(元気を出して)誓います!(竹野内豊)、(さらに元気を出して)誓います!!(和久井映見)
今度はかなり・・・ちぐはぐな回になっています。
なんだろう・・・この脚本体制のちくはぐさ・・・。これだけ微妙な心理を描くドラマで基本的に複数の脚本家はありえないと思うのだが・・・それによって如実におかしな感じを醸し出すパターンも珍しい。
今回は明らかにパートによって登場人物のニュアンスが変わっている。
端的に言えば・・・弟・裕樹(山本裕典)がらみのパートである。前回の食事のシーンから・・・弟はまるで隔離されたように波留(竹野内豊)から切り離されている。それなのにかなり無理矢理な感じで桂(倉科カナ)と邂逅したりするのである。
谷村家では殊勝に振る舞っていたのに・・・一歩外に出るとハリネズミ態勢であらゆるものに牙を剥くわけである。
このキャラクターを作り手側ももてあましているのではないか・・・そういう危惧を感じるほどである。
もちろん・・・弟を正当化することは大切なことである。このドラマはすでに可南子(和久井映見)という充分に異常な心理のキャラクターが存在しているので・・・これ以上に異常な人格は必要ない。ただ・・・今回の波留の行動は明らかに弟の言動の影を宿している。
おそらく・・・敵対者が反転して味方になるという「手」を作ってくるのだと思うが・・・よほど上手にやらないと・・・ものすごくウソ臭くなるような気がしてならない。
ふたたび、脚本的には危機に陥っていると考えます。・・・ま、それも一興ですけれど~。
裕樹はもう少し・・・何を考えているのかわかるポジションでよかったのではないか・・・。
なにしろ・・・お茶の間的にはもう顔を見るだけで不快な感じのキャラクターに仕上がっている気がするわけですが。
で、『もう一度君に、プロポーズ・第6回』(TBSテレビ20120525PM1055~)脚本・桐野世樹・武井彩、演出・村上正典を見た。無口な主人公と・・・無口なヒロインである。可南子は記憶障害という心の病を抱えており、無口になっても構わないが、本来、内向的な性格だと考えられる。一方で波留は特に内向的というわけではないだろうが・・・やはり、心の病を持つ妻のために鬱屈せざるを得ないわけである。で・・・その心の動きを読もうとすると・・・いろいろと読み切れない部分が出てくるわけである。
今回の話は単純に言えば・・・波留が弟の悪意あふれる言葉と、可南子の嘘に耐えながら・・・記憶の戻らない可南子のこれからの幸せを願うあまり・・・離婚という決断に漂着するという話である。ヒロイン側からは・・・不透明ながらも・・・波留との関係をもう少し積極的にとらえてみようという態度が見え隠れするわけで・・・典型的なすれちがいということになる。
なのであるが・・・本当にそうだったか・・・自信がないのだなあ。
自信はないが・・・妄想なので、まあ、いいかとふりかえるわけである。
とにかく・・・波留が「地獄の食卓」でどのくらい深い傷を負ったのかも不明なので・・・困っちゃうのである。・・・まあ、そこが面白いドラマなんだからしょうがないのだ。
地獄の食後・・・姿を消していた可南子の弟・裕樹がキッチンで皿洗いをしている。
「罪滅ぼしのつもりなの?」と母親の万里子(真野響子)が裕樹に話しかける。咎めつつ慰めるという母親モードである。「・・・でも、男の子たちがたくさんきて楽しかったな」
裕樹の心は軽くなる。
「姉ちゃん・・・いろいろとごめん」と裕樹は姉のご機嫌も伺う。可南子は「まったく、もう」と言いながら、弟を特に咎めるわけではない。家族のいない場所で泣いた風情はまったく隠蔽しているのである。
この可南子のリアクションに激しく表情を曇らせたのが万里子だった。
これだけ、心優しい母親である。波留が激しく傷付いていることは充分に推測している。その原因を作ったのはわが子の裕樹であるが・・・それを咎めないのもわが子の可南子である。義理の息子の波留があまりにも「かわいそうだ」と母親は感じたはずである。
