートそのまま持って帰っちゃったんだ・・・それきり・・・家にしまったまま・・・」
「とにかく・・・それだ・・・」
とにかく・・・俺は初めて優貴の部屋に入った。いつの間にか、名前呼び捨てになっているけど・・・もう・・・部屋にあがっちゃうような仲だから・・・いつまでも坂巻刑事って他人行儀でしょう。深い理由はないんだよ。
それはともかく・・・手帳はありました。
そして、すべての謎はとけたんだ。
ここからはゴースト~北新宿の幻・・・山P・ゴールドバーグ編の開幕である。だれがウーピーだって。
その喫茶店は・・・優樹と岩田さんの思い出の喫茶店で・・・呼び出された木野原刑事と岩田刑事にとっても思い出の場所だったらしい。
木野原刑事の向かいに優樹。優樹のとなりに俺。俺の向かいに岩田さんである。
これから凶悪な殺人犯を追い詰めるのにこの布陣で大丈夫なのか・・・と思ったが・・・みんな忘れているかもしれないけど・・・優樹は一本背負いの達人なので一安心なんだな。これが。
「私・・・祖父の手帳を発見したんです・・・手帳の岩田の手帳です・・・」
優樹は緊張すると笑うタイプらしい。多分、武道家特有のリラックス法なんだな。
「いろいろなことが書いてありました・・・たとえば」
ゆすられる 借金 1200万円
追い詰められて殺害
あわてて置き手紙を代筆
あとでさしかえるつもりだったか?
「こんなことが書いてあります」
「それがどうしたと・・・」
「大林恭子さんのことをなぜ隠していたんです・・・あなたは・・・地下カジノで・・・大林さんを発見した・・・というか・・・居合わせてしまったんですよね」
「・・・」
「娘の夫の母である大林恭子さんはカジノにはまっていて火の車だった・・・それは木野原さんも同じだったのでしょう・・・客としてカジノにはまっていた刑事は祖父ではなく木野原さんだったから・・・そして・・・あろうことか・・・大林さんはあなたにゆすりをかけてきた・・・刑事としてカジノに出入りしているのはまずいだろう・・・密告されたくなかったら・・・」
「何を言ってるんだ・・・どこにそんな証拠が・・・」
その時・・・岩田さんが俺に言った。
「アイリュッシュ・コーヒーを二つ、注文してくれ・・・」
アイリッシュ・コーヒーは昔、流行したウイスキーと砂糖と生クリーム入りのコーヒーというか、一種のカクテルで・・・ウイスキーはアイリッシュ・ウイスキーに限るらしい。
まあ、バーで飲んだらカクテル、喫茶店で飲んだらコーヒーなんだな。
そんなうんちくを岩田さんに聞かされているうちに優樹は本題に入っていた。
「手帳に・・・大林恭子が書いたとされる・・・遺書のようなものが挟んでありました・・・でもこれを書いたのは・・・筆跡鑑定の結果・・・こちらの報告書を書いた人間と同一人物だということが判明しました。報告書は木野原さん・・・あなたが書いたものです・・・動かぬ証拠です・・・そして祖父が死んだあの日・・・あなたは祖父と待ち合わせをしていた・・・手帳に日付とあなたの名前がありました」
「そんな・・・俺は待ち合わせなんか・・・」
そこへアイリッシュ・コーヒーが運ばれてきた。
岩田さんの指示で俺はその一つを木野原刑事の前に置いた。
「どうぞ・・・あちらの方からです」
木野原刑事は青ざめた。
岩田さんはつぶやく。
「昔、事件解決の時には被害者の冥福を祈って・・・二人で飲んだ」
岩田さんが促すので俺は同じことを言う。原稿代を稼ぐにはなかなかの手法だよね。
一つのセリフで倍稼ぐって。
「昔、事件解決の時には被害者の冥福を祈って・・・二人で飲んだ」
今はコピペで楽だしね。
で、結局、その一言は・・・木野原刑事が檻の中に封印していた心を解き放ったらしい。
「俺は・・・弱い人間だった・・・」
俺にはわかったよ・・・だって木野原さんは本当にいい人だったんだ。そんないい人が・・・何年も何年も・・・自分のしでかした凶悪な犯行を隠匿して生きていくのはまさに生き地獄に違いないってね。
「ギャンブルに溺れ・・・挙句の果てに借金までして・・・その上・・・身内にゆすられて・・・気がついた時にはあの女の首を絞めていた・・・。それから・・・死体を隠して失踪したことにしようとした・・・しかし、俺は初めて殺しをしたことで動転していたんだ。最初は置き手紙を偽装しようとした・・・しかし、そんなことをしても筆跡鑑定でばれる可能性があるとすぐに気がついたんだ。で・・・俺は死体を運びだすことに専念したんだ・・・そして・・・あろうことか・・・手紙のことを失念したんだ。あの女の部屋に置き忘れたんだよ。それをあの女の弟に発見されて・・・そして・・・手紙は岩田さんの手に・・・」
