そこかよっ。
・・・まあ、おそらく「SPEC」の当麻紗綾(戸田恵梨香)は「家族八景」の火田七瀬と同じ・・・そして「ケイゾク」の柴田純と同じ・・・乙女の設定だからな。
派生作品としては王道の部分であろう。
だからこそ・・・初めての男候補・瀬文焚流(加瀬亮)には「純情可憐な恋一筋を演歌LOVEで猪突猛進」なのだから。
基本、マヨマヨネーズでメロメロンなのである。
さて・・・キッドのブログはついに・・・東北三県のアナログ停止により・・・完全にレビュー対象を喪失してしまったのだった。
だが、すでに「平清盛」をレビューしちゃったので・・・いろいろアレなのである。
まあ・・・いざとなったら・・・すべての責任は妄想が転嫁しますのでーーーっ。
とにかく、これだけは言っておく。・・・地デジ化のバカヤローッ!
それにしても・・・関東・東北地方ではクライマックスの緊急地震警報はまさに「現実逃避を許さない」ネイチャーの悪意を感じましたな。しかし、知ったことじゃないのですな。人類がたとえ滅びようとも面白いものは面白いのでございます。
で、『SPEC(スペック)翔(承)~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』(TBSテレビ20120401PM0930~)脚本・西荻弓絵、演出・堤幸彦を見た。レギュラー・シーズン最終回「スペック癸(起)の回」を受けてのスペシャルドラマである。起承転結の「承」にあたるらしい。で、劇場版が「転」である。
「起」にあたる物語のラスト・シーンでは人間の記憶を操作し、現実の記憶を消去し虚構の記憶を挿入できるスペックを持つスペックホルダー(突然変異的能力保持者)である地居聖(城田優)との絶望的な戦いにおいて・・・何者かのなんらかのスペックが発動し、当麻警部補、瀬文警部補、そして一般人でサイコメトラーの志村美鈴(福田沙紀)のトリオが奇跡的勝利を得る。
今回はその結末の謎解きを展開しながら・・・新たな謎に突入するという・・・サービス満点な構成になっています。
スペックホルダーのキングであった一十一(にのまえじゅういち)・・・人間の数万倍の身体加速能力を持つ・・・実は地居に偽の記憶を移植された当麻の弟・陽太・・・を捕獲するために仕掛けられた毒の雪の罠により視力を一時的に失っていた瀬文は弁財天の真言「オン ソラソバテイエイソワカ」(聖なる音をサラヴァティに捧げ奉る)を唱えまくる修行の日々を送っていた。
彼の脳裏にはある疑念が渦巻いている。
あのピンチを脱することができたのは・・・なぜなのか・・・あのとき・・・地居を倒したのは・・・行方不明の一ではなかったのか。なぜならば・・・地居の放ったマシンガンの弾丸は・・・美鈴の兄・優作(伊藤毅)と同じように・・・射手の元に舞い戻っていったのだから・・・さもなくば・・・一の姉である当麻は重大な秘密を隠しているのではないのか・・・たとえば・・・当麻自身がなんらかのスペックを隠し持っているというような・・・そうなれば・・・俺はあの女に隠しごとをされていることになるのだ・・・それはあってはならないことなのだ。
そんな瀬文の苦悩を知ってか知らずか・・・当麻は祝・全快の矢を瀬文に放ち・・・返り討ちに遭うのである。
当麻死す・・・というわけにもいかないので額に軽傷を負った当麻は体調が回復した瀬文とともに警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係(以後未詳)に復帰するのである。
一方、未詳では野々村未詳元係長(竜雷太)と近藤捜査一課弐係々長(徳井優)が「ケイゾク」シリーズ伝来のはさみかきピーの勝負を展開しているかに乗った少年城みちる。実はかっての部下で今はキャリアとして雲の上の存在である「S」から野々村への秘密指令の伝令役の近藤であるぷすの少女ハイジはGu-Guガンモ。
