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2012年5月11日 (金)

めくらまし・・・身悶えするノクターン(緒川たまき)いつまで綺麗なんですかね(谷村美月)

夜のメイド(緒川たまき)である。

いきなり、登場でにょにょにょにょ~であり、苦悩する父と娘とか、ヒロインとかを背景化してしまう・・・圧倒的な存在感。

有頂天ケラの妻ももう40才になったのか・・・衰えないな・・・。

で、『たぶらかし-代行女優業・マキ-・第6回』(日本テレビ20120510PM2358~)原作・安田依央、脚本・森下直、演出・三島有紀子を見た。ショパンのノクターン(夜想曲)9-2はショパンが22才の時、パリの華やかな女性たちのために捧げられた甘美な一曲である。この曲はピアノ工房の主人カミーユの妻マリーに献じられている。マリーはショパンより7才年上のベルリオーズの元・婚約者で・・・ベルリオーズは裏切られたショックで関係者一同を射殺するための拳銃を用意したという。しかし、思いとどまった。それが1931年の出来事。この曲はその翌年に作られている。美しい旋律の彼方に男と女の深くて暗い河が流れています。

「いらっしゃいませ・・・旦那様がお待ちかねでございます」

幻惑されるほど美しいメイドの佐藤さん(緒川たまき)に案内されて・・・神崎の邸宅を訪れたマキ(谷村美月)である。

なにやら資産家・・・あるいは高名な音楽家かもしれない神崎隆一(浅野和之)は浮気三昧の果てに離婚し、幼い娘は母とともに英国に渡った。それから15年・・・失明して老境を迎えた隆一はメイドの佐藤さん・・・にも暮らしに困らないほどの財産を残す決心をしたのであった・・・いや、それは本筋ではない・・・別れた娘にもう一度会いたいと熱望するのである。まあ、変則的な「父帰る」(菊池寛)でございます。

一方、娘の桐嶋美響(松山愛里)は優秀なピアニストとして成長、まもなく世界的コンクールに挑戦するデリケートな時期である。

一時帰国した美響は幼い頃に自分を捨てた父を罵ってやろうと出かけるが・・・老いた父を見て気分が萎え・・・同時にスランプに陥ってしまう。

傷心の母と衰えた憎むべき父の間で葛藤したあげくにピアノ恐怖症になってしまったのである。

「父と決別しなければ心の病が治らない・・・しかし父と会うのは恐ろしい」美響に代わって・・・マキは「父と決別する娘」を演じることになる。しかし・・・おそらくマキにも父とのなんらかの葛藤があり・・・なかなか、その気になれないのだった。

「母を捨てて愛人の元へ走った穢れた父の血が流れている私の音楽は穢れている」などという展開は「ベトナムで人を殺しまくった俺が美しいピアノを奏でられるはずがない」と黒人ピアニストが憂う「海を見ていたジョニー」(五木寛之)を思い出させる甘美な感じですな。

まあ、捨てられたものとか、人を殺めたものの気持ちはなかなかに人それぞれですからなあ。

しかし・・・ピアノなんて・・・弾いたこともないマキは「一曲弾いてください」と妖しくもちかけるメイドの佐藤さんに偽物を喝破されて・・・退散である。

仕方なく・・・音大出の藤ミネコ(白羽ゆり)から特訓を受けるマキ・・・オルガンでピアノの練習って・・・体験したことがあれば結構哀しいぞ。

だが・・・プロを目指す域に達するのは所詮、無理な話である。

「自分の体験を音にのせて表現するのよ」などと「いつもポケットにショパン」(くらもちふさこ)のようなことを言いだしいつもより出番を多く確保したミネコだった。

結局・・・美響の友人という設定で美響本人を父親に会わせることにした二人。

つまり・・・「これは友達のことなんですけど・・・(実は本人)」のヴァリエーションである。

「あなたの・・・おかげで・・・美響はピアノが弾けなくなってしまったのです」

「なんだって・・・」

しかし、そこで割り込むメイドの佐藤さん・・・。

「随分、贅沢な悩みね・・・恵まれてることに気がつかないお嬢様・・・あなたは自分の幼い心にこだわるばかりで他人の痛みを知ろうとしない。あなたがピアノを弾けないのは誰のせいでもない・・・ただあなたに才能がないだけよ」

「や、やめてくれ・・・佐藤さん・・・いや、のぶこ・・・伸子・・・」

メイドの佐藤さんこそは永年の愛人の伸子だったのである。ある意味、盗人猛々しいのである。

大人と子供の間にも暗くて深い河はあるのだった。

シャワータイム復活である。

ついに美響の心をつかんだマキは・・・美響の心を父親に伝える。

「お父様なんか・・・嫌い、嫌い、大嫌い・・・」

「美響・・・」

女心に詳しい美響の父親はその言葉に甘い響きを聴くのだった。

そして・・・マキの言葉に美響も自分の本心を悟る。

嫌い嫌いは好きの内・・・だったのである。

まあ・・・この手の話は放蕩親父に都合がいいようになっています。現実的には財産がなければ口もきいてもらえませんから~。

父親とピアニストだった愛人の前で・・・美響は幼い頃、初めて父に習ったショパンを弾き出すのだった。

そこに流れるのは・・・愛の夜を迎えるための序曲であることは言うまでもない。

こうして、マキは難役を演じ切り・・・美響のピアノ演奏を復活させたのだった。

それは・・・父の罪を葬り去り・・・新たなる旅立ちを暗示する。

美樹とマキが去った後で・・・一人、ピアノの前にすわる男に夜のメイドは囁く。

「きっと・・・また会いにきてくださいます・・・」

うむを言わさずもっていく夜のメイドである。さすがだ。

今週はモデルあがり、レースクイーンあがりだけど存在感抜群の女優ふたりがゲストである。

ヒロインの武者修行は続きます。

関連するキッドのブログ→第5話のレビュー

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