ああ・・・俺は思ったよ。目の前に人を殺した人がいるって。まったくそんな風には見えないのに人は人を殺すんだなあって。
「俺は・・・岩田さんがおそろしかった。岩田さんは絶対・・・俺の犯行を見抜く・・・そう思うともう目の前が暗くなったよ・・・そして、あの日・・・優樹ちゃんと岩田さんがケンカして離れ離れになった一瞬の隙をついて・・・岩田さんの車イスを電車に向かって押し出したんだ」
うわあ・・・俺は思ったよ・・・目の前に二人も人を殺した人がいるんだって。まったく、そんなことをする人とは思えないんだけどね。
「それから・・・俺は毎日、おびえながら暮らした。せめてもの罪滅ぼしだと思って優樹ちゃんが刑事になった後も優樹ちゃんの面倒を見ながら気が気ではなかったよ・・・いつか、ばれる・・・ばれたら・・・何もかもおしまいだ・・・そしてあの女の白骨遺体が発見されて・・・長峰刑事が俺にたどりつきそうになった・・・俺は思わず長峰刑事を刺した」
うわああ・・・俺は思ったよ・・・目の前に三人も・・・一人殺せば、二人も三人も同じってこのことなのかよっ。っていうか・・・木野原さん・・・殺しすぎです。
優樹は冷めた目をしていた。刑事の目だった。しかし・・・そこに涙がにじんでいた。
もし、俺が恋をしたんだとすれば・・・それはきっとこの瞬間だったんだな。
「祖父は・・・おじいちゃんは・・・あなたに自首をすすめようとしたんだと思います」
木野原刑事は微笑んだ。
「優樹ちゃん・・・いや・・・坂巻・・・いい刑事になったな・・・さあ、手錠(わっぱ)かけろ・・・確保だ」
木野原刑事の差し出した手を・・・優樹はよどみなく拘束した。
「あなたを・・・文書偽造・・・および殺人の容疑で緊急逮捕します」
俺は・・・アイリッシュ・コーヒーのクリームで口元を白くした木野原刑事を本当に哀れだと思ったよ。潔いとも思ったし・・・ちょっとおかしくもあったけどね。人間は本当に様々な顔を持っている。それは富士山と同じ。でも・・・富士山は一つだし・・・人間も一人。
自分勝手な動機で三人も殺したら・・・木野原さんは死刑は免れない。そして・・・木野原さんの守ってきたものすべてが・・・今度は地獄となっていくんだよね。
本当に人が生きていくのは惨いことだと思うよ。
死んでいる岩田さんは・・・孫娘の晴れ姿と元部下の転落人生を見比べながら・・・ゴーストらしく顔をしかめていた。ゴーストになっても心が晴れないなんて・・・刑事の執念って恐ろしいし、たいしたもんだよね。
さあ、俺の話はそろそろおしまいだ。まあ、話は終わるけど・・・俺の人生はまだまだ続いていくけどね。
どうやら・・・俺が死者を見る目(岩田さん限定だけどね)を持っていると信じてくれたらしい優樹は俺を介して岩田さんと最後の会話をした。
「私・・・おじいちゃんにひどいこと言って・・・ごめんなさい」
「大丈夫・・・岩田さんかってないくらいに笑顔だし・・・孫娘と話せてうれしいって言ってるよ」
それから岩田さんは・・・実は俺と優樹が結ばれる運命だとか、なんだとか言いだしたがそこは通訳しなかった。じじい、キューピッド気どりかよっ。
「こいつはなかなかな奴だぞ・・・どうした・・・言えよ・・・ま・・・それはおいおい・・・いつか必ず言ってくれ・・・惜しむな」
「惜しむな・・・てさ・・・生まれてきてよかった・・・優樹に会えてよかった・・・優樹が笑ってくれてよかったって・・・」
「おじいちゃん・・・ありがとう」
「I love you」
「I love youだって」
「私もI love you」
「ああ・・・成仏できそうだ・・・逝ってきます」
「ああ・・・成仏できそうだ・・・逝ってきます」
「おじいちゃん・・・」
「逝ってらっしゃい」
岩田さんは・・・去った。俺は泣きじゃくる優樹の肩をそっと抱いたよ。
今、ようやく優樹は岩田さんの死を悲しんでいるんだからね。葬儀の井原屋五代目としてはそのお手伝いを真心こめてしなくちゃね。
人はいつか必ず死ぬ。
でも、それがいつなのかはわからない。