シンプルプランの導入が決定 阻止に向けて尽力を乞う S
もちろん、Sとは・・・。しばたあーーーっ。
警視庁を退職して司法修習生となった正汽雅(有村架純)・・・以後雅B・・・は正妻・雅Aの目を盗んで糖尿病の野々村に脂肪たっぷりカルビ弁当を届けるついでに新登場人物を案内してくる。「ケイゾク」第2話に登場し天才心臓外科医に殺された水谷社長にそっくりな市柳賢蔵新係長(でんでん)と吉川く~ん(「おれは男だ!」日本テレビ1971年)ではない吉川刑事(北村一輝)である。吉川は組織犯罪対策部出身で「マル暴」魂を持っている。同時にかっての部下であるパンチパーマ刑事軍団を自由に動員できるらしい。
過去の登場人物と同じキャスティングとなっている市柳係長はある事情で顔を変えているのである意味整合性があると言える。まあ、たまたまだという考え方もあります。
こうして勢ぞろいした「翔」の未詳係員は・・・・
市柳係長・・・実は公安部特務専任部長・津田助広Aでゴリさんと呼ばれた頃の野々村の部下。
野々村係長待遇(降格)・・・元はゴリさんと呼ばれた敏腕刑事、かっての弐係長。
吉川と組織犯罪対策部の部下たち・・・死亡した志村とは高校時代ワンダーフォーゲル部(日本独特の山岳部もどきのサークル)の先輩後輩だった。スペックの存在については懐疑的である。
瀬文・・・体力バカ・・・かって特殊能力者対策特務班警視庁公安部公安零課通称・Aggressor(アグレッサー)に引き抜かれたが、直属上司の津田助広Cが死亡したため、なし崩し的に未詳に復帰。実は当麻に惚れている。しかし、絶対に認めない。
当麻・・・未詳の頭脳・・・実は瀬文に惚れている・・・積極的にアピールするが着替えない。
という・・・最強の布陣・・・いわば全員ガンダムである。
これに対し捜査一課管理官のボール馬場(岡田浩暉)、捜査一課係長ジム鹿浜(松澤一之)、広島出身の捜査一課員ジムキャノン猪俣(載寧龍二)の馬鹿猪のザクではないザコトリオが未詳に好意的な支援部隊として控えている。サトリに雅Bへのプロポーズを暴露された猪俣はじめ・・・彼らは過去の事件において凶悪なスペック・ホルダー(以下スペッカー)の恐ろしさを身にしみて認知している。
そして・・・事件の幕が開く。
公安零課に確保されて以来、行方不明だったテレパシスト(人の心を読むスペッカー)で占い師のサトリ(真野恵里菜)はいつの間にか街頭での占い業を再開していた。レーサーの鈴・・・父子と今井夏木の恋多き人生を占ったりしているのである。
そこに全身黒づくめでおそらく髪の毛を回転するスペッカーの黒男がやってきてサトリの暗殺を企てる。
サトリン、サトイモ、スイスイスイ・・・サトポッポの呪文(途中、面倒くさいので省略)とともに黒男の心を読もうとしたサトリだが、おそらくヤッチマイナ公安零課の護衛二名とともにマシンガンの黒男とハサミを持つ謎のスペッカーに挟撃されて死亡する。全国サトリン愛好家絶叫の展開である。
事件の巻き添えで両親(夫婦でX攻撃守備のスペッカー)を殺害された唯一の生存者である女子高校生・久遠望(谷村美月)も脚に流れ弾を受け重傷を負った。
「被害者の事情聴取をさせてください」とユニゾンで息のあったところをみせる当麻と瀬文のカップル刑事。
しかし、市柳は「俺はそんな命令を出さない」と上司風を吹かせる。
だが、瀬文は手投げの祝!!!全快鏑矢で市柳のウイッグ(ヅラ)を直撃。
「誰の命令に従うかは自分で決める」と豪語するのだった。
東京上空では旅客機にて「シンプルプラン」が5つに分割されて空輸されている。
その謎は「翔」では一切、明らかにされない。
