最後から二番目の恋の神話(小泉今日子)
さて、「最後から二番目のメルトダウン」「最後から二番目の東京大空襲」とお題に答えてきたのに「本題」について語らないのはなんとなく心苦しいのである。
「最後から二番目の・・・」と言う言い回しにはなかなか、使い出があるのだな。
オーソドックスに解釈すると・・・それは時系列的な問題で・・・「最後の恋の直前の恋」になるわけだが、「最後」という言葉には順位的意味合いもある。つまり、「最後」は「最下位」にも通じている。「最下位」は「最悪の結果」にも通じているので「最後」ということは「最悪」でもあるわけだ。
そう考えれば「最後から二番目の恋」は「最悪よりちょっとマシな恋」という意味も含んでいることになる。
しかし、物語の最後で主人公はモノローグでこう語る・・・。
最後の恋なんて思うと先がなくなる・・・次に恋をするときは最後から二番目の恋だと思うことにしよう・・・。
つまり、「最後」は時系列の「最後」だったらしい。
大人になれば「恋」は必ず終るものと考えるのが普通である。
「永遠の恋人」という言葉があるが、多くの場合、それは「片思い」である。
恋という現象は刺激的で麻薬的で依存的であるので多くの人は「恋」に恋する。
そして、多くの人はそう簡単に相思相愛の恋にはありつけない。しかし、「恋」を感じていたい。
だから、「恋愛ドラマ」がビジネスとして成立するのである。
夕方、西の空を見上げると三つの天体がかなり、印象的に見える。
惑星である金星と木星に衛星である月が割って入る構図である。
太陽の周囲をめぐる惑星と地球の周囲をめぐる衛星では目に見える動きにかなり差があるので面白いし、月は満ち欠けがあるためにさらに面白い。
星空もまた恋の対象である。時には忘れた恋というものがあることを思い出させる。
思い出があるということはすでに悲しいことなのである。
そういう意味で人生の終わりが近づく人々の恋はどこか哀れである。
その哀れさにひかれる人々もどこか哀愁である。
金星は美の女神・ヴィーナスである。木星は神々の王ジュピターだ。
二人の恋は権力者と絶世の美女の恋なのである。
そこに割って入る月は三人の女神で構成されている。生殖の女神ルーナ(満月)、狩猟の処女神アルテミス(半月)、死の女神ヘカテー(新月)である。
魔術的にはこのドラマはこの天体の運行に支配されているわけである。
ヴィーナスが小泉今日子、ジュピターは中井貴一である。ルーナは美保純・佐津川愛美(ルーナの胎児としてのダイアナ)の母子、アルテミスは内田有紀、ヘカテーは白木彩奈である。
では・・・坂口憲二は何かと言えば太陽神アポローンということになる。物語は昼間の間・・・アポローンに支配されるが・・・夜になればひそやかに恋が進行していくことになっている。ちなみにアルテミスとアポローンは双子だ。
ちなみに・・・飯島直子と浅野和之は単なる庶民である。まあ、星屑と言ってもいい。
中井貴一の娘である白木彩奈は亡き妻の面影でもあるが・・・禁断の恋の相手であることは言うまでもない。
で、『最後から二番目の恋・第1回~最終回』(フジテレビ20120112PM10~)脚本・岡田惠和、演出・宮本理江子、谷村政樹、並木道子を見た。脚本家は傑作『銭ゲバ』のあと、『小公女セイラ』『おひさま』などあまり印象に残らない作品を経由して、そこそこ面白いここである。・・・あくまで個人的な妄想です。少女マンガ大好きの人がもはや少女ではないけれど心は少女マンガの世界をコミカルに描いたわけである。
このドラマのもっとも良い点は仕事を自分でやめたことがない女・長倉万里子(内田有紀)が久しぶりに立っていたことだろう。・・・あくまで個人的な妄想です。
最近では『ギネ』とか『バンビ~ノ』とか『イノセント・ラヴ』とか・・・軽い役柄ばかりだったからな。・・・『イノセント・ラヴ』が軽いのかよっ。
主人公の吉野千明(小泉今日子)とは10才の年齢差だが、兄役の長倉和平(中山貴一)が父親的ポジションであり、ある意味、独身の千明の未開の母性の発露相手である。
脚本家役の栗山はるか(益若つばさ)いわく「捨てろと言われてもなかなか捨てられないボロボロのぬいぐるみ」である。それは萌える。つまり、ダンボールこと「クワコー」のホームレス女子大生ジンジン(桜庭ななみ)と同じジャンルなのである。15才も年上なのに同じジャンルをこなせるとは・・・内田有紀・・・さすがだ。
そのタブレット的端末を操作するしぐさはリスが檻の中で遊具を回転させるが如きである。
チョチョチョチョチョチョ・・・萌え~だな。
引きこもりなのだが・・・さびしがり屋の専業主婦である姉の典子(飯島直子)に引きずりまわされる図はまさに・・・等身大ぬいぐるみである。
千明は擬似母親として万里子の才能を招き、アシスタント・プロデューサーとして抜擢する。