でも・・・人は死んでも・・・それで終りじゃない・・・なぜなら、世界は続いていくからね。
自分のいない世界が続いていくことを考えると不思議な気がしないかい。
世界の不思議なんてそんな風にどこにでも転がっているんだな。
で、とにかく、生きている人間は世界を楽しむことが大切さ。
生きていれば世界がウインクしたり・・・すれちがったり・・・クレープのクリームをくっつけたりしてくれるかもしれない。
そして・・・映画のチケットを持った彼氏のいない彼女と彼女のいない彼氏が・・・未来に向かって歩きだしたりする。
そしてコタローはけして吠えないが・・・フレンドリーでウソつきのゴーストが庭で待っていたりするんだよ。
お願いだから枕元とかには立たないでほしい。
そして、あなたともいつかどこかで・・・また会うでしょう。・・・なーんてね。敬具。
関連するキッドのブログ→第9話のレビュー
シナリオに沿ったレビューをお望みの方はこちらへ→mari様のレビュー
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今を惜しまず生きていきたい方はコチラへ→くう様のレビュー
エンプラのすべて
キッドのブログを引用してくださったブログ→くりくりぼうず様の桜の花びらにのって
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コメント
昨日は健兄に泣かされ、岩田さんに泣かされた日でしたわ~。
何だかんだ言って、このドラマには泣かされた回が多かったです。
ポカーンとなった回もありましたが・・・そしてツッコミだらけでしたが…
それでも、私は結構これ好きでした。
岩田さんと健兄が私の全てでしたが^^;
山Pは主役として充分に魅力的でしたよねー。
榮倉さんも、この役は良かったのではないかと思います。
おかげさまで伯父と駆け落ちした直子のイメージを払拭できましたわ。
うん。最終回が過ぎてみれば、過去の汚点は全て忘れる。
いいドラマでした。
投稿: くう | 2012年3月16日 (金) 12時07分
❀❀❀☥❀❀❀~くう様、いらっしゃいませ~❀❀❀☥❀❀❀
あくまでエンターティメントでございますので
わかりやすいことは大切なのですが
それでも毎日おかゆじゃ
咀嚼力の低下が心配されますからな。
たまには歯ごたえがほしいもの。
噛んでも噛んでも味がないのは困りものですが
(例)聖なる駄々っ子
このドラマは噛めば噛むほど味が出ますからな。
いや、いたるところに隠し味がちりばめられていて
掘れば掘るほど面白いのでございます。
こういうことは作家の心のありかたの問題なんですな。
裏番組の作家も昔は変態だったのに
今はすっかり大人しくなって
その分・・・仕上がりがいびつ・・・。
なにしろ主人公の正義の幼稚さは目を覆いたくなるほどでしたし
何よりも施設で育つ事情ある子供への
フォローがザルですからねえ。
初心にもどってもらいたいものですぞ~。
死んでいる人(岩田さん)
死にかけている人(健人兄貴)
こういう人たちと
どう付き合えば楽しいのか・・・。
真人はその指南役なのですな。
途中まで真人がその点に気がつかないで
話を運んでいくのがミソなのですが・・・
ここがちょっとハードル高かったのだと考えます。
なんなくドラマを見ていると
まったく気がつかないで
通り過ぎてしまいますからな。
お茶の間の皆さんはーーーーっ。
このドラマでは
坂巻刑事はタフなヒロイン。
真人は優しいヒーローという組み合わせ。
坂巻刑事がへこたれれば真人が優しくフォロー。
真人が寂しい時は坂巻刑事がそっと寄り添う。
このナイス・カップルの構図も
徹頭徹尾、しっかりと貫かれていたのですな。
山Pはともかく、榮倉奈々は役の禊としては
まずまずだったのですなーーーっ。
もちろん、山Pもかなりいい感じに新境地を
提示できたと思います。
最後の山崎→山Pなんかは
口伝・・・という感じでしたな。
つまり、俳優としての免許皆伝伝授だったのでございます。
ともかく、キッドはこのシーズンのベストドラマは
(深夜のあれは別として)
「エンプラ」だったと断言いたしまする。
投稿: キッド | 2012年3月16日 (金) 16時06分
キッドさん
最後はハードボイルドの名言でエンプラ無事 終了ですね!
