料亭の残飯にありついています。(桜庭ななみ)
いたいけないとは・・・いたいけ(凄く愛しいしぐさ)+ない(いっぱいにあふれている)で「愛しすぎる」という意味である。
ダンボールとあだ名されたり、ゴミ箱あさったりする美少女ホームレスのジンジン(桜庭ななみ)・・・このいたいけなさはどうだろう。そうなのだ・・・お腹をへらした子猫ちゃんを見捨てることのできない心情こそ・・・人間の愛の原点なのだな。
今回も・・・容疑者の一人・飛田玲子(白石美帆)の事情聴取をするクワコー(佐藤隆太)のとなりでクワコーのおごりとなる喫茶店の軽食をもりもりと食べ、事件の舞台となる料亭「たらちね」の料理の残飯をおよばれして、食べ残しのケーキまで黙々と食べ、依頼人である入院中の女将・益恵(りりぃ)のお見舞い品のお菓子をモグモグと食べる・・・かわいいよ、ななみ、かわいいよ炸裂である。
なんだか・・・ちょっぴり太った気がしますが・・・まさか・・・実食かーーーーーっ。ほどほどにね。
今回、ようやく・・・クワコーがみだらで低レベルの妄想をしていると、それを超能力といえるほど直観力に優れたジンジンがすべてお見通ししているというこの物語の核心が見やすいレベルで描かれている。つまり・・・このスタッフは第6話まで・・・この物語の本質を見誤っていたということである。・・・それでいいのかよっ。
そう言う意味では・・・今回初登場の演出家が鋭い・・・ということなのだな。
そして、いたいけないジンジンのはっきりとしたサービス満載。
「第7妄想」こそがこのドラマの標準サイズなのである。今回の脚本・演出コンビで最初からやり直してもらいたいくらいだ。
しかし・・・無情にも時はけして巻き戻らない。だからこそ、すべてのサービスマンは全身全霊をあげて今をご奉仕しなければならないのだ・・・なんのこっちゃ。
で、『妄想捜査〜桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活・第7回』(テレビ朝日20120304PM2315~)脚本・山岡真介、演出・石井裕也を見た。ちなみに演出家は満島ひかりの夫君である。さすがは天才女優の選んだ男だけのことはあるな。死んでいたこのドラマに魂が吹きこまれている。相続問題で揺れる老舗の料亭「たらちね」・・・老いた女将と二人の娘・飛田晶子(大家由祐子)、飛田紀美子(春木みさよ)は伝統保守と進取革新の立場で対立する。末娘の玲子は女将の夫の愛人の子で女将とは血縁関係がなく・・・二人の異母姉とは確執がある。そんな最中・・・女将は食事中に卒倒し・・・毒殺未遂疑惑が浮上する。
一方、学内での特別講演会を間近に控えたクワコーの元に・・・自転車型タイムマシン・でろりあん号が届く。坂道を猛スピードで下ることで時間旅行を可能にするタイムマシンに乗り、クワコーは飛翔し、地面に激突、全身打撲で失神する。
2月28日から3月1日に時間移動したクワコーは病院で目を覚ます。
そして・・・同じ病院に入院中の女将の依頼で事件解決に乗り出すのである。
資産10億円という女将の言葉に目が眩み、「結婚したい」と心でつぶやくクワコーに激しく舌打ちするジンジン。ジンジンにはクワコーの心の中はなぜかすべてお見通しなのである。
そこへ見舞にやってきた毒薬混入が疑われる三女の玲子。クワコーは玲子の白石美帆的な美貌に心を奪われ、ただちに美人容疑者と探偵の妄想恋愛モードに突入。
そんなクワコーをジンジンは険しい軽蔑の目で生暖かく見守るのだった。
とにかく・・・今年はうるう年である。2月29日を通過して3月1日にやってきた時間旅行者のクワコーは「バック・トゥ・ザ・なんとか」他のAVの延滞料金を支払わなければならないのだった。
「多額の延滞料金を支払わねばならない」そんな覚悟のために恐ろしい形相となったクワコーに睨まれたレンタルビデオ店員(吉谷彩子)は恐怖におののく。しかし、何故か、延滞料金は請求しなかったのだ。
