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2012年3月14日 (水)

早すぎた火葬に沈黙した乙女(木南晴夏)

原作「家族八景」のクライマックスである。

おいおい、これをここでやっちゃっていいのかよっ・・・と七瀬(木南晴夏)とともに声なき絶叫をあげたわけだが・・・まあ、ドラマ化だからな・・・いろいろあっていいのである。

少なくとも・・・ここまで、実に原作に忠実にAV化しているこのシリーズ、話数変更は大目にみたい。

後で順序変更してもう一度見ればいいだけの話である。

ここで、七瀬はある意味で殺人者となり、ある意味で大人になっていく。

自分を守るために他者の命を奪い、それでも生きていくのが大人というものだからである。

しかし、そういう哲学がお茶の間向きではないことは確実なので・・・ここで終わるわけにはいかなかったという推察もできる。

文学的には充分な内容だが、娯楽としてはこのままではすまない側面があるのだな。

「家族八景」がこの幕切れであるからこそ・・・なぜ七瀬が人命を尊重しなかったのかを・・・超能力者VS旧人類というわかりやすい対立の「七瀬ふたたび」で描く必要が生じたといってもいい。

いや、もちろん、もう一度七瀬に会いたいという読者の猛烈な希求もあったわけだが。

原作は以下の通り。

① 無風地帯 ② 澱の呪縛 ③ 青春讃歌 ④ 水蜜桃 ⑤ 紅蓮菩薩 ⑥ 芝生は緑

⑦ 日曜画家 ⑧ 亡母渇仰

今回のドラマ版はここまで、

①無風地帯 ②水蜜桃 ③澱の呪縛 ④青春讃歌 ⑤紅蓮菩薩 ⑥日曜画家

⑦オリジナル知と欲 ⑧亡母渇仰

次週予告は「芝生は緑」だったので10話完結なら最終回はオリジナルということになる。

例によって原作のもっとも重要な要素「もうすぐ二十歳の誕生日だった。七瀬は女としての肉体的成熟とそして美貌とを否応なしに認めなければならなかった」は欠損している。

今回はドラマの中でより幼い七瀬を木南晴夏自身が演じている場面があるわけなので・・・この点は原作を忠実に追ってもよかったのではないかと今更ながらに思うのである。

なにしろ、それができる女優なのだから。

同時に「一ヵ所にながくとどまって周囲に自分の能力を見せびらかしてしまう結果になることを避けるため」の家政婦稼業の終焉はさらにスムーズに描けたはずである。

スティーブン・キングは短編『第四解剖室』のあとがきで「およそ作家たるもの、いつかは『早すぎた埋葬』テーマに挑戦するべきだと思う」と語っている。それはおそらくこれがもっとも想像のたやすい恐怖のひとつであるからだろう。

このテーマの結末は二つある。一つは映画「キルビル2」のように間一髪助かるというハッピー・エンド。そして、もうひとつは本当のジ・エンドである。その中でもテレパシストという設定がこれほど生かされた原作のプロットは空前絶後だろう。この一作だけでも原作者の「生」は充分に輝かしい。

で、『家族八景 Nanase,Telepathy Girl's Ballad・第八話・亡母渇仰』(TBSテレビ20120229AM0055~)原作・筒井康隆、脚本・前田司郎、演出・藤原知之を見た。いわゆるひとつのマザーコンプレックスが描かれるわけだが・・・実はエディプスコンプレックスよりも母親に依存する息子と、息子に依存する母親の共存性の問題が描かれているのであり、どちらかといえば息子の極端な母親依存症の色彩が濃い。もちろん、ドラマ『ずっとあなたが好きだった』(1992年TBSテレビ)の冬彦さんは・・・この原作から生じているといっても過言ではない。まさに先駆者の偉業なのである。

亡き主が貿易協会の会長だったという屋敷だけでもひと財産の清水家。それが今回の家政婦・七瀬の奉公先である。七瀬が心の掛け金を外して他人の心を読む時の描写は今回は男女を問わずひげ面になるというものである。好みにもよるだろうが・・・今回は回想シーンでもヒゲ面だったりして・・・おそらく脚本家の幼児性の発露なのだろう・・・違和感がございました。もちろん、そこがいいという考え方もございます。