お疲れ様でした(^O^)
ところどころに入る毒は人生の機微
自分の人生100%汚れのない人なんていない
犯罪まがいの人生を送った人でも
死んだら無
実に慈悲深い脚本家さんなんですね
この難解なドラマ☆
キッドさんが華麗に戻ってきて指南して下さって本当によかった(^O^)/
北品川の駅で優樹が落ちそうになるのを止める真人
初回のシーンが思い出され この脚本、練りに練って初回オンエア時にはすでに出来上がっていたんじゃないかと思うと、それだけでもう良いドラマだったんだと感じます
殺された怨念で成仏できなかったのかと思えばさにあらず
案外 可愛い岩田さん
孫に見送られてもこの世をさまよっているのなら 真人 幽霊おじいちゃんの 葬儀屋奮闘記☆
シリーズ化して年に一度くらい見てみたいものです
せっかく蒔いた種
今回は結実はしなかったけれどいつか
大きく花開く時がくる
そんな姿見てみたい☆
もう会えなくても この世界で自分の大切な人が見守っていてくれる
ハラハラ ドキドキしながら見ていたご褒美に最後に最高のメッセージを貰うことができました
良いドラマでした
さ迷い惑う痛いファンに愛ある言葉
本当にありがとうございました
投稿: chiru | 2012年3月16日 (金) 18時23分
シンザンモノ↘シッソウニン↗・・・chiru様、いらっしゃいませ・・・大ファン
ハードボイルドだどっ・・・なのでございます。
そしてコメント完走ありがとうございました。
タフでなければ生きていけない優しくなければ生きている資格がないとか
強くなければ愛せない、優しくなければ愛する資格がないとか・・・。
そういうアンビバレンツな感情をあわせもつもの。
それが人間でございますからね。
それを極限までつめていくと
愛は限りなく冷酷だし
非情さはものすごく優しい・・・ということになるわけです。
そういう世界を描くのはかなり困難なのですが
今回のチャレンジはなかなかのものでしたな。
駅のホームというのもまた
乗り物シリーズのひとつですな。
東京では毎日のように電車が運転を再開します。
つまり・・・あるトラブル・・・
まあ、ぶっちゃけ人身事故があって
電車が止まるわけです。
電車という人生を運ぶものが
人生の終点になっていくこともある。
ここで真人と優樹は
お互いを助け合う・・・時には勘違いだし
時には間一髪で・・・。
アイリッシュ・ウイスキーとは
とある寒い空港の名物カクテルだったのです。
当時は燃費の関係で給油待ちが多かったのですねえ。
そこで待機客のためのホットなドリンクが求められ
アイリッシュ・ウイスキーが誕生します。
事件と事件の間のひととき・・・。
被害者の冥福を祈りながら
味わった・・・心安らぐ飲み物。
冷え切った犯人の心も氷解でございます。
キッドは岩田さんは本当は岩田さんのゴーストでは
ないのではないかと思っています。
まあ、ある意味、同族の匂いを嗅ぎつけたというか。
岩田さんはオバケはオバケでも
ゴーストとか幽霊というたぐいではなくて
妖精さんだとし思うのですな。
ま、妖精さんも古きゴーストの一種だったり
キッドのような悪魔の一種だったりしますけれど。
でも、どちらかといえばおちゃめ妖精で
岩田さんに変装して真人をからかっていたのではないかなあ。
本当はなにもかも知ってた感じですからね。
まあ、そんな妖精にとりつかれても
あっけらかんとしてる真人も
考えれば考えるほど凄いキャラクターなんですけど。
キッドは岩田さんはきっと尻尾があると
妄想しています。
多分、先端はハート型なんじゃないかとか。
そうでない場合は翼をかくしたキューピッドなのですな。
最終回の視聴率は10.4%で予想(キッドは11%くらいとよんんでました・・・まあ、*0.5%は誤差の範囲内ですけど)
よりやや低かったけれど
平均では10.9%・・・。
結構、視聴者を選ぶ内容でこの数字は
充分花開いているとキッドは思いますぞ~。
ドラマの世界では一足早い春。