しかし・・・そのことについて誰も責めることができないのである。
万里子はできれば・・・波留と可南子が元通りの夫婦に戻ってくれることを願っているわけだが・・・それが叶わぬ望みならば・・・自分が責任を果たさなければならないと自分を追い詰めていくのだ。この後、母親は娘の病状を確かめた後で・・・決意を秘めて波留を訪ねるのである。
一方、波留の家には家出中のミズシマオート社長(光石研)はたまたま、外で出会った・・・もちろんたまたまではないわけだが・・・桂を拾って家庭訪問である。
桂は波留への片思いの吐露をするチャンスを挫かれてずっともやもやし続けるのである。
このもやもやを大抵の人はすかさずキャッチするわけだが、社長と波留はまったく察知しない。
「波留と俺は家族同然だ・・・この家だって俺の口利きで知り合いにお安く賃貸してもらってんだもんな」
と社長が・・・宮本家のグレードの高さの不自然さをここでフォローである。誰かにツッコミ入れられたのか・・・。
とにかく、靴下を脱ぐ社長。「今日は波留と一緒に寝るんだもんね」
波留と一緒に寝たいのは桂だった。
桂は無意識に「結婚」というキーワードにこだわる。
「俺たち二人には・・・今、それ禁句だろう」
「・・・」
「このままずっと何十年もこのままだったらどうしよう」
「・・・」
「でもたまにはおちこんでもいいじゃないですか」
「そうだな・・・何もかもうまくいくわけないもんね」
ここで波留は激しく同意なのである。「そうですよ・・・ボロボロになったっていいじゃないですか」
しかし・・・波留の心は夫婦関係の修復に絶望感を抱き始めているために・・・話題を「車の修復」に置き換える。「でも・・・車は治せる」
そしてふと、桂に意識を向ける「お前も何か悩みがあるんだろう・・・」
桂の目は輝くが「わかる・・・独り立ちして・・・仕事に不安を覚えるのは当然だ・・・まだまだ上がいるし・・・下からも追い上げられているし・・・だが・・・お前ならできる」
そっちかよ・・・とガッカリする桂だが間髪いれずに酔いつぶれる波留。
目の前に不用心な獲物が出現したが・・・さすがに寝込みは襲えない桂だった・・・。
このドラマ・・・志乃(市川由衣)以外の主要登場人物は全員奥手で構成されています。
まあ、野獣のような人間から見れば歯がゆさ100%ですな。
キッドなんか抱いてくれたらいいのにと言う前に抱いちゃえと思いますからねえ。
そういう意味で二児の母親である万里子は積極的です。
娘の通院するわかばメンタルクリニックで娘の病状を訪ねるわけだが・・・担当医の説明は歯切れが悪い。そもそも、精神の病と考えれば、保護者に対してもう少し守秘義務のハードルは低くなるはずだが・・・そもそも、記憶喪失については医師自身がまったくお手上げなのである。
しかし・・・ここでもくも膜下出血に起因する脳機能の損傷ではなく・・・心因性の可能性は強調される。
「心因性の記憶障害の場合、幼少時のトラウマや、日々の自覚なきストレスの積み重ねなど何が原因となるのかまったく推測不可能なのです。大切なのは記憶が戻ろうが戻るまいがありのままの娘さんを周囲が受け入れることなのです」
毎回、金返せの展開である。しかし、これが精神医学の限界なのである。そもそも、精神に病などというものはないという考え方もある。そこにはただ風が吹いているだけなのだ。
しかし、万里子の決意を固めさせるには充分な説明だったらしい。・・・娘がずっとこのままで、しかも・・・結婚生活への復帰に消極的な態度を取り続けるなら・・・娘の夫を待たせ続けるのは酷なことではないか・・・そういう気持ちから・・・波留に再出発をもちかける・・・という決断に万里子は踏み切るのだった。もちろん、苦渋の決断である。
