悪女についての愛なのです・・・。(沢尻エリカ)
やはり、ここかっ。
ま、谷間ですからな。
「37歳で医者になった僕」では絶対失敗することのないように丹念に作られた絞首刑用ロープの立場をないがしろにするセリフがあって触手が蠢動したけどな・・・。それは因縁に近いだろう・・・。
主題歌がすっかりなじんできた「梅ちゃん先生」に怨み屋(木下あゆ美)が登場・・・ミムラのハートに火をつけて・・・退場なのか・・・ワンポイント・リリーフか・・・満島ひかり(弟)もさすがの存在感だな。(弟)を脱する日を目指してもらいたい。掘北真希を毎朝見れるっていいよね。
「コドモ警察」の今週のニックネームは・・・「ダクトにはまって尻かくさず」である。
スラスラ言えるのは名子役の証である。
尻と・・・聞いただけで「そうだ、沢尻を書こう」と思うのは母なる自然の呼び声だと思う。
で、『悪女について』(TBSテレビ20120430PM9~)原作・有吉佐和子、脚本・池端俊策、監督・鶴橋康夫を見た。原作・小説は1978年の出版であり、著者は1984年に死去しているが、ドラマのラストは1986年で締められている、。つまり、アレンジがあるということである。ただし、有吉佐和子は「恍惚の人」にも見られるようにかなりの先見性というか、一種の未来幻視能力者だったので・・・原作にはパブル経済の爆発とその後の暗闇が内包されていたと妄想することが可能である。
ちなみに・・・主演の沢尻エリカは1986年の生まれである。あたかも、このドラマの主人公が輪廻転生したような趣向になっている。
とにかく、ドラマ化にあたってのアレンジで戦後の混乱期に対する些少のニュアンスの違いが生じているが21世紀のドラマとしては誤差の範囲内として考えることができる。
また、原作小説は・・・「死んだ悪女についての関係者の証言」という「藪の中」形式で物語られており、「理解と誤解は同義語」という・・・人間の現実認識の限界を主題としているので些細な矛盾点をあれこれ取りざたすのは本質を誤解していることになると思うし、そもそもこのブログは基本的に妄想なのでご注意ください。
また・・・ドラマは船越英一郎演ずる沢山という男が各人からの証言を引き出す形式で作られているので時系列が前後する。もちろん、その方が作為的で面白いのだが・・・面倒なので整理しちゃいました・・・それはレビューとしてどうかな。
昭和二十年(1945年)頃・・・大日本帝国敗戦の年。君子(沢尻エリカ)は八百屋を営む鈴木の家で生まれる。
君子によれば・・・某宮家の不義の子で生後まもなく鈴木家に引き取られたという。
君子が中学生の時、父親が米軍のジープに撥ねられて死亡。君子は母親の鈴木タネ(余貴美子)とともに父親が八百屋として出入りしていた乃木坂の尾藤家に下女として布団部屋に住み込むことになる。
君子によれば・・・某宮家との関係で華族だった尾藤家に引き取られたということになる。
君子は「夢見がちな子供だった」とタネは語るのである。
君子は幼い頃から知っている尾藤家の長男・輝彦(渡辺大)を密かに「おにいちゃま」と呼び、走り高跳びの選手として日本記録を狙う大学生の輝彦を「神様」として慕っていたという。
タネが輝彦の母親の睦子(高畑淳子)の宝石を盗んだことから母子は家を追い出される。
タネは違うというが・・・もちろん、嘘なのである。
その頃、すでに輝彦と君子は恋愛関係になっているが、ファースト・キスで腰を抜かす君子の演技はトレビアンだった。中学生くらいでファースト・キスをすればみんな腰を抜かすものである。・・・それはどうかな。
君子は中学を卒業後、簿記の学校に通い始める。家計は母親が窃盗などの悪事をして稼いでいたと思われる。
そういう生活を君子は「私たちは汚いね」と表現している。
昭和37年(1962年)、君子は17才になった。
この年、薬の行商から露天商となり、ラーメン屋と宝石店を妻・道代(東ちづる)と経営する沢山と簿記の学校で知り合う。
その縁で君子はラーメン屋でアルバイトを始める。
すでに輝彦に処女を捧げた君子は妊娠してしまう。尾藤家は没落し家財を切り売りして凌いでおり、輝彦はケガをして選手生命を断たれ、絶望していたが、これを機に大学を退学し、君子と結婚しようと求めるが・・・君子はこれを拒否する。
「私は・・・神様の子供を産み育てるだけで幸せなのです」
君子は沢山を誘惑し、その愛人となる。もちろん、最初は処女を演じたのである。