桃子以外は井原家は全員ラブ・コメ・モードでしたな。
ま、命短し恋せよ乙女ということなのでございましょう。
まあ、愛がいとしさとかなしさの間でゆれる
蜃気楼のような世界・・・
ディアブロ(悪魔)は殺せなくても
お茶の間の乙女の皆さんは
真人の涙一滴で
悩殺されていること間違いなしだと思うのですな。
まもなく・・・春のお彼岸でございます。
今年の春が素晴らしいものになりますように・・・
心から祈るキッドなのでございます。
投稿: キッド | 2012年3月16日 (金) 20時18分
じいやさま、長い正座をお疲れ様でしたね~。
もろともにあはれとおもへ山桜の心境でしょうか。
厳しい山中の修行に耐えたのちにマーロウの気分。
強くなければ生きていけないし、優しさも強ければこそ。
じいやには1億の引き出しがあると公言してましたが
失礼でしたわ。無限ですわね。
私もねそれはもうFカップの胸を(むふ~)ドキドキさせておりましたが
終わってみたらカーテンコールに
次々と登場する人々に花びらが舞い散り、
くらくらしました。
いい終わり方でしたね。
じいやさまのおかげでラストまでこれました。
本当にありがとうです。
ところであの方は選ばれた人なので並みのステージじゃダメなんですよね。
ファンのイメージのそれは光彩を放つ象徴でなければいけないのだと思うんです。
そんなハードルの高い人生を課された人に
変なジャンパーを着せるという修行。
泥に根をはわせ美しく咲く睡蓮とも読めますね。
まるでお釈迦様の世界だわ。
美しい涙を堪能したのでこれも良しとしますが
この方は年を重ねても決して人情オジサンの方向に
進んではいけないんですのよね。
いうならばじいやのおっしゃるようにキャメルをくゆらせ、
スコッチやテキーラをかたむけるダンディで
スタイリッシュな空気を纏わないとね。
通過点にあって試行錯誤のような難しい役柄でした。
こういうドラマの解釈としてはがんばったと
褒めてあげたいです。
じいやが主役は山Pに他ならないと力強く宣言してくれて
私は少し涙が出ましたわ。
人生って愛を紡ぐためにあるとの
岩田さんのロマンにも
すっかり度肝を抜かれました。
私には生まれたときには既におじいちゃんと呼べる人がなくて
じいやがただ一人のじいやなのですが
岩田さんと真人の関係をみているとほんわかして
いいものですね。
私も負けずにじいや孝行できるようにがんばるわ。
さっそく盆栽を用意したのでご観賞くださいませ。
枝葉の切り方も未熟ですけど教えてね~。
そんでじいちゃん孝行セミナーに通って
肩もみツボ押し講座もとりましたの。
さっそくご披露いたしますわ~。
あれ~じいやそんな顔しないで~
今日からお彼岸の入りですわね。
あの世とこの世が一本に結ばれるとのことですが
思い人を心に浮かべながら
今夜は筍ご飯をどうぞ。
まだ少し寒いので日本酒は熱めがいいかしら。
投稿: エリ | 2012年3月17日 (土) 11時46分
✿❀✿❀✿かりん☆スー☆エリ様、いらっしゃいませ✿❀✿❀✿
石の上にも三年、柿八年でございますぞ。
はなよりほかにしるひともなしは
おセンチなさみしがりやさんのポエムですからな~。
まあ、愛してるから愛してるって言ってくれ・・・は
恋するものの本音ですけれども~。
一歩間違えればストーカーですが
相手が花なら大丈夫ですな~。
花にたとえた女性の場合はストーカー確定ですが~。
そうでございますねえ。
やはり山P先輩はいくつになっても
ダンディーでご婦人方を酔わせるサダメなのでございますねえ。
過酷なさだめでござりまするな。
まあ、もってうまれた限りはしょうがないですな。
真人とゴースト岩田が合作してつくりあげた
数々の奇跡。
そこには生きとし生けるもののつかのまの
開花がはなやいでおるのでしたな。
まさにいとしさこそもののあわれでございます。
じいめはこういうドラマが大好物ですからな。
食べ処満載で