一方、人妻としての自覚が不足気味の可南子は・・・「嘘」の「発覚」もそれによって波留が深刻な打撃を受けていることにもそれほど危機感を感じないし、想像が及ばない。それよりも知れば知るほど好ましく思えてくる波留という見知らぬ男性に戸惑いを感じている段階である。言わば・・・ひょっとしたら「好きになりかけているかも・・・」なのである。
そこで・・・ふと思い出すのが・・・ツバメ時計であった。
一体・・・なぜ私宛に修理されたツバメ時計が送られてきたのか・・・。
それさえも全く覚えていない可南子なのである。
その回答の一部は今のところ、善意の第三者である図書館の館長・大橋(杉本哲太)がささやく。
「その時計工房を紹介したのは・・・私ですよ・・・とても大切なものだから直してあげたいとおっしゃるので・・・」
「私が・・・ですか」
「そうです」
「どんなふうに大切だったのでしょう・・・」
「さあ・・・そこまでは・・・ご主人に尋ねてみたらいかがです・・・」
「・・・」
可南子にとって、それはまたしても冒険のようなものだった。
一方、万里子は宮本家をとある決意を秘めて訪ねていた。
不幸にも前夜は社長が飲み散らかした形跡が濃厚である。その散らかった部屋を見て、万里子の心は痛み、ますます決意を強くさせる。
万里子はいたらない娘に代わって波留の部屋を片付ける。
ここからしばらくは親ばかという設定で裕樹の非礼を謝罪しつつ・・・裕樹の行動を肯定化するのであるが・・・今更な感じは否めません。
「裕樹は中学生で父親が死んだ頃から、気負いすぎて、なにもかも全部抱え込むところがあるから・・・」
そういう意味では波留も何もかも一人で抱え込んでいるわけである。裕樹との違いは攻撃と守備の差なのだろう。
「わかりますよ・・・嫁いだ姉だって・・・彼にとってはずっと大切な家族でしょうから」
そこまで波留にフォローさせるのもなんである。
「こんなことを私が言うのはなんなのだけれど・・・このまま・・・可南子の病状がずっと変わらないとしたら・・・波留くんには・・・前向きに人生を考えてもらいたいと思うの。波留君自身の幸せを・・・可南子に縛られないでほしいのよ」
万里子としては波留に対して精一杯の好意を示しているのだが、結果として波留の心に急速に巣食う暗い蟠りの膨張を即してしまうことは言うまでもないのである。
優しければ優しいほど心を打ち砕く威力があったりしますからな。
波留の絶望感は高まるばかりなのであった。
一転、波留と可南子の結婚が暗礁に乗り上げていることを察知した桂は仄かな希望を抱き始める。交際中のタケル(上遠野太洸)を呼び出すと絶縁宣言である。
自分の気持ちに正直にという流れであるが・・・要するに波留の不幸に乗じるわけであり、その心情には暗い輝きが宿っている。
ここで恐ろしい偶然のように見えるが・・・悪魔に魂を売りつつある二人が邂逅するのであるから、もちろん、悪魔の罠なのである。
夫ある姉に異常な執着を見せる裕樹と、妻ある職場の上司に横恋慕する桂はすでに暗黒面に足を踏み入れているのである。
まさに・・・そこは魔界の入り口なのだ・・・それはもう話の次元が違うだろう。
たちまち、意気投合する二人。
「いやだ・・・あなたってシスコン・・・」
「そんな、君だって不倫好きなんだろう」
「そんな・・・私はたまたま好きだった人に奥さんがいただけよ」
「俺だって愛した女性が姉だっただけさ・・・」
「・・・」
「・・・」
不毛な会話である。・・・いや、お前に悪意があるだろう。だって波留さんがかわいそうなんだもん。・・・お前、男だろ。
いや、可南子だってちょっとかわいそうだし・・・ちょっとなのかよっ。
一方、リッキー(三浦力)の店ではリッキーが今回のときめきタイムのために結婚を宣言します。リッキー、重要な使命があったのだな。
それを受けて「結婚式」の写真を見て・・・かってが幸福であればあるほど絶望の淵を深く覗きこむ様子の波留。
