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2012年3月11日 (日)

大和撫子(石橋杏奈)と執着とは何かを汝に問うフライト・アテンダント(山田涼介)

執着とは不思議な言葉で・・・愛と憎悪が共存しているわけである。

執着がなければ愛はないし、執着があるから愛はないのである。

この場合、問題があるのは執着ではなく愛の方である。

理想の息子・大地(山田涼介)の邪悪な母親(鈴木京香)の愛が限りなく愛以外の何かに見えるとしても・・・それもまた愛の問題なのである。

このドラマは愛に満ち溢れている。

たとえば・・・親友の小林(中島裕翔)の小動物的策略を甘んじて成就させる大地の挙動は西洋的なフィーリア・・・いわゆるひとつの友情という愛である。

隣人の倉橋(沢村一樹)が亡き妻に捧げる妄執は東洋的な「渇愛」ともそれが凝縮したいわゆるひとつの慈悲という愛でもある。

大地と海がそれぞれに抱く近親相姦願望はまさしく西洋ではエロス、東洋では性愛と呼ばれる愛に他ならない。

いわば・・・このドラマは愛の万華鏡なのである。

様々な愛を経験したものであればどの愛も思い出深く・・・侮れないのであるが・・・やはり・・・愛する相手のためにすべてを投げ出す令嬢・篠田ソラの一途な愛こそがローマです。ロマンス(理想)です。ローマの休日です。

で、『理想の男子・第9回』(日本テレビ20120310PM9~)脚本・野島伸司、演出・森雅弘を見た。さて石橋杏奈である。驚くべきことに・・・まだ19歳なのである。なんだか・・・凄く昔から・・・このまま存在している気がする。しかも・・・ひっそりとだ・・・。ほぼ、女子中学生~女子大生の役柄で連続ドラマの若い女の子役をゲストあるいは脇役レギュラーし続けているんだな・・・。

デビューの2007年には『受験の神様』で成海璃子演じるヒロインの天才・女子中学生にハーバード大学を蹴らせて共に高校生活を送ることを選択させる魅力的な普通の女の子を演じるわけだ。圧倒的な存在感の成海を萌えさせるヒロインのヒロインである。これを難なくこなしてしまうところがすでにただものではない予感である。

次は『斉藤さん』(2008年)である。頑固一徹のヒロインを演じる観月ありさを陰に日向に応援する普通の女子高校生役である。コンビを組むのはあの高橋みなみである。高橋みなみがかなり個性的なのであるが・・・普通でありながらそれを上回る存在感を示すのだな・・・これがっ。

そして『銭ゲバ』(2009年)なのだ。主人公である松山ケンイチに普通の女の子だけど貧乏に負けて売春を持ちかけるというものすごい役柄を体当たりである。銭ゲバで「私の体を買ってください」である。まさにメイン・テーマの体現者ではないかっ。

この年には深夜で「トリハダ5」があり、谷村美月とともにホリプロ女優としても存在感を出している。

さらに『ギネ 産婦人科の女たち』(2009年)ではカイザーカイザーの波に乗り、子宮を失ってねじれていく普通のティーンズである。

2010年なると『ヤンキー君とメガネちゃん』でヒロイン仲里依紗と赤点メイトになったり、マイナー枠とは言え、今をときめく尾野真千子を従えて『MM9-MONSTER MAGNITUDE-』で連続ドラマの主演を果たしている。しかも・・・役柄は普通の怪獣退治の専門家である。

そして、つい最近では『妖怪人間ベム』(2011年)のベラ(杏)の親友、小春役である。

なんていうか・・・若くして・・・助演女優の鏡なのであるな。今回は理想の息子の理想のフィアンセである。ある意味・・・超難役ですが・・・軽々と淡々と飄々とこなしてますなあ。

なんか・・・もう・・・メジャーで主役する必要がないほど・・・キッドの中ではスターですな。

さて、ドラマの方は熟練の腕前で様々な要素を組み合わせ、まったく隙がない展開で進行していきます。

前回のG7巨大ビジネス争奪戦における替え玉大地の優勝は各方面に様々な波紋を広げる。

百獣の王ライオン・マザーの小林夫人は・・・トロフィーである令嬢・ソラを小林のフィアンセとして迎えたい意向である。あの小林夫人が絶賛するソラ・・・只者ではないのである。

しかし、ソラは・・・真の勇者である大地を直感で見抜き・・・たちまち恋に落ちているのである。

そして・・・押しかけフィアンセを決行する。

大地を密かに思う豹塚(吉永淳)は「あんなの女の常套手段」と嫉妬という愛の炎を燃やすがそぼふる雨に濡れるお嬢様ソラを小さな子猫を拾うように家にお持ち帰りの大地だった。

パート軍団に例によって洗脳され、新たなノイローゼ(嫁と姑になって息子に邪険にされたらどうしよう)に感染していた海は・・・息子の恋人出現に卒倒寸前である。

しかも・・・目的達成のためには手段を選ばない世界の住人でもあるソラは「妊娠」というウソでさらに海を追い詰めていくのである。

一方・・・海王工業ではニセ大地が出現し、愉快な仲間たちを次々に病院送りにしてしまう。

大地に不信感を抱く仲間たちをダークサイドに落ちた小林は巧みに誘導していくのだ。

そうとは知らない大地は友情の証として小林と丹波兄妹(脇知弘・三吉彩花)のコスプレ・コーナーで客室乗務員スタイルをダブルできめる。東雲クララは「いよいよ来週は立ちます」と衝撃の最終回予告である。

小林が堕ちたのは母親に千尋の谷に突き落とされたからなのであるが・・・それもまた愛でございます。

おそるべきはマルコバグループの超技術と社員層の厚さなのだ。

(⌒(´・▲・`)⌒)もびっくりである。

しかし・・・ストーカー的素養も持つお嬢様は愛する大地のためにすべての陰謀をお見通しなのである。

だが・・・ヒーローである大地はゲスト・ヒロインの愛の杯を素直には受け取らないのである。

彼が取るのは無償の愛に続く友情の道だったのだ。

その頃、「嫁さんなんて一生不要宣言」から「貧乏に幸福なし断定」「妊娠中絶を未成年者に強要」とノイローゼによる悪のフルコースを経て母親の黄昏に達し・・・手軽な隣人と酔いにまかせて結婚を決意する海だった。

母親にストルゲー的な従順すぎる愛を尽くした大地はまたしてもどんな愛も懐疑する母親に裏切られてしまうのである。

はたして・・・海が・・・悟りを開き・・・アガペーに目覚め、聖母となる日はやってくるのか・・・。

あ・・・三船(藤ヶ谷太輔)の極悪非道の母親が登場するのかどうかも・・・ついでに楽しみたい。

次週、いよいよ・・・「愛の結末はいつでも卒業」に乞うご期待なのだな。

・・・勝手にサブタイトル決めるなよ。

関連するキッドのブログ→第8話のレビュー

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