37歳で医者になった僕はもう少し様子を見ましょうと思われています(草彅剛)
キャッチコピーが「新しい“僕”始めます。」なので・・・「僕の生きる道」「 僕と彼女と彼女の生きる道」「 僕の歩く道」僕シリーズ三部作に続く「僕」の新シリーズなのである。僕と言う言葉は草彅剛のためにあったのだな。
関東では「僕と彼女と彼女の生きる道」が再放送中であり・・・ものすごくレビューしたくなるわけだが・・・そんなことをしていたら身がもたないのである。
初回の印象はどちらかと言えば・・・僕シリーズというよりも・・・「任侠ヘルパー」に近いものがあり、脱サラで天職という意味では「踊る大捜査線」の医者版のニュアンスがある。
サラリーマン感覚で医療もサービス業だと主張するあたり・・・青島的でございます。
大手食品メーカーのサラリーマンが30才で脱サラして7年後に研修医・・・夢のような話だが・・・まあ、フィクションでございますから~。
で、『37歳で医者になった僕〜研修医純情物語〜・第1回』(フジテレビ20120410PM10~)原作・川渕圭一、脚本・古家和尚、演出・三宅喜重を見た。毎度おなじみの医療系ヒューマン・ドラマである。「DOCTORS」ではダメ病院をスーパードクターが改革したり、「聖なる怪物たち」ではダメ病院を少年ドクターが木端微塵にしていたりしている最近の医療ドラマである。ちょっとなんでもありになってきましたな。今回は・・・「病院とか医療とかを改革したいと思わない・・・僕が人生をやり直したいんです」という超個人主義の医師が主役である。
「体力的にも・・・精神的にも・・・無理があると思っている」と本人・東央医科大学病院の研修医・紺野祐太(草彅剛)37才が言うのだから間違いない。
ドラマの中では詳しく語られないが、大手食品メーカーである帝光食品をわけありで退職した紺野。同僚だった恋人の葛城すず(ミムラ)はなんらかの事故で腹部を損傷し、腎不全で失声症となっている。
その治療に自らがあたりたいと考えたのが転職の動機らしい。
ものすごい自己中心主義であり・・・時代はそこまできたのか・・・と思うしかないのだな。
食品メーカーの上司は「絶対に後悔するぞ、絶対にだ」と断言するし、すずの父親(志賀廣太郎)も「無謀にもほどがある」と非難した。
「しかし、医者になっちまえばこっちのもんさ」というところでドラマが始まるのである。
研修医仲間は・・・帝大医学部出身のエリート候補生・沢村瑞希(水川あさみ)、東央医科大学出身のチャラ男・下田(八乙女光)、地方の大病院の後継者候補・谷口(桐山漣)の三人。「おっさん」の研修医仲間にジェネレーション・ギャップを感じる他はない。
指導医の新見(斎藤工)も七歳年上の研修医に手を焼くのである。
そして、患者の多田(北村総一朗)の治療方針をめぐって激突である。
脳出血の後遺症で「経口摂取は極めて困難」であることから「胃瘻造設」の手術を行うという方針の新見が・・・患者とのコミュニケーション不足であると感じた紺野は「食べられるかどうかテストをしてみるべきだ」と提案する。
「誤嚥による肺炎を起こす危険」を指摘して、紺野の提案を却下する新見。
紺野が指導を仰ぎたいと考えている腎臓内科の権威で准教授の森下(田辺誠一)も「身内のために医者になるという決意なら余計な道草は避けるべきだ・・・年齢的にも」とアドバイスする。
しかし・・・過去に上司の指示通りにしてなにやら失策を犯したらしい紺野は「僕は自分をやり直す為に医者になった」と自分の主張を貫くのである。
カンファレンスに欠席した紺野の行動を推測した沢村は「リスクがあるなら・・・すぐに患者のところへ行くべきです」と新見に忠告する。
事態を悟った総合内科の医師一同が駆け付けた時には多田はゼリーの摂食に成功していたのだった。
多田の妻(岩本多代)に「おかげさまで・・・主人は食べる楽しみを失わずにすみました」と言われ絶句する指導医・新見である。
腰ぎんちゃくである総合内科医局長・中島(鈴木浩介)に「研修医が一人ものすごく反抗的なんですけどどうしましょおぉぉぉぉぉぉ」と相談を受けた「もう少し様子を見ましょう。 お大事に」を得意とする東央医科大学病院総合内科佐伯教授(松平健)は「結果オーライならいいんじゃないの」とプリンを食べるのだった。
こうして・・・なにやら「幸運」にめぐまれた「僕」の研修医時代の幕があがったのである。
沢村は「医者にとって一番必要なのは運がいいってことなのね」と嘆息するばかりなのである。
ま・・・現実逃避のドラマとしては最高水準でございますが・・・「僕」シリーズの橋部敦子脚本ほどの深みとか情感は今のところありません。まあ・・・今回はそういうタイプの脚本家じゃないからな。奇想天外さを楽しむ方向でございますね。
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コメント
はじめまして。時々、楽しく拝見しています。
このドラマはフィクションではなく、実話だそうですよ。
投稿: nameless945 | 2012年4月16日 (月) 23時14分
コメントありがとうございます。
次回はお名前をよろしくお願いします。
名前があった方が話に連続性がでてきますので。
まず、原作者が37才で京都大学医学部を卒業し、
研修医として勤務した後ベストセラー作家になったことを「実話」とした場合ですが
その実話はフィクションであるとするのが
このブログの基本となっています。
なぜなら・・・現実はすべて
基本的にフィクションなのでございますよ。
それでは・・・フィクションではないものが
ないのか・・・と問われれば
ない・・・と断言するのがこのブログの基本理念で
ございます。
どうか・・・その点をお含みおきくださいませ。
また遊びにきてくださいね。
投稿: キッド | 2012年4月16日 (月) 23時30分