その頃、未だに正体を見せない善悪定かならぬ可南子の昔の恋人・一哉(袴田吉彦)は「なつかしい店」を餌に可南子にちょっかいをかけてくる。全く邪気のない風を装って忍びよる不気味さがあり・・・これにやすやすとのっていく可南子がお茶の間の不安感をあおり立てるわけである。
このあたり、時系列が入り乱れていつが夜でいつが昼なのかまったく不明な謎の時間帯に突入しています。とるだけとって編集しているわけですが・・・気にしなければ気になりません。
そして・・・件の食堂でランチをとろうとした可南子は一哉と再会。
ある意味、無自覚な不貞を楽しんでいる構図になっています。
一哉は・・・「ドロドロな関係はいやだ」とか「嘘をついたら男は傷付く」とか「罪悪感があるっていうことは彼を夫として認めている」とか・・・あたかも幼馴染として可南子に善意のアドバイスをする。
しかし、状況としては心さだかでない人妻とそれなりにランチを楽しんでいるわけである。
困ったやつだな・・・。
ところで・・・可南子は結婚前に・・・処女だったのだろうか・・・と言う問題がある。
一哉が最初の男だったとすれば・・・可南子にとって唯一、身体を許した男と食事しているわけである。
一方・・・波留が最初の男だった場合・・・可南子は・・・精神的には処女なのである。
いい年して・・・という話であるが・・・これはある意味・・・恐ろしくも悲しい話なのだなあ。
しかし・・・一哉との再会で気が軽くなった可南子は・・・ようやく・・・ツバメ時計を波留の元へと届ける決心をする。
だが・・・あくまで・・・波留との二人きりの再開を深層心理が拒んでいるらしく・・・可南子が出向いたのは職場のミズシマオートなのである。
この心理を読んでいくと・・・可南子の態度には初夜を恐れる処女の魂が窺がえたりしてしまい・・・己の変態性が恥ずかしいばかりなのである。
もちろん・・・人妻なのに気分はヴァージンというのはある意味、一同爆笑・・・後、哀愁ではある。
そんなわけで・・・可南子は波留と自分の本来のプライベートな愛の巣ではなく・・・夫の職場であるオフィシャルな場に「ツバメ時計」を届けるのだった。
そこに届けられるリッキーからの結婚式の招待状である。
記憶喪失前の可南子も共通の友人としてリストアップされ・・・宮本夫妻として招待状が発せられている。
たちまち・・・とまどう可南子である。他では気遣いを見せる可南子だが、何故か波留との結婚生活になると途端に節度を失ってしまうらしい。その激しい困惑ぶりにますます絶望を感じる波留。
「うちは社長のとこよりもおしどり夫婦でしたから・・・」
「なんです」「なんですって」と声をそろえる夫婦喧嘩中の社長夫婦だった。
おどけてみせる波留だが、一歩また一歩と暗い決意は固まっていく。
可南子を送っての道すがら。
「あの時計は本当のお母様からの贈り物なんですよね・・・」
「あのツバメは偶然なんですか・・・」
「あれはね・・・俺の悪戯・・・小学生の時、初めてツバメが巣を作って、親父たちが妙にはしゃぐんで・・・ふと思いついてツバメ色にぬっちゃったんだ・・・なかなかうまくぬれたでしょ」
「・・・その話・・・私は一度聴いているんですよね・・・」
「・・・うん」
「あの・・・他にもありますか・・・そう言う話・・・」
「・・・」
「私が一度は聞いたのに・・・忘れている話」
「どうしたの・・・」
「なんだか・・・聞いてみたいな・・・って」
なにもかもすべてなんだよ・・・なにもかもわすれられちゃってるんだ・・・。
そういう気持ちで胸がいっぱいになる波留だった。
「わかった・・・何か思いだしたら・・・連絡するよ」
「そうですか・・・」
思い出がありすぎて・・・かいつまんで話せないというのは・・・どうやら可南子の想像外のようだった。
・・・ひとつくらい・・・今、話してくれてもいいのにと不満が残る可南子である。
明らかに夫婦の心はすれ違って行く。
「結婚式は・・・無理して来なくていいよ・・・仕事もあるだろうし・・・」