実に贅沢なひとときをすごせましたのでございます。
やはり、実績というものは大切ですな。
お嬢様の喜びこそじいめの幸せでございます~。
最後は喪服に身をつつみ
フォーマルな装いで
お嬢様のハートを狙い撃ちですな。
ふ~らりふらりゆれるのは
じらしポイントなのですな~。
まあ、じいやなどは作業服萌えもいたしますので
変なジャンパーもなかなか乙だと存じます。
何着せても似合うのは美形の宿命ですからな~。
ツナギとか地下足袋とかもはいてもらいたいですぞ~。
次はCB3も期待したいですが
ハードボイルドな刑事もよろしいですなあ。
華麗な推理と高貴なアクションで犯人を追いつめる
新はぐれ刑事とか~。
過去に傷のある哀愁の私立探偵なんかもよろしいですなあ。
それから美人ゴーストと凶悪犯を追い詰める
スペシャル・エンプラもありですな~。
坂巻刑事が美人ゴーストに嫉妬してプンスカしたりして~。
岩田さんが孫かわいさで苦言を呈するとか~。
そして名探偵はやはりギムレットで決めるのですな。
まあ、いつも近寄りがたい役柄ばかりだと
息がつまるので今回は久しぶりに
ケンケンポジション。
そのポジションで主役がつとまるというのは
並はずれた力量と申すほかないのでございます。
山崎努もそろそろ老境の極み。
ミフネ、ナカダイそしてヤマザキと黒沢明の系譜をつぐものでございます。
世界のクロサワが健在でないのが
残念ですが
山P先輩がセカイのヤマピーに
なっていくのにはさらにヤマザキヤマピー競演で
実力を研磨していってもらいたいと存じます。
山P先輩の「用心棒」とかみたいものですな。
拷問シーンもあってお嬢様も
ワクワクドキドキなされますことうけあいでございまする。
踊るの青島刑事ではちょっと軽すぎましたからな~。
山P先輩が三十代になったら三十郎シリーズを
見てみたいですぞ~。
お嬢様に肩もみなどされましては
バチがあたりまする~。
お嬢様がちょいちょいとお育てになった松が
盆栽大賞を受賞しましたぞ~。
さすがでございますっ。
平成財閥先祖供養の義は
桜まつりでございます。
早咲きの桜をならべて
全国の選抜美少年が
提灯行列をいたしますぞ~。
平成神宮の表参道の特等席でご鑑賞くださりませ~。
今宵は北海道産のさんまの一夜干しに
大根おろしでございます~。
お酒はハ・タ・チになってからでございますぞ~。
投稿: キッド | 2012年3月17日 (土) 16時58分
キッドさん 、こんにちは
チャンドラーは、マツモト先輩にお取り置きかと思っていましたわ。いいのかなあ?とちょっぴりドキドキ
本当にいい最終回でしたね
特に、ラストの苺のシーン、ものすごく好きです。
甘いようで、酸っぱい。
酸っぱいようで、甘い。
このドラマ、そのものですね。
テーマは重いのに、全体的に流れる春のような穏やかな優しさも好きでした。
真人も成長しましたよね。初回は、鬼マネージャーだった真人が、家族を捨てた母親にも、意地っ張りな女の子にも、殺人犯にも、等しく見せる優しさには、ただただ圧倒されていました。ちょっと、人間離れしているかも。仏様みたい。
健人が、本当にしてほしいこと(でも遠慮してしまうこと)が分かって、最期の望みを叶えてあげる。それでいて、決して押し付けがましくもなく、人の気持ちをおもんばかることができる。派手さは無いけれど、やっぱり、真人は主人公だなぁ、としみじみ思います。
・・・欲目ですね。すみません。
欲目ついでに、もう一言。(上から目線ですが)演技が一作ごとに上手くなっていますよね。今まで見たことの無い表情を見られて、それだけで、おかわり3杯はいける安い客なので
(無表情で唄う「愛、テキサス」も相当面白かったですが)
問題もいろいろあったドラマですが、(それも含めて)毎週、本当に楽しみでした。
もちろんブログも。ありがとうございます
再開と同時にウォーミングアップ無しで、フルマラソン走っていただいたみたいになっていますが、体調の方は、大丈夫でしょうか?