夫亡きあと・・・息子を女手一つで育てあげた清水恒子(宍戸美和公)の通夜から舞台の幕はあがる。

息子の信太郎(黄川田将也)は36歳(原作では27歳)のエリート社員だが・・・心が涙でふやけていた。

≪お母さん≫≪なぜ死んだ≫≪お母さん≫≪僕を残して≫≪お母さん≫≪ひどいよ≫

母親である恒子が死んでから一昼夜たっても信太郎の涙は枯れることがなかった。

≪お母さん≫≪ぼくはこれから、どうすれぱいい≫≪お母さん≫

信太郎の涙は甘い悲しみの涙である。信太郎は死んだ母親の追憶に浸り、泣き続けることによって、自らを甘やかしていた。

(本当に・・・これが・・・一流大学を卒業して・・・一流の会社に勤める男の意識なのか)と七瀬は自分の精神感応力に疑いを持つほどだった。

七瀬は・・・病床についた恒子の介護のためにこの家に雇用されて、まもなく、恒子は他界したのだが、その間に恒子と信太郎の異様な親子関係は察していた。しかし、これほどまでに信太郎が退行し幼児化するとは思わなかったのである。

通夜が終わり入浴である。浴槽が小さくなった上に半身浴せずに潜水する七瀬だった。

翌日の葬儀も徹頭徹尾、泣きじゃくる信太郎。

七瀬だけでなく・・・葬儀に参列した親戚や勤務先の関係者も信太郎の泣きっぷりにはあきれていた。

≪恒子さんが甘やかしすぎた≫≪なんだこいつ≫≪異常だ≫≪いつまで泣いているつもりだ≫≪本当に愛していたんだな≫≪近親相姦≫≪母親と寝ていたのか≫≪お嫁さんが哀れ≫

僧侶の読経の声も聞こえなくなるほどの大泣きをしている夫に困惑もし、消え入りたいほどに恥じている妻の幸江(東風万智子)は三十路に足を踏み入れたばかりである。≪あなた≫≪しっかりして≫≪お義母さまが死んで≫≪ようやくまともな夫婦になれると思ったのに≫≪しかし≫≪これでは≫≪あまりにも情けない≫

七瀬はすでに・・・信太郎と幸江の異様な夫婦生活にも気がついていた。

幸江は恒子の遺影を見つめている。

≪お義母さま≫≪あなたにはだまされた≫≪息子が一目ぼれをした≫≪そうおっしゃって突然、実家にいらっしやった時には≫≪うれしかった≫≪結婚するまでは≫≪本当に優しくしてくれた≫≪まるで観音さまだった≫≪私も愚かだった≫≪ちやほやされて≫≪その気になった≫≪だまされた≫≪結婚したとたん≫≪鬼≫≪夫との性交に嫉妬≫≪病気になってからは≫≪ののしられた≫≪毎日≫≪毎日≫≪私を殺す気か!≫≪この鬼嫁!≫≪この人殺し!≫≪どなられた≫≪私は玩具≫≪息子にねだられたお義母さまが≫≪買い与えた≫≪玩具だった

七瀬はそれでも夫婦生活を続けた幸江の忍耐力をいぶかしんだ。

(一体、奥様は何を期待していたのだろうか)

(奥様もお嬢様なので世間を知らなかったにすぎない)

(苦労を背負いこむ性格)

かわいいデザインの喪服を来た七瀬は泣き崩れ続ける信太郎とうつむいて夫の醜態に耐える幸江を交互に見た。やがて、読経は終わったが信太郎の泣き声は途切れなかった。

≪これで娘も救われる≫

幸江の実父の意識が聞こえる。

≪さすがにあの男も≫≪これで立ち直るだろう≫

幸江の父親は異常な姑の存在による娘の苦労をある程度察していた。しかし、七瀬は本当の幸江の苦労はこれから始まるのだと洞察する。

(母親に完全に同化した息子にとって・・・世界は敵なのだ・・・奥様もその敵の一人にすぎない)

しかし・・・と七瀬は思う。幸江なら・・・信太郎の母の代役ができるかもしれない。そのためには恒子の死は福音と言えるだろう。

その時、七瀬は暗闇をよぎる光のようなものを感じた。

≪・・・≫雑音のような意識の呻きが聞こえる。

その感覚に異様なものを感じて七瀬は意識の追跡を開始したが・・・それは消失してしまう。

(なんだろう・・・誰の心なのか?)