謎の「御前会議」ではマチルダ(戸田恵子)や加持リョウジ(山寺宏一)が意味深な会話を繰り広げる。
「ファティマ第三の予告って・・・このことじゃないのか。法王庁は、第一に米ソ冷戦は神と悪魔の闘い、第二は東側による法王暗殺未遂、第三はソ連崩壊による神の勝利で予言は成就したって言っているけど・・・実のところ・・・ソ連的なものは未だに色濃く存在しているわけだし」
「スペッカーの争奪戦は今や国家存亡の問題となったのだ」
「国家も資本もな・・・」
「それよりもリチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』の発表された1976年から『神は妄想にすぎない』ことをDNA研究者たちが証明しようとしすぎたことに問題があるのよ」
「しかし、自然淘汰の加速は物事をわかりやくすするだろう」
「それが危険というものなのよ」・・・いい加減にしておけよ。
闇の御前会議へ闖入者が出現する。
津田D(椎名桔平)である。イカを食う男であり、スペッカーであり、零課のボスでもある。
「俺はスペッカー・サイドでもあり、あんたたちのサイドでもある・・・ここはひとつとりひきしないか・・・」
「ふふふ・・・敵対組織双方をかきまわすのはハードボイルドの常道だが・・・君に主役の重責が担えるのかね」
「何言ってんだ・・・特別出演だけど・・・SPECの真の主役は津田に決まっているだろう」
論評を避ける御前会議のメンバーたちだった。
その頃・・・瀬文はボール馬場が指摘した「サトリが握りしめていたタロットカードの意味」を反芻していた。
それは「Ⅲ 女帝(The Empress)」である。所持していたのはタロットカード占い師(カルーセル麻紀)だった。
「Ⅲは・・・111・・・一十一を示すサトリのダイイング・メッセージではないか」
しかし、当麻は一犯人説を即座に否定する。
「それは・・・ありえない・・・一は死んでいるから」
「なぜ・・・そう決めつける・・・一はテレポーテーション(瞬間移動)のスペッカーを持つブブゼラリーマンズによって奪取され生死不明だろう・・・捜査に私情を持ち込むな」
なぜだ・・・当麻・・・なにを隠している・・・弟である一をかばっているのか・・・それとも俺に何かを隠しているのか。二人の間に隠しごとは禁物だ。俺は絶対に許さない。絶対にだ。なぜなら俺は心の狭い男だからだ。
瀬文と当麻の対決は入院治療中の久遠の病室でも火花を散らす。
「どうせ・・・信じないでしょうけど・・・黒男はテレポートしたんです。ママンとパパンは私をかばって黒男に殺されたんです」とマヨネーズメロンを食べながら訴える久遠・・・B87である。
「いいえ・・・私たちは犯人を必ずつかまえる・・・だから、あなたも負けないで」とマヨネーズメロンを食べながら応じる当麻・・・B75である。
いや・・・問題はBじゃない・・・と同行した吉川は思う。
舌バカシスターズ・・・マヨラーにも程があるだろう。
瀬文は一の写真を取り出した。
「黒男はこの写真の男ではなかったでしょうか?」
「一瞬だったんで・・・でも似ているような気がする」
瀬文の行動に当麻はとまどいを感じる。
「なぜ・・・一の写真なんか・・・」
「捜査だ」
当麻はあてつけのために吉川に頼る。
「久遠を保護するために人員を配置してください」
そして・・・サトリ殺害現場を検証するもやもやした当麻と瀬文の夜の屋上デートである。
「言いたいことがあるなら言えよ」
「お前こそ・・・」
「女みたいにうじうじしやがって・・・」
「なんだと・・・お前こそ・・・あの時・・・何をした・・・俺たちはどうやって助かった」
「ああ・・・目がみえなかったから」
「お前はスペッカーなのか」
「ああ、そうだよ・・・それがどうした・・・」
「なぜ・・・かくしていた」