そして・・・「あなたの子供を妊娠しました・・・でも家庭を壊すつもりはありません」と沢山にもちかける。
一ヶ月後、君子は沢山の宝石店でも働き始め、そこでアルバイトしていた渡瀬義雄(上地雄輔)と知り合う。渡瀬は学生運動で逮捕歴のある休学中の大学生だが、実家は静岡県でも指折りの資産家だった。
君子は渡瀬を誘惑し、同棲生活を始める。
そして・・・「あなたの子供を妊娠しました・・・結婚してください」ともちかける。
渡瀬は君子に溺れていたが・・・君子と輝彦が仲睦まじく会話しているところを目撃し、実家に逃亡してしまう。
一年後、君子は出産し、長男を義彦と名付ける。義彦の義の字は義雄の義であったが、彦は輝彦の彦だった。
DNA鑑定のない時代の話である。いい時代だった。
しかも、君子は渡瀬には無断で入籍していたのである。
義雄には親の決めた縁談が進んでおり、義雄の父親(中原丈雄)は腰を抜かしてしまう。
君子は我が子を抱いたまま、自殺未遂をはかり、世間体を憚る渡瀬家は手切れ金として五千万円を払うことに同意する。可愛い息子のためなら山を一つくらい手放せる親だったのである。
その後、渡瀬とは何度か関係するが疎遠になる。この時、同時並行で、尾藤と沢村とも関係していたわけだ。
その結果、翌年、次男・義輝が生まれる。義輝の義は・・・以下省略。
君子は宝石に深い興味を抱いていた。
「地底の暗闇から地上に現れて輝く・・・ダイヤモンドは素敵だと思う」のだった。
君子は某宮家の落胤で私生児というふれこみで、沢村と接していたため。金の出所を問われることもなく、五千万円で沢村のラーメン屋を買い取り、宝石商を開始する。
沢村はそれを資金に事業を不動産業に拡大させ、ある程度の成功を収める。
しかし・・・美貌と才覚を武器に君子はそれを上回る成功を収める。
君子の世界では高度成長とバブル経済は隙間なく連結されており、富裕層を狙ったビジネスは次々にあたりまくるのである。
25才になった君子は政財界の大物や、実際の資産家である烏丸(鈴木砂羽)とも交際するようになる。そして富小路家の御曹司と二度目の結婚をし、二年で離婚するが、慰謝料として田園調布の土地を取得するのである。
君子に宝石業のノウハウを仕込んだジュエリー加工職人の友保(西田敏行)はそんな君子を危ぶみ・・・一つの宝石を見せる。
「ルビーだよ・・・いくらだと思う」
「素晴らしい・・・鳩の血の色・・・ビルマ産のピジョン・ブラッドね・・・二億円で売れるわ」
「これは・・・人工宝石だ・・・五千円てとこだよ。科学の進歩は凄まじく・・・ニセモノが本物以上の輝きを持つようになった・・・気を付けた方がいい」
「でも・・・奇麗じゃん」
君子には真偽などは問題ではない。ただ・・・懸命に生きていくだけなのだ。
美しく・・・そして楽しく。
やがて、ホテルや宝石店のオーナーとしてモリハナエ・・・ではなくて一流デザイナーの林梨江(床嶋佳子)のドレスで着飾る・・・君子。
二人の子供は成長し・・・一人は社会人、一人は大学生になっている。
沢村は二人の子供の親代わりとなっていた。渡瀬は建設会社の営業課長。尾藤は一流商社のニューヨーク支店で勤務している。
昭和61年(1986年)、40代となった君子はホテルの支配人の小島(浜田学)と三度目の結婚を目前に控えていた。容色にはいささかの衰えもない。
そして・・・自社ビルから転落死するのである。
買い付けのために海外に出張していた沢村は君子の安らかな死に顔にダイヤを巻き散らす。
そして・・・美しくもはかない・・・君子の生涯をめぐる彷徨を始めるのである。
とにかく・・・ただ一つ言えるのは・・・なんだかんだで沢尻エリカを失っていた虚飾の業界の損失は大きかったなあ・・・ということである。
そして・・・あれやこれやで沢尻エリカはゴージャスな美貌とともにお茶の間に帰ってきたのでございます。
悪女になるなら
涙ぽろぽろぽろぽろ流れて涸れてから
・・・なのですな。
関連するキッドのブログ→1リットルの涙
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コメント
興味本位に沢尻エリカの今を少しだけ見るつもりがあまりの美しさに魅せられ夢中で見てしまいました
どなたが彼女の復帰作にこの作品を選んだのか
よくわかりませんが彼女の女優としての資質に惚れこんだ人が入念に準備したのでしょうか?