七瀬は告別式の参列者の心を探ったがそれらしきものは発見できなかった。

それよりも七瀬は人々が自分に関心を持っていることを感じ・・・狼狽する。

≪誰だ≫≪幸江さんの妹?≫≪親戚か≫≪家政婦か≫≪いい女じゃないか≫≪グラマーだ≫≪なぜ、こんな美人がお手伝いなんかしてるんだ≫≪処女か≫≪処女じゃないだろうな≫≪もったいない≫≪やりたい≫

七瀬は男たちのねっとりした欲望の意識に耐えられなくなり・・・給湯室に逃げる。

ここでドラマ・オリジナルの回想シーンが挿入される。

天涯孤独の身の上となった七瀬は近隣のスーパーマーケットで働いていた。

客(勝平ともこ)の心を読み、巧みなセールスを展開する少女時代の七瀬はある同僚(種子)には利用価値があると思われ、別の同僚(おのさなえ)には読心能力を疑われ恐怖される。

能力を駆使すれば人間をあるいは巧妙にあるいは恐怖で支配することも不可能ではない。

七瀬の中にそうした荒みが入り込む余地はあった。

しかし、賢い七瀬は「私は神ではない」と洞察し・・・家政婦として放浪することを選択したのである。

しかし、成人となった今。それもまた限界に近付いているのである。

未婚で美貌の女が勤めていても誰からも怪しまれることなく、勤め先に身許を知られないですむ職業。

そんな仕事があるだろうか・・・七瀬は前途に不安を感じる。

ナナちゃんっていったね

突然、声をかけてきたのは恒子の弟の茂蔵(佐藤二朗)だった。

≪(この娘はいい)(姉さんの看病の用がなくなった)(家の女中に)(そしててごめに)(俺が女にしてやる)(おぼこだ)(おぼこはいい)(未通女)(きっといい声で啼く)≫

七瀬はぞっとした。

「私、やめるんです」

「あ、そう、じゃ、ウチにくればいいよ・・・本家と違い、ウチは気楽だよ」

≪(そうだ楽にして)(力を抜いて)(いれるよ)≫

「いえ・・・家政婦をやめて・・・故郷に帰るのです・・・結婚するんです

≪(えー)(えー)(むむむー)(そりゃないぜ)(えー)≫

激しい欲望ですでに下腹部を充血させていた茂蔵は性欲を憎悪に変容させていた。

≪(えー)(せめて尻だけでも)≫≫≫なおも七瀬に接触しようとする茂蔵を避けて七瀬は式場に戻る。

喪主の挨拶のために信太郎がマイクの前に立っている。

「うえ、うえ、おおん、ご愁傷さまでしたあーん、あんあん」

沈黙に包まれた式場で再び、七瀬は一瞬の意識の呻きを感じた。

≪・・・幸江≫≪おぼえていろ・・・≫

幸江を恨んでいるものがこの式場にいる。七瀬は意識のサーチを開始したが・・・再び【その意識】は途絶えてしまった。

(あの大人しい奥様が人に恨まれているなんて)何か釈然としない七瀬だった。

そこへ・・・幸江がやってきた。

「ねえ、ナナちゃん、あなたも一緒に火葬場に行ってくれないかしら」

≪夫が手におえない≫≪私一人では≫≪ナナちゃんにたよるしかない≫

七瀬は妻ではなく嫁であることを強要され清水家で孤立していた幸江に同情していたので即座に承諾する。

「かしこまりました」

火葬場では笑い続ける怪しい男(入月謙一)がいたが≪やさしかった恒子おばさん・・・笑顔で見送りたい≫という単なる変人だった。

あの声はなんだったのだろうと七瀬がいぶかしむうちに棺桶は火葬炉に搬入される。

その時、七瀬の心に衝撃が走った。

≪幸江≫≪あの女≫≪私は殺される

微弱な精神力は・・・病人のものに違いない。そして、それは七瀬にとってよく知ったものの精神波だった。

しかし・・・恒子が死んでいるという先入観が・・・それをそう感じさせなかったのだ。

棺桶の中で・・・恒子が蘇生しているのだ。

読書家である七瀬は「早すぎた埋葬」という事例については知っていた。しかし、よもや自分がそのような場に居合わせるとは思わなかった。

しかも・・・恒子が生きていることを知っているのは七瀬ひとりなのだった。

だが・・・それを七瀬が誰かに伝えれば七瀬は人々に不審に思われるだろう。

わたしひとり

(わたしが教えない限り)