しばらくは読み逃げになるかと思いますが、春ドラマも楽しみにしています!
季節の変わり目ですね。
お体ご自愛くださいませ
投稿: mi-nuts | 2012年3月19日 (月) 16時31分
✭クイーン・オブ・ザ・ランチ✭mi-nuts様、いらっしゃいませ✭親切百回接吻一回✭
ふふふ・・・この言葉の元ネタ以上にかっこいい言葉を
知らないのである意味、最大の賛辞でございますよ。
とりあえずキャストもスタッフも最後まで
やりぬいた感じがすごくしましたからねえ。
で、マツモト先輩用もすでにチャンドラーに決めていますぞ。
やはり、別格ですからな。
二つ用意していますのでよほどのことがない限り
そのタイトルになりますな。
一つはもうそのまんまな脱力系・・・。
一つは予想外の出来だったときにアレンジできるタイプです。
・・・まあ、もうおわかりでございますよね~。
最終回にパクれるネタを二本も持っているなんて
さすがチャンドラーですな・・・そこかよっ。
人間でもないものに
誘導されて
言われるままになんか食べちゃう・・・
考えようによっては
ものすごく恐ろしいことですが・・・。
今回の真人なら大丈夫・・・そういう安心感がございますね。
まさに心がタフなハードボイルドの主人公そのものですからっ。
そして・・・酸っぱくてもへっちゃらだい・・・
そういう少年っぽさも甘美で完備です。
とにかくひとつひとつのディティールから
テーマが滲み出る・・・そういうドラマはなかなかないのですな。
これはそういうドラマだったと考えます。
死というおそろしいものが
少しずつぬくもりを感じさせるどこかなつかしいものへと変わる。
季節感もそれにあわせて
木枯らしの冬からそよ風の春へ。
このテーマそのものがなかなかに秀逸だと思うのですな。
単なる難病ものではこの味は出せないし
やはり「死こそわが職業」という
葬儀の井原屋でしか成立しないテーマなのですな。
ただ・・・お茶の間はそれほどじっくり見る人ばかりじゃないですけどもねえ。
それに序盤で成長途中の真人が
あまりにも「人間らしい」ので
アイドルファンにはショックな部分があったり
脇役に押されてないがしろにされているように見えたり
・・・実はそうでもないんですが
いろいろとチャレンジが過ぎて
わかりにくい・・・という感じもございましたからねえ。
だけど・・・超人的な包容力を持ったヒーロー
と考えると・・・真人のキャラクターは
最初から首尾一貫していたとも言えます。
店長とその家族なんか・・・
何度でも幸せにしてやるぜ・・・展開ですねものね。
キッドは「すっげ~」と思いましたが
凄すぎてつたわらないことって確かにあると思うから。
健人と富士山なんて・・・本人にも
それがベストだかわからない究極の状況。
でも・・・愛するからこうなんだ・・・
そういうシーンとしては成立しちゃうんですよねえ。
まあ・・・いつ死ぬかわからないからって
弁当も作らずに出発しなくても・・・
とキッドは手作りおにぎり派なので思いましたがーっ。
まあ・・・ファンの皆さまは特別な視線で
もっともっとという方もあるでしょうけど
物語はすべて主人公を中心に動いてました。
それだけはなりきってたキッドが保証いたしまする。
演技についてはもう・・・抜群じゃないでしょうか。
最後の口伝のあたりはもう完全なるお芝居でしたし。
キッドは坂巻刑事のイスでクルクルを
ひやかすあたり・・・おしゃれな演技だな~と印象に残ってます。
セリフなしで他人を気遣う表情はかなり要求されていましたが
いつでも完璧にクリアしてましたしね~。
なかなかサラっとできないところですぞ~。
問題があっても面白いドラマと
問題なくてつまらないドラマ・・・
どちらが面白いかは明白でございます~。
お気づかいありがとうございます。
このレビューで精魂つき果てた序盤から
ゆるやかに回復傾向にむかって
今は「楽しい1クールでした」と言える心境に・・・
Qちゃんかっ。
花粉はとび、春雨はふり、寒暖がいきつもどりつ・・・
春眠暁を覚えず遅刻の危険も・・・
そんな日々にmi-nuts 様が
残りの多くの命を輝かせますように。