「はい・・・」
・・・本当は結婚式にお呼ばれしたい可南子だったようである。
だが・・・「姉にはもっとふさわしい人がいる」・・・「このままずっとこのままだったらどうしよう」・・・「それぞれの幸せを捜してもいいのではないか」・・・そういう不適切なアドバイスが波留の心を頑ななものにしていくのである。
負のスパイラルなのである。
いつまでも・・・待つんじゃなかったのか。
心の奥でもう一人の波留が叫ぶが・・・その声は波濤に飲まれてかき消されるのだ。
決意を秘めて去っていく波留に可南子は理由のわからない不安を感じる。
も、もどかしい。
さて・・・波留・可南子夫婦にとっては守護神ともいえる波留の養父・宮本太助(小野寺昭)は病院で検査を受け、その結果、何やら「家族に病状を説明しなければならない」深刻な事態になったらしい。太助は古い手紙を捜索して・・・なにやら古い知人に連絡をとる。可能性が高いのは・・・やはり、波留の生母ということになるだろう。はたして・・・どんな母親なのか・・・最大の救世主となるのか・・・。期待が高まります。
その連絡の結果や・・・病状に含みを残して太助は波留を呼び出すのだった。
昼下がりの晩酌である。
復活したツバメ時計を見て・・・太助は喜ぶ。
「さすがは・・・可南子さんだ、お前にはもったいない(だから大事にするんだぞ)・・・」
「うん・・・俺にはもったいない(もっとふさわしい男がいるみたいだよ)・・・」
いきなり、すれ違う父と子の会話である。
「・・・なんだ、まだ悩んでるのか」
「悩めっていったのはオヤジだろう」
「お前が悩んだままじゃ死んでも死にきれない」
「なんだよ・・・それ」
「まあ、いいから話してみなっせ」
「夫婦ってなんだろう・・・って思って・・・俺たちは戸籍上は夫婦だけど・・・もう夫婦じゃなくなっちゃったみたいなんだ・・・俺が元の夫婦に戻ろうとしても・・・無理なんじゃないかって・・・よくわからないんだけどね・・・」
「猿みたいな顔しやがって・・・」
「なんだって・・・」
「お前が生まれた時のことだよ。猿みたいな顔してた。お前をひきとるって決めた時な・・・いろいろ悩んだし、周りからもいろいろ言われた・・・でもな・・・猿みたいなお前の顔を見たら・・・俺は絶対こいつを幸せにするぞって・・・そういう気持ちがわきあがってきたんだ」
「なんだよ・・・それ」
「だから・・・いい話さ・・・俺とお前の原点だ・・・それから俺はいつだってそういう気持ちでお前と接してきたぞ・・・(だからお前もがんばれ)・・・」
「そうか・・・俺は可南子を幸せにするって・・・思ったもんな・・・(可南子の幸せを考えたら・・・結婚生活にピリオドを打つことも大切なのかもしれない)・・・」
またもすれちがう二人の心。
ちがうんだよ・・・波留・・・パパはそんなこと言ってるんじゃないんだよ。
しかし、お茶の間の悲鳴はもちろん届かないのである。なにしろ、相手は地デジなのである・・・それは関係ないよ。アナログ時代だって同じだよ~。
いや、アナログ時代にはもう少し心と心が通い合っていた気がします。・・・妄想的には。
すぎてゆく まいにちに
だいじなもの わすれそうで
まちのなか ふと ひとり たちどまる
結婚式当日。祝儀用ネクタイを捜す波留。可南子が捜してくれないから。
ネクタイを結びなおす波留。可南子が結んでくれないから。
しかし、そんなことは耐えられる波留だった。
最初から可南子がいなかったと思えばいいことだ。
俺が我慢すればすむ話なのだ。
教会での結婚式。波留の一挙一動を目で追う桂である。
誰か気がついてやってくれというほどのあからさまな示威行動なのだが・・・誰も気がつかない。
波留の心は・・・可南子との結婚式の思い出にとんでいる。セレモニーだけに日記抜きでときめくことができるらしい。
病める時も健やかなる時も共に歩むことを誓いますか?