「聞かれなかったから」
「お前のスペックはなんだ・・・」
「それは・・・ひ・み・つ」
「なんだと・・・」
「おい・・・私にスペックがあったらなんだっていうんだ・・・それで私がなんか得したか・・・瀬文・・・ずっと一緒にいて・・・あんたは私の何を見ていた・・・あんたの目は節穴か」
「・・・絶対に許さん」
決裂する二人であった。
迷う心を抱えて瀬文は志村の月命日だったので志村の妹の美鈴とかいてみれいの部屋を供養のために訪問した。
美鈴は長い読経に足が痺れたが・・・瀬文には兄も大好きだったビールを進める。
美鈴は地居に改変された記憶を取り戻すためにサイコメトリー能力(遺留物から過去を幻視するスペック)を全開バリバリで使いまくったためにかなりの真相を知っていた。
もちろん・・・当麻のスペックについて。当麻の瀬文を思う気持ちについて。そして瀬文の当麻を思う気持ちについて。
美鈴は当麻の「孤独」を自分を例にあげて瀬文に説明する。
「私、芸大やめました。大河原教授(三浦理恵子)のハンカチ拾って教授がストーカーだと分かっちゃったので警察に通報したら・・・逆に私がストーカーしていたことになって、教授が情報操作して・・・学内で孤立させられて・・・逆に私が訴えられそうになって・・・まあ・・・そうですよね・・・私にだけ特別にわかることがみんなにわかってもらえないのは当然ですもの」
「それは・・・ひどい」
「だあかあらあ・・・瀬文さんは私のことより・・・当麻さんの心配をしなさいよ・・・当麻さんがスペッカーだからってなんですか・・・あなたが不在の間、当麻さんがどんなに・・・あなたのことを待っていたのか・・・分かってるんですか・・・レギュラー・シーズンから時が立ったとはいえ・・・あんなに一つになっていた二人の心がバラバラなんて私は悲しいのです。あの素晴らしい愛をもう一度なのです・・・当麻さんの孤独を救えるのは瀬文さんだけじゃないですか」
それにしてもこれほどのスペッカーをなぜ零課は放置しているのか・・・最大の謎である。
美鈴の滝に撃たれて瀬文は心を入れ替えた。せぶみではなくてせぶんとなったのだ。
七つの大罪がセブンに重くのしかかるのだ。
そうだ・・・俺が当麻を信じなくて・・・誰が当麻を信じるというのだ。
その頃、黒男は目撃者である久遠を抹殺するために病院を襲撃していた。
久遠の替わりに病室に潜んでいた吉川はそのパンチパーマの仲間たちとともに自分の目で「嗚呼!!花の応援団」の親衛隊々長・青田赤道の「ちょんわちょんわくえ~」のポーズで瞬間移動する黒男を目撃し・・・スペックの実在を信じることになる。
久遠の身代わり作戦を発案した市柳は当麻に「よくやったズラ」とほめられる。
しかし、久遠の両親の葬儀に久遠が出席したいと要求し・・・その筋が通った話を吉川は承諾してしまう。
当麻はパンチパーマ軍団の統率ぶりに「かっけえ」「かっけえ」「スーパーかっけえ」と心を奪われ「高まる~」のであった。
「万全の準備をして警護する」という市柳係長ら当麻は「どんな方法で」と質問する。
「それはお前の仕事だろう」と応じる市柳に「上司なら頭を使えよ・・・それじゃただのヅラじゃねえか」と激しくツッコムのだった。
そこに瀬文が帰還する。
「お前だけじゃ・・・頼りにならん・・・俺が(お前を)守る」
当麻の心は揺れるのだった。
あなたは私を本当に信じるの・・・私の何もかもを受け止めるの。
当麻は覚悟を決めて勝負下着を取りに祖母の葉子(大森暁美)の待つ実家に帰宅するのだった。
その頃、野々村の元へ大正琴の稽古を終えた近藤はSからのメッセージ付のバースデーケーキを届けている。
今週金曜日早朝成田空港にシンプルプランが持ち込まれます詳細はこの紙に
・・・具体的指示は別紙参照だった。