「自分からやめると言わない限りやめさせない・・・って言われました」と兄たちに報告した万里子は「じゃ、お祝いしようか」と言われ・・・「一人でかみしめたい」と断る。
が、ひきかえしてきて「職場でほめられちゃいましたー」と悦びのおすそ分けをするのである。
あえて言おう。万里子、かわいいよ万里子である。
やがて・・・万里子は千明に恋をしてしまう。そして千明のボトルキープ的天使である真平(坂口憲二)と「おんなじだね~双子だから」と微笑み合うのだった。
二人そろってツンデレを続ける千明と和平がデレる時・・・そっと聞き耳を立てる万里子。
「要するに一人暮らしの女はおっさんになってくるわけで」と和平。
「なんだってえ」と千明。
「じゃ・・・お兄ちゃんはおばさんになってるのね」と万里子。
「だれがおっさんだっ、こら」と千明。
「誰がおばさんだっていうのよ、冗談じゃないわよっ」と和平。
・・・なのである。
最後は自分の気持ちに正直になった風に二人組は「年の差カップル」に自ら終止符を打つわけですが・・・見ようによっては「ふられる前にふる」という「自分中心主義」でございますねえ。まあ、このドラマの主題はあくまで「恋」であって「愛」ではないわけで・・・このこざかしい初老の男女はそれなりにファンキーだったといえましょう。
まあ・・・東日本大震災の後の東海大地震で鎌倉の皆さんが大変な目に合わないように心から祈りたい。
鎌倉市役所なんて修羅場になるんだろうなあ。
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コメント
神話好きにはワクワクする解説つきでヽ(*´∀`)ノゎぁぃ♪
まさかそんな意味が隠されていたとは、二度おいしい。
>飯島直子と浅野和之は単なる庶民である。まあ、星屑と言ってもいい。
ってここへ来てウケた(ノ∇≦*)キャハッッッ♪
ちゃんと当てはまる星があるなんて(笑)
>『イノセント・ラヴ』が軽いのかよっ。
懐かしい~。けど忘れてたぐらいだから軽いのかもよ。チガウカ
今回の万里子役は見事でしたもんね~。
って聖花の見事とはまた違う、愛されキャラが最高でした。
貴一さんもそうですけど、有紀ちゃんの早口セリフにも感心しながら見てましたもん。
皆さん流石~。
そして最後に、鎌倉市役所の修羅場を想像させるとこなんて
キッドさん流石~って感心してると、
レビューをオススメしてくれてることに気づき驚き~(*゚0゚)
すると鎌倉市役所は、最後から二番目だったのかって笑うしかないΨ(`∀´)Ψヶヶヶ
こちらの記事も読んでいただきありがとうございました。
きっと…テンメイさんと私のやりとりも合わせると、お疲れ様でしたでしょう(笑)
またキッドさんとお喋り出来ることが嬉しいです。
これからもファンキーに生きてねん♪
投稿: mana | 2012年3月28日 (水) 16時36分
|||-_||シャンプーブロー~mana様、いらっしゃいませ~トリートメント|||-_||
今はすっかり金星と木星が並んで
月が遠ざかりつつありますな。
ドラマ終了後、千明と和平はしっぽり・・・でございます。
飯島直子と織本順吉様が同時に出ていると
つい、「沙粧妙子-最後の事件-」の事件を連想し
か、かじうらが裏にからんでるんじゃないのかと
心配になるのですな。
万里子は昔、雑談した時に
子供の頃、家出して野原でホームレスしていた・・・
と言う話がすごく耳に残っているので
あのいかにもな重ね着ファッションが
萌え~なのですな。
萌え~でございます。
こういう役もできる・・・と
認識してもらえてよかったんじゃないのかな。
とにかく、たくさんセリフあったからな~。
まあ、キイチとキョンキョンにかんしては
いつものキャラだったという言うしかございませんしね。
キッド的には「これぞ大人のドラマ」なんて
言われるとちよっとムムム・・・と思いますな。
このクオリティーで若者向けのドラマって
奴を作ればいいんじゃね・・・と思いますしね。
要するに単なるスターのドラマでございますから~。
昨日も夜の散歩をしている間に
東北では大きな余震があったのですな。
やはり、海辺の街っていうのは
それだけで絵になるので
心に強く焼き付いていて
その分、痛いのでございます。
こんなときに港町ブルースなんて歌えるか・・・的にですな。
もう、東海大地震で湘南とかがものすごいことになったら
胸がはりさけること確定ですからな~。
ふふふ、今回はテンメイ様が
山Pドラマから逃走してアメリカン・ドキュメンタリーに
行ってしまいましたからな。
ちょっとさびしかったですぞ。
「ビーチ」と「二番目」の
すれちがいトークもなかなか趣がございましたね~。
まあ、
君はファンキー・モンキー・ベイビーと
言われたことはありませんが
精進したいと考えておりまする。川´U_U`川
投稿: キッド | 2012年3月28日 (水) 19時59分