波留は元気よく大きな声で「誓います」と宣言して軽い笑いをとった。
そして・・・可南子は・・・。
図書館の勤務が設備点検のために早めに終り、結婚式場に駆け付ける。
可南子の中で明らかに波留との関係に一歩踏み出した様子がうかがえる。
「無理しなくていいよ・・・」と波留は言うのだが・・・可南子はもう・・・波留に会いたい気持ちが高まってきている。
平服のまま、式場にかけつけた可南子は教会の入り口で花嫁に花を贈り、波留を見つけるとその傍らによりそう。
二次会に向かう一同を背に教会内に消える波留と可南子を桂は思いっきり悩ましげに見送るのだった。
「この間・・・言ってたでしょう・・・可南子が忘れていること・・・一つ思いだしたことがある」
「え」
「結婚式の誓いの言葉・・・思いっきり元気よく大きな声で叫んで・・・軽く笑いをとっていたよ・・・」
「えーっ・・・ホントですか?」
病める時も健やかなる時も死が二人を分かつまで愛し続けることを誓いますか?
「誓いますっ!」
微笑み合うあの日の波留と可南子。
それは夫唱婦随の行為だった。
二人は一心同体だったのだ。
ステンドグラスの光の中で・・・波留の心は急速に落下していく。
裕樹の恋人志乃が裕樹の母親と仲良くビーフ・シチューを作っていることも、二次会の会場で桂が一人胸騒ぎを感じていることも・・・どうでもいいわけである。
忘れられないけど
忘れようあなたを
めぐり逢う時が
二人遅すぎた
確かに・・・六年前に出会っていればときめき絶頂の頃からやり直せたわけだからな。
「可南子・・・離婚しよう」
・・・一部お茶の間で絶叫がこだまする。
関連するキッドのブログ→第5話のレビュー
ごっこガーデン。ツバメハウス・タイムマシンでウエディングへGO!セット。まこ「はうぅん、ツバメハウスで時計をグルグル逆回転して、波留との結婚式まで戻ってきたのでしゅ~。むふふ・・・これならくるしいせつないかなしい未来はずーっと先のことだから大丈夫デス。夏休みの宿題を一番最後にやる作戦デスーっ。そしていざとなったらタイムストッパーで時間をとめて何度でも巻き戻し~。永遠に新婚あつあつを楽しむのでしゅ~」mari「なるほど、そうきましたか~。万里子の一言が効きましたねえ・・・まさか・・・万里子・・・波留狙いではないでしようね・・・」
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コメント
こんばんは~キッド様~o(*^▽^*)o
確かに今回のお話はなんだかとっちらかった印象は否めず、エピソードを盛り込みすぎなのか、それぞれが正当化しあって、言い訳が多すぎるのか・・・?と思いつつ、不穏で、浮き足立った感じですが、好きです、悪くないです。キッド様のレビュウを読んで少し整理がつきました。かなり冷静な?分析ですね。それにしても、酔っ払って桂に「大丈夫、ets」って言う波留の雰囲気と「誓いまあす」の可南子にやられましたとさ!!