六本木(5ch)から渋谷(nhk)までを警戒する裏番(大木凡人)だけが静かに見つめていた。
久遠家葬儀会場。
IPの高い当麻の指示で会場は黒男盗撮のための40台のビデオカメラが設置されている。
そこにタンスに入った久遠が到着する。
非常事態に備えて、となりの斎場からお供物のグレープフルーツを現金調達する当麻。
クソまじめなセブンに咎められると偽巨乳でダイナマイト・ボディーを誇示する当麻だった。
そこへブブゼリーマンズがダブルで瞬間移動してくる。
鳴り響くブブゼラの音。
当麻が発砲し、離脱するブブゼラリーマンズ。
当麻は保護対象・久遠の移送を発令する。
斎場に残された野々村と市柳はぶっちゃけトークを展開。
「津田・・・久遠ちゃんを零課の保護施設・デッド・エンドに移送しろ」
「ゴリさん・・・私も息の根が止まるまで真実に向かって突っ走る刑事ですから」
「お前の部下の不始末はお前がつけろ・・・俺の部下は俺が守る」
市柳もまた・・・津田だったのである。
いつもの地下駐車場には美鈴がダミー車を用意して待っていた。
・・・美鈴・・・なんでもできる女だな。
それぞれの車に乗って別ルートでデッドエンドへ向かう一行。
一人、駐車場に残った当麻はグレープフルーツをひとかじり・・・徐に左手の包帯を外すと外科手術で接合した左手がシャイニングである。
当麻のスペックは死んだスペッカーを召喚できる能力だったのだ。
「冷泉さん・・・お力をお貸しください・・・」
召喚されたのは未来を予言するスペッカー冷泉俊明(田中哲司)だった。間接キッスは禁じられたが「ラミパス ラミパス ルルルルル…」の呪文は健在で・・・この後も呪文の間に敵が動かないという事態がいくつか生じるがそれはヒーローの変身シーンと同様に黙って見守るのが礼儀だからである・・・黒男の出現する未来は予言されてしまう。
ついでに、弟の一=陽太(神木隆之介)を召喚して黒男の出現場所に加速能力で先回りする当麻が基本的に徒歩で移動していることや・・・なぜ加速したままで黒男を確保しないのかは・・・各自で妄想していただくようにお願いします。基本的に主役は見せ場を確保するのが絶対だからですけど。
しかし、冷泉を忘却の彼方(死後の世界)に送り返した当麻はすべてをセプンが見ていたことを知る。
「見ましたね・・・女の秘密の部分を見てましたね」
「見た・・・それがお前のスペックか・・・」
「そうです・・・死んだ両親に会いたい一心で芽生えたスペックです。でも出てきたのは貞子の母親のモデルになった実在の超能力者・御船千鶴子さんでしたけど・・・。私は死んだスペッカーを召喚できるスペッカーなのです」
「では・・・地居を倒したのは・・・一なのか」
「そうです・・・だから・・・私は・・・弟が死んでいることを知っていたのです」
「・・・」
「これ・・・見ますか」
当麻は予言の書かれた紙をセブンに差し出す。
「断る。そんな卑怯な真似はできない」
「卑怯って・・・スペッカーと戦うのにスペックを使うのがなぜ卑怯なんですか」
「なぜ、スペック抜きでベストをつくさない・・・」
「・・・」
「俺は・・・スペックこみのお前など認めん」
「わからずや・・・じゃ・・・どうやって・・・黒男を確保するつもりですか」
セブンは携帯端末を使い、挑発画像をネットにアップした。
「俺はお前を見た。文句があるならかかってこい」
セブンは神戸の海上保安庁の方からようつべにアップする方法を取得したらしい。
二人はふたたび決裂した。
黒男は馬と美鈴の乗ったダミー車を補足。二人は降参するが、当麻が到着、命拾いをする。
次に吉川と久遠を乗せた本命車が多摩クリステル看板傍の神聖な工事現場で黒男に捕捉される。看板上で待ち伏せていた当麻は途中で現金調達した投網で黒男の捕捉に成功する。