この設定だから私は抵抗感なく見ることができました
一夜にして彼女のファンになってしまいましたが高視聴率を綺麗好きな嫉妬深い女房のおかげにされるのはちょっとくやしい(笑)
前半はただただ彼女の美しさ可愛いらしさを堪能していましたがブローチを質屋に持っていくようになった経緯が時系列を変えて興味深く描かれていて坊ちゃまに対する純愛にあぁ彼女は悪女じゃない!と思いドラマそのものも楽しめました
バブル前夜に学生時代を送りましたがみんなユーミンの歌の世界に憧れていました。車に乗って海辺のレストラン♪中島みゆきがより好きだった少数派の私です(^^;
今はどちらの中の人ももちろん愛おしいです
良い時代でした
バブル崩壊前にこの作品を書き上げていたなんてただただ驚きです
大作のようですが原作を読んでみたいと心から思いました
若手で断トツと思わせるオーラを持つ女優の復活
作品の魅力と合わせなんとも幸せな時間でした
投稿: chiru | 2012年5月 3日 (木) 09時30分
シンザンモノ↘シッソウニン↗・・・chiru様、いらっしゃいませ・・・大ファン
なにしろ、清楚と妖艶、両方演じられる貴重な存在ですからな。
とにかく、ひたすら美しいって・・・犯罪でございますねえ。
プロデュースは「うちの子にかぎって」(1984年)からの
大ベテラン・・・。
最近は「ハタチの恋人」とか
「終着駅~トワイライトエクスプレスの恋」
とか・・・さすがにもうダメか・・・
という駄作を連発して・・・
今回もドキドキしていましたが・・・
「原作力」と脚本・演出の勝利でしたな。
視聴率は14.7%で「鍵のかかった部屋」14.4%を食うなど大健闘でしたな。
松居一代の嫉妬の賜物かもしれませんが・・・
やはり、みんな沢尻エリカを待望していたということでしょうな。
同い年の比嘉愛未、一つ年下の長澤まさみ、二つ年下の戸田恵梨香・新垣結衣もエリカ不在の恩恵は
確実に受けていると思われますな。
まあ・・・次元を超えた存在だからこそ
行動も次元を超えてしまうわけですが・・・。
ブローチをめぐる人々の交錯ぶりがすごかったですな。
主人公、主人公の母、恋人、恋人の母、そして愛人。
主人公はただ健気に懸命に死に物狂いで生きているだけなのですが
それをまったく表面に出さない・・・。
でも、その心は観る者の胸にせまってくる。
なかなか・・・できない演技でございます。
すべからく賢女で美女なら第三者的には悪女になってしまうのですな。
本当なら
おじさん、トラックに乗せて~
と霧の彼方に消えて行ってしまいそうなおいたちなのに
しなやかに生きて行く・・・。
まあ、「悪女について」を演じるために
生まれてきたような女優の一人なのでしょう。
まっすぐな線は引けないのですな
まっすぐな定規をつかわなけりゃ・・・ねえ。
沢尻エリカが愛している・・・と言ってくれたということなのですな。
冒頭のアップからの語りかけ・・・ギャグなのかと思いましたぞ。
原作者は一種の天才でしたな。
早世が残念です・・・
まあ・・・それもまた人生でございますねえ。
最近では「不信のとき」を米倉くんでやってましたが
ドロドロなのに一味違うドロドロさを醸し出します。
作家としてはあまりに評価の低い作家の一人・・・として
キッドは密かに敬愛しておりますぞ。
そして・・・沢尻エリカには万歳三唱です。
投稿: キッド | 2012年5月 3日 (木) 15時10分