七瀬は迷った。このままでは自分が殺人行為を犯すことになる。しかし、なぜ、恒子が蘇生したことを七瀬が知ったのかは問われても説明できないのである。

だめよ、それはだめ、絶対にだめ、何のために今まで精神感応力(テレパシー)をひた隠しにしてきたの

七瀬は覚悟を決める。

わたしは知らない。私は何も知らないのだ。何も聞こえなかったのだ

熱い≫火葬炉は点火していた。≪熱い≫≪煙が≫≪喉を≫

≪燃えている≫≪殺される≫≪幸江≫≪熱い≫≪焼き殺される≫≪あつ≫≪熱≫≪助けて≫≪信太郎≫≪しんちゃん≫≪たす≫≪たすけ≫≪あつ≫≪助けて≫≪幸子に≫≪あの女中≫≪あいつも≫≪グル≫≪殺される≫≪あつ≪い≫熱≫≪わたし≫≪火≫≪ひ≫≪≪≪ひー≫≫≫≪ぎゃ≫≪ぎゃぎゃ≫≪わたしが≫≪わたしのからだが≫≪もえて≫≪灰になる≫≪助けて≫≪焼ける≫≪焼け≫≪おうおうおう

(死んで)(死んではやく)(おねがい)(ゆるして)(早く死んで)(死んでください)

自分の身を守るために生きている人間を見殺しにするという大それた行為への罪悪感は消えることがない筈だった。

しかし、七瀬は断末魔の叫びを歯をくいしばって耐えるしかないのだ。

南無帰命無量寿仏 (ナモそはすべての源へあらゆる尊いものも戻るなり)

南無帰命無量光仏 (ナモそはすべての源へあらゆる光あるものも戻るなり)

火葬場の虚空に七瀬の声なき絶叫がこだまする。

関連するキッドのブログ→第7話のレビュー

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はこちらへ→くう様の家族八景

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コメント

>後で順序変更してもう一度見ればいいだけの話である。

なるほど…
ここでこれやっちゃってこの後どうするんだろー、という疑問でいっぱい
ではありますが…ほんと、どうするんだろう。
逆に楽しみでもありますが…^^;

今回は凄かったですねぇ…
思わず、セリフ拾う手が止まって画面にくぎ付けになりました。
木南さんは本当に凄い女優です。
ラストの声なき絶叫シーンが頭に焼き付きそうです。
七瀬の苦悩が伝わってきました。

このままのスタッフで、ぜひ「七瀬ふたたび」に突入していただきたい。
熱望します(-人-)

投稿: くう | 2012年3月16日 (金) 00時05分

rouge❀❀❀☥❀❀❀~くう様、いらっしゃいませ~❀❀❀☥❀❀❀rouge

実に便利な時代になりましたのでございます。

アナログ時代の亡霊としてはなんですが
ここだけの話、編集がちょちょいのちよいで。

ともかく・・・このレビューの趣旨としては
残り1話・・・「芝生は緑」確保で大いに満足ですな。
もう、二週間も先延ばしされて
つんのめりそうでございますけれど・・・。

できれば最終話は・・・
「邂逅」あるいは「七瀬ふたたび」だったりすると
歓喜ですな。

やる気をみせてくれ~でございます。

後は・・・タレント行政と予算・・・ですな。

新人類の旧人類に対する正当防衛が
成立するのかどうか・・・そういう法的問題はさておき
能力はあるが人間である七瀬としては
この地獄の責め苦はかなり心に影を落とすわけで・・・
読者が萌える理由があるわけですな。

ある意味「白夜行」的主題の先駆とも言えます。

とにかく・・・木南七瀬は時を越えて
充分に七瀬たりうることが
今回は如実に証明されました。
心から喜ばしいかぎりです。
期待を裏切らないとはまさにこのことでございます。

この衝撃をひきずって来週
芝生は緑・・・のほほんですな。

とにもかくにも
木南晴夏版「七瀬ふたたび」
どうかどうか・・・見せてくださいと
祈るキッドです。ネ申(・∀・)イム。

投稿: キッド | 2012年3月16日 (金) 01時16分

キッドさんのかわいいデザインの喪服に妙に受けてしまいました(笑)本当 可愛いしよく似合ってましたね!

