もう、どうでもいいのさ(新井浩文)モテキ終了~ス(戸田恵梨香)怪しいチームメイト(大野智)
「私は神の意志を感じる女」(関めぐみ)でもよかったのだが・・・ジャンルの違うドラマになってしまうからな。
歪みは恐ろしくもあるが、美しくもある。
地球は完全なる球体ではなく、赤道半径がおよそ638万キロ、極半径が636万キロでほんの少しつぶれている。
しかし、おそらく美しい惑星なのである。
けれど・・・人々は時に歪みを醜く感じる。
「顔を醜く歪ませる」などという表現も可能である。
美少女があえて・・・変顔を作るのは近寄りがたい美しさを消して親しみやすさを演出する場合がある。
もちろん・・・自分の美しさに対する衒いの場合もある。
さらに・・・単に悪意を示している場合もある。
しかし、美しいものが醜く歪んでいることに「愛」を感じるものには逆効果なのでご注意ください。
また、美醜が錯覚の一種であると考えた場合、変顔を続けるうちに「変」が定着することもあるので注意が必要である。
ほんの一瞬しか、出番がない水城里奈(能年玲奈)はどちらにもいける顔立ちなので留意したいと考える。
ついでに言えば、深夜ドラマ「放課後はミステリーとともに」(TBSテレビ)で主役を演じる川口春奈もそういう微妙な位置にいると考える。
いつでも近寄りがたい美少女になれることは女優としては大切な武器ですからな。
変なのは掃いて捨てるほどいるわけですから~。
で、『鍵のかかった部屋・第5回』(フジテレビ20120416PM9~)原作・貴志祐介、脚本・相沢友子、演出・松山博昭を見た。ミステリの基本は謎解きである。しかし、場合によってはこの世のシステムへの懐疑に触れることもある。なぜなら、物語の半分は犯罪者で構成されているからである。犯罪が行われる以上、その成否はともかく、ある程度は犯罪を肯定化しなければならない。あるいは犯罪を許容といってもいい。「あってはならないこと」が「ある」ということにしないと話が始らないからである。当然、ミステリ作家は基本的に半分犯罪者であることは言うまでもない。そして、多くの場合、謎解きをする探偵役も半分犯罪者なのである。ただし・・・このドラマの場合はかなり・・・犯罪者への傾斜の匂いがするわけである。
これまでにも・・・チーム榎本は家宅不法侵入を常套手段にしているわけであるが・・・今回は未成年の喫煙者をかなり黙認している気配が濃厚であり・・・捜査官でもないのにプライバシーの侵害は犯しまくるのである。そして・・・今回のラストでは警察の容疑者リストに東京総合セキュリティの解錠職人にして密室トリック解明おタク・・・榎本径(大野智)が記載されていることが明かされるわけだが・・・。
テレビドラマで・・・どこまでグレイな榎本の倫理観が描ききれるのか・・・少し楽しみな今日この頃である。
ここまでのところ・・・未成年の喫煙・・・大目にみる。ちょっとした窃盗・・・大目に見てほしい。殺人・・・絶対に許さないなのである。
まあ、キッドは最後の点も曖昧な悪魔なのでなんだが・・・テレビドラマとしてはすでに境界線に達していることは言うまでもないだろう。
ここで、あえて「嘘をついていけません」という言葉があるがそれでは「フィクションをビジネスにできない」と虚構作業の従事者たちは常に感じていることを述べておきたい。
この世界では「嘘をつくのが日常」なのである。だから・・・フィクションのすることにいちいち感情を左右されるのは・・・実におもしろおかしいことなのである。
だが、そのような発達障害を抱える人口が増加している気配があり、ちょっと気になります。
それはさておき、脚本家は「プリンセストヨトミ」の脚本家である。
この場であえてツッコミをしておきたい。
1、大阪には大阪人しか存在しないのか・・・パラレルワールドなら何をしても許されるのか。
1、大輔(森永悠希)はスカートめくられたら茶子(沢木ルカ)のスカートをなぜめくりかえさないのか。
1、変態か・・・変態です。
自分にツッコンでどうする・・・。
私にとって・・・榎本さんってなんなのだろう・・・?
