サイコロころがし有り金なくしすってんてんのあの皇子様~(松山ケンイチ)
ここで、この歌を歌うことになろうとは・・・(松田翔太)・・・でもよかったが・・・とにかく、今回の大河はあまりにも面白いので主役にも敬意を表しておきたい。
高校生総理大臣に続いて小学生皇子の登場である。まあ、あんな子供はいない・・・と思うのは一般的ですな。
結局、知能指数の問題ですからな。現実に知能指数150~200の子供なんてごろごろいるわけで逆に、現代では知能指数が100に達しない大学生もごろごろいる・・・ただそれだけのことなんですな。
もちろん・・・人間の脳はよくできたもので・・・神童も20歳過ぎればただの人になるのが一般的です。
ただし、真の天才というものは死ぬまで成長がとまらない恐ろしい代物なのですな。
そういう人が原子爆弾を思いついたりしちゃうのがこの世の醍醐味なんですなーーーっ。
たとえば超絶的な知能は知能検査では測定できないもの。
言わば会話さえ不能な超天才が本当はごろごろしているのでございます・・・。
人々はもはや、個の時代ではなく組織の時代だといつの時代でも思いたがるものではございますけれどーーーっ。
それが衆愚というものなのですから~。
で、『平清盛・第9回』(NHK総合20120304PM8~)脚本・藤本有紀、演出・中島由貴を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は後の第77代後白河天皇こと雅仁親王描き下ろしイラスト大公開で大サービスでございます。毎回のように新・登場人物登場で馬車馬のように描く画伯の疲労困憊ぶりに涙を禁じえませんが・・・あくまでマイペースで励んでいただきたいところです。展示場にまことの姫が揃うなんて贅沢な夢はけしてみていませんから~。キッドは画像工場のサルベージが進展し、一服ついておりますぞ~。・・・だから私信はコメント欄でやれってば~。
平重盛の誕生が保延四年(1138年)で体仁親王の誕生が保延五年(1139年)である。時代はゆっくりと流れて行くのである。傍若無人の青春を過ごしていた平清盛もすっかり大人びて・・・いい感じに仕上がってきている。やがて清盛は腐乱した藤原京に決別し、新京を築くというアクションで世に一石を投じることになるわけだ。そこで今回は藤原だらけのこのドラマの血縁関係を整理しておきたい。さて、時は七世紀の大化の改新にまでさかのぼる。ちなみにやたらと面倒くさい元号もこの日本では大化が記録に残る最初の元号とされている。もちろん、あくまで正史の話である。当時の大王家には蘇我氏という豪族がついていたわけだが、これを葬り、成り上がったのが中臣鎌足・・・後の藤原氏の祖である。以来、王家に対する公家の代表として藤原氏は大繁栄することになる。そして分家に分家を重ねるのである。鎌足-不比等ときて、その子、武智麿が藤原南家をたて、房前が藤原北家をたてる。他にも式家、京家がたつが省略する。北家は房前-眞盾-内麿-冬嗣ときて後に藤原純友を生む長良や、後に紫式部を生む良門の兄弟に良房がありこの系譜が基経-忠平-師輔-兼家と続いてこの世をわが世とぞ思う道長が摂関家の春を築き頼通-師実-師通-忠実となるわけである。基本は帝に姫を奉り次の帝を生ませるという外戚戦略である。忠実の祖父である師実は白河帝に娘(養女)の藤原賢子を嫁がせ堀河帝を生している。しかし、妊娠出産には運が作用する。鳥羽帝を生したのは閑院流の藤原苡子だった。閑院流は兼家の弟・公季の系譜である。実成-公成-実季-公実と続く。実季の娘が苡子である。さらに公実の娘が藤原璋子となる。璋子は鳥羽院の后となり白河院の子と噂される崇徳帝を生す。閑院流は二代続いて天皇の外戚となったのだ。しかし、白河院と鳥羽院の確執により摂関家が息を吹き返すわけである。崇徳帝の后は摂関家・忠実の子・忠通の娘藤原聖子となる。この対立に乗じたのが眞盾の兄弟魚名の子・末茂に始まる末茂流の一族である。総継-直道-連茂-佐忠-時明-頼任-隆経-顕季と続き、長実の娘が藤原得子となる。