しかし、暴力的な市民である現場労働者の神戸明(宅間孝行)の介入により・・・黒男の確保はまたしても失敗する。
看板から飛び降りて着地した当麻は身長が二センチ縮み、サメの軟骨摂食の必要に迫られるのだった。
久遠らをデッド・エンドに送りだした当麻は再び冷泉を召喚するが・・・冷泉の能力は発動しない。
「君が望まないことを・・・私はできない・・・君に迷いが生じているからだ」
瀬文さん・・・あなたに否定された私は・・・どうすればいいのです。
乙女心は揺れるのだった。
加速能力による長い旅路の果てに当麻は未詳に帰着する。
野々村は元中部日本餃子の親父(多田木亮佑)でアラータ(安藤絵美)の保険金殺人の犠牲者で餃子出前ロボとなった中華料理屋を呼び、出来たて餃子で暖かく当麻を迎えるのだった。
餃子で燃料を補給した当麻は「うまかったうしまけた~」とご機嫌になるのだった。
すでに久遠は無事に最終保護施設デッド・エンドに到着していた。
とりあえず安堵する未詳のメンバー。
しかし、同時に収容された神戸は事情聴取中に突然、暴れ始めるのだった。
その頃・・・待ち合わせ場所で黒男を待ち続けたセブンは格闘の末・・・血まみれになりつつ黒男を確保する。
スピードDNA鑑定で当麻が追跡中に黒男に着弾させ現場に残された血痕のDNAとセブンの捕獲した黒男のDNAが一致・・・事件は解決したと思われたが・・・。
セブンの傷口を自動車整備のためのぼろ雑巾(通称・ウエス)で拭っていた当麻は黒男が現場にバイクでやってきたことを知り・・・黒男が瞬間移動のスペックを持っていないことに気がつく。
お約束のお習字式プロファイリング「いただきました」で神戸こそがスペッカーを狙う黒男だと断定する当麻。
しかし、デッドエンドでは念動力スペックのゲッツ(ダンディ板野)や貞子などたくさんのスペッカーが神戸による強制勧誘の危機にさらされていた。
敢然と立ち向かうのは不思議な踊りで音を消すスペッカー・ミュートくんである。
「そんな能力・・・なんの役に立つ・・・」と嘲笑う神戸に気配を消された吉川が奇襲に成功する。
「こんな僕でも役にたった・・・」とミュートくん。ミュートくん、かわいいよミュートくんである。
しかし、吉川を一蹴した神戸はブブゼラリーマンズを召喚し、トランスポート(物品移送)によりスペッカーの大量捕獲転送を試みる。しかし、ふたたびミュートくんである。
「がんばれ、日本」
「うるせーっ」
怒髪天をついた神戸はミュートくんを無慈悲にも射殺するのだった。哀れ・・・ミュートくん。
しかし、セブンが到着。
ここで逃亡をはかる神戸は瞬間移動を何故か発動できない。
ここも謎のまま残る点である。スペック封印スペックが存在するのであろうか。
追い詰められた神戸は手榴弾を投擲する。
しかし、間一髪、一の加速能力を召喚する当麻。
セブンの絶体絶命に迷いはふっきれたのだった。
死者として本来の弟・陽太としてふるまう一。
姉と弟は魂の交流を行う。神戸を確保し、手榴弾の破片を毛布でくるんだ当麻は突然、さらなる敵の存在を直感する。
久遠は音読みでque-enつまりqueenで女王(クイーン)で女帝だったのである。
「そうよ・・・キングなき後のクイーン・・・私が最強のスペッカー」
「あなたは・・・コレクターね」
「そう・・・私はスペッカーのDNAを摂食してスペックを自分のものにできるってわけ」
「食べるだけでいいなら・・・なぜ殺したの」
「だって・・・コピーしたらオリジナルは目ざわりじゃない・・・」
「だから・・・弟も・・・殺したのね」
「そうよ・・・だから・・・私も加速できるってわけ」
「なぜ・・・ママンとお父さん(ママンは許せるがパパンと口にするのは抵抗がある当麻だった)を殺したの」