投稿: はなとめ | 2012年5月26日 (土) 22時08分
山ちゃんも竹ちゃんも~はなとめ様、いらっしゃい~まじめでシャイ
キッドの妄想的にはこのドラマの基盤は
「許されない愛/沢田研二」
だと思うのですな・・・。
だから・・・
愛の炎は消し暗い絶望だけ
胸に抱きしめて僕は生きて行く・・・
って波留が思いつめちゃった気がした今回です。
しかし、タイトル的には
まず離婚しないと
もう一度君に、プロポーズできないのですからねえ。
そんな固いこと言わないで
入籍したまま・・・気分だけで・・・
という願いもむなしく・・・一度、籍を抜かずには
いられないのか・・・でございます。
とにかく・・・今回の脚本の妙味は・・・
波留の冗談だ・・・と思わせておいて
可南子・・・乗ったのかよっ~という
緩急ですな。
トレビアンでございました。
まあ、その他の登場人物たちも
それぞれの人生を抱えているわけで
可南子にとっては弟の
波留にとっては後輩の
それなりの幸せを望んでいるはずでもあり
ある程度、軌道修正が必要なこれまでですからな。
キッドとしては
うざがられてもうざがられても
つきまとう志乃に
激励の電報を送りたい気分で一杯です。
あの弟のどこがいいんだか
さっぱりわかりませんけど~。
投稿: キッド | 2012年5月27日 (日) 02時24分
また2話続けて見てみました
5話の弟だけのパートは早送りしてしまった私です(笑)
6話でネタが投入されてこれで最終回まで持ちそうな気がしました
ただネットで知り合った彼に別れを切りだした店に弟の姿を見た時は本当に強引な気がしました
その後の二人の会話は恋人同士の痴話喧嘩のようにも見えて…そういう展開を暗示しているのかと思いきや最後に恋人登場で なんだかぐちゃぐちゃな気がしました
別れをハルが切り出したのもちょっと唐突な気がしたのでキッドさんのレビューのようにわかりやすく演出してほしかったです
傑作になるためにはいろいろと惜しい感じもしましたが私、このドラマ好きです
お洒落すぎるハルの家の理由もわかってよかったです
投稿: chiru | 2012年5月27日 (日) 22時13分
シンザンモノ↘シッソウニン↗・・・chiru様、いらっしゃいませ・・・大ファン
ふふふ・・・もう一度もう一度君にプロポーズ、君に、プロポーズですな。
キッドもよく深夜アニメの全話流し見をしますぞ。
じゃないともちませんからな。
この作品はじっくり二度見なので
手間がかかって仕方ありませんーーーっ。
とにかく妄想上では
プロデューサーがいろいろとタレント事務所に
ネジまかれてるのと
新人脚本家育成の病にとりつかれて
あーだこーだなので
現場混乱ですな。
演出は我関せずで淡々と進めていますが
さすがにちょっとほころびの見えた今回。
裕樹と桂の同盟とか・・・
志乃襲来とか・・・
安っぽいにもほどがあるので
穏便にすませてもらいたいところですな・・・。
今回は・・・波留が可南子を思うあまりに
可南子の心の変化の兆しを見逃す・・・
そこがせつなさのクライマックスですからねえ。
波留パパの優しさも仇に・・・
そして晴れ晴れとした淋しさを受け入れてしまう波留。
バカア、もっとねばれよおおおっと
涙しつつ絶叫でございます。
まあ・・・とにかく・・・
いろいろときしみながらも
本質的には傑作の香りを維持・・・。
ラブ・ロマンスのアイディアとしては
本当に素晴らしいものがありますからな。
「誓います」でこんなにグッとこさせるんだもの・・・。
トレンディードラマな家の理由まで
述べるドラマなので・・・暖かく見守りたいと考えます
投稿: キッド | 2012年5月27日 (日) 23時43分
初めまして。以前より時々覗かせてもらってます。
ドラマレビューブログの中でもかなり読み応えがあるので、見逃した回があってもキッド様のブログを読めば安心、って感じです。
プロポーズ6話の解説もなるほどー、って感じでした。
波留と波留パパの会話、このお二人の空気感って絶妙だなー、とホワーッと見てたので、気持ちのすれ違いの機微にまでは意識が行ってなかったです(恥)