ちなみに長実の兄弟に家保があり、その子が藤原家成(佐藤二朗)なのである。つまり、得子と家成はほぼ同族なのである。崇徳帝の後は兄弟相続となり、末茂流の体仁親王が近衛帝、さらに閑院流の雅仁親王が後白河帝となる。まあ、恐ろしいことが起きるのは充分に想像できる成り行きなのである。ちなみに末茂の兄弟に藤成がありその系譜に秀郷流が生じその子・千常の流れから佐藤家が生じる。佐藤義清はその一族である。また高階家に養子に入った通憲は元は藤原南家の一族であり、熱田大宮司の藤原季範(源頼朝母の父)とは同族関係にある。藤原一族のはびこりぶりには恐れおののくよ。
平安京に火事はつきものである。都となれば燃えやすい上に不審火、怪火は後を絶たない。帝の棲む内裏も例外ではない。内裏が燃えれば焼け出された王家の人々は復旧までの仮設の内裏に住むことになる。それを里内裏と呼び、平安京にはそうした里内裏が点在する。仮とは言え内裏である。それなりの格式が求められ・・・時の有力者がその財を賄うわけである。内裏が復旧すればそのまま別邸となる場合もあり、その他の貴族に下げ渡される場合もある。時にはそのまま空き屋敷となる。治安が乱れればそうした空き屋敷は妖しのものの巣窟となり・・・また火を発して焼け跡にもなるのである。
そうした見捨てられた廃墟には里の民も近づかぬが・・・それでも賤しい身分のものは惧れを知らずに足を踏み入れる。そして博打に興じたりするのである。
そこに一人の童が入りこみ、大勝をしていると・・・平盛国の妹のくのいち波音(はね)が聞きこんできた。盛国が清盛の郎党となったために水軍くのいちである波音も都に常駐し、伊賀忍びによる女衆を束ねている。
清盛は興味を覚えて・・・その賭場へ足を向ける。春の宵である。
暗闇の中にそれとわかる灯が見える。耳を澄ませば賤民の嬌声が漏れ聞こえる。
「おいおい、また・・・こいつの一人勝ちだぜ」
「なんてえ、ガキだ」
かわらけのうつわに賽を投げるちんちろりんという音が響く。
「うわっ、また親の総どりやないけ」
「やってられんわな」
罵声の中に殺気がみなぎりはじめた。
「小僧・・・てめえ・・・いかさましてやがるな」
「ほう」と突然甲高い声が聞こえた。
「こんなものにしかけなどしたら・・・なんの興もないではないか」
声は確かに童の声だが・・・言葉は大人びている。
「なんだとっ」
「薄気味悪いガキだぜ」
「我はただついているだけよ・・・汝らとはもっているツキが違うのじゃ」
「この野郎」
おそらく、男の一人がついに手を出したのだろう。物音がして灯が揺れる。
次の瞬間、どよめきが起こった。
清盛と波音は現場に踏み込んだ。
男が一人、童の足に頭を踏みつけられていた。
「いてて・・・こ、こいつ」
「汝は・・・ちと頭が悪いようだ・・・そのような頭・・・無用であろう」
清盛は息を飲んだ。
どのような術なのであろうか・・・童が足を踏み下ろすと男の頭に足先がのめりこんだ。
頭蓋骨を踏みぬかれた男は一瞬で絶命した。うつ伏せになった全身が痙攣する。
童は足を抜く。その足はまさに血みどろであった。
「ふむ・・・つまらぬものを踏んでしもうたことよな・・・はははははは」
男たちは「化け物」「もののけ」などと口々に叫び逃げ出していく。
「ははは・・・何がばけものじゃ・・・たわいもない・・・おや・・・そこにいるのは・・・」
清盛はひやりとする。物陰で気配を消しているのに悟られたのである。
「ふふふ・・・まさにもののけがおったようじゃな」
「殿下・・・悪戯が過ぎまするぞ・・・」
「清盛か・・・我は遊び足りぬぞ・・・汝の屋敷に参ろうかの・・・」
「構いませぬが・・・家のものを踏みぬくのはなしですぞ・・・」
「ふふふ・・・それはその時の気分じゃからのう」
鳥羽院の皇子雅仁は波音の差し出した布で足をぬぐいながら、何事もなかったように微笑んだ。
闇の中でその瞳は赤く光る・・・。
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