「だって・・・もはや・・・クイーンとなった私には不必要なものだから」
「それを聞いて安心してあんたをぶっ殺せるわ」
「それは無理・・・だって私にはあなたの心がお見通しだから・・・」
「どうかしら・・・」
当麻はサトリを召喚する。
サトリン踊り祭りである。
サトリンかわいいよサトリン。
当麻かわいいよ当麻。
久遠かわいいよ久遠。
一部愛好家熱狂である。
「おかしい・・・心が読めない」
「コピーはオリジナルより劣化するものなのよ・・・いかにデジタル時代でも」
さらに冷泉を召喚する当麻。
「さあ・・・あなたの未来は見切ったわ」
しかし、久遠にはまだ奥の手があった。当麻は当然、悟ったが遅かったのである。古戸久子(奥貫薫)もまた久遠の毒牙にかかっていた。左耳をひっぱると念動力が発動するスペックで当麻は意識を失う。
召喚者を失い消えるスペッカーたち。
「当麻さんのスペックもらっちゃうよ」
ヒーリング能力で足の傷を治癒させる久遠。EXILE・NAOTO(EXILE・NAOTO)も死んだのか。
だが・・・加速能力が停止したことに久遠は気がつかなかった。
飛翔したセブンと吉川のダブル・チョップで失神する久遠。逆転勝利である。
そして・・・当麻は病を処方する医師・海野亮太(安田顕)を召喚する。
「この子の能力を消すことができますか」
「ああ・・・脳の一部を殺せばいいことだから・・・」
おでことおでこをくっつけてエロく久遠のスペックを抹消する海野。
「それから・・・次は私の左手の感覚を殺してください」
「当麻・・・」
そこまでしなくてもいいじゃないか。
だって・・・私はこのままでは怪物になってしまう。
「スペックはこの子のような・・・怪物を生んでしまう。私もスペックを獲得して有頂天になっていたことがあるから・・・わかる・・・。地居の陰謀で一になった陽太に左手を奪われて能力を失った時・・・瀬文さんが私に・・・人と人との絆を思い出させてくれた」
「君と死者たちの間にも絆はある・・・それを断ち切ってもいいのかい・・・」
「お願いします」
「わかった・・・」
当麻のスペックは消えて・・・死者たちも消えた。
最後の最後に海野は当麻が巣鴨で買った赤い毛糸の勝負パンツに履き替えていることだけを言い残して・・・。
「何も感じない・・・瀬文さん・・・私の左手・・・何も感じなくなっちゃった」
「大丈夫だ・・・当麻・・・お前の左手は・・・暖かい・・・俺が感じている」
二人に蘇る熱い絆。
その一瞬の隙をついて・・・神戸と久遠は離脱する。
後を追う刑事たち。二手に別れ単独となった吉川は何かを見た。
そして・・・冷凍されてしまうのだった。
現場に到着した当麻と瀬文は立ち去る三人のスペッカーの後ろ姿を為す術もなく見送る。
転章・・・そして「天」へ。
離脱した・・・津田Dを待ち構える津田A。
「状況は失敗・・・ただし、当麻のスペックは封印」
「御前会議はお前を見捨てたよ・・・この津田の黒歴史が・・・」
「撃つな・・・」
銃声の最中・・・久遠は走って逃げだした。
空港で張り込む野々村は・・・マカディミアン・ナッツの缶に封印された「シンプルプラン」の一部(ゴエティアのパーツ)を奪取する。
この続きはまもなく封切の劇場版のオンエアまでお待ちいただきます・・・。
ゴエティアは悪魔召喚の書。魔道奥儀書「ソロモン王の秘密の鍵」の一部である。他に「アルス・ノヴァ(聖なる祈りの書)」「アルス・アルマデル・サロニモス(天空の精霊の書)」「アルス・パウリナ(時間の精霊の書)」「テウルギア・ゴエティア(神通力の書)」がある。
関連するキッドのブログ→SPEC~翔~を待ちながら(戸田恵梨香)
→家族八景
→魔王
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