つまり・・・その日は3月1日ではなく、2月29日だったのである。
しかし・・・そんなことにはまったく気がつかないクワコーだった。
ミステリー研究会のアメリカ(河北麻友子)が入院書類を記入したために桑潟幸一が帰国子女的変換によって桑潟辛一となっていたので・・・もはやクワシンとなったクワコーはすべては時間旅行の余波と勘違いするのである。
しかし・・・もちろん、それはニセ女子大生・木村部長(倉科カナ)の意味不明の画策による陰謀だったのである。
クワコーに時間を越えさせたと錯覚させることで妄想の暴走を引き出し・・・すべての真実を明るみに出す・・・それが木村部長の深遠な計画だったのだ。もちろん、ある意味、意味不明であるが・・・そこがいい。
事件解決のために過去へと向かい全身打撲で失神するクワコー。
そんなクワコーに謎の清掃員・耳島(升毅)は「なぜ・・・3月1日がくりかえされるのか・・・それはやりのこされた愛の告白があるからだ・・・クワコー、今を生きること・・・それがスタイリッシュってことだろう」とまったく意味不明の助言をする。・・・だが、そこがいい。
やがて・・・本当の3月1日がやってくる。その日は女将の誕生日だった。女将は今年がうるう年であることをうっかり忘れていたのである。そのことに気がついた玲子。
すべては重病の手術のために希望を失った女将のために・・・玲子が計画した誕生日が2日ある作戦だったのだ。
クワコーは女将毒殺犯を玲子と断定するが・・・ジンジンは「犯人という意味では間違っていないのです」と優しくフォローする。彼女の直観力はストロベリーナイトの主任をはるかに凌駕しているのである。むしろ、家族八景の七瀬に準じている。
「なんで・・・そんなことをしたんだい・・・」
「血の繋がっていない私のために・・・お母さんは・・・誕生日を祝ってくれた・・・それがとてもうれしかったのです・・・あの日のようにみんなで仲良く誕生日を祝いたかった・・・」
血のつながった二人の姉も頷いて・・・母を見る。
「なにをいまさら・・・」と気色ばむ女将にクワコーの下から目線の説教が始まる。
「何を言ってるんです・・・素直になってください。私なんか・・・家族ともうまくやれないダメ人間なんです。でも・・・そんな私をあなたは頼ってくれた・・・他人に頼れるくらいなら・・・もっと家族に頼りなさい。他人なんてどうなってもいい・・・でも家族がいれば・・・それで充分じゃないですか・・・どうして家族に心を許さないのです・・・そんな哀しいことはありませんよ」
クワコーの自虐的説得に心を動かされる女将。
「でも・・・私はもう・・・先がない身・・・」
「おまかせください・・・時空探偵クワコーが・・・未来を見てきます。そして・・・覚悟しておいてください・・・玲子さんとボクはおそらく結婚しているでしょう」
クワコーの意味不明の言動に思わず視線をそらす玲子だった。
こうして・・・クワコーは再び未来に向かって飛翔し・・・全身打撲で失神である。
そんなクワコーにジンジンは「全部、ウソだったんです」と告げるのだった。
だが、クワコーは微笑む。「三回死にかけてわかったことがある・・・つまり、こんなボクでも・・・死にたくない・・・生きていたいと心の底では願っているってことだ」
その日は女将の手術当日である。しかし、クワコーは「安心してください・・・一年後の未来でたらちねは三人娘で大繁盛していました。そして女将さんはいつものように娘たちに元気で小言を言ってました」と女将を優しく励ますのだった・・・大団円である。
講演会当日。会場の聴衆はミステリー研究会のメンバーのみである。
しかし、彼女たちの瞳にはクワコーに対する軽蔑と慈愛が満ち溢れている。
そして・・・クワコーの気分はスタイリッシュに晴れやかだった。
ほら・・・今回はちゃんと・・・ドラマだったのである。
関連するキッドのブログ→第6回のレビュー
| 固定リンク
コメント