それって不吉じゃ・・・そうでもないのか・・・
お祈り申し上げます。
投稿: キッド | 2012年3月19日 (月) 20時34分
キッドさん、こんばんは(o^-^o)
キツドさん目線、なりきり真人の
おかげで、終盤はこのドラマを楽しむ
事ができました。
真人のやさしさ、強さ、包容力を
ちゃんと感じ取る事ができて、もう
会えないんだと思うと少し寂しいです。
最終回が一番好きな回になりました。
「人間は単純じゃなくて複雑なものと
いう反骨のテーマ」
脚本の中にはたくさんの裏と表が混在して
いて、主題歌同様、斬新でシュール。
この部分がもう少し演出に反映されて
いたらと・・・少し悔やまれますが、
終わり良ければ全て良し、ですね。
キッドさんありがとうこざいました。
お身体、無理なさらないで下さいね。
o(*^▽^*)o
投稿: しずく | 2012年3月21日 (水) 17時54分
(o^-^o)ブザビもピー~しずく様いらっしゃいませ~コドブもピー](o^-^o)
たのしんでいただけて幸いでございます。
まあ、キッドはただたのしんでいただけなので恐縮ですぞ。
前半はいくつもの伏線が複雑に織りなされていて
少し、わかりにくいかも・・・と思い
一人称にまとめてみたわけですが
後半はもうほどんど再構成なしで妄想補正のみで
ございましたけどね。
ふりかえってみますと
今回は主な帝国ドラマ4
それ以外3で一週間を過ごしていたのですが
月曜からいうと
(松潤)→(その他)→(その他)→(山P)
→(松岡)→(山田)→(その他)
こういう感じです。
ちなみに松山松山になってます。
こういうのも偶然の産物ですが
なんとなく暗号めいててうれしいキッドです。
脚本家は(新人ミックス)(中堅一本)(新旧ミックス)
(巨匠一本)になっています。
当然のことながら・・・全体を一人で書いた方が
連続性や関連性は高まりやすいのです。
巨匠一本はもうなんていうかお子様向きで
そこまでやるか・・・という濃い味。
ミックスの方はどちらもお子様向きでなげやりな感じでした。
その中で・・・このドラマだけは味わい深い大人のドラマでございましたな。
「愛、テキサス」の中には
Don't Let Me Down曇天に光が射せば上等さ
という一節があります。
このDon't Let Me Downは妄想上では
ビートルズ、それもジョン・レノンの一曲です。
がっかりさせないで
がっかりさせないで
君は初めて僕を愛してくれた人
そして僕が永遠の恋をした人
君以上には僕を愛せない
絶対になくすことができない恋
がっかりさせないで
がっかりさせないで
実にせつない歌でございます。
このドラマの山Pは
あらゆる人々のDon’t let me down
を一手に引き受ける凄い奴。
しかも、誰の目にもそうは映らない。
でも岩田さんだけは知っているのですな。
ですから・・・この物語は終わってみれば
ファンタジーなのですが
それを最終回まで巧妙に隠してきた。
キッドはかなり序盤から岩田さんの生存を
疑っていましたが
最終回まで死亡も疑っていました。
ここを隠しとおした演出も実は凄いハイレベルなのでございます。
まあ、機会があれば
リピートをこの一点でごらんになれば
その華麗なテクニックが
ご理解いただけるのではないかと考えまする。
劇中では「Here Comes The Sun」が一度使用されています。ビートルズのジョージ・ハリスンの曲です。
陽がさして
冬の日々が去っていく
陽がさして
俺、笑っちゃった
陽がさして
氷もとけだした
陽がさして
いい気分
「スマイル」のように明確ではないけれど
真人の心情に誰かがそう囁きかけている。
そう考えると「この世であなたを見守る人」の
くすぐったさが感じられるわけです。
キッドはそういう細かい部分を
ただ拾っていっただけですからね。
すべての素晴らしさの源はすでに
キャスト&スタッフが表現しているのだと思います。
キッドのようなものの身を案じていただき光栄でございます。
途中で棄権しないでゴールできてよかった・・・と
しみじみ思っておりますぞ~。
投稿: キッド | 2012年3月21日 (水) 21時54分