国会議事堂中央塔最上階よりの展望とエリカの花言葉は孤独(長澤まさみ)
四代目国会議事堂の竣工は昭和十一年(1936年)である。つまり、現在の議事堂は東京大空襲でも焼失しなかったわけである。
民家密集地を焼け野原にしておきながら、国会を焼かなかった米軍の戦略的思考はある意味、都市伝説である。
もちろん、帝国の陰陽師たちが結集し、結界を張っていたためであることは言うまでもない。
B-29搭乗員はついに上空から国会議事堂を発見することはできなかったのだ。
いや、単に占領後に利用しようと想定しただけだろうと夢のないことを言ってはいけません。
で、『都市伝説の女・第5回』(テレビ朝日20120511PM2315~)脚本・後藤法子、演出・塚本連平を見た。国会議事堂中央塔は公式には九階建てであり、九階には展望室、八階には大広間がある。大広間の中央にはらせん階段があり、階上の展望室につながっている。しかし、大広間および展望室は完全に閉鎖されており、選ばれた職員以外には国会議員といえども立ち入りが禁止されている。もちろん、選ばれた職員がゼロゼロナンバーを持っていることは言うまでもないだろう。つまり、シークレットサービスマン関係の人々です。
国会議事堂のピラミッド型の階層内にある八階大広間ではかってダンス・パーティーが夜毎、開催されていた。パーティー参加者の女性が失恋による傷心から投身自殺して以来、チャイコフスキーの「くるみ割り人形より花のワルツ」にのった女の哄笑が聞こえて聞いたものを発狂せしめるために現在は閉鎖されているのである(フィクション)・・・。
・・・そんな都市伝説がらみの事件が発生。
「私・・・見知らぬ男を殺してしまった」・・・警視庁副総監・武(伊武雅刀)に届いた知らせはヤンキー上がりの元・風俗嬢にして参議院議員・大楠桜(山口紗弥加)からのものだった。
武ちゃん、桜ちゃんと呼び合うわけありの関係である副総監はただちに武ちゃん、月ちゃんと呼び合うわけありの関係である音無月子巡査に特命捜査を命じる。
そのために・・・月子の相棒に指名されたのが・・・警視庁捜査一課の丹内主任刑事(竹中直人) だった。
「なんで上司の俺が部下なんだーーーっ」という丹内の叫びも空しく捜査は開始されたのである。
被害者は毎報新聞政治部記者・本間(島津健太郎)でナイフで刺殺され、凶器は死体に残されていた。現場検証中の警視庁鑑識課の勝浦(溝端淳平)は月子と長く付き合ったために霊媒体質となり、たちまち白いドレスの女の霊に憑依されてしまうのだった。
しかし、最後の力をふりしぼり、被害者の手からエリカの花模様の古めかしいリボンを回収する。もちろん、エリカの部分はタイトル用のでっちあげです。・・・でっちあげるなよ。
一方、第一発見者である・・・桜議員は「白いドレスの女に憑依されて殺してしまった」とあいまいな証言を繰り返す。
月子は妖しい結界を張り、悪霊はよせつけないからと桜議員をなだめるのだった。
「昨日、朝まで生テレビ(タイトルちがうだろう)のような番組(そうきたか)見てました。ミニスカートがかわいかったです」
「あなたのミニスカートもかわいいわ」
・・・とミニスカ談義で盛り上がる二人をよそに丹内は桜議員を加害者として追及する。
「なんで殺した・・・」
「わかりません・・・」
不毛な展開である。
もちろん・・・すでに直感で月子は事件の真相を見抜いているのである。
だから・・・早速、朝まで生テレビみたいな番組で桜議員と論争していたベテラン議員にして子育て支援担当大臣・華岡秋代(銀粉蝶)への事情聴取に向かうのだった。
「名門華岡家出身のあなたなら・・・国会議事堂の都市伝説についていろいろご存じなのでは・・・」
「そうねえ・・・くわしいことは・・・秘書に聞いてちょうだい」
華岡議員の第一秘書・池添幹夫(品川徹)は都市伝説については一笑に付すが・・・国会議事堂の秘密にはいかにも精通している様子なのだった。
声が大きい丹内を勝浦の替わりに自宅に連れ込んだ月子。
丹内は月子の上から下からサービスに小声になってしまうのだった。
そして・・・入院中の勝浦を見舞うのだった。
勝浦は_| ̄|○な状態だったが・・・被害者の握っているリボンを数多くの資料から・・・桜議員と華岡議員に共通するアイテムとして割り出すのである。
「やはり・・・二人が・・・事件の鍵を握っている・・・」
華岡議員のアリバイ証言で・・・月子は事件の裏に潜む新たな都市伝説を発掘する。
国会議事堂は脱出用の巨大人型兵器とコアファイターを内蔵している
・・・じゃなくて
国会議事堂地下には議員専用のファッション・マッサージとホスト・クラブがある
・・・いい加減にしておけよ
国会議事堂には核シェルターおよび総理官邸に通じる秘密の抜け穴がある
・・・なのである。
この通路を使えば・・・華岡議員のアリバイは崩れるのだ。
副総監のコネクションで地下通路への侵入を許可される月子と丹内。
お化け屋敷でGO展開である。ここは暗視カメラ映像にするべきだったな。
しかし、月子は井森美幸ではないので泣かないのである。
代わりに脱兎の如く逃走する丹内であった。しかし、そのために通路が確かに首相官邸の中庭に通じていることが確認できたのである。
一方、月子は桜議員の第一秘書・野元(小野了)の死体を発見してしまうのである。
やがて・・・うかつにも監視カメラで秘密の通路を利用するところを撮影されていた秘書の池添・・・という衝撃の事実が明らかにされるのだった。
なにしろ・・・都市伝説なので・・・誰もそれが秘密の通路だとは思わなかったのである。
ついに証拠がそろってしまい・・・月子は都市伝説としての事件の真相を放棄せざるをえないのだった。
「この事件は・・・白いドレスの女の呪いではなくて・・・実は桜さんは捨てられた女の子で・・・捨てたのはなんと華岡議員・・・でも・・・桜さんは実の母を憎んでいなかった・・・そんなところに金に汚い新聞記者がたかりにきたので・・・秘書の池添が刺殺・・・桜さんは母親の犯行を疑い、自首・・・これは捜査妨害になります・・・真相に気がついた桜さんの秘書も池添さんがもみ合いの末、殺害してしまうという・・・なんとも普通の事件だったのです。・・・残念な結果になりました・・・うっかり連続殺人事件になっちゃたしねえ」
「申し訳ありません・・・」土下座する秘書。
しかし・・・華岡議員は
「秘書の罪は私の罪・・・私は議員を辞職します」
と潔いのだった。秘書の監督責任をとる国会議員も都市伝説の一種なんだな。
きっと・・・次回の「リーガル・ハイ」でも小沢悪党面親分への風刺がふんだりけったりで炸裂展開するのでこれは局も枠も越えた予告篇なんだな・・・きっと。みんな落ち目の政治家に容赦ないな。
とにかく・・・都市伝説の女を讃え、エリカの花は孤独・裏切り・幸せの予感を示して風に揺れるのである。
おっと・・・忘れていた。
「好きな人の名前を書いた消しゴムを最後まで一人で使い切ったら恋が叶うよ」(月子)
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