新米弁護士・青砥純子(戸田恵梨香)は親友の美里(小松彩夏)に榎本との関係を問われ、ふと考える。もちろん、そこには月9的な愛が介入してもいいのだが・・・その愛はドラマにおける青砥の分身的存在の上司・芹沢弁護士(佐藤浩市)に託される。
芹沢はもはや・・・榎本を占有したいほどにラブなのである。脚本家は「私を旅館に連れてって」「めだか」「鹿男あをによし」などで唐突だけどほのぼのとした恋愛感情を巧妙に描いてきたので・・・本作もかなりそこに連なってきました。
この味は捨てがたいですな。
ドアに鍵のない密室
・・・という不可解な状況のために・・・警視庁捜査一課の鴻野刑事(宇梶剛士)は専門家として榎本を呼び出す。たまたま一緒にいた青砥同伴である。
震度4の地震で歪んでしまった新築の家。
そこで死体となって発見された明新工務店社長の竹本(田窪一世)は手抜き工事の責任を負って補修作業中だったと言う。
明新工務店の買収に絡んでいた芹沢弁護士は不祥事の発生に困惑顔で事情を調べにきたところで・・・鴻野刑事が榎本を招聘したことを知り、不快感を覚える。
榎本は俺のものだ・・・
・・・嫉妬であった。しかし、芹沢の複雑な気持ちとは無関係に真相究明が始まるのだった。
部屋には不自然な点があります。
窓には鍵がかかっていますが、部屋のドアは枠が歪んでいてしまりにくい状態だったにもかかわらず、内側から強引に閉められている。しかし、そのために必要なソフトハンマーなどの道具が室内にない。また、室内の壁や床には妙なところにガムテープが貼られています。そして、部屋には吸気ダクトという穴が二か所開口しています。犯人があえて密室状態を演出した可能性があり・・・その場合は他殺の可能性があります。
榎本はたちどころに犯罪の可能性を指摘する。
容疑者として浮かび上がったのは恐喝すれすれのクレームで無料補修を勝ち取った家主の東京都立望ヶ丘高校教師で同校野球部顧問の杉崎(新井浩文)である。
欠陥住宅を買わされた杉崎だが・・・被害者は無料補修を承知しており・・・動機が薄い上に被害者の死亡時刻には野球部の練習を指導しているというアリバイがあった。
しかし、野球部の練習メニューには一時間の校外ランニングがあり、アリバイはたちまち崩れてしまう。
やがて・・・杉崎には同校教師の飯倉加奈(関めぐみ)という婚約者がいることが判明する。
青砥が女性的興味から二人のプライベートについて尋ねると飯倉の口からはある意味、病的で恐ろしい事実が語られる。
私は彼の友人に失恋して・・・不安定な気持ちの時に彼に優しくされてなんとなく交際を始めたのですが・・・いざ結婚するとなると本当にこれでいいのか・・・という気持ちになってきました・・・彼よりもっと私にふさわしい人がいるはずだという気持ちが強くなっているときに地震が起きて新居となる予定の家が歪みました。私には神様がこの結婚は不吉だと告げているとはっきり感じられたのです。
まあ、ある意味、境界線上の飯倉加奈である。関めぐみもヤンデレでもないただのビョーキの女が定着してしまう気配である。しかし、それを案じて抑制してしまっているのでさらに中途半端な感じになっちゃってますな。ここが踏ん張りどころですぞ。
愛する女性の心変わりに・・・最初から不安を抱きつつ交際してきた杉崎は心が歪んだのであった。
心の歪みには伝染性があるからである。
この世の理不尽さに杉崎は憤怒し・・・その怒りの矛先は・・・手近なところにいた家の歪みの責任者である竹本社長にむけられてしまったのだ。
激情が過ぎ去れば・・・激情した理由や意味は本人にも不明なことがある。
この家には悪霊が憑いていたのかもしれない。
・・・いや、だからホラーでなくミステリですから。
謎解きである。
杉崎はバックドロップで竹本社長を即死させた後、吸気口からピッチングマシーンでテニスボールを室内に撃ち込み、ドアを閉じた後、家の傾斜によって一ヵ所に集まるテニスボールを回収するために張ったビニールシートを吸気口から手繰り寄せ、テニスボールを掃除機で吸引して排除・・・おいっ・・・手づかみで取り出し・・・おいおい・・・ボールかじり虫を室内に放ち・・・おいおいおい・・・吸気口からビニールシートを引きずり出して、密室を完成させたのだった。
明らかに発狂しています。しかし・・・狂人はとんでもないことを実現させるものですからねえ。
もちろん・・・狭い吸気口からビニールシートを引きずり出す部分は実験されず・・・各人の妄想(イメージ)に委ねられますが・・・
そりゃ・・・かさばるだろうーーーっ
という全国各地のお茶の間からの絶叫が確かに聞こえました。ちり(つぶやき)もつもればやま(さけび)となりますからな。
芹沢はチーム榎本の勝利に快感を覚え・・・。
そうか・・・私たちはチームメイト
と青砥は微笑むのだった。
例によって・・・榎本の心は定かにはされない。
チーム榎本から疎外された鴻野刑事だったが・・・実は榎本に対して疑惑の目を向けているらしい。
彼もまた・・・嫉妬の炎に身を焦がしているのか・・・。
これは歪んだ愛の物語となっていくのだろうか・・・ならないと思うよ。
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