時間がなくって葬儀屋最終回を見て 家に誰もいないことをいいことに エンプラのラスト10分を何度も見直し余韻に浸った後にこのドラマを見たのです

黄川田さんは被っているし…もう頭の切り替えが大変でしたというか無理(>_<)
この真逆な展開に神経が悲鳴をあげて私も助けて~状態です(笑)
ドラマはとってもよく出来ていた気がしました
奥様がいい人でしたね!私、このシリーズいい人が一人でもいるとそのドラマを好きになる傾向があるみたいでsweat01
筒井康隆さんの事をよく知らず時をかける少女のイメージだったんですが七瀬三部作はどれもテーストが違っていて作家の奥深さを遅ればせながら感じています
ただ この作品は一部であるのに全ての要素が入りこんでいるのをキッドさんのレビューとドラマを見て私も感じることができました
ドラマ ラストでは七瀬は逃げているんですね
制作者にとっても特別な位置付けなんでしょうか?
ただ 私は正直 芝生は緑の予告に心底ホッとしました
次回作がとっても楽しみです
澱みたいな笑って癒される作品だといいなと思っています

投稿: chiru | 2012年3月17日 (土) 15時54分

cherryblossomシンザンモノ↘シッソウニン↗・・・chiru様、いらっしゃいませ・・・大ファンheart04

今年度の喪服の似合う女大賞グランプリをあげたいくらいですな。
喪服萌えは一大ジャンルですからな。
萌え~でございました。

まさに葬儀の連打。
明日のために撃つべし撃つべし撃つべしなのですな。
ジョー、たつんだジョーでございます。

ロリコンからマザコンへ・・・黄川田の変態の旅は
まだまだ続くのですな。
なにしろ・・・似合ってるので仕方ないのでございます。

特に「エンプラ」ラストではロリコン卒業・・・。
ちなみに「ロリータ」という原作では
対象が高校生あたりですからな。
最近は幼女趣味の方を
ロリコン呼ばわりですが
はっきりいって誤用です。
・・・さわやかモードの微笑みを見せていたので
ここでの泣きっぷりはまさに天国と地獄。
chiru様、おいたわしや~。

まあ、箱入り娘のお嫁さんで
今季フジテレビの日曜9時の先行形ですな。
昔はこういうお嫁さんがゴロゴロしていたわけですが
最近は姑も嫁も不在の傾向なのではないでしょうか。
特に都会では・・・。

原作では母子のどうしようもない
相互依存がもう少し深く描かれていたわけですが
ドラマではラストシーンの
七瀬の葛藤がメインとなり、逆算で
構成されていたようです。

筒井康隆はどちらかといえば短編小説の天才。
しかも、自動手記タイプではなくて
徹頭徹尾、構成された作品を仕上げるタイプです。
ギャグのひとつひとつまで計算されているわけですな。
逆にある程度、成り行きまかせの方が
面白い大長編には向かないと推測されます。

七瀬三部作がもっとも長い長編の部類です。
ある意味、単価安すぎで損するタイプですな。
水増し小説書き飛ばせませんから~。

基本的にはグロテスクなブラックユーモアが主体ですが
ときおり、とてつもないロマンチックをまぜてくる。
これが効くのですな。もう、たまりません。

初期短編の「東海道戦争」なんて
ドタバタなのにせつないですからな困ったものです。

大衆小説と純文学のちょうど中央にあるのが
七瀬三部作と言えるでしょう。
家庭から世界へと舞台が拡大していくのも
シンボリックなのでございますよ。

原作とドラマではビィジュアルに差が生じるのですが
原作でも・・・七瀬は「殺人」というタブーから
心理的に逃避していくわけで
心象風景と考えれば
火葬場から脱走する七瀬も
原作に忠実ではないと断言できないのですな。

そしてお茶の間に対するテレビ番組は
どうしても宗教的なニュートラルを要求されますからな
経文となえる七瀬はちょっとという心理的抵抗がございます。
ですので・・・このアレンジはありだな・・・
とキッドは考えまする。

まあ、このまま終わる後味の悪さこそが
「七瀬ふたたび」の原動力ですが
・・・もちろん、七瀬ふたたびはさらに後味悪いわけですが。

ドラマとしては次が「芝生は緑」というのは
ひとつの見識なのですな。
どうやら・・・最後は前後篇で
オリジナルはもうないようです。
結局、このドラマのスタッフ・・・というか堤幸彦は
「芝生は緑」をもっとも高く評価しているのかも
しれませんねえ。

まあ、ドタバタという点では
一番、お気楽な作品でございますしね。
キッドはそれもよろしかろう・・・と
思うばかりでございます。

投稿: キッド | 2012年3月17日 (土) 19時54分

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