またあのシーン見直さなくちゃ。
波留マンションのオサレ感は、最初から各所で取沙汰されてましたが、私は「幸せで毎日楽しいけど、確かなものがないフワフワした夫婦生活」のメタファーだと思っています。だから今は、時々は片づけるけども散らかりがちで、波留の心の空虚感を際立たせてるように見えます。
で、最終的には…というか、私の願望なんですが(笑)
波留パパの待つ、昔ながらの日本家屋に二人で戻っていくんじゃないのかな…ツバメが巣に帰るように。
どうか波留パパには、それまで元気でいて欲しい(涙)
社長のマンション種明かしは笑いましたが、けっこう前述のような各所からのツッコミが痛かったんだろうなと思いました。ネット時代はこういう配慮もしなきゃいけないから、制作側は大変ですよね。
初めてなのに長々と失礼しました<(_ _)>
また読ませて下さいね。
投稿: orange | 2012年5月28日 (月) 16時33分
オサレマンションヨリ~orange様、いらっしゃいませ~ツバメハウスダヨネ
長々と書いていてしまいます。
貴重なお時間をいただきありがとうございます。
今回はかなり再現性高めですが
長々と妄想ばかりの場合もありますので
ご利用の際はご注意くださるようお願い申し上げます。
波留と波留パパのやりとりも
あくまでキッドの妄想的には
そう感じられるというものですからねえ。
しかし・・・そう考えないと「離婚しよう」が
しっくりこない。
もちろん・・・あくまで前向きで
再婚するための離婚の必要性を
波留が痛感したという解釈もまったくありなのです。
今回はキッドにもどちらか
判断つきかねました。
そろそろ映画「君への誓い」のCMが流れるようになり
またも・・・「似ている」話が出てくる季節。
似ているということではドラマ「ザ・ヴァウ」も
あるわけでいろいろあれなんですが・・・
そういうノイズが
せっかくのほぼ傑作ドラマに水をささないといいなあ・・・
とまた別の心配をしたりする今日この頃です。
ドラマなんて・・・基本はみな
「やっぱり愛してる」ですからな・・・
似ていて当然といつも思うのでございますよ。
いいですねえ・・・
あのオサレマンションを出て
波留の実家ツバメハウスで
新婚生活を送る二人・・・。
今度こそ・・・共に白髪が生えるまで
仲好く暮らしてもらいたいですな・・・。
その場合、ベイビーはどうなるのか・・・。
記憶喪失前の行為で
そうなっているとなると・・・
そろそろ、自覚のタイムリミットなんですが・・・。
さすがに・・・その手はないかなあ・・・。
などと妄想膨らむ今日この頃です。
どんなに長くても大丈夫という方向で
運営しておりますので
また、遊びにきてくださいね。
投稿: キッド | 2012年5月28日 (月) 17時14分
初めての書き込みです。
ドラマは、ほとんど見ないのですが「もう一度君に、ポロポーズ」にはまってしまい、ここに辿り着きました。
キッドさんの解説? すごく興味深いです。
なるほど・・・、いや、違うよ・・・なんて呟きながら楽しんでいます。
ドラマを見る楽しみが、2倍になりました。
ありがとうございます。
次回も、よろしくお願いします。
投稿: たっきー | 2012年5月29日 (火) 20時00分
モウイチドキミニプロポーズ~たっきー様、いらっしゃいませ~ハマッタハマッタココニキタ
遠路はるばる御苦労さまでございました。
1回目以外はタイトルに番組名をまず入れない
妄想レビューですので
たどり着くのは大変かと妄想いたします。
解説などとはおこがましく・・・
ただ好きなものについて妄想を展開しているだけですのでご容赦ください。
楽しんでいただければ
このうえない喜びです。
最近、こういうしっとりしたドラマが絶滅状態ですので
どうか・・・最後まで
このテイストであるようにお祈りする日々です。
また、遊びにいらっしゃってください。
投稿: キッド | 2012年5月29日 (火) 20時47分